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  • anko1147 都会派な、君へ。(後編)

ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー

anko1147 都会派な、君へ。(後編)

最終更新:2011年02月06日 20:52

ankoss

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管理者のみ編集可
『都会派な、君へ。(後編)』




五、

 あれから一カ月ほどが過ぎた。当たり前だがすぐに職場を退職することはできなかった。これまで自分が担当していた仕
事の引き継ぎや、残務処理…。そんな仕事に追われていたが、日々は充実していたように思える。

 目的のある、なしで、世界はこんなにも違った景色に変わるのだろうか。

 ありすも相変わらずゆっくりしている。たまに、僕の作った蕎麦を食べさせては感想を聞いたりしていた。

 それにしても、毎朝毎朝ありすは機嫌が悪い。前日は、あんなに楽しそうにしていたのに女の子(?)の考えることはよ
く分からない。正直、カルシウム不足なんなじゃないかと思い、試しに牛乳を飲ませてみたが中身がカスタードのありすに
そんなものが不足しているわけもなく、“飲みすぎると、しーしーしたくなっちゃうから”の一言で終了してしまった。

 『ゆっくりの飼い方』以外にも、インターネットなどを駆使して僕はゆっくりのことを勉強した。とは言っても、未だに
謎の多い不思議生物であるゆっくりには研究者たちも手を焼いているらしい。

 インターネットなどで検索していると、たまにゆっくり虐待の動画や画像に行き着いてしまい、なんとも言えない気分に
なる。だが、ぬるいじめをされて泣いているゆっくりは正直可愛いと思う。だからと言って、ありすをいじめるようなこと
は絶対にしないのだが。

 僕にとって、ありすはゆっくりなのだが、ゆっくりではないというか…家族でもないのだが…言葉に表すことはできない
が、絶妙な距離の関係にあるように思えてならないのだ。家族よりは遠く。ペットよりは近く。

「おにいさんっ! おなかがすいたわっ! あさごはんをたべさせくれてもいいのよっ?」

「じゃあ、食べさせてくれなくてもいいんだね?」

 僕の言葉に、ありすが一瞬止まってしまう。ありすはしばらく考え込んだあとに、

「で、でも…っ! ごはんさん…その…っ! えっと…」

 眉を八の形に変えて、視線を右に左に動かしながら、口を開けたり閉じたり。何かを言いかけて体を前に出しかけては引
っ込めてを繰り返すありす。

「お…、おにいさんのいじわるっ! とかいはじゃないわ…っ!!」

「はは…ごめん、ごめん。冗談だよ。ありすが可愛いからつい、いじめたくなるんだ」

 そう言って、ありすの頭に手を乗せる。そっと撫でてやる。ありすは唇を尖らせつつも、頬を少しだけ染めて、

「かわいい、なんて…いわれても…べつにうれしくなんてないんだから…」

 嬉しいくせに。言葉には出さないが、僕の表情を見て大体何を考えているのか理解したのであろう、ありすが僕から顔を
背けて、

「も…もう、しらないわっ!!」

 声を上げる。…あ、これが、“ぬるいじめ”か。…いや、少し違うな。ただ、恋人といちゃついてるだけっぽい。

 ははは。現実の女には見向きもされないんだけどな。ははは。…………ふぅ………。

 僕とありすは、朝食を食べながらたくさんお喋りをした。仕事が忙しいせいで、ありすとのんびり話をする機会は決して
多くはない。朝、僕が職場に行くまでの時間と、僕が職場から帰ってきて眠りにつくまでの時間。

 その時間は、僕とありすだけの時間だった。

 それはさておき、今日も今日とて仕事だ。それも、あと少しで終わる。全部終わったら、実家に帰ろう。荷物をまとめて、
ありすと共に。

「おにいさんっ!! ゆっくりいってらっしゃいっ!!!」

「うん。いい子にしてるんだよ?」

「とかいはなありすは、いつだっていいこにしているわっ!!」

「そうだね。じゃあ、行ってくるよ」

「べつにはやくかえってきてくれなくても、いいんだからねっ!!」

「…はいはい」

 苦笑しながら、部屋を出て行く。

 これが、僕とありすが交わした、最後の言葉だった。




 ありすは、玄関の扉が閉められて男の姿が見えなくなるまで、その場にいた。扉が閉まり、鍵のかけられる音がするのを
聞いて、ようやく部屋の奥へと戻っていく。

「おにいさん…はやくかえってきてね…。 ありす…さびしいよ…」

 ありすがぽつりと呟きながら、座布団の上に移動した。ありすは賢い個体だったので、無闇やたらに動き回ったりはしな
い。そんなことをするとすぐにお腹が空いてしまう。

「それにしても、おにいさんはねぼすけさんだわ…」

 実は、ありすが朝不機嫌になるのには理由があった。

 ゆっくりには、最初に目覚めた個体が“ゆっくりしていってね!!!”と、まだ眠っている個体を起こしてあげる習性が
ある。これはまだ、あまり知られていないことだが、ゆっくりの生活は意外と規則正しい。夜は早く寝るし、朝は早く起き
る。

 当然、ありすは男に向かって早朝何度も“ゆっくりしていってね!!!”と起こすことを試みていたが、男から返事が返
ってきた日は、一度もない。

「おにいさんも、まだまだとかいはじゃないわね…」

 ありすは、日中一匹で留守番をしているときは、いつもこんな風に独り言を言っていた。内容は主に、飼い主である男の
ことである。

 窓から差し込む陽光が部屋の中を暖めているせいか、心地よい。ありすは、座布団の上でうとうとと浅い眠りにつこうと
していた。

 そのとき。

 窓ガラスに何かが当たる音が聞こえた。

(…ゆ…?)

 ありすが窓に目を向けると、そこには金髪のお下げに大きな黒帽子をかぶったゆっくりである、まりさ種と、紫色の髪を
四方に束ね、月の髪飾りのついたナイトキャップをかぶったゆっくりの、ぱちゅりー種が並んでありすのことを見つめてい
た。

 窓越しのまりさは泣いているようにも見える。ぱちゅりーもなんだか苦しそうだ。ありすは、不穏な空気を感じて窓際へ
とあんよを這わせた。

「ゆっくりしていってね!!!」

「ゆっくりしていってね!!!」

 まりさの挨拶に、ありすが返事を返す。まりさとぱちゅりーは顔に小さな傷がたくさんついており、あんよは泥だらけだ
った。お世辞にも都会派とは言い難い。

「ありす!! おねがいがあるのぜっ!! まりさとぱちゅりーをにんげんさんのおうちにいれてほしいんだぜっ!!」
「むきゅぅ…むきゅぅ…」

 ぱちゅりーの顔色がよくない。虚ろな目をありすに向けている。

「どうしたの? なんだかゆっくりできていないようだけれど…」

 ありすの問いかけにまりさが答える。

「ぱちゅりーがびょうきにかかっちゃったのぜっ!! なにかごはんさんをわけてほしいんだぜっ!!」
「むきゅっ…ありす…おねがい…すこしだけでいいから…」

 ありすは、窓には鍵がかけられていることを知っている。そして、それを開ける方法も知っていた。ありすは、おうちの
上にぴょんぴょんと飛び乗ると、ジャンプして鍵のつまみを咥えて、それを一気に下に降ろした。そして、まりさと二匹で
頬をガラス窓に押し当てて、窓を少しずつ開けて行く。

 ようやく、ゆっくりが通れるくらいの隙間ができたとき、

「それじゃあ、ちょっとまっててね! いまから、ありすがごはんさんをもってくるから…」

 ありすが振り返って台所に置いてあるゆっくりフードを取りに行こうとしたそのときだった。ありすの後頭部に衝撃が走
った。

「ゆ゛ぐぅっ!!」

 あまりにも突然の出来事に、床の上をころころと転がるありす。

「ゆっへっへ…っ!!!」

「むきゅー…!」

 まりさとぱちゅりーの笑い声に視線を向けるありす。

「と…とかいはじゃないわ…! いったいなにを…」

「だまれなのぜっ!! いまからここをまりさたちのゆっくりぷれいすにするのぜっ!!!」

 突然のまりさの宣言にありすが目を見開く。

「な…っ」

「むきゃきゃ…っ! ありす! はやくにんげんさんのたべものをもってきてちょうだいっ!!」

 ありすはようやくゆっくり理解した。自分が騙されたのだということを。先ほどまでは今にも死にそうな顔をしていたぱ
ちゅりーが下卑た笑みを浮かべている。

 痛みに意識が朦朧としている、ありすにまりさが滲み寄る。ありすも必死にまりさを睨みつけるが、初手のダメージが大
きく、抵抗するだけの力が出てこない。泥だらけのまりさが、ニヤニヤと笑いながらありすに近寄ってくる。

「よごれたあんよで…おにいさんのおうちにはいってこないでっ!! このいなかものっ!!!!」

「ゆへへ…さぁ、ぱちゅりー! ありすとすっきりー!してさっさとちびちゃんをつくるのぜっ!!」

「むきゅっ! ゆっくりりかいしたわ!」

 今、まりさは何と言ったのだろうか。ありすが唇を小刻みに震えさせ始めた。まりさがありすの顔中を舐めまわすように
じろじろと見ている。

「いなかもののゆっくりに…むりやり、すっきりー!させられると…とかいはなありすは、どんなかおになるのぜ?」

「や…やめて…」

 思うように動くことのできないありすをまりさが飛びかかって抑えつけた。

「ゆぐっ!!! いや…っ! はなしてっ!!」

 身動きが取れないありすに、ぱちゅりーが近寄り、ありすの頬に自分の頬をすり寄せて来た。

「ゆ…っ、や…っ!!」

 ぱちゅりーの執拗な頬擦りを受けたありすの力が、ますます抜けていく。まりさに抑えつけられていることもあり、抵抗
することは一切、叶わなかった。

「むきゅぅぅぅぅ!! ありすのやわらかいはだ…とてもきもちいいわっ!! ぱちゅと、すっきりー!しましょう!!!」

「いや…っ!! いや…! ありす、すっきりー!なんてしたくないっ!! こんなのとかいはじゃないわっ!!!」

 ぱちゅりーの口からあんよにかけての間に、ぺにぺにが現れる。初めて見たぺにぺにに、ありすが顔を青ざめる。

「ぱちゅりー! とかいはなありすを、ひぃひぃいわせてやるのぜぇぇぇっ!!!」

「い…いやあああああああああああ!!!!!!!!!」

 強引に、ありすのまむまむにぱちゅりーのぺにぺにが差し込まれる。

「む…っきょおぉぉぉぉ!!! ありすのまむまむ…きもちいいわぁぁぁぁっ!!!」

「いやぁっ!! たすけて…っ!!! おにいさん…っ!!! おにいさんっ!!!!」

「ゆっへっへ! たすけをよんでもむだなのぜっ!!」

 ありすの体中を快感が駆け巡る。突然上がり込んできた薄汚い野良のぱちゅりーに、犯されるという自分の置かれた状況
がまったく理解できない。理解できるのは、この汚らわしい野良ゆっくりにより、自分が絶頂に導かれつつあるということ
だけだ。

「んっほおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 ぱちゅりーが雄叫びのような声を上げる。ありすは唇を噛み締めて、自身を絶え間なく襲う快感に抗おうと必死だ。しか
し、一度、絶頂へと向かった感情はそう簡単に抑えることはできない。

「すっきりぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「す……きりぃ……っ!!!」

 ぱちゅりーが絶頂を迎えると同時に、ありすも小声で言いたくない言葉を言わされてしまった。

「ゆ…ゆあああああああああ!!!!」

 叫ぶありすの頭から、茎が伸び始める。そこには、プチトマトサイズの赤ぱちゅりーと、赤ありすが二匹ずつ実っていた。
ありすは声も出さずに涙を流していた。

「こんなの…とかいはじゃない…。 とかいはじゃないわぁ…っ!!!」

 泣きながら、その場を動けないでいるありすに、今度はまりさがのしかかる。

「ゆ゛っ!!!」

「つぎは、まりささまのばんなのぜっ!!!!」

 まりさが、既に屹立しているぺにぺにをすっきりー!したばかりのありすに突っ込む。まりさとぱちゅりーでは力や体力
に個体差がありすぎる。まりさは、力任せにありすを徹底的に凌辱した。

「や…やめてぇぇぇぇぇ!!!」

 ただでさえ、体力の消費が激しいすっきりー!を連続で強要された上に、ありすの頭に実った四つの新しい命が母体から
養分をどんどん吸い上げて行く。赤ゆたちは、そうしなければすぐに死んでしまうだろう。

 これが野生のゆっくりであれば、すっきりー!の相手は大抵つがいであることが多いので、赤ゆを宿した側のゆっくりは
大事にされる。しかし、街をうろつく野良ゆっくりたちの中には、快感だけを求めてすっきりー!してしまう個体も存在し
ており、それらのゆっくりは“れいぱー”と呼ばれ蔑まれていた。

 つがいのいないゆっくりが、無理矢理子供を作らされる。それは、死と同義だ。ゆっくりが、にんっしんっ!できるのは、
母体となったゆっくりをフォローする存在がいることが前提なのである。

