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交差 ◆ENH3iGRX0Y


皆殺しを決めた足立は先ず、追ってくるだろうアカメ達を待つことにした。
あのお人好し共だ。どうせ雪乃が生きていれば必ず奪還に向かう。
本当はまた雪乃を犯しに行っても良かったのだが、性欲よりも破壊衝動が勝る。それが雪乃の探索を妨げた。

「さ~て。いつ来るのかな、アイツ等は」

物陰に潜み、何時でもペルソナを出せる体制を保ちながら足立は今か今かとアカメ達を待つ。
奴らの姿が見えた瞬間、マガツイザナギから電撃を叩き込み全員消し炭に変えてやろうと思っていた。
そして彼の予想通り、アカメ達の姿が見えた。
万が一にも彼らがエスデスに皆殺しにされ、エスデスが向かう可能性もあった為に退路も用意しておいたのだがそれも使う必要はなさそうだ。

「―――あぁ?」

しかし、足立の予想はたった一つ外れていた。それは―――

「てめえ! 何連れてきてんだよオオオオオオオオォ!!!」

先ず、アカメは交戦の最中であり後藤から新一を守りながら剣を交え、その果てに敵の怪力で不運にも足立の隠れていた場所まで吹き飛ばされたこと。
そして彼を襲う不運はそれでマガツイザナギの召喚が遅れ、尚且つアカメ達が連れてきた敵こそあの―――

「大丈夫か! アカメ!!」

『いや、結果オーライだ。丁度足立が見つかった』

「そろそろ鬼ごっこは終わりか?」

足立の恐れた化け物の一人、後藤であったのだから。
近くに飛んできたアカメから慌てて離れながら足立はマガツイザナギを召喚する。
後藤は興味深そうにそれを眺めながら、両足をバネに加速した。
マガツイザナギが電撃を放つ。後藤はそれを見切りながら左右に跳躍し、鎖鎌を足立へと振るう。

『……やはりな。パラサイトに電撃は鬼門。
 いくら、私やアカメのような強者に興味があろうとも、自身にとって弱点となり得るものが居ればそちらに意識を傾ける』

「お前の言った通りだミギー。あとは雪乃を連れ、逃げるだけだな」

ミギーの立てた策は単純明快なもの。
後藤を連れながら北上し、足立を後藤に押し付けつつ雪乃を奪還し離脱する。
いくら後藤でもマガツイザナギには手こずる上に、自らの弱点である電撃が相手ではこちらに気を配る余裕も消える筈だ。
実際、速攻で足立が見つかるといううれしい誤算も味方し、ミギーの策通りに事は進んだ。
たった一つ、雪乃がこの場に居ないことを除けば。

「おい、ミギー。雪乃は……」

ミギーの推測はほぼ全て当たっていた。
先ず足立が雪乃をティバックに仕舞い逃走を続けているであろうこと。
生身はただの人間なのだから、可能な限り負担を軽くする選択肢を選ばない筈がない。
雪乃を道中で殺すか、捨てるかの可能性もあるが、人質は生きていてこそ意味がある。
ほぼ間違いなく追手が来るであろう現状で殺すことはない。そこまではミギーの推測通りであったが、唯一の例外は槙島の干渉だ。
彼が原因で、雪乃は足立から離れてしまった。最も彼が居なければ、それはそれで雪乃は無事ではすまなかったのだが。


『足立が持ち堪えている間に雪乃を探すぞ。
 彼女が自力で逃げたにしても、放置されたにしてもそう遠くには居ないだろう』

言いながら、ミギーは思考を巡らせる。
先ず、雪乃は自力ではなく誰かに助けられたと見るべきだ。足立に殺された可能性はやはりない。
エスデスとのやり取りで分かったが足立は保身に走りやすい。
人質と言う切り札を自ら手放す訳がない。
しかし、足立が拘束までされずこうもピンピンしている以上、それは完全な味方でもないのだろう。
恐らくその人物と雪乃は別行動をしている。その人物に誘拐されたというのもあり得るが、メリットがあまりない。
雪乃を攫い、利益があるのは雪乃の仲間と敵対している足立だけだ。
他の、例えば同じく敵対している御坂やエルフ耳、セリムなどが攫ったにしても、戦力に自信のある彼らならその場で殺し首輪を回収するのを優先している筈だ。
そう考えると純粋に殺されたか。生きて一人で何処に身を潜めているかのどちらかに的を絞れる。
更に言えば、雪乃を奪われた足立がまだ生きているのだから。雪乃もまた殺害よりも生かされている方が可能性は高い。

