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  • ナイトメア・チルドレン(中編)

ナイトメア・チルドレン(中編)

最終更新:2023年04月15日 08:42

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だれでも歓迎! 編集

ナイトメア・チルドレン(中編)◆tu4bghlMIw



瞬間、ルルーシュ達の表情が一斉に驚きの色に染まった。
この殺し合いの主催者である螺旋王ロージェノム。彼を『お父様』と呼称する人間、それはすなわち――


「君が……奴の娘だってことかい?」
「はい。捨てられはしましたが、私のお父様であることに間違いはありません」
「……実の娘をこんな馬鹿げた殺し合いにぶち込むとはねぇ……王様の考えることは分からんな」
「アンタ、アイツの娘だったら何か知らないの? 何でこんな馬鹿げたことをやらせてるのか……とか」
「まぁ、少なくとも自分から進んで参加したい類のパーティではないかもね」


スパイクの指先がトントン、と忙しなく濃い木目のテーブルを叩く。
彼の苛立ちはそのまま、場の空気が一転して重苦しいものへと変わったことを明示していた。

(螺旋王の娘……だと!?)

彼女、ニアが螺旋王の実子であるという事実。
それは確かに参加者にとっては、脱出の鍵になるかもしれない情報だった。

いかに実の親から縁を切られた廃棄王女とはいえ、彼女が所持する螺旋王についての知識はおそらく参加者の中でも別格だろう。
今までこの空間でルルーシュが出会った者の中でも、明らかに特殊な人間。そして代用不可の超VIPと言える。
螺旋王の人となり、敵の戦力。適当に挙げていくだけでも暇がない。しかし、


「すいません、私には……何も……分かりません」
「逆にさ。アンタがあの螺旋王の部下だ、ってことはないの? アイツの娘なんでしょ?
 例えば隙を見てこっちの状況をアイツらに報告している――とか」


当然、このような疑いが発生してしまうのも道理なのだ。
親子の情とは人の本能の中でも相当上位に位置する捨てきれない感情だ。
普通の生活を送ってきた人間にとって、親が子供を庇護する関係は極めて常識的な枠組みの中に存在すると言っても過言ではない。
確かに、子供を子供と思わない親がいることを知ってはいても、共感を覚えるのは難しい。
この言葉を発したカレン自身も、長年に渡る母親との衝突の末、どれだけ彼女が自分のことを想ってくれていたのかを理解したばかりなのだ。

「そんなっ!! それだけは絶対にありえません!!」

ニアはカレンのこの言葉に絶句する。彼女の告白はつまり『親愛の証』であった。
これからどんな未来が訪れるのかは分からない。
それでも自分が螺旋王の娘であること。コレは重要なファクターに成り得ると判断したのだ。

『皆に隠しておく訳にはいかない』

そのような義務感から、ニアは自らの忌まわしき過去を口にしたのである。
彼女のおばさまであるドーラは、ニアが自分は螺旋王の娘であると伝えてもそのまま受け止めてくれた。
だが、誰もがドーラのような人間ではない。
それどころか、ニアに疑惑の眼を向けることが自然な反応でさえあるのだ。


「むぅぅうううう!? そ、そうだったのかぁぁぁああああ!! 実は逐一余すところ無く報告していたのだなぁっ!? 小娘!?」
「……カレンおねーさん、中々厳しい所を突くね」


大げさなリアクション共に、表情を凄まじい勢いで変えるビクトリーム。
ちなみに彼は非常に単純であるため、カレンの言葉を聴いて今初めてニアが敵の手先であるかもしれない、と悟ったのである。

普段は含み笑いを絶やさないジンも、顔面に微妙な笑いを浮かべている。
ニアが螺旋の王女であることを知っていたジンでさえ、その可能性について密かに疑っていたのだろう。
彼の微妙に歪んだ口元がソレを物語っている。


「わ、私はっ……!」
「いきなり『私は螺旋王の娘です』なんて言っても、信用される訳がない。
 どんな考えがあったのかは知らないけど、こういう反応が起こることは十分に予測出来た筈よ」
「ベリィィィィィィシィィィィィット!! まさかこの華麗なるビクトリィィィム様がこぅぉおんな小娘に騙されるとはぁぁぁぁあ!!」


