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  • ジノーヴィーSS

vipac @Wiki

ジノーヴィーSS

最終更新:2006年07月03日 22:42

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 二人がいたのは、市内でも最高級のレストランだった。
 白く塗り上げられた壁にはヒビ一つなく、そのあちこちでは、彩り豊かな絵画が風景にアクセントを加えていた。
 高い天井には、豪奢なシャンデリアが飾られている。
 その煌びやかな光が、ワイン色の絨毯や、そこに置かれたアンティークな椅子、テーブル、食器などを照らし出していた。
「火力です」
 そんな場所で、不意に物騒な声がしたのだ。
 誰もが食事の手を止め、中央のテーブルに目を向けるのは――自然な流れだった。
 不審、興味、不愉快――そういった様々な視線に、二人は晒される。
 彼らの内の片方は、小柄な女性だった。セミロングの黒髪と銀縁眼鏡が、その知的な美貌を飾っていた。
 着ているのは、黒いスーツという色気のないものだ。しかしそれが逆に、彼女の持つ生真面目な雰囲気によく馴染んでいる。
 そして、そんな女性が相手だからこそ――もう片方の男性は、より一層浮いて見えた。
 相方とは対照的に、彼はかなりの長身である。おまけに金髪を後ろに纏め、サングラスで目線を隠していた。
 墨を固めたような黒服、という出で立ちも相まって、一見するとマフィアそのものである。
 しかし――先程の物騒な言葉を吐いたのは、彼ではなく女性の方だった。
「火薬ですよ、ジノーヴィー」
 続ける女性に、男性――ジノーヴィーは眉間の皺を深くした。
 見るからに険しい顔つきだが、その表情には焦りが滲んでいる。
(……周りを見たまえよ……)
 彼は、心中ではそう念じつつも、なるだけ刺激しないように、
「……分かった。よく分かった。だから――」
「いいですか。
レイヴンとしてやっていくには、ACへの『投資』と、『資金回収』のバランスが重要です。
そしてそれを確かなものにするのは……堅実な、『リスク・コントロール』です」
 ジノーヴィーの言葉は、見事なまでに無視された。
 今まで、彼は気づいていなかったが――どうやらオペレーターは、興奮すると周りが見えにくくなるらしい。

 その怜悧な美貌をうっすらと紅く染め、女性は声高に主張を重ねていった。
「重ねて言います、ジノーヴィー。
『リスク・コントロール』はこの仕事の最重要な要素です。
そして――あなたの機体は、少々リスクが高い装備を積みすぎています。
そこで提案です。
デュアルフェイスのブレードを、銃器に換装しては。ブレードと違い、銃器の方がリスクは――」
 ジノーヴィーはそこで掌を突きだし、強引な『待った』をかけた。
 本格的に視線が気になりだした、というのもあるが――こういうケースの場合、早々に自分の意志を明らかにした方がいいだろう、と思ったのである。
 少しACの構成について意見を求めただけで、ここまで興奮されるとは――彼にしても予想外だったが。
「言いたいことは分かった」
 苦笑混じりに言ってから、ジノーヴィーは本題を切り出した。
「だが……私にその気はないよ。
ブレードは、確かに近づくという意味では、リスクもあるだろう。
だが、その攻撃力は捨てがたい。
デュアルフェイスの命は、火力だよ。火力と運動性のバランスだよ、君。
どちらかを一方的に削いでは、バランスが崩れ、デュアルフェイスの大きな長所が霞んでしまうだろう」
 それもまた、理にかなった言葉だった。
 が、女性は尚も言い募った。
「……しかし……」
「世の中」
 ジノーヴィーは、それに被せるように言った。
「効率性や、集金性を追い求めるレイヴンだけではない、ということだ。
ただ単純に、強さを求める者もいる。
私は後者なのだよ」
 こう言われては、女性に為す術は無い。
 渋々ながら、了承の頷きを返す。
 女性はオペレーターであるが故に、出来るのはあくまで『助言』である。そういった『嗜好』を持ち出されては、何も言うことができないのだ。
(……少し、やり方が卑怯だったか。事実なのだがな……)
 思いつつ、ジノーヴィーはグラスから酒を呷った。

 燃えるような熱さが、喉から胃へ滑り落ちていく。
(……やはりウォトカはいいな)
 ロシアの者にとって、この酒は燃料だと思う。
 飲むと体が暖まってくる。興奮してくる。自然、仕事へのモチベーションも上がる。戦闘にも同様だ。
 そのせいか、知らず強い笑みを結んでいた。
「……強い酒は、体を壊しますよ」
 オペレーターからの忠告だが、ジノーヴィーは肩をすくめただけだった。
「美味いものは仕方がないだろう。君もどうだね、エレン」
「……要りません」
 オペレーター――エレンは、憮然として応じた。
 それから、テーブルの烏龍茶に手を伸ばそうとして――はたと止まった。
 ジノーヴィーが怪訝そうにする中、彼女は急にバッグの中を漁りだし、その中から一枚の写真を取りだした。
「ジノーヴィー……依頼です」
「依頼?」
 ジノーヴィーは怪訝な顔をした。
 今日、この店に集まったのは、今後の展望や、出撃する戦場を見積もるためであり――依頼を受けるためではない。
 その疑問を見透かしたのか、エレンはすぐさま補足した。
「依頼といっても……これは、ごく個人的なものです。『頼み』と言ってもいいでしょう」
「……頼み?」
「はい」
 頷き、エレンは手に持った写真を、テーブルの中央に置いた。
 ジノーヴィーは、何気なくそれを覗き込んで――眉をひそめた。
 写真には、実に特徴的な青年が映っていた。
 どうやら新人のレイヴンらしく、真新しい操縦服を着込み、ピカピカのヘルメットを脇に抱えている。
 だがその一方で、刀のように鋭い目や、不敵な笑みを湛えた口元などからは、ベテラン以上の闘争心と上昇意欲が感じられた。
(……これは……)
 ただ者ではない、そう直感した。

 だが――同時に、妙な既視感も覚えた。
 どこかで、出会ったような気がする。場所も、時間も、全く思い出せないが。
(……なんだ?)
 首を傾げていると、エレンがヒントを口にした。
「覚えていますか? ヴォックス・シティーで会っているはずです」
 瞬間、ジノーヴィーの全身を戦慄が駆け抜けた。
 色あせ、風化し――だがそれでも忘れがたい記憶が、忘却の淵から蘇る。
 そびえ立つ、ACよりも遙かに巨大な影が。僚機の残骸が。敵レイヴンの笑い声が。燃えさかる町並みが。
 それら悪夢のような記憶が、ジノーヴィーに牙を剥いた。
「ジノーヴィー?」
 エレンの声が、危ういところでジノーヴィーを引き上げた。
 思わず、大きな息を吐く。どうやら、長いこと呼吸を止めていたらしい。
 額にも汗が浮き出ていた。
「……大丈夫ですか?」
「ああ……大丈夫だ」
 その言葉にも、エレンは疑り深い眼差しを向けていたが、結局追究はしなかった。
 写真を指差して、詳しい説明を開始する。
「ジノーヴィー。私は個人的に、この新人レイヴンに注目しています。
そして、彼の情報を欲しているのです。特に、レイヴンになることを決意した理由などを。
それらに問題がなければ、上層部に推薦する予定です」
 そこで、エレンはジノーヴィーに目をやった。
 どこか心配げな眼差しに、ジノーヴィーは苦笑しつつも、
「……私とその新人は、どこかで出会っているらしい。
だから、知っていることがあれば話して欲しい。
そんなところかね?」
 エレンは頷いた。
 だがジノーヴィーの表情には、すっと影が差す。
(……あのことを、話すのか?)
 別に守秘事項ではない。クレストも、話すことに関してはとやかく言ってこないだろう。
 だが――ジノーヴィー個人としては、あの事件を口に出したくはなかった。

 不可抗力とはいえ、あの事件では多くの人が死んだ。街も消えた。
 確か、写真の新人レイヴンは、あの事件の数少ない生き残りだったはずである。
(……できれば、願い下げしたいところだが……)
 ジノーヴィーは黙考した。
 五秒、十秒、三十秒。なめくじのようにゆっくりと、だが確実に時間が進んでいく。
 エレンがごくりと唾を飲み込んだ。
(だが、彼女は恩人だ。どうする……?)
 直後、鐘の音がした。レストラン中に響くほどの、大音量である。
 二人は驚き、顔を上げ、音源を探した。
 果たして――それはすぐに見つかった。
 柱時計である。
 鐘の音は、錆び付き、傾いた古時計が、レストランの隅から九時を報せた音だった。
「……閉店まで、あと一時間です」
 エレンが呟いた。
 決断を急かしている。急かしているということは、焦っているいるということ。常に冷静な彼女が、焦っているということは――この話が非常に重要だということ。
 そう感じたジノーヴィーは、ついに口を開いた。どこか諦めたような口調で、
「……分かった。そうなれば、いっそ吐き出そう。
君にはよく協力してもらったしな。話すことで、私の中でも気持ちの整理がつくかもしれん」
 そう言うと、ジノーヴィーはテーブルの写真を手に取った。
 それをじっくりと眺めつつ、
「……私が話すのは、恐らくこの少年がレイヴンになるのを決意した、原因に直接触れるものだ。
当然推測も入るがね。
だから……」
 ジノーヴィは一旦言葉を切り、続けた。
「……だから、この話の主人公は、この少年ということになるな。私は……何も出来なかった、傍観者だな」
 自嘲気味に笑った。

