ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2039 無残!!荒澤城渇殺し!!後篇①
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ankoss
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※チートゆっくり登場します
※BASARA風ゆっくりが登場します。趣味です
※ご都合主義・独自設定ありです
※史実ネタあり
以上の事をふまえてゆっくりしていってね!!
<鳥取城の渇殺し>―――1580年6月に、羽柴秀吉が、鳥取城を攻めた際に用いた兵糧攻めの名称である。
兵糧攻めとだけ聞けば、力攻めや水攻めに比べ。一見地味に思えるかもしれないが、悲惨さの度合いはそれらをはるかに凌ぐ。
事実、この鳥取城の戦においても、4ヶ月後の10月には、城内の草木、小動物、乗馬など食料となるものは、全て食べつくされ、果ては、死人の肉を食べるに至り、餓死者や鉄砲で撃たれ死んだ者に、城兵が群がり、その肉を奪い合い、奪い合いの中で大怪我を負った者に止めを刺し、その肉をまた奪い合うという惨劇が繰り広げられる事になった。
この時、羽柴側で、もっとも生きた心地がしなかったのは、降伏の後、尾万家に仕える事になり、尾万家の上司に当たる秀吉の中国制圧に駆りだされた、荒澤俊明とその配下の者達であったろう。
なにしろ、敵の城内で繰り広げられている惨劇は、あの時、徹底抗戦をしていたならば、自分達が体験する羽目になったかもしれない事だったからだ。
そして、現在―――
「おきゃあ…しゃ…ん、おなか、しゅい…た…」
「ごべんねぇ…ごべんねぇ…!!」
「だずげ、で、どずぅぅぅぅ…」
「なんで、ゆ、っぐり、でぎないぃいいの…」
荒澤城を占拠したゆっくり達に、荒澤俊明達が体験することのなかった惨劇を、身を持って、体験する羽目になっていた。
無残!!荒澤城渇殺し!! 後篇①
―――荒澤城周辺水没1日目
湖の弧城となった荒澤城ではあったが、ドスは一先ず、群れのゆっくりと後からやってきた町の野良ゆ達の中から、おぼうしで水上を移動できるまりさ達を集めて、群れの幹部まりさを中心に食料を調達してきてもらう事にした。
一応、山から持ってきた食料はあるのだが、野良ゆ達の合流とにんっしんしたゆっくり達の赤ちゃんが生まれた場合、群れの参謀であるぱちゅりーの予測が正しければ、遅くても4日後には、食糧が底を尽きるとのことだった。
そのため、ドスにとって、食料調達を任せられたまりさ達への期待も大きかった。
「それじゃあ、まりさ。よろしく頼んだよ」
「ゆっくりまかせて、どす!!みんなで、たくさんごはんさんをとってくるからね!!」
「ゆっくりまっていてね!!」
「「「「「えい、えい、ゆー!!」」」」」
「ゆっくりきをつけてね、まりさ~」
「おとーしゃん、がんばちぇ~!!」
「とかいはなごはんさん、まってるわよ~」
家族の声援を受けて、いざ、湖へとこぎ出した幹部まりさを中心とした一団は、陸地を目指して、水上移動を開始した。
「ゆっ、皆頑張ってね…」
遠ざかる幹部まりさ達の姿を見ながら、ドスは呟いた。
―――数十分後
「「「「「抵抗確認、排除!!」」」」」
「ゆぎいいいいいい!!!あづいいいいい、ぶげぇ!!」
「あああああああ!!ばりざああああああ!!どぼ―――っ!!」
「もういやじゃああああ!!おうぢ、ゆばばばばばばっばば、ゆばっ!?」
「ゆっ、まりさは、にげるんだ、どぼじでぇ、ぼうしにあながあいてるのおおおおお!!」
「はなすんだぜえええええ!!まりさざまのこうきなは、ゆぼがぁああ…ゆっ、ゆっ…」
食料調達に出かけた幹部まりさ達は、正体不明の敵―――クレイモア・ゆん水上作戦特化部隊の襲撃を受けていた。
自分の背丈と同じぐらいの錨に乗り、炎を噴き出しながら水上スキーのように水上を移動し、次々と、逃げ惑うまりさ達を轢き燃やす隊員―――むらさ。
巨大なチャクラを回転させながら、次々にゆっくり達を斬り捨てる隊員―――すわこ。
サタデ―ナイトフィーバーを踊りながら、次々に電撃を繰り出す隊員―――いく。
水中から潜り込んで、まりさの帽子に穴をあけて、沈めていく隊員―――にとり。
ひょいひょいと鎌で、まりさ達を放り投げて、隣の舟にいる男に、渡して、取り付けられた杭に串刺ししてもらっている隊員―――こまち。
そして…
「だずげで…だずげで…!!みんな、おながをずがぜでいるんでず!!ばりざがいがないと…」
「その心配をする必要はねぇよ」
「ゆ?どういうごどなの、おに、ゆごぼぉおおおおおお!!」
ガタガタと震えながら命乞いをする幹部まりさを、あにゃるから一気に舟の先端に突き刺した男―――水上作戦特化部隊に同行した中尉は、ぽつりと呟いた。
「どうせ、皆死ぬからな」
「中尉!!まりさ達は、全滅させたけど、この後は?」
「とりあえず、むらさとこまち、にとりで、周囲一帯に機雷を設置。その後は、遊撃部隊のすわこといくに合流して、機雷源を突破したまりさ達を全て駆除してくれ。一匹たりとも逃すなよ」
「「「「「了解!!」」」」」
中尉の指示を受けて、機雷を満載したこまちの舟と共に、むらさとにとりは、周囲に機雷を設置する為に、すわこといくは、機雷設置の間に、侵入者を撃退する為に、行動を開始した。
「さて、俺も、自分のやるべき事をしますか…」
そして、水上作戦特化部隊が去るのを、見送ると、濃い死臭を漂わせる、幹部まりさ達が串刺しにされた舟に乗った中尉も、荒澤城への裏工作の為に、行動を開始した。
―――4日目
「ぞ、ぞんなぁ…」
「ひ、ひどすぎるううううう!!」
「ばりざあああああ!!!ばりざあああああ!!」
「ゆわぁああああ!!おとーしゃんがああああああ!!」
群れのゆっくり達が事前に集めた食料が、いよいよ乏しくなったころ、いつものように幹部まりさ達を待っていたゆっくり達の元に、一艘の小舟が荒澤城の城門に流されてきた。
遠くからでは、分からなかったが、城門の近くまで舟が近づいてきたとき、その場にいたゆっくり達から悲鳴が上がった。
