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  • anko4022 死因:不慮の事故

ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー

anko4022 死因:不慮の事故

最終更新:2012年01月25日 03:46

ankoss

- view
管理者のみ編集可
『死因:不慮の事故』 44KB
不運 日常模様 飼いゆ 野良ゆ 赤ゆ 現代 うんしー ぺにまむ タイトル通りのお話ですよ?

死因:不慮の事故

 ※元ネタとなった小説があります







 れいむの飼い主は古いゼンマイ仕掛けのおもちゃを集めるのが趣味だ。そのほとんどが郷愁溢れる昭和初期の、
あるいは古き良きアメリカンテイストいっぱいの、ブリキ製――いわゆるティン・トイと呼ばれるものだ。
 なにしろ古いものなので、中には動かないものもある。だが、ゼンマイ歯車クランクといった秀逸なローテク
の集合体は、自分の手で直すという楽しみ方もあるのだと飼い主は笑っていた。



「…ゆっくりできないよ」

 れいむはつぶやいた。
 仔ゆっくりの時期を過ぎ、成体になる手前のハンドボールほどの大きさのれいむだった。
 飼い主のお兄さんの住む部屋は、わりと年期のいったアパートの1階だ。

「おにいさんがいないとさびしいよ。れいむ、ゆっくりできないよ…」

 ミニキッチンと6畳間。作り付けのクローゼットとパイプベッド、半畳サイズにも満たないミニテーブル。シ
ンプルな部屋だった。
 部屋の壁一面に組み上げられたメタルラックと、そこに飾られた呆れるほどたくさんのおもちゃ、ラックの一
角に据えられた防湿庫以外は。

「……ゆんっ」

 れいむは床に転がったボールに軽くぶつかってみた。ぽんぽんと軽く弾んで転がったボールは、テーブルの脚
にぶつかり、明後日の方向へ跳ねていく。
 このボールはれいむ種専用のおもちゃで、『ゆっくりはねるよ!おんみょーだま!』という名の製品だ。れい
むがまだ仔ゆっくりのころに、お兄さんが買い与えてくれたものだ。
 ゼンマイじかけで不規則な軌道で転がるこのボールを、小さなれいむは目を輝かせて追いかけていたものだ。





 あるとき、このボールが動かなくなった。何の事はない、歯車がずれていただけのことだったのだが、れいむ
――当時はれいみゅ――は、
「れいみゅのおんみゅーだましゃんぎゃしんじゃっだぁぁぁぁぁ!」
 と、泣きわめいた。

 明日新しいのを買ってあげるよ。お兄さんはそう言ったのだが、れいみゅは厭がった。

「やじゃやじゃやじゃぁぁぁぁぁっ! このおんみょーだましゃんでなぎゃやじゃぁぁぁぁぁっ! れいみゅの
たがらもにょなにょぉぉぉぉぉぉっ!」

 一般にゆっくりは所有の概念を理解しないが、独占欲が強く、占有物に執着する。れいみゅも御多分に洩れず、
同種同様のものではなく、そのものを欲しがった。
 なのでお兄さんは頑張った。結果から言うと、お兄さんは自力で分解修理をやり遂げた。

「ゆわぁぁぁ! おんみょーだましゃんゆっくちー! ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」

 れいむは理解していないが、お兄さんがゼンマイと歯車に魅了されたのは、確かにこのときだった。





 お兄さんはゼンマイじかけのおもちゃを集め始めた。動くものはもとより、動かないものも蒐集しては、自分
で修理するようになった。お兄さんは凝り性だった。
 そのうち誰かに見てもらいたくなり、ブログを始めた。そうすると携帯のカメラでは飽き足らなくなり、デジ
カメを買ってきた。いわゆるコンデジというやつだ。
 するとすぐに画質に満足ができなくなって、デジタル一眼を奮発した。おもちゃの細部をアップで撮りたくな
り、高価なマクロレンズに大枚を張り込んだ。
 良いカメラとレンズを手に入れれば、被写体にもいっそうこだわりが出る。おもちゃの蒐集にも熱が入った。
 レトロなコレクション。一眼レフ。どちらも趣味としては泥沼化しやすい部類である。

 れいむのことをおざなりにしているつもりは、お兄さんにはない。事実、晴れた暖かい休みの日には公園に遊
びに連れて行く。そして芝生で跳ね転がるれいむと、樹木の梢にとまる小鳥を撮るために、白い超望遠ズームレ
ンズのローンを組んだ。
 毎日風呂にも入れてやっている。餌は『それなりー味』ではあるが、ゆっくりの飼い方として、これはむしろ
それが正解だ。
 れいむが床に置かれたおもちゃで怪我をしないためにメタルラックを組み上げた。うっかりレンズに触ったり
しないようにするために防湿庫も導入した。
 お兄さんが今までろくに趣味を持たなかったことも、泥沼化に拍車をかけた。

 お兄さんにとって、れいむ――ペットを飼うこと――は、日常の一部だった。ことによると飽きて止めてしま
うかもしれない趣味にするつもりはなかった。日常ならば、多少扱いがぞんざいになる日もあるが、止まずに続
いていく。

 れいむのためのおもちゃを買い足さない理由は、かつてれいむがれいみゅだった頃に、新しいおもちゃを厭が
ったためだ。お兄さんはかつての一件をそう解釈していた。
 誤解であり、すれ違いである。
 もっとも、れいむのほうも「あたらしいおもちゃがほしいよ」などとは言わなかったのだが。

 ゆっくりは独占欲が強く、占有物への執着が強い。

 そのころには既に、れいむはおもちゃが好きではなくなっていた。





「…ゆっくりしてないよ。あのおもちゃさんも、このおもちゃさんも…」

 テーブルの上に珍しく置きっぱなしの、新しいおもちゃさんを見上げて、れいむはつぶやく。
 そのおもちゃは、大きな歯のおもちゃだ。総入れ歯に足が生えたようなおもちゃを見たことがあるだろうか。
まさにそれが、テーブルに鎮座している。

 れいむは昨夜の会話を思い出す。



「ゆぅ~ん。おにいさんおかえりなさい! ゆっくりしていってね!」
「ああ、ただいま、れいむ」

 お兄さんはベッドの上に仕事用の鞄と、大きな紙袋を置く。

「ゆゆ? おにいさんそれはなに?」
「見るか? おもしろいぞ」

 紙袋から出てきたのは、れいむと同じくらいの大きさの、足のついた歯、だった。

「ゆ、ゆ、ゆっびゃぁぁぁぁぁぁっ! おばげぇぇぇぇっ! おぐぢのおびゃげだぁぁぁぁぁぁ! ゆんやああ
あああああっ! ごわいよおおおおおおおおおっ!」
「こらうるさい! 近所迷惑だからわめくな!」
「ゆひぃぃぃぃぃ……なんなのごれぇ……」
「こんなに大きなサイズは滅多にないんだぞ。しかもこれは跳ねるタイプじゃなくて歩くタイプなんだ」

