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anko3855 ゆっくりと会話してみた
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ankoss
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いじめ 小ネタ 現代 失礼します。
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anko2622 ゲスゆっくり奮闘記2
anko3414 ゲスゆっくり奮闘記3
anko3417 ゲスゆっくり奮闘記4
anko3456 れいむのゆん生
anko3458 まけいぬとゆっくり
anko3461 ゆっくりに生まれて
anko3484 ゆっくりブリーダー
anko3489 休日とゆっくり
anko3652 ドスについて
anko3715 ゆっくりに餌を
anko3729 はじめてのぎゃくたい
anko3730 はじめてのしいく
anko3794 まりさとの勝負
anko3843 野球部のゆっくり
「」ゆっくりの台詞
『』人間の台詞でお願いします
誤字脱字失礼します
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anko3729 はじめてのぎゃくたい
anko3730 はじめてのしいく
anko3794 まりさとの勝負
anko3843 野球部のゆっくり
「」ゆっくりの台詞
『』人間の台詞でお願いします
誤字脱字失礼します
『あー、晴れてるなぁ』
そこそこ良い天気の休日の午後。
公園のベンチに、青年がどかっと座って空を見上げていた。
そんなまったりした空気をまとうベンチに、一匹の饅頭が這いよっていた。
赤いリボンに黒髪の、薄汚れた饅頭が。
青年の足元に来た饅頭、ゆっくりれいむはキリっとむかつく表情をして口をあけた。
「にんげんさん、ゆっくりしていってね!」
『…………はぁ?』
声をかけられた青年はそこでやっとれいむの存在に気付いたのか、呆れた顔で空を仰いでいた首を地面に向ける。
そしてそこで見た予想通りの汚饅頭の姿を認識して、良い気分が台無しだと言わんばかりに首を振った。
その様子が気に入らないのか、れいむはムッとした表情を作り再度口を開いた。
「ゆっくりしていってね!」
元気な声ではなく、頭にキンキンと響く嫌な音。
その音は実に人間を不快にさせる、ある種のアンチリラクゼーション。
言葉の内容とは真逆のそれを人にたたき付けながら、れいむは得意げな表情でまたキリッとした表情を見せる。
『…………ちっ』
青年は一瞬れいむを潰そうと考えたようだが、靴がお気に入りのそれだと思い直し舌打ちをした。
そして青年はどうせ暇だし、と考えゆっくり口を開いた。
『なんで?』
「ゆ?」
返事をしてくれると信じきっていたれいむは予想外の言葉にポカンとしていた。
ゆっくりの常識では「ゆっくりしていってね!」には「ゆっくりしていってね!」と返すのが当たり前で当然。
それが出来ないゆっくりは、ゆっくり出来ないゆっくりという最低の汚名を被る事になる。
ゆっくり至上主義のゆっくり界では犯罪者に等しい不名誉だ。
野良ゆっくりのれいむは「にんげん」という物をそれなりに理解していた。
にんげん=ゆっくり出来ないという簡単な図式ではあるが。
それなのに、ゆっくり出来ない人間である青年に声をかけたのさっきまでの青年が実にゆっくりしていたからだった。
〔ゆっくりしているにんげんさん〕だったから、ある程度認めてやり挨拶をしてあげた、それがれいむの思考だった。
それ故、れいむの餡子内では「しょせんにんげんさんは にんげんさんだね ゆっくりできないよ」と見下し思考が始まっていた。