小舟の帆には、つぎはぎされた、苦悶の表情を浮かべたまりさ達の皮を、舟の縁には、電飾のように取り付けられた白玉の目玉、舟の中には、死臭が漂う大量の餡子を満載し、舟の先端には、串刺しにされた幹部まりさの死体という、ゆっくり達にしてみれば、残虐非道な所業だった。
食料調達に出かけた幹部まりさ達の無残な死に、嘆き悲しむ仲間や家族達であったが、ドスと参謀ぱちゅりーにとって、それよりも重大な問題があった。
幹部まりさ達が食料調達に失敗した事により、この荒澤城に残された食料は残り僅かになり、充分な食糧配給ができなくなったという事だ。
一応、城の中庭には、草や木の葉、あるいは小さな虫はいるだろうが、それだけでは、とても十分には賄えない。
さらに、にんっしんしているゆっくり達が出産すれば、大量の赤ゆを養う為の食料だって必要になってくる。
そして何より、ドスと参謀ぱちゅりーが恐れているのは、僅かな食糧を巡っての、群れのゆっくり達と野良ゆ達との対立だった。
「なんとか、仲良くやってくように、言い聞かせてるけど…」
「でも、このままじゃ…」
「ゆ!!ドス、ぱちゅりー!!そこにいたんだぜ!!」
「むきゅ!!さがしたわよ!!」
早速直面した深刻な問題に、頭を抱えるドスと参謀ぱちゅりーだったが、そこに、二匹のゆっくり―――野らゆ達のリーダーであるだぜまりさと副リーダーのぱちゅりーがやってきた。
「ゆっ?まりさに、ぱちゅりー、いったい、どうしたの?」
「どす、まりさたち、まちのゆっくりのみんなは、どすのむれのみんなと、ちがうばしょにすむことにするんだぜ!!」
「むきゅ?どういうことかしら?」
「まりさとはなしたのだけど、いまのまま、いっしょにすんでいたんじゃ、いつかたいへんなことになるとおもうの?だから、すこしでも、ゆっくりできるように、べつべつのばしょですむほうがいいとおもうんだけど…」
少しさみしい話ではあるが、余所者というのは、どこか厄介者扱いされるのが世の常。
ならば、少しでも接触をする機会を減らせれば、争いは自然と避けられる。
群れのゆっくりと野良ゆ―――お互いの為に、一番良いのは…
「ゆっ、分かったよ…それじゃあ、まりさ、よろしくお願いするね」
「ごめんなさいね…ゆっくりさせてあげるはずだったのに…」
「ゆっ!!きにすることないんだぜ!!こまったときはおたがいさまなんだぜ!!」
「むきゅ!!それじゃあ、ぱちゅは、このふねさんになにかのこってないかしらべるから、あとのことはよろしくね!!」
「「「ゆっくりりかいしたよ!!」」」
仲間達に指示を出すべく、城門を後にしたドスと参謀ぱちゅりー、リーダーだぜまりさの3匹が去った後、吐くのを我慢しながら、一匹だけ残った副リーダーぱちゅりーは死臭の漂う小舟に乗りこんだ。
「むきゅうううう…それにしても、いったい、だれがこんなひどいことを…?」
幹部まりさ達を無残に殺した犯人の手掛かりがないか探し始めた副リーダーぱちゅりーは、いつの間にか自分の目の前に、誰かが立っている事に気付いた。
「むきゅ、だれ…?」
誰なのと尋ねようとした瞬間、大きな手が、副リーダーぱちゅりーに迫ってきていた。
―――数分後
どうにか不満を口にする野良ゆ達を説得したリーダーだぜまりさは、中々戻ってこない副リーダーぱちゅりーを迎えに、城門のところまで戻ってきた。
そこには、既に舟の中を調べ終えたのか、死臭にまみれた体を水で洗うぱちゅりーの姿があった。
「ゆ!!ぱちゅりー、まだ、しらべものしていたんだぜ!!ひっこしのしじをてつだってほしいんだぜ!!」
『…むきゅ、わかったわ。このふねは、ちょっとおちびちゃんたちにはきつすぎるから、どこかへながしましょうね』
リーダーだぜまりさの声に気付いた副リーダーぱちゅりーは、舟を押し出すと、舟はそのまま荒澤城を遠ざかって行った。
「それで、なにか、わかったんだぜ?」
『いいえ、とくにてがかりになるようなものはなかったわ…ひとまず、みんなのところにもどりましょう』
遠ざかっていく舟を見送ると、リーダーだぜまりさと副リーダーぱちゅりーは、仲間達の元へと戻っていた。
そして、その舟の縁には、だらりと垂れ下がった紫色の髪が見えていた。
―――荒澤城周辺水没十日目
「お…きゃぁ…しゃん…おな…が…」
「おぢびぢゃん、ごべんねぇ…ごべんねぇええ!!」
「みゃみゃ…も、ちょ、ゆ、きゅ…」
「ありずのどがいばなおぢびぢゃんがぁああああ!!」
「…」
「おちびちゃ~ん、ゆっくりねむってるね~おかあさんもゆっくりしてるよ~」
「えれえれえれえれえれ…」
お腹を空かせたまま死んだ子まりさに、ただ謝るしかないれいむ、最後まで断末魔の言葉を言えずに事切れた子ありすの最後を嘆き絶叫するありす、もはやミイラの状態になった子ようむのほほをすーりすーりする狂ったちぇん、大量のクリームを口から吐き出し絶命するぱちゅりー―――荒澤城のあちこちで同じような事がほぼ連日発生しだしていた。
十日目に入り、すでに、荒澤城にある中庭の、草や木の葉など食料となるものは食べつくされ、もはや食料はないに等しく、赤ゆっくりや子ゆっくり、成体ゆっくりの中でも比較的体の弱いぱちゅりーが、飢えによる苦しみとストレスで、非ゆっくり症にかかり、結果として、餓死と非ゆっくり症による吐餡で死亡するゆっくりが増えていくだけで、荒澤城の中は死臭が漂わないところはないに等しかった。
この状況を打開しようと、ドスは、何度も食料調達のために、まりさ達に狩りに出向いてもらっているが、一向に成果はあがらず、無残な死を遂げたまりさ達の亡骸が舟に乗せられ、やってくるだけだった。
そして、この異常な状況下において、ある噂が流れ始めた。
「えいえんにゆっくりしたゆっくりを、むーしゃむーしゃしてるやつがいる」
最初は、だれも気には留めなかったが、舟で送られてきたまりさ達の亡骸がいつのまにかなくなっていた事、皮の一部とおかざりを残して、食い散らされたゆっくりの死体、そして、いつのまにか荒澤城の中に漂っていた死臭―――これでは疑うなと言う方に無理があった。
「むーじゃ、むーじゃ…ごべんねぇえええ、ごべんねええええ!!」
「まじばっねぇ…しがだないんだよ…でいぶだちがいぎでぐだめだよ…」
「おねえじゃあん…じあわぜええええええ…」
