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  • 希望の船?絶望の城?(前編)

希望の船?絶望の城?(前編)

最終更新:2023年04月15日 23:15

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希望の船?絶望の城?(前編)◆10fcvoEbko



さんざんにわめき散らしたあたしは、気付いたら高速道路にうずくまっていた。
どれくらいの時間がたったのか分からない。泣いていたような気もする。
ずっとそうしていようかと思ったけど、腕に巻き付けられた黒いリボンが夜なのに妙にはっきり目に入ってきて、あたしはびくんと体を震わせると立ち上がった。
行くあてなんてない。
情報を集めろって言われてもどうすればいいのか分からなかった。
あたしはのろのろと高速道路を歩き出す。
無意識の内に、足は南へ向いていた。
アレンビーの気持ち悪いくらい溌剌とした表情が頭に浮かんだけど、それがどれくらい関係があるかは知らない。
助けを求める、なんて発想はなくなっていた。
いや、実際面と向かって救助を頼めばアレンビーは恐らく力になってくれるだろう。
他人を信用することなんてないあたしだけど、世の中には馬鹿みたいなお人好しがいることくらいは知っている。
でも、多分駄目だろうなとあたしは思った。
何故なら、今あたしがいる高速道路はジュリアをなくしてから腐ったように這いずり回っていた夜の街と、とても良く似た匂いがしたから。
そのことに気付いたとき、あたしは少しだけ気持ちが軽くなるのを感じた。


月明かりがどれだけ道を照らしても、泥みたいな暗闇は全然晴れてくれない。
それがむしろ心地好い。
どれだけ辛い環境だって、それが慣れ親しんだものであるならそれだけで心は落ち着いた。
灰でできているような空気を体に溜め込む。
中から汚れていく感触に、あたしは手に力が戻るのを感じた。
しばらく歩くと邪魔をするみたいにでかい物体が道を塞いでいた。
あたしを遮るように道が塞がれているのを見て、どうせそんなとこだろうなと思った。
何かをしようとしたときに邪魔が入るのは、それは当然ではなく前提だ。
どうしようもないくらいに、世間は都合の悪いようにできている。
横の壁に大穴が空いていた。覗いてみると、光に照らされた大きな船が見える。
アレンビーの言っていた豪華客船だ。移動していたらしい。
あたしはエレメントを出すと、糸を高速道路に結び付けゆっくりと船に降り立った。
別に、危険なんか感じなかった。
上から見ただけでもそこに生きてる人間の気配なんて全然しなかったんだから。

甲板は火事でもあったのか一部分が激しく焼け焦げていた。構造がしっかりしていたのか、そんなに酷くは燃えなかったみたいだけど。
最初に見つけたのが首のない女の死体。ダンスでも踊ってるみたいに、楽しそうに両手を広げている。
おかしな格好。それ以上のことは思わなかった。
あたしは炭みたいになった肉の残骸をひょいとまたいだ。青い髪が見えたような気がするが、確認する気はない。
ここは繁華街の裏に伸びる路地みたいなものだ。
ドブ酒に酔って吐いていようが麻薬漬けになって寝ていようが誰も気にしない。
死体なんて薄汚れたごみ箱みたいにあり触れたものだ。

そしてあたしはもう一つ死体を見つけた。
血溜まりに顔を浸して倒れている男の死体だ。
しばらく見ていると死体はあたしに気付いたのか、ぎこちない動きでぐりんと顔を向けてきた。

「ようこそ、希望の船へ。私、案内役を勤めさせて頂く、高遠遙一と申します」

死体は血でベトベトに汚れた口でそんなことを言った。
「希望なんてどこにもないじゃん」
あたしは見たままの事を返した。特に考えて言った訳じゃない。
死体は、死体の分際で愉快そうに笑ったようだ。
「ええ、希望なんてありはしません。ここにはもうね。それは、あなたも同じことのようだ」
生意気な口をきく。踏み潰してやろうかと思う。
「綺麗なリボンをしていらっしゃいますね。黒い色が月夜によく映える。何より実に不吉そうだ」
どこまで分かってて言ってるんだこいつは。うざい。
「ポロロッカというものをご存知ですか?」
知らない。何だこいつ。気持ち悪い。
あたしはもう会話を続ける気はなくなっていた。だから言ってやった。
「関係ないわよ。だって、あんたもう死んでんじゃん」
あたしに言われて死体はようやくそれを思い出したのか、それきり喋らなくなった。
あたしはため息を一つつくと、来たときと同じようにしてその船を後にした。