挨拶も返せない奴はゆっくり出来ない、そんなの当然だと言わんばかりに自分たちの常識を押し付けながら顔をしかめる。
そんなことは知ったもんかと、青年はまた口を開く。
『なーんで、ゆっくりしなきゃいけないんだよ、おい』
「はぁ?」
その言葉に今度はれいむが呆れたような、事実呆れた声を出す。
このにんげんさんは一体何を言ってるのだろうか。
ゆっくりし過ぎて餡子が馬鹿になったのだろうか。
れいむはそんなことを考えながら、若干哀れみの感情を込めながら口を開いた。
「あのね、にんげんさん、いい? ゆっくりはね、すっごくたいせつなんだよ、ゆっくりできないとダメなんだよ? りかい、できるよね?」
理論も何もない説明をして、いい気になってる饅頭一匹。
その哀れみの視線を受けても青年は表情を変えず、つまらなそうなどうでも良さそうに口を開く。
『ゆっくり出来ないよダメってことはお前、駄目じゃん』
「ゆ!? なにほざいてるのぉおお!! ゆっくりしたれいむのどこがダメだっていうの!?!?」
まさかの言葉に、れいむは目を見開き歯茎をむき出しにして青年に食ってかかった。
ゆっくりしている自分が、挨拶も返せないゆっくりしてない人間に馬鹿にされた。
許しがたい屈辱だ。そんなことを考えているれいむはギリギリと歯を食いしばり怒りを露にするが。
青年はそんなことは気にしないで、むしろ若干その様子をニヤニヤしながら見て再び口を開く。
『じゃあ、ゆっくりってどんなことだよ? あ、ゆっくりはゆっくりだよ、とか餡子すかすかな台詞はいらんから』
「ゆ!?」
青年に言われてれいむは動きを止める。
ゆっくりというのは決まった形はない概念的物体である。
しかしそれを説明出来るほど、饅頭の餡子は高性能ではない。
餡子の中にあるのは「ゆっくりはゆっくりだよ」の一言である。
それでも無い餡子絞って、れいむは考え口を開いた。
「ゆ、ゆっくり、はなねぇ、おいしいごはんをむーしゃむーしゃすることだよ!」
『でもさ、ご飯とってくるのって疲れない? お前たち風に言えばゆっくり出来ないよな?』
「ゆ?」
必死に出したれいむの答えを、青年は簡単に挫いた。
「ゆゆ、ごはんさんは、ゆっくりしてる、よ?」
『そりゃそうなんだろうけどさ、ご飯取るのってゆっくり出来ないよな? その辺にホイホイある訳でもないだろうし』
「…………」
そう言われてれいむは考える。
普段の狩りの様子、それはこそこそ遠くのゴミ置き場まで這いずって向かい、必死にゴミ袋を破って、人間から隠れながら帰る。
その行為は実にゆっくり出来ない。
ゆっくり出来るご飯を食べるのに、ゆっくり出来ない狩りをする。
ただそれだけの代償と結果のバランスなんだけれど、れいむにはとても不気味に感じられた。
普段は意識もしない、と言うか。
ゆっくり出来ないことは直ぐに忘れてしまうので、意識するに至らないのだ。
それ故に、そこを突かれてれいむの餡子はグルグルと迷宮状態に至っていた。
『な、どうなんよ? ゆっくり出来ないことしなきゃ食べられないご飯って、ゆっくりしてる?』
「…………ゆっくりしてないよ」
れいむは呆然としながら認めてしまった。
そこで青年は続ける。
『じゃあ、お前らのゆっくりってゆっくり出来ないことなんだな、へぇ』
「ち、ちがうよ! かんちがいしないでね! さっきのはたまたまだよ!」
何が〔たまたま〕なのか解らないけど、れいむは妙な言い訳をして慌てふためいた。
『じゃあ、何がゆっくり? ゆっくりって、何?』
「ゆっ! ゆっくりはね みんなでいっしょにおしゃべりしたり あそんだりすることだよ!」
れいむは再びキリっとした表情を見せながら告げた。
しかし青年はあっさり返す。
『お喋り? 遊ぶ? それってさ疲れない?』
「ゆ? ゆっくりできるよ! たのしいよ!」