泣きながら、永遠にゆっくりした子ゆっくりを貪り食うゆっくり家族―――もはや城内のあちこちで見られるようになり、共食いの禁忌など構っていられなくなっていた。
やがて、家族の死体だけでは、満たされずに、一部のゆっくりの中には、餓死したゆっくりが埋められた場所を掘り返し、そのゆっくりを食べるものや、城の中で餓死したゆっくりを見つけると、周りのゆっくり達は我先にと群がり、ばらばらにして食べるものまで現れ始めた。
「やべでぇええええ…じにだぐない…ま、りざ、まだ、ゆっぐ…」
「うるさいんだぜ!!おまえら、よそもののせいでいいめいわくしてるんだぜ!!」
「おとなしくれいむたちにたべられてね!!」
特に、後から荒澤城にやってきた野良ゆ達の中から餓死したゆっくりや瀕死のゆっくりが出ると、群れのゆっくり達は集団で、これを奪い、自分達の食料としていた。
もはや、群れのゆっくりにとって、野良ゆ達は厄介余所者から、単なる食料としか映っていなかったのだ。
これには、さすがのドスもなんとか止めさせようとしたが…
「何やってるのぉおおおお!!ゆっくり殺しはゆっくりできないでしょおおお!!」
「むーじゃむーじゃ!!ごはんざんがないからしかたないんだぜ!!」
「ごはんさんのよういできないむのうなどすなんかのさしずはうけないよ!!」
「それに、よそもののまちのゆっくりだから、べつにいいでしょ!!」
「どぼぢで、ぞんな事言うのぉおおおおおお!!」
―――皆、飢えによる苦しみから逃れる為に、ドスの言葉に耳を傾ける事はなかった。
「ごめんねぇ…まりさ…」
「…きにすることないんだぜ、べつに」
「ゆううう…」
群れのゆっくり達の蛮行に、土下座をして謝るドスであったが、野良ゆたちのリーダーであるリーダ―だぜまりさは、冷たく突き放すように言うと、すぐさまそっぽを向いた。
もはや、両者の関係は、何かのきっかけがあれば、壮絶な殺し合いに発展しかねない状況にまで追い込まれていた。
そんな時、人間―――なぜか完全武装をした大尉を乗せた一艘の舟がこちらに近づいてきた。
「ゆ、あれは、人間さんだよ…何なんだろう…?」
「むきゅ、とりあえず、はなしてみるかちはありそうね…一応、野良ゆさんのまりさとぱちゅりーもよんでくるわね」
城門の前に集まったドス達には、大尉は、開口一番―――
「死ね。須らく死ね。貴様ら、劣等なんぞいますぐ死ね」
「「「どぼぢで、ぞんなごというのぉ(だぜ)おおおおおおお!!」」」
―――死刑宣告を口にした。
これには、納得できないドス達であったが、副リーダーぱちゅりーが、大尉の前に出てきて、笑みを浮かべながら、言い始めた。
『むきゅ、おねえさん。すこしまってほしいわ。まちのにんげんさんのなかには、ぱちゅりーたちをほごしてくれるにんげんさんがいるはずよ』
「…ああ、そうだな」
『もし、いま、このまま、みんなしんじゃったら、そのにんげんさんたち、どうおもうかしら?』
「ふん…劣等の割には、知恵が回る奴がいたか…」
なるほど、このまま、ドス達を飢え死にさせたならば、偽善者団体ゆっくりぴーすにとって、クレイモア・ゆんを非難する大義名分を与えかねない。
副リーダーぱちゅりーは、その弱みに付け込んできたのだ。
「良いだろう。貴様のその度胸に免じて、妊娠したゆっくり、子ゆっくり、赤ゆっくりに関しては、助命をしてやる」
『うそはないわね…?』
「ああ、嘘はつかんよ。私達は一切手を出さん。近づきもしない。まあ、船頭については、貴様らで選べ。」
『むきゅ、わかったわ…みんな、それでいいかしら?』
「ゆっ、わかったんだぜ!!」
「ゆん…せめて、おちびちゃん達だけでも助けてもらえるなら…」
「交渉成立だな。ならば、明日までに用意はすませておけ。私は気が短いからな」
「ありがどうございまず!!ありがとうございまず!!」
「ゆわーん!!よかったんだぜ、よかったんだぜ!!」
喜びにうち震えるドスとリーダーだぜまりさは、涙を流しながら、おちびちゃんの命が助かったことに喜び、たがいにすり寄った。
故にドスとリーダーだぜまりさは気付く事が出来なかった―――獲物が罠にかかり、満足げに凶暴な笑みを浮かべる大尉と、冷めた表情でその場を後にする副リーダーぱちゅりーに。
―――その日の夜、荒澤城では、群れのゆっくりと町の野良ゆは、久しぶりに一緒になって、ドスが展示台から降ろした舟を城門に運び出していた。
「よかったよおおお!!よかったよおおおお!!おちびちゃんだぢだけでも、たすかって!!」
「わかるよおおおお!!ちぇんがしんでも、おちびちゃんたちならがんばってやっていけるからねええええ!!」
「おちびちゃん…さみしいでしょうけど…がんばるんだよ…」
「おかーしゃん…れいみゅ、いもうちょたちといっしょにぎゃんばるよ!!」
自分達はここで朽ち果てるかもしれないけど、おちびちゃんならきっと、立派なゆっくりとして生きていけるはず―――互いの子ゆっくりが生き残れた事に喜ぶ群れゆっくりのちェンと野良ゆのまりさ、今生の別れを惜しむれいむ親子など、城のあちこちで、群れのゆっくりと野良ゆとの垣根を越えた光景が目に付いていた。
「ゆぅ…なんとか、あしたには、おちびちゃんたちをおくりだせそうだぜ…」
「そうだね、まりさ」
賑やかな荒澤城の城内とは違い、今や死んだゆっくり達の墓場となった中庭では、どすとリーダーだぜまりさが、ゆっくりとしながら空に輝く、月を見上げていた。
「きれいなおつきさんだぜ…そういえば、どすはここのいちばんうえにのぼったことはあるかだぜ?」
「ううん…ドスは体が大きいから、そこまでは入れないんだよ」
「そうかだぜ…まりさも、まだなんだぜ…だから、いちどは、あそこからそとのけしきをみえみたいんだぜ」
「ゆふふふ…いいね、それ。ドスも見てみたいよ」
「それじゃあ、ちょっとやせないとだめなんだぜ」
「ゆふふふふ…そうだね。じゃあ、また明日」
「また、あしたなんだぜ」
この前とは打って変わって、まるで10年来の旧友のように語り合い、別れを惜しむように立ち去るドスとリーダーだぜまりさ―――思えば、この時がこの二匹にとって一番ゆっくりできた時だったかもしれない。
そして…
『むきゅ!!まりさ、さがしたわよ!!ちょっとそうだんがあるんだけど、いいかしら?』