『恐らく、G‐2からH-2の何処かだ。
 島の末端で人通りが少なく。我々でも追いつけやすい。非力な雪乃が身を隠しつつ、合流を図るならそこが絶好の場所だろう』
「急ぐぞ、新一、ミギー」

足立と後藤の戦いを他所に二人は駆けだす。
それを後藤は視界の端に一度捉えてから、敢えて無視をする。
島の末端である以上、逃げ場はない。後藤を飛ばしたワープアイテムを使う可能性もあるが、それなら黒子のように後藤に直接使うだろう。
故に後藤は新一達がこの場を離れられない理由があると判断。今すぐ追う必要はないと考えた。

「クソがッ! マガツイザナギ!!」

電撃と刀を避けながら、後藤はあの二人が再び現れるのを待つ。
近くに禁止エリアがあり動きは限られる上に、最悪の場合首輪探知機もある。
そう易々とあの二人を逃しはしない。それよりも、今は目の前の餌に集中すべきだろう。 







(クソクソクソクソ!! どうして、こうなるんだよ!!!)

後藤にマガツイザナギをけしかけながら、足立は胸内で毒を吐き続ける。
槙島にコケにされた挙句、皆殺しを決意した次の瞬間後藤を押し付けられる。
ここに来てから、やること為すことが全て裏目に出ているとしか思えない。
下手をすれば、あのエスデスもまた乱入してくるんじゃないかとさえ思えてきた。
いや、今までの流れを鑑みれば来てもおかしくない。

(畜生畜生畜生!! どうする? どうすりゃいい!!)

戦いは足立が劣勢と言えるだろう。
後藤の素早い動きに翻弄されながら、マガツイザナギの動きは全てワンテンポ遅れている。
速さと俊敏さでどうしてもマガツイザナギは後藤の後手後手に回らざるを得ないのだ。

(一撃、一撃当たりさえすれば……!)

必死で頭を回転させ、策を練る。だが咄嗟にこの場を切り抜ける奇策など思いつけない。
しかも運の悪いことにドサクサに紛れ、雪乃にショットガン。アカメにティバックまで取られてしまった。
実は毒入りのカプセルや正史において後藤の敗因になった鉄の棒を上手く使えば、あるいは後藤相手でも勝機はあったかもしれないのだが足立は知る由もない。

「電撃使いには二人、いやあの篭手も含めて三人か。三人出会ったが……」

後藤の姿がマガツイザナギの前から、消えた。
否、足立の目で追いきれないほどの速さで動き。マガツイザナギの横方にまで回り込んだのだ。
マガツイザナギが刀を翳す。だが、後藤の蹴りの方が遥かに速い。
足立の横腹に激痛が走り。マガツイザナギはノイズに苛まれながら地面へと叩きつけられた。

「お前には工夫が足りない。電撃を撃つだけなら、ウナギでもできる」

「ッ。の―――舐めんじゃ……」

「癇癪というのか? 逆上しやすいのも、良くないな」

怒りに任せ、足立がマガツイザナギに意識を向けた瞬間、後藤のボディーブローがめり込む。
堪らず足立は宙を舞い、後方に吹き飛んでいく。
後藤の観察で分かったのは、足立は感情に従いやすい。言わば周りが見えなくなることが多い人間だという事だ。
以前の後藤ならば感情などまるで計算に入れていなかったが、
新たな戦い方を模索する中で、人間の感情も利用できるかもしれないと試しに挑発してみたが中々悪くはない。
加えて、この肉体の試運転として手を抜きながら足立の相手をしてみたが、先の戦いと合わせて大体コツは掴んできた。
そろそろ、新一達も戻ってくる頃合いか。足立に止めを刺し、彼らとの戦いに意識を向けるべきだろう。

「ぅっ……げ、ぇ……」

建物の壁に叩きつけられ、呻き声を上げる足立に後藤は躊躇いなく歩み寄る。
それが足立の残った寿命を現しているのは、他ならぬ足立本人が理解している。
このままでは死ぬ。

(死ぬ……?)