【高遠遙一@金田一少年の事件簿  死亡】

【E-3高速道路上/1日目-夜中】
【結城奈緒@舞-HiME】
[状態]:精神的疲労(小)、かがみにトラウマ
[装備]:左手にかがみのリボン
[道具]:ディパック、支給品一式(ただし食料は無い)、黄金の鎧のかけら
[思考]
基本思考:とりあえず、ぶらつく
1:かがみ達の命令にどこまで従うか決めかねている。
※本の中の「金色の王様」=ギルガメッシュだとまだ気付いていません。
※ドモンの発した"ガンダム"という単語と本で読んだガンダムの関連が頭の中で引っ掛かっています。
※博物館に隠されているものが『使い方次第で強者を倒せるもの』と推測しました。
※第2回放送を聞き逃しました。
※ギルガメッシュは殺されたものと思っています。
※柊かがみの『呪い』について
 ま っ た く の 大 嘘 で す。
 リボンを外したり、約束を守らなくても奈緒の体にはまったく変化はありません。
 奈緒は真偽を疑っているものの、嘘という確信も得られないので外せずにいます。

◇


チェスワフ・メイエルは目の前に転がるミリアの首に一瞬呆然としたものの、すぐに冷静さを取り戻した。
ミリアは不死者である。不死者は全身を強酸に溶かされようが肉を一片毎に切り分けられようが、悪魔の定めたルールに則らない限り何度でも再生する。
フェルメートにされたことを思い出す。生きたまま暖炉の中に放り込まれた。焼けた火箸を目と耳に突き刺された。それこそ体をぐちゃぐちゃにされたこともあった気がする。
そして、そのことごとくからチェスは再生を果たした。

だから、首と胴体が泣き別れになったくらいで、ミリアが死ぬ、なんてことは、ない。
「く、クロスファイヤッ……きゃっ!」
「ぼさっと突っ立ってるんじゃねぇ!」
「ティアナ君!う……くっ」
チェスの横を黒い影が通り過ぎたと思ったら次の瞬間生温い液体が降りかかった。
ミリアの首からとくとく流れ出ているものと同じ、血だ。
(血?血が流れる?血は逆流するものだろう?)

「止めるのだお主!戦ってはならぬ!」
「ガッシュ!前に出るんじゃねぇ!」
「ウヌゥッ!?」
「させるかああああああ!」
地震のような衝撃が甲板を揺らした。うるさい。
ああ、そうか。自分が後生大事に抱え込んだりしているものだから首が帰ろうにも帰れないのだ。
切り分けられた体が元に戻ろうとする力自体はそんなに強いものじゃない。
手を切ったならその手を押さえつければそれだけで動けなくなるし、くり抜いた目をケースか何かに入れればそのまま保存することだってできる。
どうやら自分は冷静になったつもりでまだ相当慌てていたらしい。
苦笑のようなものを浮かべながらミリアの首を甲版の上に置く。何も起こらない。おかしいな。

「アレンビーか!すまん、助かった」
「みんな無事!?こいつの相手はあたしが……って、逃がさないわよ!」
おかしい。おかしいな。何で生き返らないの。お姉ちゃん不死者だったんでしょう。
さっき高遠が言ってたよね。ナイフで刺したって。でもお姉ちゃんが生き返ったから、高遠の企みに気付くことができたんじゃないか。
犠牲者を出さずに済んだのはガッシュのお陰だけど、でもやっぱり一番はお姉ちゃんだよ。
お姉ちゃんがあんな、この世に悪いことは一つもないって言うみたいな綺麗な顔で笑っていたから。
だからボク達は色んな恨みで妬み合わずに済んだんだよ。
ねぇ。
だからさ。
お願いだから、もっと皆の前で笑ってよ。

さっき一瞬見えたミリアの顔は確かに笑っていた。そう思い、チェスは首だけのミリアの顔を覗き込んだ。
血があらかた流れ終えたミリアの顔は気持ちの悪い色に変色していた。白眼を剥き、だらしなく舌をたらしたその表情は到底見るに堪えるものではなかった。
「う……うああああああああ!」
数百年ぶりとなる心の底からの絶望の叫びを上げ、チェスは船内に逃げ込んだ男を追って走り出した。
静止を告げる仲間の声は、憎悪で満たされたチェスの頭には届かなかった。