 ハンドボールよりやや大きいくらいの総入れ歯を想像すると分かりやすいだろう。その総入れ歯の下側に短い
足が生えていて、入れ歯の大きさに見合った大きなスニーカーを履いている。靴底には転倒防止のコの字の補助
板が取り付けられていて、片足でも安定して立っていられるようになっていた。
 よくあるのは、ねじをまくと上下の歯をカタカタと噛み合わせながら、その反動で跳ねる用に動くタイプのも
のだろう。だがお兄さんが持ち帰ったそれは、歯車とバネで上下の歯の開閉を行い、左右独立して突きだした足
を、やはり歯車で交互に動かして歩くようになっていた。素材もよくあるプラスチックではなく金属製だ。

「そんなのどうでもいいよ! ゆっくりできないよ!」
「おまえたちだって妖怪化した饅頭が生物化したものだっていう説もあるのに」
「やべでねっ! こっちにむげないでねっ! ぢがづげないでねぇぇぇぇぇっ!!」


 その後すぐにれいむは自分の部屋――某通販の段ボール――に逃げ込んでしまった。

「ちかづけないでねっ! れいむぷくーっ!するよっ!」

 なので飼い主がどのくらいその『歯』をいじっていたかは知らない。
 バネを交換しなければ、確かそんなことを言っていた気がする。
 思い出すだにゆっくりできない。



「ゆっ、くりっ、できっ、ないっ…よおっ!」

 おんみょーだままで跳ねていったれいむは、そのまま体当たりをおんみょーだまに食らわせた。
 さっきのがじゃれあいなら、いまのは相手を殺す勢いの一撃だ。
 八つ当たりを受けたおんみょーだまが結構な勢いで跳ね飛んだ。テーブルの天板のカドに当たってさらに高く
跳ねる。

「ゆう?」

 放物線を描いて落ちた先は、メタルラックに飾られたおもちゃのひとつ。ぶつかったひょうしに戻りきってい
なかったゼンマイが回り、ピンクのキャデラックが動き出す。棚板を30センチ縦走した先の二階建てロンドン
バスに追突。押し出されたバスは、れいむが勝手に食べないよう、メタルラックに押し込まれていた餌の袋に激
突する。微妙なバランスで直立していた餌袋が、ガサリと倒れ、開いた口から中のフードがこぼれでる。

「ゆゆっ! ごはんさん!」

 キャデラックと衝突した後のおんみょーだまの行方は、フローリングの床でバウンドしてから、テーブルの上
へ。狙ったように。そうなるのが決まっていたように。テーブルに鎮座するチャタリーティースに落下して、も
ろともにテーブルから転げ落ちた。

「ゆゆっ! おにーさんはこんなところにごはんさんをかくしていたんだねっ!」

 ザラザラと袋からこぼれ落ちるフード。その真下の棚板には、半分がたはみ出るように無造作に積み重なった
カメラ系マガジン誌。棚板からはみ出た側に、砂時計のように小山を築き上げるフード。
 鹿威しに水が満ちるように、ついに均衡は破られる。積み上げられたフードの重みを支えきれなくなった雑誌
は、地球の引力に身をゆだねた。落ちた先は壁に立てかけられた三脚が。雑誌はフードをまき散らしながら三脚
に激突し、三脚は弾かれたように過たず――

 窓へ。

 部屋中にガラスの割れる音が響く。

「ゆひぃっ! びびびびっくりしたよっ! おっきなおとをださないでねっ!」

 こぼれ落ちたフードをむさぼり食っていたれいむは飛び上がった。もみあげをわさわさと膨らませて抗議する。

「れいむをびっくりさせるなんてまどさんはいじわるだねっ! それになんだかさむいよっ! ちゃんとれいむ
をゆっくりさせ…て……ね?」

 中庭に面したサッシの窓は大きく割れて、寒気が遠慮なく流れ込んでくる。
 れいむは叫んだ。

「どぼぢでまどざんわれでるのおおおおおっ!」

 目を見開きもみあげを膨らませ大口を開けたまま、どのくらい固まっていただろうか。

「ゆぶるるるるっ! さむいよっ! まどさんはゆっくりしないでなおってねっ! れいむさむいよっ! かわ
いいれいむがさむいさむいなんだよっ! ……どぼじでなおっでぐれないのおおおっ!」

 鳴けど叫べど。そもそも人の手によらずして、ゆっくりの望みが叶うことはない。

「ゆううううう……。ゆっ! そうだよ! れいむはれいむのおへやにはいるよ! ここならぬーくぬーくだよ
っ!」

 もぞもぞと移動して、段ボールの『おへや』にもぐり込むれいむ。使い古したタオルを敷いた箱の中は、確か
にフローリングの床よりはましだ。
 すでに室温は外気と変わらなくなっているが。

「どぼぢでおへやざんのながまでさぶいのおおおっ!」

 箱の中でゆぎゆぎゆんやーとわめいていると、窓の外から、初めて聞く声がした。

「ずいぶんおおきなおとがしたんぜ。だれかいるのかぜ? いないならまりさがおうちせんげんするけどいいん
だぜ?」
「だっ、だめーっ!だよっ! ここはれいむのおうちだよっ! れいむとおにーさんのおうちだよっ!」

 れいむは大慌てで段ボールの『おへや』から飛び出した。れいむの主観的には風のような速さで、10秒ほど
かかって割れた窓の前まで走った。もみあげをまるで通せんぼでもするように広げて、上下にぱたぱたと振る。

「れいむ、ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね! ちがうでしょおおお! まりさはれいむのおうちにはいらないでねっ! どこかに
いってねっ! ゆっくりしないでかえってねっ!」
「このまどさんはれいむがわったのぜ? かいぬしさんがおこるのぜ」

 窓の外には野良ゆっくり――まりさがいた。薄汚れてはいるものの、野良にありがちな嫌悪を催すような汚ら
しさはない。

「れ、れいむまどさんをわったりしてないよっ! かってにわれたんだよっ! ゆっくりりかい――」
「まどさんはかってにわれたりしないのぜ。おちびちゃんでもしってるのぜ。れいむはうそつきなのかぜ? う
そつきはゆっくりしてないんだぜ」
「れいむうそつきじゃないいいいいっ! まどさんはかってにわれたんだよぉぉぉっ!」

 れいむの退去要請は完全に無視しておいて、れいむの弱みをまず指摘する。れいむの主張――餡子脳きわまり
ないが――を封殺して、嘘つきでゆっくりしていないというレッテルを貼る。

「でもにんげんさんはれいむがわったとおもうにきまってるのぜ。きっとおこられるのぜ。ごはんさんぬきなの
ぜ。たくさんいたいいたいもされるのぜ」
「お、おにーさんはそんなことしないよっ!」
「どんなにやさしいにんげんさんでもおいたをしたゆっくりにはやさしくないのぜ」
「ゆひぃ」

 その上で、お前の未来は斯くも不幸だと決めつける。

「……すてられるかもしれないのぜ? つぶされるかもしれないのぜ?」
「い……いやだよっ! れいむそんなのいやだよっ!」

 すでにれいむの中には、来るべき不幸をいかに回避するか、という思考しかない。
 当然ながらその後にあるのは、解決する術は我にあり、という提案の姿をした強要だ。

「……まりさに……まりさにいいかんがえがあるのぜ」
「おしえてねっ! すぐでいいよっ!」
「そのまえに、そこのごはんさんをもらうのぜ」

 まりさは、おさげを使って器用にこぼれたフードを示して見せた。

「だめだよ! これはれいむのごはんさんだよっ!」
「……べつにまりさはいいんだぜ? ところで、れいむはくさったおやさいさんはたべれるのぜ?」
「れいむごみさんなんかたべないよっ! ばかにしないでねっ!」
「ばかになんかしていないのぜ。すてられたゆっくりはくさったおやさいさんをたべていきるのぜ。くさったお
やさいさんをたべれないのらは…しぬのぜ」

