岡島緑郎の詰合 ◆lbhhgwAtQE
「A-5って……ここらへんじゃないのか!?」
放送が告げた禁止エリア、それはまさしくロック一行が一夜を明かそうと思っていたその場所であった。
「クソッ、なんでよりにもよって……」
禁止エリアを決めているであろうギガゾンビは主催という立場上、そして今までの放送の節々から考えるに参加者達の現在地を把握しているのだろう。
首輪あたりに発信機か何かが仕込んでおけば、そのようなことは容易に出来るはずだ。
ならば、彼は自らが指定した禁止エリアに女子供が留まっていることも把握しているはずなのだ。
そして、それを把握した上でそこを禁止エリア化するというのだからあのギガゾンビという男、余程性根が曲がっているのだろう。
ロックは改めて主催者へ怒りを覚えながらも、ひとまずはここを離脱するのが先決と考え、眠るエルルゥの肩を揺さぶり起こし始めた。
「――むにゃ? どうしましたか、ロックさん……」
「ついさっき放送があって、1時からこの辺りが禁止エリア化されるらしいことが告げられた」
「きんしえりあ……?」
「あぁ。だから、ここにずっと留まってると首輪が爆発する可能性がある」
首につけられたそれを指差しながら説明すると、エルルゥは徐々に顔面が蒼白していった。
「そ、そそそそそれじゃはや、早く逃げないと……!」
「分かってるさ。……だけど子供達をあまり動揺させたくはない。だからしんのすけと沙都子ちゃんは寝かせたまま、2人で背負って移動したいんだ」
エルルゥはそんな彼の説明を聞いて、静かに頷く。
「君も疲れているとは思うけど……すまない」
「いいんです。……こんなぐっすり眠ってるこの子達を起こすのは忍びないですから」
そう言って、エルルゥは眠る二人の子供を見やる。
その寝顔は、殺戮の舞台に放り込まれたとは思えないほど安らかだ。
……アルルゥも今頃は寝ているのだろうか。
妹の影を重ねながら、彼女は眠る少女を持ち上げ、背負う。
一方のロックもしんのすけを背負い、そしてデイパックを腕に掛けて立ち上がる。
「……あ、そういえばロックさん」
「ん? どうした、エルルゥ?」
「その……“ほうそう”っていうのがあったってことは、亡くなった方の名前も呼ばれたんですよね?」
「あぁ、そうだけど…………知りたいのかい?」
その問いにエルルゥが首肯するのを確認すると、ロックは。再度その場にしゃがみこみ、デイパックを開いて中から名簿を取り出す。
その名簿は、ロックが死亡者の名前に赤線を引いたものであり…………。
「フーさん…………」
手渡された名簿を見たエルルゥは、この地でひと時を共にした少女の名前にも赤一文字の線が引かれているのを見て、顔を暗くした。
しかも、彼女の言っていた仲間という人物2人もどうやら死亡しているようだった。
……そう、フーとその仲間は全滅してしまったのだ。
そして、それは他人事ではない。
このまま手をこまねいていれば、いずれ妹やトウカ、ロック達、それに自分の身にも降りかかりかねない事態であり――――
「――ありがとうございました」
「もう、いいのか?」
「……えぇ」
ここで落胆していても始まらない。
何はともあれ、今はここを離脱することが先決なのだ。
……エルルゥはそう決意して、立ち上がる。
そして、ロックもそれに合わせるように立ち上がると……。
「……それじゃ、行こうか」
「はい」
満天の星空の下、子供を背負った2人はゆっくりと歩き出した。
放送が告げた禁止エリア、それはまさしくロック一行が一夜を明かそうと思っていたその場所であった。
「クソッ、なんでよりにもよって……」
禁止エリアを決めているであろうギガゾンビは主催という立場上、そして今までの放送の節々から考えるに参加者達の現在地を把握しているのだろう。
首輪あたりに発信機か何かが仕込んでおけば、そのようなことは容易に出来るはずだ。
ならば、彼は自らが指定した禁止エリアに女子供が留まっていることも把握しているはずなのだ。
そして、それを把握した上でそこを禁止エリア化するというのだからあのギガゾンビという男、余程性根が曲がっているのだろう。