 エレンはあえて追究を避け、頭を下げる。
「感謝します、ジノーヴィー」
「……そうしてくれると、こちらも話甲斐があるというものさ」
 そこから、ジノーヴィーは目を閉じた。
 意識がゆっくりと記憶の底へ潜っていく。
 やがて、口が緩やかに言葉を紡ぎだした。
「あれは……曇っていた日のことだな。
私は、テロリストを待ち伏せする依頼を受けて、ある街へ行ったんだ。そこで――」

 時間は、八年の昔に戻る。
 かつての出来事が、ジノーヴィーの言葉により、テーブルの上に再生されていく。


     *


 そこは、寂れた駅だった。
 線路はたった一本しかなく、その一本を、二つのプラットホームが挟み込んでいた。
 しかし――そのどちらも、苔むし、錆び付き、疲れ切っている。駅そのものが老年に達し、もはや廃止を待つばかり、といった風情であった。
 駅員も、端の方に座る老人ただ一人らしく、客に至っては、もはやどこにも見あたらない。
 ほぼ無人の駅を、冷え切った風が過ぎていく。
『――間もなく――』
 だがある時、そんな声が秋の大気を震わせた。
 人間の声ではなかった。機械による、合成音声である。
 それが、実に四時間ぶりに電車の到着を告げていた。
『――電車が参ります』
 応じるように、遠くから警笛が聞こえてきた。
 見ると、線路の彼方から、真っ白い電車がやってくる。
 それも――弾丸のような形をした、特急列車であった。
 その前面に窓はなく、運転席のようなものも見あたらない。
 だがそれは、この電車がリモートコントロールで動いているからだった。軍用以外の鉄道は、ほとんどの場合で人件費削減のために、遠くの管制センターから運転されている。
『――間もなく――』
 その姿はどんどん大きくなり、やがてブレーキ音を高く響かせて、純白の車体がホームに滑り込んだ。
『――電車が』
 機械音は、そこで止んだ。
 高速で移動していた列車は、今やどっしりと、まるで岩山のように、ホームの間に鎮座している。
 僅かな間を置いて、『降車放送』に切り替わった。
『長旅お疲れさまでした。お降りの際は、お忘れ物にご注意下さい』
 そこで、ドアが開いた。
 空気の抜ける音がし、かつ普通の状態であれば、次々と客が吐き出されてくるタイミングである。
 だが――ホームの端に座る老駅員は、何の反応も示さなかった。
 深く被られた駅帽の下で、青の瞳が哀しげな色を湛えている。

 きっと、駅員は知っているのだ。
 誰も降りないということを。この駅は、街は、すでに廃れ、見捨てられ、降りる人などいないということを、長い勤務時間の内に熟知しているのだろう。
 住民の足である『ローカル線』ならともかく、都市間の行き来に利用されるこの路線は、もはや用済みといっても過言ではないのだ。
 だから――すぐ脇のドアから人が降りてきた時には、ひどく驚いたようだった。
「なっ」
 呻いてから、「しまった」という顔をした。
 老駅員はすぐに立ち上がり、姿勢を正し、一礼する。
 降車客も、彼に向き直って軽く会釈した。
 久方ぶりの客は――どうやら、ビジネスマンのようだった。
 糊の効いた黒いスーツで長身を包み、かつサングラスをかけている。
 そこだけ見れば、『真面目』そのものの出で立ちだったが――ネクタイの柄や、手に提げたブランド者の黒鞄、ほんのりと匂う香水の香りなどから、洒落者という側面も伺えた。
「……ようこそ、ミスター」
 駅員が口を開いた。
 事務的に、だが温かみを含ませて、尋ねる。
「ここは、ヴォックス・シティーです。
乗車券を確認しますのでお名前を……」
 男は頷き、重々しい口調でこう応えた。
「ジノーヴィーです」
 それは、平坦な口調だった。
 だがその言葉からは――猛獣の唸りにも似た、『凄み』が顔を出していた。


     *


 ジノーヴィーがここに来た理由は、単純だった。
 クレストから依頼を受けたのである。
 一週間ほど前、今までクレストを悩ませていた『楽園の灯火』というテロ集団――それが、この街で大規模なテロ活動を行うという情報が、キャッチされた。
 本来であれば、まず住民の生命を第一とし、市街区全般に防衛部隊送るべきだ。
 だが、クレストはそれをしなかった。
 上層部は、住民の生命よりも集団そのものの撃滅を望んだのである。
 『ここで取り逃がせば、きっと別の場所でテロが起こされるだけだ。ならば、いっそ街を囮にして、この場で殲滅する方が総合被害は少ないだろう』――クレスト側はそう打算したのだった。
 冷酷に見えるが、この時代ではよくあることだ。
 そして、その打算を実行するためには、相応の準備が必要だった。
 まず敵に感づかれては、待ち伏せが成立しない。それ故、市街区に持ち込める戦力は限られている。
 AC二機。それが敵に気づかれずに内部へ運び込める、限界数だった。
 この二機だけで、敵の大部隊を撃滅しなければならない。
 厳しい任務である。並のレイヴンであれば、生還率は一割を切るだろう。
 だがだからこそ――ジノーヴィーが呼ばれたのだ。
 当時、ジノーヴィーは二三才の若年だったが、すでにトップクラスの評価を受けていた。クレストの采配も頷ける。
 だが、
(……正直、重い仕事だな)
 思い、ジノーヴィーは気怠げに息を吐いた。
 彼はもはや選ばれた二機の内の、一人なのである。
 この際、街がある程度破壊されるのは仕方がないとはいえ――実に傭兵らしい台詞だが――テロ集団を逃がせば、責任は重大だ。
 ほとんどの責任が、たった二つの背中にかかる。
 今まで築き上げた地位は、泡のように消えてしまうだろう。
(……まぁ、実力世界は総じてそんなものだがな)
 そう思い直すと、一変、ジノーヴィーは口元を歪めた。
 プラスに考えるならば、こういう綱渡りも――悪くはない。さらに上を目指す足がかりにも、十分なりうるのだから。
(……それに私なら……問題はない)

 気休めでも自惚れでもなく、確かな自信でそう思った。
 実際、ジノーヴィーはより難度の高い依頼を受けたことがある。そして、そのどれも確実に遂行してきた。
 特に今回は、事前準備も万全だ。
 デュアルフェイスは、事前に運び込んである。テロ屋が現れれば、即座に乗り込める絶妙な位置に。
 無論、街の下調べもついていた。侵攻の方向や、盾に使えそうな建物、罠を張れそうな十字路――そういった戦場の要素は、全て頭に叩き込んである。
 それでも、正直に言えば、テロ屋がこんな場所を狙う理由だけが未だに不明だが――それも、些細な誤差だ。状況次第ではテロ屋もこういう行動をとるだろう。
 そもそも、全ての情報が与えられた状態で、戦闘できる方が珍しい。
 その意味では、今回の下準備は理想的であるとさえ言える。
(……そうだ、問題はない。いつも通りに仕事をこなせばいい……)
 最後のチェックを締めくくると、ジノーヴィーは老駅員に声をかけた。
「ご老人、そろそろ行きます。切符のチェックは、終わりましたか?」
 老駅員は一瞬驚いていたが、すぐに頷いた。
 緑の切符を差し出して、
「ええ。丁度、照合が終わりました。
これで、到着窓口は素通りできます。そっちでの手続きは、併せて行ってしまいましたから」
「助かりますよ」
「仕事ですからね。お気をつけて」
 お互いに会釈を交わし合ってから、ジノーヴィーはその場所を後にした。
 目指すは反対側の端、そこにある階段である。
 そこを下り、改札口に行けば、先に到着していたもう一人のレイヴン――『ジギタリス』に会えるはずだった。
 そこからは、彼にベース――潜伏の拠点となる部屋――まで案内してもらう予定だ。
 先に送っておいた、生活荷物の受け取りは、まぁ、そこに到着した後でいいだろう。
(……ジギタリスとは、少し話さなければならないしな。なにせ――)
 そこで、ジノーヴィーはふと足を止めた。妙なことに気がついたからだ。
 足音が消え、自然、ホームはしんと静まり返る。
 周辺の雑音が――鴉の鳴き声が、車のクラクションが、子供の笑い声が、より鮮明に浮かび上がってきた。