 険のある口調で、まりさは言う。

「いっ、いやだよっ! れいむえいえんにゆっくりしたくないよっ!」
「そこのごはんさんをもらうのぜ」

 まりさのこの言葉で、一方的な交渉は終着を迎える。

「ゆぅぅぅ……しかたないよ」
「じゃあちょっくらおじゃまするのぜ」

 古今、どれほどの数のゆっくりが、目の前のわずかな『ゆっくりできない』ことを厭って、より致命的な愚行
を犯してきたことだろう。
 どれほどの数のゆっくりが、しかたがないの一言で、人間の逆鱗に触れてきたことだろう。

 野良ゆっくりとの接触、会話。餌を分け与える。あまつさえ人家に招き入れる。どれも飼いゆっくりの禁忌と
なるものばかりだった。










「……まりさ…むーしゃむーしゃしたらかえってね」
「むーしゃむーしゃ、おもってたのとちがってそれなりー」

 まりさは帽子に詰め込めるだけフードを詰め込んだ。それでもまだこぼれたフードは余っていて、今は腹の中
に詰め込めるだけ詰め込もうとしている最中だ。
 れいむは、お兄さんがいつ帰ってくるだろうと思うと、気が気でなかった。あと寒いし。
 早くまりさの言う『いいかんがえ』を知りたかった。寒いし。

「まっ、まりさっ! もういいでしょぉっ!? もういいよねっ! ゆっくりしないでおしえてねっ! そした
らかえってねっ!」
「……うるさいんだぜ。ほんとにかいゆっくりなのかぜ。ちっともゆっくりしてないのぜ」
「ゆぅぅぅぅぅぅぅっ! れいむをばかにしないでねっ! れいむはきんばっぢさんなんだよっ! えらいんだ
よっ! かしこいんだよっ!」
「しんじられないんだぜ。まあいいのぜ」

 ごっくん、とフードを飲み込み、まりさはれいむに向きなおった。

「ゆっくりよくきくのぜ。しつもんはあとなのぜ。りかいしたのぜ?」
「ゆっ! ゆっくりりかいしたよっ!」

 れいむ、もみあげをぱたぱたとさせながら。型どおりのれいむの返事に、ほんとかよとばかりに醒めた視線を
まりさは送る。

「れいむしかいないおへやでまどさんがこわれてたら、にんげんさんはれいむがまどさんをこわしたとおもうの
ぜ」
「れいむこわしてないよっ!」
「…………」

 餡子脳が勝手に反論するれいむ。
 まりさはわずかに笑みを浮かべたままれいむに近づいた。

「れいむ?」
「なあに、まりさ」
「しばらくだまってまりさのいうことをきくんだぜこのくされまむまむあほれいむ!」
「ゆひっ! ま、まりさ? ゆっくりしてね?」

 まりさは人間で言うところのこめかみのあたりをヒクつかせながら、器用に歯をかみしめたままどすを利かせ
る。

「れいむしかいないおへやでまどさんがこわれてたら、にんげんさんはれいむがまどさんをこわしたとおもうの
ぜ。おもうんだぜ」
「れっ……ゆっくりりかいしたよ!」
「じゃあにんげんさんがかえってきたときに、れいむとまりさがいたら、にんげんさんはどうおもうのぜ? ゆ
っくりかんがえるのぜ」
「ゆう? ゆーん……ゆーん………」

 れいむは体をうねうねと揺らした。頭をひねる、ということらしい。

「ゆーん……ゆっ! そうだよっ! おにいさんはれいむにあまあまをくれるよっ!」
「やっとわかっ……なんでそうなるんだぜえええええええっ!」

 まりさは自分の中で何かがぶっつり切れる音を聞いた気がした。
 突っ込みの体当たりにも力が入るというものだ。

「ゆべぇっ! ゆびぃぃぃぃっ! かわいいれいむのおかおがいだいよおおおっ!」
「おへやのなかにしらないのらがいたら、にんげんさんはなんだってのらのせいにするにきまってるのぜ! な
んでそんなこともわからないんだぜ! このくされうんうんあんこ!」
「ゆんやあああああああっ! いだいよおおおおおおおおっ!」

 れいむは聞いていない。
 目を三角にしてまりさは怒鳴る。

「だからまりさはにんげんさんがくるまでここでゆっくりするのぜ! ごはんさんもたんまりもらうのぜ! そ
のかわりまどさんをわったのはまりさにしてやってもいいのぜ! とうかこうっかんっ!なのぜ! わかったら
おちびちゃんみたいになくのはやめるんだぜ!」

 上がり込んで餌をせしめたなら、そのまま逃げればいいものを、妙なところで律儀なところのあるまりさだっ
た。
 だが、れいむはそれどころではない。体当たりで突き飛ばされ、床に顔面をしこたまぶつけたのだ。
 痛くて悲しくて、すごくゆっくりできなかった。

「……ゆっぐ、ゆぐぅぅぅ……どぼぢで……れいむなんにもわるいことしでないのに……」

 床に顔面を押しつけ、ぐずぐずとすすり上げる。嫌々をするように尻をふりふりと振りつつ涙を流した。

「……まったく、れいむはほんとうにおちびちゃんなのぜ」

 背を向けて泣くれいむを見ていたまりさは、呆れたように言う。そして、れいむの背後からゆっくりと近づい
ていく。

「……まあ、まりさもおこりすぎたのぜ。すーりすーりしてやるからなくんじゃないのぜ。すーりすーり」
「……ゆぐぅ……ゆゆっ」
「ほら、すーりすーり」

 まりさはれいむにゆっくりの親愛の情を示す行為である、すーりすーりをしてやった。
 仔も成体も関係なく、ゆっくりはこの『すーりすーり』がことのほか好きだ。ことによると例の挨拶より好き
だという説もあるという。
 泣いていたれいむに、ゆっくりした笑顔が戻る。

「ゆふふっ、まりさぁ、くすぐったいよぉ」
「すーりすーり」
「ゆぅん、それにれいむはおかおがいたいいたいなんだよ?」
「すぅーりすぅーり」
「ゆあんっ、そこはおしりだよぉ、まり……ゆえええええっ! まりさなにじでるのおおおおっ!」
「すぅぅぅぅぅぅりぃすぅぅぅぅぅぅぅりぃぃぃぃぃぃぃっ!」

 親愛の情を示す行為であると同時に、それは少しハードにやれば生殖活動にもなる。
 ありす種に限らず、ゆっくりは性欲が強い。詰まるところ、ゆっくりが『すーりすーり』をひたすら好むのは、
それが擬似的な性行為だからと言える。生まれた直後の赤ゆっくりですら、この疑似性行為をひたすらヤリたが
るあたり、ゆっくりというシロモノの業の深さを表していると言えるだろう。
 れいぱー化したありすが、赤ゆっくりや仔ゆっくりを犯す際にお決まりの『うまれたばかりなのにいんっらん
っ!なのねぇぇぇぇぇぇっ!』という鳴き声。あれはれいぱーありすの思い込みでも何でもなく、紛れもない事
実だ。

