<判決>
当該取引において取締役は取締役としての善管注意義務、忠実義務に違反したとして原告らの請求を一部認容した。


<事案概要>
本件は甲事件(第一次訴訟)と乙事件(第二次訴訟)からなる。

  • 甲事件(リスク管理体制)
大和銀行ニューヨーク支店の行員が財務省証券の無断取引において損失を出し、その損失を隠ぺいするために同支店の保管する財務省証券を無断売却し、大和銀行に損害を与えた。右損害金を同行株主が同行に対し損害賠償を求めた事件。

  • 乙事件
大和銀行が甲事件の損害が発生したことを米国当局に隠匿し、米国において刑事訴追を受け、有罪の答弁を行って罰金を支払った。右罰金および弁護士報酬を同行株主が同行に対し損害賠償を求めた事件。


<判決に至った経緯>
1 被告らに内部統制システムの構築に関し、任務解怠行為があったかどうか(甲事件,乙事件)
①フロントオフィスとバックオフィスの分離
証拠上、一応分離は実施されていた。
②財務省証券取引業務とカストディ業務の分離
当初、両部門は分離されておらず、分離後も人事配置の面で十分ではなかったものの、証拠上、分離により本件無断取引及び無断売却を発見、防止することができたとは必ずしも言えない。
③財務省証券の保管残高の確認方法
カストディ業務に内在するリスクを適切に管理する仕組みは整備、実施されていたものの、検査方法は検査対象者に隠ぺいの機会を残した。

⇒リスク管理体制は整備されていなかったとは言えないが、財務省証券の保管残高の検査方法が著しく適切さを欠いていた。

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最終更新:2010年07月01日 04:47