「なんだ……?」
 ジノーヴィーの耳は、それらの中から奇妙なものを拾っていた。
 鈍い音だ。それも、何かと何かが激しくぶつかり合うような――人間同士が殴り合うような、穏やかではない音である。
 普通の人間なら、聞き逃していただろう。だがジノーヴィーは別だった。
 この程度が聞き分けられないようでは、強化手術の意味がない。
「……どこだ?」
 まずジノーヴィーは、音の質、大きさ、方向から音源の位置に『アタリ』をつけた。
 それから強化人間のレーダーを起動、近隣の人体反応を探り出し、そのそれぞれを『アタリ』と照合する。
(南西、距離一〇っ)
 答は、すぐに出た。
 ホームの柵から身を乗り出し、ジノーヴィーはその方向を注視する。
 目標は、存外に近い。恐らく、三〇メートルほどの距離だろう。サングラスの遠視機能に頼らずとも、様子は十分に分かった。
 どうやら『音源』は、公園のようだった。
 ブランコ、シーソー、ぐるぐる回る球状のジャングルジムなど、お決まりの遊具が点在している。
 だが展開されている光景は、常の『のどかさ』とはかけ離れていた。
 人間が、殴り合っている。二人とも、十歳程度の子供だが。
 短い手足を総動員して、掴みかかり、殴り、蹴り、必死の気合いで相手を打ちのめそうとしていた。
 これだけなら、まだ『子供の喧嘩』と多寡を括っていられるが――もっと異常な点がある。
 観客がいるのだ。
 それも、尋常の数ではない。
 砂場から、木の上から、ジャングルジムから、ありとあらゆる場所に同年代の子供が居座り、勝負の行方を見守っていた。
 その興奮した表情を見る限り、『手を出しかねている』のでもなく、『止めるタイミングを逸した』のでもないだろう。彼らは本当に、観戦しているだけなのだ。まるで、本当の『試合』のように。

(なんだ?)
 眉をひそめた直後、『試合』に動きがあった。
 片方が、相手の胸を突き飛ばした。相手はバランスを崩し、仰向けに倒れる。そこで、倒した少年が馬乗りになった。
 観客の半分は歓声をあげ、もう半分は息を呑んだ。
 半分の声援を受けて、優勢の少年は猛々しい叫びを上げる。
「うわぁぁああああ!!」
 少し離れたここでさえ、腹に響く、それほどの声だった。至近距離で聞けば、きっと耳が痛くなったはずだ。
 ジノーヴィーは、それに真剣に驚いた。
 いったいどれだけ気合いをこめれば、十歳程度の身でこんな声が出せるのか。
 そして、それだけの『気合い』がこめられた拳、その一撃が倒れた少年に振り下ろされる。
 強化人間の聴覚が、弾けるような音を拾った。
(直撃――!)
 少年は休まなかった。
 すぐさま拳を振り上げ、二度目の打撃を準備する。
「いかん!」
 思わず声が出た。
 子供の骨格に、これほどの強打は危険すぎる。貰う方も危険だが、打つ方も危ない。骨が衝撃に耐えきれず、砕けてしまうかも知れない。
 往々にして、この時期の子供は『腕力』と『骨格』が釣り合っていないものだ。
 だが、二度目の拳は放たれなかった。
 ジノーヴィーのすぐ近くで、誰かが声を張り上げる。
「こらぁぁ――――――――――――――!!!」
 耳朶を打つ、落雷のような声だった。それは、離れた『公園』まで伝わり、そこの空気まで一掃した。
 子供達が、全員ぴたりと動きを止める。
 『「大人」に見つかった』。その事実は、子供達を夢から覚まさせるには十分だったようだ。
 次の瞬間、公園中の子供達が一斉に逃げ出した。
 木から、土管から、ジャングルジムから、まるで蟻の巣を崩したように子供達が逃げていく。

 負けていた少年も、隙を見て馬乗りから脱出し、走り去った。
 その際、優勢だった少年に何かを投げた。
 強化人間の視力が、それをはっきりと、捉える。
(……スカーフ?)
 赤の地色に金の星マークをあしらった柄だ。
 鮮烈で、記憶に焼き付くような色合いだ。
 状況から、戦利品の類だと思われるが――
(……なんで、そんなものを……?)
 そう訝っている間にも、公園の人数はどんどん減っていき――三〇秒も経った頃には、勝利した少年だけが残っていた。
 公園の中央に、小柄な体がぽつねんと立っている。
(……なにはともあれ、もう終わったようだな)
 大過無く納まったことに、ジノーヴィーは安堵の息をもらした。
 握りしめていた両の拳を解きながら、
(怪我をしないに、越したことはあるまい。戦場でも無ければな)
 この時ジノーヴィーは、残された少年も逃げると思っていた。
 今までそうしなかったのは、激闘の後で足がふらついているのだろう――そう解釈していた。
 だがそれは、見事に外れた。
 少年は逃げず、どころか慌てもせず、敗者が落としていった『スカーフ』を――戦利品を拾い上げた。
 その後、しばらくはそれを見つめている。
 一向に逃げる気配はなかった。
(……大した度胸だ)
 そう思っていると、不意に少年は――笑顔を見せた。
 激闘の末に掴んだ勝利、その『証』を手にした上での、子供じみた無邪気な笑顔である。少なくとも、外見上はそうだった。
 だが、ジノーヴィーはそれにひどく違和感を感じた。
(……なんだあれは?)
 痣だらけの顔で、少年は笑っていた。
 しかし――その裏には、何か得たいのしれないものがある。
 まるで、どす黒い何かが、『笑い』の仮面を張り付けているだけのような――そういう感覚さえあった。

 そして次の瞬間、それが強烈に後押しされた。
 少年は始めた時と同様の唐突さで、笑うのをやめた。
 戦利品から目をそらし、際限なく広がる空を――上を見つめ出す。
 ゾクリとした。
 気づかない内に、その少年の目に危険な光が宿っていたからだ。
 まるで獰猛な獣のような、『飢え』た眼光。それが、幼い瞳の中でギラギラと輝いている。
「……なんだ?」
 その言葉が聞こえたわけではないだろう。が、三〇メートルの向こうで、少年がこちらに――ジノーヴィーに向き直った。
 瞬間、空気が変わる。
 離れていてさえ、澄んだ大気が獰猛な気配にぐにゃりと歪んだ。そこから感じられるのは――濃縮され尽くした、高純度の『敵意』だ。
 恐らく、向こうが見つめるこちらに気づいたのだろう。
 細かい表情や仕草は分からずとも、『見物されている』、くらいは判別できるはずだ。
 少年にしてみれば、その『高みの見物者』を――本気なのか、気まぐれなのか分からないが――挑発した、というところだろう。こんなに離れて、勝負が成立するかは不明だが。
(……まるで見境のない……よほど、戦い足りないのか?)
 そう思いつつ、ジノーヴィーは無意識の内にある行動をとっていた。
 両脚をリラックスできる位置に開くと、腹に少し力を込め、少年を見つめ返す。
 そして――胸の内で、どす黒い感情を練り上げた。
 少年のそれが単純な『敵意』であるとすれば、ジノーヴィーのそれはより凶悪な――『殺意』である。
 それを、視線を通して相手に送り込む。
 『敵意』には『殺意』で返す――刷り込まれた戦場の習慣が、こんな場所でも発動してしまったのだ。
 だが無論、それは本物の殺意ではない。
 あくまで適当にでっちあげた、張りぼての感情である。
 しかし――少年には効果があった。
 びくりと体を揺らし、怖れたように後ずさった。
 どうやら向こうの敵意がこちらに届いたように、こちらの殺意も少年に届いたようだ。三〇メートルとは、それくらいの距離である。

