※お下品なネタ注意。
































 ある晴れた秋の日。
 柔らかく気持ちの良い日差しに目を細めていると、草むらから妙な声が聞こえてきた。
 何だろうと思いながら邪魔な草を避けた俺は、すぐに身を伏せた。
 二匹のゆっくりが、何かをしている所を見たからだ。

「……ぃ!」
「……ょ!」

 何か話し合っているらしいが、ここからでは聞こえない。
 仕方がないので近づいてみる事にした。
 もちろん、隠れるために可能な限り身を低くする事は忘れない。

「……ん! ゆ……!」
「ゆっ……! ……ね!」

 ガサガサと草が鳴っているにも関わらず、奴らは気付く気配もない。
 隠れる必要性に少しだけ疑問を覚えつつ、ゆっくりどもにバレない様に慎重に近づくと、奴らの会話が聞こえるほどの場所まで来られた。
 念のため(あくまで念のためだ。ゆっくりどもは俺の存在に全く気付いてはいない)うつ伏せになって様子を伺う事にする。
 ここまで来て気付かれたら元も子もない。呼吸音さえも気にしつつ、俺は奴らの会話に耳を立てた。

「……ゆーん! ゆーん! ごめんなぢゃいぃぃぃ!!!」
「……ゆっくりあやまってね! ゆっくりはんせいしてね!」

 大きなゆっくりがゆーゆーと泣き叫ぶ小さなゆっくりを叱り付けている。
 揃って間抜けな声を辺りに響かせるゆっくりの姿は、俺の虐待魂を激しく揺さぶるものだ。
 こいつらをどう虐待してやろうかと考えつつ、ゆっくりどもの会話を聞き続ける。

「おがーぢゃんごめんなぢゃいぃぃぃ!!!」
「だめなこはゆっくりはんせいしてね!」

 大小のゆっくりだから親子かもと推測していたが、親子だと自分で宣言した。
 こいつらは何故いつも説明口調なのだろうかなどと考える俺をよそに、ゆっくりどもの会話は続く。

「おねむのまえはきをつけてっていってるでしょ!」
「だっでふぢあわぢぇーだっだんだもんんん!!!」
「ふしあわせーでもがまんしなきゃだめなときもあるっておかーさんはいったよ! ゆっくりはんせいしてね!」

 親ゆっくりの怒りはかなり激しいらしく、何度もぷんぷんと言いつつその場でぽよんぽよんと飛び跳ねている。
 今すぐ飛び出して二匹ともすり潰してやりたいが、そこをぐっと堪える。
 話の流れによっては、この会話も虐待の一つとして使えるからだ。
 一言も聞き逃さない様に注意深く聞いていると、意外な言葉が耳に飛び込んできた。

「おねむのときにしーしーするこは、ゆっくりさせないからね!」
「ごめんなぢゃいぃぃぃ!!! ごんどがらおぢょとでぢーぢーぢゅるがらゆっぐりぢゃぢぇでぇぇぇ!!!」
「こんどやったらにどとゆっくりさせないからね! ぜったいだよ!」

 親ゆっくりはぷんぷんと効果音を自分で言いながらも、内心は許している様だ。
 子ゆっくりも、それほどの時を置かずに許された事に気付くだろう。
 微笑ましい親子の図。
 いつもならもう飛び出してもおかしくない頃だが、今のこいつらは俺の虐待魂には響かない。

――ゆっくりも寝小便をする。

 その事実から、新たな虐待方法を思いついたのである。
 俺は、秋の清々しい空気を楽しむ事も目の前のゆっくりをずたずたにしてやる事も忘れて家へと急いだ。
 後ろから「ひゃっはぁ!」「ゆぎゃぁぁぁぁ!!!」「おがあぢゃぁぁぁぁん!!!」などと聞こえたのは、気のせいだろう。





 『おねしょゆっくり』





 準備そのものは簡単なものだったが、この虐待をするためには夜を待たなくてはならない。
 丑三つ時近くまで待ってから向かうのは、近くの洞穴。
 そこにゆっくりの家族がいる事は既に確認している。
 鈴虫の鳴く中をゆっくりと歩いていくと、すぐに巣を見つける事が出来た。

「……ゆっくりしていってね」

 念のために巣の入り口で声をかけてみるが、数呼吸待っても返事はない。深い眠りに入っているのだろう。
 巣に入ると、案の定ゆっくり達は熟睡していた。

「ゆぅ……ゆっくりぃ……ゆふふ♪ れいむのあかちゃんかわいいよぉ~……」
「ゆっくりぃ……ゆっくりちていってねぇ……ゆふん♪」
「ゆっくりおいちちょうだよ……むーちゃ、むーちゃ……ちあわちぇ~……ゆふふぅ♪」

 のんきに寝ているゆっくりどもを見ると、悲鳴を上げる暇もなく皆殺しにしたい。
 だが、今回は潰すのが目的ではないからぐっと堪えて、音を立てない様に巣の奥まで入り込んだ。
 狙いは間抜け面をして眠っている親ゆっくりだ。

「ゆぅ~……ゆっ、あま~いおみずさんがたくさんあるよ~……みんなでいっしょにごーくごーくしようねぇ……」
「おみぢゅさん、れいむものみたい~、ゆぅ……ゆぅ……」
「れいむはおかちちゃんをたべてりゅからいらないよ~……むーちゃ、むーちゃ……ゆふふん♪」

 間抜け面で眠っている親ゆっくりのそばまで来て、細工を済ませる。
……しかし、顔がはっきりと分かるほどに近づいたのによだれを垂らしているというのは、野生生物としてどうなのだろうか。
 そのおかげでこういう虐待も出来るのだから、文句を言う筋合いはないのだが。