ロックは改めて主催者へ怒りを覚えながらも、ひとまずはここを離脱するのが先決と考え、眠るエルルゥの肩を揺さぶり起こし始めた。
「――むにゃ? どうしましたか、ロックさん……」
「ついさっき放送があって、1時からこの辺りが禁止エリア化されるらしいことが告げられた」
「きんしえりあ……?」
「あぁ。だから、ここにずっと留まってると首輪が爆発する可能性がある」
首につけられたそれを指差しながら説明すると、エルルゥは徐々に顔面が蒼白していった。
「そ、そそそそそれじゃはや、早く逃げないと……!」
「分かってるさ。……だけど子供達をあまり動揺させたくはない。だからしんのすけと沙都子ちゃんは寝かせたまま、2人で背負って移動したいんだ」
エルルゥはそんな彼の説明を聞いて、静かに頷く。
「君も疲れているとは思うけど……すまない」
「いいんです。……こんなぐっすり眠ってるこの子達を起こすのは忍びないですから」
そう言って、エルルゥは眠る二人の子供を見やる。
その寝顔は、殺戮の舞台に放り込まれたとは思えないほど安らかだ。
……アルルゥも今頃は寝ているのだろうか。
妹の影を重ねながら、彼女は眠る少女を持ち上げ、背負う。
一方のロックもしんのすけを背負い、そしてデイパックを腕に掛けて立ち上がる。
「……あ、そういえばロックさん」
「ん? どうした、エルルゥ?」
「その……“ほうそう”っていうのがあったってことは、亡くなった方の名前も呼ばれたんですよね?」
「あぁ、そうだけど…………知りたいのかい?」
その問いにエルルゥが首肯するのを確認すると、ロックは。再度その場にしゃがみこみ、デイパックを開いて中から名簿を取り出す。
その名簿は、ロックが死亡者の名前に赤線を引いたものであり…………。
「フーさん…………」
手渡された名簿を見たエルルゥは、この地でひと時を共にした少女の名前にも赤一文字の線が引かれているのを見て、顔を暗くした。
しかも、彼女の言っていた仲間という人物2人もどうやら死亡しているようだった。
……そう、フーとその仲間は全滅してしまったのだ。
そして、それは他人事ではない。
このまま手をこまねいていれば、いずれ妹やトウカ、ロック達、それに自分の身にも降りかかりかねない事態であり――――
「――ありがとうございました」
「もう、いいのか?」
「……えぇ」
ここで落胆していても始まらない。
何はともあれ、今はここを離脱することが先決なのだ。
……エルルゥはそう決意して、立ち上がる。
そして、ロックもそれに合わせるように立ち上がると……。
「……それじゃ、行こうか」
「はい」
満天の星空の下、子供を背負った2人はゆっくりと歩き出した。
(それにしても……残り29人、か。……クソッ)
デスゲーム開始から早1日。
ロックはこの24時間の間に早くも半数以上の人間が死んでいってしまった事を思い出し、歩きながら憤慨していた。
デスゲーム開始から早1日。
ロックはこの24時間の間に早くも半数以上の人間が死んでいってしまった事を思い出し、歩きながら憤慨していた。
……ここまでに多くの参加者達が死んでいった。
快楽殺人者の幼き双子に女ターミネーターのロベルタ、西洋剣士に立ち向かっていった君島邦彦や、病院で倒れていた三人の男女。
更に、あの化け物としか思えなかったアーカードという吸血鬼や沙都子を襲ったガッツという大男も死んだという。
また、エルルゥや沙都子の知人にも、死者は少なからず出ている。
そして――
快楽殺人者の幼き双子に女ターミネーターのロベルタ、西洋剣士に立ち向かっていった君島邦彦や、病院で倒れていた三人の男女。
更に、あの化け物としか思えなかったアーカードという吸血鬼や沙都子を襲ったガッツという大男も死んだという。
また、エルルゥや沙都子の知人にも、死者は少なからず出ている。
そして――
「うぅ~ん……母ちゃんオケチだゾ……」
ロックに背負われていたしんのすけが、不意に寝言を言った。
……そう。
ここにいる少年の父親も既に故人となっており、ついさっき彼の母親も故人になってしまったことが告げられた。