『いや、そうなんだろうけどさ、終わってから疲れるでしょ? お腹空くでしょ?』
「すくよ! みんなであそんだあとは たくさんむーしゃむーしゃするよ!」
『てことは、狩り、だっけ? するんでしょ』
「するよ! ごはんさんなくなったら ゆっくりできないからね!」
『てことは、ゆっくり出来ない狩りをしなくちゃいけないってことは、ゆっくり出来ないんじゃない?』
「ゆ!?」
青年の誘導的な説明の帰結に、れいむはビクッと身体を震わせ硬直する。
そこに追い討ちをかけるように青年の言葉が降ってくる。
『皆もさ、ゆっくり出来ないことをれいむにさせて喜んでるんじゃない?』
「…………」
れいむはすっかり意気消沈していた。
『それで、ゆっくりって、何?』
「ゆぅ…………ゆ! ゆっくりは、ゆっくりはねぇ!」
れいむは餡子に一筋の光が差したように顔をあげた。
自信に満ちた表情で口を開く。
「ゆっくりはね! けっこんして すっきりー! して おちびちゃんをつくることだよ!」
キラキラ光る目で見つめられた青年は苦笑しながら口を開く。
予想通り過ぎて言葉も出ないと言わんばかりに。
『結婚するってことはさ、違うゆっくりと一緒に住むんだよね?』
「そうだよ! かっこいいしろいスィーのまりさがいいよ!」
『てことは、家が狭くなるでしょ?』
「ゆ? そ、そうだよ?」
『それってゆっくり出来ないんじゃない? 狭い家で、相手を気にしながらなんて。はぁぁ、ゆっくり出来ない』
「で、でも! けっこんしないと すっきりーできないんだよ!」
『そっか、でもそのすっきりーってさ、凄く疲れるんだよ? その辺走り回るよりずっと疲れるんだけど、それってゆっくり出来ないんじゃない?』
「ゆ、ゆぅ、でも、でも、すっきりーしないと、おちび、ちゃんが」
『おちびちゃん、ねぇ……』
青年はどう〆ようか少し考えてから口を開いた。
理論的にか、道筋的にかどちらにするかを考えた。
〔おちびちゃんが増えて、忙しくなり、自分が食べる分も減る、それはゆっくり出来るの?〕
〔家を狭くして、疲れるすっきりーをしてまで出来たおちびちゃんって、本当にゆっくり出来るの?〕
どちらにするか考え、ゆっくりゆっくり口を開いた。
『ねぇ――――』
……。
…………。
………………。
公園に一匹の変わり者のゆっくり出来ないれいむがいた。
美味しいご飯さんの為に狩りをすることもなく、その辺の雑草を食んで。
友達とお喋りして、遊んでゆっくりすることなく、お家の中でじっとしていて。
素敵なゆっくりと結婚して幸せになることなく、ずっと独り身で。
愛し合った相手とすっきりーしておちびちゃんを作ることなく、ずっと子無しで。
ゆっくり出来ないことをすることなく、それなのにゆっくり出来ないで。
そんなれいむがいた。
そこそこ良い天気の休日の午後。
公園のベンチに、青年がどかっと座って空を見上げていた。
そんなまったりした空気をまとうベンチに、一匹の饅頭が這いよっていた。
赤いリボンに黒髪の、薄汚れた饅頭が。
青年の足元に来た饅頭、ゆっくりれいむはキリっとむかつく表情をして口をあけた。
「にんげんさん、ゆっくりしていってね!」
『…………はぁ?』
声をかけられた青年はそこでやっとれいむの存在に気付いたのか、呆れた顔で空を仰いでいた首を地面に向ける。
そしてそこで見た予想通りの汚饅頭の姿を認識して、良い気分が台無しだと言わんばかりに首を振った。
その様子が気に入らないのか、れいむはムッとした表情を作り再度口を開いた。
「ゆっくりしていってね!」
元気な声ではなく、頭にキンキンと響く嫌な音。
その音は実に人間を不快にさせる、ある種のアンチリラクゼーション。
言葉の内容とは真逆のそれを人にたたき付けながら、れいむは得意げな表情でまたキリッとした表情を見せる。
『…………ちっ』
