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  • 陽が落ちる(1)

アニメキャラ・バトルロワイアル @ Wiki

陽が落ちる(1)

最終更新:2022年05月04日 08:37

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だれでも歓迎! 編集

陽が落ちる(1) ◆S8pgx99zVs


【17:54】 「紅の魔術師と、紅の従者」


西日を受ける建物は茜色に染まり、その西日が射す空の向こうは藍色。
夜の帳が落ちる、その直前にだけ見れる不思議な赤と青のコントラスト。
そんな風景の中を往くのは、疲弊した五人の人間達だ。
先頭から――遠坂凛、レヴィと涼宮ハルヒ、野原しんのすけ、最後尾にロック。

誰の足取りも重い。
急がねばならない。それぞれにその理由がある。――それでも彼女らの足取りは重かった。


先頭を行く遠坂凛は、アスファルトの上を引き摺る自身の足から、視線を通りの先へと持ち上げた。
この簡単な動作だけでも億劫に感じる。それほどまでに、死線を越えたばかりの彼女の身体は疲弊していた。
半眼の先にあるのは戻るべき場所である病院だ。もう目と鼻の先だが、そこがとても遠く感じられる。

” ……マスター? ”
遠坂凛に声をかけるのは、その彼女の手の中から零れ落ちそうになっていた一本の杖だ。
「ごめん、レイジングハート。ちょっと気が抜けてた……」
言いながら遠坂凛はレイジングハートを手の中に握りなおす。
” いえ、マスター。それよりも、やはりもう少し回復した方が…… ”
一本の杖は主人を気遣うが……、
「駄目よ。只でさえカートリッジは足りてないんだから。
 戻ったらフェイトにも使ってあげないとだし。カズマもセイバーと戦ったとしたら無傷ですむはずがないわ」
主は従僕の願いに首を振った。しかし、杖が心配しているのはそんなことではない。

「それに。……アルルゥも、他の死んでいった人達も、それに水銀燈だって。みんな苦しみと戦っていたのよ」
遠坂凛にはどこか自罰的なところがある。そこが杖の最も心配するところだった。
先の涼宮ハルヒに対する説得行為にしても、他にやりようがいくらでもあったはずである。
それを、彼女は最も自分が傷つく方法を、それを躊躇いもなく選択した。その選択は美しいが――間違いだ。
今更その間違いを正したいとは杖も思ってはいない。しかし、それでも――、

” マスター ”
後一つ通りを超えれば目的とする場所へと辿り着く。進むことに集中していた遠坂凛に、再び杖が声をかけた。
「何、レイジングハート? 小言だったら……」
杖の言葉に遠坂凛は顔を向けることもしないが……、
” ……マスター。もう二度と私を手放さないと約束してください ”
その強い言葉に歩みを止めた。そして、今度はじっと手の中の杖を見る。

杖に表情はない。だが、それを見ればそれが何を考えているのか遠坂凛にも理解することができた。
遠坂凛はフ……と、息を吐く。
「心配ばかりさせて、私は悪いご主人様ね。……さっきはごめんなさい。レイジングハート」

自分が傷つけば他の人は傷つかない――そんなわけがない。
そんなわけがないということは、先に相対した彼女を見れば、そして自分の生きてきた道程を辿れば解るはずなのに……。
だから、ここから先は――、

「最後までずっと一緒よ。レイジングハート」
” Yes. My Master. ”

遠坂凛はレイジングハートと繋がる手を再び強く結びなおした。


【17:59】 「終わりのはじまり」


「往来のど真ん中で玩具とぶつぶつおしゃべりなんかしてっと、ジャンキーと間違われるぞ」

立ち止まった遠坂凛に声をかけるのはレヴィだ。
そしてその肩には、ぐったりとした涼宮ハルヒがもたれかかっている。

「彼女。大丈夫なの……?」
遠坂凛が心配するのは、目を瞑り苦しげな表情で俯いている涼宮ハルヒだ。
「さぁね。大人しくなったと思いきや。途端にコレだ。まるで、飲み比べした次の日の朝みてーによ」