◇


アレンビーは船内に逃げ込んだビシャスに追い付くとパニッシャーを振り上げすぐさま戦闘態勢に入った。
「逃がさないわよ!これ以上アンタの好きにはやらせないから!」
返事はなく、期待さえしていなかったが、男はただ冷静に右に左にパニッシャーをかわし続ける。
無駄のない動きだが捉えきれない程ではなく、身体能力に関してはこちらが上だと確信できる。
だが、大振りの隙ができたときに一瞬の踏み込みとともに放たれる一閃がたまらなく鋭く、無意識に警戒して思いきった攻撃に移れない。
十字架がうなりを上げ白銀が走る。一進一退の攻防が続く船内の通路はかなりの広さがあったが、パニッシャーを振り回すには十分ではない。
一撃毎に窓や壁など船内のそこここに傷を作っていた。
(こいつの動き、前よりもよっぽど鋭くなってる。接近戦が本領ってわけね、なら)
後ろ飛びにかわされたパニッシャーが木製の扉に派手に突き刺さったのを決起に、アレンビーは手を放し素手での戦闘に切り替えた。
一撃の重さと引き換えにスピードと手数を増したアレンビーの拳打が放たれる。
右のフェイントを見抜かれ足先の牽制を軽くいなされながらも、左腕で放ったストレートの一撃がビシャスの肩口を深々と捉えた。

「ぐぬぅ…!」
「はは。奈緒とギルガメッシュには悪いけど、あたしはやっぱりこっちが性に合うな。効いた、って顔してるじゃない?」
苦悶の表情を浮かべるビシャスにファイテイングポーズを取りながら不敵に笑いかける。
相当の経験を積んでいると分かるビシャスの冷静な体捌きは決して油断できないが、
それでも接近戦の技量は自分が上だと、油断ではなく確かな手応えをもってアレンビーは感じていた。
「さっき甲板にあったミリアの体……あれはアンタがやったんだよね」
表情を引き締め、唇を噛み締めながら言う。
対するビシャスはアレンビーの言葉に一切聞く価値を感じていないのか、何も言わず距離を取って隙をうかがっている。
「もう少し速ければ何て言わない……今はただ、絶対にアンタをぶっとばす!」
「……」
何人もの仲間の命を奪った黒衣の男への怒りを込めて、アレンビーは真っ直ぐに拳を突きつけた。その表情には絶対の決意が溢れ出ている。
ビシャスはそれにも答えず、迷いのない動作でくるりと背を向けると無言のまま通路の奥へと走り出した。
「待てってんでしょ!」
対戦相手の宣言を完全に無視するという、正規のファイターであればあり得ない行動に更に怒りを燃やしながら、アレンビーは微塵の躊躇もなく駆ける黒衣の背中を追い走った。

ビシャスの姿が通路の先に消え、アレンビーがそれに続いたところで二人の姿は通路からは全く確認できなくなった。
後には、数分前とは打って変わって静まり返った通路と本来の用途から離れ放置されたままのパニッシャーだけが残された。
そのまま、しばらくの間静かに時が過ぎる。
熱中していれば一瞬、しかし何もせずにいるには長すぎるくらいの時間が経つ間、何者かの立てる乱暴な足音が響いてきた他は、通路は全くの静寂に包まれていた。
結局足音の主が姿を現すこともないままもうしばらく時が過ぎ、次にその場に現れたのは一人の男だった。

照明の明かりを受け付けないかのように沈み込む黒衣に、清廉さというよりは何十人もの人間の血を吸った刃物のような危うさを感じさせる銀髪。
ビシャスが再び戦闘跡の残る通路に姿を現していた。
息一つ乱さずレーダーを取りだしたビシャスはアレンビーを完全に撒いたことを確認すると、扉に突き立てられるようにもたれていたパニッシャーに目を止め無音で歩み寄った。
予想を遥かに越える重量にほんの僅か顔をしかめ、試みにそれを包んでいたバックルの一つを外す。
すると連鎖的に他のバックルも次々と戒めを解き、予想していた面倒な手間を省いてパニッシャーが解き放たれた。
目の前に姿を現したそれを僅かな時間で検分するとビシャスは表情は変えず、ただ一つの確信を持って心中の牙を歪ませた。
これは、銃器だ。

◇


「さて、どうする?ありゃ相当頭に血が昇ってるぞ……無理もねぇが。
ティアナ、怪我は大丈夫か?」
「え、ええ…少し手を切ったくらい。ジェットさんのお陰で…
あの、高遠さん怪我はないですか?」
「ええ、ありがとう。
チェス君があの様子では仕方がない。ひとまず追い掛けて合流しましょう。
本来ならあの男の相手は戦闘に秀でた様子のアレンビー君に任せ、怪我人の集団に過ぎない我々は援護に徹するなり一所にじっとしているなりするべきなのですが……」
半ば半狂乱になって黒衣の男の後を追いかけていったチェスの静止に失敗した後の甲板で、高遠はティアナの傷を診ながらジェットに向けて息を吐いた。
アレンビーの到着が早かったため、新たな犠牲者が生まれることはなかった。ガッシュのデイパックが奪われた程度だ。
ミリアが犠牲になった以上決して早かったとは言えないのだが。それに、依然として危機は船内に潜伏している。