「すぅぅぅりすぅぅぅりすぅぅぅりすぅぅぅりすぅぅぅりすぅぅぅりすぅぅぅりすぅぅぅりぃっ!」
「やめてねっ! やめでねっ! いやだあああああああっ!」
「うるさいんだぜ! しんっぴんっ!のまむまむみせつけながらおしりをふーりふーりしてたれいむがわるいん
だぜ! ふゆさんがくるからすっきりー!できなくてまりさたまってるのぜ! がまんできないのぜ! ごはん
さんなんかあとまわしなのぜ! おとなしくすっきりー!させるのぜ!」
「そんなのれいむしらないよおおおおおっ! やべでえええええっ! れいむまだばーじんさんなのにいいいい
いっ!」

 ジー

「いいことをきいたのぜ! れいむのばーじんさんはまりさがもらってやるのぜ! ありがたくぶちこまれるの
ぜ! ゆほぉいっ!」
「ゆひいいいいいっ! れいむのまむまむがいっぱいだよおおおっ!」

 ジー
 カタカタ ジー カッ

「ゆへへ、いいのかぜ? いいのかぜ? いっぱいあまいおしるさんがあふれてるのぜ!」
「ゆはああああああん! はげしいよおおおお! もっとゆっくりやさしくしてええええ!」
「ゆぐほぉ! きゅんきゅんしまるのぜっ!」

 ジージー
 カッカッカッ カツッ

「ゆはぁっ! ゆひぃっ! まりさのぺにぺにおっきいよおおおお! ゆへえええっ! いやだあああああまた
おっきくなったあああああ!」
「ごくっじょうっ!なのぜえええっ! れいむのまむまむさいっこうっ!なのぜええええ! もっとしめるんだ
ぜええええっ!」
「ゆんやああああ! ぐーりぐーりしてるううう! れいむのまむまむかきまわされてるうううう! やべでえ
えええええええっ!」

 ジージー ガー カタカタカタカタッ
 カッカッカッ ギー ガガッ ジー ガツッ

「……ゆぁぁぁん? なんなんだぜさっきからうるさいんだぜ! もうすぐふぃにっしゅ!さんなんだから…し
ず……か………」

 体の上半分だけを振り向かせたまりさは見た。

「……なに……ごれ……?」

 大きく開いた巨大な口。口だけ。
 まりさの顔よりも大きく開かれた上下の歯。その中にはキチキチキチキチと回る歯車。

 一瞬の後、噛み合わされる上と下。
 まりさは右のまぶたの上から口の下まで、一気に噛みちぎられた。

「ゆ?」
「ゆくぅっ! ゆっくぅぅっ! れいむもうだめええええええ!」

 同時にまりさは達した。れいむの中にたっぷりと放った。

「ゆっひぃぃぃぃぃっ! すっきりー!」

 まりさは声が出ない。出せない。
 なにがおこったの? このおくちはなに? なんでこのおくちは……なにかをたべてるの?
 なにか? なにかってなに? あまあまのにおいがするよ? あれ? あんこさん? ゆへ? あんこさんっ
てなにそれあんこさん? あんこさんまりさあんこさん?
 処理が追いついていない。れいむとつながったぺにぺにからは極上の快楽が流れ込んでくる。その一方で顔の
右半分は、もはや冷たいとすら感じるほどの――

 激痛。

 ガタガタと体が震える。
 はらりと帽子が落ちた。ひさしの部分が大きく噛みちぎられている。

 そのことすら気にならないほどの――

 激痛。

 ギー ガガッ ジー
 がばあ、と開いた口の中に、ぞんざいに咀嚼された――白玉の目。

「ゆっ、ゆぎ――」

 まりさは悲鳴を上げようとして――その瞬間、再び大きく開いた口がまりさを捕らえた。
 頭のてっぺんからあんよにかけて、最初の咬み傷全体を覆うように、がっぷりと。
 恐ろしい力で口を動かすことを封じられた。

 声が出せない。

 一息に噛み切られた一撃目とはうって変わって、じわりじわりと、ゆっくりにすらゆっくりしすぎと思えるほ
どに緩慢に――

「ゆぶっ…ぎゅ……ご……」
「ゆひぃぃぃぃ! ぶるぶるしてるぅぅぅぅぅ! まりさのぺにぺにぶるぶるしてるぅぅぅぅぅ! ゆはあああ
あああん! いやだあああああああまだおっきくなるのおおおおおお!?」

 小麦の皮に歯が食い込む。ぎりぎりと食い締める。ぶちり、と音がした。皮のなけなしの抵抗をあっさり突き
破って、中身の餡子に歯が刺さる。

 じわり、と。
 歯が進む。

 また、じわり、と。
 噛み裂かれる。

「――ゅ……」

 喰われてる。

 ことここに至ってようやくまりさは認識した。
 自分は喰われている。喰い殺されようとしている。

 痛い。
 痛い。
 嫌だ。
 嫌だ。痛い。嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死に
たくないしニたくなイしニたクナなイシニたクナいシニタクナイシニタクナイ!

 まりさは全身をよじる。傷口から中身を飛び散らせながら。食らいついたソレをふりほどこうと必死に。
 必死に。

 まりさは逃げたかった。なんとしても逃げ出したかった。
 だが、噛み裂かれ喰いつかれ、中身の餡子を大きく失った体は思うようには動かない。さらには体の一部はい
まだにれいむとつながったままだ。

 にげるよおおおおおまぢざはにげるんだよおおおおおはなじでねはなじでねええええええはなぜごらああああ
このばかでいぶまむまむをしめるなあああああああああまぢざがうごけないでしょおおおおおおおおお

 必死に。
 滑稽なくらいに。必死に。

 だが――

 ゆっくりの必死は、必定の死、だという。

 ギー ガガッ ジー ガツッ

「――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

 長い長い時間をかけて、ゆっくりと、だが確実に、歯が噛み合わされた。

 まりさのただ一つ無傷で残る左目から、滂沱と涙が流れる。大きく開いた傷口からも、ぼとぼとと餡子がこぼ
れ落ちる。

 ぐったりと、まりさはれいむの尻にもたれかかった。まりさの惨状に気づきもしないれいむは、まりさを食い
締めたまま、ゆはんゆはんとあえいでいる。

 体の半分を喰いちぎられ、中枢餡にも損傷を受けたまりさは、もはや動くことも声を上げることもできなかっ
た。

 じねぇ……まりざをだずげないげすなでいぶは……ゆっぐりじねぇ……

 唯できることは、残った目玉にありったけの呪詛を込めて睨むこと。
 だがそれも――

 まりさの視界の片隅に、大きく口を開けて迫る歯が映った。
 目玉だけを動かして、まりさは見た。

 ……わ………わらうなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!