――二日酔い。それは言いえて妙だなと遠坂凛は思った。
彼女には世界を改変する能力――もしくはそれに類する能力が宿っていた。
そして、おそらくはそれまで無意識に振るっていたその能力を、彼女はついさっき自覚したのだ。
しかしそれはあまりにも人の手に余る力だ。どう見ても彼女の――いや、人間のキャパティシーを超えている。
結果、能力に振り回され――いわば彼女は今、「能力酔い」の状態にあると言えるだろう。
(……酔っている。それぐらいで済んでいて御の字かもね)
下手をすれば彼女自身の存在が崩壊しかねない。そんな類の能力だ。
うまく使いこなせれば、この世界からの脱出も容易になるであろう魅力的な力だが、それは期待できない。
まだ未熟な能力者が過ぎたる力で己を滅ぼさぬよう、まずは能力を「使わない」ことから指導しなければ……。

「ヘイ! 遂にはおしゃべりさえもできなくなったのか?」
遠坂凛の思考を中断させたのは、再びかけられたレヴィの声だった。
そうだった。今は移動中だったと遠坂凛は思い出す。考え事に耽っている場合ではない。
「ごめんなさい。…………ええと?」
遠坂凛の前に立つレヴィは上を――空に顔を向けていた。その後ろのロックとしんのすけもだ。

「時間だぜ。三文の徳にもならないクソ下らねー説法のな」
天に唾吐く姿勢で吐き出されたレヴィの言葉に、遠坂凛も倣って藍色の空を見上げた。


その藍色の空に、七度ギガゾンビがその姿を現す。
それまでと同じ様に、生き残った少ない人間達に向け、嘲り、侮蔑し、挑発する。
そして、短い放送を何時もの通りに哄笑で締めくくると、再びその姿を空の向こうへと隠し消え去った。


遠坂凛、レヴィ、ロック。三人の顔が一様に青褪める。
仲間であったカズマの死にではない。もちろんそれを聞いた時にも彼女達は衝撃を受けたが――、
「……不味い。危惧していた中でも最悪の展開だ」
ロックの口から絶望を含んだ言葉がこぼれる。
ギガゾンビが、自らグリフィスを差し向けたこと、そして亜空間破壊装置の存在を公言した。
そして、一時間以内に二人以上の死者が出なければ全員を殺すという宣言。

「戻るぞっ!!」
言うが早いかレヴィは涼宮ハルヒを背負って走り出す。
他の三人も疲れを忘れてそれを追った。


最悪の展開――つまりは、ギガゾンビ側の手札が先に尽きたのだ。


【18:00】 「喜緑江美里」


遠坂凛達が広い空へと目を向けていたのと同時刻。
逆に、トグサ達は病院のレントゲン室の中、目の前の狭いディスプレイの中へと目を奪われていた。


  EMIRI.K>
  突然ごめんなさい。ですが、時間がないので簡潔に説明させてもらいます。
  まず、私はあなたがたの味方です。これから約五分間の間、可能な範囲であなたがたの入力した質問にお答えします。
  なるべく急いでください。このDISCを通じて交信ができるのは、僅かな時間のみです。


突然、真っ黒なディスプレイの上に現れた文章。
ノートPCの前に座るゲイナーも、その後ろに立つトグサ、ゲイン、ドラえもん。
そして離れた位置でベッドに横たわるフェイト。さらにユービック。その内の誰も即座には対応できなかった。
なによりも、その正体と意図が掴めない。そして同時に、聞き逃せない定時放送も始まっている。

「トグサとゲイナーはそっちを頼んだ! 放送は俺とドラえもんで聞き取る」
咄嗟に判断したのはゲインだ。二兎追うものはなんとやら……、下手に手間取ればどちらとも取りこぼしかねない。
「分かった。よろしく頼む」
反応よく返事をしたトグサではあったが、通信の向こう側にいる者に尋ねる言葉までは浮かばなかった。
長門有希が指定したゲームをクリアした特典だ。それがマイナス要素であるはずはなかったが……、

  EMIRI.K>
  失礼ですが先に質問させていただきます。そちらに長門有希。または朝倉涼子という人物はいますか?

返ってこない反応にしびれを切らしたのか、向こう側から質問が出てきた。
――長門有希。そして朝倉涼子。その中にある二人の人物名を見てトグサは向こう側の正体を察する。
固まるゲイナーの脇から手を伸ばすと、キーボードに回答を打ち込んだ。

  ->
  今はいない。すでに二人とも死亡している。だが彼女達の事情は聞いている。
  君もその仲間なんだな?

