なぎしゅねお泊り編
作者:自重したあびす
「えへへー、シュネーちゃんの家に来るのって初めてだねー」
自宅の鍵を開けているシュネーの後ろで、コンビニの袋を提げた渚が笑顔を浮かべる。
「散らかってますですけど……」
シュネーは鍵を開けて扉も開ける。玄関にはサンダル、スニーカー、無骨な編み上げブーツ、革靴といった雑多な靴が並んでいた。
「あ、先に上がってくださいです。私、脱ぐのに時間かかりますですから……」
シュネーの足元は、毛糸のオーバーニーと、レザーのブーツで飾られていた。
「ふぇ? 靴脱ぐの?」
「はいです、履きっぱなしはダメだって管理人さんから言われてるですよ」
ここは大手重工業系企業である「弥生重工」の女子寮である。日系の企業であるゆえか、寮の中は畳敷きであり、靴で入ることは禁じられていた。
「じゃー、お邪魔しまーす」
渚が今まで履いていたロングブーツを脱いでから揃え、シュネーの部屋の中に入る。玄関から見る限りでは、普通のワンルームマンションといった趣だ。扉で隔てられた部屋の前にはシンクとコンロが見える。
「あ、廊下は寒いですから、部屋の中に入ってていいですよー」
「はーいっ」
玄関にしゃがみ込んでブーツを脱いでいるシュネーを背に、渚は部屋の中に入る。部屋の中には大きなテレビ―32インチほどだろうか―とゲーム機が複数。部屋の中央には小ぶりなちゃぶ台とクッション。ベッドとそこそこの大きさの本棚に化粧台、そしてクローゼット。なかなかに整理されている部屋だ。
「んしょっと」
コートを脱いで適当に畳み、コンビニ袋と一緒に傍に置いて、ベッドの前に座る。カーペットに茶色いシミを見つけたが、別に気にしないでおこう。
「狭くてごめんなさいです。あ、コートかけときますですよ」
「あ、お願いー」
シュネーも部屋に入り、扉を閉める。コートを脱いでハンガーにかけて、帽子もいっしょにかけておく。渚の着ていたコートも拾って、一緒に壁にかけた。
「ううん、大丈夫だよ? 二人ならじゅーぶんです! ……あ、そういえば二人っきりだねぇー」
渚の発言で一瞬動きを止めるシュネーであったが、すぐにカーペットと電気ヒーターの電源を入れて、渚のそばに座る。
「今日は楽しかったねー! あんなにはしゃいでるシュネーちゃん、初めて見たかも」
「そ、そうですか?」
コンビニ袋の中からお菓子をいくつか取り出して、ちゃぶ台に置く。
「うん、すっごい可愛かった! もー、何回もぎゅーってしたくなっちゃったけど、流石に自重しましたっ!」
渚がいつもの無邪気な笑みを浮かべた。本当に可愛い笑顔だと、シュネーは何度も思う。
「……うん、えらいえらい、ですー」
シュネーは渚に少しだけにじり寄ってから手を伸ばし、そっと渚の頭を撫でる。子供とさして身長の変わらないシュネーと、150センチ代後半の渚では、そこそこの身長差がある。シュネーも地味に精一杯手を伸ばしていた。
「ホントですか!? じゃー、ご褒美に、今ここでぎゅーってしていいですか!?」
「……いいですよ。えと、ちょっと恥ずかしいですけど……」
「えへへ、ありがとうございまーすっ」
渚はにんまりと笑い、シュネーをそっと抱きすくめる。シュネーは自分の心臓の鼓動が早まっていることを感じていた。
落ち着くのだ。これぐらいならいつも皆の前でやっていることだ。……「皆の前で」なら。
今、この空間にいるのは自分と渚の二人のみ。他には誰もいない。
心臓の音が自分でもわかるほどに大きくなっている。おそらく、渚にも悟られているのだろう。
真っ赤になりつつ、おずおずと上目遣いで渚の表情を伺ってみると、彼女は少しだけ頬を染めて、笑顔で首を傾げてきた。さらに胸が高鳴るのを自覚する。
自宅の鍵を開けているシュネーの後ろで、コンビニの袋を提げた渚が笑顔を浮かべる。