「ゆ…へぇっへっ!!! ありすぅ? きもちいいのかなのぜぇ?!」

「ゆ…ゆぅぅぅぅん…っ!!! ゆ…ゆん、やぁぁぁん!!!!」

 まりさの攻撃的なすっきりー!は、理屈でなく本能に訴えかけてくるようなものだった。ありすは、それが怖くて怖くて
たまらなかった。何か、自分の中の何かが、壊されていくような感覚。

「おねが……っ、はぁ…っ!! まりさ…もう…っ!! やめ…て……いやぁ…いや……っ!!!」

 懇願するありすの表情にも声にも覇気がない。それでも、まりさはありすの中で暴れ続けた。

「んほぉぉぉぉぉぉ!!! まりささまのちびちゃんをうめるんだから、かんしゃしろなのぜぇぇぇぇぇ!!!!」

「…っ!!! ……………っ!!!!」

 もう、ありすに声を発するだけの力は残されていなかった。そして、ありすの体力も既に限界を迎えつつあった。体に痛
みが走る。きっと、ありすの中身であるカスタードが極端に減っていきつつあるのだろう。

「お…おにいさん…たす、けて…」

「ゆっへっへ!! ありすがたすけをよんでもきてくれないような、おにいさんは…むのうのくずなのぜ!!!」

「むーきょきょきょっ!!! ばかなにんげんさんにかわれてかわいそうねっ!!!」

 ありすが強く唇を噛み締める。体の奥の奥が熱くなっていく。

「…ぃ、で…っ!!!」

「ゆっ! ゆっ! ゆっ! ゆへっ! なんなのぜぇ?!」

「おにいさんのことを…ばかにしないでっ!!!!!」

 ありすの脳裏に、男の姿がよぎる。

 突然、目の前に現れて自分をびっくりさせたお兄さん。

 お腹を空かせた自分に人間さんの“お蕎麦さん”を食べさせてくれたお兄さん。

 都会派なコーディネイトは怒られてしまったけれど、最後はちゃんと自分を認めてくれたお兄さん。

 “お蕎麦さん”を食べたいと我がままを言った自分に、本当に一生懸命“お蕎麦さん”を作ってくれたお兄さん。

 頭を優しく撫でてくれたお兄さん。

 朝、どんなに起こしても起きてくれなかったお兄さん。

 …大好きな、お兄さん。

 その姿が…失われていく中身と共に、思い出せなくなっていく。怖い。怖くて…悲しくて…寂しくて…。もう、どうにも
することができない。

「んぅっほぉぉぉぉぉぉぉっ!!!! す…すっきりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
「……き……、り………………」

 まりさはありすからぺにぺにを引き抜くと、高笑いを始めた。ぱちゅりーもゲラゲラ笑っている。

 ありすの頭から二本目の茎が生えてきた。三匹の赤まりさ。一匹の赤ありす。また、新たに生まれた命が母体であるあり
すから養分を奪い始める。

「ゆ…ぎぃ……っ…!!」

「むきゅっ! ありすのようすがおかしいわっ!!」

「ゆっ…!! さすがにちびちゃんがおおすぎるのぜっ!!!」

 焦点の定まらない視界の中にぼんやりと映る、八匹もの赤ちゃんゆっくり。ありすには、それが奇怪な化け物のように見
えて仕方がなかった。ありすにとっては、自分が望んで作った子供ではない赤ゆたちは、自分に寄生した…別の生き物にし
か見えていない。

 そのとき。

 まりさが、ありすの頭から生えた茎に実る、赤ありすを茎から引きちぎった。

「ぴきゅっ!!!」

 そして、そのまま固い床に叩きつけられる。

「おきゃーしゃん…いちゃいよ…いちゃいよぉ…」

 赤ありすが、半分潰れかけた体でありすににじり寄ってくる。後ずさりをしたくても、動くことができない。“こっちに
来ないで”と叫ぶ力もない。

「おきゃーしゃん…たしゅけちぇぇ……」

「ゆっくりしね!!!」

 まりさが叫びながら、赤ありすの上に飛び乗る。プチトマトの上にバスケットボールが落ちてきたようなものだ。赤あり
すは、声も出せずに潰れてしまった。赤ありすの中身のカスタードが四方に飛び散り、それがありすの顔に数滴かかる。

「ゆんやぁぁぁぁ!!! まりしゃのいもうちょがぁぁぁ!!!」
「ゆっくちできにゃいよぉぉぉぉぉ!!!!」

 宿ったばかりの命たちが、自分たちの親であるまりさに姉妹を殺されて、泣き叫ぶ。

「まりさ…、あなた………っ!!!」

 ありすが、まりさを睨みつける。まりさは潰されて皮と髪の毛とカチューシャだけになった、赤ありすの残骸を咥えると、
それをありすに叩きつけた。

「い…いやぁぁぁぁぁ!!!!」

 望んで生まれてきたわけではないが、我が子の残骸を顔に張り付けられたありすが絶叫する。まりさは、そんなありすを
見て大笑いしながら、

「おお、こわいこわい!!」

 ぱちゅりーも同様に、赤ありすを茎から引きちぎり踏みつぶして行く。戯れに一匹だけは茎から引きちぎっただけで放置
した。ぱちゅりーは比較的賢い個体である。母体の茎から引き離された赤ゆがどうなるかを理解しているのだろう。

「おきゃ…しゃん…。 どうしちぇ…どうしちぇ…こんにゃこちょ…」

 養分の供給源である母体のありすを失った、赤ありすは満足に動くことすらできない。舌足らずな口調で親である二匹に
救いを求めるだけだ。やがて、すぐに中身を失ってしまったのだろう。がくがくと震えながら、目を見開いてぱちゅりーを
見つめる。

「ありしゅ…しにちゃく……にゃい…………」

 ぱちゅりーは、ニヤニヤと笑いながら今まさに朽ち果てようとしている赤ありすを眺めていた。

「も…ちょ、…ゆっくち………  しちゃ……か……………」

 黒ずみ、動かなくなった赤ありすに軽く体当たりして遠くへ転がすと、再びありすの目の前に戻ってきた。

「……この、…いなかものぉ……っ!!!!」

 ありすは気付いていた。まりさとぱちゅりーが、赤ありすだけを狙って潰していたことに。ありすの茎に実っているのは、
目の前の野良二匹の赤ちゃんだけだ。

「やべちぇぇぇぇ!!! まりしゃ、しにちゃくにゃいよぉぉぉぉぉ!!!!」
「むきゅぅぅぅぅん!!! やめちぇにぇっ! やめちぇにぇっ!!」

 ありすの目の前で、泣き叫ぶ五匹の赤ゆの声が、ありすにとっては不快で不快でたまらなかった。まりさは、赤ゆたちの
元へやってくると、

「ゆゆっ! おちびちゃんたちには“いじわる”はしないのぜっ!」

「ゆ?」
「ほんちょ…?」
「たちゅけちぇくれりゅ…?」
「ゆっくち…?」
「むきゅん?」

「むきゅー!ありすのちびちゃんは、けがらわしいから、ぱちゅおかあさんが…せいっさいっ!してあげたわ!!!」

 ありすが、涙を流す。それができるのも、あと僅かの時間だろう。ありすには、自分の体が少しずつ朽ちて行こうとして
いるのがわかっていた。皮は張りを失い、固くなってきている。固くなった場所から、亀裂が入りその痛みがぴりぴりとあ
りすを襲う。

(おにいさん………)

 大好きな男を心の中で呼ぶ。

(ありす…もっと、おにいさんといっしょに…ゆっくりしたかった…)

 ありすの体が黒ずんでいく。視界には、何も映らなくなった。

(おにいさんのつくった…“おそばさん”……もっと、たくさんたべたかったわ……………)

 ありすは、朽ち果て、そのまま二度と動くことはなかった。




「お疲れ様。今日はもう上がっていいよ」

 デスクで残務処理をしていた僕に、上司が肩を叩きながら話しかけてきた。

「え…?でも、まだ今日の分が終わってないですけど…」

「いや、あとの処理は私がやっておくよ。退職の理由は聞いている。新しい目標が見つかったんだろう?」

 僕は、上司の顔をまっすぐに見つめると、小気味良い口調で「はい」と答えた。上司は嬉しそうにしていた。

「君が、毎日退屈そうに仕事をしているのを知っていたからかな…」

「す、すいません…」

「違う違う。責めてるんじゃない。君の本当の力は、ここ一カ月で全部見せてもらったよ。なんというか、若いっていいも
んだな。私にもこんな時期があったんだがなぁ…」

 デスクのパソコンに向かったまま、上司の言葉を受け止める。

「蕎麦打ち職人を目指すんだろう?」

「……はい」

「なら、今日の御礼は君の打った蕎麦を一度タダで食べさせてくれるだけでいい」

「…ありがとうございますっ!!!」

 僕は、作りかけの書類のデータを上司のパソコンにメールで送信して、すぐにパソコンの電源を落とした。デスクの下に
置いてある小さなカバンを取り出して筆記用具や電卓、机上に置いてあったこまごまとしたものを詰め込んでいく。

 そして、僕が三年間過ごした職場の入り口で立ち止まり、振り返ると。

「三年間、お世話になりましたっ!!!!」

 言って、頭を下げる。頭上には、上司や同僚たちの温かい拍手が降り注いでいた。僕は、振り返らずにそのまま職場の部
屋を出て行った。階段を足早に駆け降りる。

 何もかもが輝いて見えた。

 今日は帰ってから荷造りをしなければいけない。電気もガスも水道も…止めないといけないな。僕が都会を離れ、実家に
戻ることは既にありすも承諾済みだ。

 一週間前に、お出かけ用のケージも買った。結局、この街では一度もありすを散歩に連れて行ってあげることはできなか
ったが、実家に帰ったら毎日散歩に連れて行ってやろうと思う。

 ゆっくりが本来野生の生き物だということであれば、固い床やアスファルトの上ばかりを歩かせるのは酷というものだ。

 そして、蕎麦打ち修行の合間に、僕の打った蕎麦をありすに食べてもらって感想を聞こう。

 今の僕は、三年前の僕とは違う。今なら、立ち向かえる。もう、逃げない。逃げ出さない。

 いつもは、ぼんやりと眺める電車の窓から見える風景も、今日は別のもののように思えた。いつもより早い時間に電車に
乗っているからかも知れない。なんとなく、それだけではないような気もしていたが。

(ありす…待ってろよ…!すぐに帰るからな…っ!!!)



六、

 玄関の扉を開けると、いつもは駆け寄ってくるはずのありすが今日は来ない。職場から早く帰ってきたから、もしかした
ら昼寝をしているのかも…などと考え、

(もしかしたら、ありすの寝顔が見れるかも知れないな…写メ撮ってやろう)

 くくっ、と笑いながら部屋の奥へと足を踏み入れる。

「むきゅー! にんげんさぁんっ! たすけてちょーだいぃぃぃ!!!」

「まりさたちのかわいいおちびちゃんがぁぁぁ!!!」

 部屋の中にありす以外のゆっくりがいた。二匹ともバスケットボールほどのサイズをしており、恐らくは野良の成体ゆっ
くりであろう。黒帽子のほうが、まりさ種で…紫の髪のほうが、ぱちゅりー種。一体、どこから入ってきたのだろうか。あ
りすの姿を探して歩みを進めると、

「な…っ?!」

 土や泥で汚れた野良ゆっくりたちが、部屋中を這いずりまわったせいか、ありすのために敷いてやった絨毯が黒く汚れて
いる。ベッドの上にも飛び乗ったのだろうか。シーツにも汚れの痕跡が見える。それだけではない。ページをびりびりに破
られて散乱している本の残骸や、蹴散らかされたかのように散在するゴミ箱の中身。

 台所からゆっくりフードを持ってきて食べようとしたのか、床のそこかしこにフードの丸い粒が転がっている。

「ありす…?」

 さっきから何かよくわからない言葉を発する二匹のゆっくりを無視して部屋の中を見渡す。

 荒らされた部屋の片隅に…ありすがいた。

「――――――――――え」

 正確には、“ありすだったもの”がいた。

 僕は、ふらふらと変わり果てた姿になってしまったありすの元へと足を向ける。カスタードが、点々とありすへと続いて
いる。…まるで、何かに引きずられてきたかのように。

 無言でありすを見下ろす。

 ありすの頭には茎が二本生えており、そこには先ほどのまりさとぱちゅりーのサイズをそのまま縮小した…赤ゆが実って
いる。良く見ると、周囲に金髪の赤ゆの残骸が見え隠れしている。…あれは、赤ゆの…ありすなのだろうか…。

