atwiki-logo
  • 新規作成
    • 新規ページ作成
    • 新規ページ作成(その他)
      • このページをコピーして新規ページ作成
      • このウィキ内の別ページをコピーして新規ページ作成
      • このページの子ページを作成
    • 新規ウィキ作成
  • 編集
    • ページ編集
    • ページ編集(簡易版)
    • ページ名変更
    • メニュー非表示でページ編集
    • ページの閲覧/編集権限変更
    • ページの編集モード変更
    • このページにファイルをアップロード
    • メニューを編集
    • 右メニューを編集
  • バージョン管理
    • 最新版変更点(差分)
    • 編集履歴(バックアップ)
    • アップロードファイル履歴
    • ページ操作履歴
  • ページ一覧
    • ページ一覧
    • このウィキのタグ一覧
    • このウィキのタグ(更新順)
    • このページの全コメント一覧
    • このウィキの全コメント一覧
    • おまかせページ移動
  • RSS
    • このウィキの更新情報RSS
    • このウィキ新着ページRSS
  • ヘルプ
    • ご利用ガイド
    • Wiki初心者向けガイド(基本操作)
    • このウィキの管理者に連絡
    • 運営会社に連絡(不具合、障害など)
ページ検索 メニュー
ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
  • ウィキ募集バナー
  • 目安箱バナー
  • 操作ガイド
  • 新規作成
  • 編集する
  • 全ページ一覧
  • 登録/ログイン
ページ一覧
ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
  • ウィキ募集バナー
  • 目安箱バナー
  • 操作ガイド
  • 新規作成
  • 編集する
  • 全ページ一覧
  • 登録/ログイン
ページ一覧
ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
ページ検索 メニュー
  • 新規作成
  • 編集する
  • 登録/ログイン
  • 管理メニュー
管理メニュー
  • 新規作成
    • 新規ページ作成
    • 新規ページ作成(その他)
      • このページをコピーして新規ページ作成
      • このウィキ内の別ページをコピーして新規ページ作成
      • このページの子ページを作成
    • 新規ウィキ作成
  • 編集
    • ページ編集
    • ページ編集(簡易版)
    • ページ名変更
    • メニュー非表示でページ編集
    • ページの閲覧/編集権限変更
    • ページの編集モード変更
    • このページにファイルをアップロード
    • メニューを編集
    • 右メニューを編集
  • バージョン管理
    • 最新版変更点(差分)
    • 編集履歴(バックアップ)
    • アップロードファイル履歴
    • ページ操作履歴
  • ページ一覧
    • このウィキの全ページ一覧
    • このウィキのタグ一覧
    • このウィキのタグ一覧(更新順)
    • このページの全コメント一覧
    • このウィキの全コメント一覧
    • おまかせページ移動
  • RSS
    • このwikiの更新情報RSS
    • このwikiの新着ページRSS
  • ヘルプ
    • ご利用ガイド
    • Wiki初心者向けガイド(基本操作)
    • このウィキの管理者に連絡
    • 運営会社に連絡する(不具合、障害など)
  • atwiki
  • ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
  • anko1547 まりしゃと遊ぼう!

ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー

anko1547 まりしゃと遊ぼう!

最終更新:2011年08月05日 17:39

ankoss

- view
管理者のみ編集可
  • 何故に今?と言われそうですが、アリス13あきさんの「牛丼屋まりさ」(とかいはのNo.1186)を見てたらまりしゃが可愛いすぎて生きるのが辛くなったので、お持ち帰りして愛でいじめてみました。アリス13あきさん、無断でお持ち帰りしてすみません。
  • 虐待成分は皆無に近いです。愛で+ぬるいじめ中心です。
  • 「おかしい…なんでこの内容で50kb越えるの…? 20kb台の短編のつもりだったのに…」と作者自身が思ってますので、とっても冗長だと思います。お暇な方だけどうぞ。
  • 餡子脳な人間さんが出ます。
  • 楽しいコンペ中に通常作品を投下しちゃうKYっぷり。
 そんなヤツの作品です。内容も…わかりますね?



==========

「ん~…ぬ~~~…!!」

思い切り伸びをすると、思わず声が出てしまった。
そのまま左腕を曲げ、腕時計に視線を向ける。
午後六時か。

周り───今、俺がいる公園の中をグルリと見渡す。
公園の木々の上で空が真っ赤に染まり、公園の景色全体をオレンジ色に染め上げている。
今の季節だと、この時間にはまだ日が沈んでいない、そんな事を今更のように再認識する。

明るい内に家に帰るなど、何ヶ月ぶりだろう。
ここ数ヶ月の間、仕事が忙しくて、ほぼ毎日のように帰りは日付が変わってからだった。
だが、今日でようやく一区切り付き、久しぶりに定時前退社なぞしてみた。
今日一日は目の回るような忙しさで、昼食も取らずに慌ただしく過ごしたが、
不思議とその疲れすらも心地よく感じる。

ベンチに置いた缶コーヒーを手に取り、一口。

「ふう…」

一つ溜息を吐いてから、缶コーヒーをベンチの上に戻す。
また無意識に声が出てしまったが、まあ、声を出した所で誰に聞かれるでもない。

俺の家と最寄り駅の中間地点辺りにあるこの公園には、滅多に人がやって来ない。

以前はそうでもなかったが、近くに新しい公園が出来てからは、めっきり人の姿をみかけなくなった。
新しい公園の方は、大きな噴水、何やら著名なデザイナー製作らしいオブジェ、
綺麗に舗装された遊歩道、四季折々の花の顔が楽しめる花壇と色々揃っている。
子供用の遊具も充実しているし、すぐ横には小洒落たカフェも併設されている。
老若男女皆で楽しめる市民の憩いのスポットだ。

対してこちらは、広さはそこそこ、芝やら植木やらの緑も豊富だが、
設備と呼べそうな物と言えば、壊れかけのベンチが一つと、ベンチ横の電球が切れかかった公園灯ぐらいしかない。
かつては綺麗に生い茂っていた芝生も、八割方、雑草に浸食されている。
聞く所によると、新しい公園の方に予算をつぎ込んでいるため、
こちらの管理は事実上の放置状態、いずれは廃園になる予定だとか。
そんな状態なので、ここに来る人間は少ない。
日が高い内は、小学生の子供達が遊んでたりもするようだが、
学校の授業がある時間や、子供達が帰った後の時間になると途端に寂しくなる。

だが、俺はこのうら寂しい雰囲気が好きで、慌ただしく仕事に追われた今日みたいな日は、
帰りがけにこうして缶コーヒーを啜りつつ、一人この公園でのんびりするのがささやかな楽しみなのだ。


明日は平日だが、久々に休みを取った。
とは言え、何か予定を入れている訳でもない。
何をするかと考えながら歩き始めると、ガサガサと植え込みが音を立てて、中から何かが飛び出した。

俺の足下に現れたのは、一匹のゆっくり。
ハンドボール程の大きさの子ゆっくり、三つ編みおさげをぶら下げた金髪が特徴のまりさ種だ。

え? まりさ種なら、まず黒いお帽子が特徴だろ?
うん。そらそうだわな。
だが如何せん、俺の目の前にいる子まりさは例のお帽子を被っていないのだ。
その替わり、なのかは定かではないが、子まりさの頭の上にチョコンと被さっているのは…

「おにいしゃん… まりしゃを おもちかえり しちぇね!」

逆さまになった牛丼の持ち帰り容器だった。


  ◇ ◇ ◇


足を止めた俺を仰ぎ見ながら、その子まりさが俺の顔をじっと見つめて来る。

アスファルトの汚れを毎日丹念に舐め取っているのであろう、真っ黒に汚れたあんよ。
車の排ガスや地面近くで舞い上がる土埃・砂埃に晒され、すっかり色が褪せてしまった金髪。
あんよだけではなく、体のあちこちも黒く汚れているのは、ゴミを漁って日々の糧を得ているからか。
街中ではありきたりの野良ゆっくりだ。

「…まりしゃを おもちかえり しちぇね!」

俺が黙ったまま子まりさを観察していると、再び声を上げてくる。
おもちかえり…お持ち帰り…やっぱ、"まりしゃを飼ってね!"って事なんだろうな。

きっと、牛丼屋の店先で牛丼弁当が"お持ち帰り"される様子でも見ていたのだろう。
こうやって自分も牛丼の持ち帰り容器を被れば、人間さんに"お持ち帰り"して貰える…
そんな事を無い知恵絞って考えたに違いない。
いかにも餡子脳らしい、よくわからん思いつきだ。
まあ、ゆっくりのそういうアホな所は嫌いじゃないが。

当然、それでホイホイと飼ってもらえる程、世の中ゆっくりに甘くはない。
多分、俺以外の人間相手にも同じ事をやったのだろう。
ほっぺの辺りが少しヘコんでいる。
ヘコみの大きさからして小さめの靴の爪先ででも蹴られたようだ。
相手は昼間公園で遊んでいる子供達か。
子供ってのは結構残酷な物だし、この程度で済んだなら幸運だったと言えよう。

試しに右足を引いてみると、蹴られると思ったのかビクッと震えて身を固くする。
やはり経験済みのようだ。
まあ、本当に蹴ったりはしない。コイツに何かをされた訳でもない。
ゆっくりを虐待するアレな趣味とかもアレだ。
俺が右足を戻すと、暫くおどおどと警戒するようにこちらを見ていたが、また声を上げ始める。

「…ま…まりしゃを… おもちかえり しちぇね…!」

しかめっ面で俺の顔を見据え、半開きの口をへの字に曲げながら、同じ言葉を繰り返す。
見ようによっては、ちょっと怒っているようにも見えるが、
泣き出しそうになるのを懸命に堪えているせいでこんな顔になってしまうのだろう。
その証拠に、さっきから目の端に涙を溜めて、小さくぷるぷると体を震えさせている。

子まりさから目を逸らして横を向き、その場を立ち去る…フリをしてみせる。
途端に大きなおめめ一杯にじんわりと涙が浮かんできた。
懸命にぽよんぽよんと跳ねて、俺の前に回り込んで来ると、一段と大きな声で叫ぶ。

「まりしゃを おもちかえり でしゅか!」

…いや、別にそんな事言ってないし。むしろ帰ろうとしてたよな?