 準備が終わったら、後は待つばかりだ。
 用意しておいた寝袋に包まって、朝を待つ。
 鈴虫の鳴き声が、心地良い眠りへと誘ってくれた。







「ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!!」
 朝、甲高い悲鳴で目を覚ました俺は、痛む耳を押さえつつ巣を覗き込んだ。
 中には、酷く動揺した様子の親ゆっくりと、それをじっと見つめている子ゆっくりがいた。

「ちがうの、これはちがうの! れいむはしてないよ! してないもん!!!」

 首の付け根辺りを濡らした親ゆっくりが、顔中から脂汗をかいて必死にしてないしてないと叫んでいる。
 身体を左右に振っているのは、人間が首を振るのと同じ意味があるのだろうか。
 だが、そんな親を見る子供達の目は酷く冷ややかなものだ。

「……ぢゃあだりぇがちたの? れいむもおねーちゃんもちてないよ」
「……おねちょちゅるなんて、おかーちゃんはゆっくりちてないこなんだね」
「だがらぢがうのぉぉぉ!!! れいむおねじょなんがじでないよぉぉぉ!!!」

 子供達の冷たい言葉を否定しようと、絶叫する親ゆっくり。
 あまりに大声を出しているからか、首元からしぶきが飛び散った。
 子ゆっくり達はそれを汚らしそうに避けつつ、より冷ややかな視線を親に浴びせる。

「きちゃないものとばちゃないでね!」
「おねむのまえにちーちーちなかったけっかがこりぇだよ!」
「ぢがうよぉぉぉ! れいむおねじょぢでないよぉぉぉ!!!」

 どうやら成功したらしい。ほくそ笑みながら、目を凝らして様子を伺う。




 そう、れいむがしたおねしょは、俺が仕込んだものだ。
 夜の間に巣に忍び込んで、汁粉をれいむの首の辺りに撒き散らせておく。
 それだけで、れいむがおねしょをした様に見えるという寸法だ。

「……おかーちゃん」
「ゆっ、なに?」

 冷たいまなざしの子供と、ビクビクしている親。
 昨日見たゆっくりとは正反対だな、などと考えつつ眺め続けていると、子ゆっくり達は親ゆっくりと距離をとりだした。

「「おかーちゃんみたいなきちゃないこは、おうちにはいらないでね!」」
「ゆうぅぅぅぅぅ!!! おがーざんになんでごどいうのぉぉぉ!!!」

 その場を動かずに叫ぶ親ゆっくりの顔色は真っ青で、白目をむいていた。
 愛する娘から家に入るなとまで言われたのだし、素直に言う事を聞けば家から出なくてはならないのだから当然の反応だ。
 かなりのショックを受けたらしく、そのままぶるぶると震えている親に向かって、子ゆっくり達は更なる追い討ちをかける。

「きちゃないこはどっかいっちぇね! れいむたちもきちゃなくなっちゃうよ!」
「おかーちゃんはくちゃいよ! れいむとおねーちゃんにはもうちかぢゅかないでね!」
「ゆぎゅあぁぁぁぁぁ!!! どうじでぞんなごどいうのぉぉぉ!!!」

 おねしょ一つでここまで言うのかとは思うが、きれい好きなゆっくりからしたら決して許せない事なのだろう。
 俺は、慌てて口を押さえた。
 そうしなければ、あまりの面白さに噴き出して気付かれてしまう。

「ゆ……ゆ……ゆえええええん! れいむほんどにじでないもんんん!!!」
「おかーちゃんおちょなのくちぇにゆっくりないてりゅよ」
「おお、なちゃけないなちゃけない」

 とうとう泣き出してしまった親ゆっくりだが、対する子供達の対応はどこまでも冷たい。
 それどころか、ウザい顔になって更に追い詰める様な事を言い出した。
 ここまで言われたら攻撃しそうなものだが、この親ゆっくりは随分と大人しいらしい。
……まぁ、それすら考え付かないほどに打ちのめされているだけなのかもしれないが。

「「おねちょちたゆっくりは、ゆっくりちないでちね!!!」」
「れいむおねじょなんがじでないのにぃぃぃ!!!」

 止めの一言に耐え切れなくなったらしく、親ゆっくりは涙とおねしょの跡を残して巣から飛び出していってしまった。
 ゆええええんと騒がしく跳ねているゆっくりから、涙とおねしょのしぶきが飛び散っている。きたねぇ。
 どうでも良い事だが、あのまま外に出たら周りにバレるんじゃなかろうか。

「おねちょちたおかーちゃんがどっかいっちゃね。これでゆっくりできりゅよ!」
「だめなこだよね、ゆっくりちてないよ。あんなおかーちゃんより、ごはんたべちぇゆっくりちようよ!」

 一方の子ゆっくり達は、おねしょをした親を追い出せて満足しているらしい。
 ゆっくりと食事をとって、そのままゆっくりしている。
 こいつらはこいつらで、備蓄食料がなくなったらどうやって生きていくんだろうか。











 おねしょ一つで家族を完全にぶち壊す事が出来るという事を知った今、これを利用しない手はないだろう。
 次はどの家族の絆を壊すかな……思わず笑いがこみ上げてくる中、次の虐待先を考える。
 遠くから「れいむおねしょしてるー!」「ゆわぁぁぁぁん! れいむおねじょなんがじでないよぉぉぉぉ!」というやりとりが聞こえてきた様な気がした。















 ゲロの次はおねしょ……まぁ、こういうのは人間性を表してるんでしょうね。
 お下品ですいません。
 by cyc=めて男

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最終更新:2022年04月17日 00:20