楓海

解説!:アンリミテッド:サガ

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□アンリミテッド:サガとは

ジャンル:RPG

古くから親しまれるサガシリーズの中でも異端の存在、アンリミテッド:サガ。発売して1週間すると980円で売りに出されるという実績からして、一部で【クソゲー】の烙印を押されてしまっています。サガ特有の物語性の薄さに加え、簡略化されたマップ・戦闘画面、理解しがたい戦闘方式と、一般ユーザーだけでなくサガユーザーまでもを落胆させてしまいました。プレイして15分ごろから何かもやもやとしたものが脳内に浮かび、30分ほどでそれは【?】と【ストレス】へと具象化し、その後1時間から3時間で電源ボタンへと手を掛けさせるという催眠電波を発するようになるのです。
これは由々しき問題です。元々サガシリーズはその独特のシステムにより【好きな人はハマるがそうでない人はさっぱり】という性質を帯びていましたが、今作ではサガユーザーでさえ溜息を吐く始末。

その原因の1つとしてまず、簡略化が挙げられます。
アンリミテッド:サガを評して曰く、「TRPGみたい」という声を聞きます。
【TRPG(テーブル・トーク・ロール・プレイング・ゲーム)。
簡単に言ってしまえば、ゲーム機やPCなどの媒体を介さずに自分たちでRPGをするというもの。GM(ゲームマスター)が冒険の案内人となり、プレイヤーはキャラクターを演じ(ロール)ルールに沿ってゲームを遊ぶ。
「用意する物は紙(キャラクターシート)と鉛筆、そしてサイコロ!」と誰かが言っていたような、とにかくそれだけがあれば(あとルールブック)遊べちゃう。行動の成功・失敗はダイスを振って、
PC「罠感知ー・・・6の、うわ出目3っ。9です」。GM「罠はないように思えます」。PC「じゃあ開けた。がちゃ」。GM「するとガスが吹き出ました! はい抵抗~」。PC「・・・。(無言でコロコロ)」。
という感じ】
アンリミテッド:サガもマップではキャラクターを方向キーで歩かせるではなく、盤上でどちらに進むのかを選ぶように、マップ上に存在する罠・戦闘画面での技はダイスではありませんが回転するリールを止めて成功・失敗をと、簡略化されたが上のシステムになっています。
ここでつまずくユーザーはかなり多いと見えます。特に戦闘では「何故技を出すのにリール回さなくてはならないのか!」と不満バクハツ。マップでもコマンドが少なく、これを調べたいのに調べ方がいまいち分からないという事態がヒンパツ。そりゃ電源OFFです。
が、やり込んだ管理人から言わせてもらうと。リールは対応するスキルパネル【後述】のレベルが上がれば目押しできるようになります。逆に言えば序盤はリールに失敗して当たり前。
マップでの作業は、無闇にボタンを押さず、慎重に各画面で各ボタンを押していくとかなりの発見があるハズ。そう早く気付いていれば・・・。
おかしなシステムだから、と投げ出さず。ありきたりなゲームから抜け出してある意味斬新なゲームを楽しんでみませんか?

□戦闘システム

このゲームをしていて首を捻るポイントその2。戦闘。
「何故白のダメージの後、赤のダメージが出るのか。で。いつ勝てるんだ」
サガ初体験ならこう思います。そしてサガ経験者は、
「何故赤のダメージ【LPダメージ】がぽんぽん出る!? そして敵・見方共何故死なん!」
または、
「LPダメージ。・・ああサガフロンティア2であった1部の攻撃はLPに直接ダメージを与える事があるっていうアレか。にしても減るなあLP。しかも死なないし」
という感じの疑問がそれぞれ浮かぶのではないでしょうか。共通しているのは【敵が死なない】という事。これも独特の戦闘システムが原因です。アンリミテッド:サガの戦闘システムを列挙します。