他人事のように、何処か淡々と思い浮かんだ死と言うワード。
だが、不思議ともう悪あがきをする気にもならない。思えばここまで散々苦しんできた。
先程までは脳内物質の分泌で痛みなど気にならなかったが、冷静に現状を見れば足立は実質詰んでいる。
仮に後藤を退けるなりしてここで生き延びたとしても、エスデスはおろかアカメやウェイブ。セリューに承太郎も居る。
もうどうしようもない。ペルソナも既に割れ、対策も練られているはずだ。


(……畜生。……もういいか、どうせ苦しんで死ぬなら、ここで楽に死ぬのも……)

せめて、鳴上にように複数のペルソナを使役していれば。
まだ戦いにもやりようはあっただろう。
そう鳴上のように―――

(鳴上、悠……?)

生死を超えた所で、足立は理屈抜きにそれだけは認めてはならないと思った。
たった今、自分は何を思った? あのクソガキのように? 鳴上のように?

「ふざけんなよ。俺が、あのガキみたいに? あんなクソガキみてえにだと!!」

咄嗟に口から声が漏れる。
ここで死ねば、あのガキ共を認めることになる。俺を否定したあのガキ共が正しいのだと。
下らない友情ごっこを認めろとでもいうのか。
あのガキを鳴上悠を―――

「ざけんじゃねえよ……クソ共がああああああああああああああああああ!!!!」

地面に倒れ伏すマガツイザナギが再び立ち上がる。
身体に纏う闇はより濃く、身体を流れる赤の線はより深く。

「どいつもこいつも……もう要らねえんだよ。てめえらなんざ……全部消し飛びやがれええええええええ!!!」

何より、より強くマガツイザナギの電撃が降り注ぐ。
余裕を浮かべていた後藤の態度は一転。全霊を以って後方へ退避。
電撃により抉られた、巨大なクレーターが後藤の眼前に広がっていく。

「!?」

それだけに留まらない。電撃により舞い上がった粉塵を切り裂き、マガツイザナギの刀が後藤へと振るわれる。
後藤は足立との戦いにおいて初めて回避が間に合わず、頭部を盾に変化させ刃を受け止めた。
しかし、パラサイトの力に加え混じった事により身体強化により齎された強靭な膂力で以っても、マガツイザナギの腕力を止めることは叶わず。
その圧倒的暴力により、後藤ははるか後方へと吹き飛ばされる。


「うおああああああああああああああ!!! 死んどけやああああああああああ!!!!」

最早声とも叫びとも区別のつかない奇声を放ちながら、マガツイザナギは更に電撃を後藤に向け。
いや、このエリア一帯を消し飛ばさんとする勢いで放ち続ける。
力が湧きあがっていく。身体を走る激痛など意にも介さない。

「ふ、フハハハハハハハッ!」

鳴上が絆を力にするのなら。足立は憎しみだ。
自身を認めない。自らにあだなすクソ共を皆殺しにする怒りと憎しみの力。

「ムカつくんだよ……どいつもこいつも……!!」

特別捜査隊の連中も、承太郎もほむらも、セリューも、アカメ達も槙島も全てが邪魔でクソ以下のクソ共だ。
そして、それ以上に足立の頭を占めていたのは、他でもない。鳴上悠だ。
何があろうとも、アイツだけは殺す。

「―――クソがぁ……。てめえらも、何よりアイツだけは必ずぶっ殺してやる……絶対に……!!」

湧き上がる負の力を胸に足立は歩み出した。







未だ眠りに落ちている雪乃を抱きかかえ、新一とアカメはこれから何処へ向かうか思案していた。
可能なら南に戻りたいところだが、エスデスがこちらに向かう可能性もある以上鉢合わせを懸念し避けるべきだろう。
かといってこの周辺に隠れ潜むのも、やはり得策ではない。

『北西だな』

ミギーが口を開いた。

『仲間との合流は遠くなるが、こうなった以上先ずは北の方を回った方が安全だろう』

「花陽とヒルダは……」

『言っただろう。学院には白井黒子や高坂穂乃果、その協力者が居るかもしれないと。
 仮にエスデスがあちらに向かっても、そう簡単にはやられないはずだ』

あくまで希望的観測だが、あの二人がここまで生き残れたのには誰かしら協力者があったからだろう。
とはいえそう都合よく二人のそばに止まるか、また微妙なところではあるが。