(……しかし、こうもあっけなく怖じ気づくものか? あれほど、殴り合っていたのに……度胸はありそうだが)
 興ざめするジノーヴィーだが、疑問はすぐに氷解した。
 考えてみれば――少年達がやっていたのは、『戦い』であっても、『命のやりとり』ではない。そこに『敵対心』はあっても、『殺し』は存在しないのだ。
 故に、単純な『敵意』には慣れていても、本格的な『殺し』の意志――『殺意』を突きつけられるのは、きっと初めてなのだろう。だから無様にも驚き、恐がったのだ。
 レイヴンが、たかだか子供相手に殺気を叩きつけるのも、大人げのない話だが。
(……まだまだ彼らの世界は、狭いということか。まぁ、『殺し』など知らない方が……幸運ではあるがね)
 ジノーヴィーが頷いていると、急に、二度目の怒声がきた。
 またジノーヴィーの近くから、先程のような大音量で、
「こら――――――――――――――――!!」
 二度目とあってか、さっき程の驚きはなかった。
 だがそれでさえ、怖じ気づいていた少年には効果覿面《てきめん》だった。
 背を向け、逃げるように去っていく。さすがに走りはしないが、その歩みは不自然なほど大股だった。
(……さて)
 その姿が完全に見えなくなってから、ジノーヴィーは辺りを見回した。
 怒声の主を捜し出し、あわよくばあの少年について尋ねようと思ったからだが――直後、言葉を失った。
 ジノーヴィーの近くで、二度の怒声を繰り出したのは――先程の老駅員だったのだ。
 考えてみれば、この近くいる人は、彼しかいない。
 だが――この人の良さそうな笑顔から、どうやってあんな声が出たのだろう。
「驚かれましたかな」
 表情から内面を察したのか、小柄な老人は照れたように笑った。
「なにぶん、ご勘弁下さい。最近の子供は、加減というのを知らないで……放っておくと大変なことになります」
 そこで、ジノーヴィーはようやく我に帰った。慌てて話を合わせる。
 咄嗟に笑顔を浮かべたが――上手く笑えたか、自信がない。
「ええ、そうですね……」

「全く……遊びにしても度がすぎますよ」
 『遊び』。
 ジノーヴィーはその単語を聞き咎めた。が、話を聞こうと思ったとき、丁度駅員が身を翻した。
 ぶつくさと呟きながら、老駅員が去っていく。
「まったく……なんでまたあいいう『遊び』を。
――め」
 駅員は、言葉の最後に少年の名を呟いた。
 印象に残る名前だ。
 知らず、味わうように呟き、胸に嚥下する。
 そうして少年の名前は、ジノーヴィーの意識に刻みつけられた。

 遠くで、鴉がカァと鳴いている。


     *


「これが、出会いさ」
 そこまで語り、ジノーヴィーは息を吐いた。
 エレンが口を挟みかけたが、それを待たずに言葉を追加する。
「……この後、色々ある。街は燃えるし、テロ屋は頑張るし、少年は――推測になるが――精神を壊した。そんな延長線上に、今が――この写真が、あるというわけだね」
 ジノーヴィーは、そう前半を締めくくってから、エレンの方へ目を向けた。
 写真をひらつかせながら、
「質問がありそうだが」
 エレンは即座に頷いた。
「言ってみたまえ」
「……二つあります」
「構わない」
 その言葉を受け、エレンは遠慮なく言った。
「こういうのは、普通全てを話終わった後に、やるものでは?」
 ジノーヴィーが、実に嫌な顔をした。
 胡乱げに目を細め、
「……これは、君が問いたげにしていたから、設けたものなのだがね」
「そうでしたか。失礼しました」
 言葉とは裏腹に、特に反省した様子はない。
 ジノーヴィーは眉間の皺を深めたが、それ以上は追究しなかった。
 何事もなかったかのように、二つ目の質問を促す。
「……二つ目は、なんだね?」
「名前です」
「……名前?」
 エレンは頷いた。ちょっと身を乗り出して、口を開く。
「その少年の名前ですよ、ジノーヴィー」
 そう言えば、確かにまだ公表していなかった。
 だが――わざわざ聞くほどの事とも思えない。放っておいても、そのうち話に出てくるであろう事柄だ。
「……どうしてだね?」
 不審げなジノーヴィーに、エレンは明快に応じた。

「気になるのですよ、ジノーヴィー。その『少年』と現在のレイヴンが、本当に同一なのかどうか。
非常に似通った特徴ですし、あなたの記憶力も信頼しますが――それでも、やはり聞いておきたいのです。もし別人であったら、切ないでしょう?
あなたにとってはそうでなくとも……私にとってこの話は、あなたから得られる情報は、大問題なのですし。
……正直、気が気ではありません。
駅員から聞いたというのであれば、今教えてくれても、いいでしょう」
「……確かに」
 そう応じ、ジノーヴィーは彼女の理屈を認めた。
 だが――要望に対しては、きっぱりと首を振る。
「だが、やめておこう」
「どうして?」
「この話は、最後まで名前が明かされない方が緊張感があるだろう。
それに――こちらが本旨だが――もし本当に別人であったなら、途中で話が止まってしまうしね。
ここまで来たんだ、是非とも最後まで吐きだしてしまいたいのだよ」
 口元を歪めるジノーヴィーに、エレンは眉をひそめた。
「……そういう姿勢には、賛同しかねますが」
「付き合ってくれないか。
……本当に、最後まで話したいのだよ。この話は途中で切れるほど、軽い話ではない。私にとっては、ね」
 そう言われると、エレンに返す術はなかった。
 こういう場合は、根本的に話す側――ジノーヴィーの主導権である。エレンは、あまり細かく言えない。
「……分かりました」
 エレンは渋々了承した。
 ジノーヴィーは「すまんね」と前置きしてから、話を再開する。
「……どこまで話したか。
私は、その後ジギタリスと合流し、ベースへ向かった。その後、ようやく事件が動き出すのだよ。
途中、様々な事後資料に基づいた、推測も入ってくるがね……」

 テーブルの上で、再び過去が立ち上がった。


     *


「ここか」
 そう言うと、ジノーヴィーは懐から鍵を取りだした。
 それを目の前のドア、その鍵穴に差し込み、回す。ギチャリと錆び付いた音を立て、部屋の鍵が解除された。
 これでようやく長旅から解放され、今作戦の宿に入ることができるのだ。
 ジノーヴィーはほっと息を吐く。
(……やっと、来たか)
 駅で妙な少年と出くわしてから、一時間弱。
 ジノーヴィーは、計画通りに先着のレイヴンから案内を受け、今回のベースキャンプに辿り着いた。
 ただ、ベースキャンプとはいっても、実態はお粗末なものである。
 二階建てアパートの、一室だ。さすがに木造ではなく、鉄筋が使われているようだが――ボロい。
 現に、目の前のドアは錆びにまみれていた。きっと他の部屋も同様だろう。
 あてがわれた部屋は一階であるため、眺めも期待できまい。
 もっとも、例え十階であろうと、この近隣には背の低い住宅が点在している程度であり――豊かな景色など、望むべくもないのだが。
「お疲れさま」
 そう思っていると、背後から野太い声がした。
 振り向くと、そこには――でかい男がいた。
 長身のジノーヴィーよりも、さらに一回り体が大きい。だが決して粗暴という印象ではなく、むしろ穏やかな笑顔には愛嬌があった。
 よく躾けられた、極めて大人しい大型犬――そんなイメージだ。
 実際、彼の案内は細やかで、近隣の設備まで教えてくれるなど、まさに盲導犬のような気配りであったのだが。
「ご苦労だったな、ジギタリス。道案内、助かった」
 ジノーヴィーが労う《ねぎらう》と、男――ランカーレイヴン『ジギタリス』は笑みを深くした。
「これも礼儀だ。気にするな。
……ま、いい仕事をしようじゃないか」
 ジギタリスは、そこで右手を差し出した。ジノーヴィーも、利き腕でない方でその手を取り、握手に応じる。
 すると、ジギタリスが気前よく笑った。
「結構だ、じゃあな、戦友!」
 輝くような笑顔で言うと、その後身を翻し、ズカズカと道路の方に去っていった。
 ジノーヴィーはその様子に、なかなかない清々しさを感じたが――胸の一部分では、眉をひそめていた。
(……なんだ、あれは)
 レイヴンの態度ではなかった。
 レイヴン同士であれば、ライバル意識もあるはずだし、もっと殺気立っていてもよいはずだ。
 そもそも、ジギタリスからは、最低限の警戒さえ感じなかった。
 『イイヤツ』過ぎるのである。
 躊躇なく利き腕である右腕で差し出してきたのが、いい証拠だ。