  • HPダメージではモンスター・キャラクター共に倒れない。HPがゼロでも活動する。HP残量による戦闘能力にペナルティーはない。
  • LPがゼロになって初めてモンスター・キャラクター共に倒れる。
  • LPにダメージを与える可能性はほぼ全ての技にある。ただし全ての技にはLP攻撃力というものが設定されていて、その値によってLPにダメージを与えやすいかどうかが基本的に決まる。もちろん、レベルの高い技・閃きにくい技の方がこの値が高い傾向にある。
  • 1回の行動で与えられるLPダメージの最大は3。
  • HPダメージが意味がないかというとそうではない。防御側のHPが減っているほどLPダメージの発生する確率が上がる。さらに与えたHPダメージが多いほどLPダメージの発生する確率が上がる。
  • 戦闘画面。各ターンに与えられた行動回数は5。これを割り振る。1人のキャラクターに5回行動させてもよし、5人のキャラクターで1回ずつ行動してもよし。ただし、4回しか行動しないという事はできない。
  • 画面内にLPがゼロになったり石化・気絶などしているキャラクターがいる場合、そのキャラクターが行動したとみなされその分行動回数が減る。そういったキャラクターは他のキャラクターが【レスキュー】コマンドで行動を費やす事で画面外に一時待避させる事が可能。ただし失敗する事がある。【対象キャラクターの総重量が影響】
  • 行動しなかったキャラクターは画面外へ。攻撃は受けず、HPがHP回復能力【+回復力+-○○のアビリティ】の影響を受け回復する。
  • 敵モンスターも独自の行動回数と、独自のシステムに則り複数回行動する。
  • 行動を割り振るとコマンドを入力した順に画面内に並ぶ。後に入力した方が敵に狙われにくい。
  • 行動順番になるとリールが回転し始める。この時十字キーの左右で行動するキャラクターを変更する事が可能。コマンド入力順に必ずしも行動する必要はない。
  • 武器または体術で攻撃した場合、対応した技【後述】を持っている場合それらの技がリール上に点在している。止めた目のレベルの技を繰り出して攻撃する。
  • 術を使用した場合、五行リールが回転する。使用した術と同じ属性で止めた場合ボーナスがある。が、技リールより重要ではない。極論としてまったく意に介さず止めても問題はない。
  • リールを止めるには【GO!!!】と【HOLD】があり、GO!!!だと止めたリールそのままで行動する。HOLDだとそのリールを一旦保持し、次の行動と繋ぐ。要するに連携を狙う。
  • HOLDで連携を狙うと相手との連携になる場合がある。これは相手もHOLDしたから。相手との連携になると自分の技は強制的にレベル1のものになるので不利。GO!!!でも相手との連携になる場合があるが、この場合は止めたレベルで連携される。
  • 連携するとHPダメージとLPダメージ発生確率にボーナスが得られる。HPダメージが増えるのでその面からもLPダメージの発生する確率は上がり、LPダメージを与えやすい。
  • 各武器にはそれぞれアビリティがあり、【剣の場合、多段斬り・追突剣・払い抜け・十字切り・など】それぞれのアビリティからそれぞれ上位【または下位】の技を閃く事がある。レベル1~レベル5まで。各アビリティから派生する技は1つのレベルに付き1つ【または0】。つまり多段斬りを使い続けていても全ての剣技を覚える事はできない。最高5つ。違うアビリティで重複している技もある。
  • 閃きとは、技を使用した時一定確立で新たな技を習得するというもの。対応する武器のスキルパネルレベルが高い、対象としたモンスターの閃きレベルが高いと閃く確立も上がる。
  • WP・JP・MPといったものはない。代わりに武器で攻撃、術を使用するとコストとしてHPと武器の耐久力が減る。
  • 武器の場合コストはアビリティに依存。多段斬りの場合HPコスト15、武器コスト1。これはレベル1技を使用してもレベル5技を使用しても一貫する。つまり強力な技を閃いて普段から使用する方がお得。
  • 弓のアビリティ【でたらめ矢】など一部、武器コストが2であるものが存在する。
  • 術の場合は術ごとに設定。ほとんどの場合強力なものほどコストが多い。しかしアイテムの耐久度コストは全て1である。

正確を期せば微妙に違う点もありますが、基本的にはこんなところです。基本的な事だけでこんなにか、とも思われるでしょうが・・・。
慣れるまでややこしい事この上ないシステムですが、慣れるとあらびっくり。戦闘がかなりスムーズかつスピーディに展開されていきます。