日本の埼玉県春日部で平穏に過ごしていたであろう彼ら家族もこの地で引き裂かれ、そして悲劇に巻き込まれてしまったのだ。
彼らが一体何をしたというのか。
このままでは、一家全滅という最悪の事態すら訪れかねない。
(そうさ。だからこそ、この現状を何とかしなくちゃならない。だが、ならば俺には何ができる……)
思うだけなら誰にでも出来る。
そこに行動を伴ってこそ、初めて変化が起こるのだ。
「さてどうする……。この状況をどう打開する…………」
夜は長い。
陽が昇るまでの間、ずっと考えていればきっと何か打開策が思いつくはずだ。
いや、思いつかなければならない。
自分がロアナプラに生きて帰る為にも、ここにいる少女少年の為にも。
そして、帰るためには首輪の爆弾への対処法やここからの脱出方法を知る必要がある。
更に言えば、それを知る為にはまずは様々な情報を収集しなくてはならない。
情報――それはこのような異常な事態であろうと、元いた商社での日常業務でも重要になる。
レヴィのような銃を扱う能力やダッチのような戦況を見極める能力や指揮能力、ベニーのような機械を操る技術がない自分に出来ることは情報を集めることくらいだ。
脱出の為に必要な情報……それらはすべて、今まさに殺戮が行われているこの地に散在しているはず。
それは地図に書かれている施設にあるかもしれないし、ここにいる参加者自身が元から知っているものかもしれないし、配られた道具の中にも何かしらの形で…………。
(道具……道具といえば……)
ロックは思い出す。
逝っていった君島が渡してくれたきり、きちんと調べていなかった一つの支給品の存在を。
君島に“それ”を手渡された時は、しんのすけが暴れていたし、そのすぐ後には西洋剣士の襲撃に遭った。
そして、更にその後は抵抗するしんのすけを連れて山中へと逃亡するのに必死であったし、温泉へ向かったら向かったで奥義伝承やら痴漢疑惑やらでてんやわんや、温泉を出たら今度はエルルゥと再会――と実に慌しかった。
故にロックは“それ”を詳しく調べることをすっかり忘れていた。
(君島は、音楽が流れてくる機械だと言っていたが…………)
音楽が流れるだけの機械ならば、脱出や首輪に繋がる可能性は限りなくゼロに近いだろう。
だが、ゼロに近くてもそれが完全にゼロでない限り、調べる価値はある。
腰を据えた後に行うべきことを見つけたロックの足取りは、先程までよりも力強くなっていた。
ロックに背負われていたしんのすけが、不意に寝言を言った。
……そう。
ここにいる少年の父親も既に故人となっており、ついさっき彼の母親も故人になってしまったことが告げられた。
日本の埼玉県春日部で平穏に過ごしていたであろう彼ら家族もこの地で引き裂かれ、そして悲劇に巻き込まれてしまったのだ。
彼らが一体何をしたというのか。
このままでは、一家全滅という最悪の事態すら訪れかねない。
(そうさ。だからこそ、この現状を何とかしなくちゃならない。だが、ならば俺には何ができる……)
思うだけなら誰にでも出来る。
そこに行動を伴ってこそ、初めて変化が起こるのだ。
「さてどうする……。この状況をどう打開する…………」
夜は長い。
陽が昇るまでの間、ずっと考えていればきっと何か打開策が思いつくはずだ。
いや、思いつかなければならない。
自分がロアナプラに生きて帰る為にも、ここにいる少女少年の為にも。
そして、帰るためには首輪の爆弾への対処法やここからの脱出方法を知る必要がある。
更に言えば、それを知る為にはまずは様々な情報を収集しなくてはならない。
情報――それはこのような異常な事態であろうと、元いた商社での日常業務でも重要になる。
レヴィのような銃を扱う能力やダッチのような戦況を見極める能力や指揮能力、ベニーのような機械を操る技術がない自分に出来ることは情報を集めることくらいだ。
脱出の為に必要な情報……それらはすべて、今まさに殺戮が行われているこの地に散在しているはず。
それは地図に書かれている施設にあるかもしれないし、ここにいる参加者自身が元から知っているものかもしれないし、配られた道具の中にも何かしらの形で…………。
(道具……道具といえば……)
ロックは思い出す。