(……そうか)
 ジノーヴィーは、そこでジギタリスのプロフィールを思い出した。
 彼は――アリーナ専用のレイヴンだった。今回の任務に出たのは、たまたま人手が足りなかったからである。
 アリーナは、純粋にスポーツとして趣が強い。そこを拠点に動いているものが、『傭兵』らしい所作に欠けているというのも――頷ける話だ。
 彼は、根っこの所で傭兵ではなく、フェアプレイと仁義を重んじる『アスリート』なのだろう。
 しかし――
「大丈夫か?」
 ジノーヴィーは、呟いた。
 傭兵の世界で、そういった美徳は、欠点以外の何物でもない。
 稚拙な挑発に引っかかってしまう可能性さえあった。
(……まぁ、今考えても、仕方のないことか)
 ジノーヴィーは思い直し、首を振った。
 もはや任務は始まっている。今更変更は利かない。クレスト側の眼力を、信じるしかなかった。
 そう思いながら、ドアの方へ向き直り、錆び付いたノブを捻る。
(……それに、私なら……例え彼が死のうとも、単独で依頼はこなせるだろう)
 そう打算しつつ、ドアを開けると――予想以上に小さな部屋が、彼を出迎えた。
 まず、四条一間である。大柄なジノーヴィーと数多くの荷物が来れば、ほとんど寝る場所しか確保できないだろう。
 安全に火を使えるスペースが確保できるか、それさえも怪しい。
 これだけでも十分狭苦しいのだが、止めとばかりに、部屋の中央には大きな――それこそ冷蔵庫大の――機械がデンと居座っていた。
 それが超高性能な、『広域通信機』であると気づくのには、たっぷり二十秒掛かった。
「……どうして、こんなものが……?」
 本来なら、防衛拠点に置かれるべき代物だ。
 特に、この型は『傍受妨害機能』や『通信距離』に優れるが、その分非常に重く、かさばり、しかも高価なため、クレスト本社といった最重要拠点ぐらいにか配備されていないはずだ。
(……部屋を間違えたか? いや、こんなものを置くのは、うちぐらいしか……)
 思った直後、その通信機が甲高いコール音を響かせた。
 何者かが、メッセージを伝えようとしている。
 少し迷ったが、ジノーヴィーは結局部屋の中央まで進み、腰を曲げて通信ボタンを押した。
 それから、マイクに向かって、
「こちら、ジノーヴィー」
『おや、君かい?』
 ジノーヴィーの呼びかけに、軽々しい声が応じた。聞き覚えのある声だった。
「……チーフですかな。『ディグルド』チーフ、そうですね?」

『そうだよ』
 男――ディグルドはあっさりと肯定し、続けた。
『今作戦の指揮官を務めることになった。よろしくね。
……まずは、長旅ご苦労様、と言っておこうか。ようこそ、ヴォックス・シティーへ。
ジノーヴィー、我々――開発チーム最高の芸術品、「デュアルフェイス」を操れる君が来たことは、我々にとって大きな喜びだ』
 大仰な挨拶に、ジノーヴィーは苦笑した。
「こちらも、また一緒に仕事ができて嬉しいですよ」
『ああ。またよろしく。
……あ、そうそう、送られてきたデュアルフェイスだけどね。
もう組立は終わってるよ。場所は……分かってるね?』
 付け足された質問に、ジノーヴィーは「もちろん」と返答した。
 すでにデュアルフェイスは、秘密裏に運び込んである。そしてその際、街の地下にある大空洞――放棄された、『災害時貯水槽』が隠しガレージに利用された。
 『災害時貯水槽』とは、文字通り洪水が起こった時などに、一時的に溢れた雨水や川水を貯めておく場所である。
 いわば、大地に埋め込まれた巨大タンクだ。
 基本的に、クレスト所有の街は、ほとんどこの設備を持っていた。しかしこの街に限っては、そもそも水害が少ないことと、設備そのものに欠陥が見つかったことで、貯水槽は放棄されていた。
 だが、その『使われなくなった大空洞』は、ACを隠すには打ってつけだった。
 絶対に見つかりにくく、しかも下水道と連結しているため、アクセスにも困らない。マンホールさえ見つかれば、そのまま下水道を通って侵入できるのだから。
 出撃や、パーツの出し入れの際は――作業用MT進入路か、エレベーターを使えばいい。
『分かってるなら、結構』
 通信の向こうから、満足げに頷く気配がした。
 その後、ディグルトはさも大したことなさそうに口を開く。だが――実際の内容は、まるで正反対だった。
『それと……気になっているだろうから、この通信機についても話しておくよ。
この通信機はね……ちょっとした保険なんだよ。
テロ組織に、僕たちがこの街にいるって感づかせないっていう理由もあるけど……本当は、それだけじゃない』
「というと?」
 答はあっさり返ってきた。
『他の企業だよ。ナービス、キサラギ、ミラージュ……そいつらが、この街を嗅ぎ回ってる。そして、必死にこっちの情報を探ってる。
分かると思うが……これは、尋常なことじゃない。世に名高い大企業が、どうしたってこんな街に密偵《イヌ》を放ちまくるんだ?
これは、クレストの見解だが……きっと向こうも、テロ屋――「楽園の灯火」の都市破壊作戦を感づいていてるはずだ。
その上で、網を張ってるよ』

 ディグルトはとんでもない内容を、まるでピクニックか何かのように、あっけらかんと話していった。
『この任務……最初は、何の変哲もない作戦だと思ってた。
だがね、今の状況から察するに……この作戦には何かあるみたいだ。三大企業が興味を示すほどの、何かがね』
 ジノーヴィーは眉をひそめつつ、頷いた。
「……可能性は高いな」
『そうだろう? そして、我らクレストは、作戦の獲物――テロ集団「楽園の灯火」に、何らかのキーがあると見たらしい。
大企業が、そろいも揃ってつけねらう程のモノが、今回の獲物に仕込まれている――そう睨んだんだよ。
そして今回の作戦は、よくすれば連中を一網打尽にできる。
それが成功すれば、連中からありとあらゆる情報を、あるいは技術を――それこそ、他の企業が欲しがるモノを、洗いざらい頂戴できる。
ミラージュを、他の全ての企業を出し抜き、貴重な情報を独占できる。
そういう作戦なんだよ。
……そして、得られた情報次第では――本当に、情勢が変わるかも知れない。
政治的膠着下では、最重要な情報は、万の兵隊にも勝る戦力なんだよね』
 ジノーヴィーの唇が渇き始めた。
 額に汗が浮かび、喉がごくりと鳴る。
『……いいかい、そういう作戦なんだよ。
そんな作戦を――傍受の危険がある回線で、やれると思うかい?
作戦の詳細が漏れれば、ひょっとしたら、ライバル企業はどさくさに紛れて情報をかっぱらいに来るかも知れない。
それは避けたい。作戦の情報は、万全を期してクレストが独占するべきだ。
この無線機を部屋に配置したのは、傍受を防ぎ、この作戦に関するそういった情報アドバンテージを、維持するためなんだよ!
この機器は、ほとんどの無線傍受を無効化できるからね!』
 内容に反して、緊張感に欠けた口調だった。
 だが、事態は実に深刻である。
 ディグルトは、この情報戦と迎撃戦の成否で、クレストの政治的地位が左右されると明言しているのだ。
 だが――無論、ディグルトとて事の重大性は理解しているだろう。
 通信の向こうにある彼の目は、きっと笑ってはいまい。野暮ったい眼鏡の奥には、冷徹な光が宿っているはずだ。
 その証拠に、ディグルトは細やかな配慮も欠かさない。
『ジノーヴィー……これから、気をつけたまえ。君はランカーだ、目だつ。
常に変装を心がけたまえ。
電車はすでに本名で乗ってしまったので、仕方がないが――これからは、常に偽名を使ってね。実際その部屋は、「カドル」という偽名で借りてあるよ。緊急で取ったから、少し狭めだけどね。
荷物も、同じく「カドル」名義で別の場所に預けた。後で取りに来て』

 ディグルトは、そこまで一気にまくし立てた。
 三〇代で、どでかいトンボ眼鏡をかけ、いつも蛍光色の作業着でうろうろしているような男に、『目だつな』と言われるのは妙な気分であったが。
「……分かった」
 知らず、声が強ばっていた。
 依頼の難易度は、決して高くはない。だが――この作戦で情勢が変わる、という事実が付加されていた。
 ジノーヴィーの中でも、そのような依頼など数えるほどしかない。
『頼むよ? レイヴンの影響力は、絶大だ。この作戦では……洒落じゃなく、その影響力が世界を動かすかもしれない。
君はひょっとすると……今、世界の中心にいるのかもね。
全部が杞憂、かもしれないけどさ』
「……まぁ、最善はつくすさ」
 そう応じると、通信の向こうで笑う気配があった。
 少ししてから、今度は本当に気安い調子で、
『難しい話は、これで終わり。
ところで……どうだい、長旅は。何か変わったことでもあったかい?』
 『変わったこと』。
 その単語で、反射的に『少年』を思い出した。駅付近の公園で、蹴り合い、殴り合い、挙げ句の果てにはこちらにまで喧嘩を売ってきた、怖いもの知らずだ。
 だが――さすがにその話を出す気にはなれなかった。
 世界規模の情報戦略と、少年の喧嘩と――並べるには、スケールが違いすぎる。
「……ないな」
 首を振ると、ディグルトはからからと笑った。
『ははは、何かあったようだね。応えるまで間があったよ。
ところで、またオペレーターが変わったそうじゃないか』
「……何もないよ。来るときにはな」
『最後の質問を無視して、先に否定したということは……本当に、何かあったようだね、ジノーヴィー』
 ジノーヴィーが口をつぐんだ。図星である。
 この男は、すぐ他人の思惑を見透かしてしまう。
 知らず、息を長く吐き出した。