回答。そしてそこに加えた質問。向こう側の返答は一瞬だった。

  EMIRI.K>
  はい。喜緑江美里といいます。
  彼女達とは所属が異なりますが、同種であり、その目的は同じであると思っていただいてかまいません。

すでに通信開始から一分を過ぎている。トグサは素早く簡潔に質問を打ち込んだ。

  ->
  涼宮ハルヒの奪還が目的だな?

それに対しては返答も簡潔だった。

  EMIRI.K>
  はい。

トグサはキーボードを叩き、短い時間で問答を繰り返す。
周りの人間はその内容を理解することができない様子だったが、それに対応する余裕までは彼になかった。
ただ、残された時間に追われながら無言でキーボードを叩くだけだ。

  ->
  涼宮ハルヒは健在だ。彼女を救い出すというのなら、ついでに俺達も――とお願いしていいのか?

  EMIRI.K>
  はい。
  こちら側では、そちらで何があったのか把握できていませんが、
  友好的であるなら、あなたをそちらからこちらへと移動させることにやぶさかではありません。

  ->
  ハルヒを含めてこちらには十数人いるが、それでもかまわないか?

  EMIRI.K>
  こちら側が提示する条件を満たしていただければ。

  ->
  できることならする。

トグサは条件が提示されるまでの一瞬を息を詰めて待った。
射手座の日をクリアした特典。それは何よりも欲しがっていたこの空間からの脱出手段だった。
どのような条件が突きつけられるのか? どうやって自分達は救い出されるのか……、

  EMIRI.K>
  条件1. 涼宮ハルヒの生命の保守。 
  条件2. 通信に使用している端末機器の保全。
  条件3. 長門有希。または朝倉涼子どちらかの遺体の確保。

三つ目の条件にトグサの眉根が寄った。一つ目と二つ目は解る。だが……、

  ->
  条件3はなんだ? 彼女達も回収したいということか?

  EMIRI.K>
  いいえ。涼宮ハルヒと貴方達の脱出に必要なのです。
  脱出に必要な構成情報を受け止めるキャパシティーは、残念ながらそちらの端末にはありません。
  なので、彼女達のどちらかの身体を再活性化して、そちら側の受信機とする必要があるのです。
  そうしなければ、残念ながら人を通すほどの経路を開くことが出来ません。

なるほど――とは、納得することはできなかった。
トグサが長門有希から直接聞いた情報統合思念体――そして、彼女達TFEI端末の情報。
判るのは彼女達が人類とは一線を画したレベルの能力を持っていること。
そして、まるで九課の少佐が電脳世界でそうするように、現実を情報で改竄できるということだけだ。

解らないことを一々説明してもらう時間はない。
トグサは技術的な疑問は頭から振り払い、実務的な部分だけに質問を繰り返した。

  ->
  それで、それが実行できるまでにどれぐらい時間が掛かる?

  EMIRI.K>
  こちらからそちらへと再接続するのに、数時間。
  さらにその後、そちらで経路を開く作業に、数時間。
  未確定な要素を考慮した上で、おおよそ四時間から六時間の間に完了する可能性が高いです。

(四時間から六時間を推定……か)
トグサは唇を噛んだ。
これを聞いたのが今日の昼ごろであれば、彼は小躍りでもしたかも知れないが、
すでにギガゾンビ側からのいくつかの介入が確認されている以上、最低でも四時間というのは果てしなく長かった。
脱出の話が出た時は、これがゴールまでスキップできる隠しルートかと予感したが、やはり現実は甘くない。
だがそれでも、せっかく垂れてきた蜘蛛の糸を無下にするようなことはしない。
元々、彼等が立てたエクソダス計画では、全ての懸念事項をクリアした後の帰還方法については白紙だったのだ。

  ->
  わかった。そちらの条件を守れるよう努力する。

  EMIRI.K
  ご協力を感謝します。
  再アクセスはこの端末を使用しますので、電源を落とさないようお願いします。

そして、もう時間は終わりだと彼女は問答を終えた。
通信を終えたノートPCのディスプレイには、今の対話がログとして残っているだけだ。

トグサは一つ息を吐くと、この事案を仲間と検討するために振り返った。だが……、
「……どうした? 放送で何かあったのか?」
放送を聞いていたゲインの顔は暗く、眉間に皺が寄っている。
もしかして仲間が。まさかハルヒが……と、最悪のパターンがトグサの脳裏によぎったが、現実はさらにその上。
考えられる内で最も最悪の状況へと陥っていた。