「散らかってますですけど……」
シュネーは鍵を開けて扉も開ける。玄関にはサンダル、スニーカー、無骨な編み上げブーツ、革靴といった雑多な靴が並んでいた。
「あ、先に上がってくださいです。私、脱ぐのに時間かかりますですから……」
シュネーの足元は、毛糸のオーバーニーと、レザーのブーツで飾られていた。
「ふぇ? 靴脱ぐの?」
「はいです、履きっぱなしはダメだって管理人さんから言われてるですよ」
ここは大手重工業系企業である「弥生重工」の女子寮である。日系の企業であるゆえか、寮の中は畳敷きであり、靴で入ることは禁じられていた。
「じゃー、お邪魔しまーす」
渚が今まで履いていたロングブーツを脱いでから揃え、シュネーの部屋の中に入る。玄関から見る限りでは、普通のワンルームマンションといった趣だ。扉で隔てられた部屋の前にはシンクとコンロが見える。
「あ、廊下は寒いですから、部屋の中に入ってていいですよー」
「はーいっ」
玄関にしゃがみ込んでブーツを脱いでいるシュネーを背に、渚は部屋の中に入る。部屋の中には大きなテレビ―32インチほどだろうか―とゲーム機が複数。部屋の中央には小ぶりなちゃぶ台とクッション。ベッドとそこそこの大きさの本棚に化粧台、そしてクローゼット。なかなかに整理されている部屋だ。
「んしょっと」
コートを脱いで適当に畳み、コンビニ袋と一緒に傍に置いて、ベッドの前に座る。カーペットに茶色いシミを見つけたが、別に気にしないでおこう。
「狭くてごめんなさいです。あ、コートかけときますですよ」
「あ、お願いー」
シュネーも部屋に入り、扉を閉める。コートを脱いでハンガーにかけて、帽子もいっしょにかけておく。渚の着ていたコートも拾って、一緒に壁にかけた。
「ううん、大丈夫だよ? 二人ならじゅーぶんです! ……あ、そういえば二人っきりだねぇー」
渚の発言で一瞬動きを止めるシュネーであったが、すぐにカーペットと電気ヒーターの電源を入れて、渚のそばに座る。
「今日は楽しかったねー! あんなにはしゃいでるシュネーちゃん、初めて見たかも」
「そ、そうですか?」
コンビニ袋の中からお菓子をいくつか取り出して、ちゃぶ台に置く。
「うん、すっごい可愛かった! もー、何回もぎゅーってしたくなっちゃったけど、流石に自重しましたっ!」
渚がいつもの無邪気な笑みを浮かべた。本当に可愛い笑顔だと、シュネーは何度も思う。
「……うん、えらいえらい、ですー」
シュネーは渚に少しだけにじり寄ってから手を伸ばし、そっと渚の頭を撫でる。子供とさして身長の変わらないシュネーと、150センチ代後半の渚では、そこそこの身長差がある。シュネーも地味に精一杯手を伸ばしていた。
「ホントですか!? じゃー、ご褒美に、今ここでぎゅーってしていいですか!?」
「……いいですよ。えと、ちょっと恥ずかしいですけど……」
「えへへ、ありがとうございまーすっ」
渚はにんまりと笑い、シュネーをそっと抱きすくめる。シュネーは自分の心臓の鼓動が早まっていることを感じていた。
落ち着くのだ。これぐらいならいつも皆の前でやっていることだ。……「皆の前で」なら。
今、この空間にいるのは自分と渚の二人のみ。他には誰もいない。
心臓の音が自分でもわかるほどに大きくなっている。おそらく、渚にも悟られているのだろう。
真っ赤になりつつ、おずおずと上目遣いで渚の表情を伺ってみると、彼女は少しだけ頬を染めて、笑顔で首を傾げてきた。さらに胸が高鳴るのを自覚する。
今なら、誰も見ていない。
「あ、あのっ!! お、お、お風呂沸かしてきますねっ!!」
シュネーは慌てて渚から離れる。なんてことを思い浮かべてしまったんだろう。思わず自己嫌悪してしまうシュネーであった。