「ゆはっ! ゆゆっ! ゆ~ん? ゆぅ、れいむ、すーやすーやしちゃってたよ!」

 レイプされ、望まぬ快楽に突き落とされ、恥辱にまみれた眠りかられいむは目覚めた。
 少なくとも当のれいむの認識ではそういうことになっている。

 れいむの額には、その快楽の結晶が実を結んでいた。

「……ゆう、れいむ、もうばーじんさんじゃなくなったんだね……おかーさんになったんだね」

 れいむの額から生えた緑の茎には、七つ実ゆっくりが成っていた。れいむが四つに、まりさが三つ。ゆうゆう
とゆっくりした寝息をさせ、ゆうらりと揺れている。

「……ゆん! もんっだいっないよっ! みんなかわいいかわいいれいむのかわいいかわいいおちびちゃんだよ
っ! れいむゆっくりそだてるよ! おちびちゃん! ゆっくりしていってね!」

 うっすらと涙さえ浮かべてれいむは高らかに宣言した。
 そうなのだ。何も問題はない。れいむはかわいいし、おちびちゃんはとってもゆっくりしている。まりさはげ
すだけど。
 飼い主のお兄さんが何と言うかだけ気になるが、れいむはまりさに無理矢理すっきりー!された被害者なのだ。
そのれいむが健気に、おちびちゃんはれいむがそだてるよ!と言えば、お兄さんだって許してくれる。
 それはもう決まったことなのだ
 そんなことは最初から決まっているのだ。

「おちびちゃんはれいむがひとりでそだてるよ! げすなまりさはでていってね!」

 堂々たるしんぐるまざー宣言。最高のドヤ顔を貼り付けて、れいむは振り返った。

「……ゆへ?」

 思っていたのとだいぶ違う光景があった。
 まりさがいない。いや、いる。まりさのおぼうしがある。
 あっちこっち破れてちっともゆっくりしていないが。

 なのにまりさはいない。
 いや――

 ――いた。

 おぼうしの下でひしゃげている黒い餡子と泥水をかぶったような金髪、汚れた肌色の饅頭皮の混合物。
 ぎょろりとひん剥かれた一つだけの目玉は、光をなくしてうつろに天井の隅を睨む。体はざっくりと半分がた
削り取られている。ちぎれかけた舌が、でろりとなめくじのように垂れていた。
 その向こうに、お兄さんのおもちゃがいた。そこかしこに、まりさの中身であった餡子をこびりつかせ、カタ
カタと歯ぎしりをしている。

「……ゆひっ!」

 驚かないわけがない。
 ついさっきまで己の身を後ろから貪り尽くしていた相手が、無残な屍を晒しているのだ。だが――

「ゆんっ! やったよ! げすなまりさがせいっさいっ!されたよっ!」

 ほんの数秒前、れいむはまりさをゲスと断じた。シングルマザーを僭した。その瞬間、れいむの中ではまりさ
の位置づけは地の底まで落ちている。故にそれは、共に仔を成した番ではなく、駆逐すべき障害である。

 驚くには値しない。
 野生として人の目の届かぬところに居ようが、野良として人の目から逃れて居ようが、ペットとして人に飼わ
れて居ようが、バッヂが何色だろうが。その本質は同根である。刹那の今現在しか認識できない救いようのない
自己愛。
 ゆっくりとはそういうモノだ。

 ゆっくりは同族の死体から発せられる死臭をことのほか嫌う。もちろんこの時、れいむもまりさの死臭を嗅ぎ
とっている。本来なら餡子を吐き出しかねない勢いで不快を訴えるはずだ。

「れいむにひどいことをしたまりさはそこでしんでねっ! ゆゆっ! そういえばもうしんでるねっ! れいむ
うっかりー!」

 だが、ゲスが死んだのならその証である死臭はもはや『ゆっくりできるモノ』である。

 お前だってあれほど気分出して頑張ってただろうが、と。まりさなら言ったかも知れない。

 上機嫌で這いずって、れいむはまりさのそばまで移動した。
 露出したまりさの死体に、れいむは己の尻を向けるように、仰向けに転がった。

「れいむのせいっすいっ!をあげるよっ! ゆゆ~んすっきりー!」

 ゆっくりの餡子は何がきっかけで劣化を始めるかわからない。それはまた、どんなことでも劣化のきっかけに
なるということだ。
 季節ごとに行われるバッヂの更新試験で失敗した金バッヂ個体が、悪いのは自分を甘やかした飼い主だと罵る
光景を見た人も多いだろう。それはもちろん、劣化しているが故の失格であることが多い。だが、決して少なく
ない割合で、運悪く失格したことをきっかけに、一気に劣化した個体が含まれている。
 そして、野良と番って仔を成すという行為。それは、過程と結果の如何を問わず、劣化のきっかけとしては十
分に過ぎる。
 そしてひとたび劣化が始まれば、とどまることがない。等速ではなく等加速で堕ち続けるのだ。

 れいむとて、排泄は決まったトイレでするもの、その程度は覚えている。まだ覚えてはいる。
 ゲスに仕返しをする。それが先決というだけのことだ。

 おそうじ? かいぬしのおしごとでしょ?

 排泄の快感にぷるぷると震えながら、れいむは銅バッヂすら剥奪される、野良同然の振る舞いを終えた。
 そこでようやく、目の前に飼い主のおもちゃがいることに気づく。

「ゆゆっ! ………ゆふふっ! そうっ!なんだねっ! そういうことなんだねっ! れいむわかったよ! か
しこくってごめーんねっ!」

 少しだけ考えるフリをして、れいむは破顔した。なにしろ考えるまでもないことだから。

「れいむのだんなさんになりたいんだねっ! でもだめだよっ! おまえとじゃみぶんがちがいすぎるんだよ
っ! ゆっくりりかいしてねっ!」

 既に同族にすら役立たずと揶揄される一般的なれいむ種程度まで劣化した餡子脳が言葉を紡ぐ。

「ゆぅ~ん! こんながらくたさんにまできゅうっこんっ!されるなんて! れいむのびぼうっ!はつみつくり
すぎるよぉぉぉ!」

 得意満面自画自賛。

「でもれいむしってるよっ! まりさをせいっさいっしたのはがらくたさんだねっ! ほめてあげるよっ! ご
ほうびにおちびちゃんをみせてあげるからねっ! かんしゃしてねっ! たくさんでいいよっ!」

 れいむは額から生えた茎と、そこに実る我が仔たちを見せつけるように、ゆっくり左右に揺らす。

 おちびちゃんすっごぉくゆっくりしてるよぉぉぉぉ!