「……確かに、あったよ。変わったことは。だがね……」
『言ってみたまえよ。我々は、作業チームだ。全力で君をサポートする。
それは……機体に限ったことではないよ。どんな些細な疑問も、たちどころに応えようじゃないか。
……まぁ、無理強いはしないけどね』
 言われ、老駅員には少年のことを聞きそびれていたこと、その事実を思い出した。
 一度身を翻した駅員は、とっとと駅舎に入ってしまい、ジノーヴィーは完全に尋ねるタイミングを逸してしまったのだ。
 だから、少年への疑念は、今も胸で燻った《くすぶった》ままである。
 その中でも特に、『瞳のぎらつき』や、こちらに向けられた『敵意』、それらがどういった過程で生み出されたのかは――興味を惹かれるところだ。
 実は、ここに来る途中、『「闘争心」が根っこにあるのでは』――と論を進めてみたのだが、それもしっくりこない。
 確かに、少年の『敵意』は、『闘争心』の発露に似ているといえば似ているが――無論、今思えば、だが――何かが違うのだ。
 そして、その『何か』が分からない。
 途中で投げ出すのも気が引けた。
(……どうせなら、ここで尋ねるのも悪くはない……か。ダメで元々だが)
 そう思い直すと、ジノーヴィーは口を開いた。
 それから、少年について彼の見たことを話し出す。
 やたら好戦的だったこと。殴り合っていたこと。戦利品らしきものを受け取っていたこと。周りには観客がいたこと。駅員が、『遊び』として扱っていたこと。睨まれたこと。
 それらを全て吐きだした後、ジノーヴィーはこう締めくくった。
「何か、知っていることはないかね?」
 期待はしていなかった。開発チーフが、近隣のお子さま情報に詳しいというのも――逆に問題があるだろう。
 しかし、答はすぐに来た。
『ゾーン・ゲームだね。
戦災孤児達を中心に、爆発的な広がりを見せているらしい。
最近問題になってるらしくて、僕も小耳に挟んだよ』
 予想外の展開に、ジノーヴィーは驚き、繰り返した。
「ぞ……ゾーン・ゲーム?」

『そう。陣取り合戦みたいなものさ。
彼らは、それをやっていたのだと推測されるよ。
……まず、子供達がチームを作る。そのチームは、それぞれある一定の範囲を「領有」している。
そしてそのチーム同士が、闘う。
負けたチームは解散し、何らかの証を――たいていチームのマーク入りスカーフとか、コインとかだけどね――勝った方に渡す。
勝った方は、その証をもらい、負けた方の「領地」を丸取りする』
「……何の話ですかな?」
 困惑を不審に進化させ、ジノーヴィーは訊いた。
『だから、これがゾーン・ゲームってことだよ!
いいかい、ゾーン・ゲームっていうのは、いわば壮大な陣取りゲームなんだよ。
実際、やってるのは陣地を取り合う、それだけだ。
だけど、取り合う陣地の規模がでかい。なにせ、この街まるごとがゲームのフィールドなんだから。一チームが支配する「領地」は、街の一区画単位だよ。
いったい、そこらの悪ガキ連中が、どうしてそれほどのネットワークを持っているのかは、分からないがね。
そして、闘うってのも、チェスやトランプとかの、頭脳勝負だけじゃない。希に、本当に殴り合う場合もある。
特に、当事者同士に武術の心得がある場合は、基本的にそうなる。
君は、二人が闘っていたって言ったね? 周りには観客がいたそうだね?
それは、まさにその『戦い』の瞬間だった可能性が、高い。
闘っていた二人は、二つのチームのボス。観客は、それぞれのチームの構成員。
君の言う少年は、勝ったようだね? ならば、彼は敗者の領地を総取りしたはずだよ。
……言っておくが、嘘じゃないよ』
 そこまで聞いて、ジノーヴィーはこめかみを押さえた。
 理解が追いついてくるにつれ――頭が痛くなってきたのだ。
 少年達が、街を巡って殴り合っているのである。
 無論、にわかには信じがたい話だが――ジノーヴィーは、ディグルトの言うことを信用することにした。
 確かに、駅での出来事はそれくらい突拍子もない話でなければ、説明がつかないような気もする。
 なにより、『嘘ではない』と言った時には、ディグルトは決して嘘は言わないのだ。

「……いったい、どうして子供がそんな遊びを?」
 根本的な疑問に、ディグルトは笑った。
『知らないよそんなの。
誰かが中心になって取り仕切っているのかもしれないし、あるいは、何らかの理由で、ルールが自然発生しただけかもしれない。
比較的狭い街だ。そのどちらも考えられるし、そのどちらも違うかも知れない。
……まぁ正直、僕はこの遊び自体は、それほど不思議とは思わないけどね』
 ジノーヴィーは首を傾げた。
「どういうことですかな?」
 ディグルトは興味無さそうに応じる。
『「子供の遊びは、社会の縮図」ってことだよ。
子供にとって、生活は「遊び」中心に回ってる。そして、そんな状況であればこそ、彼らの「遊び」には、彼らから見た「世界全体」の姿が投影されるのさ』
 ジノーヴィーは、そこでディグルトの言わんとしていることが分かった。
 だが敢えて、彼に先を促した。
「それで?」
『……子供から見た世界は、まさに企業同士の、領土の取り合いに映ってるんだろうね。
間違いじゃないよね。だって、実際そうなんだもの。
そして、彼らが見たそういう世界の姿が、領土を奪い合う大人達の姿が、彼らの遊びにも投影された。
ゾーン・ゲームという形でね。
発生自体に、不思議はないだろう? 実際、規模は違うけども、他の街でも似たような事例はあるし。
だろう?』
 ジノーヴィーは応えなかった。
 胸の内で、何かがざわついていた。
『……まぁ』
 構わず、ディグルトは続けていった。捕らえどころのない笑みの口調で、
『実際、街を「支配」って言っても、実権を握るわけでもない。あくまで感覚的に過ぎないんだろうさ。
それに、この遊び自体に決着がつくわけでもない。名目上は、一つのチームが街全体を手中に収めたら、それで終了らしいけど……こんなの不可能だよね。
物理的にも、ネットワーク的にも』

 ディグルトは、微かに羨むような口調に変えて、言った。
『だから、これは本当の意味で「ごっこ」なんだと思うよ。
喧嘩好きなワルガキ達が集まって行う、終わらないいわば「戦争ごっこ」。
彼らの遙か上で繰り広げられている、戦いを真似した、刺激的な箱庭だよ。
その背伸びした、素敵な幻想の中で、この街の子供は遊んでいるわけさ。
ある者は雰囲気だけを愉しみ、ある者は「領土拡大」の野心を燃やして、ね』
 直後、ジノーヴィーは息を呑んだ。
 ディグルトの言葉が、胸に響く。それは幾つもの波紋を生みだし、やがてそれは、たった一つの解を――心中にあった疑問への解を、結んだ。
『どうだい?
……ま、基本、街の裏事情に詳しい人の受け売りだけど、僕も結構前からこの街に入っていたからね……相応の裏付けもある』
 ジノーヴィーは、応えなかった。いつの間にか、それどころではなくなっていた。
 話の最後で、ゲームの目的や、本質的な性格が明らかになり――燻っていた疑問に、すとんと理解が落ちてきたのだ。
 少年から感じた、凄みや敵意。その源泉は何かと思っていたが、今の会話でアタリがついた。
 『闘争心』と似て非なる、何か。
 ディグルトの言葉は、図らずもその正鵠を射ていたのだ。
 ――『野心』。
 ――なるほど。
 口元が、歪な笑みを結んだ。
 もっと上に行きたい、自分はこんなところで終われない、そういった『上』への指向性。
 その言葉は、ジノーヴィーが少年に持っていたイメージと、見事なまでに一致した。
 戦いの後、上を見つめていたあの姿。ぎらついた眼差し。
 こちらに突きつけられた、鏃《やじり》のような敵意。
 後者は、単純な闘争心とも取れるが――それにしては、あまりにも気配が歪んでいた。単純な闘争心であれば、もっと澄んだ気配のはずだ。
 前者に至っては、完全にそれらの埒外だった。
 だから、ジノーヴィーは少年のバックボーンを計りかねていた。
 端的に言えば、『闘争心』に近いものは感じるのだが、それとはまた違う――そういうもどかしさを感じていた。
 だがそれは、ディグルトの言葉で解消された。

