ああ、初めて俺は…… “人間” を知れたような気がしたから

「ああ、初めて俺は…… “人間” を知れたような気がしたから」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
ああ、初めて俺は…… “人間” を知れたような気がしたから」を以下のとおり復元します。
発言者:[[秋月 凌駕]]
対象者:[[マレーネ・フランケンシュタイン]]


マレーネルート後半、[[鵺乱丸]]に[[暴かれた>怪物だけに成し得るもの、見せてくれよ。ぶっちぎれ]]秋月凌駕の異常性。
お前の正しさには[[誰も付いてこれない>皆既滅拳]]、のみならず、それは[[近しい人>秋月高嶺]]を[[追い詰めてさえいる>生まれた時から、秋月凌駕の妹をやっているんだもの]]のだという指摘。

己こそが異端なのではと、&bold(){自分には「普通」など何一つ見えていなかったのではないか}と、かつてないほど揺らぐ凌駕。
そんな状況の彼を自室で待っていたのは、数刻前に[[非情な現実>アポルオン]]に傷を抉られたばかりのマレーネだった。

&color(#00BFFF){&sizex(4){「待っていたぞ、凌駕。改めて、今後の方針を話し合っておきたいと思ってな」}}

淡々と、いつもと何一つ変わる事のない様子で作戦を告げていく。
そんな彼女が、しかし心の奥では哭いていることが、今の自分には分かってしまったから。
彼女を抱きしめ、凌駕は告げる。
&color(blue){無理して強がる必要なんてない、痛みが消えなければ泣いたっていいじゃないか、誰にもそれを非難させたりはしない……}と

だが、

&color(#00BFFF){&sizex(5){「……そんな風に、慰めないで!」}}

&color(#00BFFF){&sizex(4){「兄さんみたいに、優しくしないで……お願い、凌駕……ッ」}}

マレーネは涙を流しながら、凌駕を拒絶する。
それに対し、彼は詫びながら、なおも言葉を継ぐも……

&color(#00BFFF){&sizex(4){「……駄目。無理をしなくちゃ、強くなくちゃ……駄目、なのっ」}}
&color(#00BFFF){&sizex(4){「そうじゃなければ……立ち向かえないから、立ち上がれないから……」}}

&color(#00BFFF){&sizex(5){「凌駕の傍には、いられないから……っ」}}

&color(#00BFFF){&sizex(5){「&sizex(4){こんな痛みなんかに泣いてられない。}今すぐ立ち上がらなくちゃ、凌駕に置いていかれちゃう……!」}}

……今度こそ、凌駕は正面から突きつけられる。&color(black){&bold(){自分の&ruby(いびつ){強}さが今まさに、愛する少女を追い詰めているという現実を。}}
正しい道を迷わず選び続けることのできる超人。&color(black){&bold(){そんな自分に必死で追いすがろうと、彼女は血を吐くような苦しみに耐えていたのだと。}}

自分たちの間に横たわる&color(black){&bold(){「強者」と「弱者」という断絶の残酷さを思い知り……}}
&bold(){―――それでも、今の彼には、&color(slategray){それを乗り越えたい}という願いが芽吹きはじめていた。}


&color(blue){&sizex(5){「マレーネが立ち上がれなくたって、俺は何処へも行かないよ」}}


彼女をもう一度抱き寄せながら、凌駕は生まれ変わり始めた自分の想いを告げていく。

&color(blue){&sizex(4){「マレーネが立ち上がるまで俺はいつまでも待っている。もう闘えないって言うんなら……それでもいい」}}

&color(blue){&sizex(4){「マレーネに立ち上がってほしい、強くなってほしいとは思うよ。}}
 &color(blue){&sizex(4){けれどその願いと、俺がマレーネの事を好きな気持ちとは別なんだ」}}

&color(blue){&sizex(4){「俺は、マレーネが&ruby(・・・・・・・・・・・・・・){強いから愛しているんじゃない}……どうか、信じてくれ」}}

&color(blue){&sizex(4){「いや――違うな。信じさせてみせるよ、}}&color(blue){&sizex(4){俺に何が足らないのか少しずつ分かってきたから」}}