早口で捲くし立てるカレンと大きな瞳を不安げに瞬かせながら必死に弁明するニア。
とにかく騒がしいビクトリーム。
山小屋は今や疑惑と不信の坩堝へと成り代わる寸前だった。

(確かに、カレンの言葉にも一理ある。本当に螺旋王側のスパイだとしたら、自分の出自を公開するとは思えんがな。
 ……いや、逆にその秘密を握っている知り合いが参加している故の行動とも考えられるか。
 ただ、どちらにしろ――)

ルルーシュは笑った。
深々と口元に刻まれた皺は彼の愉悦を物語るように、一瞬で皮膚へと侵蝕する。
腹の底から湧きあがるような高揚感を隠すため、ルルーシュは口元へと手を当てる。

(現状、最も適切な一手はこれか、決定だな。後は《奴》を始末さえ出来れば……)

他にもいくつか案自体は浮かぶが、どれも決め手に欠ける。
だが少なくとも今自分が選ぶべき行動は一つだけである。つまりニアを保護すること、である。


「カレン、止めろ。ニアさんが脅えているじゃないか」
「…………止めないで、ルルーシュ。あなたにも分かる筈よ。彼女が信用出来る保証はどこにもない」
「それは俺達も同じことだ。何故彼女が疑われることを覚悟してまで、出会ったばかりの俺達にこのことを告白してくれたのか……
 君だって分からない訳じゃないだろう」


ルルーシュは今にも食いかかりそう勢いでニアを詰問するカレンを制しながら、ニアの擁護を開始した。
ニアからの信頼を勝ち得ることはこれから先、必ず役に立つ筈だ。

面倒な手順など踏まず、直接ギアスを使って操り人形にしてしまう、という手段もあった。
だが、幾つかの不安な要因が浮き彫りになったのだ。

使用時における身体への強烈な負担もそうだが、最大の問題点はギアスの継続時間が極端に短くなっている点だ。
100%の確証はないが、おそらくこの予感に間違いはないだろう。
土壇場になった時、効果が切れてしまったらどうなる?
全て一からやり直しになってしまう。ギアスを掛けられている間の記憶は失われないのだ。
今、ギアスは万能の力ではない。出来るだけ使うポイントを限定しなければならない。


「それとこれとは話が別で――!!」


カレンがそこまで言い掛けた時、ずっと黙り込んでいたスパイクが突然立ち上がった。
ガタッ、と音を立てながら椅子を引き、無言のままツカツカとニアのすぐ側まで歩いて行く。
ルルーシュを含め、誰もが彼の行動に拍子抜けになる。

「……めんどくせぇ」

ぼそり、と呟くように。
この状況とはあまりにも不釣合いな言葉、そして行動だ。
だがルルーシュは、スパイクのこの発言で張り詰めていた緊張感が一瞬で砕け散ったような印象さえ覚えた。
つまり、ニアを糾弾する負のオーラに満ちた空気が、だ。

場の人間全てがスパイクの行動に注目している。
彼の一挙一動を十の瞳が追っているのだ。
何故スパイクがこのような不可思議な行動を取るのか。
いや、少なくとも個々人が言いたい事をベラベラ喋っていた最悪な状況があっという間に解決したことは確かだ。


「お嬢ちゃん、ニアだっけ」
「はい」
「良い返事だ。ジンから聞いたんだが、アンタ料理が得意なんだって?」
「え……は、はい! ダイグレンの厨房で調理主任をやっていました!」
「そうかい。じゃあ一つ頼めるかな」


それだけを伝える、スパイクは小さく腹部の辺りを擦った。
そして笑いながら一言。


「腹、減っちまってよ」


 □


「亀の甲より年の功って奴だね。ルルーシュもそう思わないかい?」
「……そうだな」

ジンとルルーシュは応接間でグダグダと喋りながらチェスに講じていた。
趨勢は明らかにルルーシュが有利。だがジンの腕前も中々なモノであり、油断はならない状況だった。
久々に骨のある相手との勝負に、ルルーシュは密かな楽しみを感じていた。


