雪印食品で起きたいわゆる牛肉偽装事件に関し、当時の役員らに対して提起された株主代表訴訟において、当時の役員らには、牛肉偽装事件に具体的に関与したことはなく、監視義務違反等も認められないとして、原告の請求を棄却。
国内でBSE対策として国が行った事業(検査前にと畜解体処理された牛の買い上げ)において、当該会社の現場従業員が国産牛に輸入牛肉を混入させて国に買い上げさせていたことが発覚、対外的信用がなくなり解散。ここにおいて株主であるXが当時の代表取締役他役員12名を相手に株主代表訴訟を提起、損害賠償請求。
前提として、
偽装の実行犯4名は詐欺罪で有罪が確定。ミート部門の担当役員2名については事件への関与が認められないとして刑事裁判において無罪が確定。
(1)担当役員2名は本件における証拠一切を検討しても実行犯である現場職員に事実上作業を一任していた。
(2)買上申請は日常レベルの作業であり、比較的短期間に行われたため偽装を防止し得なかった。
(3)以上より担当役員2名には取締役としての注意義務違反があったとはいえない。
(4)常勤取締役会に出席した役員らにおいても監視義務違反を問うことはできない。
(5)本件各証拠に照らしても役員らの善管注意義務違反は認められない。
最終更新:2010年07月01日 00:27