「ゆ?何なんだぜ?」
『だいじなそうだんよ…』
―――生涯で最後の語らいでもあった。
翌朝、ドスとリーダーだぜまりさとの話し合いの中で、ドスの提案により、野良ゆ達を先に送り出す事なり、既に舟に乗りこんだ野良ゆたちの子ゆっくり、赤ゆっくり、にんっしんしたゆっくりの総勢三百匹が、荒澤城を出発しようとしていた。
「きをつけてねぇえええ、おちびちゃん!!」
「げんきで、ゆっくりするんだよおおお!!」
「おかあしゃん、れいみゅ、ゆっくりいきてくよおおおおお!!」
「まりさ…みおくりありがとうね…」
「あでぃずうううう…げんきなおちびぢゃんをうんでねぇええ…!!」
城門の前には、別れを惜しむ親子や夫婦など無数の野良ゆ達と、彼らを見送りにやってきたドスと参謀ぱちゅりー、リーダーだぜまりさ、そして、船頭である副リーダーぱちゅりーが集まっていた。
「それじゃあ、ぱちゅりー、よろしくお願いするね!!」
「むきゅ、たのんだわよ」
『ゆっくりりかいしたわ。まりさもそれでいいわね』
「…」
『まりさ!!はなしをきいてるの!!』
「ゆっ!!ゆっくりあやまるんだぜ…」
『まあ、いいわ…それじゃあ、いろいろたのんだわよ。まりさにしかできないことなんだから』
「ゆっくりりかいしたんだぜ…」
笑顔でお願いする副リーダーぱちゅりーの言葉に、俯きながら頷くリーダーだぜまりさの姿を見て、ドスは本当に仲のいいゆっくりしたコンビだと微笑んだ。
やがて、全ての野良ゆ達の子ゆっくりと、赤ゆっくり、にんっしんゆっくりが乗り込んだのを確認すると、副リーダーぱちゅりーが帆を張ると、舟はゆっくりと、希望の地である町の方へと向かい始めた。
どんどんと舟は遠ざかっていく―――それを泣き顔と笑顔が入り混じった表情で見送るドスと参謀ぱちゅりー、野良ゆ達。
その中で、リーダーだぜまりさだけが、昨晩の副リーダーぱちゅりーの言葉を思い出していた。
―――まりさ、いじわるなにんげんさんたちのことだから、なにかをたくらんでいるはずよ。
―――おそらく、どすもそのことにはきづいているはずだけど、きづかないふりをしていうのよ。
―――どうして?かんたんなことよ…いまのままじゃ、えいえんにゆっくりしたゆっくりをたべるだけじゃ、どうしてもごはんさんがたりないの。
―――だから、すこしでもごはんさんをふやすように、わたしたちのようなのらをへらすようにたくらんでいるのよ。
―――そんなはずはない?そうね…でも、むれのみんなのために、どすがいるの。のらであるぱちゅりーたちのためじゃないのよ。それに、にんげんさんのわながないか、わたしたちをおとりにつかうかのうせいもあるわね。まりさ、あすのあさ、さいしょにふねにのるのが、のらゆたちで、しかも、そのあと…。
何事もなく遠ざかる舟を見送りながら、リーダーだぜまりさは、何事もないように必死に願った。
副リーダーぱちゅりーの言葉を信じたくなかったし、群れのゆっくりから非難されながらも、親身になって自分達の為に、苦慮してくれたドスを信じていたかった。
(だから、どうか、どうか、ぶじに―――!!)
結論から言えば、リーダーだぜまりさの願いは、見事に踏みにじられることになった。
城門から出発してしばらく、舟がある地点に差し掛かった場所で―――
「ゆっ?ぱちゅりーおねえしゃん、なにかういてるよ?」
『むきゅ、なにかしら、あれ?』
「ゆう、なんだか、とげとげさんがゆっくりしてないよ…」
「ぷきゅう!!とげとげしゃんは、ゆっきゅりできないから、むこうにいちぇ―――カチッ、カッ!!―――ゆぶげぇい!!」
一匹も逃さないように包囲するようにばら撒かれた機雷源に突入し、接触した機雷の一つが作動し、巨大な水しぶきが舟を襲い、そのままひっくり返り、舟に乗っていたゆっくりたちは湖へと投げだされた。
「でいぶの、でいぶのお、おちびぢゃんんんがあああああああああ!!」
「ありずううううう、ありずうううう!!」
「どぼぢで、どぼぢでえええええ!!」
「むぎゅうううううう!!」
「わぎゃらないよおおおおお!!わぎゃらないよおおおおお!!」
「ぞ、ぞんな…」
「むぎゅううううううう…」
予想外の事態に、身を乗り出しながら、湖へと散った我が子や妻の姿を見る羽目になり、嘆き叫ぶ野良ゆ達と唖然とするドスと参謀ぱちゅりーの背後で、リーダーだぜまりさは、覚悟を決め、副リーダーぱちゅりーの言葉の通りに実行せざるを得なかった。
―――みんなになにかあったら、まっさきにドスをえいえいんにゆっくりさせなさい。
「…ばりざたちをだまじだげすなドスは…ゆっぐりしないで、じねえええええええ!!」
「ゆっ?ゆああああああああああああああああああ!!」
ドス殺しという役割を―――!!
あとがき
本来なら、後篇だけとなるはずが、後篇①、②へと突入することになりました。
後篇②では、いよいよお待ちかねの残酷無残な展開を用意しておりますので、今しばらくお待ちください・・・・
それでは、また…
一方、舟は巨大な水しぶきを上げる爆発に巻き込まれ、舟の船体は大きくえぐれ、ブクブクと沈み始めていた。
「ゆぎゃあああああ!!おおみずさんごないっでえええええ!!ごないでぎごぼgbごごごg…!!」
「ちょげるううううう!!ちょげちやうううううううう!!」
「だぢゅげでええええ、みゃみゃああああ!!みゃみゃああああああ!!」
「じにだぐないいいいいい!!おがああざんになっていないのにいいい!!おちびちゃんをうんであげたいのにいいいいい!!」
湖の上に投げ出された子ゆっくり、赤ゆっくり、にんっしんゆっくりは、必死になってバタバタともがきながら、最後には力尽き、沈み、溶けていった。
やがて、湖の上には、舟の残骸だけが、ぷかぷかと浮かんでいるだけとなった。
約束通り、大尉達は手を出さなかった―――あくまで、撤去し忘れていた機雷に引っかかっただけの不慮の事故だった。
だが、ここで死ねたゆっくりはある意味、幸運だったかもしれない―――これから起こる惨劇を見ずに済んだのだから。
※BASARA風ゆっくりが登場します。趣味です
※ご都合主義・独自設定ありです
※史実ネタあり
以上の事をふまえてゆっくりしていってね!!