「まりしゃを おもちかえり でしゅね!」

いやいやいや、言ってない、言ってない。

随分と食い下がってくるな。
コイツを拾うと親ゆっくりが現れて自分達も一緒に連れて行けと言い出す美人局パターンかとも思ったが、
どうも違う気がする。
そう思う根拠は、あにゃるの辺りにこびり付いた、乾いた餡子と思しき黒い汚れだ。
野良ゆであっても、親が健在なら、うんうんの後でぺーろぺーろして貰えるので、ここまで汚れている事はあまり無い。
念のため周囲を見回すが、他のゆっくりが隠れている様子も無い。
死に別れたか、生き別れたか知らないが、コイツはひとりぼっちなんだろう。

…ひとりぼっち……か……

色々と考え事をしながら、何も答えずに子まりさを見下ろしていると、子まりさの目に更に涙が溜まってくる。

「まりしゃを… おもちかえり でしゅね…! おもちかえり でしゅね…!
 まりしゃを… まりしゃを………」

あーあ…もう泣き出しそうだな…こりゃ…

「ふう…」

自然と溜息が出る。
…まあ…たまにはいいか。
今の家は一人で住むには些か広すぎると思ってたし、それに…なんだか可愛いではないか。

「…じゃあ…持ち帰りで、まりしゃ一つ」

「……ゆ…?」

始めて口を開いた俺の言葉に、子まりさ…まりしゃはきょとんとした表情を浮かべ、
ぽかんと口を半開きにしたままこちらを見ている。
一向に俺が反応しなかったので、もうダメだと薄々感じていたのだろう。
自分の聞いた言葉が信じられないとでも言いたげだ。

「どうしたんだ? まりしゃを一つ持ち帰りで貰おうかな、って言ったんだけど? もう売り切れか?」
「ゆ…ゆうぅぅぅ……! わんまりしゃ ぷりーじゅ! よりょこんでえぇぇー!」

ははは、それ店違うからな。
思わず笑ってしまいながら、ほら、おいで、としゃがみ込んで手を差し伸べる。

「ゆうぅぅ! おにいしゃん! おにいしゃあん!!」

まりしゃが泣きながら俺に向かって跳ねて来た。
泥やら何やらで汚れた饅頭肌が涙で更にグチョグチョになってるのを見て、
自分が通勤用のスーツ姿だった事を思い出し、反射的にワシッと牛丼帽子を掴んで押さえつける。
これで纏わりつかれたら堪らん。
しかし押さえつけられてる事にも気付かず、俺に飛びつこうと夢中であんよをずりずり動かす姿は、
何か、こう…こみ上げてくる物があるなぁ…

ちょっと待てとまりしゃを制してから、比較的汚れの少ない、まりしゃの頭の上の牛丼帽子を取り上げる。
容器の口を上にして地面に置き、その上に乗るように促すと、まりしゃがぽいん!と飛び乗った。
まりしゃ丼……そんな言葉を思い浮かべながら、まりしゃごと容器を左手に乗せて歩き出す。
これならあんまり汚れなくて済む。

「おしょら! おにいしゃん! まりしゃおしょらをとんでりゅよ! ふーわふーわ!」

まりしゃはすっかりご機嫌だ。
牛丼容器の上でいつもとは違う視点から辺りを見回し、俺の方を向いては、しきりに賑やかな声を上げる。
さっきまで泣いてた癖に、切替早えーな、コイツ。
時々、ゆっくりのこんな所が羨ましく思える事がある。
だからと言ってゆっくりになりたいとも思わないが。

さて…晩飯を買ってから帰るつもりだったが、余計な荷物が増えたので先に家に帰るとするか。


  ◇ ◇ ◇


家に着いたら、真っ先に風呂場に直行。
野良生活で汚れきった体で部屋の中を這い回らせたら大惨事だ。
風呂場にまりしゃを放り込んでおいてから、スーツを脱いでシャツとパンツと靴下だけになって風呂場へと戻る。


「ゆわわわ…! おにいしゃん! やめちぇ! やめちぇね?!
 まりしゃ おみじゅしゃんは ゆっぐりでぎないよぉ!?」
「だーめーだー! ひゃはー! 俺は虐待お兄さんだぞー! ほーら! 溶けちゃうぞー!」
「ゆやああん!!」
「ははは、冗談だって! ほら! 大丈夫だから暴れんな!」

案の定、数多あるゆっくりの天敵の一つである水を怖がり、まりしゃが泣いて暴れる。
シャワーの勢いは弱めてあるし、まりしゃぐらいのサイズなら、すぐに皮がふやけて破れる事もない。
その辺の加減はわかっているので、構わず頭を軽く押さえて、ぬるま湯のシャワーを全身に浴びせる。
うへー…お湯が真っ黒だ…排水口詰まったりしないよな…これ…

そんな不安に駆られる俺をよそに、まりしゃの表情がなんだかほっこりしてきた。

「ゆぅーん… ゆっくりぃ… なんだかぽかぽかしゃんで ゆっくりできりゅよ…」

風呂で体を温めればゆっくりできるのは人間もゆっくりも同じ。
まして今まで一度もお湯など触れた事も無いであろう野良なら、さぞやごくらくー!と感じるんだろう。
すっかり大人しくなったところで、よく泡立てた石鹸で体や髪を洗ってやる。

「ぷーくぷーく! ぷーくぷーく! おにいしゃん! ぷくぷくしゃん ゆっくりしてりゅよ!」
「はいはい、ゆっくりゆっくり」

シャボン玉状になった石鹸の泡を吹いて飛ばしてやると、大はしゃぎだ。
虹色の泡球がゆらゆらと舞う様に見とれている間に、まりしゃが被っていた牛丼の容器も軽く濯いで汚れを落とす。

「ゆー!? まりしゃの おもちかえり おぼうししゃん! きれいになったよ! おにいしゃん! ありがちょお!」

まりしゃが嬉しそうな声を上げ、お湯で濡れた頬で牛丼容器にすりすりしながら、俺に礼を述べる。
元の帽子がなくなったので仕方なしに被ってるのかと思ったけど、これはこれで愛着があるのかな?
どこかで替え帽子でも買って来てやるかと思ってたんだが…
ま、気に入ってるならこのままでいいか。

………

「よし、きれいになったぞー」

長い野良暮らしで体に染みついた汚れは完全に落ちきっていないが、ここで終了。
これ以上は皮自体を取り替えないと無理。
表面に付着した汚れとは違うから、カーペットを汚す事も無いだろう。
それにまりしゃの饅頭皮もふやけ始めてきた。これ以上水分に晒すと破ける危険がある。

「ほれ、ぷるぷるしてみろ」
「ゆゆっ! ぷりゅぷりゅしゅるよ!」

俺が自分の頭をブルブルと振ってみせると、まりしゃが俺の真似をする。
まりしゃの髪から水滴が四方八方に飛び散って俺の顔まで飛んできた。
なんかこうしてると子犬か何かみたいだな。

…ん。髪の毛もだいぶ綺麗になった。ちょっとだけツヤが戻ったか。
今度ゆっくり用のシャンプーでも買ってくるか…

「ぷーりゅぷーりゅ!」

ええい、尻を振るな。尻を。

ぺちん


  ◇ ◇ ◇


風呂から出ると、まりしゃをバスタオルの上に乗せ、この上で転がってよく水気を拭っとけと言いつけた。
こりょこりょしゅるよ!と言って転がり始めたのを確認してから、晩飯を買いに出かける。
いつもの海苔しゃけ弁当と…まりしゃにはゆっくりフードでいいだろう。
ついでに雑多な買い物も幾つか。


それから30分程で帰宅。
買い物途中で、まりしゃが何か壊してないかと不安になったのだが、杞憂だった。
まりしゃならタオルの上で餡子を吐いて、ゆぶぶぶ言いながら倒れていた。
どうやら、ずーーーっと転がってて気分が悪くなって吐いたらしい。
やれやれと思いながら、買い置きのオレンジジュースを飲ませてやると即復活。
今は炬燵の上で俺と一緒にメシを食っている。

「むーしゃむーしゃ! し、し、し、しあわしぇー!! しあわしぇーっ!!
 もしゃっ! し、しあわしぇ…! もしゃっ! はふっ! しあわしぇっ…!
 もふっ! もっ! もしゃっ! むしゃっもしゃっ…しあっ…! もっしゅもっしゅ…! ゆっぐん!
 し…! しっ…!! しあわしぇぇーーーっ!!」

餌皿にたっぷりと盛ったゆっくりフードを、まりしゃが一心不乱に旨そうに貪り喰う。
飼いゆの舌を肥えさせないよう、ややパサパサ・美味しさ控えめに調整されたフードなんだけどな…
それに街中の野良ゆの場合、人間の残飯を食って変に舌が肥えている事が少なくない。
それ故、この手のフードだと文句を言う手合いも多いのだ。
よっぽど普段ロクな物を食っていなかったのか、それとも、よっぽど腹が減っていたのか。
まあ、こちらとしても、同じ食うなら旨そうに食ってくれた方が気分がいい。
などと考えながらまりしゃの食事を眺めていると、不意に餌皿から顔を上げたまりしゃと目が合った。

「ゆっ! おにいしゃん! これしゅっごくおいしいよ!? おにいしゃんもたべちぇね!!」

ああ、うん…いや、ゆっくりフードとか食わないから。
こっちに持ってくるな。口の中の物を出すな。俺の弁当の上に乗せるな。


弁当を一部台無しにされたお返しにと、弁当に乗ってた梅干しをまりしゃの口に放り込んでやった。
嬉しそうに口の中で転がしていたまりしゃだったが、すぐに自分が炬燵板の上を転がり始めた。

「じゅっぱいよおぉ!? おにいしゃああん!! こりぇどくはいっちぇるよおぉ!?」

まりしゃには悪いが、こういう反応もなかなか可愛いものだと思いニヨニヨと眺める。
暫く堪能した後であにゃるのように窄まった口を開かせ、俺の嫌いな南瓜の煮付けを押し込むとようやく落ち着いた。


  ◇ ◇ ◇


メシが終わると、テレビのバラエティ番組の空疎な笑い声をBGMに、まりしゃの身の上話など聞いたりする。

案の定、親は少し前に相次いで永遠にゆっくりしてしまったらしい。
ひとゆっ子で他に姉妹もなく、今は天涯孤独の身。

親がおうちに蓄えていた僅かな食料もすぐに底を尽き、仕方なしに生まれて初めての"かり"に出かけた事。
他のゆっくり達に混ざって、ゴミ捨て場を漁ってはみるものの、
生死が賭かった争奪戦の中では、体の小さいまりしゃはすぐに弾き出されてしまい、
まともに食べられる物にはありつけなかった事。
それどころか、逆に自分がカラスや犬猫の食料になりかけたのも一度や二度ではなかった事。
何度も吐きながら、公園の苦くて固い雑草を涙と一緒に飲み込み、今日まで生き延びて来た事。
お父さん似の大事なお帽子を、ゴミ捨て場にいたおとなの野良ゆに奪われた事。
そこから牛丼容器を被るに至った経緯は大体俺の想像通り。

まりしゃが涙ながらに足りない言葉で語ったのは、野良ゆっくりの世界ならば、どこにでもあるありふれた日常。
そう言ってしまえば、それだけのお話。


「おとうしゃん…おかあしゃん……ゆぐ……」

話をする内に色々な事を思い出したか、まりしゃがもう帰らない親を呼びながら涙ぐみ始めた。
俺はkonozamaの空き段ボール箱に古タオルを敷き、まりしゃを入れてやる。

「まりしゃ…今日はもう寝とけ。ほら、これお前のおうちにしていいぞ」
「ゆぐ…おにいしゃん……おにいしゃんは…いなくなりゃない…?」

涙を滲ませた瞳で俺を見上げてくる、まりしゃ。
いなくなった親かお帽子の事でも思い出したのか、縁起でも無いフラグを建て始めた。

「ならんならん。これでも食っておけ。ゆっくり眠れるぞ」

睡眠薬替わりのラムネを手に乗せて差し出す。
まりしゃがずりずりと這ってきて、俺の手からラムネを囓り始める。

「ぽーりぽーり…おにいしゃん…」
「余計な心配するな。…明日は休みだからたっぷり遊んでやる。寝坊したら遊んでやらないぞ?」

その言葉で、ようやくまりしゃの笑顔が戻った。
ラムネの効果が出るのはまだの筈だが、安心したのか、途端に瞼がトロンと落ちてくる。

「おにい…しゃん…」
「んー?」
「まりしゃを…おもちかえり…ありが……ちょお……ゆっくり…して………ゆすー……」
「…はいはい。ゆっくり、ゆっくり」

穏やかな寝息を立て始めたまりしゃから牛丼帽子を外し、柔らかい饅頭頭をぽゆぽゆと叩く。

…こうして…まりしゃの寝顔を見ていると……つい思い出してしまうな…
あれから何ヶ月経ったか……



(みてみて! まりしゃがいちばんのーびのーびじょうずだよっ!)