「おねーさんにドヤされちゃいそうだなぁ。俺自身も、ニアちゃんについてはちょっと気になることがあってね。
 そのせいで、中々カレンおねーさんにストッパーを咬ませることが出来なくてさ」
「それは俺にも言えることだ。もう少し……早く行動に移るべきだった」
「……ま、そんな俺達の優柔不断が高じて旨い飯にありつけるってこと。スパイクに感謝しないとね」


ジンのナイトがルルーシュのポーンを蹴散らす。
すかさず、ルルーシュはルークを動かして敵の動きを牽制。
無駄話をしていながらも、ジンの的確な判断に舌を巻く。

(だが……まだ甘い)

結局、スパイクの「腹減った」との申し出によって、応接間での討議会は閉幕となった。
ニアは今一人でいそいそと食事の準備中。
カレンは不機嫌なまま、山荘の周囲で警戒に当たっている。スパイクも彼女と一緒に見回りだ。

ビクトリームは当初ルルーシュ達を信用していなかったが、ルルーシュに支給されていた【メロン】を見ると態度を一変させた。
どうも彼が持っていたメロンは全て食べ終えた後で、そのためイライラしていたらしい。
今はラジカセをジャカジャカやりながら、部屋の隅で踊っている。

「チェックだ」
「……うん、無いね。負けたよ、ルルーシュ。チェスには自信があったんだけどなぁ」
「いや、ジンも相当なレベルだった。実は少し"違法"なゲームにも手を出しててね。
 普通の人間で俺とここまで張り合える相手と勝負したのは久しぶりだ」

それは素直な感想だった。
ルルーシュは友人のリヴァルと連れ立って、しばしば賭けチェスに精を出していた時期があったのだ。
同じく友人のシャーリーなどには、何度もその行為を咎められたりもしている。

(気楽な時間だ……まるで、殺し合いに参加させられていることなど忘れてしまいそうになる。だが――)

彼には羽根を休め、気を抜く暇などなかった。
彼は絶対に元の世界へと帰らなければならない。
最愛の妹のため、死んでいった親友のため、自分自身の野望のため。

ルルーシュはチェス盤の駒をケースに片付けると、スッと立ち上がる。
今のはウォーミングアップに過ぎない。これからが本当の勝負だ。


「ジ――」
「ルルーシュ。お姫様のアフターケアは任せるよ」


『クイーン』の駒を小さく振りながらジンが楽しそうに笑った。
口元の苦笑を押し潰しながら、ルルーシュも小さく手を振る。

満足げにジンが駒を放り投げる。
綺麗な放物線を描いてゆっくりと白の『クイーン』はルルーシュの掌へと吸い込まれた。


 □


「さっきはありがとうございました」
「いえ、お礼を言われる程のことはありませんよ。スパイクさんに結局、最後は持って行かれてしまいましたし。
 カレンには後で俺からキツく言っておきます」

ニアが厨房に向かいながら小さく礼をした。
かわいいピンク色のレースが付いた純白のエプロンが眩しい。
真剣な表情で冷蔵庫に入っていた食材と向かい合っている。

「いいえ大丈夫です! カレンさんの言っていた事も、言われてみればその通りですし。
 おばさまも言っていました! 『少しは人を疑った方がいい』って!」

ニアが若干表情を鬱屈させながら、それでも元気よく応える。
その笑顔はルルーシュの眼には夏の高原に咲くヒマワリのように輝いて見えた。
そして同時に彼の中の魂が疼く。
なぜなら、今から自分はこの快活な少女を何とかして篭絡させなければならないのだから。


ルルーシュがニアの元を訪れたのは、勿論ジンの言う《アフターケア》の為などではない。
ニアとある程度の親交を結び、今後の展開をより円滑にするための工作活動である。

螺旋王の娘――それは他の参加者とは一線を画す重要なポジションである。
ロージェノムが放送の度に口にする《螺旋力》や、王の情報などニアにしか分からないことは数多くある筈だ。
彼女が知り得ていることは極僅かなのかもしれない。
少なくとも後々対螺旋王が現実味を帯びてきた時、必ず手駒の一人として欲しい人間ではある。