「俺達も船の中に入るってのか?アレンビーを信用しない訳じゃないが、そりゃあまり良い考えとは思えんな。襲ってきた奴は、マジに最悪な部類の人間だ」
「心得ています。だからこそ脱出のために幾重も頭を捻らなくてはならない。
それに、これ以上我々がばらばらになるのは避けたい。私には、彼を説得する自信はちょっとありませんので」
多少ふらつくのか毛髪の薄い頭を押さえながら訝しげな視線を向けてくるジェットに高遠は前方を指差す。
高遠が示す先には小さな背中を震わせながら立っているガッシュの姿があった。
ガッシュは泣いていた。ミリアの死体を前に大粒の涙をぼろぼろと溢れさせている。
いつまでもそうしているのではないかと高遠達には思われた。だが、やがて振り切るかのように乱暴に涙拭うと決然とした様子で向き直った。
赤く泣き腫らして真っ赤になった目には、決然とした意志が生まれている。

「高遠!ティアナ!ジェット!私は行くぞ!奴にこれ以上人は殺させぬ!そんなことは私が絶対に許さぬ!」
「ほら、ね」
「……下手に手を出して頭突きを食らうのはごめんだな」
心配そうに肩を貸すティアナに支えられながら、高遠はジェットと苦笑を交わした。
痛む腹を押さえ、ゆっくりと今にも飛び出しかねないガッシュの目の前へと進む。
高遠は穏やかな口調で、告げた。
「では、行きましょうか」
「ウヌ、ミリアの仇討ちを手伝ってくれるのか!」
仇討ち、か。怒りに満ちた瞳で見上げてくるガッシュを見ながら高遠は思う。
地獄の傀儡師として何人もの人間を捨て駒にしてきた高遠にすれば、今更そのような感情を抱く謂れはないだろう。
まして、ミリアはほんの少し前に高遠自らが被害者に仕立てようとした人間だ。
むしろ討たれるべき仇は高遠であるとさえ言える。言えるのだが。
なるほど、あの天真爛漫な笑顔がもうなくなってしまったことを惜しむ気持ちは確かに高遠の中にもあった。
そしてその感情が非常に強いものであるのを高遠は認める。柄ではないが、それを認めるのは決して嫌な気分ではなかった。
だから、高遠はガッシュに笑いかけた。いつものように、奇術師然としたにんまりとした笑みで。

「ええ、そうです。ですが命を奪うことばかりが仇討ちではない。
それに私はミリア君の死もそうですが、私の舞台を完膚なきまでに破壊してくれたことにもそれなりに怒りを覚えていましてね?
だから私は彼に見せてやろうと思います」
高遠はそこで言葉を切ると、くるりと向き直った。そして、それこそ奇術の前説のように流麗に腰を折り続ける。
「この『奇術師』高遠遙一の、世紀の脱出マジックをね」

◇


「ジェット刑事、大分お加減が悪そうだ。デイパックをお持ちしましょう」
「う……すまん。くそ、二日酔いの方がまだましだ」
「ごめんなさい、私のせいで……」
「今更言っても始まらん。いいからお前さんは前だけ見ていろ」
不気味なくらいに物音のしない船内を、4人は隊列を組んで慎重に進んでいた。
先頭はティアナである。間にジェットとガッシュを挟み、しんがりは高遠が受け持っている。
戦闘というよりは索敵能力に重点をおいた結果の布陣である。
「だが、ティアナ。本当に銃はいらんのか?情けないが、今の俺が持つよりいくらかましだろう」
「ええ…ごめんなさい。正直、まだちょっと抵抗があるの」
「ウヌゥ…高遠、私達はどこへ向かっているのだ?」
「先ほども言いましたが、ブリッジです。この船を動かします」
「おお、鍵が見つかったのだな!」
「いえ、最初から私が持っていました。探して欲しいと頼んだのは嘘です」
「酷いのだ高遠!」
ガーンという表現そのままに目を丸くしてショックを受けるガッシュに高遠は思わず噴出してしまう。そこまで衝撃的なことだっただろうか。

「申し訳ない。ですがこれで私の嘘も打ち止めですよ」
「そうして貰いたいもんだ。道すがら話すと言ったな。こいつを動かしてどうするつもりだ?」
「ええ、そもそも、移動さえままならない私達が完全な脱出を果たすには……」
「チェ、チェス君!?」
顔を向き合わせて話していたジェットと高遠の会話が、先頭を歩くティアナの声にかき消された。
その声に二人も何事かと前方に視線を戻す。ついでに見上げる形で話を聞いていたガッシュも顔を向け、三人はようやくそれに気付いた。
この距離になるまで気付かなかったのは通路の構造上そこが死角になっていたからだ。
そこには確かに、先ほど激情に任せて船内に飛びこんでいったチェスの姿があった。
但し、軍用ナイフで腹を貫かれそのまま壁に突きたてられるという無残な姿でではあるが。
ぐったりと顔を伏せ、腹からだらだらと血を流す様はどう見ても死体のそれだ。だが。