風呂場の前で部屋着に着替え、浴槽に湯を張る。風呂場はそこまで広くはない。まぁ、一人暮らしを前提とした設計であるため仕方ないといえるが。
部屋に戻る。退屈そうに傍に転がっていた雑誌を読んでいた渚が顔を上げた。
「お風呂、先に入りますですか?」
「ううん」
渚が頭を横に振る。
「私はー、シュネーちゃんと一緒がいいでーす!」
「ふえぇ!?」
シュネーは顔を真っ赤にさせ、しばらくの間固まっていた。
「……シュネーちゃーん?」
さすがに不審に思ったのか、シュネーの前で手をぱたぱたと振る渚。シュネーはその動作でようやく我に返る。
「お湯、あふれちゃうんじゃない? だいじょーぶ?」
「……あ、忘れてましたですっ!!」
慌てて風呂場に駆け込むシュネーであった。
シュネーは慌てて渚から離れる。なんてことを思い浮かべてしまったんだろう。思わず自己嫌悪してしまうシュネーであった。
風呂場の前で部屋着に着替え、浴槽に湯を張る。風呂場はそこまで広くはない。まぁ、一人暮らしを前提とした設計であるため仕方ないといえるが。
部屋に戻る。退屈そうに傍に転がっていた雑誌を読んでいた渚が顔を上げた。
「お風呂、先に入りますですか?」
「ううん」
渚が頭を横に振る。
「私はー、シュネーちゃんと一緒がいいでーす!」
「ふえぇ!?」
シュネーは顔を真っ赤にさせ、しばらくの間固まっていた。
「……シュネーちゃーん?」
さすがに不審に思ったのか、シュネーの前で手をぱたぱたと振る渚。シュネーはその動作でようやく我に返る。
「お湯、あふれちゃうんじゃない? だいじょーぶ?」
「……あ、忘れてましたですっ!!」
慌てて風呂場に駆け込むシュネーであった。
「シュネーちゃん、先に入ってていいよー」
渚が風呂場の椅子に腰掛け、頭からシャワーを浴びる。ほっそりした体に小振りな胸。シュネーは思わず目を奪われた。
「あ、このシャンプー、いい匂いだねー」
「はいです、お気に入りなんですよ」
熱めの湯に肩までつかったシュネーは、改めて渚の体と自分の体とを見比べてみる。子供の頃から何一つ変わらない、幼児体型と言い切れる寸胴な体型。
極力渚のほうを見ないようにしても、チラチラと見てしまう。いけないいけない、とばかりに口元まで湯につかる。
「シュネーちゃん、終わったよー」
「あ、はいです」
少し物思いに耽っていたシュネーは、渚の声で浴槽から立ち上がり、入れ替わる。頭上にまとめていた髪をほどいて、シャワーで髪を濡らしていると、渚の声が耳に入った。
「おおぅー……」
「な、なんですか?」
「シュネーちゃん、髪の毛ホントに凄いよねぇ……。長くてキレー……」
「そうですか? ……うーん、自覚ないですけど……」
シュネーの髪は銀色で、腰ほどまでの長さがある。子供の頃から手入れしつつ、今ではこの長さに落ち着いていた。あぁ言ったものの、実は自慢の髪なのである。
「ねぇねぇ、洗わせてもらっていい?」
「ふぇ? いいですけど……っていうか、こっちからお願いしたいぐらいです」
「えへー、じゃあシツレイしてー」
渚が浴槽から出て、椅子に腰掛けているシュネーの後ろに膝立ちでつける。渚の素肌がシュネーの背中に触れていた。
「これだけ長いと色々試せて面白いでしょー?」
渚の指が髪の毛を伝っている感触があった。心臓がバクバク言っているのが自分でもわかる。
「は、はいです。でも、あ、あまりいじりかた知らないですので……」
「そーなんだー。じゃ、お風呂出たら色々やってみよっか?」
渚の口調は楽しそうであった。そういえば、ミュークトでも化粧なんかをよくやっている。滅茶苦茶な美人である友人のブリッツも、渚に化粧を教えてもらって上手になったそうだ。
「……ひゃわっ?」
背中に感触。シュネーは思わずビクッとしてしまった。