 『野心』。
 それは闘争心と密接に結びついていながらも、その他のどろどろとした欲求を巻き込んだ感情だ。
 ジノーヴィーが受けたイメージに一致する。というより、これしかない。
 ゾーン・ゲームの性格にも、『野心』というファクターはよく馴染んでいた。それが無ければ、少年は『チーム』など作れないだろう。
「……野心か」
 ジノーヴィーは、口内で言葉を転がした。
 じっくりと味わい、やがて嚥下する。
 そして、これ以上ないくらいにしっくりきた。
 思えば、勝負中の雄叫び、その気合いの元となっていたのも――こういった野心なのかもしれない。
『……しかしねぇ』
 ジノーヴィーがそう思索する一方で、ディグルトは喋りを再開した。
 ぽつり、と漏らすように、
『……まさか、その子が君に喧嘩を売ってくるとはねぇ。相手を選べないのかな。
結局、相手は逃げたらしいじゃないか?』
 ジノーヴィーは、それにはきちんと返答した。
「それも、仕方があるまい。
……殺気だよ」
『は?』
「私は……睨んできた少年に、殺気を返してしまったのだよ」
 どこかばつの悪そうな声だが、ディグルトはそれを笑い飛ばした。
『本当かいっ。なら、別に気にする必要もないよ。なにせ、チームが一つ減って、治安がよくなるのだからね。
……きっと、その子供は思ったはずさ。「怖い」ってね。
きっと驚いたはずだよ、だって、君は彼らなんて問題にならない――ルール無用の「殺し合いの世界」の住人なのだから。
そんなのに睨まれたら……裸でライオンに見つめられたのと、同じくらい怖かったはずさ』
 ディグルトはそこで、一拍置いた。
 間を置いて、一挙に宣言しようとしたらしいが――ジノーヴィーはそれを先取りした。
「……少年は、このゲームから足を洗うと?」
 ディグルトは、ちょっと虚を突かれたようだったが、すぐに肯定した。

『うん』
 少年達にとって、ゾーン・ゲームは、『血と硝煙の世界』をトレースしたもののようだが――それでもやはり、少年達が興じているゲームは、あくまでも『試合』の域を出ない。
 お互いの命は保証されている。ルールも決められている。かなりフェアな条件である。
 彼らはそんな中で熱を上げ――ひょっとすれば、カッコイイとさえ思っている。
 この年代の子供は、えてしてこういう『アウトロー』な真似を魅力的に感じるものだし、あるいは、このゲームそのものが彼らなりの『背伸び』であるのかもしれない。
 だが、ジノーヴィーの場所は、本物の戦いは、そんな甘いものではない。そこは、完全無欠の『殺し合い』の世界だ。
 命の保証はない。勝っても、五体満足でいられないかもしれない。当然だまし討ち、増援、伏兵、なんでもありだ。アンフェアだろうが、生き残れればそれでいい。
 そういう世界だ。
 そして、そんな世界を少しでも垣間見てしまえば――恐らく、前者の戦いなど、ママゴトのように見えるだろう。
 『本物の戦闘屋』が行う、『本当の戦闘』を、形だけ真似たまがいもの――そう見えてくるはずだ。
 彼らは、自分たちが遊びが、どれほど陳腐な真似事であったのかに、気づくのである。
 そうなれば熱が冷めるのは必然といえた。
 ディグルトは、ジノーヴィーの見た少年が、まさにそうなると予言しているのだ。
 しかし――
「違うな」
 ジノーヴィーは、不意に言った。
 静かな、だが胸に響く口調で、
「ゲームが馬鹿らしくなって、止めるというのには……異論がないがね。
しかしね、それだけで終わるとは思えないんだ」
 ジノーヴィーの頭には、駅での出来事が蘇っていた。
 あのぎらついた眼差し。こちらに向けられた、濃密な敵意。
 ゾーン・ゲームがなくなったからといって、これほどの『野心』が消えるとは思えなかった。
 打ち込んでいたものがなくなったからといって、それと一緒に自然消滅してしまうような淡い感情では、あれほどの敵意は練られない。
 あの瞳や、態度から感じられた『野心』は、もっと根の深いものだった。
 そして、そんな『野心』を持つならば――

「あの子は……そのうち、『こちら側』にやってくるかもな」
『へ?』
 間抜けな声を出すディグルトに、ジノーヴィーは説明した。
「しばらくは、無気力になるだろう。打ち込んでいたものが、丸々消え去ってしまったのだからね。
だがね……彼は、じきにこう考えるはずだ。
『ああいう世界もあったんだ。スケールが、大きい。自分たちの遊びとは、比べものにならないものがあったんだ。
よし……今度はこちらで頂点を目指そう』――!
これが、『野心家』のあり方ではないかね?
例え粉々に砕かれても、すぐさま再生し、新しい目標に向かって邁進していく――真の上昇志向とは、こういう姿勢ではないかね?」
『……野心家? ジノーヴィー、一体、何を……』
「ディグルト」
 静かな声だった。
 だがそれだけで、ディグルトは口を閉じた。
 ジノーヴィーの声が、静まり返った室内を満たしていく。
「私は……ひょっとしたら、とんだ怪物を揺り起こしたのかもな。
……これは、勘だがね。どうしようもないことだが」
 そこまで言い切ると、ジノーヴィーは笑った。闘う者としての、闘争を悦ぶ獰猛な笑みだ。
 真っ赤な口の中で、犬歯がきらりと閃く。
 だがそれも一瞬で、ジノーヴィーははっと我に返った。
 まくし立ててしまったことに気づき、お茶を濁す。
「……すまない。独り言だ、忘れてくれ」

 外で、鴉がカァと鳴く。


     *


 同じ頃、ジノーヴィーの部屋の、真下――『地下空間』。
『諸君!』
 墨を垂らしたような、濃厚な闇の中――勇ましい声が響きわたった。
 よほど広い空間なのか、その声があちこちで反響し、不気味なエコーを残していく。
『我々は革命戦士団――』
 声は、そこで一拍置いた。大きく息を吸い込んで、
『「楽園の灯火』である!!』
 瞬間、拍手が巻き起こった。
 無数の手が割れんばかりの音を奏でて、大声の主を讃えあげる。
 その拍手はしばらく続き、やがてさざ波のように引いていった。
『……感謝する、同志諸君』
 と、そこで照明に灯が入った。
 天井に吊された数機の大型ライト、その強烈な光が暗闇を切り裂いた。
 そうしてみると、まず目に付くのが――壇上に立つ男だった。
 筋骨隆々とし、傷だらけの顔面にはサングラスをかけていた。そんな男が、拡声器をもって壇上に立っている。
 そして、その視線の先には――彼に向かって二列に並ぶ、数十人もの人間がいた。
 男もいる。女もいる。少数だが、老年に近い者もいた。
 一見全く統一感のない集団だが――よくよく見ると、彼らには共通する特徴もあった。
 全員、壇上の男を見つめており、一様に興奮で頬を染めているのだ。
『……あと、少しだ』
 その視線を浴び、壇上の男は口を開いた。
 感動に震えた口調で、
『……そうだ。後少しで、我々の目的が、叶う。
散っていった同志達のためにも……「これ」の引き取り、その契約は必ず成功させる。
「この上」で網を張ってる――いや、網を張っている「つもり」の連中を出し抜く。そして、都市破壊を成功させる。
そうだろう、諸君!』
 言い切ると、男は親指で後ろを示した。
 聞き手達が一斉に男から、その後方のものへと視線をずらす。
 そこにあるのは――山のような巨体だった。

 下からでは、全貌が把握できない。かろうじて、四脚の機動兵器だと確認できる程度だ。
 馬のような四本足に支えられた胴体、その上に何があるのかは――恐らく、天井からでないと分からないだろう。
『……ディアパルゾンだ』
 男が、ぽつりと呟いた。
 聞き手達が、また一斉に視線を男へ戻す。
 男は、獰猛な笑みで応じた。
『……明日は――祭りだ。
せいぜい派手に踊ろう』
 再び拍手が巻き起こった。
 だが今回のは、そう長くは続かなかった。
 気味の悪い声が、演説の盛り上がりに冷や水を浴びせたからだ。
「おめでたい人達だね」
 決して大きな声ではなかった。
 だが、それに込められた確かな侮蔑に、拍手が止む。
 空気がピンと張りつめ、場が水を打ったように静まり返った。
 そんな中、壇上の男を含めた、数十の視線が空間の端に集まっていく。
『……もう一度言ってみたまえ。ハンマーヘッド』
 男が言うと、壁際で何者かが身を起こした。
 異様な男だった。
 真っ黒のコートを着込み、サングラスをかけ、髪を剣山のような刺々しいヘアスタイルで固めている。
 それだけでも、十分に奇妙なのだが――男には、さらに異常な箇所があった。
 歯だ。
 男は三日月のように笑っているのだが――その笑みの端々から、異様なほど尖った歯が顔を覗かせていた。
 一見、ただ犬歯が見えているだけだが、それにしては数が多い。
 その正体は、ハンマーヘッドが口を開いたときに明らかにされた。
「おめでたい人達だ……と言ったのさ」
 ハンマーヘッドが応えると、男達は身を竦ませた。
 開かれた口の中では――『全ての』歯が、イルカや鮫のように尖り、白々と輝いていたからだ。
 恐らく、男達は大口を開けた怪物を連想したのだろう。それほど威圧的な歯並び――生まれつきか、加工かは不明だが――だ。