「……くっ」
死んでいるはずの体が、ティアナやガッシュが近づくよりも早くぴくりと動いた。そのまま自分の腹に刺さっていたナイフをずるりと抜き取る。
支えを失った小さな体が通路の床に落ちどすんと音を立てた。
「チェ、チェス君……あなた、一体?」
「僕は死なないんだよ、ティアナお姉ちゃん……時間もないしそれで納得してもらえるかな?ジェットおじさんと、ガッシュもね」
死なないはずなんだ、と戸惑う様子のティアナ達にチェスが言った。顔を暗くして呟くチェスに、高遠以外の三人はそれ以上何も言えなくなる。
腹の傷はほぼ塞がっておりナイフには一滴の血も残っていない。良く見れば壁に突きたてられていた時点でも血は流れ出る端から戻っていた。
あれでは臭いも広がるまい、と高遠は思った。
「頭は冷えましたか?
 不死者と言えどこの場では絶対ではないことは悲しいことですが既に証明されてしまいました。以後は慎重な行動をお願いしたい」
「……頭に血が昇っていたことは認めよう。だが貴様はどうなんだ?怪我人をぞろぞろ引き連れて歩くなど、私のことを言えた義理ではあるまい」
高遠の言い草が心底気に入らないというように、チェスが視線を鋭くする。
「あなたが軽率な行動を取らなければ、待ちの戦法を取ることもできたのですがね」
「……言ってくれるじゃないか、若造が」
「どちらが」
「け、喧嘩をしている場合ではないのだ!」
チェスの変貌ぶりにおろおろとしていたガッシュがそこでようやく二人の間に割って入った。
う~、という唸り声と共に睨まれ、ついでにもう二対の瞳からも呆れたような視線を投げかけられる。
数秒の沈黙の後、チェスと高遠は同時に折れた。

「申し訳ない。私としたことが少々気が立っていたようです」
「ごめんよ、ガッシュ」
同じく同時にため息をついた二人を見てガッシュはうむ、と妙にやりとげた感のある表情で言った。
「それで、実際のところ何しにきたのさ?まさか何も考えがない訳じゃないんでしょう?」
混乱を避けるためにひとまず「素」は隠すことにしたのか、見た目どおりの愛らしい口調で高遠を見上げて聞いてくる。
ころころとした笑顔にむず痒さのようなものを感じながら、高遠が返した。
「ええ、我々全員が無事脱出を果たすためにこの船を起動させようと思っていました」
「船を?分かんないな、もっと詳しく聞かせてよ」
「そのつもりでしたが……チェス君とこうして合流できた以上、アレンビー君が吉報を持ち帰るのも待つのも手だと思えてきましたね。
彼女がどうなったかはご存知でないですか?」
高遠の問いに、チェスは不安げに顔を伏せる。
「知らないよ……僕は船に入ってすぐに、何も分からないままやられちゃったから」
「ふむ……ではやはり次善の策を講じておきましょうか。
ここまでくれば帰り道も危険は……」
「高遠!後ろだっ!」
突如形相を変えてチェスが叫んだ。高遠と、話を静観していた他の三人がつられたようにばっとそちらに向き直る。

そして、次々に驚愕の表情を浮かべた。
四人の視線の先、通路の端には先ほどの黒衣の男がいた。氷でできているかのような冷徹な視線でこちらを見据えてくる。
だが、男はどういう訳か立て膝の姿勢で、距離もかなり開いていた。
即座の危険はない、ように思えた。
ただ問題は、男が抱えるようにして床に置いているデイパックから突き出された砲塔らしきものが、真っ直ぐ高遠達を狙っていることだった。
「くそったれが!」
ジェットが手近の扉に飛びつこうとするよりも早く、砲塔からどしゅうという重い音を立てて弾丸が発射される。
煙を上げて飛んでくるロケットランチャーの弾丸を見ながら、高遠はブービートラップという言葉を思い出していた。
戦場でわざと人形などを置いておき、それに気を取られ近づいた兵士を巻き込んで爆発するという兵器の一種だ。
まさか不死者をそれに使うとは、彼は私よりも余程「未知」の扱いに長けているらしい。
なす術も無く床に倒れこんだ高遠は、意識を失う一瞬前にそんなことを思った。