<鳥取城の渇殺し>―――1580年6月に、羽柴秀吉が、鳥取城を攻めた際に用いた兵糧攻めの名称である。
兵糧攻めとだけ聞けば、力攻めや水攻めに比べ。一見地味に思えるかもしれないが、悲惨さの度合いはそれらをはるかに凌ぐ。
事実、この鳥取城の戦においても、4ヶ月後の10月には、城内の草木、小動物、乗馬など食料となるものは、全て食べつくされ、果ては、死人の肉を食べるに至り、餓死者や鉄砲で撃たれ死んだ者に、城兵が群がり、その肉を奪い合い、奪い合いの中で大怪我を負った者に止めを刺し、その肉をまた奪い合うという惨劇が繰り広げられる事になった。
この時、羽柴側で、もっとも生きた心地がしなかったのは、降伏の後、尾万家に仕える事になり、尾万家の上司に当たる秀吉の中国制圧に駆りだされた、荒澤俊明とその配下の者達であったろう。
なにしろ、敵の城内で繰り広げられている惨劇は、あの時、徹底抗戦をしていたならば、自分達が体験する羽目になったかもしれない事だったからだ。
そして、現在―――
「おきゃあ…しゃ…ん、おなか、しゅい…た…」
「ごべんねぇ…ごべんねぇ…!!」
「だずげ、で、どずぅぅぅぅ…」
「なんで、ゆ、っぐり、でぎないぃいいの…」
荒澤城を占拠したゆっくり達に、荒澤俊明達が体験することのなかった惨劇を、身を持って、体験する羽目になっていた。
無残!!荒澤城渇殺し!! 後篇①
―――荒澤城周辺水没1日目
湖の弧城となった荒澤城ではあったが、ドスは一先ず、群れのゆっくりと後からやってきた町の野良ゆ達の中から、おぼうしで水上を移動できるまりさ達を集めて、群れの幹部まりさを中心に食料を調達してきてもらう事にした。
一応、山から持ってきた食料はあるのだが、野良ゆ達の合流とにんっしんしたゆっくり達の赤ちゃんが生まれた場合、群れの参謀であるぱちゅりーの予測が正しければ、遅くても4日後には、食糧が底を尽きるとのことだった。
そのため、ドスにとって、食料調達を任せられたまりさ達への期待も大きかった。
「それじゃあ、まりさ。よろしく頼んだよ」
「ゆっくりまかせて、どす!!みんなで、たくさんごはんさんをとってくるからね!!」
「ゆっくりまっていてね!!」
「「「「「えい、えい、ゆー!!」」」」」
「ゆっくりきをつけてね、まりさ~」
「おとーしゃん、がんばちぇ~!!」
「とかいはなごはんさん、まってるわよ~」
家族の声援を受けて、いざ、湖へとこぎ出した幹部まりさを中心とした一団は、陸地を目指して、水上移動を開始した。
「ゆっ、皆頑張ってね…」
遠ざかる幹部まりさ達の姿を見ながら、ドスは呟いた。
―――数十分後
「「「「「抵抗確認、排除!!」」」」」
「ゆぎいいいいいい!!!あづいいいいい、ぶげぇ!!」
「あああああああ!!ばりざああああああ!!どぼ―――っ!!」
「もういやじゃああああ!!おうぢ、ゆばばばばばばっばば、ゆばっ!?」
「ゆっ、まりさは、にげるんだ、どぼじでぇ、ぼうしにあながあいてるのおおおおお!!」
「はなすんだぜえええええ!!まりさざまのこうきなは、ゆぼがぁああ…ゆっ、ゆっ…」
食料調達に出かけた幹部まりさ達は、正体不明の敵―――クレイモア・ゆん水上作戦特化部隊の襲撃を受けていた。
自分の背丈と同じぐらいの錨に乗り、炎を噴き出しながら水上スキーのように水上を移動し、次々と、逃げ惑うまりさ達を轢き燃やす隊員―――むらさ。
巨大なチャクラを回転させながら、次々にゆっくり達を斬り捨てる隊員―――すわこ。
サタデ―ナイトフィーバーを踊りながら、次々に電撃を繰り出す隊員―――いく。
水中から潜り込んで、まりさの帽子に穴をあけて、沈めていく隊員―――にとり。
ひょいひょいと鎌で、まりさ達を放り投げて、隣の舟にいる男に、渡して、取り付けられた杭に串刺ししてもらっている隊員―――こまち。
そして…
「だずげで…だずげで…!!みんな、おながをずがぜでいるんでず!!ばりざがいがないと…」
「その心配をする必要はねぇよ」
「ゆ?どういうごどなの、おに、ゆごぼぉおおおおおお!!」
ガタガタと震えながら命乞いをする幹部まりさを、あにゃるから一気に舟の先端に突き刺した男―――水上作戦特化部隊に同行した中尉は、ぽつりと呟いた。
「どうせ、皆死ぬからな」
「中尉!!まりさ達は、全滅させたけど、この後は?」
「とりあえず、むらさとこまち、にとりで、周囲一帯に機雷を設置。その後は、遊撃部隊のすわこといくに合流して、機雷源を突破したまりさ達を全て駆除してくれ。一匹たりとも逃すなよ」
「「「「「了解!!」」」」」
中尉の指示を受けて、機雷を満載したこまちの舟と共に、むらさとにとりは、周囲に機雷を設置する為に、すわこといくは、機雷設置の間に、侵入者を撃退する為に、行動を開始した。
「さて、俺も、自分のやるべき事をしますか…」
そして、水上作戦特化部隊が去るのを、見送ると、濃い死臭を漂わせる、幹部まりさ達が串刺しにされた舟に乗った中尉も、荒澤城への裏工作の為に、行動を開始した。
―――4日目
「ぞ、ぞんなぁ…」
「ひ、ひどすぎるううううう!!」
「ばりざあああああ!!!ばりざあああああ!!」
「ゆわぁああああ!!おとーしゃんがああああああ!!」
群れのゆっくり達が事前に集めた食料が、いよいよ乏しくなったころ、いつものように幹部まりさ達を待っていたゆっくり達の元に、一艘の小舟が荒澤城の城門に流されてきた。
遠くからでは、分からなかったが、城門の近くまで舟が近づいてきたとき、その場にいたゆっくり達から悲鳴が上がった。
小舟の帆には、つぎはぎされた、苦悶の表情を浮かべたまりさ達の皮を、舟の縁には、電飾のように取り付けられた白玉の目玉、舟の中には、死臭が漂う大量の餡子を満載し、舟の先端には、串刺しにされた幹部まりさの死体という、ゆっくり達にしてみれば、残虐非道な所業だった。
食料調達に出かけた幹部まりさ達の無残な死に、嘆き悲しむ仲間や家族達であったが、ドスと参謀ぱちゅりーにとって、それよりも重大な問題があった。