告げられた言葉に戸惑い、&color(#00BFFF){自分は科学者としての能力以外に何もない……}
&color(#00BFFF){高嶺のように女の子らしいことなど何一つすることができない}、と小さくなるマレーネ。
だがそんな少女の言葉に対し、凌駕は


&color(blue){&sizex(4){「いいんだよ、全部含めてマレーネが好きなんだから」}}


そう言いながら彼女の眼帯を外し、&bold(){そこに刻まれた傷―&color(silver){彼女の兄がマレーネを守り抜いた証}―を確りと見つめ……}
&sizex(3){&color(blue){&bold(){―――誰より正しく、誰より歪であった男は、}}}


&color(blue){&sizex(4){「綺麗だよ、その&ruby(いたみ){傷痕}も。今はそう思える、弱さも過去も誇りだと」}}

&color(blue){&sizex(5){「ああ、初めて俺は…… “人間” を知れたような気がしたから」}}


&color(blue){&sizex(4){「俺を信じてくれ。傷があっても、強くなれなくても、}}&color(blue){&sizex(5){俺はマレーネを愛せるって事を」}}

&color(blue){&sizex(5){「そして、頼むよ。俺にもマレーネを教えてくれ。}}
 &color(blue){&sizex(5){正当性ばかりで、足らないものばかりのこの馬鹿野郎に」}}


&bold(){&sizex(3){&color(slategray){もう決して、彼女を知らぬ間に追い詰めたりしないと、人間の強さだけを見はしない}}という、確かな誓いを胸に抱いた。}


こうして、&ruby(かいぶつ){超人}であった秋月凌駕は、「人間」となるための最初の一歩を踏み出していくのだった。
同じような「生まれついての精神的強者」であった[[後年の作品>シルヴァリオ ヴェンデッタ]]の[[英雄>クリストファー・ヴァルゼライド]]と[[違い>決めたからこそ、果てなく征くのだ]]、彼は大切な人たちのために[[己を曲げることができた>俺はやっと、人間の弱さを愛することができたぞッ!]]のである。

&s(){なお、この後めちゃくちゃセッ○スした。}


----
- 精神構造がキモいだけでいい男な凌駕さん  -- 名無しさん  (2017-04-18 01:33:19)
- ↑確かに。感動したのに、最後の一文が全てぶち壊した。  -- 名無しさん  (2017-04-18 07:36:23)
- なんやかんや言って、やっぱ凌駕にもヒロインズが必要なんやな。  -- 名無しさん  (2017-04-18 08:04:11)
- やっぱり弱さと傷痕の肯定はこのラインの重要テーマなんだなぁ。それが出来なかった英雄や光の亡者達は破滅していくし  -- 名無しさん  (2017-04-18 10:18:46)
- 弱さと傷痕の肯定は人間である象徴だしな  -- 名無しさん  (2017-04-20 11:18:41)
- トシローさんもゼファーさんも、過去の傷痕を肯定できたからラスボスに勝てたって感じだよね。逆にラスボス勢は強さとか未来だけを目指した果てに主人公に負ける  -- 名無しさん  (2017-04-20 22:57:18)
- ↑ 本当の意味で背負ってるか否かだよね  -- 名無しさん  (2017-05-02 19:35:56)
- ↑2トシローの場合は傷自体の肯定というより、傷も痛みも込みで「生きる」こと、生きてきた過程を肯定できたからこその勝利だと思う。意味を認めることと、それ自体を肯定するのは別の話だろうし(御影が苦しめられたことを肯定的に捉えてはいないが、それら過去がなければ伯爵に立ち向かうことなどできるはずがなかった)。アイザックから返った影響も感じられつつ、また異なるトシローの答えとして確立してるのが本当好きだわ  -- 名無しさん  (2017-05-02 19:52:22)
- アッシュ&ナギサが強さと弱さの両方の肯定に至ったのが、このラインのテーマの集大成なのかな  -- 名無しさん  (2017-05-03 08:08:19)
- ギルベルト「ああ、私は久しぶりに……“普通の人間”に触れた気がするよ」  -- 名無しさん  (2017-12-10 07:26:11)
- ↑お前の口から出ると碌でもない状況にしか聞こえないんだよ!  -- 名無しさん  (2018-03-29 00:50:33)
#comment()

復元してよろしいですか?