◇


ティアナはうっ、という小さなうめき声と共に目を覚ました。
視界は白一色に塗りつぶされている。
爆煙か、それともついに死んでしまったのだろうかと思いながら体を起こし、付着した白粉からそれが爆風に煽られてまき散らされた消火器の中身によるものだと気付いた。
「一体、何が……」
頭を押さえながら呟く。呟いた言葉自体に意味などなく、状況を把握するための反射のようなものだ。
そして、一瞬後に記憶が繋がり自分達が置かれている状況をはっきりと思い出した。
「高遠さん!」
覚醒して最初に発見したのが、気絶している高遠とそこに刃を振り下ろそうとしている黒衣の男だったのは幸運という他はない。
意識するのとほぼ同時に、自分でも驚く程の速さで魔力スフィアを精製し間髪を入れずに放っていた。
「シュ、シュート!」
それぞれに違った軌道を描きながら魔力スフィアがビシャスへと迫る。
しかし、甲板上の戦いで見せてしまった技では虚を突くことができず、俊敏な動きで回避されたスフィアは窓や壁面など関係のないところに衝突し小規模の爆発とともに霧散した。
再び開いた数メートルの距離を経て、ティアナとビシャスが対峙する。
ティアナの周囲は白煙に包まれ、高遠以外の人物の生死はおろか姿すら確認することはできない。
僅かに足元の霧が晴れた。ティアナの左手に、扉に背中を預けて気絶しているジェットの姿が確認できた。傍には銃が転がっている。
ティアナも含めて、視界にいる皆は奇跡的に重傷を負ってはいないようだった。

「絶対、やらせないから。アンタなんかに…!」
威嚇するようにビシャスを睨みながら、魔力スフィアを再精製する。数は三つ。明らかに一度に作れるスフィアの数が減っている。
そう思った瞬間、ティアナは反射的にジェットの傍にあるコルトガバメントを拾い上げていた。
僅かな頭痛と吐き気が襲う。だが、倒れたままピクリとも動かない高遠の姿を見ると不思議と抑え込むことができた。
震えは無い。撃つことはできなくても威嚇の役割は十分に果たしている。
ティアナはコルトガバメントの狙いをぴたりと据え付けたまま、物言わぬまま攻撃を再開しようとする殺戮者に向けて再び魔力を行使した。

「クロスファイヤーーー、シューート!!」
三つの橙色のスフィアがティアナの意思に従い動き始める。今度は同時ではなく、僅かな時間差をつけて操られた光球がビシャスへと向かった。
直線の軌道で顔を狙った一発目は大きく体を沈めることで回避され、そのまま後ろの壁にぶつかる。これはいい。
天井すれすれのところから弧を描くように急降下させた二発目はサイドステップで回避すると予想したのだが、体を捻る最小限の動きでかわされ大きく距離を詰められた。
一発目に近い位置に衝突した光球が壁に皹を入れ窓を割る。どのみちこれで仕留めるつもりではない。
本命は二発目に注意を向けさえている間に背後に回りこませた三発目だった。足元で炸裂させて無力化を狙う。
狙い通りの位置で光球は炸裂した。

「うそ…!」
狙い通りに行かなかったのは見えないはずのそれを察知したビシャスが着弾の瞬間に小さく飛び、爆風を利用して一気に目の前に踊り出たことだ。
着地までの一瞬の間にティアナは思考する。新たにスフィアを精製する時間はない。瞬きをするほどの時間があれば、自分は目の前の男に切り捨てられるだろう。
生き残るには、銃を撃つしかない。
引き伸ばされた一瞬の中で、ティアナの脳裏に頭を弾き飛ばされた親友の姿と自らの魔法を敢えて受けたジェットの姿がフラッシュバックする。
頬を汗が伝うのを感じた。そんな時間は存在しないはずなのに。
そして、視界の隅で気を失っている高遠の指がぴくりと動いたのを見たとき、ティアナの指は自然と引き金を引いていた。
慣れない反動に腕が上がる。
(やらせない、高遠さんも。他の皆も!)
ティアナの意志に応えるように弾は射線をぶれさせることなく正確に発射された。見えるはずのない弾道までがはっきりと見えるように感じられる。
頭痛も吐き気もなくなり、ティアナの瞳には力強い輝きが戻っていた。
脳裏に全員で脱出を果たす光景を力強く描きながら。
(私が。私がやらなきゃ。皆のために、スバル達の分まで――!)
凶行を止めるべく放たれた銃弾は狙い違わず真っ直ぐビシャスの眉間目掛けて吸い込まれるように飛び込み――

