スティーブ・ロジャース&バーサーカー

 竜は、まどろみの中である記憶を思い起こす。



 光差さぬ薄暗い洞窟。
 その暗闇を吹き飛ばさんばかりの輝きを放つ黄金の山。
 財宝を守るべく立ち塞がる、鋼鉄よりも硬い鱗を纏った巨大な竜――それが自分。
 財宝を奪うべく立ち向かう、一振りの長剣を携えた灰色髪の剣士――それがあいつ。

 竜と剣士の戦いは、三日三晩は続いただろう。
 竜は口腔から猛毒の吐息を浴びせかけ、どんな名剣よりも勝る鋭い爪を振るった。
 剣士は頑健な肉体と鍛え上げた技術を存分に躍動させ、吐息を躱し爪を弾いた。

 どちらにも決め手はなく、どちらにも退路はない。
 お互いの存在を消し去るべく戦い続け、永遠とも一瞬ともつかぬ果てに立っていたのは竜ではなく剣士だった。

 勝敗を分けたものは何だったのか、それは今になってもわからない。
 案外、ただの運かもしれない。
 だが竜はこうも思うのだ。

 たとえ何十何百、あの戦いを繰り返したとしても。




 物語の悪役が、常に正義の味方に打ち倒されるように。
 『邪竜』と呼ばれたファヴニールが、『英雄』と呼ばれたジークフリートに勝る道理など、決して有りはしないのだと。


     ◆


 一人の男が細めた眼で夜の街並みを眺めている。人の営み、日が沈んだ後もなお眠らない摩天楼。
 しかし男は、その喧騒がどこか薄っぺらく、偽物のような――演じられたものであることを、見抜いていた。

「こんな形でかつての敵国……ニホンを訪れることになるとはな」

 ぽつり、呟いた声は様々な感慨を含んでいた。
 男の名はスティーブ・ロジャース。またの名をキャプテン・アメリカ。七十年の時を越え、現代に蘇った超人兵士。

「本物の日本ではないというのに、な」

 スティーブの中には戦時中の記憶が色濃く残っている。
 三十年ほどの彼の人生の中で、およそ二十年ほどを過ごした時代。
 第二次世界大戦と呼ばれた戦争は世界を二分していた。
 スティーブ、キャプテン・アメリカはその片方、連合国軍の兵士として枢軸国軍と戦っていた。
 日本は枢軸国側、つまりは敵国だ。
 キャプテン・アメリカが所属する部隊は主にドイツ軍と戦っていたため、実際に日本軍と銃火を交わした経験はない。
 それでも、いざ自分がそのかつての敵国の土を踏んでいるとなれば、やはり複雑な思いがある。
 首を振って感傷を吹き払う。今は、過去に思いを馳せている時ではない。
 スティーブは自分が置かれている状況を改めて意識した。

 最後の記憶は、たしかバッキーを見送った後だったはずだ。
 冷凍睡眠に入るバッキーに付き添い、身を寄せているワカンダ国の王と話し、割り当てられた自室に戻る。
 僅かな休息、忍び寄ってきた睡魔に身を委ね、そこから次に目蓋を開くとここに立っていた。
 頭の中に仕入れた覚えのない知識を詰め込まれ、手の甲に盾を模したような不可思議な文様を刻まれて。
 何より驚いたのは、その文様を刻まれたスティーブの手の中に、捨てたはずの盾があったことだ。
 友への謝罪の印として、あの冷たい雪の城に置いてきたはずの盾が。

 聖杯戦争。サーヴァントという超常の存在を従えて、最後の一人と一騎になるまで戦い続ける死の遊戯。
 勝ち残った者は、あらゆる願いを叶える願望機――聖杯を手に入れる。
 聖杯。質の悪い冗談だ。まるでキューブのようではないか。
 ナチスの身を食い破って生まれた秘密結社ヒドラ。彼らがどこからか手に入れた、現世界の理を超越した謎のエネルギー体――キューブ。
 手に収まるほどの大きさでありながら、世界を揺るがすほどの力を秘めた物質。
 用途こそ違えど、聖杯もキューブも、ともに人の手にあってはならない禁断の果実だ。
 願いを叶えるという美辞麗句の裏で、一体どれだけの血を流すことを強要するのか。
 スティーブの、キャプテン・アメリカの取るべき方針は決まっている。
 戦闘行動の鎮圧、危険人物の制圧、しかるのち聖杯を確保。舞台の影に潜む黒幕の打倒。

