Brewer - Clifton(2011年9月訪問)
この日はBrewer - Cliftonと
Palminaを訪問するためにLompocの街まで出かけた。まずはBrewer - Cliftonから。
このワイナリーは、
Melvilleでワインメーカーを務めるGreg Brewer氏と、
Palminaのオーナー兼ワインメーカーであるSteve Clifton氏が共同で立ち上げたもの。両氏が親日家であるためもあってか、日本のカリフォルニアワインファンの間で大人気のワイナリーらしい。造るワインはシャルドネとピノ・ノワールに特化しており、様々な畑の違いを表現することに重きを置いているようだ。
ワイナリーはLompocの街中にあり、一見ただの倉庫かと思わせる佇まい。
だが2011年に完成したばかりというテイスティングルームはゆったりとした広さがあり、モダンでキレイな内装。
テイスティング料金は、例によってうろ覚えだが確か10ドル。飲んだのは以下。
DiatomはGreg氏がBrewer - Cliftonとは別に造っている、シャルドネに特化したブランド。Brewer - Cliftonのシャルドネは木の樽を使うが、Diatomは金属のタンクで造る。現行リリース品は上記の「風音 (Kazaoto)」や「美夜 (Miya)」に見られるように、日本語の名前が付けられている。2011年7月に行われたChardonnay Symposiumで飲んだ「波紋 (Hamon)」もフレッシュで嫌味が無く美味しかったが、今回飲んだ風音もキレの良い香りと清涼感のある酸味が良かった。美夜は、かすかに炭酸を感じさせ、風音よりも若干瑞々しい感じがあって、これもやはり美味しい。
Brewer - Cliftonのシャルドネは樽の香りがあって、Diatomよりコクを感じるが、トロトロのバターっぽい感じまでは達していない。特にSta. Rita HillsとGnesaはしっかりと酸があってキレが良かった。Mount Carmelは、それらよりうま味が強く、酸が柔らかな印象。
ピノはまずSta. Rita Hillsのパンチの効いた香りが印象的。Zotovichはそれに更に渋みが加わった香りが感じられ、その香りが口の中でもずっと続く感じ。Mount Carmelは、グラスから感じられる香りは静かな印象だったが、口中では華やかな香りに感じられた。
さてテイスティングが終わって、購入するワインの検討。シャルドネとピノを1つずつ買おうと考え、まずシャルドネはDiatomの風音($36)にした。当時は樽の甘い香りよりも金属タンクのシャープさの方が好きだったし、風音と美夜はいずれも良かったが風音の方が安かったので。ピノはSta. Rita Hills($36)を購入。当時はピノ経験値の不足を自覚しており(今もだが)、そんな中で高価なシングルヴィンヤードのワインを購入することには若干抵抗があったので、やはり一番安いSta. Rita Hillsにしたのだった。
ワイナリー訪問その47
Brewer - Clifton(2012年1月再訪)ピックアップパーティー
すっかり忘れていたのだが、初めてBrewer – Cliftonを訪問した際にメールアドレスを登録してきたらしく、数カ月に1度Brewer – Cliftonからメールが届くようになった。そして2011年の暮れも押し迫った頃に届いたメールによると、2012年1月15日にワイナリーでパーティーを行うとのことだった。参加費20ドルで、SteveとGregも参加のもと、新たにリリースされるワインやLibrary Wine(過去のヴィンテージのもの)が飲めるという。
そのメールによると、このイベントは”annual Winter Open House”という名前だった。とすれば、このイベントは恐らく毎年やっているのだろう。それが予約する段階では”Pick Up Party”という名前になっていた。この名前からすると、オンラインで購入した新リリースのワインを直接ワイナリーまで受け取りにいく客のためのパーティー、というのが本来の趣旨らしい。3本以上購入していればパーティーへの参加費はタダだった。とはいえ、とりあえず参加費20ドルを払って参加。
テイスティングルームではなく、倉庫を使ってのパーティー。大勢のお客さんがやってきていた。試飲できたワインは9種類。特に定められた順序は無く、複数設けられたブースを好きに回って飲んで良い状態だったのだが、以下のような順番で飲んだ。
2010 3-D Chardonnay
2010 Gnesa Chardonnay
2010 Mount Carmel Chardonnay
2010 Machado Pinot Noir
2010 3-D Pinot Noir
2010 Mount Carmel Pinot Noir
2006 Rancho Santa Rosa Pinot Noir
2006 Lindsay’s Pinot Noir
2007 Rancho Santa Rosa Chardonnay