幹部まりさ達が食料調達に失敗した事により、この荒澤城に残された食料は残り僅かになり、充分な食糧配給ができなくなったという事だ。
一応、城の中庭には、草や木の葉、あるいは小さな虫はいるだろうが、それだけでは、とても十分には賄えない。
さらに、にんっしんしているゆっくり達が出産すれば、大量の赤ゆを養う為の食料だって必要になってくる。
そして何より、ドスと参謀ぱちゅりーが恐れているのは、僅かな食糧を巡っての、群れのゆっくり達と野良ゆ達との対立だった。
「なんとか、仲良くやってくように、言い聞かせてるけど…」
「でも、このままじゃ…」
「ゆ!!ドス、ぱちゅりー!!そこにいたんだぜ!!」
「むきゅ!!さがしたわよ!!」
早速直面した深刻な問題に、頭を抱えるドスと参謀ぱちゅりーだったが、そこに、二匹のゆっくり―――野らゆ達のリーダーであるだぜまりさと副リーダーのぱちゅりーがやってきた。
「ゆっ?まりさに、ぱちゅりー、いったい、どうしたの?」
「どす、まりさたち、まちのゆっくりのみんなは、どすのむれのみんなと、ちがうばしょにすむことにするんだぜ!!」
「むきゅ?どういうことかしら?」
「まりさとはなしたのだけど、いまのまま、いっしょにすんでいたんじゃ、いつかたいへんなことになるとおもうの?だから、すこしでも、ゆっくりできるように、べつべつのばしょですむほうがいいとおもうんだけど…」
少しさみしい話ではあるが、余所者というのは、どこか厄介者扱いされるのが世の常。
ならば、少しでも接触をする機会を減らせれば、争いは自然と避けられる。
群れのゆっくりと野良ゆ―――お互いの為に、一番良いのは…
「ゆっ、分かったよ…それじゃあ、まりさ、よろしくお願いするね」
「ごめんなさいね…ゆっくりさせてあげるはずだったのに…」
「ゆっ!!きにすることないんだぜ!!こまったときはおたがいさまなんだぜ!!」
「むきゅ!!それじゃあ、ぱちゅは、このふねさんになにかのこってないかしらべるから、あとのことはよろしくね!!」
「「「ゆっくりりかいしたよ!!」」」
仲間達に指示を出すべく、城門を後にしたドスと参謀ぱちゅりー、リーダーだぜまりさの3匹が去った後、吐くのを我慢しながら、一匹だけ残った副リーダーぱちゅりーは死臭の漂う小舟に乗りこんだ。
「むきゅうううう…それにしても、いったい、だれがこんなひどいことを…?」
幹部まりさ達を無残に殺した犯人の手掛かりがないか探し始めた副リーダーぱちゅりーは、いつの間にか自分の目の前に、誰かが立っている事に気付いた。
「むきゅ、だれ…?」
誰なのと尋ねようとした瞬間、大きな手が、副リーダーぱちゅりーに迫ってきていた。
―――数分後
どうにか不満を口にする野良ゆ達を説得したリーダーだぜまりさは、中々戻ってこない副リーダーぱちゅりーを迎えに、城門のところまで戻ってきた。
そこには、既に舟の中を調べ終えたのか、死臭にまみれた体を水で洗うぱちゅりーの姿があった。
「ゆ!!ぱちゅりー、まだ、しらべものしていたんだぜ!!ひっこしのしじをてつだってほしいんだぜ!!」
『…むきゅ、わかったわ。このふねは、ちょっとおちびちゃんたちにはきつすぎるから、どこかへながしましょうね』
リーダーだぜまりさの声に気付いた副リーダーぱちゅりーは、舟を押し出すと、舟はそのまま荒澤城を遠ざかって行った。
「それで、なにか、わかったんだぜ?」
『いいえ、とくにてがかりになるようなものはなかったわ…ひとまず、みんなのところにもどりましょう』
遠ざかっていく舟を見送ると、リーダーだぜまりさと副リーダーぱちゅりーは、仲間達の元へと戻っていた。
そして、その舟の縁には、だらりと垂れ下がった紫色の髪が見えていた。
―――荒澤城周辺水没十日目
「お…きゃぁ…しゃん…おな…が…」
「おぢびぢゃん、ごべんねぇ…ごべんねぇええ!!」
「みゃみゃ…も、ちょ、ゆ、きゅ…」
「ありずのどがいばなおぢびぢゃんがぁああああ!!」
「…」
「おちびちゃ~ん、ゆっくりねむってるね~おかあさんもゆっくりしてるよ~」
「えれえれえれえれえれ…」
お腹を空かせたまま死んだ子まりさに、ただ謝るしかないれいむ、最後まで断末魔の言葉を言えずに事切れた子ありすの最後を嘆き絶叫するありす、もはやミイラの状態になった子ようむのほほをすーりすーりする狂ったちぇん、大量のクリームを口から吐き出し絶命するぱちゅりー―――荒澤城のあちこちで同じような事がほぼ連日発生しだしていた。
十日目に入り、すでに、荒澤城にある中庭の、草や木の葉など食料となるものは食べつくされ、もはや食料はないに等しく、赤ゆっくりや子ゆっくり、成体ゆっくりの中でも比較的体の弱いぱちゅりーが、飢えによる苦しみとストレスで、非ゆっくり症にかかり、結果として、餓死と非ゆっくり症による吐餡で死亡するゆっくりが増えていくだけで、荒澤城の中は死臭が漂わないところはないに等しかった。
この状況を打開しようと、ドスは、何度も食料調達のために、まりさ達に狩りに出向いてもらっているが、一向に成果はあがらず、無残な死を遂げたまりさ達の亡骸が舟に乗せられ、やってくるだけだった。
そして、この異常な状況下において、ある噂が流れ始めた。
「えいえんにゆっくりしたゆっくりを、むーしゃむーしゃしてるやつがいる」
最初は、だれも気には留めなかったが、舟で送られてきたまりさ達の亡骸がいつのまにかなくなっていた事、皮の一部とおかざりを残して、食い散らされたゆっくりの死体、そして、いつのまにか荒澤城の中に漂っていた死臭―――これでは疑うなと言う方に無理があった。
「むーじゃ、むーじゃ…ごべんねぇえええ、ごべんねええええ!!」
「まじばっねぇ…しがだないんだよ…でいぶだちがいぎでぐだめだよ…」
「おねえじゃあん…じあわぜええええええ…」
泣きながら、永遠にゆっくりした子ゆっくりを貪り食うゆっくり家族―――もはや城内のあちこちで見られるようになり、共食いの禁忌など構っていられなくなっていた。