当然それを予測していたビシャスに横飛びに回避され、同時に回転力を加えて放たれた一閃によってティアナの両腕は手首から切断された。
「え……?」
ありえないくらいにゆっくりと宙を舞う自分の両手を見ながら、意思とは関係なく呆然とティアナが呟いた。
返す刀で左肩から袈裟切りに斬りつけられる。それも含めて一切の痛みを感じなかった。
更にとどめの一撃が放たれようとするのを、ティアナは他人事のようにぼんやりした知覚で認識していた。
「うおおおおおおおおお!!」
寸でのところでティアナを救ったのは、雄叫びとともにビシャスに飛び掛ったジェットだった。
ほとんど密着するようにビシャスの頭を掴み、割れて無くなった窓枠に叩きつける。
そうして、脆くなっていた壁ごと揉み合うように二人は船外へと落下していった。

「ティアナ君!?大丈夫ですか!?」
自分の名を呼ぶ高遠の声が聞こえたような気になりながら。
その声に奇妙なくらいの安心感を感じると、ティアナは静かに目を閉じ意識をゆっくりと闇の中に沈めていった。

【ティアナ・ランスター@魔法少女リリカルなのはStrikerS  死亡】

◇

船内を揺るがした衝撃の元に辿り着いたアレンビーが見たのは、血まみれになりながらティアナを抱き起こす高遠の姿だった。
「高遠ぉ!大丈夫…ってその人……」
「ティアナ君です……私が気付いて目を覚ましたときには既に」
アレンビーにとってその少女との直接の面識はさっきの甲板上のやりとりぐらいでしかない。
だが、抱き起こす高遠の様子を見ればその関係はおおよその察しはついた。
決して悲しみに打ちひしがれているという様子ではないが、固く引き締められた表情からは高遠が何らかの強い感情を持っていることは用意に知れる。
「これもあいつがやったんだよね……絶対に許せない」
「はい、襲撃を受けました。アレンビーさんはずっと彼を?」
「うん。船中追いかけてたんだけど、すぐに逃げて見つかんなくなっちゃうしたまに攻撃してきたと思ったらまたいなくなるし。
まるでこっちの位置がばれてるみたい」
「こちらの位置が……ですか。なるほど」
アレンビーの言葉から何か感じ取ったのか、高遠が思案するように頷く。そして、抱えていたままのティアナをそっと横たえるとすっと立ち上がった。

「他の皆は…?」
気遣うような、返事を恐れるような声音でアレンビーが恐る恐る聞く。
「ジェット刑事は私の意識が戻る直前にそこの壁の穴から男と一緒に落下するのをぼんやりとですが確認しました。
残念ながら、彼の容態を考えるとあの男を振り切って岸に泳ぎ着くのは絶望的と考えざるを得ません」
意識してそうしているのか、淡々とした口調で告げられたアレンビーの顔が沈む。
「そう…チェスとガッシュは?」
「お二人ならそこに……」
「高遠!チェスが目を覚ましたぞ!」
高遠の言葉を遮るように、床に空けられた大穴からガッシュの良く通る黄色い声が届けられた。
爆撃でもあったかのように焼け焦げた床に空けられた穴の底には、一つ下の階層が見える。
そこから、ぼろぼろになりながらも元気な顔を覗かせるガッシュと、肩を借りながら何とか立っているチェスの姿が覗いていた。

「おお、アレンビー!無事だったのだな!」
「ガッシュもね!チェス君は大丈夫…?」
「心配いらないよアレンビーお姉ちゃん……僕は頑丈なんだ」
「いや、しかし爆発の規模が思ったより小さくて助かりました。
 まるで何かが上から押さえ込んでくれたかのようにね」
安堵の表情を見せるアレンビーの隣で、顔を覗かせた高遠がどこか茶化すような口調で言った。
それに挑発めいたものを感じたのかチェスが顔を上げ口を尖らせる。
「何が言いたい。私が身を呈してかばったとでも言うのか?馬鹿な。
 ガッシュやジェットならともかく、貴様達のために私がそこまでするとでも?
 そもそもここでは不死者が絶対ではないと言ったのは貴様だろう。できる訳がない」
「私は何もそのようなことは言っていませんが、まぁいいでしょう。
 ですが私はともかくティアナ君は既に亡くなられました。
 悪く言うのは止めていただきたい」
「……それで、これからどうするつもりだ」
トーンを落として聞いてくる。ティアナの死に何か感じるところがあるようにも、先行きに不安を感じているようにも聞こえた。
答える高遠の口調は、既に完全に平常のものに戻っている。