(ゆうう…まりさぁ…! まりさとれいむのおちびちゃん達、とってもゆっくりしてるよぉ…!)

(おにいさん、ここからだしてよぉ! れいむたちをおうちにかえしてよぉ!)

(お兄さんね、赤ちゃんまりさが欲しいんだよ)
(れいむが赤ちゃんれいむしか産まなかったら、産まれた赤ゆちゃんは全員殺すから)
(あとオマケでお姉ちゃんの赤ゆちゃんもひとり殺すから)

(あかしゃん! まりしゃのいもうちょのあかしゃん! ゆっくちうまれちぇね!)

(ゆええぇ…! おきゃあしゃーん! どうちてまりしゃを うんでくれにゃいのー?!)

(ちゅっ! ちゅぶれっ…! ちゅぶれりゅう! ちゅぶれりゅうぅ! ちゅぶれりゅううぅぅっ!!)
(みえにゃいよおぉぉっ!? おきゃあしゃああぁあん! どきょおぉぉ?! れいみゅここにいりゅよぉぉ!!)
(かっ……ひっ……いちゃ…い…くりゅち……ちぬ…にょ……や……ぢゃ……まり……しゃ……)

(あか…ちゃん……れいむの……あかちゃんがぁ…!)
(…どーしてぇ…? どーしてこんなことするのおぉぉ…!! おにいさあぁぁん!?)

……

俺は、いつもは普通に虐待お兄さんをやっていて、
攫ってきたゆっくりに無理難題ふっかけて、できなかったら一匹ずつ赤ゆちゃんを殺しちゃうよ!とか、
例えばそんな感じのイタズラとかしてる。
そんな訳だから、ゆっくりは可愛くて大好きだ。
特に罪深いまでに可愛いさ溢れる子ゆっくり・赤ゆっくりは大大大大っ好物。
そんなゆっくり達の一番可愛らしい顔を引き出してあげるのが、俺の何よりの楽しみだ。

しかし、季節の変わり目になると、とかく体調もテンションも下降気味。
そんな時は、ゆっくりを好きな気持ちがネジくれた方向に暴走して、
普通に飼いゆっくりとして愛でたいなーなんて気分になってしまう事があったりするのだ。


「さ・て・とっ」

立ち上がった俺は、スキップをしながら戸棚にしまっておいたシリカゲルを取りに行く。
煎餅やクッキーなんかと一緒に入っている乾燥剤のアレだ。
晩飯を買うついでに、手芸店に寄ってドライフラワー作り用に売られてるのを買ってきた。

まりしゃは一旦段ボールから取り出して床に置いておく。
ラムネが効いているので、今はグッスリ眠って夢の中。
試しにほっぺをムニムニと引っ張ってみるが、穏やかな寝息を立て続けている。

段ボールの底にシリカゲルをたっぷりと敷き詰め、その上にまりしゃを乗せる。
シリカゲルの固い感触に、一瞬まりしゃが顔をしかめるが、すぐに穏やかな寝顔に戻る。
それから、まりしゃのあんよをグルッと囲むようにタオルで包む。

こうしておくと、ゆっくりの底部に含まれる水分がシリカゲルに吸収される。
結果、乾燥したあんよは正月過ぎの鏡餅みたくカチカチに固くなる。足焼きと同じ効果だ。
這う事もできなくなるまでの所要時間は、子ゆっくりサイズでおよそ3時間。
焼きと違って時間がかかるのは難点だが、
濡れた雑巾であんよを包み、水を大目に飲ませて体の内外から水分を補給させれば、簡単に元に戻せる。
熱さや痛みを与えないので、寝ている内に気付かれずに処理できるのも利点だ。

ちなみにドライフラワーを作る場合は、シリカゲルに埋めて密閉容器の中で数日間寝かせておく必要があるらしいが、
ゆっくりのあんよなら数時間で乾燥する。乾燥するったら乾燥する。


「ゆ…ん…おにいしゃん……まりしゃ……おもちかえり……でしゅね……ごいっちょに……ゆす~……」

ふふ、まだ言ってら。
寝言を呟くお口に瞬間接着剤を塗ってやり、乾くまで軽く頭を押さえ、ついでに撫でてやる。
気持ちよさそうな顔して寝やがって…

「まりしゃ、明日はまりしゃでいっぱい遊ぼうな…」

俺がそう囁くと、まりしゃがちょっと笑ったような気がした。

接着剤も乾いたようだ。
まりしゃにおやすみを言ってからもう一枚タオルをかけてやる。


その後、数時間かけて明日のための準備を終えた。
明日は早いし、俺も風呂入って寝ることにしよう。

ああ…明日が楽しみだなぁ…な、まりしゃ?


  ◇ ◇ ◇


翌朝は、仕事へ向かう勤め人の姿をまばらに見かけ始める時間に家を出た。
背中に背負ったリュックには、まだ気持ちよさそうに寝ているまりしゃとお弁当、それに遊び道具を詰めてある。
今日は天気も良いし、気分はちょっとしたピクニックだ。
道行くサラリーマンの方々に、平日なのにお仕事大変ですね! ご苦労様です!
と心の中で挨拶をしながら、目的地へと向かう。

向かった先は、昨日の公園。
相変わらず人がいない。
早朝に散歩しにくるお年寄りぐらいは居ても良さそうな物だが、人っ子一人見当たらない。
きっと磁場が悪いとか風水的に気の流れがどーたらとか、色々な要因もあって人が寄りつかないのだろう。

昨日まりしゃと会った辺りで、リュックからまだ眠ったままのまりしゃを取り出す。
続いて底の浅い水切り用ざるを取り出し、逆さまにして地面に置いて、その上にまりしゃを乗せる。
地面に直接まりしゃを置くと、足下に溜まった涙やしーしーで、折角乾燥させたあんよが元に戻ってしまうからだ。

最後に牛丼帽子を被せてやったら、荷物を持って、少し離れた位置にある植え込みの陰に隠れる。
後はまりしゃが目を覚ますのをゆっくりと待つだけだ。


三十分後…

「………。………!!……?……??………!?…………?!」

お、目ぇ覚ましたな。
ははは、ビックリしてる! ビックリしてる!

まりしゃはキョロキョロと落ち着かなげに周りを見回している。
そりゃそうだよな。俺の家で寝ていた筈なのに、目が覚めたらお外だもんな。
昨日の公園だってわかるかな?

「………!………!!………!?」

なんか接着剤で閉じた口のあたりが盛んにモゴモゴと動き出した。
俺の事を呼んでいるのかもしれない。
おにーしゃあぁん! どこー!? とかね!
ふふふ! ここだよー! ここにいるよー!

「………?!………!?………!?!?」

暫くモゴモゴやってたが、急にハッとしたように目を見開くと、今度は視線を下に向け始めた。
黒目を目一杯下へ下へと動かそうとしている。
目より下にある自分自身の体を見ようとしているようだ。
口が開かない事に気付いたか、あんよが動かない事に気付いたか、或いは両方か。

そうかと思うと目を固く瞑って、顔を赤くしながら力み出す。
少しのけぞり気味になったまりしゃのあんよから上が、ぐねぐねと左右に振られている。
必死に跳ねようとしているのか、口を開こうとしているのか。
途中で肩で息をするように上半分を上下させてから、再び力み始めるが、あんよもお口もびくともしない。
無駄な努力を続けた後、また目線を下に向けて、ポロポロと涙を零し、口をモゴモゴと動かし始める。

ふふふ…! か~わいい!

じゃあ、まりしゃを眺めながらの優雅な朝食を楽しむとしようか。

リュックからアルミ製のドカ弁を取り出して蓋を開ける。
中は白いご飯を目一杯詰めてあるだけだ。
おかずは持参した小瓶の中。
最近お気に入りの飯の友、
『辛そうでやっぱりすんっごい辛い でも…ひょっとしたら…… ゆんやー! やっばりがりゃいー!
こりぇどくはいっちぇりゅうぅ! ゆげえええぇ! ゆ゛え゛ろろろろろぉ! ゆぶっ…ゆぶぉろろろろぉぉ…!!
も゛っ…ゆっ… ゆあー?! おちびちゃんがあんこはいちゃったー!? じっがりじでぇー!!
おがーざんをひどりにじないでえぇ!! おぢびぢゃあぁんっ!! ラー油』を小瓶からスプーンでザクザクと掬い、
飯の上にたっぷりと振りまぶす。

このラー油、何匹目かの泥鰌を狙って、他メーカーのヒット商品を真似たパクリ商品なのだが、
同量の赤唐辛子粉よりも辛いと言うパンチの効いた味が世の虐待お兄さんお姉さん達の目に止まり、
日々の飯の友、兼、虐待グッズとしてバカ売れ。
メーカーにしても、まさかそんな所から需要を掘り出すとは夢にも思わなかっただろう。
嬉しい誤算というヤツに違いない。

そして、おかずはもう一品。

勿論、まりしゃの泣き顔だ!

涙を零して、じたじたと悶えるまりしゃを眺めつつ、オレンジ色に染まった白飯をモッシャモッシャと貪り喰らう。
むーしゃむーしゃ! うっめ! これめっちゃうっめ!


  ◇ ◇ ◇


「むーしゃむーしゃ…むほ?」

白飯が残り四分の一ほどになった所で、状況に変化があった。
口の中に残っていた飯を飲み込み、箸を止めて、まりしゃのいる方を注視する。

ぽいん! ぽいん!

二つの物体が跳ねながらまりしゃに近づいて行く。
成体のまりさとれいむだ。
汚れ具合からして、こいつらも野良で間違いない。
二匹に気付いたまりしゃが、助けを求めてお下げをブンブンと振り始めた。

「ゆふん? なんなのぜ、このへんなちびは? ゆっくりできないおぼうしさんなのぜ!」

だが、現実は非常。ゲスなゆっくりに当たってしまったようだ。
ゲスまりさの言葉に、まりしゃがゆがーん!と目を見開いた後、
抗議をするようにお下げをブブブと激しく振り回す。

「ゆゆ! うすぎたないちびだよ! おぼうしがへんなだけじゃなくて、おくちもきけないの?
 ゆっくりできないね! そんなにゆっくりできないのに、なんでいきてるの? ばかなの? しぬの?
 ゆぷぷ…! おお、ぶざまぶざま!」

番と思わしきれいむの方もゲス資質たっぷり。
はっきり言って、昨夜洗ってやったまりしゃに較べたら、
あいつらの方が何百倍も汚くてゆっくりできない気がするのだが、その優越感は何なんだろう。

「まったくなのぜ! おいちび! みるんだぜ! まりささまの、このゆっくりとしたおぼうしさんを!」
「ゆゆ~ん♪ まりさのおぼうしさん、とってもすてきだよ! どっかのちびのぼうしとはおおちがいだよ!」
「……!……!」

おぼうしをバカにされたまりしゃが、涙目になりながらも睨むような視線を二匹に向ける。
あんな牛丼弁当の容器でも、お帽子をバカにされるのは悔しい物なのだろうか。
だが、ゲス二匹はそんなまりしゃの反応を面白がって、余計に調子に乗ってまりしゃの牛丼帽子をけなし続ける。
いつしかまりしゃの顔は俯き、地面を見つめて震えながら、ただ悔し涙を流すばかりになった。

そんなまりしゃの姿を見ながら、俺は再び飯を食い始める。
なんだろう…他ゆんの手でいじめられて、泣いているまりしゃの姿を手をこまねいて見ているのも…
こう…なんか…グッとクるものがあるなぁ。

「ゆふふ…まりさ! やさしいれいむたちが、このくそちびをらくにさせてあげようね!」
「さっすがまりさのれいむなのぜ! おいちび! かんしゃするのぜ!
 これでもう、へんなぼうしのせいで、ゆっくりできないおもいをすることもないんだぜ!」
「?……!……!?」

ハッとして俯いていた顔を上げたまりしゃが、枝を口に咥えているゲスの姿を目にして震え出す。
ブルブルと顔を横に揺らして拒絶の意を示すが、ゲスはまりしゃの恐怖を煽るように、じりじりと近づいて行く。

「…! …むしゃ…あいつらぁ…むしゃむしゃ…好き勝手…もぐもぐ…しやがってえぇ…!」

泣かせるのは一向に構わんが、俺のまりしゃを殺そうとはふてぇ奴らだ!
幾らゆっくり大好きお兄さんの俺と言えども、こればかりは許す訳にはいかない。
せいっさいっするよ!