「ありす…?」

「ゆっくち……ゆっくち……」
「くるちぃよぉ……」
「うごけにゃいよぉ…」
「たちゅけちぇ…たちゅけちぇぇ…」
「いちゃい…おきゃおが…いちゃい…」

 僕の問いかけに返事をしたのは、苦悶の表情を浮かべ、不快な音を発する五匹もの赤ゆたちだった。赤まりさが、三匹。
赤ぱちゅりーが、二匹。

「っ!」

 ふくらはぎに小さな衝撃が走る。視線をそちらに向けると、まりさが頬に空気を溜めて僕を見上げている。…威嚇、のつ
もりだろうか。……なんなんだ、この…醜い生き物は。

「くそじじぃっ!! まりさたちのかわいいかわいいちびちゃんが、くるしんでるのぜっ!!! さっさとたすけるのぜ!」

「むきゅぅぅぅ!!! ゆっくりしすぎているわっ!!! ほんとうにぐずなのねっ!!!」

 深呼吸する。

「むしするな、なのぜえぇぇぇぇっ!!???」

「うるさい。少し黙れ」

 そう言って、僕はまりさの顔面を右手で掴んでそのまま顔の高さまで持ち上げた。まりさが苦痛に顔を歪める。

「い…い゛だいのぜぇぇぇっ!!???」

「黙れって」

 掴んだ右手に更に力をかける。

「ゆ゛ぎぃぃぃぃ…っ!!!!」

 親指は、まりさの顔の皮を突き破っていた。爪の間に中身の餡子が入り込んでいるのがわかる。人差し指は、まりさの右
目を抑えつけている。薬指は、まりさの左目の下にめり込み、指の先に液体のような感触を覚えた。

 まりさが、不愉快な音を出して泣き始めた。

「む…むきゅうっ! まりさがいたがっているわっ!! はなしてあげぎゅべっ!!!!!」

 無言で雑音を発し始めたぱちゅりーを踏みつける。

「おきゃーしゃん…っ!!!」
「まりしゃたちのおきゃーしゃんに…」
「「「ひじょいこちょ…しにゃいでにぇ…?」

「ありす?…ただいま」

 僕はありすに話しかけた。ありすは、返事を返さない。部屋の中に聞こえる音は、僕を非難する五匹の赤ゆの甲高い声と、
呻きながら泣き声を上げるまりさとぱちゅりーのものだけだ。

 申し訳程度に開けられた窓の隙間から、空へと飛び立つ飛行機の音が入ってきた。一陣の風が、床に散らばったゴミをカ
サカサ…と動かす。

 まりさを放り投げて、ぱちゅりーを蹴り飛ばして。僕はありすの元に膝をついた。

 黒ずみ、干からびたありすの頬には涙が伝った跡がある。綺麗な髪はぼさぼさになっており、赤いカチューシャが不気味
なコントラストを生み出していた。

 鼓動が、速くなっていく。

 このありすの状態は、今の僕にならわかる。…ありすは、ありすから生えた二本の茎に実る五匹の赤ゆに…体中の栄養分
を奪われて…………。死んでしまったのだ。

 部屋の反対側から、まりさとぱちゅりーが這い寄ってくる。

「お前らが…やったんだな…」

「そんなことどうでもいいのぜっ!!! はやくしないと、まりさたちのちびちゃんが…っ!!!」

「ちびちゃんをゆっくりさせてあげられない、ありすはむのうのくずよっ!!! かいぬしさんがなんとかすべきだわ!!!」

 …そんな事?無能の、クズ?ありすが?

「ゆ゛ぐぼぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ!!!!!」

 拳を撃ち込まれたまりさが、宙に舞い床に叩きつけられる。思わず吐き出したのであろう中身の餡子が放物線を描き、遅
れて床にぼたぼたと落ちていく。

「が…ひっ!!! ゆ゛っ…ぎ……ぃ……ッ?!」

 握り込んだ拳には、まりさの餡子が少量こびりついていた。

 こんな…野良ゆっくりなんかに、ありすが殺されてしまった。多分、無理矢理すっきりー!させられて…二本も茎を生や
されて…どんどん栄養を奪われて…苦しんで、苦しんで、苦しんで。…死んだんだろうな。ご丁寧に、ありすと同じ姿をし
た赤ゆだけ、潰して。

 怯えて動けないでいるぱちゅりーを無視して、僕は少しだけ開けられた窓を閉めると鍵をかけて、カーテンを閉めた。

「お前ら…。…覚悟しとけよ?」

 言葉の意味を理解したのか、ぱちゅりーがまりさの元へと這い寄り、頬をぴったりとくっつけてがたがた震えている。頼
りのまりさは、舌をだらりと垂らして切れ切れに呼吸をしているだけだ。

 僕は、冷蔵庫の中からデパートで買ってきたビン牛乳の中身を流し台に全てこぼし、その中身を丁寧に洗ったあと、砂糖
をスプーン五杯ほど入れて、その中に水を注いだ。砂糖水のたっぷりと入ったビンを持って、再びありすの元へと歩き出す。
途中、視界に入ったぱちゅりーは、恐怖でしーしーを漏らしていた。

“おにいさんのおへやをよごすわけにはいかないから…っ!!!”

 綺麗好きのありすの前で、床にしーしーを垂れ流したぱちゅりーに蹴りを一発入れた。

「ぎゅぶっ!!」

 ぱちゅりーが短く悲鳴を上げて、今度は中身の生クリームを吐きだす。床がまた汚れたので、もう一発蹴り上げた。ぱち
ゅりーの悲鳴を無視して、ありすの前に座る。僕は、ありすの頭に生える忌々しい二本の茎を、ありすに痛みを与えないよ
うに、そっと引き抜いた。すると、途端に赤ゆたちが泣き叫び始める。

「ゆんやああああああ!!!!!」
「ゆっくちできにゃいよぉぉぉぉ!!!」
「やめちぇぇぇ!!!!」

 雑音の合唱が耳をつんざく。そのまま、床に叩きつけてまとめて踏み潰してやろうかとも思ったが、それはしない。砂糖
水の入ったビンにその茎を入れる。僕は、これほどまでに醜悪な花瓶に刺された植物を見たことがない。薄汚く実る五つの
赤ゆたちが、養分代わりの砂糖水を与えられ、歓声を上げながら蠢いている。

 僕はそれをまりさとぱちゅりーの元に持って行く。二匹の目の前に置いてやる。元気そうな赤ゆを見て安心したのか、ぱ
ちゅりーが笑顔で、

「むきゅぅぅぅ!!! にんげんさん!! よくやったわ!!!」

 ぱちゅりーを睨みつける。

「ゆひぃっ!!!」

 怯えたぱちゅりーが後ずさり、後頭部を壁に押し付ける。冷や汗がだらだらと流れている。…見ていて気持ちが悪い。僕
はぱちゅりーを四、五発殴って気絶させた後、既に伸びてしまっているまりさと二匹仲良く、空の浴槽の中に放り込んだ。

「おきゃーしゃんに、ひじょいこちょするにゃぁぁ!!!」
「ゆっくちできにゃいにんげんしゃんは、しにぇっ!!」
「むきゅぅ!! どりぇいのぶんじゃいでぇぇ!!!」
「まりしゃたちをゆっくちさしぇるのじぇぇぇ!!!」
「ぱちゅたちびぴぎゃっ!!!!!!!」

 まだ自分の力では生きることすらできず、茎から養分を吸い上げてようやく存在できている程度の赤ゆごときが、生意気
に言葉を喋って自らの主張をしてくる。一番右端にいた赤ぱちゅりーの主張が終わる前に、デコピンをして黙らせた。同様
に、赤まりさ、赤ぱちゅりー、赤まりさ、赤まりさ。一匹ずつ顔面を弾いて行く。

「「「いじゃいよぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」
「「ゆんやああああああっ!!!!!!」」

 叫び疲れて声を出せなくなるまで、僕はひたすらぶら下がってるだけの脆弱な存在にデコピンを浴びせ続けた。本当なら、
握りつぶして殺してやりたいところだったが!!

「「ゆっくち…さしぇ…」」
「おきゃ…しゃん…」
「「いちゃい…いちゃいよぉ…」」

 こんな、何の役にも立たない連中がありすの栄養分を残らず吸い上げて、ありすの命を奪ったかと思うと、腸が煮えくり
かえるような思いがする。

 楽には死なせない。死なせてたまるか。

 僕の中に湧き上がる、どす黒い感情は留まるところを知らない。

 こいつらに、刻みつけてやる。痛みを、恐怖を、苦しみを。生き続けている限り、永遠に。

 僕は、力なく“ゆんゆん”泣き続ける赤ゆたちを無視して、ありすを抱き上げようとした。

「……っ!」

 手を延ばし、ありすの頬に右手を添える。ありすは、ガサガサ…と皮が剥げ落ちて崩れてしまった。皮の中は空っぽだ。
カスタードの一かけらも、そこには入っていなかった。ありすの中身は、あの憎たらしい赤ゆたちの、顔の中だ。今すぐ赤
ゆたちの顔の中に手を突っ込んでほじくり出してやりたい衝動に駆られたが、必死に抑え込む。

 赤ゆたちは、泣き疲れて眠っていた。

「ゆぴー…ゆぴー…」
「しゅーや、しゅーや…」

 ありすが。永遠に目覚めることのない眠りについている横で、呑気に寝息を立てている五匹の赤ゆ。

「ありす…」

 触れると崩れてしまうので、僕はありすの頭にある赤いカチューシャをそっと外した。ありすの面影は、もうこのカチュ
ーシャの中にしかない。

 崩れたありすの亡骸は、ありすの“おうち”に入れてやった。この部屋を出る前に、ありすの墓を作ってやらなければい
けない。

 ありすは僕と一緒に僕の故郷へ帰るのを楽しみにしていた。僕の打った蕎麦が毎日食べられることもそうだが、田舎とい
うこともあって、芋虫や蝶々。綺麗な花が食べられるかも知れないと笑っていた。ありすにとっては、離れ離れになってし
まった家族の思い出を呼び覚ます食べ物。それは、ゆっくりフードなんかよりも美味しくて…都会派な味がすることだろう。

“むーしゃ、むーしゃ…しあわせぇぇぇ!!!”

 僕は、僕の故郷でありすが幸せそうな顔で、大好きな芋虫を食べている姿を想像して泣いた。

“べつにはやくかえってきてくれなくても、いいんだからねっ!!”

 せっかく早く帰ってきても、ありすはもうここにはいないんだね。

 机上のパソコンの電源を入れる。何の音もしない部屋の中、マウスをクリックする音だけが、無機質に何度も何度も小さ
く響く。本当なら、職場でのデスクワークを終えた時点で、しばらくパソコンを開くことはないだろうと思っていた。

 しかし、また新たな“残務処理”ができてしまった。僕はネットの海を彷徨い、ゆっくりを虐待する動画や画像を探し始
めた。僕がやりたいのは部屋の中にいる七匹もの饅頭共を殺すことではない。一分、一秒でも、長く苦しませてやること。
ただ潰すだけなら、ゆっくりにだってできる。

 教えてやる。

 ゆっくり同士の喧嘩で受けたバカみたいな“痛み”などとは違う、“苦しみ”を。

 人間というものが、どれほど恐ろしい存在なのかを。あの饅頭共の脳裏に焼き付けてやる。



七、

 ありすは、もう僕のことを嫌っているかも知れない。もし、ここにありすがいたら、

“とかいはじゃないわっ!!!”

 と僕のことをなじっていただろう。心優しいありすのことだ。僕がこれから、一応は同族であるゆっくりに対して行う残
虐な行為を知ったら、泣きながら止めていたように思う。僕のズボンの裾を引っ張って。

 僕はインターネットで注文して購入した“透明な箱”の中に、親であるまりさと、ぱちゅりーを閉じ込めた。それぞれに
一箱。

「じじいっ!! はやくごはんさんもってくるのぜっ!!!!」

「ぐずなどれいはゆっくりしないでしになさいっ!!!