青年は一瞬れいむを潰そうと考えたようだが、靴がお気に入りのそれだと思い直し舌打ちをした。
そして青年はどうせ暇だし、と考えゆっくり口を開いた。
『なんで?』
「ゆ?」
返事をしてくれると信じきっていたれいむは予想外の言葉にポカンとしていた。
ゆっくりの常識では「ゆっくりしていってね!」には「ゆっくりしていってね!」と返すのが当たり前で当然。
それが出来ないゆっくりは、ゆっくり出来ないゆっくりという最低の汚名を被る事になる。
ゆっくり至上主義のゆっくり界では犯罪者に等しい不名誉だ。
野良ゆっくりのれいむは「にんげん」という物をそれなりに理解していた。
にんげん=ゆっくり出来ないという簡単な図式ではあるが。
それなのに、ゆっくり出来ない人間である青年に声をかけたのさっきまでの青年が実にゆっくりしていたからだった。
〔ゆっくりしているにんげんさん〕だったから、ある程度認めてやり挨拶をしてあげた、それがれいむの思考だった。
それ故、れいむの餡子内では「しょせんにんげんさんは にんげんさんだね ゆっくりできないよ」と見下し思考が始まっていた。
挨拶も返せない奴はゆっくり出来ない、そんなの当然だと言わんばかりに自分たちの常識を押し付けながら顔をしかめる。
そんなことは知ったもんかと、青年はまた口を開く。
『なーんで、ゆっくりしなきゃいけないんだよ、おい』
「はぁ?」
その言葉に今度はれいむが呆れたような、事実呆れた声を出す。
このにんげんさんは一体何を言ってるのだろうか。
ゆっくりし過ぎて餡子が馬鹿になったのだろうか。
れいむはそんなことを考えながら、若干哀れみの感情を込めながら口を開いた。
「あのね、にんげんさん、いい? ゆっくりはね、すっごくたいせつなんだよ、ゆっくりできないとダメなんだよ? りかい、できるよね?」
理論も何もない説明をして、いい気になってる饅頭一匹。
その哀れみの視線を受けても青年は表情を変えず、つまらなそうなどうでも良さそうに口を開く。
『ゆっくり出来ないよダメってことはお前、駄目じゃん』
「ゆ!? なにほざいてるのぉおお!! ゆっくりしたれいむのどこがダメだっていうの!?!?」
まさかの言葉に、れいむは目を見開き歯茎をむき出しにして青年に食ってかかった。
ゆっくりしている自分が、挨拶も返せないゆっくりしてない人間に馬鹿にされた。
許しがたい屈辱だ。そんなことを考えているれいむはギリギリと歯を食いしばり怒りを露にするが。
青年はそんなことは気にしないで、むしろ若干その様子をニヤニヤしながら見て再び口を開く。
『じゃあ、ゆっくりってどんなことだよ? あ、ゆっくりはゆっくりだよ、とか餡子すかすかな台詞はいらんから』
「ゆ!?」
青年に言われてれいむは動きを止める。
ゆっくりというのは決まった形はない概念的物体である。
しかしそれを説明出来るほど、饅頭の餡子は高性能ではない。
餡子の中にあるのは「ゆっくりはゆっくりだよ」の一言である。
それでも無い餡子絞って、れいむは考え口を開いた。
「ゆ、ゆっくり、はなねぇ、おいしいごはんをむーしゃむーしゃすることだよ!」
『でもさ、ご飯とってくるのって疲れない? お前たち風に言えばゆっくり出来ないよな?』
「ゆ?」
必死に出したれいむの答えを、青年は簡単に挫いた。
「ゆゆ、ごはんさんは、ゆっくりしてる、よ?」
『そりゃそうなんだろうけどさ、ご飯取るのってゆっくり出来ないよな? その辺にホイホイある訳でもないだろうし』
「…………」
そう言われてれいむは考える。
普段の狩りの様子、それはこそこそ遠くのゴミ置き場まで這いずって向かい、必死にゴミ袋を破って、人間から隠れながら帰る。
その行為は実にゆっくり出来ない。
ゆっくり出来るご飯を食べるのに、ゆっくり出来ない狩りをする。
ただそれだけの代償と結果のバランスなんだけれど、れいむにはとても不気味に感じられた。
