ゆっくりいじめ系3121 ビードロヨマ

ビードロヨマ



キリウム 作


閑静な住宅地のやや外れにある大きな建物。
ここは親を失ったり虐待を受けた子どもを保護し生活する、俗に児童福祉施設と呼ばれている施設だ。
元々はホテルだった建物をリフォームして使用してるので結構豪華だったりする。
裏手には山があり、たまにゆっくりが現れてご飯をねだることもある自然が多い場所だ。
私はここで子ども達のお世話をしながら住み込みで暮らしてる。
子ども達からは「お姉ちゃん」や「ハル姉ちゃん」と呼ばれている。
毎日子ども達の成長を楽しみに生活している。

ある日、回覧板がいつものように回ってきた。
内容はほとんどは当たり障りのない事、振り込め詐欺に気をつけるようにといった事ぐらいだった。
しかし最後に一番注意しなくてはいけない事が記されていた。
『近辺でドスまりさの目撃例が数件確認されています。子どもやお年寄りが怪我を負うことのないように注意してください。』
ドスまりさ・・・。本来ゆっくりというものは精々大きくてもバレーボールほど。
しかしドスのレベルになると4mオーバーはざらなのだ。さらにドスだけができる技というものがあり
『ドススパーク』
これは摂氏数千度の光線を吐きだす技で、この所為で年間十数人が犠牲になっている。
もっとも殆どのドスは知能が高く、また温厚な性格のため人間に危害を加えることはない。
寧ろ人間と共存共栄を成功させてる個体もいるそうだ。
だが例に外れるタイプもいるわけで、そういうドスが人間を殺したりしているのである。
とりあえず、帰ってきた子ども達にドスまりさに注意すること。
見つけたら携帯ですぐに助けを呼ぶ事を教えて遊びに行かせた。

それから半月ほどした朝。いつものように子ども達と朝食を食べ学校に行かせようとした、その時

「ハル姉ちゃん!!ドスがいるよ!!小さいのもいっぱいいる!!」

と子どもたちが慌てふためいて玄関から入ってきた。
まさか・・・そう思いながらも玄関を出ると・・・いた!!
10mほど先に3mほどの大きさのドスまりさがこちらをあのにやけた顔で見ながら何故か涎を垂らしている。
小さいゆっくり達も何やらモゴモゴ言いながら涎を垂らしている。よく聞くと

「あのにんげんのおうちからおいしいにおいがするよ。はやくうばってあまあまさんたべようよ。」

と言っている。さっき朝食を済ませたばかりなのでその匂いに釣られて出てきたか・・・。
何とかして帰ってもらおうと話をしてもらうことにした。

「あの~、ドスさん。子ども達が学校に行けなくなるから、しばらくの間その場所を退いてもらえるかなぁ?」

温和な性格のドスならばすぐにでも退いてくれただろう。しかし、ドスは信じられない言葉を口にした。

「ゆゆっ、人間の事なんかどうでもいいんだぜ。さっさとあまあまくれなきゃドススパークを子ども達にお見舞いするだぜ!!」

そう言いながらドスは口を大きく開けた。まさか・・・

「皆、急いで隠れて!!!!」

私が言うと同時に子ども達は全員玄関の中に入り隠れた。
次の瞬間、子ども達がさっきまでいた場所がドススパークで吹き飛んだ!!
粉塵とともにドスの高笑いが聞こえる。

「これでもあまあまくれないって言うかだぜ?もっと酷い事にならないうちにとっとと消え失せろだぜ!!」

そう言いながらドススパークを子ども達の自転車置き場に放つ。
自転車が飴のようにひしゃげ、焦げていった・・・。
後ろからすすり泣く声が聞こえる。
子ども達が泣いてる・・・。一緒に補助輪なしで乗れるように練習した自転車。そんなたくさんの思い出がこの饅頭一匹のせいで消される。
―と玄関わきに何か置いてあるのを見つけた。ドスに気を配りつつもそれを確認する。
それは―凧糸だった。しかし、ただの凧糸じゃない。けんか凧用に作られた特殊な凧糸でこの地方ではビードロヨマと言われていた。
長さは大体7mほどか、色々考えていて、ふとこれであいつ等は切れるのかという疑問点にたどり着いた。
警察には電話をしているがなかなか来ない。ここ数年事故ひとつ起きてない場所なので驚いて対応が遅れているのかもしれない。
しかしこれ以上放っておくと子どもたちの命が危ない。よし、ひとつ賭けてみよう。自分の命を賭け金にして―――
私は裁縫の指抜きを右手の中指に取り付けて、そこにビードロヨマの片方をしっかり結ぶ。そして片方にはポケットに入っていた針の中で一番長い針を括り付けた。

