(慶應)立論

(最高裁判決読み上げる)引用終了。

 我が班は、当該判例の結論は妥当でなく、会社代表者にはリスク管理体制構築義務違反の過失があり、有価証券報告書の虚偽記載による不法行為責任を負うべきだと考える。
 過去のリスク管理体制に関する判例を元に、以下4点の理由を述べる。

1・法令遵守体制の不存在
 東京地裁平成16年5月20日判決(判例時報1871号125頁)の三菱商事事件判例、大阪高裁平成18年6月9日判決(判例時報1979号115頁)のダスキン事件判例に判示されている内容を見るに、当時Y社に法令遵守体制は整備されていなかったといえる。 

2・ライバル会社に比して劣っていたリスク管理体制
 当時のY社のライバル会社3社のリスク管理体制を鑑みるに、監査等のリスク管理体制も他社に及ぶところではなく、不十分であったといえる。

3・営業部のY社からの非独立性
 東京地裁平成17年2月10日判決(判例時報1887号135頁)の雪印食品牛肉偽装事件から見るに、当該営業部はY社から独立していたものではないため、取締役が当該営業部からの報告を完全に信頼したことや、十分な違法行為防止の方策をとっていなかったことは善管注意義務に反するというべきである。

4・被害の大きな違法行為の継続性
 本件不正行為は長期的に、約4年間にわたって行われていた。前例はなかったが、11億円強という多額な被害を出し、株主に大きな影響を与えた。
 前述の雪印食品牛肉偽装事件からみるに、株主が損害を被ったことにつき、取締役にリスク管理体制構築義務違反の過失があったとされるべきである。
(以上)

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最終更新:2010年07月08日 23:21