「しかし、まぁそれは、どうなんでしょうね。ニアさんは『今のままでいる』のが一番だと思いますよ」
「そうですか?」
「ええ。おそらく……その、『ドーラさん』も同じことを言ったと思います」
「ッ――! あ……」

ルルーシュの口から『ドーラ』という名前が飛び出した瞬間、ガチャン、と大きな音を立ててニアが手元の皿を落としてしまった。
直径5,6cm程度の小皿が台所の床に散らばる。割れなかったのが幸いである。

(……やはりか。ジンから話を聞いておいて正解だったな)

ルルーシュは予想通りに進んでいく展開を受けて、心の中で確信と共に浮き立つ思いを押さえ込む。
この山荘にやって来る前にルルーシュはジンから、とある情報を得ていた。
つまり、ドーラというニアとゲーム開始時からずっと同行していた女性が死亡したことについて。

放送後彼女の死を知り、泣き崩れそうになったニアを必死で慰めようと努力したが、結局確固たる手応えは得られなかったとジンは言っていた。
あのジンが「出会ってから数十分しか経っていない女の子を励ますには自分は役者不足だった」と嘲笑交じりに語っていたくらいだ。
傷は相当に深いのだろう。

その後、怪我人のマタタビを治療するために山荘へ移動し、唯一戦えるジンが見回りへ。
二人の世話を不安ながらビクトリームに任せた、と。

(ニアはまだドーラの死を乗り越えていない。突き崩すならば、ここしか無いな)


「すまない、妙な事を言って。手伝うよ」
「……いえ。私が悪いんです」

ルルーシュはコレ幸いとニアに近付き、小皿を拾い始める。
ニアも手に持っていた包丁を傍らに置いて、しゃがみ込む。

特に会話もなく、黙々と皿を拾う二人。
ドラマや映画などでは手と手が触れ合って、恋が始まる――そんな陳腐なストーリーが持て囃される。
とはいえ、現実の世界ではそんな馬鹿げたロマンスなど起こる筈もない。
淡々と木目の床から白いピースが消えていく。それだけだ。


「――分かってはいるんです」
「え?」


追撃の言葉を捜していたルルーシュにとって、明らかに予想外の言葉がニアから漏れた。

(これはッ……!?)

それは強固な意志の力。
渦巻くクローバーの緑が光となって溢れてくる幻覚が見えそうなくらいだ。
弱々しい少女の潤んだ瞳ではない。まっすぐと未来を見つめる力強い眼差しだった。


「もうドーラおばさまは帰ってこない。シモンも、ヨーコさんも……だから私が強くならなくちゃいけないって。
 慣れたりはしません。大切な人と会えなくなるのは、凄く……悲しいことですから。
 でも私を抱き締めて、慰めてくれる方はもういないんです。
 ドーラおばさまもこの胸の中で一つになって生き続けるんです。大丈夫です。私は……頑張れます」
「そう…………だね」


それは、上っ面だけの薄っぺらい同意だった。

ルルーシュは完全にニアという少女を見誤っていた。
彼のニアに対する人物像は『元気なだけが取り得の世間知らずな純粋培養されたお姫様』であった。
周りの人間が誰しも聖人であると思い込み、人を疑うことをまるで知らない人形のような。

(違う……彼女は、お飾りの王女などではないッ! 明確な個を持ち、希望を実現させるための覚悟も持ち合わせている。
 伊達に螺旋の王女ではないと言った所か……しかしこれでは……)

ルルーシュは自身の計画に小さな綻びが生じた事実を認識する。
小娘の一人ぐらい、ギアスに頼らなくてもどうにでも出来る――そう思っていたのだ。

だが、それは明らかな過信だった。
彼女は容易く出会ったばかりの男に、心を委ねるほど軽い女ではない。そして無知でもない。
もしもC.C.がこの場面を目撃していたとしたら、確実に鼻で笑われていたことだろう。
「童貞の癖に女を嘗めすぎだ」などという辛酸な台詞と共に。