 箱の中から、まりさとぱちゅりーが“元気”な声を上げる。うっかり餓死などさせてしまっては堪らない、と定期的に餌
を与えてやったせいか、僕のことを奴隷か何かと勘違いしているらしい。ありすが死んだ日に、僕に気を失うまで殴られた
記憶は忘却の彼方のようだ。この様子ではありすを殺したことも、覚えていないかも知れない。

 一方で、砂糖水を湛えたビンに刺された二本の茎に実る五匹の赤ゆは、目をキラキラと輝かせてこれから送るであろう幸
せな生活を夢見ている。さすがに五匹もの赤ゆが我先にと養分を吸い上げるためか、砂糖水の減りは思ったよりも早かった。

 僕は決めていたのだ。この五匹の赤ゆが全て生まれ落ちたら、全ての“事”を始めようと。そして、その瞬間はもうすぐ
そこまで迫っている。

 ある日の昼頃。普段からキーの高い雑音を絶え間なく発し続ける赤ゆたちに変化が訪れた。

「ゆゆっ! まりしゃ、ゆっくちうまれりゅよっ!!!」

 一匹の赤まりさが、小さな体をぷるぷると震わせる。楽しくて楽しくて仕方がないと言った様子だ。時折、キリッとした
表情になって、

「まりしゃ、がんばりゅからにぇっ!!!」

 親である透明な箱に閉じ込められたまりさとぱちゅりーに向かって叫ぶ。

「おちびちゃん! がんばるのぜっ! がんばるのぜっ!!」

「けんじゃなぱちゅりーがみまもってるわ! がんばろうねっ!!!」

 激励する二匹。…反吐が出る。何が、“頑張る”だ。たかが体を震わせて茎を揺すっているだけのくせに。何が“頑張れ”
だ。箱の中に閉じ込められて何もしてやれやしないくせに。

 ここ数日、まりさ一家のお互いを励まし合うようなやり取りに、ただただ不快な思いをしていた。饅頭の分際で悲劇の渦
中に放り込まれたヒロインのような顔で、“がんばろうね”などという言葉を聞くと、虫唾が走る。拳を握りしめながらそ
んなことを考えていると。

「ゆっくちしちぇいっちぇにぇっ!!!」

 一匹目の赤まりさが生まれた。…いや、茎から落ちた。茎から落ちた赤まりさは、得意気な笑みを浮かべて箱の中の両親
に初めての挨拶をした。

「ゆっくりしていってね!!! ゆっくりしていってね!!!」

 まりさが、涙を流しながら赤まりさの挨拶に返事を返す。縮小されただけの自分と同じ顔に向かって、

「ゆぅぅぅ!!! かわいいよぅ!! かわいいよぅっ!!!」

 箱のガラスに顔をべったりとくっつけて、“我が子”の元に這い寄ろうとするがそこから出ることはできない。ぱちゅり
ーは、感極まっているのか赤まりさを見つめながら無言でぼろぼろ泣いていた。

 それから。一匹、また一匹と次々に赤ゆたちが茎から離れていく。ピンポン玉サイズの饅頭がテーブルの上を右往左往し
ながら、姉妹で頬をすり寄せ合ったり、その場でぴょんぴょんジャンプしたりしてはしゃいでいる。生まれてきたことがよ
ほど嬉しいと見える。

 四匹目の赤ぱちゅりーがテーブルに着地する。すぐに、姉妹の元に駆け寄って挨拶を交わしたり、すーりすーりをしだす。

「まりしゃっ! ゆっくちがんばっちぇにぇっ!!」
「おにぇーしゃんが、おうえんしちぇるよっ!!」

 既に茎から離れた四匹の赤ゆたちが、最後の一匹である赤まりさに応援の言葉をかける。赤まりさはその応援に応えるか
のように自身を震わせ始めた。振動で茎が揺れる。

 僕は赤まりさと、それをつなぐ茎に瞬間接着剤を塗りつけた。そして、赤まりさの底部にそっと人差し指を当ててしばら
く動けないように固定する。

「ゆゆっ? にんげんしゃんっ! いじわりゅしにゃいでにぇっ! まりしゃ、ゆっくちしにゃいでうまれちゃいよ?」

 赤まりさが困ったような表情で僕を見上げる。

「じじいっ!!! なにしてるのぜっ!!! はやくそのきたないてをどかすのぜっ!!!!」

「むきゅううぅぅっ!!! ぱちゅたちのあかちゃんがかわいいからって、いじわるをするなんて、げすな―――――」

「そろそろ、始めようか」

 親まりさ、親ぱちゅりー。そして、長女まりさ、次女ぱちゅりー、三女ぱちゅりー。更に四女まりさ。六匹のゆっくりが
僕に非難を浴びせてくる。五女まりさは、ゆんゆん泣きながら、

「やめちぇぇぇ!! まりしゃも、うまれちゃいよぉぉぉぉ!!!」

 そっと人差し指を離す。五女まりさがチャンスと言わんばかりに懸命に茎を揺する。しかし、五女まりさは茎から離れな
い。

「ゆゆ? ゆゆゆっ?」

「どうしたのぜ? おちびちゃん? がんばるのぜっ!!!」

「むっきゅん! はやくぱちゅおかあさんと、けんじゃなあいさつをしましょうね?」

 応援を再開する先に茎から離れた四匹の赤ゆ。“家族”の声援を受け、瞳を輝かせて再度体を揺するが、接着剤により固
定された五女まりさが、茎から離れる道理はない。

「どうしちぇっ?! どうしちぇっ…?!」

 五女まりさの目から一粒、二粒、涙がこぼれる。簡単に茎から落ちることができた四匹の赤ゆたちも、あんなに一生懸命
頑張っているのにどうして生まれてくることができないのかと、二匹の親ゆも戸惑いの表情を隠すことができない。それを
察知した五女まりさは不安に駆られたのか、茎を揺することを忘れ大声で泣き出した。

「ゆんやあぁぁぁぁ!!! まりしゃ、ゆっくちうまれちゃいのにぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 泣き叫ぶ五女まりさの姿に怯えているのか、四匹の赤ゆはぴったりと互いに身を寄せ合いその様子を見つめていた。小刻
みに震えている。僕は、五女まりさが実ったままの茎をビンから取り出した。なおも泣き続ける五女まりさに、すぐに変化
が訪れる。

「ゆぐっ……にゃんだか…、ゆっくち…できにゃく…なっちぇ…」

 当然だ。これまで五女まりさに供給されていた栄養分の源を絶った。新しい養分が得られない状態で体全体を震わせて大
泣きしていれば、赤ゆの許容量の少ない中身はすぐに底を尽きる。

「…ゆ…っ、……ぅ……、ゆっ!」

 五女まりさの顔の色が悪くなってくる。どんどん青ざめていき、額のあたりから冷や汗を流し始めた。

「ゆ゛…ゆ゛…っ!!!」

 苦しそうにうめき声を上げる。

「なにやってるのぜ、このくそじじぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

「はやく、くきさんをもとのばしょにもどしなさいっ!!!」

 さすがぱちゅりー種、と言ったところだろうか。我が子がゆっくりできなくなった理由に気付いているようだ。まりさの
方はよほど馬鹿な個体なのだろう。さっきからずっと僕に悪態をついてくるだけだ。

 僕は、あらかじめ用意していたもう一本のビンに五女まりさの実った茎を刺した。ビンには水が入っており、一応は最初
の状態に戻ったことを確認したぱちゅりーが、とりあえず安心した表情を浮かべる。

「ゆ゛ぎぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!! お゛ぎゃお゛が…い゛ぢゃい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛…ッ!!!!!」

 それもつかの間。絶叫し、顔を苦痛に歪める五女まりさを見て、ぱちゅりーが目を点にする。

 ゆっくりは、塩分が苦手らしい。僕が見た動画などには、柿の種などをゆっくりに食べさせる様子を録画したものなども
あった。“こりぇ、どくはいっちぇるっ!!!”などと言って吐き出せば済む程度のものもあれば、無理矢理タバスコを口
の中に押し込んで“毒殺”するようなものもあった。

 ビンの中に入っているのは、塩水だ。それも、かなりの濃度である。泣き疲れている五女まりさに栄養分を補給しようと、
茎がどんどん塩水を吸い上げている。結果、五女まりさの意思とは関係なしに、ひたすら体内に毒物を注入されている状態
になっているのだ。

 目は充血して、ぱんぱんに膨れ上がっている。だらしなく延ばした舌を、中身に変換できなかった塩水がそのまま垂れて
行く。

「が…ぴっ…! ゆ゛ぎ…ひぎ…ぴ…!! ぴぎゅぅ…!!!!」

 恐ろしい形相だった。まりさもぱちゅりーも、ろくに声をかけてやることすらできないほどに。五女まりさを蝕む毒物は、
容赦なくその体内に広がっている。体の小さな赤ゆならば、毒の回りも早いだろう。

「い゛ちゃい…いぢゃい………おぎゃ…じゃ…だじゅ…げ……っ! ゆ゛んぎぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!!!」

 歯を食いしばり、体中に走っているのであろう激痛に耐えようとする五女まりさ。その顔は、愛らしいと言われる赤ゆの
するような表情ではなかった。食いしばった歯の間からも、塩水と思われる液体が漏れ出している。

「お゛べべ…じみりゅぅ……!!!!」

 涙も、塩水に変わってきているのだろうか。五女まりさは顔を真っ赤にして、苦しみもがいている。

「じじいっ!! ちびちゃんをはやくたすけるのぜっ!!!」

「むきょぉぉぉぉ!!! むのうなどれいねぇぇぇぇぇ!!!!」

 僕に五女まりさを助けるよう命令してくる二匹の親。馬鹿なことを。こんな価値のない塩水まみれの一口饅頭など助けて
やる義理はない。そもそも、そんな状況に追い込んでいるのが僕だということに二匹は気づいていないのだろうか。本当に、
“可愛そうな生き物”だ。

「ゆ゛…ゆっぐ……ゆ゛ぐちぃ…!!!」

「お…おちびちゃあああああああああああああああんっ!!???」

「む…むきゅー!!! むきゅぅぅぅん!!!」

 五女まりさは一瞬だけ体全体をびくん、と震わせると、

「も…ちょ…、ゆっくち…しちゃ………か……ちゃ…………………―――――――」

「ゆ゛ぎゃあああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!????」

「ぱちゅたちの…がわいい゛、おちびちゃんがああああああああああああ!!!!!!!」

 醜い顔をガラスの壁にくっつけて、目から液体を垂れ流す二匹のゆっくり。赤ゆたちも、五女まりさの浮かべる苦悶の表
情や絶叫が頭から離れないのか、どれ一匹その場を動こうとはしない。中にはしーしーを漏らしている赤ゆもいた。

「ぐぞじじぃっ!! なんでちびちゃんをだずげな゛がっだの゛ぜぇ゛ぇ゛ぇ゛??!!!!」

 まりさが、生意気にも僕を睨みつけながら見当違いの非難を浴びせてくる。ぱちゅりーは、放心状態になっており、ぐっ
たりしていた。

「…ありすが、死んでいくのを見てたんだろ?」

「ゆゆっ!?」

 僕の言葉に、まりさの表情が一瞬変わる。

「それがどうしたのぜ!!! ありすなんかよりも、まりさたちのちびちゃんのほうがだいじにきまってるのぜ!」

 無言でまりさの言葉に耳を傾ける僕。まりさは、僕を馬鹿にしたような表情をすると、

「そんなこともわからないの? ばかなのっ? しぬのっ?!!」

 ありすの最期の表情は、悲惨なものだった。よほど、苦しい思いをしたのだろう。痛い思いをしたのだろう。ありすをそ
んな目に合わせたのが、この生ゴミみたいな糞饅頭の仕業だと思うとやり切れない。四匹の赤ゆたちが目に涙を浮かべて僕
を見上げている。

 …こんな一口饅頭五個のために、ありすは惨たらしく殺されたのだ。

 殺してやりたかった。今すぐ、まりさを箱から掴み出して、皮を滅茶苦茶に引きちぎって、目玉を抉り出して、舌を切り
刻んで、小汚い帽子を焼き払って、お下げをつかんで床に叩きつけて。形が無くなるまで何度も何度も踏みつけて、存在し
た痕跡を根こそぎ消し去ってやりたかった。

 だが、思いとどまった。それをやってしまえば、僕は必ず後悔する。

 制裁なんて自分の行動を正当化するつもりはない。目の前の糞饅頭共に反省をさせるなんて崇高な目的もない。

 憎い。

 憎たらしくて仕方がない。その感情を目の前の連中にぶつけるだけだ。

 四匹の赤ゆを睨みつける。

「ゆっくち…さしぇちぇ…?」

 させるわけがない。

「むきゅぅぅぅ!!! はなしちぇにぇっ! きょわいよぉぉぉ!!!」

「やめるんだぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

「むきゅぅぅぅ!!! きたないてでぱちゅのちびちゃんにさわらないでちょうだい!!!!」

 僕は、次女ぱちゅりーを掴み上げた。

 痛みと、恐怖を赤ゆたちに。

 絶望を、まりさと、ぱちゅりーに。

 長い長い残務処理が始まる。


八、

 脆弱なことで有名なぱちゅりー種の赤ゆのくせに、どうしてなかなか意外に頑張る。僕の手の中でもぞもぞと動き続けて
いるようだ。うっかり握り潰してしまわないように気をつけながら、もう一方の手でサランラップを取り出す。ラップを手
頃な大きさに切ってテーブルの上に敷き、その上に次女ぱちゅりーを置いた。

「むきゅぅん…むきゅぅ…きょわきゃったよぉ…」

 僕から次女ぱちゅりーが解放されたのを見て、すぐにまりさが罵声を浴びせ始める。聞き流す。

「おきゃーしゃ…」

 言いかけた次女ぱちゅりーを素早くラップにくるむ。

「むぎゅ…」

 両親に言いかけた言葉を遮られ、ラップに包まれた次女ぱちゅりーは身動きが取れずに苦悶の表情を浮かべる。ラップの
中のぱちゅりーは必死に口を動かして何か叫ぼうとしているが、それは叶わない。次女ぱちゅりーの異変に気付いたまりさ
が、再び声を上げる。

「まりさたちの、かわいいちびちゃんに…こんどはなにをしたのぜぇぇぇぇぇ!?」

 どれだけ僕に向かって叫ぼうと、まりさは透明な箱の中。僕を攻撃することも、次女ぱちゅりーを助け出すこともできな
い。無力な饅頭の戯言には耳を貸さず、僕は引き出しの中から画鋲を取りだした。身動きが取れないだけで、ラップ越しに
視界は確保されているがために、画鋲の鋭利な先端が次女ぱちゅりーの目に入る。

「……っ!!!!」

 どういうことをされるかはわからないが、これから自分が何かされる。それだけは理解したような、そんな顔だ。やはり、
他のゆっくりに比べれば、少しは頭がいいらしい。…五女まりさの最期を間近で見ているから、嫌な予感がしているだけな
のかも知れないが。

