スパーンッ、と何とも軽い音が響いた。拡声器を使って叫びまわっていた
浦飯幽助の頭が、いきなり叩かれたのである。
「ってーな!! 何すんだ、コラァ!!」
「アンタの方こそ、何やんてるんスか!? そんな大声出してちゃ、皆が集まってくるじゃないですか!!」
浦飯の声にも負けず、リヴィオも怒鳴り返した。まだ幼さを顔に残す男が、自らの存在を誰をも省みることなく大声でアピールしまっくているのだ。守る。それを決意したリヴィオにとって、誰かが命をかけて危ない橋を渡る真似など、到底許せるものではない。リヴィオの心情に怒りの火が点くのも無理なかった。とはいえ、浦飯にとってすれば、それは余計なお世話でしかない。彼も一応それなりに考えてはいるのだ。
「人が集まんなきゃ、意味がねーだろうが!! このスカタンが!」
「スカタンは、そっちでしょッ!! あなたのやり方じゃ、危険な奴らだってやってくるんスよ!」
「そん時は、ぶっ飛ばせばいいだけだろうが、このタコ!」
「……このバカが」
リヴィオは浦飯の無知に呆れかえった。ナイブズやレガートといった化物を知っているリヴィオにとって、目の前の少年の行動は自殺以外の何ものでもない。彼のためにも、早急にこの場での理を説き、その行動を諌めなければならないだろう。しかし、そうしようとしたリヴィオの口は、浦飯によってすぐに邪魔されることになった。浦飯がいきなりリヴィオの襟を掴んで、言葉を叩きつけてきたのだ。
「ああ? 誰がバカだ、コラァ!? ケンカ売ってんのか、てめーは!?」
「……呆れているだけですよ」
「それがバカにしているんだろうが! やんのか!?」
顔の表情筋を巧みに使い、浦飯はリヴィオを睨みつけた。その形相は相手が小心者であれば、あるいは臆病風に吹かれるかもしれないものだが、生憎とリヴィオの決意は、その程度で揺らぐことはない。リヴィオは真っ直ぐと浦飯の目を見返した。
「とにかく、あんなバカな真似はやめてください。話の内容からして、殺し合いに乗っていないのは、分かりましたから」
「ケンカ売ってきたのは、てめーだろ? 善良な一般市民をいきなり殴っといて、ワビの一つもなしか、コラ?」
色々とツッコミ所満載な浦飯の発言だったが、このままでは一向に会話が前に進まないと判断したリヴィオは、素直にその舌鋒を収めることにした。
「ご、ごめんなさい」
その言葉を聞くと、浦飯はリヴィオの襟を引っ張り、彼の顔を間近にまで引き寄せ、眼光鋭く相手を見据えた。しかし何かに納得したのだろうか、次の瞬間には浦飯は襟を持っていた手を離し、邪気のないカラッとした笑顔をリヴィオに送った。
「まあ、気にすんなよ! そっちも俺のことを心配してのことだろう? 悪かったな」
「はあ、いや、別にいいスけど。えと、それで一応確認しときますけれど、この殺し合いには乗っていませんよね?」
「ああ? こんな胸糞ワリー殺し合いなんざ、ハナから興味ねーよ。まあ、売られたケンカは買う主義だけどな!」
浦飯は一切の警戒を解き、明朗に声を発した。相手を疑わない浦飯の姿勢はバカそのものだが、それと同時に与えられる相手への信頼は、やはり嬉しいものだ。リヴィオも慣れない笑顔で浦飯を迎えた。
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「んじゃあな!!」
リヴィオの制止も待たずに、僅か一言のみを残して、浦飯はまた矢のように駆けていった。リヴィオの説得もあって、闇雲に叫んで回るのは止めることに同意してくれたが、浦飯は仲間と敵を探すのは止められないという。危険な人物の特徴は一通り教えたので、あいつらに近づくことはないと思うが、どうにも不安が拭えない。
やはり浦飯に付いていくべきだろうか。しかし弾薬の山が及ぼす危険性のことを考えると、この弾薬庫から離れるのは気が引けた。とはいえ、無鉄砲な浦飯を放っておくというのも、また同様にリヴィオを悩ませていた。さて、一体どうするべきか。そうしてしばらくの間、思案に耽っていると、人の気配がこちらに近づくのをリヴィオは感じた。ひょっとして浦飯が、こっちに戻ってきてくれたのか、とリヴィオは淡い期待を抱いたが、それはすぐに裏切られることとなった。
「こっちの方から、浦飯の声が聞こえてきたと思ったけれど、気のせいだったかねえ」
見知らぬやせ細った男が、リヴィオに声を掛けてきた。見た目こそ、人として成しているが、そこから放たれる血の臭いは濃厚なもの。浦飯とは違い、この男は間違いなく人の道を踏み外した外道だ。
「アナタは……?」
「戸愚呂っていうものだけど、聞いていないかい? それで浦飯はどこにいる?」
「……知りません。例え知っていても、アナタには教えられません」
リヴィオはそう言って、二重牙(ダブルファング)を構えた。浦飯から戸愚呂との因縁は聞いたが、相対とした今となっては、浦飯のことなど教えられない。戸愚呂は、自分と同じクソのような地獄の世界で生きる人間だ。外道の相手をするのは、同じく堕ちた外道でいい。血と硝煙と死とは無縁の浦飯は、もっとまともな道が用意されているはずなのだから。
「やれやれ、弱い者いじめは嫌いなんだがねえ」
戸愚呂はリヴィオの台詞を聞くと、重く溜息を吐いた。だけど、そこにはこれからの行動を厭う気配など、微塵も感じられなかった。その証拠にと、戸愚呂は上着を脱ぎ捨て、膨大な筋肉を隆起させる。
「まあ、あんたの悲鳴が聞こえれば、浦飯も出てくるだろう」
「ハッ、やってみろ!」
リヴィオは、その言葉と一緒に反逆の銃弾を放った。
【一日目 黎明】
【現在地 B-5 弾薬庫前】
【
リヴィオ・ザ・ダブルファング@トライガン・マキシマム】
【状態】健康
【装備】二重牙(ダブルファング)@トライガン・マキシマム
【道具】支給品一式
【思考】
基本 殺し合いの打破
1. 核爆弾と弾薬を危険な奴らから守る
【備考】
※弾薬庫には核爆弾@トライガン・マキシマムが置かれています
※浦飯の仲間と敵の情報を得ました
【
戸愚呂弟@幽遊白書】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】武器支給品、ランダム支給品、支給品一式
【思考】
基本 浦飯と決着をつける
1. リヴィオに悲鳴を上げさせる
【現在地 B-5】
【浦飯幽助@幽遊白書】
【状態】健康
【装備】拡声器@オリジナル
【道具】武器支給品、支給品一式
【思考】
基本 バーンをぶっ倒す
1. 仲間と合流
2. 戸愚呂と対決
【備考】
※名簿は引き千切られて捨てられました
※リヴィオの仲間と敵の情報を得ました
【支給品説明】
リヴィオがかつて在籍した「ミカエルの眼」という暗殺組織の作り出した銃器。前と後ろに銃口を持ち、前後同時射撃が可能とする二連式機関銃。描写から威力は現実の対物ライフルを遥かに超えている。
最終更新:2012年04月27日 21:05