□成長システム

やはり首を捻る、成長システム。
そもそもサガには経験値という概念が存在せず、技能レベルや能力値は対応する行動を戦闘中に何回したのか+各キャラクターの資質と喚ばれる物の影響を受け、戦闘後にあくまで確率として上昇する事があります。これだけ戦えばレベルアップする、という事ではないのです。しかし確率とは言っても各データを比較するに最終的な誤差は小さなものである事が多いので、信用ならないシステムというわけではありません。
今作ではこれを基盤としてさらなるシステム、スキルパネルシステムが成長システムとなっています。
第一の変更点として、戦闘終了後すぐには成長しません。シナリオクリア時に成長します。
その際HPはスキルパネルシステムとは無関係に、バトルでコマンドを入力した回数を元に成長します。
さて成長パネル画面です。前のシナリオをクリアしてからこのシナリオをクリアするまでに、街・マップ・バトル画面で行動した全ての行動を元に4つのスキルパネルが新たに手に入ります。長剣で戦ったなら長剣の成長パネルが、術を使用したのならファミリア、鍵を開けたのなら鍵開けや罠外しといった具合です。しかしあくまで確率ですので、まったく関係のないスキルパネルが手に入る場合もあります。
4つの内1つだけを選んで7マスからなるスキルパネルに配置する事ができます。この時配置した場所によって対応した能力値が上昇する事があります。スキルパネルをじーっくり見てください。周囲に【力】【心】【火】【木】などとありますね。これが能力値・五行値です。能力値はおなじみのもの、五行値は術を使用する時に影響します。能力値の【魔】も術に影響しますが、対応する五行値の方がより強く影響するので術士には重要な要素です。逆に術を使わないのであれば意味はありません。
スキルパネルによる成長システムを簡単に言ってしまうと、【力】と書いてある側にパネルを置くと【力】が上がる。【火】と書いてある側にパネルを置くと【火】が上がる。という事です。中央のパネルは全ての能力値・五行値に少しずつ影響します。能力値と五行値が分けられて捉えられている事からも分かるように、各スキルパネルには向き・不向きがあります。例えば体術系統のスキルパネルは能力値向き。ファミリアのスキルパネルは五行値向き。つまり【力】の側にファミリアのスキルパネルを配置しても、【力】の伸びは今ひとつなのです。逆に【力】の側にある五行値はよく伸びます。ちなみに、ファミリアには各五行属性の名が冠せられていますが、火のファミリアを【火】の側に置いたからといって伸びがよいというわけではありません。【水】の側に置いても上昇量は同じです。
またスキルパネルにはレベル1~5が存在し、レベルの高いものほど上昇量が多くなっています。これはシナリオクリアにかかったターン数や敵のランクの値が多ければ多いほど、レベルの高いものが成長パネル画面に登場しやすくなっています。
成長パネル画面でスキルパネルを配置する事によってキャラクターは成長します。注意として、能力値・五行値共に上がったら上がりっぱなしではないという事があります。スキルパネルによって能力値が上昇しているだけで仮に能力値に対応するスキルパネルを全て外すと【実際は置き換える事しかできないが】、能力値は0になります。また、スキルパネルが一杯になると新たなスキルパネルと交換する事になります。都合の悪いスキルパネルしか出現しなくとも配置しないという事はできません。さらに1度配置したスキルパネルの位置は、新たなスキルパネルと置き換えるという方法以外で変える事はできません。よくよく考えて配置しましょう。
他の要素としてパネルボーナスというものがあります。同じ種類【マーク】のパネルを2つ隣り合わせて配置するとジョイントボーナス【ただし中央と隣り合わせても発生しない】、3つをそれぞれ外周に配置して三角的を形作るトライアングルボーナス、中央を含めた3つで1本の線を描くラインボーナスがあり、後ろのものほどボーナスが大きくなっています。パネルボーナスを形成したパネルの種類によって能力値・五行値にボーナスが加えられます。ファミリアで組んだ場合【魔】【心】にボーナス。さらにそれらが同じレベルであった場合同レベルボーナスも加算され、能力値を大きく伸ばす事が可能となります。

スキルパネルには能力値・五行値を伸ばすだけでなく、各技能に関係します。長剣のパネルを持っていると戦闘中強力な長剣技を出しやすくなり【つまりリールが簡単になる】、長剣の技を閃きやすくなります。レベルが高ければ高いほどこの傾向が高まります。
鍵開けのパネルを持っていると冒険中、スキルコマンドから宝箱や扉の鍵を開ける事にチャレンジできるようになります。その際レベルが高いほどリールの難易度が下がります。
つまりスキルパネルは冒険中にできる行動に直結するものです。これらの事はスキルパネルの配置場所には一切影響されません。持っているかいないかです。鍵開けや障害物越えなどのスキルパネルはないと不便なので、パーティ内でうまく分散させましょう。もちろん、能力値が低くならないよう上手くです。