「ワカンダとの連絡は不能。サムやバートン、ワンダの援護もない」

 身につけていた通信機の類は没収されたか、今はない。
 苦労して見つけた公衆電話からワカンダ中枢へ繋がる中継ポイントにかけてみたものの、不通。
 やりたくはなかったが、一応アベンジャーズ本部へも交信してみた。が、やはり繋がらず。
 完全に外界と隔離されたか、あるいは先んじてワカンダ国やアベンジャーズ本部そのものを壊滅させられたか。
 もしくは……考えたくはないが、この冬木市そのものがスティーブの知る『現在の世界』と違う場所にあるか。
 スティーブ自身は行ったことはないが、ソーの住まうアスガルドやかつて侵攻してきたチタウリの世界など、知性体が存在する世界は一つではない。
 そういった別の世界に連れてこられているのならば、仲間たちの救援はほぼ望めないだろう。
 だが、孤立無援というわけでもない。
 スティーブは振り向き、そこにじっと佇んでいた人影を手招きした。

「すまない、待たせたな」

 のっそりとその人物は近づいてくる。
 190cmに迫る長身のスティーブよりもなお頭一つ高い。
 荒野を思わせる褐色の肌を、ぴったりと張り付く黒い衣が覆う。
 短くまとめられた銀色の髪、銀色の瞳。尖った耳の上からは、天を目指す尖角(ホーン)が伸びる。
 彼こそがスティーブ・ロジャースのサーヴァント、バーサーカーである。

「考えはまとまったのか、マスター」
「ああ。僕には聖杯は必要ない。しかし戦いが起こるのならば放置もしない。
 聖杯を望まない者は保護し、聖杯を望む者は止める。最終的に、聖杯は壊すかどこかに封じる。誰の手にも渡らないように」

 言葉短く、だが断言する。
 聖杯を奪い合う戦いに興味はないが、それに巻き込まれた者を放っておくことはできない。
 積極的に戦う者についてはまず説得を試みるが、状況が状況だ。通じなければ実力で排除するのも已む無しだろう。

「万能の力、願いを叶える杯。そんな物は人の手に収まってはならない。
 そんな力は必ず人を狂わせ、新たな悲劇を起こす。だから僕はこの戦いを止める、そのために戦おうと思う」
「そうか。困難な道だが、俺を上手く使ってくれ」
「ん……君は良いのか? 間違いなく反対されると思っていたが」

 あっさりと恭順を示したバーサーカーに、スティーブはやや拍子抜けした心地で尋ねた。
 この戦いはマスターだけでなくサーヴァントにも意義がある。聖杯がもたらす奇跡は彼ら過去の英雄の願いすらも叶え得るのだから。
 聖杯を否定するということは、サーヴァントの願いもまとめて否定することと同義だ。
 だからこそ、合理的に考えるならば、スティーブは正直にそれを打ち明けるべきではなかった。
 なにか当たり障りのない適当な嘘をでっちあげて、バーサーカーの協力を取り付ける。
 そしていざ聖杯を確保した後で、サーヴァントへの絶対命令権――令呪を使い、彼の反抗を封じる。
 これが一般的な魔術師の考える最適解だ。
 つまり、スティーブ・ロジャーズが決して選ばない答えであるのだが。

「君はバーサーカーというが、こうして話もできる。僕の方針が何を意味するかはわかっているだろう?」
「構わないさ。俺には願いはない……少なくとも、聖杯に掛ける願いは。
 こうして召喚された以上、マスターに従う。俺はそれだけでいい」
「なんだか投げ遣りだな。もしかして、あまり乗り気じゃないのか? いや、願い以前にこの戦いについて」
「そういうわけじゃないが、ただ……すまないと思う。さっきも言ったが、お前のやろうとしていることは茨の道だろう。
 戦うべき敵、その数も質も強大なものとなるだろう。俺ではどこまで助けになれるか、その保証ができないんだ」

 なにせ俺は邪竜だからな、と自重するようにバーサーカーは言った。
 マスターの能力として、スティーブはバーサーカーの能力をつぶさに閲覧できる。
 多少癖のある能力だが、まず強力なサーヴァントと言えるだろう。魔術は門外漢であるスティーブからしてもそう思える。
 なのにこの自己評価の低さはどうか。

「僕は北欧神話には明るくないが……もしかして君は、自分が英雄に討伐された存在ということを気にしているのか?
 だがこの聖杯戦争は、世界中の英雄を呼び出すんだろう。その中には誰かに負けた奴だって大勢いるはずだ。
 負けたことがある、というだけでサーヴァントの優劣が決まるということはないだろう」
「いや、そういう意味じゃない。能力というか、立ち位置の問題でな。
 どうせなら俺じゃなく、ジークフリート……俺を倒した奴を召喚した方がお前にとっても良かったのではないかと、そう思ってしまうんだ」