「予定通り、船は機動させます。
あの男がここへと舞い戻ってくる前に船外へ逃げる手も考えましたが、どうやら彼は何らかの手段で我々の位置を把握しているようです。
強力な武装も確認できましたし、満身創痍の我々が外へ出たところで闇討ちで各個撃破されるのが関の山でしょう。この中で一番死に易そうな私など、特に遠慮したい」
最後の言葉は場を和ませるつもりで言ったのだが、笑う者はいなかった。
「私達の位置を掴んでいる?ありえない話ではないが、どうやって?」
顔を上げたままのチェスが、自信も思案するような顔をしながら聞く。
「何らかの道具でも、彼個人の能力でも、可能性は色々と考えられます。
『ありえない』ことを考慮せずに痛い目を見た私としては、ここは一つ慎重に行きたいと思います」
自嘲気味に告げられた言葉の意味をアレンビーだけが理解できず、他の三人の顔を不思議そうに見渡した。
結局気にしないことにしたのか、期待に満ちた瞳を高遠に向けてくる。
「高遠の言うとおりにすれば皆助かるんだよね?
確かに、外であれだけ逃げ隠れされると、私もちょっときついな」
「うむ!私も高遠の言う通りにするのだ!」
アレンビーに続き、ガッシュも両手を挙げて高遠に賛同した。横では、しぶしぶといった様子でチェスが頷いている。
全員が了承したと判断し、高遠も笑みを浮かべて頷く。
そして、デイパックを探ると中から取り出したものをチェス目掛けて放り投げた。
渡された鍵のようなものを両手で受け取り、その形状の奇妙さにチェスが訝しげな表情を浮かべた。

「これは?」
「この船の機動キーです。
ブリッジの鍵穴に差し込めば、この船は決められた航路を周回するべく動き出します」
「ああ、鍵見つかったのね」
「いえ、最初から私が持っていました。探して欲しいと頼んだのは嘘です」
「酷いじゃない、高遠!」
「ア、アレンビー!それはもう私が済ませたのだ!」
ガッシュよりもさらに激しく怒るアレンビーをなだめつつ計画を説明するのに、高遠は思った以上の苦労をするはめになった。

高遠の立てたプランに従い、四人が行動を開始する。
希望は必ず掴めると、まだこのときは皆が信じていた。


◇

寄せては返す波が岸壁にぶつかりざわざわと音を立てる。
飛び散るしぶきの立てるリズムの他は一切の騒音もなく、埠頭は静寂に満ちているとさえ言っても良かった。
殺人劇の舞台として選ばれた豪華客船ですら、そんなものはどこ吹く風とその巨体をただ波の揺れるに任せている。
昼間であれば見るものを緩やかな気持ちにさせたであろうその場所は、日が落ちたことで新たな情景を浮かび上がらせていた。
闇を恐れる人間の本能も、それを創り出す側には全く関係がないと言わんばかりに。
いつまでも続いていくかのように思えた平穏な光景は、しかし水中から無遠慮に突き出された一本の腕によって破られた。

「……」
全身を水浸しにしながら、相変わらずの感情の篭らない瞳でビシャスは埠頭へと這い上がった。
自身を水中に叩き落とした男は着水の衝撃に耐えられなかったのか意識を失い、勝手に水中深く沈んでいった。
それについて特にどうという感情を抱くこともなくビシャスはレーダーで敵の位置を探りながら慎重に自身の体力と怪我、そして装備を天秤にかけ方針を探る。
数秒の後、問題なく戦えると結論付けた。
だが、懸念事項もない訳ではない。怒りに身を任せて向かってきたあの子供。
苦もなくあしらったが、奇妙なことに斬った端から傷が治っていた。
理屈など知らないが、余計な体力を使わないためにも確実に仕留める手段を確保しておく必要がある。
慌てることも急ぐこともなくそれだけ考えると、ビシャスはただ空気のように自然に殺意を放ちながら豪華客船の中へと戻っていった。

そして、埠頭に再び静寂が戻った。
これまで起きたことも、そしてこれから起こることにすら一片の関心も持たず揺れ続ける豪華客船。
飛び散るしぶきが埠頭を少しの間だけ濃い色に変え、水が浸み入るのに合わせて元の色に戻る。
周囲に響く波の音。遥かに見えるのは穏やかに軒を連ねた民家のみ。埠頭に存在するのはどこまでも平穏な光景。それと。
「畜生、こんなことでくたばってたまるか……!」
真っ暗な水中から新たに這い出た、かつて執念深さを謳われた一人の賞金稼ぎだけだった。



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217:グッドナイト、スイートハーツⅣ 高遠遙一 224:希望の船?絶望の城?(後編)
217:グッドナイト、スイートハーツⅣ チェスワフ・メイエル 224:希望の船?絶望の城?(後編)
217:グッドナイト、スイートハーツⅣ ティアナ・ランスター
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