逝っていった君島が渡してくれたきり、きちんと調べていなかった一つの支給品の存在を。
君島に“それ”を手渡された時は、しんのすけが暴れていたし、そのすぐ後には西洋剣士の襲撃に遭った。
そして、更にその後は抵抗するしんのすけを連れて山中へと逃亡するのに必死であったし、温泉へ向かったら向かったで奥義伝承やら痴漢疑惑やらでてんやわんや、温泉を出たら今度はエルルゥと再会――と実に慌しかった。
故にロックは“それ”を詳しく調べることをすっかり忘れていた。
(君島は、音楽が流れてくる機械だと言っていたが…………)
音楽が流れるだけの機械ならば、脱出や首輪に繋がる可能性は限りなくゼロに近いだろう。
だが、ゼロに近くてもそれが完全にゼロでない限り、調べる価値はある。
腰を据えた後に行うべきことを見つけたロックの足取りは、先程までよりも力強くなっていた。
「……ここで大丈夫なんですか?」
「あぁ。ここは完全に市街地に入ってるから禁止エリアには抵触しないはずだ」
一行が山を下ってからどれくらい時間が経ったのであろうか。
彼らは、山を完全に下りきり、麓にある民家の一室で腰を落ち着けていた。
「ひとまずはここで休憩を取ることにしよう。……病院に向かうのは朝を迎えたらってことで」
「はい。……でも、ロックさんは休まなくて大丈夫なんですか?」
押入れから取り出した布団に沙都子としんのすけを寝かしつけていたエルルゥは、心配そうにロックを見やった。
それは、日頃皆の健康を管理している薬師としての言葉でもあったし、行動を共にしている仲間としての言葉でもあった。
しかし、ロックはそんな彼女に笑顔で答える。
「大丈夫さ。入社したての頃は、徹夜で残業やら宴会をしっぱなしだったし、ラグーン商会でも夜を徹しての仕事はざらにあったからね。これくらいはなんともないよ」
「そうですか……」
「あぁ。だから、君も今日は早く寝るんだ。明日も忙しいだろうからね……」
「分かりました。……それじゃ、おやすみなさぁい……」
小さなあくびをひとつすると、エルルゥは自分も用意していた布団の中に入っていった。
――小さな寝息が聞こえてきたのは、それから間もなくであった。
「あぁ。ここは完全に市街地に入ってるから禁止エリアには抵触しないはずだ」
一行が山を下ってからどれくらい時間が経ったのであろうか。
彼らは、山を完全に下りきり、麓にある民家の一室で腰を落ち着けていた。
「ひとまずはここで休憩を取ることにしよう。……病院に向かうのは朝を迎えたらってことで」
「はい。……でも、ロックさんは休まなくて大丈夫なんですか?」
押入れから取り出した布団に沙都子としんのすけを寝かしつけていたエルルゥは、心配そうにロックを見やった。
それは、日頃皆の健康を管理している薬師としての言葉でもあったし、行動を共にしている仲間としての言葉でもあった。
しかし、ロックはそんな彼女に笑顔で答える。
「大丈夫さ。入社したての頃は、徹夜で残業やら宴会をしっぱなしだったし、ラグーン商会でも夜を徹しての仕事はざらにあったからね。これくらいはなんともないよ」
「そうですか……」
「あぁ。だから、君も今日は早く寝るんだ。明日も忙しいだろうからね……」
「分かりました。……それじゃ、おやすみなさぁい……」
小さなあくびをひとつすると、エルルゥは自分も用意していた布団の中に入っていった。
――小さな寝息が聞こえてきたのは、それから間もなくであった。
そして、皆が再び寝静まった頃。
「……それじゃ、さっそく調べるとするか」
自分に言い聞かせるようにそう言うと、ロックは眠るしんのすけに一言詫びを入れつつ彼のデイパックを開き、中から目的のものを取り出した。
今は亡き君島から手渡された掌サイズの携帯音楽端末i-podを……。
「……しっかし、こんなのが音楽を聴くための道具だなんてねぇ」
その小ささ、薄さ、そして軽さは彼が知りうるどの端末にも勝っていた。
自分がいた世界で普及していたCDプレイヤーですら、全てにおいてそれの数倍性能が劣りそうだ。
それに、その端末のボディに描かれたロゴは日本でポータブルプレーヤーを製造していた電機メーカーのものではなく、どう見てもリンゴなコンピューターメーカーのそれであった。