 あいつは強く、恐れを知らない勇敢な戦士だからな、と。
 自らを殺した英雄を讃えるバーサーカーの瞳には、紛れもない賞賛と畏敬の念があった。
 北欧神話の大英雄、ネーデルラントの皇子、ジークフリート。
 小さき躰に収まらない、不屈の闘志。折れない勇気。強い信念。
 人として正しい、善良な感性を持つマスターに仕えるのは、奴の如き英雄こそが相応しい。
 物語で倒されるべき悪役が、正義の味方の真似事をしてもろくな事にはならない。
 そんな諦観が、このバーサーカーの裡に深く根を下ろしていた。

「一度悪として生きた者は、そうでない生き方をすることはできない?」
「まあ、そんなところだ」

 バーサーカーの事情を理解し、スティーブの脳裏に去来したのは友人であるバッキー――ジェームス・ブキャナン・バーンズのことだった。
 スティーブ・ロジャースがキャプテン・アメリカという名を持つように、バッキーもまたもう一つの名を持っている。
 ウィンター・ソルジャー。世界の裏側で暗躍する秘密結社ヒドラの工作員として操られた男。

「僕はそうは思わない」

 バッキーの存在を思い浮かべ、スティーブはほとんど意識せずそう返していた。
 スティーブらアベンジャーズがヒドラを追い詰め、バッキーはその呪縛から逃れることができた。
 彼は今は、ある小国で眠りについている。
 いつの日か、ヒドラに施された洗脳を完全に除去し、ただのバッキーとしてもう一度スティーブの隣に立つために。

「悪ってものに対して、正義っていうのは複雑だな。同じ道を歩いているはずなのに、ぶつかり合うときもある」

 次に思い出したのは、バッキーを巡る一連の事件。
 世界を守るアベンジャーズが二つに分かれて戦った……忌まわしい、だが決して忘れてはならない記憶。
 スティーブは、友と戦った。
 皮肉屋で傲慢、口も悪く常に誰かを煽り立て、だが誰よりも繊細で仲間思いのトニー・スタークと。
 スティーブはバッキーを守るために。トニーはバッキーを捕まえるために。
 断じてトニーが悪かったわけでも、間違っていたわけでもない。だがスティーブにも決して譲れない理由があった。
 バッキーは、ヒドラの殺し屋という過去に苛まれている。その罪を贖えと、トニーや世界は責め立てる。
 罪は裁かれなければならない。それは当然だ。
 人として社会の中で生きていく以上、罪から逃げて自分の思うままに生きるのはただの犯罪者だ。
 バッキー自身、己が罪人であることは理解している。トニーが自分を狙ったのも正当な理由あってのことだと。
 しかしあのとき、バッキーが素直に投降していればとどうなっただろうか。
 強大な力を持つ者を恐れる世界は、激情に駆られたトニー/アイアンマンは、バッキーを冷酷なウィンター・ソルジャーとしてしか捉えようとしないだろう。
 望まずヒドラの尖兵にされたバッキーが、己の意思で行ったものではない罪によって裁かれ、命を落とす。
 それがスティーブには我慢ならなかった。正しい法の裁きではなく、一時の時勢や感情で簡単に人の命を奪うことが。
 バッキーはもう誰も殺さないと言った。そして事実、バッキーがバッキーでいる間は誰も殺しはしなかった。それが自分を殺そうとする敵であっても。
 ウィンター・ソルジャーという悪ではなく、キャプテン・アメリカの友バッキーとして生きようとしていた。

「変わりたいと思っているのなら、いつだって変われる。その自由を邪魔することは、誰にだってできやしないんだ」

 バーサーカーが、邪竜ファヴニールが真実の悪というなら、スティーブは今ごろとっくに死体になっているだろう。
 スティーブには確信があった。自らを邪竜と嘯くこのバーサーカーの本質は、決して悪なるものではないと。
 自らの罪を悔い、その痛みに焦がされながらも前を向いて歩き続ける。
 バッキーの中にあるのと同じ光を、ファヴニールの中にも感じるのだ。