 感涙を浮かべて、れいむはうっとりと目を閉じた。
 と――その瞬間。

「ゆ? ……ゆっくりうごけないよ? いったいどうなっ……て…………ゆああああああああああああああああ
ああっ!」

 額から生えた茎が何かに引っかかって動けない。訝って目を開けたれいむが見たもの。
 それは――

 作り物の歯が茎に噛みついている。茎の半分以上がその口の中に消えていた。

「ゆああああああああああっ! やべでねっ! やべでねっ! おちびちゃんをはなしてねっ!」

 れいむは一瞬で恐慌状態に陥った。しゃにむに後ろに引っ張って抜き出そうとする。
 必然として――

「おちびちゃん! いまたすけるよっ! ゆんっ!」

 竹串に刺した焼き鳥を歯でしごくようなものだ。
 ぷちりぷちりと、実ったばかりの実ゆっくりが落ちる。

「ゆんせっ! ゆふう! やっとぬけたよっ! おちびちゃんゆっくりしていっ…………おぢびぢゃんがあああ
ああああああああああああっ!」

 絶叫するれいむを嘲笑うかのように、カタカタと歯を噛み合わせる。口の中の実ゆっくりが歯車とバネに巻き
込まれる。
 ぷちゅり、という柔らかいものがはぜる音と、ぴっ、という小さな鳴き声。まだ口をきける段階にない実ゆっ
くりの断末魔だった。

「うばああああああああああああああああっ!」

 身も世もなく泣き叫ぶれいむ。滂沱と涙を流すれいむの眼前で、実ゆっくりが咀嚼されていく。ジージーとゼ
ンマイの音をさせながら。

「やべでっ! やべでえええええええええええっ! おぢびぢゃんをだべないでえええええええっ!!」

 ゆっくりにあるまじき速さで、れいむは駆け寄る。ぐいぐいと体を押しつけて、なんとかして口を開かせよう
と頑張るが、

「ゆあああああああああああああ! どぼぢでごんなごどずるのおおおおおおおおおおっ!」

 ゆっくりの望みが人の手を煩わせることなく叶うことはない。
 れいむが泣き叫ぶあいだにも、ぴぃ、ゆぴっ、と――小さな断末魔が起こる。

 我が仔を救い出すべく徒労を繰り返すれいむ。すると、ぎりぎりと歯車を軋ませ、閉じていた歯が開いた。原
型を想像できる程度の絶妙な潰しかたをされた実ゆっくり。その中に、一つだけ無傷なままの実れいむがあった。
 養分である餡子の供給を絶ちきられ、此の世の終わりのような――終わりなのだが――苦悶の表情を貼り付け
ている。

「おちびちゃんはれいむがまもるよっ!」

 れいむは舌を伸ばし、その実れいむを取り出そうとする。

「おかーさんのおくちにはいっ……いあいいいいいいいいいいいいいっ!」

 伸ばした舌に噛みつかれる。ぎりぎりと噛みしめられる。

「いあいいいいいいいっ! えいうほひははああああああああああっ!」

 れいむの舌が、と言いたかったらしい。壮絶なディープキスをしながらでは、さすがにゆっくりといえど上手
くは喋れないのだろう。
 それは、まりさに強引にぶち込まれたときのような、快感の萌芽を秘めた痛みではない。ただただ純粋な激痛
だ。れいの体が勝手にびちびちと跳ねる。両のもみあげを限界まで膨らませ、これ以上ないという速さでびこび
こと振る。
 れいむができることはそれだけだ。茎を噛まれたときのように強引に引き抜くなど、できるわけがない。

「いあいっ! いあいいいいいいいいいいいっ! はがひええええええええええええっ!」

 やがて、がちり、と――

「いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」

 その半ばほどまで、れいむの舌は噛み切られた。

「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 れいむはほとばしるほどの涙を流した。絶叫した。穴という穴から汁という汁を垂れ流す。
 だが、転げ回ることだけはしなかった。

 母性が強いと――れいむ種から――言われるれいむ種が故か、腐っても元は金バッヂの矜持か。
 額の茎には根元の方に、れいむとまりさがまだ一つずつぶら下がっているのだ。

「ゆぐっ……ゆぎぃ……」

 カタカタカタ

 ゆっくりできない音に振り向く。ゆっくりできないがらくた、が嗤う。口の中には雑に潰された実ゆっくりだ
ったものと、れいむの舌先、そして――
 未だ無傷の実れいむ。
 雫ほどの涙を流し、黒ずみ始めている。

「れいぶのおぢびだんがあああああああああああああああああああっ!!」

 れいむとて、茎から落ちてしまった仔が助からないことぐらいは分かる。そのぐらいの知識はある。だがゆっ
くりとは感情まかせのシロモノだ。
 れいむは思わず駆け寄ると、短くなった舌を伸ばす。さすがに足りないと思ったか、両のもみあげをも差し伸
べる。無論、ただ何となく動くだけの、ゆっくりのもみあげやおさげに、何かをつかんで持ち上げるなどという
芸当ができるわけがない。
 れいむ種やまりさ種に見られるもみあげやおさげは、主に親の意に染まぬ仔を叩いて折檻するための器官だ。

 短くなった舌の寸前で、がちりと歯が閉じる。

「がえぢでっ! れいぶのおぢびだんがえぢでっ! がえぜええええええええええ!」

 額の茎を気にして、ぽむぽむという、押しているだけの体当たりを繰り返す。もみあげを振るって、ぺたぺた
と叩く。そのもみあげを――

「ゆひぃっ!」

 喰いつかれた。

 さすがに髪の毛に痛覚はない。痛覚はないが、先の方から少しずつ、がじがじと囓り取られる。目の前に開閉
する上下の歯が迫り、その奥に、すでに黒ずんでしまった実れいむが見えた。

「ゆぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」

 こんなことさえなければゆっくりうまれてくるはずのおちびちゃん。喪失の悲嘆は、ようやく怒りへと変わろ
うとしていた。

「おぢびだんをごろぢだげずはゆっぐりじねええええええええっ!」

 渾身の体当たり。れいむの餡子脳からは、茎に実っている実ゆっくりのことはすっかり抜け落ちている。
 無論、食いつかれたもみあげのこともだ。根元近くからぶっつりとちぎれたにもかかわらず、れいむは体当た
りをやめない。
 横倒しに倒れたその上にれいむは飛び乗り、何度も何度も踏みつけた。幾度か踏みつけたとき、鋼の弾ける音
がした。勢いよく上の歯が180度開く。言ってみればうつぶせにひしゃげた状態になった仇の上で、れいむは
息も荒く勝ち誇った。

「ゆふーっ! ゆふーっ! れいぶのおぢびだん! がだぎはどっだよっ!」」

 そして、のそのそとその上から降りると、転げ出た実れいむの死体にすり寄る。黒ずんだ実れいむをぺろぺろ
となめながら泣き崩れた。

「ぺーろ……ぺーろ……おぢびだんんんんんんんんっ…………」

 れいむはしばらくそのまましくしくと泣き続けていた。

 と、何かの拍子で茎に残った実ゆっくりが、ふるりと震えた。
 何の事はない、実れいむをなめるついでに、その周りにこぼれていた『あまあま』をなめとったこと。それに
よりれいむの体力が回復したこと。七つの実ゆっくりが二つにまで間引かれたおかげで、茎を経由して供給され
る餡子が増えたこと。その相互作用で、実ゆっくりが一回り大きく成長しただけのことだ。

 しかし、れいむは奇跡的に落ちなかった残り二つの実ゆっくりを見上げ、ゆっくりと微笑んだ。
 とはいえ、その表情を母の顔と表現することは、すべての生命への果てしない冒涜だろう。

 れいむは宣言する。

「このおちびだんたちはえらばれたゆっくりだよっ! おちびたんだぢはぜっだいにまもるよっ! れいむがま
もるよっ! だからあんじんじでゆっぐりじでいっでねっ!」

 だがしかし、ゆっくりの望みが人の手を煩わせることなく叶うことはない。

「ゆっくり…おへやにもどるよ……ゆっくりやすむよ……」

 ずりずりと這いずって、部屋の隅の寝床に戻ろうとするれいむ。床に薄い餡子の筋を残して這う。先ほど繰り
出した攻撃によって底の皮が何カ所か傷つき、餡子がにじんでいた。

 れいむが段ボール箱の入り口にさしかかったとき――






 ギィィィィィィィィィィガァァァァァァァァァァァァァアアアアアアア!!!