「あの会社、こんなの発売していたのか……?」
商社という立場上、海外の製品の情報が飛び込んでくることもあるはずだが、このような画期的な端末の情報をロックは知りえなかった。
「一体、こいつは何なんだよ……」
……本体を見ただけでも謎は深まるばかり。
だが、この機械の本質は音楽を聴くところにあるわけであり、この段階でいつまでも悩んでいる場合ではない。
ロックはそう判断すると、イヤホンを片耳にあて、再生のマークがついているボタンを押す。
すると――――――
「……それじゃ、さっそく調べるとするか」
自分に言い聞かせるようにそう言うと、ロックは眠るしんのすけに一言詫びを入れつつ彼のデイパックを開き、中から目的のものを取り出した。
今は亡き君島から手渡された掌サイズの携帯音楽端末i-podを……。
「……しっかし、こんなのが音楽を聴くための道具だなんてねぇ」
その小ささ、薄さ、そして軽さは彼が知りうるどの端末にも勝っていた。
自分がいた世界で普及していたCDプレイヤーですら、全てにおいてそれの数倍性能が劣りそうだ。
それに、その端末のボディに描かれたロゴは日本でポータブルプレーヤーを製造していた電機メーカーのものではなく、どう見てもリンゴなコンピューターメーカーのそれであった。
「あの会社、こんなの発売していたのか……?」
商社という立場上、海外の製品の情報が飛び込んでくることもあるはずだが、このような画期的な端末の情報をロックは知りえなかった。
「一体、こいつは何なんだよ……」
……本体を見ただけでも謎は深まるばかり。
だが、この機械の本質は音楽を聴くところにあるわけであり、この段階でいつまでも悩んでいる場合ではない。
ロックはそう判断すると、イヤホンを片耳にあて、再生のマークがついているボタンを押す。
すると――――――
♪
ギ・ギ・ギガギガ☆ ツ・チ・ダマ☆
ギ・ギ・ギガギガ☆ ツ・チ・ダマ☆
ギ・ギ・ギガギガ☆ ツ・チ・ダマ☆
ギ・ギ・ギガギガ☆ ツ・チ・ダマ☆
(間奏)
素直に「好き」と~ 言えないキミも 勇気を出してギガ~(ヘイ、アタックギガ~)
恋のまじない ツチダマビーム かけてあげるギガ~
♪
恋のまじない ツチダマビーム かけてあげるギガ~
♪
「………………何だよ、これは」
聞こえてきたのは、機械合成のような声で歌われる昭和の香り漂う特撮かアニメの主題歌の類のような曲。
端末についていた液晶画面を見れば、曲名に『恋のツチダマ伝説』、歌手名に『歌手ダマ』と表示されている。
聞いたこともない曲とヴォーカルに唖然とするロックであったが、聞いた事がない曲である故に、何か歌詞に秘密があるのかもしれない、と終わりまで早送りせずに聞く事にした。
……だが、結果としては、脱出や首輪に関する情報は何一つ見当たらないまま終わってしまい……
「次を聞いてみることにするか」
と引き続き流れてくる曲に耳を傾けることにした。
曲名は『ギガゾンビ様のうた』…………。
聞こえてきたのは、機械合成のような声で歌われる昭和の香り漂う特撮かアニメの主題歌の類のような曲。
端末についていた液晶画面を見れば、曲名に『恋のツチダマ伝説』、歌手名に『歌手ダマ』と表示されている。
聞いたこともない曲とヴォーカルに唖然とするロックであったが、聞いた事がない曲である故に、何か歌詞に秘密があるのかもしれない、と終わりまで早送りせずに聞く事にした。
……だが、結果としては、脱出や首輪に関する情報は何一つ見当たらないまま終わってしまい……
「次を聞いてみることにするか」
と引き続き流れてくる曲に耳を傾けることにした。
曲名は『ギガゾンビ様のうた』…………。
♪
あんなこといいギガ~ 出来たらいいギガ~
あんな夢 こんな夢 いっぱいあるギガ~
あんなこといいギガ~ 出来たらいいギガ~
あんな夢 こんな夢 いっぱいあるギガ~
みんなみんなみんな 叶えてくれる
不思議な道具で叶えてくれるギガ~
不思議な道具で叶えてくれるギガ~
そ~らを自由に 飛びたいギガ~ (はい! タケコプター!)