「さて、轟音が聞こえたから何かと思ったが」

その時、鎧を着込んだ男がこちらへと近づいてきていた。
どうやら足立と後藤の戦闘音を聞きつけ、向かってきていたのだろう。
警戒と同時に盾と剣が構えられている。慌てる新一を余所にアカメが刀を降ろし、事情を話す。
男も盾はそのままに剣を降ろした。

「なるほど。君達は殺し合いに乗らず、仲間の救出にか……。
 ああ、名乗り遅れたが私はヒースクリフ。同じく殺し合いには乗っていない」

丁寧で威厳のある声が新一の印象に残る。
ヒースクリフは新一達の事情の一部始終を聞き、手を顎に当て思案に耽った。
それから数秒達、手を顎から離し口を開く。

「立ち聞きをする気はなかったのだが、君達は先ほど西に向かうと言っていたね」
「ああ、その通りだ。エスデスに狙われたまま奴の居る場所に向かうのは危険だからな。
 ……私一人ならまだしも」
「ふむ。だが、同時に他の仲間の安否も気になると。
 そういうことだね?」

頷くアカメを見ながら、ヒースクリフは話を続ける。

「地獄門。この近くにある施設だが、どうやらロックが掛かっているらしい」
「ロック……? 破壊すればいいだろう」
「事はそう単純ではない。物理的な破壊を試みた男が居たが、彼は一瞬で無力化されてしまった。
 そういう防衛機能があるのだろう」

以前、黒が電撃で地獄門をこじ開けようとした時、謎の音波で黒は瞬く間に無力化された。
あれは黒以外でも、ヒースクリフやアカメのような物理的な達人であっても破壊されない、何らかの機能があるに違いない。


『君はIT系の知識を持っているのか』
「その通り。私はこの地獄門のロック解除が、殺し合いからの脱出に繋がると考えている。
 一つのロックは既に解かれていた。残り二つ、恐らくこの島の四方の端にそのロックがある筈だ」
『島の中央は人の通りが多い。謎解きを置くなら、気づかれ辛い端……か」
「話が早いな」

黒に話したのと同じ説明をするのは面倒だったのだが、ミギーの知能が予想以上に高い為に話がスムーズに進んでいく。
ヒースクリフは地図を広げ、既に仲間の一人が南の施設へ向かった皆を伝える。

「南、学院の辺りだよな。
 もしかしたら、白井と高坂の二人がそのロックを解いたんじゃないのか?」

『あるいは、田村玲子の可能性もある。
 奴も知能が高い上に初春という少女もその手の知識に長けていた』

これは貴重な情報が入ったとヒースクリフは心の内に留める。
田村玲子、そして初春飾利。どれだけの情報を得ているのか分からないが、新一達の話を鵜呑みにすればロックを解いたのは彼女達の可能性が高い。

「仮に君達の仲間がロックを解除したと考えれば、残るのは北西と南西か。
 なら、尚更だ。一つ私のかわりに北西の方を君達は回ってみてはくれないか?」

ヒースクリフが頼んだのは、北西の探索だった。

『……それは良いが。君ほどIT系の知識に長けたものは私達の中には居ないぞ。
 私も多少は弄れなくもないが』

ミギーは新一の家でパソコンを触ってる間に多少の知識を得てはいるが、それでも専門職の知識には劣る。
だがヒースクリフはそれを理解したうえで続けた。

「何、解けるなら解いてもらい。解けなくても場所さえ分かれば十分だよ。
 私も南の方からそちらの北西へ回っていくつもりだ。あとでまた合流しよう。
 人手が足りなくてね。ちょっとしたお遣いだと思ってくれればいい。
 それに南の仲間の事なら、私が見てくる。これでも腕に自信はあるし、エスデスとも知らない仲ではない」
『……良いだろう。我々の安全も保障できるし、花陽の方も君に任せられる。
 私はこの提案を受けた方がいいと思うが』
「俺も、いいと思うけどアカメは?」
「……私も構わない」