「あんしんするんだぜ! しんだら くそちびのまずいあんこは、まりささまがむーしゃむ…」

フッ…!  ぷすっ

「ゆぎっ!? な、なんなのぜ…? なんかちくっと…ゆぎゃああぁあぁっ?! いだいいぃいぃっ!?」

ゲスまりさが、突如絶叫を上げて地面をのたうち回り始めた。
辺りに涙やら何やらの砂糖水を撒き散らしながら、そこいら中をゴロゴロと転がる。
まりしゃとれいむは何が起こっているのかわからずに、唖然とした表情を浮かべて固まったままだ。

「ふふふスヒュー……命中ぅスピュー…!」

俺は広告を丸めて作ったお手製吹き矢を咥えたまま、ほくそ笑む。
ゲスまりさに刺さったのは、円錐状にしたボール紙に、綿棒の軸を斜めにカットした針を付けただけの簡素な矢だ。
これだけだとゆっくり相手である事をさっ引いても殺傷力が足りない。
だが、綿棒の軸の中に『辛そうで(略)ラー油』を仕込んであるとなれば話は別だ。

「ゆぎいいいぃぃっ!! あづいいぃぃいぃっ!! いだいよおおぉっ!! なにごれえぇっ!? いぎいいぃっ!!」
「ま、まりざああぁ?! どうじだのおぉ?! じっがりじで…」

狂ったように暴れ回る番の姿に、ただおろおろしているだけのれいむ。
その尻がこっちを向いている。
ふふふ…その汚いケツをフッ飛ばしてやる!!

フッ…!  ぷすっ

「ゆふぅんっ?! ………ゆぎっ!? れいむのあにゃるざんがああぁあぁ!!
 あっ…あっづいいぃ!! れいむのあにゃるざんがあっづいのおぉおぉ!!
 だれがあぁ! れいむのあにゃるざんぺーろぺーろじでえぇえぇ!
 ゆはあぁん!! あにゃるざんが…! あにゃるざんがもえぢゃうよぉ!
 れいぶのあにゃるざんしずめてえぇぇ!! れいぶおがじぐなっぢゃうぅぅ………」


  ◇ ◇ ◇


「……?……??」

ゲス2匹はのたうち回りながら何処かに行ってしまった。
暴れる内に矢が深く刺さったようなので、ジワジワ滲み出す激辛ラー油で半日は地獄の苦しみを味わえるだろう。
一方の取り残されたまりしゃは訳がわからないという顔でキョトンとしている。

しかし、それも暫くの間だけの事。
命拾いした事への安堵感と、再び一匹取り残された孤独感で複雑な表情で俯くようになる。
俺は時の経つのも忘れて、そんなまりしゃの表情を植え込みの陰でじっと眺める。


そのまま、30分程経っただろうか。
またもや接近してくる物体があった。

ぽゆん! ぽゆん!

かわゆ~い足音を鳴らしてやって来たのは、俺の大好きな赤ゆっくりちゃんだ。
赤れいむ×1、赤まりさ×1。やっぱり野良みたい。
さあ、またゲス無双が来るのかな~!

ゲス赤ゆ達に口汚く罵られるまりしゃ。
まりしゃが動けない事に気付いて、更に増長する赤ゆ達。
れいみゅのおうぎょんちーちーをめぐんであげるにぇ! きゃわいくっちぇごめんにぇ! チョロロ…
とくべちゅに まりしゃしゃまのうんうん たべちぇもいいんだじぇ! モリッ モリリリッ モリュンッ
屈辱に震えながら、ただただ涙を流して耐えるしかないまりしゃ。
あんよさえ動けば赤ゆなんて逆にせいっさいっしてやれるのに…くやしいっ…! でも…

う~ん…いい…いいねぇ…
大丈夫だよ! まりしゃ!
悪い子の赤ゆちゃん達はお兄さんが後でちゃーんとグッチャングッチャンにせいっさいっしておくからね!
だからたーっぷりいじめてもらってね!

そんな事を夢想している内にまりしゃの近くまで来た二匹の赤ゆが、まりしゃの姿に気付いて近寄っていく。

「おねーしゃん! ゆっくいちていっちぇね!!」
「ゆっくちちていっちぇねなのじぇ!!」
「………!!」

しかし俺の期待に反して、赤ゆ達は普通に挨拶を始めた。
まりしゃの帽子が気になったりはしないのだろうか。
一方のまりしゃは一応挨拶を返そうとしているっぽいが、当然できるわけがない。

「ゆゆ? ゆっくいちていっちぇねっ!!」
「ゆっくちちていっちぇねなのじぇっ!!」
「………!!………!!!」

更に挨拶を交わそうとするが、まりしゃはまたも応えない。
その後も赤ゆ達は懸命にゆっくりしていってね!と虚しく呼び続ける。

………

「ゆぅ…どうちて ごあいしゃつちてくれにゃいの…? れいみゅが…きゃわいくないかりゃ……?」
「まりちゃがゆっくちちてにゃいからなのじぇ…? おねーしゃん…ごめんなしゃいなのじぇ…」
「………!?………!!………!!」

そして遂に、挨拶を返して貰えないのは自分達のせいだと言って赤ゆ達がベソを掻き始めたではないか。
根拠の無い自信に満ちた行動の多いゆっくりにしては珍しい反応だ。
きっと純粋で心の優しい赤ゆちゃんなんだね! お兄さん、良い子の赤ゆちゃんは大好きだよ!

「ゆぅ…きゃわいく……にゃくちぇ……ごみぇん…にぇ……ごみぇんにゃしゃい…ごみぇんにゃしゃいー!!」
「ゆっぐ…おねーしゃん…ゆるちてなのじぇ…まりちゃ…いいこになりゅかりゃ…ゆぐ…ゆ…ゆわあぁあぁん!!」
「……?!………!!………!?………!!」

あーあ…まりしゃったら、赤ゆちゃん泣かせちゃった…い~けないんだ!
まりしゃは何とか赤ゆ達の誤解を解こうと開かない口をモゴモゴさせている。
だが、一向に赤ゆ達は泣きやまず、遂にまりしゃまで涙を流し始めてしまった。
その涙に反応して、赤ゆ達も更にゆわんゆわんと大声で泣き、まりしゃの目からも更に涙が溢れ出す。
素敵な涙の連鎖反応だ。
俺はデザート用に持ってきたバナナをむしゃむしゃちゅぱちゅぱしながら、しばし泣き顔鑑賞タイムを堪能する。

………

「ゆえええ……ごみぇんにゃしゃい…ゆぐ……ゆすん……ゆぐ……ゆ……ゆ………?」

そうこうする内に、赤れいみゅが何かに気付いたようだ。
不思議そうに、時折モゴモゴと動くまりしゃの口の辺りをジッと見ている。

「ゆぐ……おにぇーしゃん…? おくちが……きけにゃいの……?」
「ゆっぐ…しょうなのじぇ…? だかりゃ…おへんじ…ちてくれにゃかったのじぇ…?」
「!!………!!………!!」(コクコク)

チッ
気付かれたか。
赤れいみゅの問いかけに、まりしゃの顔はゆぱあぁぁと明るくなり、泣き笑いの表情で頷いて答える。

「じゃ…じゃあ…れいみゅたちのこちょ…おこっちぇにゃいの……?」
「………!!………!!」(コクコク)
「ほんちょ…なのじぇ…?」
「………!!………!!」(コクコク、コクコク…!)

まりしゃの返答に、赤ゆ達の顔にもようやく笑顔が戻る。
今度は笑顔の連鎖で、まりしゃと赤ゆ達に笑みが広がって行く。

程なくして、まりしゃのあんよが動かない事にも気付いたようだ。
赤ゆ達はなんとかまりしゃを救出しようと、ゆんしょ、ゆんしょとまりしゃを押して動かそうとする。
だが、所詮はピンポン玉サイズの赤ゆっくり。
相手がハンドボールサイズの子ゆっくりでは体重差が有りすぎてどうにもならない。
しばし無駄な努力を続けた後、赤まりちゃの方が打開策を思いつく。

「ゆっ! まりちゃたちが、たしゅけをよんじぇくりゅのじぇ!!」
「しょうだよ! れいみゅたちのおきゃーしゃんなら、きっとなんとかちてくれりゅよ!」
「おねーしゃん! まってちぇなのじぇ!」
「しゅぐにもどっちぇくるからにぇ!」
「………!………!」(コクッコクッ!)

笑顔でおさげを振るまりしゃに見送られながら、赤ゆ達が跳ね出した。


別に助けはいらないけど、どうしようかなー
取りあえず親ゆを呼んで来させて、様子を見ようかなー
と考えていると、赤ゆ達は、俺が隠れている植え込みの方に跳ねて来た。
そのまま、植え込みの脇を通り過ぎようとする。

(赤ゆちゃん…! 赤ゆちゃん…!)

小声で赤ゆ達に呼びかけると、俺の姿に気付いて進行方向を変え、植え込みの陰までやって来た。

「ゆっ! おにいしゃ…」

赤ゆが声を上げようとするのを制して、人差し指を口に当て(しーっ!)とジェスチャーをする。

(おにいしゃん! ゆっくいちていっちぇね!)
(ゆっくちちていっちぇねなのじぇ!)

すると、赤ゆ達の声が少し小さくなる。素直な良い子達だ。
それでもまだ囁き声と呼ぶには無理がある結構な音量なのだが、どうにかまりしゃには聞こえていないようだ。

(やあ! ゆっくりしていってね! 赤ゆちゃん達、美味しいあまあまさんを食べないかい?)

赤ゆちゃん達には暫く眠ってて貰うことに決めた。
リュックからラムネを取り出して地面にばら撒く。

(ゆゆっ!? おにいしゃん! ありがちょう!!)
(でもいりゃないのじぇ!)

おやおや、ゆっくりにお菓子をあげようとして断られたのは初めてだ。
どういう事なの?