アンアンアン とっても大好き ギガゾンビ様~
♪
♪
「……何が“あんな夢こんな夢”だ。ふざけてるにも程があるぞ……」
流れてくる歌詞が、今自分達が立たされている状況と対照的に明るすぎたために、ロックは思わず悪態をつく。
しかも、歌詞がギガゾンビを讃えるものであるために、神経を逆撫でされるかのような感情を抱かざるを得ない。
「この調子だと曲の中にはヒントは無さそうな気もするが…………」
ロックは画面表示を操作してみるが、ぱっと見てヒントになりそうな曲名は見当たらない。
「やっぱりハズレなのか、これは……………って、うわっ、しまった!」
すると不意に、曲名を調べていたロックは操作を誤り、選曲画面とは違う画面にしてしまった。
そこは所謂メニュー画面であり……
「photosにvideosって……これ、写真とか動画も見れるのか?」
興味本位で試しにphotosの欄にカーソルをあわせ選択キーを押し操作を続けていると、一人の見覚えのある少年の写真がそこには映し出された。
流れてくる歌詞が、今自分達が立たされている状況と対照的に明るすぎたために、ロックは思わず悪態をつく。
しかも、歌詞がギガゾンビを讃えるものであるために、神経を逆撫でされるかのような感情を抱かざるを得ない。
「この調子だと曲の中にはヒントは無さそうな気もするが…………」
ロックは画面表示を操作してみるが、ぱっと見てヒントになりそうな曲名は見当たらない。
「やっぱりハズレなのか、これは……………って、うわっ、しまった!」
すると不意に、曲名を調べていたロックは操作を誤り、選曲画面とは違う画面にしてしまった。
そこは所謂メニュー画面であり……
「photosにvideosって……これ、写真とか動画も見れるのか?」
興味本位で試しにphotosの欄にカーソルをあわせ選択キーを押し操作を続けていると、一人の見覚えのある少年の写真がそこには映し出された。
「これは……キョンとかいう少年じゃないか」
ブレザーに身を包んだどこにでもいそうな男子学生のその顔は、まさしく病院で出会ったキョンという少年のものだった。
しかも、それを証明するかのようにバストアップされたその写真の下部には“キョン”と書かれている。
「何で彼の写真がこんなところに…………」
更に操作をしていくと、今度は女子高生と思われるショートカットの少女の顔が映る。
下部に表示された名前は“涼宮ハルヒ”……。
「キョンに涼宮ハルヒ…………これってまさか……」
キーを押してゆくと、“長門有希”“朝比奈みくる”“朝倉涼子”“鶴屋さん”と少女の写真が続いた後、“ドラえもん”という青いダルマのようなものの写真が表示される。
更にキーを連打していくと自身やレヴィ、ロベルタの写真も名前付きで出てくる。
「……やっぱりそうか」
ここまで見れば、この写真が何を示すかは一目瞭然だ。
そう、これは顔写真付の参加者名簿となっているのだ。
「これにこんな機能があったとはな…………」
“music”には意図のわからない音楽の詰め合わせが、“photos”には写真付名簿が入っていた。
この端末には、どうやらロックの想像以上に色々な情報が眠っているようだ。
「ま、夜は長いし、一つ一つ調べてみるとするか……」
窓の向こうで輝く月と星を見やると、ロックはその不思議な端末との格闘を再開した。
ブレザーに身を包んだどこにでもいそうな男子学生のその顔は、まさしく病院で出会ったキョンという少年のものだった。
しかも、それを証明するかのようにバストアップされたその写真の下部には“キョン”と書かれている。
「何で彼の写真がこんなところに…………」
更に操作をしていくと、今度は女子高生と思われるショートカットの少女の顔が映る。
下部に表示された名前は“涼宮ハルヒ”……。
「キョンに涼宮ハルヒ…………これってまさか……」
キーを押してゆくと、“長門有希”“朝比奈みくる”“朝倉涼子”“鶴屋さん”と少女の写真が続いた後、“ドラえもん”という青いダルマのようなものの写真が表示される。
更にキーを連打していくと自身やレヴィ、ロベルタの写真も名前付きで出てくる。
「……やっぱりそうか」
ここまで見れば、この写真が何を示すかは一目瞭然だ。
そう、これは顔写真付の参加者名簿となっているのだ。
「これにこんな機能があったとはな…………」