「ルルーシュさん? 座ったままどうしたんですか? 大丈夫ですか?」
「え、あ……すまない。少し、調子が悪くてさ……」

座り込んだまま衝撃を受けていたルルーシュを小皿の回収を終えたニアが不思議そうな顔で見つめる。
慌てて適当な言い訳を見繕うが、明らかに自分が気落ちしていることを悟った。
このままでは本当に調子が悪くなってしまうかもしれない。しかし、


「大変じゃないですか! お薬があれば良かったんですけど……すいません。あの、毒……ですか? そんなものしかないんです」


このニアの何気ない一言がルルーシュの転機となる。

「毒……だって!? ニア、君は毒なんて物騒なものを持っているのかい?」
「え? はい、私の支給品ですけど……」
「ゴメン。ちょっとだけそれ、見せて貰ってもいいかな」
「あ、はい。コレ……です」

ニアがポケットから小さな袋を取り出して、ルルーシュに渡した。
すぐさまルルーシュはその中身を確認する。
袋の中には赤と白の典型的なカプセルが三つ。ご丁寧に『毒入り。飲むと死にます』という注意書きまで付いている。


「ニアがコレを持っていること、皆は知っているのかい?」
「……いえ? 多分ルルーシュさんしか知らないと思います」


カチリ、と音を立てて最後のピースがその拠り所を見つけた。
歯車はついに回り出したのかもしれない。

あどけない表情でそう語るニアの綺羅星のように輝く特徴的な瞳。
何の穢れもない純粋無垢な存在。少なくとも、今まで見た人間の中でもこれだけ透き通った視線の持ち主は中々思いつかない。

(ああ、そうか……これが俺が選ぶべきやり方ってことか)

ルルーシュはもう一度、手元のカプセルを見つめる。
あと一歩、自身が踏み出すことで束の間の平穏は崩れ去るのだ。
小さな軋轢は幾つもあるが、今までの状況と比べれば天と地ほどの隔たりがある。

しかし、最善の一手である。
奴の存在は明らかに今後の展開に支障を来たすことになるだろう。
数々の実験を重ね導き出した絶対的な"ルール"はもはや、役立たずと言ってしまっても過言ではない。
今の自分に必要なことは『持っている力』を最大利用するための道を探すこと。

サンプルが必要だ。
そして、過去の事象は切り替えていかなければならない。
そうだ。一歩を、最後の一歩を踏み出そう。もう一度「王の力」を手に入れるために。







「なぁ、ニア――俺の眼を見てくれるか?」




 □


夢、夢を見ていた。
拙者はグルグルと螺旋を描くマーブル色の海の中で躯を横たえていた。

拙者は寝ている。そして夢を見ている。
つまり、これは明晰夢という奴なのだろう。

……いい機会だ。
ゆっくりと、自らの記憶のページを捲っていくこととする。



まずは分かり易い結論から行こう。
全ては、光の渦に飲み込まれてしまった。
奇妙な連帯感で結ばれた男と女は極光の奥に消えた。

二人は愛し合っていた。少なくともソレは間違いない。
妙な強迫観念が拙者達を衝き動かしていたことは明白な事実だ。
だが、二人の間には確かな絆があり、愛情があり、そして互いを気遣う想いがあった。

猫である自分には人間の恋愛というモノは良く分からない。
かといって獣の恋愛について語れと言われても言葉を濁してしまう。まぁそこは置いておくとしよう。
とりあえず、傍目から見ても男――クレア・スタンフィールドと女――八神はやて、この両名はお似合いだった。


ぼんやりと、ゆっくりと黒く染まっていく黄昏にも似た意識の中。それでも拙者は一つだけ、思っていたことがある。
それはこの二人を祝福してやりたい、という気持ちだ。
拙者だって、別に悲観主義者って訳でもないんだから幸せそうな人間を見るのは好きだった。