(あにょね! おきゃーしゃんにいわれちゃよ!
 にんげんしゃんの あみゃあみゃさんはね、たべちゃだめなんだっちぇ!)
(むーしゃむーしゃちたら、いちゅものごはんしゃんが おいちくなくなっちゃうのじぇ!
 まりちゃ おうちで みんにゃでたべりゅごはんしゃんが いちばんしゅきなのじぇ!
 だかりゃ おいちくなくなったりゃ こまりゅのじぇ!)
(れいみゅも!)

キリッ!とした顔で説明してくれる赤ゆちゃん達。
成る程ね。親ゆっくりの教育の賜か。
幼い赤ゆっくりの頃から無闇に舌を肥えさせたら、後々の食生活で苦労する、と。
全くもってその通りです。そのせいで破滅したゆっくりの家族は俺も何組も見て来た。
なかなか賢い親だが、お母さんの言うことをキチンと守っている赤ゆ達も賢く素直ではないか。
この赤ゆちゃン達なら、機会にさえ恵まれれば金バッジの飼いゆっくりになる事も夢では無いダろう。

(あ、あにょね! おにいしゃん! むこうにうごけにゃいおねーしゃんがいりゅの! たしゅけちぇあげちぇね!)
(おねぎゃいなのじぇ!!)

お菓子には目もくれず、まりしゃの救出を俺ニ頼んデ来る赤ゆチャん達。ホントにイイ子。
かあああぁわいいなああああぁぁあぁ!

(うん! わかった! お兄さん、もう我慢できないよ!)

(ゆぅ…?)
(おにー…しゃん…? ゆ


ぐちょ、くちゅ、びりっ、ぷすっ、ゆんや゛…ぶちんっ、ぶちゅっ、ぞぶっ、おきゃあ…ぐちゅっぐちゅっ、
や、やめちぇあげ…ぶちっ、べちっ、ぶずっ、ぐしゅっ、ゆ゛あ゛っ…ぺきっ、ぱきっ、ぞりゅっ、どーちて…みちちっ、
ぶすっ、ぶすっぶすっ、べりっ、ぐりゅっ、ざりっ、ぶつんっ、べちゃっ…


  ◇ ◇ ◇


「…………」

赤ゆちゃん達が去ってから小一時間程経過した。
しかし、どうしたことか助けは一向に現れない。
最初の内こそ、ニコニコしながらソワソワと体を揺らして待っていたまりしゃだったが、
その明るい笑顔も、時間が経つに連れて段々と曇って来ていた。

それでも期待を込めて、ときどき顔を動かせる範囲でキョロキョロと辺りを見渡す。
たまに俺が遠くの植え込みに小石を投げ込んで物音を立てると、目を輝かせてそちらを向く。
その後に来る落胆の表情と言ったらなかった。
今はもう、そろそろ一雨来そうな表情だ。

あ、もう泣きそう! ……ゆぐっ……ゆぐっ……ゆえ……ゆえぇ………お! 耐えた耐えた!
えらいぞう! まりしゃ…あっ! ……あ~あ……泣いちゃった……
ゆふふ……まりしゃ…泣き顔かわいいよぉ…


ひた…ひた……

おっと、また何か来たみたいだぞぉ…さあ、次はどんなピンチがまりしゃに襲いかかるのかな!?
ワクワクしながら足音の聞こえた方向に視線を向けた俺は、次の瞬間、凍り付いた。

い、いぬさんだああぁぁぁ!?

やってきたのは、ゆっくりではなく一匹のワンちゃん。
首輪が無いし何だか薄汚れた感じがするので、きっと野良犬だろう。
舌をダラリと垂らし、長い耳もクタッと垂らしながら、あーおなかすいたなー…感を漂わせ歩いて来る。

泣いていたまりしゃも野良犬の姿に気付いたのだろう。
そちらに視線を向けた瞬間、俺同様に凍り付いた。
餌漁りの時に何度か襲われたと言ってたし、その危険性はまりしゃも十分理解している筈だ。
ほぼ同時に野良犬もまりしゃの姿に気付き、心持ち早足になりながらまりしゃに近づいて行く。

これは不味い事になった。
野良犬は、ゆっくりみたいにまりしゃを嬲ったりはしない。
餌とみなしたなら、頭からガブリと一噛み。
中枢餡でも囓られれば、一撃でジ・エンド・オブ・まりしゃだ。
最早一刻の猶予もならない。
残念だが楽しい遊びの時間は切り上げなきゃならんようだ。

待ってろ、まりしゃ! 今お兄さんが助けてやるぞっ!!

野良犬がまりしゃの目と鼻?の先でふんふんと鼻を鳴らし、警戒するように匂いを確認する。
動けないまりしゃは、恐怖に涙を滲ませた目を見開きながら
「まりしゃをたべないで! まりしゃおいしくないよ!」と必死に視線で懇願する事しかできない。

おや…?
まりしゃのほっぺの辺りの皮が…何か…ちょっと膨らんでるような…
見ている内に膨らんでる箇所がペコッとヘコんだかと思うと、一拍置いてまた緩やかなカーブを描く。

……そうか! 「ぷくー」か!
口を開けて大きく息を吸う事ができないので、ちょっとしか膨らめないようだ。
通常時でも子ゆっくりのぷくーで野良犬を威嚇できるかは甚だ疑問ではあるが、あれではどうにもならないだろう。
それでもまりしゃは文字通り懸命のぷくーを続ける。
まりしゃ! 頑張れ! 超頑張れ!
俺も腕を振り上げながら、懸命にまりしゃを応援する。

バウッ!

野良犬の小さな一吠え。
それでまりしゃの些細な抵抗は終わった。
ほっぺはペコッとヘコみ、おそろしーしーがチロチロと漏れ出して来る。

後ずさろうとしているのか、まりしゃが後ろにのけぞったような体勢になる。
しかし、固まったあんよはしっかりと大地に根を下ろし、その場から一歩も退く事はできない。
まりしゃは動かないあんよと野良犬の顔との間で、怯えた視線をひっきりなしに往復させている。
うごいてね、こないでね、うごいてね、こないでね
そんなまりしゃの叫びが聞こえてくるようだ。

しかし、まりしゃの願い虚しくあんよは動かず、替わりに、野良犬が一歩足を踏み出した。
野良犬の口がまりしゃの頭上まで来て、こぼれた涎の一滴がまりしゃのお帽子に降り注ぐ。

「………!?………!?…………!!!」

そんな危機的状況に晒されても、まりしゃは青い顔をしてブルブルと震えながら、
鋭い歯の並んだ野良犬の口を見上げる事しかできない。
ああ…なぁんて可愛い泣き怯え顔なんだろう…野良犬さん…G.J!

…

待ってろ、まりしゃ! 今お兄さんが助けてやるぞっ!!

俺は植え込みから身を乗り出し、吹き矢を構えると、野良犬の尻に狙いを定める。
この吹き矢の威力では野良犬の毛皮装甲は貫通できないが、装甲の無いあにゃるを狙えば…!
俺の頭の中のスコープが、お尻の真ん中に空いた穴を中心線に捉える。
後は一つ息を吹くだけで終わりだ。

「………くっ…!」

だが、できない。
吹き矢を握る手と一緒に、頭の中のスコープも震える。
命を傷つけるという行為、それを為す事が堪らなく恐ろしい。
野良犬の命も人間の命も、親から祝福されて生まれてきた掛け替えのない命である事に変わりはない。
しかも相手は、厳しい野良生活の中、ただ生きる、そのためだけに今日まで必死に繋いできた命だ。
文明の暖かさに囲まれ、怠惰にぬくぬくと過ごしてきた生ではない。
ある意味では、俺なんかの命より重い命と言えよう。
それを…それを悪戯に傷つけるなんて……

ポトリ、と吹き矢が俺の手を離れて地面に落ちる。

「…まりしゃ……許してくれ……!」

野良犬の前脚がまりしゃの牛丼帽子を払い落とした。
邪魔な物を取り除き、いよいよ今日のご飯にありつく気だろう。
観念したのか、襲い来る痛みに備えてか、まりしゃが固く目を瞑る。
俺もまりしゃの最期の表情を見届けようと更に身を乗り出す。


カシッ…カシッ、カシッ……

「あ、あれ…?」
「……?」

しかし俺の期t…最悪の予想に反して、野良犬が興味を示したのはまりしゃではなかった。
まりしゃと俺が不思議そうに見守る中、地面に落ちた牛丼の容器に囓りついている。
容器を口に咥えようとしているが、逆さまの状態のまま地面に転がっているため、咥え所が無いようだ。
容器を前脚で押さえつけガジガジと囓りながら四苦八苦している。

うーん…軽く洗いはしたけど、まだ牛丼の匂いが残ってたのかな?

何度か容器に囓りつく内に、パキッと軽い音がして、容器の四隅の一角が割れる。
野良犬はその部分に鼻先を差し入れて容器をひっくり返すと、容器の口を咥えてトコトコと歩み去って行った。

………

「…助かった……のかな…?」

野良犬の後ろ姿を見送った俺は、再びまりしゃに目を向ける。
だが、安堵の表情を浮かべているかと思ったまりしゃは、今まで以上に大粒の涙を零しながら泣いていた。

「……!!………!?!?~~~!!~~~っ!!」

見るとまりしゃの目の前、僅か数センチの所に野良犬に割られた牛丼容器の破片が落ちている。
まりしゃはその破片に向かって何かを叫んでいるようだ。
破片に向かって、必死に体の上半分を伸ばして身を乗り出すが、もう少しの所で届かない。
よくよく見ると、まりしゃの閉じられた口、その真ん中辺りが何か突き出そうとするかのようにポコッと膨らんでいる。
位置的に言って、舌を出そうとしているのだろう。

舌…という事はぺーろぺーろ…?
「まりしゃのおぼうししゃん! ゆっくりなおっちぇね!? ぺーりょぺーりょ! ぺーりょぺーりょ!」
というヤツだろうか。

解せない。
オリジナルのお帽子なら、まりさ種がそこまで固執する光景は何度も見てきた。
だが、アレは所詮代用品のお帽子だ。
無くなったのなら、他の代用品を被ればいいだけの話。そこまで固執する事など…

そこまで考えて、はたと思いつく。
まりしゃはあの容器を「おもちかえりおぼうし」と呼んでいた。
まりしゃにしてみれば、あの帽子のおかげで俺にお持ち帰りして貰えたと思っているのだろう。
実際、まりしゃが普通の帽子の普通のまりさだったら、俺もその場でイートインだったかもしれない。
言うなれば、まりしゃと俺を結びつけてくれた絆のような物なのか。

「おぼちかえりおぼうぢしゃんがなぐなっだら まりじゃ もうおにいざんにおもぢがえりじでもらえないよ~!!」

口は開かずとも、まりしゃの必死な表情から、そんな悲痛な叫びが伝わって来る。

まりしゃ…

昨夜のまりしゃの様子が瞼の裏に浮かんで来る。
お持ち帰りしてやると言われて、泣きながら俺に跳ね寄ってきたまりしゃ。
目を輝かせながら、石鹸の泡を見つめていたまりしゃ。
美味しいご飯を俺にお裾分けしようと、ゆっ♪ゆっ♪言いながら、俺の弁当に這い寄って来やがったまりしゃ。
今日、一緒に遊んでやると言われて、泣き顔を笑顔に変えたまりしゃ。