やがて、家族の死体だけでは、満たされずに、一部のゆっくりの中には、餓死したゆっくりが埋められた場所を掘り返し、そのゆっくりを食べるものや、城の中で餓死したゆっくりを見つけると、周りのゆっくり達は我先にと群がり、ばらばらにして食べるものまで現れ始めた。
「やべでぇええええ…じにだぐない…ま、りざ、まだ、ゆっぐ…」
「うるさいんだぜ!!おまえら、よそもののせいでいいめいわくしてるんだぜ!!」
「おとなしくれいむたちにたべられてね!!」
特に、後から荒澤城にやってきた野良ゆ達の中から餓死したゆっくりや瀕死のゆっくりが出ると、群れのゆっくり達は集団で、これを奪い、自分達の食料としていた。
もはや、群れのゆっくりにとって、野良ゆ達は厄介余所者から、単なる食料としか映っていなかったのだ。
これには、さすがのドスもなんとか止めさせようとしたが…
「何やってるのぉおおおお!!ゆっくり殺しはゆっくりできないでしょおおお!!」
「むーじゃむーじゃ!!ごはんざんがないからしかたないんだぜ!!」
「ごはんさんのよういできないむのうなどすなんかのさしずはうけないよ!!」
「それに、よそもののまちのゆっくりだから、べつにいいでしょ!!」
「どぼぢで、ぞんな事言うのぉおおおおおお!!」
―――皆、飢えによる苦しみから逃れる為に、ドスの言葉に耳を傾ける事はなかった。
「ごめんねぇ…まりさ…」
「…きにすることないんだぜ、べつに」
「ゆううう…」
群れのゆっくり達の蛮行に、土下座をして謝るドスであったが、野良ゆたちのリーダーであるリーダ―だぜまりさは、冷たく突き放すように言うと、すぐさまそっぽを向いた。
もはや、両者の関係は、何かのきっかけがあれば、壮絶な殺し合いに発展しかねない状況にまで追い込まれていた。
そんな時、人間―――なぜか完全武装をした大尉を乗せた一艘の舟がこちらに近づいてきた。
「ゆ、あれは、人間さんだよ…何なんだろう…?」
「むきゅ、とりあえず、はなしてみるかちはありそうね…一応、野良ゆさんのまりさとぱちゅりーもよんでくるわね」
城門の前に集まったドス達には、大尉は、開口一番―――
「死ね。須らく死ね。貴様ら、劣等なんぞいますぐ死ね」
「「「どぼぢで、ぞんなごというのぉ(だぜ)おおおおおおお!!」」」
―――死刑宣告を口にした。
これには、納得できないドス達であったが、副リーダーぱちゅりーが、大尉の前に出てきて、笑みを浮かべながら、言い始めた。
『むきゅ、おねえさん。すこしまってほしいわ。まちのにんげんさんのなかには、ぱちゅりーたちをほごしてくれるにんげんさんがいるはずよ』
「…ああ、そうだな」
『もし、いま、このまま、みんなしんじゃったら、そのにんげんさんたち、どうおもうかしら?』
「ふん…劣等の割には、知恵が回る奴がいたか…」
なるほど、このまま、ドス達を飢え死にさせたならば、偽善者団体ゆっくりぴーすにとって、クレイモア・ゆんを非難する大義名分を与えかねない。
副リーダーぱちゅりーは、その弱みに付け込んできたのだ。
「良いだろう。貴様のその度胸に免じて、妊娠したゆっくり、子ゆっくり、赤ゆっくりに関しては、助命をしてやる」
『うそはないわね…?』
「ああ、嘘はつかんよ。私達は一切手を出さん。近づきもしない。まあ、船頭については、貴様らで選べ。」
『むきゅ、わかったわ…みんな、それでいいかしら?』
「ゆっ、わかったんだぜ!!」
「ゆん…せめて、おちびちゃん達だけでも助けてもらえるなら…」
「交渉成立だな。ならば、明日までに用意はすませておけ。私は気が短いからな」
「ありがどうございまず!!ありがとうございまず!!」
「ゆわーん!!よかったんだぜ、よかったんだぜ!!」
喜びにうち震えるドスとリーダーだぜまりさは、涙を流しながら、おちびちゃんの命が助かったことに喜び、たがいにすり寄った。
故にドスとリーダーだぜまりさは気付く事が出来なかった―――獲物が罠にかかり、満足げに凶暴な笑みを浮かべる大尉と、冷めた表情でその場を後にする副リーダーぱちゅりーに。
―――その日の夜、荒澤城では、群れのゆっくりと町の野良ゆは、久しぶりに一緒になって、ドスが展示台から降ろした舟を城門に運び出していた。
「よかったよおおお!!よかったよおおおお!!おちびちゃんだぢだけでも、たすかって!!」
「わかるよおおおお!!ちぇんがしんでも、おちびちゃんたちならがんばってやっていけるからねええええ!!」
「おちびちゃん…さみしいでしょうけど…がんばるんだよ…」
「おかーしゃん…れいみゅ、いもうちょたちといっしょにぎゃんばるよ!!」
自分達はここで朽ち果てるかもしれないけど、おちびちゃんならきっと、立派なゆっくりとして生きていけるはず―――互いの子ゆっくりが生き残れた事に喜ぶ群れゆっくりのちェンと野良ゆのまりさ、今生の別れを惜しむれいむ親子など、城のあちこちで、群れのゆっくりと野良ゆとの垣根を越えた光景が目に付いていた。
「ゆぅ…なんとか、あしたには、おちびちゃんたちをおくりだせそうだぜ…」
「そうだね、まりさ」
賑やかな荒澤城の城内とは違い、今や死んだゆっくり達の墓場となった中庭では、どすとリーダーだぜまりさが、ゆっくりとしながら空に輝く、月を見上げていた。
「きれいなおつきさんだぜ…そういえば、どすはここのいちばんうえにのぼったことはあるかだぜ?」
「ううん…ドスは体が大きいから、そこまでは入れないんだよ」
「そうかだぜ…まりさも、まだなんだぜ…だから、いちどは、あそこからそとのけしきをみえみたいんだぜ」
「ゆふふふ…いいね、それ。ドスも見てみたいよ」
「それじゃあ、ちょっとやせないとだめなんだぜ」
「ゆふふふふ…そうだね。じゃあ、また明日」
「また、あしたなんだぜ」
この前とは打って変わって、まるで10年来の旧友のように語り合い、別れを惜しむように立ち去るドスとリーダーだぜまりさ―――思えば、この時がこの二匹にとって一番ゆっくりできた時だったかもしれない。
そして…
『むきゅ!!まりさ、さがしたわよ!!ちょっとそうだんがあるんだけど、いいかしら?』