訝しげな目をするアカメだが、ミギーがそれを承諾したのでアカメは異論を唱えない。
会談は終わった。


「……ああ、そうだ。泉くん、最後にもう一つ」
「なんですか?」
「その背中の女の子、もしかして雪ノ下君かな?」
「え、ええ。それが?」
「いや、黒という男が彼女の事も探していてね。
 余裕があれば彼とも合流してあげてくれ。そうそう、銀(イン)という少女にも会えたらよろしく頼むよ。黒君のガールフレンドらしい」

黒といえば図書館で狡噛が話していた戸塚の同行者。
彼から名前を聞いているのであれば、ヒースクリフもその事を知っていてもおかしくはないだろう。

「分かりました。……そうだ。忘れるところだったんですけど、この首輪――」
「?」

施設内を通り、足立や後藤の目に付かないよう駆け出す新一達を見送りヒースクリフも踵を返した。
どうやら事態はかなり進んでいるらしい。

(アカメとエスデス……どちらに付くべきかな)

現在の段階では戦力はエスデスだが、人脈と情報の点でアカメが勝る。
しかしその情報は既に入手した上に人脈も黒に借りある。その点エスデスは戦力は問題ない、アカメ以上の実力は魅力的だ。
だが、その性格が厄介か。聞けばかつての仲間と内輪揉めで盛大に暴れていたらしい。
このまま行けば、他の参加者と絶対的な溝が生まれ、孤立してもおかしくないだろう。

(エスデスも切り捨て時か……だがまだ下手に敵対する時ではない)

エスデスを味方に付けるデメリットも高いがを敵に回すデメリットもまた遥かに大きい。
切り捨て時を見誤るわけにはいかない。

(そして、キリト君の首輪か……。彼が私に何かを託すとはね。
 さて、この首輪に何が秘められているのか……)

懐から取り出し新一から受け取った首輪を手で弄ぶ。
とんだ寄り道になったが、新たな情報と手駒が入った。これでタイムロスもチャラになるだろう。
何より人手が増えたのはやはり有難い。
北の探索や銀の捜索もこれで効率は上がるだろう。
その時、より大きい雷音が響き渡る。どうやら後藤と足立の戦いに決着が付いたようだ。
ヒースクリフは急ぎ足に駆け出した。

「行くか。足立に興味もあるが、私は私のクエストがあるからね」








「逃がしたらしいな」

はるか先にまで吹き飛ばされた後藤は忌々しく呟く。
今から戦場に戻ったところで足立も泉新一も居ないだろう。

(あの男があれだけの力を隠していたのもそうだが、やはり俺が本来の戦い方が出来ないというのも敗因の一つか)

足立が土壇場で覚醒したのもそうだが、やはり後藤は四肢のパラサイトを操り縦横無尽に動く戦い方が性に合っているらしい。
今のスタイルでは以前ほどの戦績も上げられない。

(あの敗北の後遺症がここまで響くとはな)

この場において刻まれた敗北の記憶。
退けられたり逃がした場面も少なからずあったが、明確に敗北したのはやはり心臓を潰された黒やイリヤとの戦いだ。
あれがきっかけでここまでの弱体化を強いられたのだ。

「首輪換金か……使ってみるか?」

ここまで興味を示していなかった換金システムだが、もしかしたら補充のパラサイトを換金できる可能性があるかもしれない。
幸い、アンジュを殺害して得た首輪もある。

(アインクラッドか武器庫か……)

換金システムを試すなら選択肢は二つ。
闘技場はまだ黒が居る可能性もあり、危険性は高い。
そうなると距離的にもアインクラッドが中々魅力的だが、後藤が選んだのは――

(武器庫だな)

泉新一は恐らく氷の女を怖れている。
その事を考えるとやはり南下は避ける筈だ。そしてその行き先は北西しかない。
ならばあえて武器庫の方を行き、奴らの先回りをして待ち伏せるのも悪くない。