「シュネーちゃん、お肌きれいだねー。すべすべで気持ちいー♪」
「や、ちょ、くすぐったいですよぉ……っ!」
「もうちょっと、もうちょっとだけー」
笑い声混じりの声をあげるシュネーの耳元で、渚が悪戯っぽく笑った。
「おりゃっ!」
渚の指がシュネーの脇に移動し、くすぐりだす。
「あはははっ!? ちょ、ちょっと、渚さん……あははっ!?」
「えへへー、なんとゆーか、もう辛抱たまりません!」
渚の指は脇からさらに前へ。その先にあるのは――。
「……くしゅんっ!」
ところが少々湯冷めしたのか、思わずくしゃみをしてしまうシュネー。それを見た渚は、笑って手を引っ込めた。
「あ、ごめんね。ちょっと調子に乗りすぎちゃいました」
「い、いえ、別にいいですけど……」
「風邪引いちゃうね。お風呂入ろっか。ごめんね、邪魔しちゃって」
「う、ううん、大丈夫です」
渚が先に湯船につかり、シュネーに向かって手招きする。一人でちょうどいい大きさの湯船だ。これに二人入るとなると―たとえ女性二人でも―ぎゅうぎゅうになることは目に見えていた。にも関わらず、渚は自分の前を指差している。
「し、失礼しますです……」
シュネーは渚の前に、渚に背中を向ける感じで湯船につかる。湯船の湯が外に溢れ出て、洗面器を浮かせる。
「最初からこうすればよかったねー?」
渚はそのままシュネーを抱き締める形で手を前に回した。
渚が風呂場の椅子に腰掛け、頭からシャワーを浴びる。ほっそりした体に小振りな胸。シュネーは思わず目を奪われた。
「あ、このシャンプー、いい匂いだねー」
「はいです、お気に入りなんですよ」
熱めの湯に肩までつかったシュネーは、改めて渚の体と自分の体とを見比べてみる。子供の頃から何一つ変わらない、幼児体型と言い切れる寸胴な体型。
極力渚のほうを見ないようにしても、チラチラと見てしまう。いけないいけない、とばかりに口元まで湯につかる。
「シュネーちゃん、終わったよー」
「あ、はいです」
少し物思いに耽っていたシュネーは、渚の声で浴槽から立ち上がり、入れ替わる。頭上にまとめていた髪をほどいて、シャワーで髪を濡らしていると、渚の声が耳に入った。
「おおぅー……」
「な、なんですか?」
「シュネーちゃん、髪の毛ホントに凄いよねぇ……。長くてキレー……」
「そうですか? ……うーん、自覚ないですけど……」
シュネーの髪は銀色で、腰ほどまでの長さがある。子供の頃から手入れしつつ、今ではこの長さに落ち着いていた。あぁ言ったものの、実は自慢の髪なのである。
「ねぇねぇ、洗わせてもらっていい?」
「ふぇ? いいですけど……っていうか、こっちからお願いしたいぐらいです」
「えへー、じゃあシツレイしてー」
渚が浴槽から出て、椅子に腰掛けているシュネーの後ろに膝立ちでつける。渚の素肌がシュネーの背中に触れていた。
「これだけ長いと色々試せて面白いでしょー?」
渚の指が髪の毛を伝っている感触があった。心臓がバクバク言っているのが自分でもわかる。
「は、はいです。でも、あ、あまりいじりかた知らないですので……」
「そーなんだー。じゃ、お風呂出たら色々やってみよっか?」
渚の口調は楽しそうであった。そういえば、ミュークトでも化粧なんかをよくやっている。滅茶苦茶な美人である友人のブリッツも、渚に化粧を教えてもらって上手になったそうだ。
「……ひゃわっ?」
背中に感触。シュネーは思わずビクッとしてしまった。
「シュネーちゃん、お肌きれいだねー。すべすべで気持ちいー♪」
「や、ちょ、くすぐったいですよぉ……っ!」
「もうちょっと、もうちょっとだけー」
笑い声混じりの声をあげるシュネーの耳元で、渚が悪戯っぽく笑った。
「おりゃっ!」
渚の指がシュネーの脇に移動し、くすぐりだす。
「あはははっ!? ちょ、ちょっと、渚さん……あははっ!?」