「むきゅううう!!! ちくちくさんはゆっくりできないわぁぁぁぁ!!!!」

 ぱちゅりーは、画鋲を見たことがあるようだ。

 野良ゆっくりには二種類のパターンがあるとされる。一つは、人間に飼われていたいわゆる飼いゆが捨てられて野良にな
るパターン。もう一つは、ペットショップや保健所などの公共機関から運よく逃げ出して、野良になるパターン。躾の施さ
れた個体は、それだけ人間と接した時間も長いだろう。画鋲の一つや二つ、見たことがあっても不思議ではない。あるいは、
このぱちゅりーは元飼いゆで、既に画鋲を使った虐待を受けていたのかも知れない。

 母親であるぱちゅりーの“ゆっくりできない”という言葉に次女ぱちゅりーが震えだす。怯えて一歩も動くことができな
い次女ぱちゅりーの頬のあたりに、僕は無言で画鋲を一つ突き刺した。

「~~~~~~~~~~~~~!!!!!」

 口を大きく開いて叫び声を上げようとするが、ラップに阻まれて声を出すことができない。テーブルの上をラップが右に
左に移動する。次女ぱちゅりーがのた打ち回っているのだろう。

「むきゅーー!! ちびちゃんがいたがってるわ!!! やめてあげてちょうだいぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 ころころとテーブルを転がるラップの動きを止める。二本、三本、四本…画鋲を次々に刺していく。

「むぎゃああああ゛あ゛あ゛あ゛!!! い゛ちゃい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!!!」

 口の周辺に張り付いていたラップが少し剥がれて、隙間ができたらしい。次女ぱちゅりーの絶叫が部屋を包む。泣き叫び
テーブルの上を滅茶苦茶に転がる次女ぱちゅりーに合わせて、カチカチカチカチ…と画鋲がテーブルに当たる音がする。ひ
どいメロディだ。

「ばちゅ…な゛ん゛に゛も゛わ゛りゅいごじょ…じでにゃいの゛に゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!!!」

 我が子の叫びと悲痛な訴え。圧倒的かつ理不尽な暴力の前に、まりさが激昂する。

「じね゛っ!!!! ゆっぐりできな゛い゛、くぞじじいは…っ! じね゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!!」

 ぱちゅりーは、泣きながら体を小刻みに震わせるだけで言葉を発することができない。激痛に悶える次女ぱちゅりーに、
焦点の定まらぬ視線を送っていた。

 何も悪いことをしていない。それは、ないだろう。ありすの命を奪って生まれてきた存在のくせに。自分が生きるためだ
けに、ありすからどんどん養分を吸収していったくせに。我が身可愛さで、ありすを殺したくせに。

 僕は画鋲を次々、次女ぱちゅりーに刺してやった。口の辺りのラップが剥がれたのは都合が良かったかも知れない。痛み
を訴え、絶叫して、泣きながら“もうやめて”と懇願する泣き声を聞くことができたからだ。

「やめるんだぜえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛!!!!!!!!!」

 箱の中からまりさが大声を上げる。既に次女ぱちゅりーは顔の半分以上を画鋲で覆われ、痙攣を起こしている。僕は、そ
の次女ぱちゅりーを軽くテーブルに押し付けた。既に刺さっている画鋲がさらに体内深くに入り込み、ラップが二度三度と
その場で跳ねあがる。

「やめろ…だって?」

 まりさに向き直る。まりさも、ぱちゅりーも、ぼろぼろ涙を流していた。顔を歪ませ、僕に明確な殺意の籠った視線を投
げかけてくる。

「よく、そんな事が言えたもんだな」

「どぼじでごんな゛ごどずるの゛ぉ゛ぉ゛!! ごんな゛に゛ゆっぐり゛じだちびちゃんな゛の゛に゛ぃ゛ぃ゛!」

 まりさの言葉に、残り三匹となった赤ゆたちのすすり泣く声が聞こえ始めた。気に入らない。最後の最後まで悲劇のヒロ
インぶるつもりなのだろうか。

「お゛ぎゃ…じゃん…い゛ちゃい゛…よ゛ぉ……っ! ゆっぐぢ…でぎにゃい゛よ゛…」

 次女ぱちゅりーの二つの目玉以外の全ての場所が画鋲で覆われる。口周りにも突き刺さっているため、再び声を上げるこ
とができなくなったようだ。画鋲に覆われた次女ぱちゅりーが、力なく震えている。

「痛いだけ、だろ?そんなに騒ぐなよ」

「ゆ゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!????」

「中身がなくならない限り、死なないんだろ?じゃあ、別にいいじゃないか」

 次女ぱちゅりーをラップにくるんだ理由は、身動きできなくさせるためではない。破れた皮や嘔吐によって、中身が流出
するのを防ぐためだ。ゆっくりは、中身が三分の一以下にならない限り、死ぬことはない。

「ぞう゛い゛ぅ゛もんだいじゃ、な゛いでじょぉぉぉぉぉ?!!!」

 “だぜ口調”が消えるほどに、余裕がなくなってきているようだ。ぱちゅりーは既に中身である生クリームを吐き出して
いる。

「ありすも…“やめて”って言ったんじゃないのか?」

「ありすなんてどうでも――――――」

「お前らの命なんてどうでもいいんだよ」

「ゆゆっ!?」

 まりさが目を見開いて僕を睨みつける。

「ありすなんがより゛、ま゛りざだぢのほうががわ゛い゛いでじょおぉぉぉぉぉ!!???」

 衝動的に、画鋲まみれの次女ぱちゅりーを掴み、まりさの箱のガラスに向かって全力で投げつけた。凄まじい音と共に、
叩きつけられた衝撃で次女ぱちゅりーが爆散する。その皮に突き刺さっていた画鋲がぱらぱらと床に散らばっていく。床に
は申し訳程度に生クリームが落ちていた。

 箱の中のまりさを取り出して、金色の髪を掴んでぶら下げたまま、何度も何度も殴りつける。

「ゆ゛あ゛あ゛あ゛!!!! い゛だい゛よ゛お゛お゛お゛!!!!!!!」

「はぁ…っ、はぁ…っ、…っ、はぁ…!!!!」

 顔のそこかしこがへしゃげたまりさを箱の中に叩きつけて、蓋をする。

「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ…」

 危なかった。危うく、殺してしまうところだった。ぼろ雑巾のようなまりさを箱の上から見下ろす。まりさは、怯えなが
ら僕を弱々しく見上げていた。

 長女まりさ。三女ぱちゅりー。四女まりさ。三匹は身を寄せ合って部屋の隅で泣きながら震えていた。頼みの綱であった
だろう強いお母さんまりさは、僕に執拗に殴られて虫の息だ。赤ゆたちも理解したのだろう。自分たちが、いかに無力な存
在であるかということを。そして、無力な存在の末路は、ご覧のとおりだ。

「やめちぇ…」
「ゆっくち…っ! ゆっくち…っ!」
「むきゅぅん…たちゅ…けちぇ…」

 蚊の鳴くような声で僕に命乞いを始める。その声に反応したのか、ぱちゅりーが箱をがたがたと揺らし始めた。そちらに
目を向ける。ぱちゅりーは、額を箱の床にこすりつけていた。

「にんげんざん…おでがいじばず…おでがいじばず…ちびちゃんたちだけは…だずげでちょうだい…」

「助けてやる理由がない」

「ごべんなざい!! ぱちゅたちがわる゛がっだでず!! もうじばぜん…もうしませんがらぁぁぁぁ!!!!!」

 ぱちゅりーの入った透明な箱を足の裏で蹴り飛ばす。箱の中に凄まじい衝撃が走ったのだろう。ぱちゅりーが涙を流した
まま、目を点にしている。

「もう、しません…だと。この糞饅頭が…ふざけるのも大概にしろよ…っ!!!」

 拳を握りしめる。ぱちゅりーは、僕から視線を離そうとしない。本気で、懇願しているらしい。虫の良すぎる話だとは思
わないのだろうか。

「ありすも言ったんじゃないのかっ?!お前らに…“やめて”、“助けて”って……言ったんじゃないのかっ!??」

「むきゅう………いってました………」

「それで、やめてやったのかっ!?助けてやったのかっ!?」

「や…やべばぜんでじだぁ………! ごべんなざい…ごべんなざい…!!!」

「命乞いするありすを無視して殺しておいて、僕に命乞いして自分たちが助かるなんて…思ってんじゃねぇよ……っ!!!」

 もう一度、箱を蹴りつける。

「む…むきゅぅう…ごべ…なざ…!! ぱちゅ…どうじでもおちびちゃんがほじぐで……」

 たったそれだけの理由で、ありすを無理矢理襲って子供を生ませて殺したというのだろうか。

「ぱちゅたちも…ありすをずっとゆっぐりざぜだけど…にんげんざんだって…ぱちゅたちのちびちゃんを…っ!!!!」

「は…?だから、何だって言うんだ…?おい、こら。言ってみろよ」

「にんげんざんもぱちゅたちのちびちゃんをずっとゆっぐり゛ざぜだんだから…もう、いいでじょおぉぉ!!!????」

 頭に一気に血が上るのを感じた。つまりなんだ。“おあいこだから、もうやめろ”とでも言っているのか。こんな一口饅
頭二個潰したくらいで、ありすの味わった苦しみに届くはずがないだろう。どこまで…どこまで、悲劇のヒロインであり続
けようとするつもりなのだろうか。怒りを抑えることができない。信じられない。これが、ゆっくりという生き物か。

「そんなに子供が欲しければ…まりさと作れば良かったじゃないか…っ!!!!」

 まりさを箱から取り出す。髪を掴み、ぶら下げたまま冷蔵庫の前に移動し、その中に入っていたオレンジジュースを取り
出した。乱暴にまりさに振りかける。

「ゆ…ゆゆゆっ!!!」

 まりさの表情に覇気が戻る。どれだけ殴っても、蹴りつけても、泣かせても、苦しめても、これですぐに元通りだ。死ん
でさえいなければ、これだけで回復できる。

「は…はなすのぜ…っ!!! おろすのぜ…っ! ゆ? ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ……っ」

 僕はまりさをぶら下げた状態で振動を与えた。すぐに発情し始めるまりさ。頬を染めて、目元と口元がだらしなく力を失
っていく。

「や…やめるのぜ…っ!!!!」

 振動を与え続ける。まりさの顎のあたりから、ぺにぺにが伸び始めた。…このクソみたいな突起物で、ありすは犯されて、
殺されたのだ。そのぺにぺにを切り落としてやりたい衝動に駆られたが、無理矢理抑え込んでぱちゅりーの入った箱の元へ
歩みを進める。

 ぱちゅりーは、これから何をされるか理解したようだった。唇を小刻みに震わせる。

「む…むきゅ…っ! むきゅきゅ…っ!!!」

「…大好きなまりさと、すっきりー!させてやるよ」

 ぺにぺにを延ばしきったまりさをぶら下げたまま、次はぱちゅりーに振動を与える。ぱちゅりーは、まりさよりも早く興
奮状態へと変化していった。

「やめ…やめるのよぉぉぉぉ!!!!」

 何を言っているのだろう。ありすに、全く同じことをしようとして、全く同じことを言われたくせに。

「ゆああああああああ!!!!!」

 まりさのぺにぺにをぱちゅりーのまむまむにねじ込むように挿れる。

「や゛べでちょうだい゛い゛い゛!!! ゆっぐり゛でぎなぐな゛っちゃうぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ!!!!!」

「ずっぎりじだぐないぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 どこまで身勝手な奴らだろう。嫌がるありすを無理矢理すっきりー!させて、子供を生ませようとしたくせに、いざ自分
たちが同じ状況に置かれると馬鹿みたいに騒ぎ出す。こんな…こんな奴らに、ありすを奪われてしまったというのだろうか。
あまりにも、理不尽すぎる。

 そんなことを考えているうちに、二匹はすっきりー!してしまったようだ。二匹の快感に悶える表情を見なかったのが幸
いだったろうか。もし、見ていたらその場で二匹とも踏みつぶしていたかも知れない。

「あ…あぁ………、あぁ…っ」

 ぱちゅりーが、自身の頭から伸びた茎を見て、がくがく震えている。赤まりさが一匹。赤ぱちゅりーが二匹。ぺにぺにを
収縮させながら、果てたまりさがひくひくと体を震わせている。

 三匹の赤ゆたちが、ぱちゅりーの元に集まってきた。床の上を一口饅頭がちょろちょろと移動してくるのが、癇に障る。

「いもうちょ…?」
「まりしゃたちのいもうちゃだにぇっ!!!」
「むきゅぅぅぅ!! きゃわいいにぇ~!!」

 呑気な歓声を上げる赤ゆたちとは裏腹に、ぱちゅりーの額からは冷や汗が絶え間なく噴き出していた。ありすの最期を見
ているからこそ、最後に自分がどうなってしまうのかをわかっているのだろう。恐らくは、僕の意図も。