 咆哮とも言うべき音が響いた。
 びくりと硬直したれいむの背後から、ガシャガシャという音。漏らしながら悲鳴を上げて必死に這いずるれい
む。段ボールの部屋に逃げ込む。
 背後を見ようとした瞬間、あにゃるのそばに焼け付くような激痛が走る。

「いぢゃあああああああああああああああああああっ!」

 前歯で刮げ落とすように削られた傷口から、ぼたりと餡子が落ちる。あり得ない角度で口を開いたヤツが、段
ボールの部屋にその顎門を突っ込んでいた。

「なんでえええええええええっ! どぼぢでしんでだいのおおおおおおおおおっ!」

 死んだのに。殺したのに。殺したはずなのに。
 振り向いたれいむの白玉の目には、すでに明確な悪意を持つバケモノが映っている。ふらん以上の凶暴性と不
死性を持つ、殺戮のためのモンスターだ。そう見えた。

 ガチガチと上下の歯が打ち鳴らされるたびに火花が爆ぜる。その火花が茎の実まりさに飛び、ゆっくりした帽
子を燃え上がらせた。
 火は瞬く間に帽子からきれいな金髪に燃え移る。実まりさは頭が燃える熱さに小さな体をよじり、生まれる前
にもかかわらず必死で逃げようとする。

「うばああああああああああああああっ! きえでねっ! ひさんぎえでねっ! おぢびだんがあづいあづいだ
よぉぉぉぉぉぉぉぉおおおっ!」

 れいむのその望みは叶う。最悪の形で。

「あああああああああああああああああああああああああっ! やべでええええええええええええええええええ
えええええっ!」

 また、額の茎に噛みつかれた。

 いや、茎ではなく、噛みつかれたのは実まりさだ。じゅっ、という消火音がして、実まりさを焼いていた火が
消えた。

「はなぢでぇぇぇぇぇぇぇぇっ! おぢびだんをはなぜええぇぇぇぇえぇええぇぇぇええぇぇぇぇえぇぇっ!」

 知るかよ、と。火を消してやったのに何の文句がある、とばかりに、茎が根元近くで引きちぎられた。焼き饅
頭となった実まりさが噛み砕かれていく。

「ゅ…」

 実まりさのその断末魔は、確かに聞こえた。

「いやだあああああああああああああああああああああああっ! おぢびだんをがえぜえええええええええええ
ええええええっ!」

 れいむは叫んだ。跳ね飛んで、ちぎれた茎の端を咥える。まるで茎をロープの綱引きのように。
 消火の名残の煙を歯の隙間から上げたまま動きの止まったその化け物。れいむは咥えた茎を必死に引っ張った。
最後に残った実れいむは、餡子が流れてこなくなって苦しんでいる。歯を食いしばり顔をゆがませ、ぷるぷると
震えながら涙をこぼしている。
 見た目は愉快な大岡裁きでしかないのだが。

「ゆぐっ! ゆぐううううううううっ! おぢびだんいまだづげるよっ!」

 焼け焦げて強度を失っていたのか、それとも他の理由か。実まりさと実れいむの中間で、ぶちりと茎が切れた。

「ゆべっ!」

 仰向けにごろんと転がったれいむ。だが口にはしっかりと茎が咥えられている。おちびちゃんをたすけたよ、
とばかりに勝ち誇った笑顔を浮かべるが、実れいむから流れ落ちる涙に蒼白となる。
 とりあえず床に下ろした茎つきの実れいむを、馬鹿の一つ覚えの、

「おぢびだんげんきになっでね! ぺーろぺーろ! ぺーろぺーろ!」

 なめ回すが、実れいむは少しずつ黒ずんでいく。

「ぺーろぺーろ! ぺーろぺーろ! おぢびだんどぼぢでげんぎになだないのおおおおっ!」

 ゆっくりの治療、手当はひたすらなめることだ。皮に少し傷がついた程度なら直せるが、事実として怪我をし
たゆっくりは、往々にして体内の餡子を垂れ流してそのまま死ぬ。あるいはなめられている最中にうっかり喰わ
れて死ぬ。
 それ以外の方法としては、人間に助けを求める、というのがある。とはいえその場合も往々にして、人間に一
時の娯楽を与えるだけに終わるのだが。
 だからそのとき、れいむがそのことに思い至ったのは、奇跡的とも言える。

「おぢびだんっ! ぐるじいのっ!? あんござんだりないのっ!? ……ゆ……あんござんっ! あんござん
っ! あんござんっだよっ!」

 れいむは短くなった舌を伸ばして茎をつかもうとする。だが今の長さではまともにつかめない。もう一度口に
くわえる。そして――

「ゆげっ……ゆぶぶぶぶうっ!」

 餡子を吐いた。
 吐き戻した餡子を口の中にほおばる。引き抜かれた茎の端が、れいむの吐いた餡子に浸る。茎を経由した餡子
の供給が再開された。
 実れいむの表情が穏やかになり、皮の色が戻り始める。
 これでおちびちゃんはあんっぜんっだよっ、れいむは思った。
 おにいさんが帰ってくれば、きっとおちびちゃんを何とか助けてくれるから――、と。



 だが、ゆっくりの望みは――

 ガヅンッ

 ――叶わない。

 れいむの視界を上と下から何かが走り抜けた。真ん中でぶつかり、また上下に分かれて戻っていく。

 ふりふりと揺れていた実れいむが、一度小さく、だが激しくふるえた。

 れいむににたおちびちゃんがうんうんしたよっ!れいむはそう思った。茎に残った最後の実れいむから、餡子
の塊が落ちたように見えたからだ。

 実れいむの体の前半分がずり落ちたのだと気づくまでは。

 ずるりと床に落ち、切断面を下にぺちゃりと崩れた実れいむ。落ちたひょうしに小さな目玉の片方が飛び出し
た。餡子の跡を涙のように残して、ころりと転がる。茎に残った後ろ半分からぽたぽたと餡子がこぼれ、小さな
デスマスクにデコレーションを施している。

「あっ……あっ!……ああっ! あああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああっ!」

 口から餡子をだばだばとこぼしながられいむが叫んだ。

「やだああああああああああああああああああああああああっ! おぢびだんっ! れいぶのおぢびだんっ! 
おぢびだんがああああああああああああああああああああああっ!」

 泣き叫ぶれいむの目の前でゼンマイじかけのギロチンがガチガチと嗤う。

「なおっでねっ! れいぶのおぢびだんっ! とくべつっ!のおちびだんっ! げんぎになっでねっ! ゆっぐ
りぢでねっ! なおっでねっ! なおっでねっ! ぺーろぺーろ! ぺーろぺーろ! ぺーろぺーろ!」

