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ブレンダン・デュボイズ

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匿名ユーザー

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合衆国復活の日

728 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2006/01/15(日) 12:37:10
ブレンダン・デュボイズ『合衆国復活の日』(扶桑社ミステリー文庫)
いわゆる”もうひとつの歴史”での謀略もの。
キューバ危機が核戦争に発展し、大打撃を受けたアメリカは戒厳令下で海外の
援助に頼る二等国に落ちぶれていた。
そのキューバ危機の謎に新聞記者が迫るが、何者かの妨害が・・・という話。
漏れはドンパチ中心の架空戦記が苦手なので、こういうタイプの方が楽しめる。
話の流れはロバート・ハリスの「ファーザーランド」にそっくり。
ただ、戦時の描写がない「ファーザーランド」に対して、こちらは核戦争勃発時の
パニックが描かれているので、スペクタクル的な要素をより楽しめる。
ワシントンやニューヨークのような大都市が突然滅びるという出来事は現実には
なかなかないので、こういう場面をいかに説得力を持たせるかが作者の腕の見せどころか。
書かれたのは1999年なんだけど、9.11を予言したような場面も垣間見られる。
脇役たちのプロジュクトX的な人間ドラマが随所にあるのも特徴。
特に、廃墟のニューヨークで生き抜く小学生たちや、米本土に墜落してしまったソ連爆撃機
のパイロットのドラマが面白かった。

8点
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