俺の 可愛い まりしゃ…


「……は~…何やってんだろ…俺……」

地面に落ちた吹き矢を丸めて、ゴミ箱にナイスシュートする。
それから、胡座をかいて地べたに座り込み、空を仰ぎ見た。
まりしゃはあんなに俺を慕ってくれてる。可愛いヤツじゃないか。
それなのに…俺と来たら…


  ◇ ◇ ◇


「………はぁ…」

まあ、カメラを持って来なかった事を今さら悔やんでも仕方がない。
今の俺が為すべきことは、まりしゃの可愛い泣き顔を、余す所なく己の脳裏のフォトアルバムに焼き付ける事だ。
そう思い直し、再び植え込みからにょきっと頭の上半分を出して、まりしゃの姿を窺う。
まりしゃは、まだ身を乗り出してお帽子の破片を舐めようとしながら、
時折もどかしさにグネグネと体を揺すって身悶えていた。

ゆふふ…! かわいいよ! まりしゃ、かわいいよ…  あ、やべ

俺は大慌てで身を屈め、植え込みの陰に完全に姿を隠す。
今、身悶えていたまりしゃと目が合った気がしたのだ。
一瞬の事だったが、こちらを向いたときのまりしゃの目がビックリしたように見開かれるのが見えた。
見られた…かな…

時計を確認しつつ、待つこときっかり1分。
それから、今度は植え込みの横側から慎重に慎重に、そーっと顔を半分だけ覗かせる。

「………」(チラッ)

(じー……っ)

やっべ! 見てる! めっさこっち見てる!
俺がまりしゃの姿を視界に捉える前から、まりしゃは目を大きく見開いてまっすぐにこちらを見ていた。

「………?…………!?!?」

向こうも植え込みの横からひょっこり出て来た俺の顔に気付いたのか、
見開いていた目が飛び出しそうになるくらい、更に大きく見開かれた。
そして何かを叫ぼうと…し始めた所で、再び身を隠す。

今度はたっぷり5分待ってみる。
気のせいと思って諦めてくれれば…と思いながら、ひょこっと今度は顔半分を一気に植え込みの横から出す。

あー! まだ見てた! バレてる! 完全にバレてる!

まりしゃは半分だけの俺の顔をじーっと見つめて、しばらくパチパチと目をしばたたかせていた。
ここに俺がいて、黙ってまりしゃの苦境を眺めている理由が理解できないのだろうし、
それ故に自分が見ているのが「俺」であるか確信が持てないのだろう。
俺もそんなまりしゃを黙って見返す。

だが、暫くして確信に至ったのか、まりしゃの動きが急に活発になった。

「………!!………!!………?!」

口の部分の饅頭皮が伸び切りそうになるぐらいに、モゴモゴと口を動かして叫ぼうとしている。
俺の注意を引こうとしてか、しきりに体をのーびのーびさせ、おさげを振り回す。
俺はニコニコと笑って植え込みから半分顔を覗かせたまま、そんなまりしゃの様子を眺める。

「………?!~~~!!~~~?!~~~?!?!~~~~っ!!!」

一向に動きを見せない俺に、まりしゃの口の動きも、おさげの動きも、流れる涙も勢いを増す。
ははは。まりしゃ、がんばれ~!

笑顔で応える俺に、まりしゃはおさげのみならず、髪の毛を振り乱して、ぐねんぐねんと暴れる。
ぺちんぺちんとおさげを地面に叩きつけたりして、叫ぼうとしていたが、
10分くらいすると、段々と動きが鈍くなって来た。
今は散々に振り乱した髪の毛をほつれさせ、ゆっぐゆっぐとしゃくりあげながら、涙をダバダバと流している。

ふふ…もうそろそろ出て行ってやるか!


  ◇ ◇ ◇


「まりしゃー! どこに行ったんだー? いたら返事してくれー!」

大声でまりしゃを呼びながら、まりしゃの前を横切る。
きょろきょろと辺りを見回すが、まりしゃのいる地面には敢えて顔を向けない。
そのままこっそりと視線だけをずらし、まりしゃの様子を盗み見る。

「………!!………!!」

すると、まりしゃはまた動きを活発化させていた。
おきあがりこぼしのように左右に激しく揺れて、何か叫ぼうとしているが、断固無視だ。

「返事がない…ここにはいないのかー…他を探すのかー…」
「………?!………!?………!?~~~…!!」

そう宣言してから、まりしゃを盗み見たまま踵を返そうとすると、まりしゃが更に懸命に叫ぼうとする。

「いや! もうちょっと探してみるか! なんとなくまりしゃはここにいる予感がする!」
「………!!………!!」(コクコク!)

いい笑顔だぞ。まりしゃ。
じゃあ、もう一度泣こうな。

「まりしゃぁー! お兄さんが嫌いになったのかー!? お兄さん、悪いとこあったら直すからなー!
 だから帰って来てくれー!! お願いだから返事してくれー!!」
「………?!?!~~~っ!!~~~っ!?」

まりしゃが驚きに目を見開いてから、ぶんぶんと顔を左右に激しく振って、叫び始める。
「ちがうよ! ちがうよ! まりしゃはおにいしゃんがだいしゅきだよ!」
俺の妄想込みで翻訳するとそんな事を叫ぼうとしているのか。
嬉しさに笑みが浮かびそうになるのを必死に堪え、真剣な顔でまりしゃを呼びながら、まりしゃの周囲をうろうろする。
勿論、俺がまりしゃの姿に気付く事は無いのだが。

………

「はぁ……返事が無いか……やっぱりここにはいないのか……」

俺は大げさにガックリと肩を落として溜息を吐く。
まりしゃはと言えば、まだ諦めずに、おさげを振り、
「おにいしゃあん! ここだよぉ! まりしゃここにいりゅよぉ!?」
と涙ながらに激しく俺に呼びかけ続けているままだ。

ここで不意にまりしゃの方に顔を向けてみよう。

「………!!!」
「………!!!」

同時に驚きの表情を浮かべる一人と一匹。
そのまましばらく見つめ合う。

「あ…あ……」
「………!!………!!」

俺がよろよろとまりしゃに近づいて行くと、まりしゃの顔に満面の笑みが広がる。
その笑顔に引かれるように、俺は猛ダッシュでまりしゃに向かって走り、まりしゃの前で膝を付いてしゃがみ込んだ。


「おい! おまえ! ウチのまりしゃを見なかったか?!」


「…………??」

俺からの問いかけに、晴れやかな笑顔のまま、まりしゃが凍り付く。

「おまえと同じまりさで、頭には普通の帽子の替わりに牛丼の容器…って言ってもわからないよな…
 こう…四角いお帽子を被っててだな…それが目印なんだ! 目立つからすぐわかると思うんだ!
 なあ、どっかで見なかったか?! 俺の大切なまりしゃなんだ!」

ゆっくり同様にお飾りが無いと個体識別ができないお兄さんという設定だ。
些か餡子脳が過ぎるが、ゆっくりにはわかりやすい設定だろう。

「……?……?………?!………!!~~~~!!」

俺の"誤解"を察知したまりしゃが、再び涙を浮かべながら、叫び出す。
おさげをUの字型に丸めて、先端で自分自身を指し示し、
「まりしゃがまりしゃだよおおぉ?!」
と猛烈にアッピールしているが、当然ながら気付かないフリで流す。

「そうか…知らないか……やっぱりこの辺にはいないのかなぁ…
 …昨日ここでな…まりしゃと会ったんだ……だからここに来れば…もう一度会えると思ったんだけどな…
 なんだろうな…そんなに俺の事が気に入らなかったのかな…だから逃げちゃったのかな………」

まりしゃが先程のように、顔を激しく左右に振る。
おさげで自分自身を指差し、次いで、俺を差す。

まりしゃは…おにいしゃんが…

そして、おさげを器用に曲げてハートマークを描いた。

だいすきだよ、っと。

ははは、ありがとう! 俺も大好きだよ! まりしゃ!
スルーするけどね!

「え…? そんな事ないって…? 慰めてくれるのか…お前は優しいな…
 はは、ごめんな。変な話聞かせて…
 なあ…おまえ…ウチの飼いゆっくりにならないか……?
 まりしゃの替わり…なんて言ったら怒るか…?」

俺からの誘いに、まりしゃは首?を縦にも横にも振らずに固まっている。
このまま俺にお持ち帰りされれば、実質的には元鞘だ。
しかし、まりしゃにしてみれば、「まりしゃ」は捨てられて、別の「まりしゃ」を飼われる事になる。
心中は複雑だろう。
葛藤して笑顔と泣き顔を行ったり来たりしているのを見ていると思わず噴きそうになるが、じっと我慢だ。

「そうか…お前もイヤか…ごめんな。今の話は忘れてくれ。
 …あ、そうだ。これやるよ。甘い物、好きだろ?」

そう言って、ポケットに忍ばせておいた鯛焼きを取り出し、
半分に割って餡子の詰まった頭の方をまりしゃのすぐ目の前に置いてやる。
昨夜の晩飯を最後に何も食っていないし、今日は一杯泣いたからさぞや腹が減っているだろう。
まりしゃの目も鯛焼きに釘付けだ。

「じゃあな」
「?!………!?~~~っ!!~~~~っ!?」

まりしゃに別れを告げて立ち上がると、まりしゃが慌てて俺の姿を目で追う。
俺が立ち去ろうとしている事に気付き、また涙を浮かべて何か叫ぼうとしている。
俺はそんなまりしゃの泣き顔がよく見えるよう、手を振りながら、じわじわ後退してその場を立ち去った。


  ◇ ◇ ◇


まりしゃの前から姿を消した後は、巧みに物陰を利用して隠れながら、先程までいた植え込みに戻って来た。
そのまま、まりしゃの観察を続ける。

「………」

俺の姿が見えなくなっても、ずっと俺が消えた方向を向いて何やら叫ぼうとしていたまりしゃだったが、
ようやく落ち着いたようだ。
呆然とした表情で、目の前に落ちた鯛焼きを見つめている。

「………」

少しして、まりしゃが体をぐぐっ…と伸ばして鯛焼きに口を"付けた"。
本当にすぐ目の前に置いてやったので、頑張れば届く距離なのだ。
ただし、口は開かないままである。
まりしゃの口の辺りがポコッと膨らみ、舌を伸ばしているのがわかるが、
唇が鯛焼きの餡子を舐めるばかりで、まりしゃの舌には何の味も伝わって来ないし、腹が膨れる事もない。
暫く虚しい行為を繰り返した後、ぽたぽたと、鯛焼きの上に大粒の涙が落ちた。
まりしゃはぷるぷると身を震わせながら、鯛焼きの皮が涙でふやけて行くのをじっと見つめている。

うんうん。うんうん。
俺はそんなまりしゃを見て、一人満足げに頷く。

よーし、お次はこれだああぁ!

リュックから取り出したのは、ピンク色の素敵なお帽子。
昨夜ドンキのペット用品コーナーで調達して来た、れみりゃ用のお帽子だ。
人間が作った縫製品ではなく、お帽子採取用に飼育されているれみりゃから採った本物だ。
これを被れば、あっという間に俺もれみりゃに変身。
ただし、ゆっくり相手限定だが。

ガサガサ…
「……?」

植え込みが揺れる音に、まりしゃが音のした方向にやや虚ろになった目を向ける。
次の瞬間、その目がにょきっと飛び出した。

「うー!! れみりゃだどー☆ こーまかんのおぜうさまだどー!」

まずは自己紹介。

「おぜうさまはおなかすいたんだどー! たまにはゆっくりがたべたいんだどー!」

それから簡単に状況説明をしながら、意気揚々とまりしゃに近づいて行く。
まりしゃはと言えば、早速おそろしーしーを漏らし始めたようだ。
流石の捕食種効果。
でも怖がるのはこれからだぞー! まりしゃ!