 れいむは前後に分かれた仔をなめる。
 此の世の不幸を一身に背負ったかのような、滑稽極まる形相だ。

 床に突っ伏すようにして、半分サイズの一口饅頭をひたすらなめ続けるれいむの正面で、あり得ないほど大き
く口を開いたクロックワーク。
 のし掛かるように、れいむの頭頂部あたりに、

「いぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」

 喰らいつく。

「いだいいいいいいいいいいいいっ! やべでえええええええええええええっ! はなじでえええええええええ
ええっ! れいぶをだべないでええええええええええええええっ!」

 いろんな穴からいろんな物をひり出しながら、びたんびたんとれいむは暴れた。そのさなかに実れいむの死体
にのし掛かり踏みつぶすがお構いなし。
 と、ぎりぎりと締め付けられていた頭の激痛が、ふっと緩んだ。

「ゆうっ! ゆっぐぢにげるよっ!」

 れいむはここぞとばかりに体をひねって死の拘束から逃れ出ようとした。
 にげられたよっ!と思った直後、自慢の髪が歯に絡まった。

「ゆわああああああああんっ! れいむのくろがみざんひっばらないでええええええええっ!」

 ぶちぶちと髪がちぎれる音がする。髪が引き抜かれるたびに頭皮に鋭い痛みが走る。だがれいむは跳ねた。跳
ね続けた。潰れた実れいむの上で跳ね続けた。

「ゆびいいいいいいいいいいいっ!」

 ひときわ大きい、ぶちぃっという音と共に、れいむの髪がごっそり抜けた。

「ゆぎぃ…いだいぃぃぃぃぃぃぃ! でぼ…ゆっぐりぢないでにげるよっ! れいむまだしにだぐないよっ!」

 全身を襲う激痛の連続に、跳ねることもできない。れいむはのろのろと這いずりだした。割れた窓から外に逃
げるつもりのようだ。
 頭頂部から、そのやや後ろまで見事に禿饅頭となったその様は、まるで落武者のようだ。矢は尽き刀は折れ鎧
も脱ぎ捨てて、という落武者の姿に擬えるなら今のれいむは、仔は尽きもみあげはちぎれお飾りも捨てて、とい
ったところだろう。
 額にわずかに残る茎の根元が、かえって滑稽だ。

「ゆっぐり! ゆっぐりぃ! ゆぐりぃ!」

 ゆっくりゆっくりと泣きながら逃げるれいむの背後で、ガチリ、ビリッ、と音がした。

「ゆひぃっ! ごないでねっ! ごないでねっ! どごがえいっでねっ! ……ゆ? ゆうううううううっ!」

 ぷしっ、と漏らしながら飛び跳ねるように振り向いたれいむは見た。大事な大事な『おりぼんさん』が、凶獣
の歯の隙間に挟まっている。その顎門が開くごとに、リボンの破れ目が広がっていく。

「ゆんやあああああああああああああああああっ! れいぶのおりぼんざんがああああああああああああっ!」

 この日一番の絶叫。

「やべでねっ! やべでねっ! がえぢでねっ! がえぢでねっ! かばいいれいぶのすでぎなおりぼんざんに
ひどいごどじないでねえええええええええええっ!」

 れいむの懇願など何処吹く風。ビリ…ビリ…と、破れ目は広がる一方。

「ゆっ……ゆがああああああああああああああああああああああああああああっ! ごのげずうううううううう
ううううううううううううっ! ゆっぐりぢねえええええええええええええええええええええええっ!」

 半狂乱となったれいむは、あんよからこぼれる餡子のことも彼我の力量差も忘れて飛びかかった。渾身の跳躍
からの踏みつけ。
 瞬間――

 真っ二つに引き裂かれるリボン。ばっくりと180度の角度で口を開けるチャタリーティース。その真ん中に、
図ったように着地するれいむ。

 バグンッ! と、トラバサミのように勢いよく閉じた。

「……っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 顔全体をがっちりと押さえつけられ、れいむは口を開くことができない。公害レベルで発せられるはずの叫び
声は、くぐもった悲痛な唸り声となった。
 口をふさがれた。チャタリーティースの前歯が目玉を押さえつけている。排泄用の穴も、背中の傷口も、後ろ
からふさがれている。
 キリキリと歯車が回る。
 餡子を吐くこともない。目玉が飛び出すこともない。あにゃるからうんうんをひねり出すこともない。傷口か
ら中身が溢れることもない。

 その状態で、ゆっくりと……。
 そう、とてもゆっくりと……。
 キリキリキリキリキリキリ……。
 締め上げられる。


 いだい! いだい! いだい! いだい! いだい! いだい!
 だずげで! おにいざんだずげで!


 ――叶わない。


 だずげで! れいぶわるいごでじだ! ごべなざい! ごべなざい! ゆぐぢで!
 いいごになぢばず! だがらだずげで! いだい! ごべなざい! だずげで!
 おべべが! おべべいだい! おがおいだい! おぐぢいだい! いだい!
 おべべいだい! おじりいだい! あだまいだい! おがおいだい! いだい!
 いだい! ぐるじ! ぐるじい! うぶう! うげえ! ぐるじ!

 ぐるじ! づぶれる! れいぶづぶれる! ぐるじ! づぶれ! いだ! やべで!



 ぶびゅ


 れいむの額に申し訳程度に残っていた茎の根元。その先端から、餡子が吹き出てきた。
 本来、仔に餡子を継承するための器官。それがいまや、れいむの体に開いた唯一の、穴。

 ぶぴゅびびぴべぼぴゅぴゅぎじゅじゅじゅびょびょぶぴぇぢゅぶょじゅげぶぶうじゅべべぶゅ

 汚らしい音と共に、れいむの餡子が押し出される。


 あんご! やべで! おぢびだん! でる! おぢびだん! やべで!
 あんござん! でる! いだい! ぐるじい! おべべ! あんご! ぐるじ!
 あ! やだ! ででる! ででる! あんご! でる! あ! でる! いや!

 だずげ! だれが! だずげで! いだ! だれが! あんごでる! れいぶ! いっばい!
 だずげで! やべで! だずげ! やだ! やだ! ごべなざ! やだ! やだ! やだ! やだ!
 あ! だずげで! づぶれ! れいぶ! いやだ! ぐるじ! あ! あ! あ! ゆぐぢで!

 じぬ! じぬ! いやだ! じぬ! いや! じぬ! いや! じぬ! いや! やだ! いや!
 じにだぐない! だずげ! じぬ! いや! だずげで! ばぢざ! だずげで! おぢびだん!

 だず! おにざん! だずげ! だずげ! でる! でる! れいぶ! いっばい!
 やだ! じぬ! おにざ!


 それは小さく汚い噴水のオブジェで――


 じぬ! やだ!
 やだ!

 やだ!
 じぬ!

 じぬ!

 や!

 や!

 じ!

 や!

 お!

 お!



 ぉ






















 ――――もしもしすいません、飼いゆっくりの登録抹消の……はい。
 え? 抹消理由ですか? インテリアで怪我をして、餡子がなくなったみたいで。
 ……事故死? あ、はい……それでいいと思います。個体番号は――――

----------------------------------------------------------------------------------------------------
季節感がずれてるのはやっぱり書き始めた時期のせい。
あと、登場ギミックでお分かりの通り、元ネタはスティーブン・キングの「チャタリーティース」です。


書いたモノ
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