成長システムもやはり、慣れない内は意味不明ですが理解してみると実は単純明快そのもの。その上奥の深いシステムに仕上がっていて感嘆する事しきりですよ。

□その他

その他の補足事項として、

  • マップ画面でのリールは目押ししたとしても50%の確率で”スベる”。止めたマスから何マス分かずれます。つまり100%目押しは不可能です。しかしスベった結果成功したというのもよくある話。また戦闘時のリールでこの現象は起こらない。
  • 従来のサガシリーズと異なり戦闘後HPは回復しない。しかしサガシリーズの伝統としてHP回復手段は少ない。今作では傷薬的な物は存在しないし。大体の場合HPはマップ上で【待機】する事で回復させる。待機とはその場で1ターン消費して、HP回復能力に影響を受け【戦闘中とは違い回復力+-○○アビリティには影響されない。待機するたびにこれらを装備しなおすのは無益】HPが回復される行動。アナログスティックのボタンをぽちっと押す事がそのコマンド。便利。
  • 先述の通り武器やアイテムは耐久力が減る。これを回復するには改造屋でアイテムを掛け合わせる、耐久力1以上に限り簡易修理のスキルを使用するの2通りがある。前者はお金がかかる上、アビリティが増減する【つまり減る】ので序盤はオススメしない。後者はスキルパネルを入手できるかどうかが鍵だが、アイテム欄からスキルを使用するだけで耐久力を20まで回復できる。ただし失敗すると【リールを回すのだ!】耐久力が多少減るのでこまめに修理すること。これは冒険画面でしかできないが、何回修理にリールを回してもターン数はかからない。やはり便利。
  • 術を使用するには、まず習得している術に対応した○行術のアビリティが引き出されているアイテムを装備する必要がある。火術なら火行術、金術なら金行術。
  • 中には誰でも○○が使える術具。という説明のあるアイテムが存在する。これは装備しているだけでその術が使えるという優れもの。主人公ごとに決まったものを最初から所持している他に、術屋で購入可能。素材自体の値段と、アビリティが全て引き出されているので割高【アビリティが引き出されている物ほど高い】に見えるが、術具だからといって値段は高くならない。同じ性能の物を買うなら術具を。ある種の術具はラストバトルでも十分最終兵器の1つになる。が、高い事に変わりはないので序盤は買うな。
  • 戦闘中術を使用すると使用した術に対応した五行属性が五行リールの目に増える。術の威力は同じ属性がリールの目に多いと強力になるので、同じ属性の術を続けて使っていればどんどん威力は上がっていく事になる。【あくまでその他の要素を除いた場合】
  • 冒険中魔道板が手に入る事がある。これは成長画面で全員共用のスキルパネルとして扱われ、1人にだけ自由に配置できる。
  • 魔道版は、ステータス画面→魔道版からアクティブにすると魔道版を研究する事ができる。戦闘中に術を使うと戦闘後魔道版読解画面に移行し、読解したい術にポイントを割り振る。このポイントが各術に設定された規定値に達するとその術を習得した事になる。
  • その際五行リールに読解したい術に対応した目が多いと読解しやすくなる。対応する五行は術によって事なる上、水術だから水の目というわけでもないので注意。大まかには、火術は火、金術は土、木術は水、土術は土・火、水術は金、禁術は木がそれぞれ対応している。あくまで読解のみ。術の使用には一切関係ないので注意。
  • 店の品揃えは一定ではない。店のランク【不変】と流通ランク【可変・後述】に左右され、シナリオをクリアすると品揃えが一新される。本当に欲しい物があるなら買わないとなくなります。店画面で□ボタンを押すとスキルの使用が可能。あきんどやマハラジャを使用して有利な買い物計画をどうぞ。
  • 店・術屋で売買すると合計金額が加算され、ある一定額に達しシナリオをクリアした際、流通ランクが上がる事がある。流通ランクが上がると店に質のいいアイテムが並びやすくなり有利。質の悪いアイテムも地方の村に行けば問題なく手に入るので上げて損はない。いわゆる2週目に引き継がれる要素。これがある程度上がっていないとアイテム集めが主たるアーミック編ではかなり苦労する。
  • 全主人公をクリアすると特別エンディングが見れる。といってもスタッフロール。
  • システムに慣れるため簡単な主人公からプレイすべき。ジュディ・ローラ・ヴェント辺り。間違ってもアーミック・ルビィ・マイスは避けて下さい。

序盤でつまずいてプレイしない人が多発するアンリミテッド:サガですが、管理人は非常に好きです。簡略化されたが故に奥深いシステム、サガ特有のギリギリ感。特に中盤厳しいルビィ編と、ラストが手強いマイス編をプレイすると「あぁーサガだなあ」と1人でうなってしまいますね。
慣れない内は~、慣れるとーを連呼していますが、よくも悪くもそういう側面の強いゲームなのです。このテキストが1人でも多くのプレイヤーを、アンリミテッド:サガの世界へと導く手助けとなる事を祈ります。

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