普段は意識もしない、と言うか。
ゆっくり出来ないことは直ぐに忘れてしまうので、意識するに至らないのだ。
それ故に、そこを突かれてれいむの餡子はグルグルと迷宮状態に至っていた。
『な、どうなんよ? ゆっくり出来ないことしなきゃ食べられないご飯って、ゆっくりしてる?』
「…………ゆっくりしてないよ」
れいむは呆然としながら認めてしまった。
そこで青年は続ける。
『じゃあ、お前らのゆっくりってゆっくり出来ないことなんだな、へぇ』
「ち、ちがうよ! かんちがいしないでね! さっきのはたまたまだよ!」
何が〔たまたま〕なのか解らないけど、れいむは妙な言い訳をして慌てふためいた。
『じゃあ、何がゆっくり? ゆっくりって、何?』
「ゆっ! ゆっくりはね みんなでいっしょにおしゃべりしたり あそんだりすることだよ!」
れいむは再びキリっとした表情を見せながら告げた。
しかし青年はあっさり返す。
『お喋り? 遊ぶ? それってさ疲れない?』
「ゆ? ゆっくりできるよ! たのしいよ!」
『いや、そうなんだろうけどさ、終わってから疲れるでしょ? お腹空くでしょ?』
「すくよ! みんなであそんだあとは たくさんむーしゃむーしゃするよ!」
『てことは、狩り、だっけ? するんでしょ』
「するよ! ごはんさんなくなったら ゆっくりできないからね!」
『てことは、ゆっくり出来ない狩りをしなくちゃいけないってことは、ゆっくり出来ないんじゃない?』
「ゆ!?」
青年の誘導的な説明の帰結に、れいむはビクッと身体を震わせ硬直する。
そこに追い討ちをかけるように青年の言葉が降ってくる。
『皆もさ、ゆっくり出来ないことをれいむにさせて喜んでるんじゃない?』
「…………」
れいむはすっかり意気消沈していた。
『それで、ゆっくりって、何?』
「ゆぅ…………ゆ! ゆっくりは、ゆっくりはねぇ!」
れいむは餡子に一筋の光が差したように顔をあげた。
自信に満ちた表情で口を開く。
「ゆっくりはね! けっこんして すっきりー! して おちびちゃんをつくることだよ!」
キラキラ光る目で見つめられた青年は苦笑しながら口を開く。
予想通り過ぎて言葉も出ないと言わんばかりに。
『結婚するってことはさ、違うゆっくりと一緒に住むんだよね?』
「そうだよ! かっこいいしろいスィーのまりさがいいよ!」
『てことは、家が狭くなるでしょ?』
「ゆ? そ、そうだよ?」
『それってゆっくり出来ないんじゃない? 狭い家で、相手を気にしながらなんて。はぁぁ、ゆっくり出来ない』
「で、でも! けっこんしないと すっきりーできないんだよ!」
『そっか、でもそのすっきりーってさ、凄く疲れるんだよ? その辺走り回るよりずっと疲れるんだけど、それってゆっくり出来ないんじゃない?』
「ゆ、ゆぅ、でも、でも、すっきりーしないと、おちび、ちゃんが」
『おちびちゃん、ねぇ……』
青年はどう〆ようか少し考えてから口を開いた。
理論的にか、道筋的にかどちらにするかを考えた。
〔おちびちゃんが増えて、忙しくなり、自分が食べる分も減る、それはゆっくり出来るの?〕
〔家を狭くして、疲れるすっきりーをしてまで出来たおちびちゃんって、本当にゆっくり出来るの?〕
どちらにするか考え、ゆっくりゆっくり口を開いた。
『ねぇ――――』
……。
…………。
………………。
公園に一匹の変わり者のゆっくり出来ないれいむがいた。
美味しいご飯さんの為に狩りをすることもなく、その辺の雑草を食んで。
友達とお喋りして、遊んでゆっくりすることなく、お家の中でじっとしていて。
素敵なゆっくりと結婚して幸せになることなく、ずっと独り身で。
愛し合った相手とすっきりーしておちびちゃんを作ることなく、ずっと子無しで。
ゆっくり出来ないことをすることなく、それなのにゆっくり出来ないで。
そんなれいむがいた。