 ラインの黄金、その黄金から作られた指輪。指輪は持ち主に万能の力を与える代わりに、死の呪いをかける。
 かつてファヴニールは実の兄ファーゾルトを殺し、黄金と指輪を独占した。
 ラインの黄金がファヴニールを狂わせ、実の兄を殺させた。
 ファヴニールは指輪の力で竜に成り果て、やがてジークフリートに討たれる。
 死の間際、ファヴニールは次に財宝と呪いを受け継ぐジークフリートに警告を残した。
 若く血気盛んなジークフリートをそそのかしてファヴニールに立ち向かわせた育ての親ミーメこそ、真にジークフリートの命を狙う者であることを。
 ファヴニールは指輪の呪いによって兄を殺したが、その呪いから解き放たれたとき、自分を殺した若者にさえ助言を送った。
 それがファヴニールの偽らざる意思とするならば、指輪に歪められた魂の本質は、悪ではない。
 スティーブやバッキーと同じ、理不尽な悪を否定する善の意志だ。

「もし世界中が君に、お前は悪だからどけ、と言ってきたのなら。僕は君の隣に立ち、そこに踏み留まろう。
 だが僕はそれ以上は何もしない。そいつに言い返すのは君でなければならないからだ。
 さあ、君は何と言い返す?」

 スティーブはじっとファヴニールの眼を見据える。
 最初は戸惑い目を逸らしたファヴニールだが、じっと待つスティーブが決して妥協しないと感じ取り、やがて観念して視線を合わせる。

「お前の眼は、あいつを思い出すな。恐れを知らず、頑ななまでに己を貫く。
 誰を敵に回そうとも決して譲らず、ただひたすらに己が信じた道を行く」

 ファヴニールは思い出した。何故あのとき、自分を殺したジークフリートの身を案じたのか。
 あの瞳に、魅せられたからだ。こんな眼をするやつが、竜を討ち果たす英雄が、つまらない死に方をするのは間違っている。
 憧れたのだ。小さく未熟な、しかし勇敢な人間の剣士に。
 こうなりたいと、願ってしまったのだ。

「そうか、俺は……あいつのように、お前のように、なりたかったのだな」

 一度理解してしまえば、後はすぐだった。
 自分を裏切らない。正しいと信じた何かを、全力で守り抜く。
 今度は指輪ではなく、自らの意志で。
 そうすることで、ファヴニールはようやく、呪いの指輪が歪めた運命から解放されるのだ。

「世界中が俺に、悪はそこをどけ、と言ってきたのなら。俺は腹に力を込め、大地を踏み締めてこう言おう」

 ファヴニールはスティーブ・ロジャースへと手を差し出した。
 握り締めた拳でも伸ばした爪でもなく、和解と友好を示す開いた掌で。
 いまこのときから、ファヴニールが守るのはラインの黄金でも指輪でもない。
 ジークフリートと同じ勇気を瞳に宿す、この若きマスターである。

「知ったことか。お前たちがどけ、と」

 スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカは、その手をしっかりと握り返し、笑みを見せた。



【クラス】 バーサーカー
【真名】 ファヴニール
【出典】 楽劇『ニーベルングの指環』
【属性】 混沌・悪
【性別】 男性
【ステータス】
 筋力:B+ 耐久:A 敏捷:D 魔力:C 幸運:E 宝具:A
【クラス別スキル】
狂化:EX( - → A)
 ファヴニールは通常の状態では狂化の影響が一切ない。従ってステータスの向上もない。
 このスキルが適用されるのは、後述の宝具を使用したとき。竜の姿に転身したファヴニールは本能が荒ぶるままに破壊を撒き散らす邪竜と化す。
 マスターの命令も受け付けなくなるが、「宝具の使用を終了せよ」と二画の令呪で重ねて命じた場合に限り、沈静化させることは可能。
【保有スキル】
竜の心臓:A
 人の棲まう現世とは異なる位相、世界の裏側に在る幻想種たる竜の心臓。
 竜の心臓は半永久機関であり、呼吸するだけで魔力を生み出す。このスキルにより、通常時はマスターからの魔力供給をほぼ必要としない活動効率を誇る。
 しかし激しく負傷した状態からの回復、あるいは後述の宝具で竜の姿に転身したときは、竜の心臓を以てしても供給が追いつかなくなる。
心眼(偽):B
 いわゆる「第六感」「虫の知らせ」と呼ばれる、天性の才能による危険予知。
 視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。
黄金率:B
 人生においてどれほどお金が付いて回るかという宿命を指す。
 ラインの黄金の所有者は生涯金銭に困ることはないが、その代償として幸運値がダウンしている。