「に…にんげんざ…」

「やるわけねぇだろ。自分の子供に養分吸われて、死ね」

「む…ぎゅぅぅぅん!!! おねがいよぉぉぉ!!! ぱちゅにごはんさんちょうだい~~~っ!!!」

 僕は忘れていない。あのありすが殺された日、床中にゆっくりフードが散乱していたことを。こいつらは、自分たちでゆ
っくりフードを食べ散らかすだけで、瀕死のありすには何も食べさせようとはしなかった。あるいは、食べさせようとした
のかも知れない。しかし、ありすに生えた二本の茎による養分吸収は想像以上に早かった…というところだろうか。いずれ
にせよ、このぱちゅりーには、ありすと同じ最期を迎えて貰うことにする。

 まりさが、ぱちゅりーの頬をぺーろぺーろしたり、すーりすーりしたりして慰めている。蹴り飛ばす。壁に叩きつけられ
たまりさが、切れ切れに呼吸をしている。虫の息だ。

 誰にも慰めてもらえずに、一匹寂しく死んでいったありすの気持ちを知れとは言わない。孤独のうちに、我が子に殺され
る絶望を味わえ。

「ちびちゃ…ゆっく…ゆっくりして、ちょうだい…」

 赤ゆによる養分の搾取が始まったのだろう。ぱちゅりーが歯を鳴らしながら、恐怖に顔を引きつらせる。赤ゆたちは、親
であるぱちゅりーの養分を吸収することで元気が湧いてくるのか、楽しそうにゆらゆら揺れている。

 親の心、子知らずとはよく言ったものだ。

 初めに変化が訪れたのは、母体であるぱちゅりーの方だった。歯を食いしばり、目を見開き、汗をだらだらと流しながら、
苦悶の表情を浮かべる。呼吸は荒く、涙がとめどなく溢れてきた。既に顔面蒼白で、虚ろな眼差しを宙に向けている。それ
とも、自分の命を容赦なく奪って行く茎に実った我が子を力なく睨みつけているのだろうか。

「ち…ちびちゃん…もっと、ゆっくりして…」

「ゆゆーん!まりしゃたちはゆっくちしちぇるよっ!!」
「ゆっくち!! たのしぃにぇっ!!」
「むっきゅんっ!!!」

「かひっ…、こひゅっ…」

 ぱちゅりーの呼吸がおぼつかなくなる。目は既に白目を剥いている。中身が三分の一を下回ろうとしているのかも知れな
い。それにも関らずに、三匹もの赤ゆはぱちゅりーから養分を吸い上げ続ける。

「ちびちゃ…もう、……やめ…て…」

「なにいっちぇるの? それじゃあ、まりしゃたちゆっくちうまれりゅこちょができにゃいよっ?」
「りきゃいできりゅ?」

「………む、きゅぅ……………」

 ふと。

 ありすも、こんなことを言われたのだろうか。自分たちに養分を与えてくれるありすに感謝の意を示さず、それをさも当
然のように振る舞い、拒もうとするありすを非難する。

 放っておいても、ぱちゅりーはすぐに死ぬだろうが、僕は少しだけその死期を早めさせることにした。

「びきゅっ!!」
「ぴゅべっ!!!!」
「む゛ぎゅっ!!!」

 茎にぶら下がった赤ゆたちに一匹ずつデコピンを食らわせる。顔面に走った凄まじい衝撃に、ぎゃーぎゃー泣き喚く赤ゆ
たち。当然、赤ゆたちの中身の消費が加速し、そのしわ寄せは母体であるぱちゅりーの養分吸収に回される。

「ゆ゛ぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!!!」

 ぱちゅりーの頬が痩せこけていく。皮が固くなり始めていた。中身を失った場所から、どんどん黒ずんでいく。支えを失
った歯が、一本、また一本と抜け落ちていく。凄まじい光景だった。意識を残したまま、体が崩れていく。

「…ゆ゛ひっ……い゛ぎ………ぎぃ…………っ、ぃぃ゛…ぃ…!!!」

 僕は、ありすの最期に立ち会うことができなかった。ありすも、こんな風に苦しんで、朽ち果ててしまったのだろうか。
目の前のぱちゅりーは、既に物言わぬ饅頭と化していた。

 それでも、泣き止まない赤ゆたちは、ぱちゅりーの養分の残りカスをまだ吸い上げようとしている。

「ゆ…?」

 最初に異変に気付いたのは赤ぱちゅりーのうちの一匹だった。自分たちの体内に養分が来ない。考えていることは概ね、
そんなところだろう。

「い…いちゃ…ぃ…?」
「ゆっくち、できにゃ………」
「ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛」

 三匹それぞれが、おぞましい形相に変わっていく。自分たちのかれた状況が信じられないとでも言いたげだ。表情から覇
気がなくなり、唇を震わせている。張りを失った顔の皮は、しわくちゃになり始めていた。

「ゆぁ…だじゅげちぇ…」
「ゆんやあああああ」
「いぢゃい゛ぃぃぃぃ!!!」

 当然だろう。母体である成体ゆっくりのぱちゅりーでさえ、耐えられなかった激痛が実って十分経つかどうかの一口饅頭
を襲っているのだ。その痛みに、耐えられるわけがない。

 一匹、また一匹と、黒ずみ朽ち果て死んでいく。最後の一匹が泣きながら僕に助けを求めてきたが、僕はその赤ゆに冷や
やかな視線を送るだけだ。

「もっちょ…ゆっくち…しちゃか…………………」

 三匹の赤ゆがこの世に生を受けて、あっというまに死んだ。この程度の命なのだ、こいつらなんて。歯車を一つ止めてや
るだけで、すぐに壊れてしまう不良品。修理はできないし、しようとも思わない。

「ぱちゅりー………?」

 ようやくお目覚めのまりさが、顔を真っ青にしてずりずりと変わり果てたぱちゅりーの元に這い寄ってくる。声も出さず
に涙をはらはらと流しながら、舌先をぱちゅりーの頬に当てる。

「ぺーろ、ぺ…っ!!」

 舌先の触れた頬は、がさり、と崩れ落ちた。空っぽの中身が視界に入る。

「う…う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!」

 絶叫するまりさの元に、三匹の赤ゆたちがぴょこぴょこと跳ね寄ってくる。

「ゆぐっ…ひっく…!!」

 泣き続けるまりさのあんよの辺りを赤ゆたちがぺろぺろと舐めている。…ゴミがゴミを慰めている姿ほど、滑稽に映るも
のはないな。

「おきゃーしゃん…」
「ゆっくちしちぇ…?」
「しゅーり、しゅーり…」

 馬鹿馬鹿しい。ありすを殺した連中が、何を慰め合っているというのだ。すると、まりさが何かを決意したかのように三
匹の前に出ると、僕に対して威嚇を始めた。自分でもわかっているのだろう。それが、無駄な行動であるということを。頬
に空気を溜めただけで、表情は恐怖に支配されて怯えきっている。

「ちびちゃんたちは…まりさが、ぜったいにまもるよ…っ!!!」

「やってみろよ」



九、

 僕は頬を膨らませたまりさを足で軽く蹴ってどかすと、その後ろに隠れて身を寄せ合い震えていた赤ゆのうちの一匹。長
女まりさを掴みあげた。

「ゆゆっ?! やめちぇにぇっ!! おろしちぇにぇっ!!!」

 長女まりさが、あんよをくねらせて抵抗する。手も足もないゆっくりは持ち上げられればそれで終わりだ。どんなに足掻
いても、危機的状況を回避することはできない。つまり、ここからの抵抗はもう既に無意味なのだ。

 僕は再び瞬間接着剤を取り出すと、その先端を長女まりさのあにゃるに差し込んだ。

「ゆ゛ぎぃ゛ぃ゛ぃ゛っ!!!」

 うんうんすら捻りだしたことのない、あにゃるが異物によって押し広げられる。歯を食いしばり、突如自身を襲った痛み
に耐える。僕はその中に接着剤を注入し、その状態のままゆっくりとあにゃるから引き抜いた。

「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛…っ!! にゃんだか、あにゃるがむじゅむじゅしゅるよぉぉぉぉぉ!!!!」

 本当ならあにゃるの周りを床にこすりつけたりして、そのむずむずを回避したいところなのだろうが、それはさせない。
床と固定なんかしてしまったら堪らない。引きはがす過程でぽっくり死んでしまうかも知れない。

「おちびちゃんを…はなせぇぇぇぇ!!!!」

 果敢にまりさが体当たりを仕掛けてくる。僕はまりさの動きに合わせて、つま先でまりさの顔面を捉えた。カウンターを
合わせられたまりさは、顔の中央部をべっこりとへこませてまた、床をごろごろと転がっていく。すぐに起き上がって、苦
痛に顔を歪めながら、再度攻撃を仕掛けてくる。

 最愛のぱちゅりーを殺されたことで、まりさの中に強い意志が宿ったらしい。生き残った我が子を、必ず守ってみせる。
その表情からは、そんな決意が感じ取れた。

「ぶへぇぇっ!!!」

 しかし、これが現実だ。再び、蹴り飛ばされて壁に叩きつけられるまりさ。今度は、その場からすぐにあんよを動かせは
しなかったものの、その目はずっと僕を睨み続けていた。

 僕は長女まりさを床に降ろした。

「ゆ? ゆゆっ?」

 始めのうちは混乱していたようだったが、自身が解放されたということに気付くと、まりさの元へぴょんぴょん飛び跳ね
て逃げ出した。

「ゆっくちこわかっちゃよぉぉぉぉぉ!!!! ゆぅん、ゆぅん…!!!」

 まりさの頬辺りにめちゃくちゃにすーりすーりする、長女まりさ。三匹の赤ゆがまりさの元に集結する。生意気にも、生
き残った“家族”が総出で僕を睨みつける。

「ぱちゅおきゃーしゃんをゆっきゅりできなくさせちゃ、げしゅなにんげんしゃんはちにぇっ!!!」

 四女まりさが僕に向かって叫ぶ。

 僕は、そんな連中の目の前に、ゆっくりフードを置いた。饅頭共が目を丸くする。

「食え」

 まりさは、僕のことを睨みつけたまま動かない。動かないのは、三匹の赤ゆたちも同じだ。

「ゆっくち…?」
「ゆ? ゆゆゆ…?」
「む、むきゅぅ…?」

 危機意識が圧倒的に欠如している、ゆっくりたちもさすがに僕の差し出した餌にすぐに手をつけようとはしなかった。ま
りさが、床に置かれたゆっくりフードを覗き込みながら、顔をかしげている。そのとき、四女まりさがまりさの横をすり抜
けてフードの一粒にかぶりついた。

「ち、ちびちゃ…っ!!!」

「むーちゃ、むーちゃ、しあわちぇええええええ!!!!」

 四女まりさが、口の中のフードを咀嚼しながら歓声を上げる。これに、長女まりさと三女ぱちゅりーも続いた。

「「むーちゃ、むーちゃ、しあわちぇぇぇぇぇぇ!!!!」」

 同様に、歓声を上げる。まりさは、そんな我が子たちの幸せそうな顔に、怪訝そうな表情を浮かべてその場を動こうとは
しない。ここまで、追い込まれてようやく危機意識が芽生えるとは。街の片隅からゆっくりの死体がなくならないわけだ。

「ちびちゃん…ほんとうに、なんともないのぜ…?」

「ゆゆっ! おきゃーしゃんもいっちょにむーちゃ、むーちゃしゅるのじぇっ!!」

 四女まりさが、まりさにゆっくりフードを食べるように促す。まりさは、一瞬だけ僕のことを睨みつけるとおずおずとフ
ードに口をつけた。器用に舌の上にフードの粒を乗せて口の中に入れる。

「……むーしゃ、むーしゃ…しあわせ…」

 三匹の赤ゆほどの歓声は上げないものの、表情は緩んできている。しかし、僕の視線に気づいたのか、すぐに唇を噛み締
めてまた睨みつけてきた。

「なんの…つもりなのぜ?」

 まりさが、僕に問いかける。僕は答えずにその場を去る。背後からは、赤ゆたちの歓声が上がるのが聞こえた。僕は、き
っと陰鬱な笑みを浮かべていたことだろう。僕の意図に気付かず、間抜けな饅頭共が次々に与えられた餌を貪っている。

 ここまでの出来事で、あの四匹は精神的に相当追い込まれているはずだ。空腹にならないわけがない。まして、生まれ落
ちてから、ひたすら泣き続けている赤ゆの異常なまでの空腹は、想像に難くない。

 きっと、あの餌を食べられるだけ、食べ続けるだろう。…ありすと、違って。

 僕は、戸棚の中からカップラーメンを取り出すと、電気ポットの中のお湯をそれに注いだ。相変わらず、赤ゆたちの耳障
りな声が響くが、それも今のうちだ。

 カップラーメンをすすりながら、あの一家の会話に聞き耳を立てる。

「ゆっくち~~~~!!!」
「おいちぃよぉ!!!」
「ゆっくちできりゅわぁ!!!」
「ちびちゃん、おなかいっぱいたべるのぜっ!!!」

「「「ゆっくち、りかいしちゃよっ!!!」」」

 そうだ。食べるといい、お腹一杯。カップラーメンの残り汁を飲み干してから、それをゴミ箱に投げ込み再びまりさ一家
の元に足を運ぶ。

「ゆっ? おにゃかいっぱいになっちゃら、うんうんしちゃくなってきちゃよっ!」

 ちょうどいいタイミングだったようだ。僕は冷めた視線を長女まりさに向けていた。最大許容量の多い、親であるまりさ
以外はお腹一杯になってしまっているのか、少しだけ顔回りの大きくなった赤ゆたちが一直線に並ぶ。