“music”には意図のわからない音楽の詰め合わせが、“photos”には写真付名簿が入っていた。
この端末には、どうやらロックの想像以上に色々な情報が眠っているようだ。
「ま、夜は長いし、一つ一つ調べてみるとするか……」
窓の向こうで輝く月と星を見やると、ロックはその不思議な端末との格闘を再開した。
……だがこの時、彼はまだ知らなかった。
このi-podというツールは単に音楽や写真を再生する携帯端末という顔の他に、携帯できる外付けHDDとしての顔も持つという事を。
ましてやその中に、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースが遺した何かが入っている事など当然、知る由がなかった……。
このi-podというツールは単に音楽や写真を再生する携帯端末という顔の他に、携帯できる外付けHDDとしての顔も持つという事を。
ましてやその中に、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースが遺した何かが入っている事など当然、知る由がなかった……。
【C-4・山間部と市街地の境目付近にある民家/2日目・黎明】
【ロック@BLACK LAGOON】
[状態]:若干疲労
[装備]:ルイズの杖@ゼロの使い魔 、マイクロ補聴器@ドラえもん、i-podのイヤホン(片耳)
[道具]:支給品一式×2、ipod(電池ほぼ満タン)、黒い篭手?@ベルセルク?、現金数千円
びっくり箱ステッキ@ドラえもん(10回しか使えない。ドア以外の開けるものには無効)
[思考・状況]
1:朝までi-podを調べつつ休息。それまでは見張り番として起きている。
2:全員が起床後、病院へ向かう。
3:沙都子を助けたい。
4:ギガゾンビの監視の方法と、ゲームの目的を探る。
6:しんのすけ、君島、キョンの知り合い及びアルルゥと魅音を探す。
7:しんのすけに第一回放送・第四回放送のことは話さない。
8:一応、鞄の件について考えてみる。
9:i-podに詳しい人物に接触したい。
[備考]※ケツだけ星人をマスターしました
※病院での一件をエルルゥにまだ話していません
※i-podの顔写真付名簿に一通り目を通しました
※i-podがパソコンと接続できることを知りません
【ロック@BLACK LAGOON】
[状態]:若干疲労
[装備]:ルイズの杖@ゼロの使い魔 、マイクロ補聴器@ドラえもん、i-podのイヤホン(片耳)
[道具]:支給品一式×2、ipod(電池ほぼ満タン)、黒い篭手?@ベルセルク?、現金数千円
びっくり箱ステッキ@ドラえもん(10回しか使えない。ドア以外の開けるものには無効)
[思考・状況]
1:朝までi-podを調べつつ休息。それまでは見張り番として起きている。
2:全員が起床後、病院へ向かう。
3:沙都子を助けたい。
4:ギガゾンビの監視の方法と、ゲームの目的を探る。
6:しんのすけ、君島、キョンの知り合い及びアルルゥと魅音を探す。
7:しんのすけに第一回放送・第四回放送のことは話さない。
8:一応、鞄の件について考えてみる。
9:i-podに詳しい人物に接触したい。
[備考]※ケツだけ星人をマスターしました
※病院での一件をエルルゥにまだ話していません
※i-podの顔写真付名簿に一通り目を通しました
※i-podがパソコンと接続できることを知りません
【エルルゥ@うたわれるもの】
[状態]:睡眠中、かなりの肉体的、精神的疲労(大分回復)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(ロックから譲渡)
[思考・状況]
1:朝まで休息。
2:沙都子を助けたい。
3:トウカ、アルルゥ等を探す。
[備考]※ハクオロの死を受け入れました。精神状態は少し安定しました。
※フーとその仲間(ヒカル、ウミ)、更にトーキョーとセフィーロ、魔法といった存在について何となく理解しました。
[状態]:睡眠中、かなりの肉体的、精神的疲労(大分回復)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(ロックから譲渡)
[思考・状況]
1:朝まで休息。
2:沙都子を助けたい。
3:トウカ、アルルゥ等を探す。
[備考]※ハクオロの死を受け入れました。精神状態は少し安定しました。