「何ごそごそしてるんだぜ!?早くしろって言ってるんだぜ!!」

ドスは私のすぐそばにドススパークを撃ち込んだ。粉塵が上がる、今だ!!
私は粉塵を隠れ蓑にしてドスの方向に突っ込んだ。
後ろで子どもたちが何か言っているが聞こえない。すぐに視界がきれいになった。と同時にドスの顔が見えた。
驚いている。今までたくさんの人にこの行為を行い、食べ物をせしめていたのだろう。足元にゆっくり達がいたが無視して踏みつぶす。

「ぶぎゅ!!」
「ぶれぇ!!?」
「れいむだぢなにも゛W―ぶにゃ!!」

足元に響く小ゆっくりの断末魔。それも今から私が行う処刑のファンファーレでしかなかった。
―お姉さんを怒らせたら怖いわよ―そんな言葉を昔聞いたような感じだが今の私はまさにそんな状態だった。

「ゆっ!!お姉さんは馬鹿だね、ドススパークでしねえええええぇぇぇぇぇ!!!!!」

ドスまりさが私に向かって大口をあける、この瞬間を待ってた。
私は勢いをさらに加速させドスに向かって突進した!!同時にヨマの片方にくくりつけてた針をドスの前の地面に深々と差し込んだ。
ドスの下あごをジャンプ台代わりにドスを飛び越え後ろに回る。そして落下の勢いをつけて私は力の限り糸を張った。

「ふぁ・・・ふぁごおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!??」

背中越しに悲鳴が聞こえる。私の目論みはどうやら成功したようだ。
うまくヨマがドスを縦一閃に切り裂いてくれた。
何しろ、人間ですら骨を切断する事もある糸である。それがただの饅頭なら切るのも容易い。

「あ・・・うぐ・・・えう・・・。」

縦に切られているので中枢脳と口をやられたせいか不明瞭にしか話せないようだ。
さらにこれでドススパークも撃てない。なんという一石二鳥。

「ぶぁ、ぶぁぶぁあがー!!」

さすがに今のは誰が聞いてもババアとしか言ってないな。

「失礼ね、私はまだ20代前半よ。」

そう言って糸を強く引っ張り針を抜き、手元に針を引き寄せる。そして近くの木に針を打ち込み
そこを起点にドスまりさの周りを素早く回る。

「も゛う゛ぎゃべでぇぇ・・・!!」

ドスが必死に懇願するが無視。玄関の方からは他の職員に守られているけど私を応援してくれる子ども達の声が聞こえた。

「ハル姉ちゃんカッコイイ!!」
「お姉ちゃん、僕達の自転車壊したドスを懲らしめて。」
「ハル姉ちゃん、ヘルシングのウォルターさんみたい!!」

最後のウォルターさんは誰の事か分からないけど、この子たちの笑顔を守るためにドスを処刑する・・・。
ドスの体にまんべんなくヨマがめり込む。少しづつ、少しづつ・・・。

「どすをたすけてあげてね。」
「どすをころすばばあはしねだぜ!!」
「ひぃ~ぃ、どずうううぅぅぅ!!」
「わかんないよー!!」

足元にいた生き残りのゆっくり達が口々にドスを助けろだの言っている。
ドスの方はというとヨマがだいぶめり込んだせいかしゃべる事が出来なくなってる。
ただし、目だけは恐怖の色に染まっていた。

「ゆっくり達、よく見ておきなさい。これが人間の大切なものを奪おうとしたゆっくりの末路よ。」
「横一閃!!」

叫ぶと同時に糸を強く引っ張る。
ドスまりさは新しい切断面を作り上げて・・・死んだ。

「に、にんげん゛ごわ゛いよ゛ぉぉぉお!!」
「に、にげるんだよぉぉぉぉ!!」

足元にいた生き残りたちは急いで山に帰って行った。
ここにいるのはドスまりさだったものと餡子にまみれた私だけ。
その5分後、警察がゆっくり駆除のスペシャリストを連れてやってきた。
警察はどうやって処分したかを説明した時、大変驚いていた。
それもそうか・・・小柄で非力な女性がビードロヨマだけでドスまりさを倒したんだから・・・。
ドスまりさの近くではドスの塊を処分しているスペシャリストさん達とそれを珍しそうに眺める子ども達がいた。
学校に連絡したところ、念のため今日は休んでていいと言われたそうだ。

「ねぇ、お姉ちゃんのこと・・・怖くなった?」

近くにいた子どもに聞いてみた。
彼はにっこりと笑いながら抱きついた。

「お姉ちゃんとってもかっこよかったよ。だからずっと一緒にいてね。」

私はホッとしながら彼を強く抱き返した。








後日、感謝状を警察から渡された。まさかこんなことで貰うなんて・・・。
回覧板にも載ってしまい近所で有名になってしまった。恥ずかしいよ~。
ついでにヘルシングという漫画を読んであの時のウォルターさんをようやく理解した
ハル姉さんだったとさ、めでたしめでたし。




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最終更新:2011年07月29日 02:42
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