「えへへー、なんとゆーか、もう辛抱たまりません!」
渚の指は脇からさらに前へ。その先にあるのは――。
「……くしゅんっ!」
ところが少々湯冷めしたのか、思わずくしゃみをしてしまうシュネー。それを見た渚は、笑って手を引っ込めた。
「あ、ごめんね。ちょっと調子に乗りすぎちゃいました」
「い、いえ、別にいいですけど……」
「風邪引いちゃうね。お風呂入ろっか。ごめんね、邪魔しちゃって」
「う、ううん、大丈夫です」
渚が先に湯船につかり、シュネーに向かって手招きする。一人でちょうどいい大きさの湯船だ。これに二人入るとなると―たとえ女性二人でも―ぎゅうぎゅうになることは目に見えていた。にも関わらず、渚は自分の前を指差している。
「し、失礼しますです……」
シュネーは渚の前に、渚に背中を向ける感じで湯船につかる。湯船の湯が外に溢れ出て、洗面器を浮かせる。
「最初からこうすればよかったねー?」
渚はそのままシュネーを抱き締める形で手を前に回した。
風呂から出た頃には、シュネーは湯あたりと興奮とで、すっかりのぼせあがっていた。部屋着に着替えて、暖房をつけて、ベッドに腰掛ける。
「もー、ホントにシュネーちゃんってば可愛いんだからー」
渚が上機嫌でシュネーの横に座る。コンビニで買って来た下着の上に、シュネーの寝巻きである大きめのワイシャツだけを着ていた。
渚から漂う風呂上りのいい匂いと、少しはだけたワイシャツから除く上気した肌。可愛いと思った。
じーっと渚を赤面した顔で見つめているシュネーを不安に思ったのか、渚が顔をシュネーの顔に近づける。
「わっ!?」
「シュネーちゃん、のぼせちゃった?」
「い、いや、違いますですっ! あ、あはは、なんといいますかですね、あははっ」
湯上りの渚にドキドキしていたとは言えない。必死でその場を取り繕おうとするシュネーであった。
「あ、そ、そうです! お茶と牛乳ありますですけど、え、え~っと、どっちがいいですか?」
「ん、じゃーお茶でっ!」
「わかりましたですっ」
シュネーはその場から逃げるかのように廊下に置いている冷蔵庫へと向かい、二つのコップにお茶と牛乳を注ぐ。
「はい、どうぞです」
「ありがとー♪」
渚にコップを渡して、そのまま牛乳を飲み干す。市場に出回っている合成品ではなく、本物の牛乳。これはシュネーのささやかなこだわりだ。
「ぷはーっ……」
「シュネーちゃん、お風呂上りに牛乳でぷはーとは、王道だねー」
「え、これですか? えっと、昔からの習慣なんですよ。大きくなれますようにって」
先述したように、シュネーの体型は起伏のない幼児体型である。大きくなれますように、というのには二つの意味が込められているのだ。
「でもまぁ、この年まで大きくなれなかったんですから、ずっとこのままだと思いますですけど」
シュネーがたはは、と苦笑する。
「んーん、シュネーちゃんはそのままでも十分可愛いですっ!」
「ふぇ?」
「っていうか、シュネーちゃんが大きくなっちゃったら、私の仲間が一人減っちゃうもん!」
渚が胸元をちらりと見て、ぐ、と握りこぶしを作る。
「大丈夫です! 私はきっと、このままです!」
「シュネーちゃん!」
「渚さん!」
そのまま握手を交わす二人であった。
「もー、ホントにシュネーちゃんってば可愛いんだからー」
渚が上機嫌でシュネーの横に座る。コンビニで買って来た下着の上に、シュネーの寝巻きである大きめのワイシャツだけを着ていた。
渚から漂う風呂上りのいい匂いと、少しはだけたワイシャツから除く上気した肌。可愛いと思った。
じーっと渚を赤面した顔で見つめているシュネーを不安に思ったのか、渚が顔をシュネーの顔に近づける。
「わっ!?」
「シュネーちゃん、のぼせちゃった?」