『おめでたい? 我々が?』
 壇上からの言葉に、レイヴン『ハンマーヘッド』は頷いた。
「ええ。最終チェックもせずに、浮かれているとは……愚の骨頂さ。
油断は身を滅ぼす。学校で習わなかったかい? いや、まぁそんな教育を受けていないから……こんな所にいるのかも知れないけどね?」
 容赦のない罵倒に、テロリスト達は眉をつり上げた。
 だがその一方、壇上の男は冷静に否定する。
『……馬鹿な。油断など、あるはずもない。
我々は、全てにおいて万全だ。無論、チェックにおいてもだ。その上で、士気を高めるためにこの催しを開いている』
 堂々とした言葉に、ハンマーヘッドは笑みを深くした。その表情のまま、
「……分かったよ。あんた方がそう言うのなら、何も言いますまい。
お好きにどーぞ」
 テロリスト達は、不遜な態度にいきり立った。
 だが、それも一瞬のことだった。
 次の瞬間、ハンマーヘッドは腰を曲げ、深々と礼をする。
 その明らかな服従の姿勢に、テロリスト達はぽかんとするが――すぐに、勝ち誇ったように鼻を鳴らした。
『……分かればいい』
 壇上の男も、満足したように言った。
 しかし、この時ハンマーヘッドの、サングラスに隠された目は――笑っていない。
 だがテロリスト達はそれに気づかなかった。
 気づかないまま、再び演説に戻っていく。
「……幸せな連中だ」
 ハンマーヘッドは、最後に小声で呟いた。
 薄い、だが明らかな嘲笑が、その口元には刻まれている。


     *


 そこは、少年の巣穴だった。
 戦災孤児院の、屋根裏。そこは狭く、暗く、だがそれ故に落ち着く空間だ。
 激しい野心を燃やす、獣のような少年は――疲れたりした時は、大抵ベッドではなくこちらに行く。得てして、この年代の子供は狭い場所を好むものなのだろう。
 帰ってくるなり、そこへ逃げ込む様子は、まさに巣穴に戻る狼と言えた。
「……くそっ」
 そんな『巣穴』の中で、少年は毒づいていた。
 金髪に飾られた、誰もが羨む端整な顔。それを悪鬼のように歪め、唇を噛みしめている。
 彼は今、懐中電灯の明かりを頼りに、参考書を読みふけっているのだが――全然頭に入らないのだ。
 それは少年にとって、かなり苛立つことだった。
 勉強が進まなければ、テストでいい点がとれない。いい点が取れなければ――『一番』ではなくなってしまう。
 これが、『大人』であれば『一回くらいはいいじゃないか』、もしくは、『勉強くらいいいじゃないか』と思うかもしれない。
 だが、少年は極めて高い『上昇志向』を持っていた。
 物心ついた時から、常に一番を目指していた。
 それは、もはや本能的と言っていいものである。少年は狼が肉を求めるように、『一番』という数字を病的に追い求めた。
 常日頃より、何かしらの競争に明け暮れるほどである。
 彼の日常の八割以上は、他人との競争で占められているといっても過言ではなかった。
 加えて――少年はまだ『子供』なのだ。
 大人と違い、その視野はひどく狭い。
 学校と、孤児院と、近所の街。それが、彼が持つ世界の全てなのである。
 自然、競争の数など限られてくる。
 そしてそういう状況下では、競争一つ一つの比重は、極端にでかい。たった一つの敗北が、彼のプライドを、一番であろうとする欲求を、ズタズタに傷つけてしまう。
 故に――現在の、『一つのテストで敗れるかもしれない』という悩みは、少年とって非常に深刻なのである。
 が、
「……身が入らねぇ……!」
 ついに少年は参考書を投げ出した。
 得体の知れない焦燥感と、苛立ちで気が狂いそうだった。

(なんだってんだ……)
 そうして勉強を諦めた途端、また例の映像がわき上がる。
 ついさっきのことだ。駅でこちらを見ていた、大人――その一人に、ありったけの敵意をぶつけ、挑発してみたのだ。
 それはちょっとしたチャレンジ精神の発露だったが――反応は苛烈だった。
(……まさか、あんなどろどろしたのが、来るなんて……)
 当時のことを思いだし、少年は身震いする。
 まるで巨大な毒蛇に睨まれたかのような、圧倒的な絶望感だった。勝てる気がしない、どころの騒ぎではなかった。そもそも、勝とう、闘おう、という意志そのものをごっそりと削がれた。
 きっと今日眠れば、その気配を当てつけてきた男――サングラス、黒服の男が夢に出てくるだろう。明日も明後日も、出てくるかも知れない。
「何だったんだ、あれは……?」
 少年は、喧嘩が好きだった。
 どんなスポーツで一番になるよりも、テストで一位を独占するよりも、喧嘩で、力で相手をねじ伏せた時の方が何倍も愉しかった。
 だが――そんな自分でさえ、あの男に怖じ気づいた。無様にも逃げ出した。
「くそっ」
 もやもやした思いに耐えきれず、少年は再び毒づいた。
 苛立ちのまま額に手をやる。
 と、そこで汗をかいていることに気がついた。
 興奮のせいか、それともライトのせいか、屋根裏の中は蒸し暑くなっているのだ。
(……ハンカチだ)
 少年はズボンのポケットをまさぐった。
 まずは、汗を拭おうと思ったのだ。だが、予想に反して引っぱり出されたのは――
「……スカーフ?」
 真っ赤な地に、大きな星マークをあしらったデザインだ。くしゃくしゃになったそれが、少年の前でひらひらと揺れている。
 今日、とある『チーム』と試合をした際、戦利品として投げられたものだ。
 そしてそれは、勝利の証だった。新しい区画、それが少年のものになったという証明でもある。
 いわば、ゾーン・ゲームの勲章だった。
(……なんだ?)

 少年はそれをじっと見つめていたが、不意に、眉をひそめた。
 何かが違うのだ。
 今までは、この類の品を見る度に胸が高鳴っていた。勝利の証に興奮し、寝るときまでこれらを抱いていた。
(なんだよ……)
 顔が、泣きそうに歪む。
 少年の生活、その八割以上は、競争で占められている。
 そしてその『競争』の大部分を、ゾーン・ゲームが占有していた。
 半年前より流行っていたこのゲームの性格は、それほど少年の性癖に符合したのだ。
 街全体を支配する、というスケールは少年の野心に合致した。殴り合いで優劣が決まる、というのも彼の闘争心に合致した。仲間を作れる、というのも寂しがり屋で、仲間思いで、故にこそカリスマ性を持つという特徴に、見事なまでに合致した。
 ゲームの持つ退廃した雰囲気も、どこかカッコイイと思っている。
 もはやゾーン・ゲームという悪ガキ達の祭典が、日常の根幹を成している、といっても過言ではなかった。
 そのはずだった。
 ほんの数時間前までは。
 だが、
(なんだよ、これっ)
 今は――何も感じないのだ。
 そのゾーン・ゲームの勲章に対して、感慨も、愛着さえも沸かない。ばかりか、
(……これが、何だっていうんだ? ただの布きれじゃないか)
 そういう考えが浮かびさえする。
 これはジノーヴィーが言うように、『殺し』というものを知ってしまったからだろう。
 本物の戦いを知り、自分たちの真似事が、いかに陳腐かを思い知らされた。
 だからソーン・ゲームの戦い、その価値が下がり、その結果である戦利品の価値も低下した。
 それだけの理屈だった。
 だが少年は、そんな理屈にも気づけない。
 自らの大部分を占めていた情熱が、冷え切っているのを感じ、気味悪そうに呟く。
「煮え切らないな……」
 その言葉も、とあるドラマからの流用なのだが――それにさえ、少年は気づかなかった。
 あくまで子供らしく、苛立ちと膝を抱えながら、少年は夜を過ごしていく。

 それが、『子供』で過ごす最後の夜になるとも知らないで。
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