「おぜうさまは、ゆっくりまりさが、いちばんのこうぶつなんだどー!
 とくに これっくらいの こどもまりさが、たべごろなんだどー!」

のっしのっしとまりしゃの周りを練り歩きながら、両手でまりしゃサイズの球体を描いてみせる。

「なかでも、ぼうしをなくしちゃったやつなんか、さいっこうなんだどー!
 ゆっくりできてないから、とってもあまくなってるんだどー! うー☆」

よーし、段々ノってきた。
ちょっと恥ずかしいけど、れみりゃダンスも踊っちゃおう。

「うっうー! うあうあ♪
 えれがんどなおぜうさまは、おりょうりもとくいなんだどー!
 ゆっくりはたっぷりいためつけると、さらにおいしくなるんだどー!」

「うー! まず歯はしょっかんがわるいから、ぜんぶとっちゃうどー!
 いしをくちのなかにいっぱいにつめこむんだどー!
 そしたらかみのけをもって、べちんべちんとじめんに叩きつけるんだどー!
 これで歯はぽっきぽっきおれるんだどー!」

「つぎは木の枝であんよをブッ刺すんだどー!!
 ぶすっぶすっって、あんよがボロボロのぐっちゃぐちゃになるまで、何度も何度も刺すどー!
 おぜう様はかりすまシェフだから、死なないように最っ大限に痛めつけてやれるんだどー!! うー!」

「次は目玉をお料理するどー! 目の中に指を突っ込んで、こう…! 目玉を摘んでぇ…!
 そしたら目玉をゆっくりゆーっくりぎゅうううううぅって潰して…! ぷちぃっっ!! ゆぎゃあああぁ!!
 ゆふ…ゆふふ…! 潰した後はそのまま指で目の穴掻き混ぜて餡子とぐっちゃぐちゃに混ぜてやるぞおぉぉ!!
 ……やるんだどー!」

ふう…!
どーだ、まりしゃ!? お兄さんの迫真のかりすま演技は!
怖かっただろー!?

さぞやパニックに陥って、なんとか逃げ出そうと暴れてるに違いないと思いつつ、まりしゃに視線を向ける。
だが、まりしゃは思いの外、大人しかった。

少し潰れた饅頭のように平たくなって身を低くし、固く目を瞑ってブルブルと震えている。
あまりに激しく震えるので、表面の饅頭皮がゼリーか何かのようにぷるんぷるんと波打って揺れている程だ。
しーしーの穴からはチョロチョロと断続的に砂糖水が漏れている。
どこからか、カチカチと言う音が聞こえてくるのは、歯が鳴っているのだろう。

お…?
いつもは顔の横に垂れ下がっているおさげがまりしゃの頭の上に乗っているな。
おさげを指でそっと摘み、パサッと定位置に戻してやると、まりしゃの体がピクッ!と震えた。
黙って様子を見ていると、まりしゃのおさげが動き出し、そろりそろりと、まりしゃの頭の上に戻って行く。
そしてまた、頭の上を横切るような形で、おさげが乗せられた。

もう一度、おさげを戻してやると、再び同じ反応と動きを繰り返す。

………ああ。
…どうやらおさげの下に隠れているつもりのようだ。
ちょっと無理があるぞう…まりしゃ?

まあでも、付き合ってやるとするか。


「うー? …なんだかゆっくりのにおいがするんだどー! ここにゆっくりがいるんだどー!!
 どこだどー? どこにいるんだどー!」
「………」ブルブル、カチカチ

「うー…おかしいんだどー…まちがいなくゆっくりがいるはずなんだどー!
 でもみあたらないんだどー…」
「………」ブルブル…

「わかったどー!! きっと隠れてるにちがいないどー!
 えれがんとでかりすまあふれるおぜうさまからはにげられないんだどー!」
「………!」ブルブルブルブル、ガチガチガチ

「うー…? これはなんだどー? 下になんか隠れてるんだどー? ちょっとどかしてみるどー…」

まりしゃの頭の上のおさげをパサッと払い落とすと、
一瞬、跳ねたのかと思う程に、まりしゃの体がビクッと大きく震えた。

俺は、地面に這いつくばって、まりしゃのすぐ目の前に顔を寄せると、そのまま息を殺して待ち続ける。
時々しーしーが顔にかかるがここは我慢だ。

「…………」ブルブルブルブル、ガチガチガチ、チョロロロロ…

「…………」ブルブルブル、カチカチカチ、チョロ…

「………」ブルブル、カチカチ

「……?」

たっぷり10分は待ったであろうか。
まりしゃが、おっかなびっくりで、そろーっと目を開けた。

勿論、その目に映ったのは、れみりゃに扮した俺の顔だ。

「うー☆ おいしそうなゆっくりみつけたんだどー!! がおー!! 食・べ・ちゃ・う・ぞおおぉ!!!」
「───!?!? ☆%▲◇#?@──!?!?」

まりしゃの体がびょろーんと、のーびのーびをしたように一気に跳ね伸びた。
ぷっしゃーと噴き出したしーしーが顔に直撃し、俺を怯ませるが、まりしゃの恐慌は止まらない。
まるでルーレットのように、せわしくなく目玉が縦にグルグルと流れて回り、白目と黒目が交互に現れる。

グルグルグル……チーン

白目が左右二つ揃って回転が止まった所で、まりしゃの口の隙間から餡子色をした泡がブクブクと漏れてきた。


  ◇ ◇ ◇


「…………、………!?!?……?……??」

気を失っていたまりしゃが目を覚ました。
不思議そうに辺りを見回している。
一方の俺はと言えば、再び植え込みに隠れ、準備万端整えてまりしゃの目覚めを待っていた。

今、俺が被っているのは、赤いりぼんの付いた白いお帽子。ふらん帽だ。
これもドンキで買ってきた。
「なりきりふらんちゃんお洋服(男性用)」も売ってたので、買おうかどうしようか迷ったのだが、
なんとなく越えてはいけない一線のような気がしたので、やめておいた。
その替わりと言うわけではないが、ふらんの羽根とれーばていんをボール紙で自作して来た。
羽根についてるアレは、材料のういろうが手に入らなかったので折り紙で代用したが、なかなかの出来映えだ。

ふっふっふっ…れみりゃであれだけの怯えようだ。
上位捕食であるふらんだったら…
うわあああぁぁ!? ヤバい!! まりしゃ、急性非ゆっくち症で死んじゃうかも?!
まりしゃぁ…お兄さん…まりしゃのこと、絶対忘れないからな…ぐすっ…さあ行くぞ~

………ん?

あれ? ふらんってどんな喋り方だったっけ…?
えーと…取りあえず入りは「うー!!」でいい…よな…?
でもって…おぜうさまは…ぷっでぃ~ん……いや、そっちじゃない。
あんまり実物見る機会無いからなぁ…んーー………(5分経過)………あ! そうだそうだ。思い出した。

さあ今度こそ行くぞ! まりしゃ!

こ れ で ト ド メ だ ! !


「うーーっ☆」

俺はれーばていんを振りかざし、元気良く一声叫ぶと、植え込みを飛び越えて公園の広場に躍り出る。
そして、思い切り息を吸い込み、あらん限りの大声で叫んだ。


「もげろおおおお! おにいいさんの(ユックチ!)んこもげろおおおお!!!!  もげっ……!?」


「…………」
「…ろおぉぉ………うー…………☆」


果たして、いつからそこにいたのだろうか。
まりしゃを差し挟んで俺の向かい側には、イヤそ~な顔をしてこちらを見ているお巡りさんがいた…


  ◇ ◇ ◇


「ほどほどにね」
「ずびばぜんでじだ………」

頭を下げ、立ち去るお巡りさんを見送る。

「職質-凄惨」
そんなタグが付きそうな程、ねっちり濃厚な職質を受けた後、

  • 人が少ないとはいえ、公の場で不穏当な言葉を叫ばないでね
  • あんまり大声で騒いでると迷惑だしね
  • あと、あんまりペットをいじめないであげてね

という三本立てで更にたっぷりとお小言を頂戴する羽目になった。

叱られている最中に、まりしゃがあんまり可愛かったのでつい悪戯をしてしまっだんでずと正直に話をしたところ、
どうやらお巡りさんもゆっくりを飼っている人らしく、
あーわかるわかる、反応が可愛くてちょっと意地悪したくなりますよね~
という言葉が返ってきた。
そこから先はなんとなくほわんとした空気になり、お陰でお小言も少な目で済んだ。
やっぱりゆっくりを好きな人同士、わかりあえるなぁ…
俺、ゆっくり好きで良かったわ…

まりしゃの口とあんよの細工に気付かれたら、もっとお小言が長くなってた気がするが、
幸い、俺のふらん姿を一目見たまりしゃがすぐに気を失っていたお陰で、その事は露見せずに済んだ。


「はあ…もうこんな時間か…」

時計を見て溜息を吐く。
そろそろ学校の終わった小学生達が遊びに来る。潮時だな。
まりしゃの口に塗った接着剤を剥がし液で落とすと、まりしゃを揺すって起きろと呼びかけた。


  ◇ ◇ ◇


「ゆええええん!! もーぐもーぐ! ごわがっだよおおおぉぉ!!! むーしゃむーしゃ!
 おにいしゃああああん!! しあわしぇええぇー!」

回収した鯛焼きを食べながら、大声で泣くまりしゃ。
あんよの方はこの場ですぐには戻せないので、俺が腕に抱きかかえて運んでいる。
飛び散った食べかすが服に付くが、まあ、しゃーないか。

「おにいしゃんひぢょいよおおぉぉ!? まりしゃずっどたじゅげでーっでいっでだのにいぃ!!」
「すまんすまん。でもまりしゃも悪いんだぞ?
 お持ち帰りお帽子さんをなくしちゃうから、まりしゃだってわからなかったよ」
「まりしゃのせいじゃないよおおぉぉ!? いぬしゃんがとっちゃったのおおぉぉ!!」

今、責められているのは、まりしゃの前に姿を現した時に気付いて助けなかった廉でだ。
その前に物陰から黙って見ているだけで助けなかったのは、他人の空似という事で誤魔化した。
あと、そもそもまりしゃがあんな事になったのは、まりしゃが見たふらんに攫われてやられたっぽいって事にしておいた。
ふらんちゃんゴメンネ! まあ、ある意味嘘じゃないしいいよね!
人間が聞いたら些か無理のある嘘だが、疑いもせず俺を信じているまりしゃはやっぱり可愛い。

「そうなのかー。じゃあ、ほら、新しいお持ち帰りお帽子さん買ってやるから。な? だから泣きやめ」

まだ昼飯を食ってなかった事だし、牛丼弁当で遅い昼食を取る事にしよう。

「ゆぐ…? ほんと…?」
「ああ。ほんと、ほんと」
「ゆ…ゆう~♪ まりしゃのおもちかえりおぼうししゃん…!」

はは、泣いたまりしゃがもう笑った。現金だなぁ。

「ゆ~ん♪ …しょうだ! おにいしゃん! まりしゃとあしょんでね!
 まりしゃとたくさんあしょんでくれるってゆったよ!」

おやおや。
あんなにたっぷり遊んであげたのに、まだ足りないのかな? 仕方のないまりしゃだ。

「おっし! いいぞ! たっぷり遊んでやるぞ!」
「ゆわーーい!!」

まりしゃが満面の笑顔を浮かべる。
俺の 可愛い まりしゃ。


ふふふ…今度はどんな楽しい事をして遊ぼウか? な、まりしゃ?