やはり白から赤へという手筋どおり、まずはシャルドネから飲んでみた。3-Dは透明感があり瑞々しい。果実味は厚いが角張ったところがない。Gnesaはややベジーで甘苦い風味があり、あまり好みでない。Mount Carmelは比較的まろやかさのある濃いスタイルだが、依然サッパリとしている。
続いて2010年のピノを3種。Machadoは鉄のような香り。酸はそれほどでもないが苦味があってアフターはさっぱり。3-Dはやはり鉄の香りがしたが、味はMochadoよりも甘みがあり、フィニッシュは酸の印象が強い。Mount Carmelは比較的香りが穏やかだが、味は軽やかでやわらかい印象。
Library Winesのブースは、SteveとGregがワインを注いでくれた。2006 Rancho Santa Rosa Pinot Noirの香りは、Mochadoや3-Dよりは落ち着いているが、Mount Carmelよりは強く、鉄の香りと甘い香りが一体となった感じ。味は甘やか。2006 Lindsay’s Pinot Noirは2006 Rancho Santa Rosa Pinot Noirより香りが強く、甘い香りかと思いきや鉄っぽい刺激香もすぐに湧き上がってくる。ちょっとトロリとした口当たりで、どの味の成分も出しゃばりすぎず、厚くて丸みのある感じ。アフターは長く、最後にはほろ苦い甘さを感じた。2007 Rancho Santa Rosa Chardonnayはハチミツのように濃い色で、香りは樽の甘さと柑橘の爽快感。透明感のある口当たりの後、酸味と甘味がしっかりと感じられ、またグレープフルーツのように甘苦くもある。アフターは酸の余韻。
会場では軽食も配られていたが、出来上がるたびにお客さんたちがすぐに全部持って行ってしまう。ちょっと足りていない感じだった。
せっかくなのでSteveかGregに何か質問してみたかったのだが、2人ともひっきりなしに誰かしらから話しかけられていて中々隙が無い。ずいぶん粘った末にSteveに話しかけるタイミングを得て、
「Brewer – Cliftonのピノは、何年くらいで飲み頃を迎えるのかな?」
と尋ねてみた。すると、
「少なくとも数年は良くなっていくと思う。我々の造ったファースト・ヴィンテージも未だ衰えを見せていないから、いつが最適なのかはまだ何とも言えない。」
とのことだった。ほほー。
ワイナリー訪問その117
Brewer - Clifton(2012年5月再々訪)
4月の末、Brewer – Cliftonから、PINOT NOIR Cargasacchi 2010がリリースされたとのメールが届いた。ということは、今行けばそれが飲めるかもしれないと思い、5月初旬のある日にLompocへと足を伸ばした。
これで訪れるのは3回目となるBrewer – Clifton。料金は$10。飲んだのは以下。
2010 Sta. Rita Hills Chardonnay ($30)
2010 Sea Smoke Chardonnay ($46)
2009 Sweeney Canyon Chardonnay ($52)
2010 Sta. Rita Hills Pinot Noir ($36)
2010 Cargasacchi Pinot Noir ($56)
2009 Mount Carmel Pinot Noir ($56)
出たーCargasacchi!これを飲んでみたかったのだ。
とはいえ他のワインも美味しかった。
Sta. Rita Hills Chardonnayは、まろやかな樽の香りと、青リンゴのようにスッキリした香りが感じられ、程よい酸味が心地良く、嫌味が無く、アフターに残る酸味はまさに酸っぱい青リンゴという感じ。要するにうまい。Sea Smoke Chardonnayは、ややおとなしい香り、透明感のある瑞々しさ、ほのかな苦味…個人的にはSta. Rita Hillsの方が好みだけど、これはこれで。Sweeney Canyon Chardonnayはロースト香があってあまり好みでない。
Sta. Rita Hills Pinot Noirは甘く開いた香り、わずかに鉄のような金属的な香りも。ほのかな甘み。かすかに柔らかなエグみもあるが、これも魅力といえようか。透明感があってキレイ。お目当てのCargasacchiは、甘く熟れた香りがフルーティで軽やか。口にするとクールな甘さがエントリーからアフターまで続く。柔らかく瑞々しい口当たり。わずかに苦味があって、それが熟成の余地を感じさせる。Mount Carmelは酸の効いた美しい香り。甘、酸、苦、渋のバランスがとれた感じから、だんだん苦味が卓越してきて、果実味の余韻を残しつつ消えていく感じ。これも熟成しそうだ。
ちなみに赤は全部その日に開けたものだそう。デキャンタすれば、今でもCargasacchiやMount Carmelは開いてより飲みやすくなるのかも。
この日は念願のCargasacchiを購入。しばらく寝かせて、開いたときの味を確かめてみたい。
最終更新:2021年03月20日 11:03