「い、いや、違いますですっ! あ、あはは、なんといいますかですね、あははっ」
湯上りの渚にドキドキしていたとは言えない。必死でその場を取り繕おうとするシュネーであった。
「あ、そ、そうです! お茶と牛乳ありますですけど、え、え~っと、どっちがいいですか?」
「ん、じゃーお茶でっ!」
「わかりましたですっ」
シュネーはその場から逃げるかのように廊下に置いている冷蔵庫へと向かい、二つのコップにお茶と牛乳を注ぐ。
「はい、どうぞです」
「ありがとー♪」
渚にコップを渡して、そのまま牛乳を飲み干す。市場に出回っている合成品ではなく、本物の牛乳。これはシュネーのささやかなこだわりだ。
「ぷはーっ……」
「シュネーちゃん、お風呂上りに牛乳でぷはーとは、王道だねー」
「え、これですか? えっと、昔からの習慣なんですよ。大きくなれますようにって」
先述したように、シュネーの体型は起伏のない幼児体型である。大きくなれますように、というのには二つの意味が込められているのだ。
「でもまぁ、この年まで大きくなれなかったんですから、ずっとこのままだと思いますですけど」
シュネーがたはは、と苦笑する。
「んーん、シュネーちゃんはそのままでも十分可愛いですっ!」
「ふぇ?」
「っていうか、シュネーちゃんが大きくなっちゃったら、私の仲間が一人減っちゃうもん!」
渚が胸元をちらりと見て、ぐ、と握りこぶしを作る。
「大丈夫です! 私はきっと、このままです!」
「シュネーちゃん!」
「渚さん!」
そのまま握手を交わす二人であった。
夜。
シュネーと一緒にベッドに横になっていた渚は、うっすらと目を開ける。照明が落とされていて、真っ暗な空間。家電製品の待機ランプのみが光っていた。
渚は夜目が利く。隣で眠っているシュネーの顔も良く見えた。すやすやと気持ちよさげに眠っている。
渚はあまり眠らない。嫌な夢を見ることが多いから。幸い、寝なくても大丈夫な体ではある。
そっと、眠っているシュネーの頬をつつく。ぷに、という柔らかくて好ましい感触が指先に伝わった。
しばらくの間、シュネーの体の布団から出ている部分を触っていると、シュネーが目を開けた。
「渚さん……?」
「あ、起こしちゃった? ごめんね」
渚がシュネーの頭をゆっくりと撫でた。
「さっきまであんなに触ってたのに、まだ触り足りないですかー?」
「あはは、なんていうか、やめられないとまらないっていうか!」
「私の体はかっぱえびせんですかー?」
シュネーが上体を起こして、少しだけ笑った。
「でもですね……」
そのままぎゅ、と渚にしがみつく。
「渚さんから触られるのは好きですから」
「えへへ、私も好き」
シュネーと一緒にベッドに横になっていた渚は、うっすらと目を開ける。照明が落とされていて、真っ暗な空間。家電製品の待機ランプのみが光っていた。
渚は夜目が利く。隣で眠っているシュネーの顔も良く見えた。すやすやと気持ちよさげに眠っている。
渚はあまり眠らない。嫌な夢を見ることが多いから。幸い、寝なくても大丈夫な体ではある。
そっと、眠っているシュネーの頬をつつく。ぷに、という柔らかくて好ましい感触が指先に伝わった。
しばらくの間、シュネーの体の布団から出ている部分を触っていると、シュネーが目を開けた。
「渚さん……?」
「あ、起こしちゃった? ごめんね」
渚がシュネーの頭をゆっくりと撫でた。
「さっきまであんなに触ってたのに、まだ触り足りないですかー?」
「あはは、なんていうか、やめられないとまらないっていうか!」
「私の体はかっぱえびせんですかー?」
シュネーが上体を起こして、少しだけ笑った。
「でもですね……」
そのままぎゅ、と渚にしがみつく。
「渚さんから触られるのは好きですから」
「えへへ、私も好き」
夜は更けていく。