「……ああ。不味いことになった」


【18:07】 「最悪のパターン」


トグサがゲインから放送の内容を聞き終わって絶句すると同時に、狭い室内に遠坂凛達がなだれ込んできた。
再会した仲間の暗い顔を見れば、互いに状況を把握していることが解る。

だが、さらに言葉を紡いで互いの認識を交えれば、それすらもまだ甘かったと言うことが解った。

ゲインが語る。グリフィス造反の顛末。
レヴィが語る。ツチダマの――ギガゾンビ側の積極的な介入行為。
遠坂凛の語る。リインフォースの失敗と闇の書の暴走。
そこにフェイトが付け加え語る。ジュエルシードと闇の書の脅威。

造反したグリフィスによる亜空間破壊装置の破壊。それに伴うギガゾンビ城の出現。
そして、グリフィスの暴走の結果を受け、新たに暴走を開始した闇の書。
さらにカズマと相討ったであろうセイバーの死による、積極的な企画推進者の不在。

――亜空間破壊装置の機能停止。――ギガゾンビの居場所の特定。――敵性存在の駆逐。
そのどれもは、予め立てられていたエクソダス計画にあったことで、一つ一つを見れば喜ばしいことではあるが……。


「……順番がまずい。よりにもよって首輪が最後になるなんて」
言葉を洩らしたのはロックだ。
元々、彼の発言を受けてエクソダス計画はそれぞれの作業を同時、または短い時間差で進める予定であった。
それは、今現在のような状況に陥ることを避けるためだ。

「よくも悪くも、グリフィスとやらの行動が裏目に出たな」
次に発言したのはゲインだ。
彼はユービックの持ってきたノートPCから、グリフィスがどう動いたかを把握している。
グリフィスの行動は、エクソダス請負人である彼にとっても予測の範疇を大きく外れるものであった。
ギガゾンビに取り入る人間がいたとしても、まさかさらに内部から反乱を起こすなどということを仕出かす人間がいるとは……だ。
しかも、一週間二週間と潜入工作を行ったのではなく、たった半日程度である。
そんな人間が現れるなどとは予想できるはずもない。

「闇の書の暴走は向こうも予定外のはず。早く切り上げたいんでしょうね。この殺し合いを」
ゲインに続けて発言したのは遠坂凛。
闇の書の暴走は、先のグリフィスの暴走を受けてのものではあるが、
リインフォースがジュエルシードを取り込むなどとはさすがにギガゾンビも予想はしていなかったはずだ。
そして、その闇の書はギガゾンビの居城の真近くにある。
運がなければ、暴走を開始した闇の書の被害を真っ先に受けるのはギガゾンビ本人になるだろう。

「不幸中の幸いは、事ここに至ってもまだギガゾンビがこのゲームを中断する気がないってことだ」
四番目の発言者はトグサだった。
ギガゾンビがその気になれば、全員の首輪を予告無しに爆発させこの場から去るのは容易なはずだ。
だが、ギガゾンビの中の、このゲームに対する執着がその決断を先延ばしにしている。
与えられた時間は一時間……いや、すでにもうそれよりも短い時間だ。

「……で、どうすんだ。ギガゾンビの野郎はすでに盤の端に手をかけてやがる。
 こっちがわざと詰みの位置に駒を指さなきゃ、この盤を引っくり返すってな」
ソードカトラスのトリガーの重さを確認しながらレヴィが言い放つ。
時間の猶予もなければ、打つ手もない。八方塞の状況だ。
ロワナプラから来たレヴィがここでトリガーを引かないのは、ただ単純にギガゾンビが信用できないからであって
仲間だ、正義だ、道徳だ……といった価値観からではない。
例え最後の一人になれたとしても、まともに生かして帰して貰えるとは思えない。願いについては言わずもがなだ。
しかし、だからといって座して死を待つほど諦めのいいレヴィでもなかった。