「「「うんうんしゅるよっ!!! しゅっきり~~~~~!!!!」」」

 三匹の赤ゆが、顔をに力をかける。三女ぱちゅりーと四女まりさのあにゃるから、錠剤ほどのうんうんが排出される。

 しかし。

「ゆ? ゆゆっ?」

 長女まりさのあにゃるからは、一向にうんうんが出てこない。再び力をかける。出ない。

「ゆ? ゆぇっ?」

「ちびちゃん、どうしたのぜ? はやく、うんうんして、すっきりーするのぜ?」

「でにゃいよ…」

「ゆ?」

「まりしゃの…うんうんが…でにゃいよぉぉぉぉぉぉ!!! どおちちぇぇぇぇぇ?!」

 当たり前だ。長女まりさのあにゃるには、接着剤が内部に注入されている。それはとっくに固まって、長女まりさのうん
うんが通るべき道を遮断している。どれだけ力をかけても、あにゃるからうんうんが出てくることはない。

「ゆあああああああんっ!!! ぽんぽんいちゃいよぉぉぉぉぉ!!!!」

「ち…ちびちゃん、おちつくのぜっ! だいじょうぶなのぜっ!!!」

「うんうんしちゃいよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 僕が、笑みを浮かべているのに気付いたのか、まりさが僕の足元に飛び跳ねてくる。そして、顔を膨らませながら、

「くそじじぃっ!! ちびちゃんになにをしやがったのぜっ?!」

「知らないよ。そんなことより、早く助けてやれよ。苦しそうだぞ…?あのゴミ」

「ゆぐぅっ!! まりさのだいじなちびちゃんは、ごみなんかじゃないのぜっ!!!!」

「まぁ、いいや。守るんだろ。子供を。僕なんかにかまってる暇は、ないんじゃないのか?」

 まりさは、苦虫を噛み潰したような顔をして、長女まりさの元へ戻っていく。長女まりさは、大泣きをしていた。姉妹で
ある、二匹の赤ゆたちも長女まりさのあにゃる周りや、頬を舐めている。

「ゆぅ…うんうんしゃん、ゆっくちしにゃいで、でてきちぇにぇ…? まりしゃ、くりゅしそうぢゃよ…?」
「むきゅぅ…。 ぺーりょ、ぺーりょ…どうちて、うんうんしゃん、でちぇこにゃいのぉ…?」

 慰められている長女まりさの目からは、涙が溢れて止まらない。恐らく、勢いに任せてフードを食べたから、あの膨れた
体の中には変換された大量の餡子が詰まっているはずだ。心なしか、皮がぱんぱんに張っている。他の二匹の排出したうん
うんを見ても、余分な餡子の量は凄まじいものがあるのだろう。

 長女まりさの顔はひきつっている。顔面蒼白で、冷や汗を流し、行き場のない中身の餡子による内側からの蹂躙に歯を食
いしばり、耐えている。

「い゛ちゃい゛…っ!! い゛ぢゃい………、おぎゃーじゃ……、ゆっぐぢさしぇ…ぢぇぇ…」

「ゆあああああああ!!!! おちびちゃああああああああん!!!!!!」

 僕は、まりさの頬を突きながら、耳打ちする。

「…どうした?早く、助けてやれよ」

「う…う゛る゛ざい゛の゛ぜぇぇぇぇぇ!!!!」

 まりさが、長女まりさを仰向けにして、あにゃるを調べる。まりさが、苛立ちを隠せない様子で長女まりさに怒鳴りつけ
た。

「ゆぐぅ……っ!! ちびちゃんっ!!! もうちょっとがんばって、ちゃんと、うんうんするのぜぇぇぇぇぇぇ!!!」

「ゆぅぅぅぅぅぅぅ?! おきゃーしゃん…どおちちぇ…」

「おちびちゃんのあにゃるはどこもへんじゃないのぜっ!!」

「で…でみょ…でみょぉ……っ!!!!」

 まりさが、我が子に威嚇をする。長女まりさは、

「ゆっぴゃあああああああ!!!!」

 あまりの恐怖に飛び上がって、しーしーをぶちまける。

「ご…ごめんにゃしゃいっ! ごめんにゃしゃいっ!! …うんうんしゅりゅよ…っ!! …っ!! んゆぅ…っ!!!」

 まりさが、守るべき我が子を凄まじい形相で睨みつける。やはり、野良ゆっくり如きに母親の“真似ごと”などできるは
ずがないのだ。…わざわざ、こうなるように、あにゃるの内側に接着剤を注入した、僕が言えた立場ではないのだが。

「んんぅぅぅぅっ!!! ゆぅぅぅぅぅっ!!! …んゆぎぃぃぃぃぃぃっ!!!」

 母親である、まりさの言葉を信じて、長女まりさが更に顔に力を込める。歯を食いしばり、顔を真っ赤にして泣きながら。

「んんんっゆぎぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!! い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛っ!!!!!!!!!!」

 それでも、どんなに力を込めても、うんうんは、出ない。極度の腹痛状態で力をかけるものだから、長女まりさのぽんぽ
んは更に痛めつけられる。長女まりさが、力をかけるのをやめる。涎を垂らしながら、まりさに訴える。

「でにゃい…でにゃいよぉぉぉぉぉっ!!! おぎゃーじゃん…だじゅげちぇ…たじゅけ…ちぇぇぇぇ!!!!!!!

「う…うぁ…、ゆぅ…ゆぐぅ…ゆぅぅぅぅぅぅっ!!!!」

 まりさが、泣きながら僕を振り返る。

「…おでがいじばずっ!!! おちびちゃんを…だずげであげでくだざいぃぃぃぃぃぃっ!!!!!!!」

 まるで、土下座をするように、額を床にこすりつけるまりさ。何度も、何度も、その額を床に打ち付ける。

「おちびちゃんは……おちびちゃん、だけは…っ!!! だずげでぐだざいっ!!!」

 “お願いします”を繰り返す。僕は、唇を噛み締め、拳を固く握った。

「ありすの“お願い”を聞かなかったお前らの“お願い”を、僕が聞いてやるわけないだろう」

「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ…………!!!!!」

 僕を睨みつける。まりさの額は、少しだけ破れて中から少量の餡子が漏れ出していた。まりさは、本気で土下座をしてい
たのだろう。

「ゆげぇっ!!! んゆげぇっ!!!!」

 長女まりさの嗚咽の声に、まりさが慌てて駆け寄る。長女まりさは、中身の餡子を大量に吐き出していた。

「おぎゃ…じゃ…ぐりゅぢぃ…ぐりゅぢぃよぉ…!!! まりしゃ…もう…がんばりぇにゃいょぉぉぉぉぉ……」

 力なく、長女まりさが訴えかける。

「おちびちゃん!!! なかみをはいちゃだめなのぜっ!!! ずっとゆっくりしちゃうのぜっ…!!!!」

 泣きながら、長女まりさに応える。まりさも、必死だった。長女まりさの頬に自分の頬をすり寄せ、舌を這わせる。涙を
流しながら、どうにもできない無力な自分を呪いながら。それでも、まりさは、長女まりさに何かしてやらなければ気がす
まないのだろう。

「ぺーろぺーろ…っ! すーりすーりっ! おちびちゃん…っ!! ゆっくり…ゆっくりするのぜ…っ!!!」

「おきゃ…しゃん…………」

 長女まりさが吐いたのは、恐らく自分の中身の餡子。排出しようとしている“うんうん”はいわば不要となった餡子。

 つまり、中身としては別物なのであろう。正直、長女まりさが中身を吐いたとき、口もホッチキスか何かで止めておけば
良かったと思っていた。しかし、あの長女まりさの苦しみ方は尋常じゃない。二匹の姉妹は、もうどうしていいかわからず
に、ただ涙を流してその場を動けずにいた。

「もっちょ……ゆっくち……………………」

 最後に、もう一度、中身の餡子を吐きだして、長女まりさはその命の灯を消した。

「ゆ゛…ゆ゛ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 まりさが、これまでにない絶叫を部屋に響かせる。

「どぼじで……っ!!! どぼじでっ!!! …どぼじでぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

 長女まりさの頬に自分の頬を何度もすり寄せる。それでも、長女まりさは動かない。

 “うんうんがしたい”。

 望んだことは、たったそれだけ。しかし、ただそれだけの望みも叶えさせてもらえずに、長女まりさは二度と動かなくな
った。不思議と、何の感情も湧かなかった。

 僕は、ありすが今際の際に何を望んだかは知らない。知らないが、ありすの望みは叶えられることなく、死んでしまった。

 ありすは、僕を非難するだろうが。それでも、僕は、

(―――――――――ざまぁみろ)

 そんなことしか、頭の中に湧き上がってこなかった。



 残るは、三女ぱちゅりーと四女まりさ。それに、母親であるまりさの三匹だけとなった。

「きょわいよぉぉぉぉぉぉっ! おきゃあしゃあん…!!」
「ゆぅん、ゆぅん……っ!!!」

 僕は、まりさと二匹の赤ゆを透明な箱に閉じ込めた。まりさは、心ここにあらずと言った様子で、我が子の移動するスペ
ースを確保するために、壁の端に寄り虚空に視線を投げていた。虚ろな目の先に、一体何を見ているのだろうか。僕によっ
て殺された、三匹の子供と、最愛のぱちゅりー。見えもしない、幻を…見ているのだろうか。まりさは、一点を見つめたま
ま、動かない。

 長女まりさが、死んでから既に半日が経過している。半日間、三匹はずっと透明な箱の中だ。

 相変わらず馬鹿みたいに動きまわって泣き叫ぶしか能のない、三女ぱちゅりーと四女まりさは、再び空腹になる頃だ。僕
は、風呂場に行って、ボディソープの容器についているポンプ付きキャップだけを取り外して、持って来た。それを流し台
の水で丁寧に洗う。

 そろそろ、“餌”を与えてやる時間だ。そうしないうちに、二匹の赤ゆ共が騒ぎ出すだろう。

「ゆぅぅぅ…おきゃあしゃん…」
「むきゅぅ…ぱちゅ…おにゃかしゅいたよぉ…」

 案の定だ。ここまで行動パターンの読み易い生物もそうはいまい。二匹の訴えにも、まりさは曖昧な受け答えをしていた。

“ちびちゃんたちは…まりさが、ぜったいにまもるよ…っ!!!”

 まりさにとっては、そう宣言した直後に救うことができなかった長女まりさのことが頭に焼き付いて離れないのだろう。
虚脱感。まりさに、初めの頃の威勢はもう微塵もなかった。

「おきゃあしゃん…?」
「ゆっくち…しちぇ…?」

 まりさが、自分に話しかけてくる二匹の我が子に視線を向けた。自然と涙が溢れ出してくる。

「おきゃあしゃん…どおちちぇ…ないちぇるの?」
「ゆっくちしちぇにぇ…? しゅーり、しゅーり…」

 三女ぱちゅりーと四女まりさが、まりさを励ます。僕はその様子をずっと見ていた。

「ちびちゃん……」

 まりさが、僕の方をちらりと見る。僕と、目が合う。何が言いたいかは、分からないでもない。

「にんげんさ…」

「駄目だな」

「ゆ゛ぐ…ぅ…っ!!!」

 だんだん、赤ゆ二匹の動きが少なくなってきた。顔色も良くない。中身が、なくなってきたのだろう。特に三女ぱちゅり
ーの様子がおかしい。

「む゛ぎゅ……ぎゅ…きゅぅん…」

「ゆぐぅ……っ、ゆっぐぅぅぅぅぅぅ!!!!」

 まりさは、もう理解しているのだ。三女ぱちゅりーが何を理由に苦しんでいるのか。そして、自分がそれに対して何もし
てやることができないということも。

「…ゆっくりしていってね…。 ゆっくりしていってね…。 ……ゆっくり……するのぜぇ………」

 自慢の挨拶の言葉を、こんな悲しそうに言うゆっくりは初めて見た。

「まりさ」

 僕のかけた言葉に、反応する。顔をぐしゃぐしゃにしたまりさの前に、四女まりさが立ちはだかった。

「ちびちゃ…」

「おきゃあしゃんを…いじめりゅにゃなのじぇっ!!! ぷきゅぅぅぅぅ!!!!」

 ピンポン玉が威嚇してくる。もう、このぐらいでは衝動に襲われることはなかった。せっかくここまで我慢したんだ。今
更、一口饅頭に威嚇された程度で僕の心は揺るがない。

「ちび。餌食わせてやるよ」

 まりさの顔が変わる。威嚇をしていた四女まりさも、威嚇を解く。小刻みに震えた三女ぱちゅりーは、

「む…きゅ……にゃにか…たべ…させ…ちぇ…ちょうだい…」

 瀕死の状態にまで陥っている。まりさが、顔を箱に押し付けて、

「ありがとうなのぜっ!!! ありがとうなのぜっ!!!!」

 ぼろぼろ涙を流しながら、礼を言う。僕は、先ほど風呂場から持ってきたシャンプー容器のポンプの管をまりさに向ける。
そして、素早くまりさから帽子を奪った。

「はやく…たべさせてあげてほしいのぜっ!!!」

 …帽子を失ったことにも、動じないか。まりさの頭の中には、もう我が子のことしかないのだろう。僕は露わになったま
りさの金髪の頭頂部に、ポンプの管を深々と突き刺した。