おわり



==========

あとがき

ここまで読んでいただけたかはわかりませんが、
初めての方は初めまして。そうでない方はお久しぶりでございます。
お説教されたいあきと申します。

前作ではお騒がせして申し訳ありませんでした。
かなり遅くなってしまいましたが、この場でお詫びさせて頂きます。
自分が雑食性で何でも読むタチなので、タグとか注意書きとかつい疎かになりがち&遊んでしまいました。
そのせいで不快な思いをさせてしまった方は申し訳ありません。以後、気を付けるよう心がけます。
擁護してくださった方、それに、ちょっと落ち込んでた時に挿絵をくださった36番あきさん、AQNあきさん、
大変励みになりました。本当にありがとうございました。


最近、お仕事が忙しくて書く時間がなく、4月になってようやく余裕が出てきたので書いてみたのですが、
元々遅い筆が更に遅くなってましたとさ…
のんびりゆっくり書いて行きたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。


これまでに書いたもの

anko315 『たくすぃー』
anko433 『ゆっくりで漬け物』
anko502 『ただ一つの』
anko572 『えーき様とお義母様』
anko621 『「餡子ンペ09」ゆっくりの電車』
anko751 『「餡子ンペ09」れいむ、俺の為に赤ちゃん産んでくれ』
~anko753
anko768 『ゆっくり達のクリスマス』


挿絵:にとりあき

挿絵:にとりあき

挿絵:

タグ:

お説教されたいあき 挿絵
「anko1547 まりしゃと遊ぼう!」をウィキ内検索
LINE
シェア
Tweet

[Amazon商品]


ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
記事メニュー

メニュー

  • トップページ
  • anko0001~0099
  • anko0100~0199
  • anko0200~0299
  • anko0300~0399
  • anko0400~0499
  • anko0500~0599
  • anko0600~0699
  • anko0700~0799
  • anko0800~0899
  • anko0900~0999
  • anko1000~1099
  • anko1100~1199
  • anko1200~1299
  • anko1300~1399
  • anko1400~1499
  • anko1500~1599
  • anko1600~1699
  • anko1700~1799
  • anko1800~1899
  • anko1900~1999
  • anko2000~2099
  • anko2100~2199
  • anko2200~2299
  • anko2300~2399
  • anko2400~2499
  • anko2500~2599
  • anko2600~2699
  • anko2700~2799
  • anko2800~2899
  • anko2900~2999
  • anko3000~3099
  • anko3100~3199
  • anko3200~3299
  • anko3300~3399
  • anko3400~3499
  • anko3500~3599
  • anko3600~3699
  • anko3700~3799
  • anko3800~3899
  • anko3900~3999
  • anko4000~4099
  • anko4100~4199
  • anko4200~4299
  • anko4300~4399
  • anko4400~4499
  • anko4500~4599
  • anko4600~4699

特集

  • 餡小説シリーズ物
  • 餡小説ランキング300
  • 餡小説ランキング200
  • 餡子ンペ10夏
  • 餡子ンペ10春
  • 餡子ンペ09

タグ

  • タグ一覧
  • 挿絵

Mobile版

  • ゆっくりいじめMobile



検索 :



合計: -
今日: -
昨日: -
トップページの合計: -



ここを編集
記事メニュー2

作者別

  • 紅玉あき
  • あるあき
  • ウサミミ薬局あき
  • 嘘あき
  • エルダーあき
  • 汚あき
  • おおかみねこあき
  • 大きく振りかぶったあき
  • 横着あき
  • 長あき
  • おさげあき
  • お受験あき
  • お説教されたいあき
  • 蜜柑あき
  • 化学あき
  • かすがあき
  • 神奈子さまの一信徒
  • カルマあき
  • 観察あき
  • 気ままあき
  • キーガー・フレテール
  • キャンセルあき
  • 教授あき
  • 久城あき
  • 九郎
  • ゲームあき
  • 公民あき
  • こうもんあき
  • 米印
  • コンバートあき
  • 式神あき
  • 児童文学あき
  • 支配人マッド
  • 術式あき
  • 小五ロリあき
  • 職あき
  • 触発あき
  • 絶対あき
  • 台詞あき
  • 代償あき
  • 蛇足あき
  • チートあき
  • 徒然あき
  • 帝都あき
  • TXTあき
  • 鉄籠あき
  • テンタクルあき
  • 天然あき
  • D.O
  • とおりすがりあき
  • 取り立てあき
  • ドナルドあき
  • 長月
  • ナナシ
  • 二行
  • 肉骨粉あき
  • ぬちゃぬちゃあき
  • 農業あき
  • のるまあき
  • バーサスあき
  • 鋼あき
  • 暴露あき
  • 八手あき
  • バニラあき
  • 羽付きあき
  • ばや汁あき
  • ハンダゴテあき
  • 一言あき
  • 必殺引篭り人
  • 兵庫あき
  • 古本屋
  • ブレあき
  • ぺけぽん
  • HENTAIあき
  • ポマギあき
  • ポールあき
  • マーラーあき
  • マンネリあき
  • 無価値あき
  • 麦茶あき
  • めーりんあき
  • 藪あき
  • やまめあき
  • ヤリまむあき
  • ユグルイあき
  • ゆらいあき
  • ゆンテリアあき
  • 余白あき
  • 終正あき
  • 六人
  • ○○あき
  • 4byte

ここを編集
人気記事ランキング
  1. 餡小説ランキング300
  2. 餡小説ランキング200
  3. 徒然あき
  4. 餡小説シリーズ物
  5. D.O
  6. anko4600~4699
  7. anko4400~4499
  8. カルマあき
  9. anko0001~0099
  10. anko0923 家出まりさの反省
もっと見る
最近更新されたページ
  • 4117日前

    ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー
  • 4412日前

    ゆっくりいじめMobile
  • 4422日前

    コメント/ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー
  • 4436日前

    メニュー
  • 4440日前

    anko4600~4699
  • 4440日前

    anko4666 巻き戻し、再生。
  • 4440日前

    anko4665 選ばれし走りゆたちの祭典
  • 4442日前

    anko4664 せーがvs楽しいゆっくり一家
  • 4442日前

    anko4663 ものれいむ
  • 4445日前

    anko4662 ゆっくり村に春が来る
もっと見る
「挿絵」関連ページ
  • No Image anko1639 ゆっくりしていってね!yuukaさん!
  • No Image anko1890 一緒に遊ぼう
  • No Image anko1871 しあわせ
  • No Image anko2772 大人のゆっくり
  • No Image anko2235 れいむへの愛情
  • No Image anko2445 ワンス・アポンナ・タイム・イン・ニジウラシティ(後編)
  • No Image anko1883 すないぱーうどんげ養成所の最終試験 その3
  • No Image anko1774 どうしてこうなった!?
  • No Image anko1785 ゆうかにゃんはアイドル
  • No Image anko2169 鏡に映ったその人は
人気タグ「D.O」関連ページ
  • No Image anko0394 ゆっくりちるのの生態
  • No Image anko1507 楽しい黄金週間
  • No Image anko2521 ゆっくりが農業について学んだようです
  • No Image anko0357 都会の雨さんもゆっくりしてるね
  • No Image anko0591 ゆっくりしたハロウィンさん
  • No Image anko1363 野良も色々
  • No Image anko3421 塵の生涯
  • No Image anko3000 anko3000をお知らせします
  • No Image anko2522 仲良くしろよ
  • No Image anko2184 森の消毒
もっと見る
人気記事ランキング
  1. 餡小説ランキング300
  2. 餡小説ランキング200
  3. 徒然あき
  4. 餡小説シリーズ物
  5. D.O
  6. anko4600~4699
  7. anko4400~4499
  8. カルマあき
  9. anko0001~0099
  10. anko0923 家出まりさの反省
もっと見る
最近更新されたページ
  • 4117日前

    ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー
  • 4412日前

    ゆっくりいじめMobile
  • 4422日前

    コメント/ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー
  • 4436日前

    メニュー
  • 4440日前

    anko4600~4699
  • 4440日前

    anko4666 巻き戻し、再生。
  • 4440日前

    anko4665 選ばれし走りゆたちの祭典
  • 4442日前

    anko4664 せーがvs楽しいゆっくり一家
  • 4442日前

    anko4663 ものれいむ
  • 4445日前

    anko4662 ゆっくり村に春が来る
もっと見る
ウィキ募集バナー
新規Wikiランキング

最近作成されたWikiのアクセスランキングです。見るだけでなく加筆してみよう!

  1. MadTown GTA (Beta) まとめウィキ
  2. R.E.P.O. 日本語解説Wiki
  3. シュガードール情報まとめウィキ
  4. GTA5 MADTOWN(β)まとめウィキ
  5. SYNDUALITY Echo of Ada 攻略 ウィキ
  6. ガンダムGQuuuuuuX 乃木坂46部@wiki
  7. ドタバタ王子くん攻略サイト
  8. ありふれた職業で世界最強 リベリオンソウル @ ウィキ
  9. パズル&コンクエスト(Puzzles&Conquest)攻略Wiki
  10. MADTOWN @ ウィキ
もっと見る
人気Wikiランキング

atwikiでよく見られているWikiのランキングです。新しい情報を発見してみよう!

  1. アニヲタWiki(仮)
  2. ストグラ まとめ @ウィキ
  3. ゲームカタログ@Wiki ~名作からクソゲーまで~
  4. 初音ミク Wiki
  5. 機動戦士ガンダム バトルオペレーション2攻略Wiki 3rd Season
  6. 検索してはいけない言葉 @ ウィキ
  7. Grand Theft Auto V(グランドセフトオート5)GTA5 & GTAオンライン 情報・攻略wiki
  8. 発車メロディーwiki
  9. 英傑大戦wiki
  10. SDガンダム ジージェネレーションクロスレイズ 攻略Wiki
もっと見る
全体ページランキング

最近アクセスの多かったページランキングです。話題のページを見に行こう!

  1. 魔獣トゲイラ - バトルロイヤルR+α ファンフィクション(二次創作など)総合wiki
  2. 参加者一覧 - MadTown GTA (Beta) まとめウィキ
  3. 参加者一覧 - ストグラ まとめ @ウィキ
  4. ロスサントス救急救命隊 - ストグラ まとめ @ウィキ
  5. Lycoris - MadTown GTA (Beta) まとめウィキ
  6. サーヴァント/一覧/クラス別 - Fate/Grand Order @wiki 【FGO】
  7. ララァ・スン - アニヲタWiki(仮)
  8. 掲示板(時限)/ジークアクス - 機動戦士ガンダム バトルオペレーション2攻略Wiki 3rd Season
  9. 十王星南 - アニヲタWiki(仮)
  10. ロスサントス警察 - ストグラ まとめ @ウィキ
もっと見る

  • このWikiのTOPへ
  • 全ページ一覧
  • アットウィキTOP
  • 利用規約
  • プライバシーポリシー

2019 AtWiki, Inc.