後藤は首輪を仕舞うと武器庫へと繋がる橋へと駆け出した。




【G-2/一日目/夕方】


【ヒースクリフ(茅場晶彦)@ソードアートオンライン】
[状態]:健康、異能に対する高揚感と興味
[装備]:神聖剣十字盾@ソードアートオンライン、ヒースクリフの鎧@ソードアートオンライン、神聖十字剣@ソードアートオンライン
[道具]:基本支給品一式、グリーフシード(有効期限あり)×2@魔法少女まどか☆マギカ、指輪@クロスアンジュ 天使と竜の輪舞、クマお手製眼鏡@PERSONA4 the Animation、キリトの首輪
[思考]
基本:主催への接触(優勝も視野に入れる)
0:もっと異能を知りたい。見てみたい。
1:銀と言う少女を探す 。
2:黒とできれば合流したい。
3:チャットの件を他の参加者に伝えるかどうか様子を見る。
4:主催者との接触。
5:ロックを解除した可能性のある田村玲子、初春と接触したい。
6:北西の探索を新一達に任せ、自分は南の方から探索を始める。
7:南の花陽やヒルダの方も余裕があれば探す。
8:キリトの首輪も後で調べる。
[備考]
※参戦時期は1期におけるアインクラッド編終盤のキリトと相討った直後。
※ステータスは死亡直前の物が使用出来るが、不死スキルは失われている。
※キリト同様に生身の肉体は主催の管理下に置かれており、HPが0になると本体も死亡する。
※電脳化(自身の脳への高出力マイクロ波スキャニング)を行う以前に本体が確保されていた為、電脳化はしていない(茅場本人はこの事実に気付いていない)。
※ダメージの回復速度は回復アイテムを使用しない場合は実際の人間と大差変わりない。
※この世界を現実だと認識しました。
※DIOがスタンド使い及び吸血鬼だと知りました。
※平行世界の存在を認識しました。
※アインクラッド周辺には深い霧が立ち込めています。
※チャットの詳細な内容は後続の書き手にお任せします。
※デバイスに追加された機能は現在凍結されています。



【F-2/一日目/夕方】


【アカメ@アカメが斬る!】
[状態]:疲労(絶大)、ダメージ(大)、頭部出血(中、止血済)、頬に掠り傷、全身にかすり傷、奥歯一本紛失、顔面に打撲痕
[装備]:サラ子の刀@クロスアンジュ 天使と竜の輪舞
[道具]:なし
[思考]
基本:悪を斬る。
1:北西の方に向かいロックの探索。
2:キンブリーは必ず葬る。
3:タツミとの合流を目指す。
4:悪を斬り弱者を助け仲間を集める。
5:村雨を取り戻したい。
6:血を飛ばす男(魏志軍)と御坂と足立は次こそ必ず葬る。
7:エスデスを警戒。
[備考]
※参戦時期は不明。
※御坂美琴が学園都市に属する能力者と知りました。
※ディバックが燃失しました
※イリヤと参加者の情報を交換しました。
※新一、タスク、プロデューサー達と情報交換しました。




【泉新一@寄生獣 セイの格率】
[状態]:疲労(大)、出血(止血済み)、横腹に刺し傷、ミギーにダメージ(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式×2、ランダム品0~1 消火器@現実、分厚い辞書@現地調達品、
[思考・行動]
基本方針:殺し合いには乗らない。
1:北西の方に向かいロックの探索。
2:後藤、血を飛ばす男(魏志軍)、槙島、電撃を操る少女(御坂美琴らしい?)エスデスを警戒。
3:ホムンクルスを警戒。
4:サリア……。
5:イリヤって確か、雪ノ下達が会った……。
6:余裕ができたら指輪やロボットも探してみる。
7:黒って人とも合流した方が良いのか……。
[備考]
※参戦時期はアニメ第21話の直後。
※新一、タスク、プロデューサー達と情報交換しました。
※ミギーの目が覚めました。



【雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(極大)、友人たちを失ったショック(極大) 、腹部に切り傷(中、処置済み)、睡眠中
[装備]:MPS AA‐12(残弾4/8、予備弾倉 5/5)@寄生獣 セイの格率
[道具]:基本支給品、医療品(包帯、痛み止め)、ランダム品0~1
[思考]
基本方針:殺し合いからの脱出。
0:セリューには由比ヶ浜を殺した償いを必ずさせる。
1:体を可能な限り休めたあと、泉新一たちと合流したい。
2:比企谷君……由比ヶ浜さん……戸塚くん……
3:イリヤが心配。
4:サリアさんは……。
[備考]
※イリヤと参加者の情報を交換しました。
※新一、タスク、プロデューサー達と情報交換しました。
※槙島と情報交換しました。