そんな時、拙者達の前に現れたのはエビルという男だった。

そう、拙者達にとって最悪の厄災を運んで来た――テッカマンエビルだ。


奴は強い。もう在り得ないくらい強い。「ふざけんじゃねぇぇぇぇえええええ!!」と絶叫したくなるくらい強い。
拙者は公明正大な猫だから、事実は事実として認めようと思う。

何が強いって、少なくとも拙者より若干上の実力を持っていたかもしれないクレアの数倍は強い。
や、あくまで奴が「テックセッター」とか訳の分からん日本語を叫び、変身を遂げた後の姿に限定した話ではあるけどな。

前回は遅れを取ったが、もう一度生身で戦えば拙者が圧勝することは目に見えている。
キッドじゃこうは行かない。多分、何度戦っても負けちまうだろうな。


……ああ、キッドか。そういえば死んだんだっけな……実際の所、本当なのかね。
正直疑わしい話だ。ただ、なんとなく嫌な感じはする。
胸にぽっかりと空洞が出来ちまった……みたいな感覚さ。
何て言えばいいのかね、コイツは。とりあえず気持ち良くはねぇ。

……チッ。何か、物足りねぇ。暴れ足りねぇ。
って、おい! 本当に死んじまったのかよ、キッド!?
拙者との決着を付ける前に逝くたぁ、どういうことだっ!?

傷が疼く。胸が痛い。腕が痛い。頭が痛い。
ああ、クソッ!! 拙者はこんな所でグズグズしている訳にはいかねぇってのに!



――――マタタビさん、起きてますか?


っと……コレはあの時のお嬢ちゃんの声か?
ふわふわした髪の毛の……確かニアって言ったか。
そろそろ、夢も終わりってことかねぇ。
眠ってばかりじゃ埒が明かねぇ。いい加減、起きるとするか。

あばよ、キッド。
夢から覚めた後、拙者はもう振り返らんぜ。
何しろクレアとはやての敵を討つためにテッカマンエビルをぶっ飛ばさないといけないんだからな。
奴は気に食わねぇ。絶対にボコボコにしてやる!

休んでなんていられねぇ。
拙者の知らない所で勝手に野垂れ死んだ貴様に、もう興味はないのさ。
まぁ、亡骸を見つけたら線香の一つも上げてやるけどな。
じゃあな、拙者のライバル。





「……眠っている、のでしょうか?」
「起き……てる」

そして、拙者は、覚醒した。
まどろみは、消えない。
ゆらゆらと峰深き瀬にたゆたんでいるような不思議な気分だ。
微妙な鈍痛となって拙者の脳髄に眠気が居座ったまま、大きな顔をしている。


「良かった! 実はいいものを持って来たんですよ!」
「いい……もの?」


そう言ってニアはポケットから小さなカプセルを取り出した。
赤と白。綺麗な色をしている。
ニアの笑顔が眩しい。
彼女の快活な笑顔を見ているとこちらまで力がみなぎってきそうだ。


「そ……れは?」
「私の支給品の『"薬"入りカプセル』です! ……でも、どうして今まで忘れていたんでしょうか?」


薬入りカプセル、か。妙な名前だ、そう思った。
だが意識は朦朧としており、未だ完全に現実の世界へと帰って来ていない。
元々拒む理由など存在しないが、当然拙者の身体はニアの成すがままだ。


「それじゃあ私が飲ませて差し上げますね!」
「た……の、む」


ニアのよく形の整った指先が拙者の口元へと近付いてくる。


ふと、拙者はニアの瞳を見つめた。
特に意味があった訳ではない。しかも寝ぼけていたせいで、視界はまばらだった。


…………? 
妙、だな。
いや、拙者の思い違いだったのかもしれない。
だがこの少女はこんな……


――血塗れた色の瞳をしていたのだろうか。


「マタタビさん、お口を開けて頂けますか?」


ハッと我に返る。少女が不思議そうな目をしてこちらを見ていた。

赤と白。
硝子のコップ。注がれた透明の液体。



そして――



拙者は、

そのカプセルを、




言われるがままに嚥下した。


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