「首輪を外す機械の方は間に合いませんか……?」
ベッドから横になった姿勢のままで問うのはフェイトだ。
首輪解除装置――正確に言えば、首輪の働きを止めるための擬似信号を送る装置。
エクソダス計画の中でも最も最優先で進められるべきファクターで、全員がその経過には注目していた。
それが完成すれば、ここにいる全員は晴れてギガゾンビの用意した盤の上から解放されるのである。
だが――、

「それは……」
問いかけられたゲイナーは返事を返せない。そしてそれが返答になった。
もちろん、彼も作業に必要な準備は進めていた。だが、肝心の電波の特定はこれからの予定だったし、
それからさらに出来上がった物を試験する必要もあった。
さすがに、命そのものに関わることをぶっつけ本番……というわけにはいかない。
よしんば、そういう不確定な要素を無視して進めたとしても、一時間足らずの時間では完了できないだろう。

「ないんだったら……、あたしが、時間を作って……」
弱々しい声は、ソファに横たえられたハルヒのものだった。
身体を起こすが、熱のせいか顔は紅潮し視線も定かではないように見受けられる。
彼女の能力――神のごとく思いのまま現実を改変する力。
それを目の当たりにしたものは知っている。彼女にはそれが出来うるのだと。
そして、それと同時にその力が非常に不安定で、彼女に負担を強いるものでもあることを……。

「ダメだぞお姉さん。ご気分のワルい時は横になってないと」
脱力し再び横へとなったハルヒの元に駆けつけたのは、野原しんのすけだ。
小さい体でベッドの脇に置かれていた予備の毛布を運び、ハルヒの体にへと被せる。
かけられた毛布の暖かさか、それともしんのすけの心の温かさにか、再び彼女はまどろみに落ちた。

一歩前に出る者がいた。このゲームの生き残り。その十番目――ドラえもんである。
「ボ、ボクが死ねば。ボクが死ねば、もしかしたらギガゾンビはもう終わりにするかもしれない」
ギガゾンビがもうゲームを諦めかけていると言うのなら、もしかしたら恨みのある自分が死ねば諦めるのでは?
それがドラえもんの意見であり、決心だった――が、それはレヴィによって一蹴された。
「馬鹿かオメーは。その終わりって時に、ギガゾンビがあたし達を生かしたままにするわけねーじゃねーか」



「もう、終わりだな……」
誰が言ったかは定かではない。しかし、それは誰でもよかった。
集まったゲームの参加者である十人と一体のツチダマは、口を利かず一人、もう一人とレントゲン室を去った。


【18:13】 「終着に向けて」


「ええい! まだ原因が特定できないのかっ!」

ギガゾンビの居城――その最奥に位置する司令室。そこに一体のツチダマの怒声が響いていた。
主であるギガゾンビにフェムトと名付けられ、主に代わり舞台の進行役を勤めている者である。
彼が苛立っているのは、放送を開始する直前にあった一部の参加者の一時的な消失。
その原因が特定できていないことにであった。

「多分。通信機器の一時的な故障ではないかと推測されるギガ~」
「亜空間破壊装置がなくなったせいで、亜空間から電波に干渉する波が漏れているのかも知れないギガー」
「闇の書も怪しいギガよ。周囲で異常な数値のエネルギーが観測されているギガ」

各種観測モニターに張り付いた、三体のオペレートツチダマからの返事は暢気なもの――
つまりは消失現象は一時的な機器の不調であると、そういう結論であったが、フェムトはそれに納得しなかった。
スパイセットより送られる情報から、一時たりとも目を離さなかった彼だけは見ていたのだ。
参加者達が忽然と消える瞬間を。それは決して機器のトラブルによるものではないと断言できた。

「専門の班を作って、この情報を解析させろ」
フェムトは、その瞬間が収められたフィルムを近くのオペレートツチダマへと手渡す。
その後の様子から、あの消失が参加者達の意図したものではないことは推測できる。
だが、万が一グリフィスの様なイレギュラーな決着を繰り返せば。しかもそれが生存者の内の半分にも上れば、
彼の主であるギガゾンビを大いに失望させることとなるだろう。
そして、惜しいなどと思ったことはないが、主に尽くすための命も奪われてしまうに違いない。