【F-2/一日目/夕方】


【足立透@PERSONA4】
[状態]:鳴上悠ら自称特別捜査隊への屈辱・殺意 広川への不満感(極大)、全身にダメージ(絶大)、右頬骨折、精神的疲労(大)、疲労(極大)、
    爆風に煽られたダメージ、マガツイザナギを介して受けた電車の破片によるダメージ、右腕うっ血、アドレナリンにより痛み・疲労を感じていない、プッツン
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、水鉄砲(水道水入り)@現実、鉄の棒@寄生獣、ビタミン剤or青酸カリのカプセル×7、毒入りペットボトル(少量)、ロワ参加以前に人間の殺害歴がある人物の顔写真付き名簿 (足立のページ除去済み) 警察手帳@元からの所持品
[思考]
基本:優勝する。(自分の存在価値を認めない全人類をシャドウにする)
0:皆殺し。
1:特に鳴上は必ず殺す。
[備考]
※参戦時期はTVアニメ1期25話終盤の鳴上悠に敗れて拳銃自殺を図った直後。
※支給品の鉄の棒は寄生獣23話で新一が後藤を刺した物です。
※DIOがスタンド使い及び吸血鬼であると知りました。
※ペルソナが発動可能となりました。



【F-4 橋/一日目/夕方】



【後藤@寄生獣 セイの格率】
[状態]:寄生生物一体分を欠損、寄生生物三体が全身に散らばって融合
[装備]:S&W M29(4/6)@現実、鎖鎌@現実
[道具]:基本支給品、首輪探知機、拡声器、スピーカー、デイパック×2、基本支給品×2、S&W M29の予備弾45@現実、一撃必殺村雨@アカメが斬る!(先端10センチあまり欠損)、アンジュの首輪、不明支給品0~1(アンジュ分、武器らしいものはなし)、不明支給品0~1(キリト分、武器らしいものはなし)
[思考]
基本:優勝する。
0:武器庫で首輪換金を試す。出来ればパラサイトを補充したい。でなくとも新一達の先回りをする。
1:泉新一、田村玲子に勝利し体の一部として取り込む。
2:異能者に対して強い関心と警戒(特に毒や炎、電撃)。
3:セリムを警戒しておく。
4:余裕があれば脱出の手掛かりを集める。首輪も回収する。ヒースクリフ(茅場晶彦)に興味。
5:田村怜子・泉新一を探し取り込んだ後DIOを殺す
6:黒、黒子とはこの身体に慣れてからもう一度戦いたい。
7:武器を使用した戦闘も視野に入れるが、刀(村雨)はなるべく使用しない。
8:氷の女(エスデス)とも戦ってみたい。
9:足立とは後でリベンジしたい。
[備考]
※広川死亡以降からの参戦です。
※異能の能力差に対して興味を持っています。
※会場が浮かんでいることを知りました。
※探知機の範囲は狭いため同エリア内でも位置関係によっては捕捉できない場合があります。
※デバイスをレーダー状態にしておくとバッテリーを消費するので常時使用はできません。
※敵の意識に対応する異能対策を習得しました。
※首輪を硬質化のプロテクターで覆い、その上にダミーを作りました。
※首輪の内側と接触している部分は硬質化して変形しません。
※黒い銃(ドミネーター)を警戒しています。
※寄生生物三体が全身に散らばって融合した結果、生身の運動能力が著しく向上しました。
ただし村雨の呪毒によって削られ、130話「新たな力を求めて」の状態を100%とすると現在は75%程度です。
※寄生生物が0体になった影響で刃は頭部から一つしか出せなくなりました。全身を包むプロテクターも使用できなくなりました。


時系列順に読む
Back:MESSIER・CODE/VI952 Next:第三回放送

投下順に読む
Back:MESSIER・CODE/VI952 Next:第三回放送

153:堕ちた偶像 アカメ 176:小休止
泉新一
後藤 174:絶望を斬る
153:The World is Full of Shit,so I will Destroy The World 足立透 166:黒交じりて、禍津は眠る
雪ノ下雪乃 176:小休止
154:これはゲームであっても、遊びではない ヒースクリフ(茅場晶彦) 179:WILD CHALLENGER(前編)

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最終更新:2016年03月25日 01:56