 まりさの目玉がぐるりと引っくり返る。

「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!!!!!!!!!!!」

 小さな透明の箱の中でまりさの絶叫が反響して、びりびりと揺れる空気が二匹の赤ゆを襲った。四女まりさは、母親の凄
まじい絶叫にすっかり怯えてしまい、箱の中でしーしーを漏らして動けないでいた。

 僕は、暴れるまりさの頭を抑えつけて、二度、三度とポンプを勢いよく押してやった。

「あ゛っ!!!! がっ!!!! ひぎぃっ!!???」

 何度も何度も押しているうちに、少しだけ見えた透明の管が黒くなった。ポンプに吸い上げられて、まりさの中身がここ
まで上がってきたのだろう。

「や…やべで…っ!!! い゛だい゛っ…!! ゆっぐり゛できな゛い゛………っ!!!!」

「まりさ。自分の子供を助けてやりたいんだろ…?食べ物を与えてやれよ」

 再び、ポンプを押す。まりさの頭に突き刺さったポンプから、黒いものがどちゃどちゃ…と箱の床に落ちる。それは、ま
りさの中身の餡子だ。

「ゆ…ゆわあああああああ!!!!!!」

 四女まりさは、目の前に落ちてきた餡子がまりさの中身だということを理解しているのだ。まりさは、涎を垂らして痙攣
している。

「おい…たかが、この程度の量の中身出されて痙攣してんじゃねぇよ」

「ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛…っ!!!!」

 ポンプを押し続ける。執拗に、何度も何度も。

「ゆ゛ぎゃああああああああっ!!! ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!! ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!」

「やめちぇにぇっ!!! やめちぇぇぇぇぇっ!!!」

 四女まりさが、その場を動かずに小さく何度も何度も飛び跳ねる。四女まりさは、ポンプを押し続ける僕の手を止めよう
としているのだ。当然、届くわけがない。

「むきゅ……ゆっくち…ごはんしゃん…………」

 三女ぱちゅりーが、ずりずりと箱の中を這いずり、床に散らばったまりさの中身を口に入れていく。

「おにぇえちゃああん!! ゆんやあああ!!! たべちゃだめにゃのじぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

「ゆ゛がっ……! ぐっ…、ゆんぐぅ…、たべ…るのぜ、ちびちゃん……」

「どおしちぇしょんにゃこちょいうのじぇぇぇぇぇぇ!!??」

 四女まりさは、意地でもまりさの中身を食べるつもりはないらしい。反対に、三女ぱちゅりーは生命の維持を優先する為
に次々に撒き散らされた餡子を食べていく。

「むきゅっ…、むきゅっ!!!」

「おきゃあしゃんが…ゆっくちできにゃくなっちゃうよぉぉぉぉぉ!! ばきゃああああああ!!!!」

 四女まりさが、三女ぱちゅりーに体当たりをする。

「む゛ぎゅっ…!!!」

 三女ぱちゅりーが、箱の中をころころ転がり反対側の壁に叩きつけられる。その拍子でせっかく食べたまりさの中身を再
び吐き出す。

「ちびちゃん…やめるのぜ……っ、ゆ゛ぐぅっ!!! ゆ゛ぎぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!」

 ポンプの口からまりさの中身が次々に吐き出される。

「おにぇがいじま…びゅぎっ!!!????」

 まりさが、目を見開く。今の今まで自分を助けようと尽力してくれた四女まりさが、目の前で潰されてしまった。いや、
この言い方は少しおかしいかな。僕が、四女まりさを潰した。この四女まりさは、ミスキャストだった。僕の用意した舞台
とシナリオの中で、望み通りのキャラになることはできなかった。…だから、潰した。

 僕の描いたシナリオは、ポンプから吐き出される自分の中身を我が子に食べられて行くのを見て、激痛と焦燥感に苛まれ
た母親まりさの精神がゆっくりと崩壊していく図。

 だが、僕のアテは外れてしまった。まりさは、母親としての責務を果たさんが為に望んで我が子に中身を与えようとして
いる。四女まりさは、大好きな母親を守るが為に、それを口にしようとはしなかった。

 どうして。

 どうして、その優しさを…少しでも、ほんの少しでもありすに向けてやれなかったんだろう。そんな事を考えながら、気
がついたら四女まりさを潰していた。

「ゆ゛ぅ゛……ちびちゃん……ごめんなのぜ…ごめんなのぜ…までぃざが………までぃざがぁ………」

 まりさが、苦痛に歪めた表情で面影のない饅頭の残骸を見つめている。三女ぱちゅりーは、必死にまりさの中身を食べて
いる。まりさは、それを咎めようとはしなかった。そうしなければ、今度こそ三女ぱちゅりーがずっとゆっくりしてしまう。

 まりさは、一瞬だけ笑顔になった。

「自分の子供が大事か?」

 僕の言葉に、まりさががくがく震えながら答える。

「…あたりまえ、なのぜ…」

「どうして、ありすにあんな事をしたんだ?」

「………………」

 まりさは、答えずに僕に虚ろな瞳を向けていた。

「お前らだけで、家族を作れば良かったじゃないか。別にぱちゅりーが子供を生めない体でもなかっただろうに」

 僕は、何を言ってるんだろう。今更だ、そんな事。こいつらがありすにしたことは、変わらないというのに。

「それはできなかった…のぜ…」

 まりさの言葉に、僕はポンプを押す手を止めた。

「にんげんさんのまちは…たべものがすくなすぎるのぜ…っ! ちびちゃんができても…うまれさせてあげることができな
いのぜ………」

 それはそうだろう。母体の養分が底を尽きれば、母子共に犬死だ。

「お前が餌を集めて来ればいいだけの話だろう。被害者ぶってんじゃねぇよ」

「…あつめられないのぜっ!!!!」

「偉そうに言うな…この糞饅頭が」

 箱を蹴り飛ばそうとした僕に、まりさが泣きながら叫び声を上げる。

「じゃあ、まりさたちをやまにかえしてほしいのぜぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!」

 足を止める。

「にんげんさんが、こんなところにつれてこなければ…っ!!! まりさも…ぱちゅりーも…いっしょにゆっくりできたん
だぜぇぇぇぇ!!!!」

 ゆっくりは、野生動物にカテゴライズされる。

 元々、野生で暮らしていた生き物が、突然都会に連れて来られる。それはつまり、環境が…生活が、全てこれまでと違っ
たものになるということ。まりさはもう、声も出さずに泣き続けていた。

 ゆっくりは、望んで都会にやって来たわけではない。連れて来られたのだ。…人の、手によって。

「まりさのだいすきな、いもむしさんも、おはなさんも…ここにはないのぜっ!!!」

 ありすの言葉が頭をよぎる。ありすも、似たようなことを言っていた。そして、僕は“それらを用意するのは難しそうだ”
と判断した。…ゆっくりが、都会で食料を調達することは更に困難を極めるだろう。

「それでも…っ!!! まりさたちは…ちびちゃんがほしかったのぜっ!!!」

「……………」

「まいにち…くるしくて………せめて、かわいいちびちゃんをみて、ゆっくりできたらって……っ!!!!」

 まりさとぱちゅりー。二匹は、揃って行動してやっと都会の中で生き残ることができる程度の生活能力しかない。どちら
かが、妊娠して動けなくなったら母体となった側はほぼ確実に死ぬ。まりさにも、ぱちゅりーにも、茎に実った赤ゆの分ま
で食料を集める力はない。だが、それはここが都会の片隅だからだ。もし、ゆっくりにとって食料が豊富な自然の中で、こ
の二匹が出会っていたら。

 きっと、誰にも迷惑をかけずに二匹の力だけでゆっくりしていたことだろう。

 僕は、自分の意思でここに来た。

 ゆっくりは、嫌がっているのを、無理矢理ここに連れて来られた。

 都会の、海の底。

 沈んでいたのは、僕だけではなかった。僕以外の誰かも同じように海底を漂っているだろうし、同じように都会で生きる
ハメになったゆっくりもまた、海底で足掻き続けていたのだ。…僕と、同じように。

 僕は、まりさからポンプを引き抜いた。

 ありすが、僕に微笑んでくれたような、…そんな気がした。



十一、

 今、僕は実家で父の指導のもと、蕎麦打ち修行をしている。相変わらず、僕の腕は散々で毎日怒鳴り散らされたが、不思
議と嫌な気分にはならなかった。

 ある夜、店を閉めた父と酒を飲み交わした。

「ちったぁ根性ってもんがでてきたみてぇじゃねーか」

「……ありがとう」

「くくっ…なんだ、おい。都会でいい女でもできたか?なんかビッとしてっからよ」

「ははは…女、とはちょっと違うよ」

 父は、僕に“俺の蕎麦を追うな”と言った。かなり酔っぱらっていたから、本気で言ってくれたのかは、わからないが、

“お前の打つ二八蕎麦は美味い。食ってくれる相手のことをちゃんと考えて打ててる”

 そんなことを。だから、僕は僕の蕎麦を打て、と。

 真っ先に、ありすのことが思い浮かんだ。あの頃、僕は誰かの為に蕎麦を打とうとはしていなかった。ただ、父の蕎麦に
憧れて、蕎麦を打つ父の姿に憧れて…半端な気持ちで蕎麦打ちの真似ごとをしていただけだ。

 僕にそれを教えてくれたのは…ゆっくりの、ありすだった。

 今はもうありすと一緒にゆっくりすることはできないけれど、ありすは、僕の背中を押してくれた大事な存在だ。

 僕が、自分で納得できる蕎麦を打って、それを誰かに食べてもらい「美味しい」と言ってもらえたら…そのときは、自信
を持っていいだろうか。…都会派な、僕になれたと。



「ふぁーあ……。やっぱり早起きは辛いな」

 顔を洗い、僕は前日夜遅くまで打っていた自作の蕎麦を朝食で食べていた。

「ゆ…ゆっくりしていってね…!」

 耳を疑う。箸を思わず落としてしまった。声のする方へ目を向けると、そこにはありすがいた。…いや、正確にはありす
種のゆっくりがいた。

「に…にんげんさん…ありす…おなかがすいているの…よければ…その…ごはんさんを…」

 申し訳なさそうに僕に話しかけるありす。

「これで良ければ食べるかい…?」

「あ…ありがとう、にんげんさんっ!!! とかいはだわっ!!」

 都会派。

 ありす種にその言葉を言われると、胸の奥がじんと熱くなる。そのありす種は、僕の作った朝食の蕎麦を器用に食べてい
く。

「むーしゃ、むーしゃ、…しあわせええええ!!!!」

 美味しそうに蕎麦をたいらげたありすが、丁寧にお礼をする。僕は思わず、

「ありす…」

「ゆ?」

 僕の、飼いゆっくりにならないか?…そう、言いかけた言葉を呑みこんだ。

「いや、なんでもないよ」

「へんなおにいさんね…。 でも、ゆっくりありがとう!! とってもとかいはなごはんさんだったわ!!!」

 “お蕎麦さん”ではないんだよな。当たり前だけど。ありすはぴょんぴょん飛び跳ねて畑の向こうへと帰って行った。あ
りすは、視界から消えてしまう前にもう一度だけ振り返り、今度こそ僕の視界からいなくなった。

 ありす種が食べ終わった蕎麦の入った食器をテーブルに戻す。

 ペットショップで買った躾の行き届いた飼いゆが、都会で厳しい生活を強いられている野良ゆに、無理矢理すっきりー!
させられて殺されるという事件は、ネットで調べてみたところ決して少ないものではなかった。

 飼いゆっくり保護法。

 まだ先の話ではあるが、そんな法律が作られる発端となった三つの理由のうちの一つ…。僕とありすは、その事件の渦中
にいた。

 ありすの思い出は未だに色褪せない。

 この時、僕は決意した。

 いつか。

 必ず、ありすに食べてもらうための蕎麦を打とう。

 田舎者の僕から…。

 都会派な、君へ。







おわり




あとがき

飼いゆっくり保護法。
都会で生きるゆっくりにとって、生き地獄でしかないその法律が作られたエピソードのうちの一つ。
それが、今回のお話でした。
最後まで読んでくださった方の中には、「避妊はともかく去勢はいらないんじゃ…」と思った方もいらっしゃるのではない
でしょうか。
それ以前に、「え?理由の一つ、ってこの程度?」と思われた方もいらっしゃるかも知れませんね。
そ…そのあたりは余白世界ならではだった、っていうことでご容赦を…。
残りの二つのお話もいつか書こうとは思っていますので、よろしければゆっくり待っていてあげてください。

日常起こりうるゆっくりたちの悲劇をこよなく愛する余白あきでした。

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余白あき
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