「ギガゾンビ様の容態は?」
フェムトは、その忠誠を誓う主の様子をまた別のオペレートツチダマに尋ねた。
そのツチダマは、ギガゾンビが休息する部屋の映像と主のメディカルイメージを見ながら返答する。
「肉体の欠損及び裂傷についてはすでに完治済みギガッ。ただ、心労の値が危険値にまで及んでいたので
 今は安眠誘導装置でお眠りになっていただいているギガッ」
フェムトはその答えに満足すると、先程の三体のオペレートツチダマに再び声をかけた。

ギガゾンビが開催したバトルロワイアル。それも終了まで後一日の四分の一を残すのみとなった。
参加者達がいくつもの問題に直面しているのと同時に、運営側にも危惧すべき問題が多々ある。

一つは暴走を始めている闇の書について、
「ジュエルシードから流出したエネルギーは、すでに闇の書を起動させるに必要な値を超過しているギガ」
「これならいつ活動を開始してもおかしくない。と言うか、すでにいくつかの兆候が見られているギガー」
「ちなみに、この城の防衛システムでは活動を開始した闇の書の攻撃に耐えることは、
 できて精々一時間足らずと試算されているギガ~」

そしてもう一つは、近い内に到来が予想されるTPについてだ。
「幸いなことに、周辺領域内にはまだTPの存在は確認出来ていないギガー」
「波も穏やかで、絶好の時空間跳躍日和と言えるギガ」
「タイムマシンへの積み込み作業も、予定の45%を消化。0時までに脱出の準備は十分整うギガ~」

闇の書に関してはよくない知らせだったが、脱出の手筈が順調であることにフェムトは安堵した。
だが、次の発言が再びフェムトのセラミックで出来た身体に緊張を走らせた。

「生き残った参加者達が動き始めたギガよ~」

先の放送を終えた後、雑務に追われスパイセットから送られるデータの監視から離れていたフェムトは、
その言葉を聞くと急いで監視システムの元へと戻った。

「あいつらはどうした? 殺しあうことになったのか?」
生き残った参加者達がどう動くのか。他にも問題はあるが、やはりこれが一番大きな懸念事項であった。
「一度、全員集合したギガけど、お通夜みたいな雰囲気だったギガね~。
 でもって、その後いくつかのグループに分かれて離れているギガよ」
そしてさらにそのツチダマは、彼らがどういった組み合わせで分かれたのか。そこで何をしているのかを伝えた。

得られた情報に、フェムトは取りあえず満足した。
いきなり殺しあうなどとは元から期待してなかったし、まずは彼らの一致団結を崩すことができたというのなら御の字だと。
爆破を予告した時間までは残り三十分と少し。遠からず、主であるギガゾンビが渇望していたものが見られるに違いない。

クク……と、フェムトは一人笑いをこぼした。
彼の主はこの企画の終了時刻を0時に設定したが、もしかしたら後一時間も立たない内に全ては終わるかもしれない。
もしそうなれば、闇の書もTPも出し抜き完全に成功という形をもってここから去ることができるだろう。

(――完全勝利だ!)
自分はギガゾンビ様から与えられた使命を完璧に遂行している。
そう確信すると、フェムトは再びその機械の身体に取り付けられたスピーカーから静かな笑いをこぼした。



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291:「射手座の日を越えていけ」(後編) ドラえもん 293:陽が落ちる(2)
290:この醜くもなく美しくもない世界 野原しんのすけ 293:陽が落ちる(2)
291:「射手座の日を越えていけ」(後編) フェイト・T・ハラオウン 293:陽が落ちる(2)
290:この醜くもなく美しくもない世界 遠坂凛 293:陽が落ちる(2)
290:この醜くもなく美しくもない世界 レヴィ 293:陽が落ちる(2)
290:この醜くもなく美しくもない世界 ロック 293:陽が落ちる(2)
291:「射手座の日を越えていけ」(後編) トグサ 293:陽が落ちる(2)
291:「射手座の日を越えていけ」(後編) ゲイナー・サンガ 293:陽が落ちる(2)
291:「射手座の日を越えていけ」(後編) ゲイン・ビジョウ 293:陽が落ちる(2)

住職ダマB(ユービック) 293:陽が落ちる(2)
ホテルダマ(フェムト) 293:陽が落ちる(2)
ギガゾンビ 293:陽が落ちる(2)

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