「ゆ?何なんだぜ?」
『だいじなそうだんよ…』
―――生涯で最後の語らいでもあった。
翌朝、ドスとリーダーだぜまりさとの話し合いの中で、ドスの提案により、野良ゆ達を先に送り出す事なり、既に舟に乗りこんだ野良ゆたちの子ゆっくり、赤ゆっくり、にんっしんしたゆっくりの総勢三百匹が、荒澤城を出発しようとしていた。
「きをつけてねぇえええ、おちびちゃん!!」
「げんきで、ゆっくりするんだよおおお!!」
「おかあしゃん、れいみゅ、ゆっくりいきてくよおおおおお!!」
「まりさ…みおくりありがとうね…」
「あでぃずうううう…げんきなおちびぢゃんをうんでねぇええ…!!」
城門の前には、別れを惜しむ親子や夫婦など無数の野良ゆ達と、彼らを見送りにやってきたドスと参謀ぱちゅりー、リーダーだぜまりさ、そして、船頭である副リーダーぱちゅりーが集まっていた。
「それじゃあ、ぱちゅりー、よろしくお願いするね!!」
「むきゅ、たのんだわよ」
『ゆっくりりかいしたわ。まりさもそれでいいわね』
「…」
『まりさ!!はなしをきいてるの!!』
「ゆっ!!ゆっくりあやまるんだぜ…」
『まあ、いいわ…それじゃあ、いろいろたのんだわよ。まりさにしかできないことなんだから』
「ゆっくりりかいしたんだぜ…」
笑顔でお願いする副リーダーぱちゅりーの言葉に、俯きながら頷くリーダーだぜまりさの姿を見て、ドスは本当に仲のいいゆっくりしたコンビだと微笑んだ。
やがて、全ての野良ゆ達の子ゆっくりと、赤ゆっくり、にんっしんゆっくりが乗り込んだのを確認すると、副リーダーぱちゅりーが帆を張ると、舟はゆっくりと、希望の地である町の方へと向かい始めた。
どんどんと舟は遠ざかっていく―――それを泣き顔と笑顔が入り混じった表情で見送るドスと参謀ぱちゅりー、野良ゆ達。
その中で、リーダーだぜまりさだけが、昨晩の副リーダーぱちゅりーの言葉を思い出していた。
―――まりさ、いじわるなにんげんさんたちのことだから、なにかをたくらんでいるはずよ。
―――おそらく、どすもそのことにはきづいているはずだけど、きづかないふりをしていうのよ。
―――どうして?かんたんなことよ…いまのままじゃ、えいえんにゆっくりしたゆっくりをたべるだけじゃ、どうしてもごはんさんがたりないの。
―――だから、すこしでもごはんさんをふやすように、わたしたちのようなのらをへらすようにたくらんでいるのよ。
―――そんなはずはない?そうね…でも、むれのみんなのために、どすがいるの。のらであるぱちゅりーたちのためじゃないのよ。それに、にんげんさんのわながないか、わたしたちをおとりにつかうかのうせいもあるわね。まりさ、あすのあさ、さいしょにふねにのるのが、のらゆたちで、しかも、そのあと…。
何事もなく遠ざかる舟を見送りながら、リーダーだぜまりさは、何事もないように必死に願った。
副リーダーぱちゅりーの言葉を信じたくなかったし、群れのゆっくりから非難されながらも、親身になって自分達の為に、苦慮してくれたドスを信じていたかった。
(だから、どうか、どうか、ぶじに―――!!)
結論から言えば、リーダーだぜまりさの願いは、見事に踏みにじられることになった。
城門から出発してしばらく、舟がある地点に差し掛かった場所で―――
「ゆっ?ぱちゅりーおねえしゃん、なにかういてるよ?」
『むきゅ、なにかしら、あれ?』
「ゆう、なんだか、とげとげさんがゆっくりしてないよ…」
「ぷきゅう!!とげとげしゃんは、ゆっきゅりできないから、むこうにいちぇ―――カチッ、カッ!!―――ゆぶげぇい!!」
一匹も逃さないように包囲するようにばら撒かれた機雷源に突入し、接触した機雷の一つが作動し、巨大な水しぶきが舟を襲い、そのままひっくり返り、舟に乗っていたゆっくりたちは湖へと投げだされた。
「でいぶの、でいぶのお、おちびぢゃんんんがあああああああああ!!」
「ありずううううう、ありずうううう!!」
「どぼぢで、どぼぢでえええええ!!」
「むぎゅうううううう!!」
「わぎゃらないよおおおおお!!わぎゃらないよおおおおお!!」
「ぞ、ぞんな…」
「むぎゅううううううう…」
予想外の事態に、身を乗り出しながら、湖へと散った我が子や妻の姿を見る羽目になり、嘆き叫ぶ野良ゆ達と唖然とするドスと参謀ぱちゅりーの背後で、リーダーだぜまりさは、覚悟を決め、副リーダーぱちゅりーの言葉の通りに実行せざるを得なかった。
―――みんなになにかあったら、まっさきにドスをえいえいんにゆっくりさせなさい。
「…ばりざたちをだまじだげすなドスは…ゆっぐりしないで、じねえええええええ!!」
「ゆっ?ゆああああああああああああああああああ!!」
ドス殺しという役割を―――!!
あとがき
本来なら、後篇だけとなるはずが、後篇①、②へと突入することになりました。
後篇②では、いよいよお待ちかねの残酷無残な展開を用意しておりますので、今しばらくお待ちください・・・・
それでは、また…
一方、舟は巨大な水しぶきを上げる爆発に巻き込まれ、舟の船体は大きくえぐれ、ブクブクと沈み始めていた。
「ゆぎゃあああああ!!おおみずさんごないっでえええええ!!ごないでぎごぼgbごごごg…!!」
「ちょげるううううう!!ちょげちやうううううううう!!」
「だぢゅげでええええ、みゃみゃああああ!!みゃみゃああああああ!!」
「じにだぐないいいいいい!!おがああざんになっていないのにいいい!!おちびちゃんをうんであげたいのにいいいいい!!」
湖の上に投げ出された子ゆっくり、赤ゆっくり、にんっしんゆっくりは、必死になってバタバタともがきながら、最後には力尽き、沈み、溶けていった。
やがて、湖の上には、舟の残骸だけが、ぷかぷかと浮かんでいるだけとなった。
約束通り、大尉達は手を出さなかった―――あくまで、撤去し忘れていた機雷に引っかかっただけの不慮の事故だった。
だが、ここで死ねたゆっくりはある意味、幸運だったかもしれない―――これから起こる惨劇を見ずに済んだのだから。