【宝具】
『悪竜の鋼鱗(スケイル・オブ・ファヴニール)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1人
 人でも竜でもなく、その中間……竜人として己を定義する常時発動型の宝具。
 ファヴニールは姿形こそ人間だが、その肌は竜の鱗、その心臓は竜の心臓、その手足は竜の爪。つまりは人間サイズの竜。
 Bランク以下の物理攻撃、魔術、宝具を完全に無効化し、更にAランク以上の攻撃でもその威力を大幅に減少させ、Bランク分の防御数値を差し引いたダメージとして計上する。
 後に自身を討伐したネーデルラントの皇子・ジークフリートが得ることになる『悪竜の血鎧(アーマー・オブ・ファヴニール)』の原型でもある。
『呪う指環よ、我が罪を述べよ(ドラゴニック・ハウル)』
ランク:A+ 種別:対城宝具 レンジ:5-50 最大補足:500人
 ラインの黄金から作られた、持ち主に不幸を齎す呪いの指輪。竜人から真なる竜に形態変化する宝具。
 手にした者に全知全能の力を与えるとされているが、ファヴニールが使用する場合、その力はかつて己が変じた竜の姿を呼び起こすことになる。
 このときのファヴニールはまさしく邪竜と呼ばれる存在。身の丈は30mに膨れ上がり、空を舞う翼と城壁を打ち砕く尾を得て、体内で生成した毒のブレスを吐く。
 幸運を除く全パラメータに「+」補正を付加。更にAランクの狂化スキルが発動し、マスターの命令も受け付けなくなる。宝具解除には二画の令呪の重ねがけが必要となる。
『ラインの黄金』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1人
 ファヴニールの死と同時に自動的に発動し、「自分を殺した者」に逃れ得ぬ呪いを押し付ける宝具。
 持ち主に無限の富を与え、同時に死へと至る呪いを与える血塗られた財宝。かつてファヴニール、そして彼を倒したジークフリートに死を招いたもの。
 対象にA+ランクの「黄金率」を付加し、更に幸運値のパラメータを「EX」に改変する。
 この幸運値は云わば反転した幸運、つまりは「不運」である。あらゆる行動に対し「Aランクの効果失敗判定」「他人の意志が介在しない偶然の不利益」を受けるようになる。
 剣を振れば柄は血や汗で滑り、魔術は集中が乱れ狙いが定まらず、風が舞い上げた木の葉は視界を遮り、流れ弾は壁に跳ね返って集中する。
 効果はおよそ六時間持続する。解除するためには時間経過を待つか、A+ランク以上の宝具を以て浄化するしかない。

【weapon】
「竜の爪」
  両手を覆うガントレット状の竜鱗から30cmほどの鋭利な爪を伸ばす。
【人物背景】
 歌劇「ニーベルングの指輪」の登場人物。
 天上の神々は巨人族の兄弟に居城ヴァルハラの建設を依頼し、兄弟はその報酬として女神フライアを要求する。
 主神ヴォータンはその申し出を拒否し、代わりにラインの黄金を提供することにした。
 地下世界ニーベルハイムの王アルベリヒを捕縛したヴォータンは、その自由の代償としてラインの黄金と、黄金で作れられた指輪を奪う。
 指輪は手にした者に万能の力を与える。しかしアルベリヒはこの指輪に死の呪いをかけた。
 財宝を手に入れた巨人たちは呪いのために我を失い、兄弟同士で殺し合う。
 兄であるファーゾルトを手に掛けたファヴニールは指輪の呪いで竜へと変じ、財宝を洞窟の奥に隠しその番人となった。
 やがて、ファヴニールのもとに一人の勇者が現れる。竜殺しの剣を手にしたその勇者は、恐れを知らぬジークフリートと名乗る――
【サーヴァントとしての願い】
 正しいと思ったことを為す。正しいと信じられるマスターを守る。


【マスター】
 キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャース
【出典】
 マーベル・シネマティック・ユニバース
【能力】
 超人的な身体能力、豊富な戦闘経験、多種多様な格闘技、銃火器知識。
 特製の盾を用いた投擲・近接戦闘技術。集団を率いる指揮能力。
【人物背景】
 第二次大戦中のアメリカ軍が行ったスーパーソルジャー計画によって誕生した超人兵士。
 超人血清によってスティーブの肉体は変貌、人体の限界と呼べるほど高密度な筋肉を手に入れた。
 一兵士として秘密結社ヒドラと死闘を繰り広げ、ついにその首領たるレッドスカルを討つも、北極海に沈み七十年眠り続けることとなる。
 やがて未来で目覚めたスティーブは、何もかも変わってしまった世界に戸惑いながらもかつて信じた「正義」を追い求めて新たな戦いに身を投じていく。
 参戦時期は「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」の後。盾はなぜか手の中にあった。
【マスターとしての願い】
 人間の手に余る奇跡など信じないし必要ない。戦えない、戦いたくない者を守る。

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スティーブ・ロジャース :WINter soldiers
バーサーカー(ファヴニール)

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最終更新:2016年11月27日 22:12