※フーとその仲間(ヒカル、ウミ)、更にトーキョーとセフィーロ、魔法といった存在について何となく理解しました。
【野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:睡眠中、全身にかすり傷、頭にふたつのたんこぶ、腹部に軽傷、歩き疲れ(睡眠により回復中)
[装備]:ニューナンブ(残弾4)、ひらりマント@ドラえもん
[道具]:支給品一式 、プラボトル(水満タン)×2
[思考・状況]
1:朝まで寝る。
2:お兄さん(ロック)とお姉さん(エルルゥ)について行く。
3:みさえとひろし、ヘンゼルのお姉さんと合流する
4:ゲームから脱出して春日部に帰る。
[備考]放送の意味を理解しておらず、その為に君島、ひろしの死に気付いていません。
第四回放送を聞き逃しました。
[状態]:睡眠中、全身にかすり傷、頭にふたつのたんこぶ、腹部に軽傷、歩き疲れ(睡眠により回復中)
[装備]:ニューナンブ(残弾4)、ひらりマント@ドラえもん
[道具]:支給品一式 、プラボトル(水満タン)×2
[思考・状況]
1:朝まで寝る。
2:お兄さん(ロック)とお姉さん(エルルゥ)について行く。
3:みさえとひろし、ヘンゼルのお姉さんと合流する
4:ゲームから脱出して春日部に帰る。
[備考]放送の意味を理解しておらず、その為に君島、ひろしの死に気付いていません。
第四回放送を聞き逃しました。
【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:睡眠中、若干疲労(睡眠により回復中)、右足粉砕(一応処置済み)
[装備]:スペツナズナイフ×1
[道具]:基本支給品一式、トラップ材料(ロープ、紐、竹竿、木材、蔓、石など) 簡易松葉杖、どんな病気にも効く薬@ドラえもん
エルルゥの薬箱@うたわれるもの(筋力低下剤、嘔吐感をもたらす香、揮発性幻覚剤、揮発性麻酔薬、興奮剤、覚醒剤など)
[思考・状況]
1:朝まで休息。
2:ロックとしんのすけ、エルルゥを『足』として利用し、罠を作るための資材を集める。
3:十分な資材が入手できた後、新たな拠点を作り罠を張り巡らせる。
4:準備が整うまでは人の集まる場所には行きたくない。
5:生き残ってにーにーに会う、梨花達の分まで生きる。
6:魅音とは会いたくない。
[備考]第四回放送を聞き逃しました。
[状態]:睡眠中、若干疲労(睡眠により回復中)、右足粉砕(一応処置済み)
[装備]:スペツナズナイフ×1
[道具]:基本支給品一式、トラップ材料(ロープ、紐、竹竿、木材、蔓、石など) 簡易松葉杖、どんな病気にも効く薬@ドラえもん
エルルゥの薬箱@うたわれるもの(筋力低下剤、嘔吐感をもたらす香、揮発性幻覚剤、揮発性麻酔薬、興奮剤、覚醒剤など)
[思考・状況]
1:朝まで休息。
2:ロックとしんのすけ、エルルゥを『足』として利用し、罠を作るための資材を集める。
3:十分な資材が入手できた後、新たな拠点を作り罠を張り巡らせる。
4:準備が整うまでは人の集まる場所には行きたくない。
5:生き残ってにーにーに会う、梨花達の分まで生きる。
6:魅音とは会いたくない。
[備考]第四回放送を聞き逃しました。
※i-podについて
内蔵されている音楽の多くは、出典作品に関する曲のツチダマアレンジバージョンのようです。
また、顔写真付名簿の存在が確認されました。
この他にも、ロックが調べていないデータがまだ存在している模様です。
内蔵されている音楽の多くは、出典作品に関する曲のツチダマアレンジバージョンのようです。
また、顔写真付名簿の存在が確認されました。
この他にも、ロックが調べていないデータがまだ存在している模様です。
時系列順で読む
Back:道 Next:のこされたもの(相棒)
投下順で読む
Back:もう一度/もう二度と――なまえをよんで/なまえはよばない Next:闇照らす月の標
220:「散りゆく者への子守唄」 | ロック | 253:ひめられたもの(1) |
220:「散りゆく者への子守唄」 | 野原しんのすけ | 253:ひめられたもの(1) |
220:「散りゆく者への子守唄」 | 北条沙都子 | 253:ひめられたもの(1) |
220:「散りゆく者への子守唄」 | エルルゥ | 253:ひめられたもの(1) |