創作小説with音ゲー 臨時まとめWiki
旅人的ガイドライン ~IIDXDP ver.~ -St.1-
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| 159 :旅人:2009/01/16(金) 01:37:01 ID:58Ks8zJO0 |
2009/1/9
その日の早朝、音安市で大きな事件が起きた。
何者かの手によって、ある一軒のボロアパートが爆破、壊滅したのだ。
幸いな事に、同アパートの201号室のみが
爆破されたようで、大々的な被害は出ていない。
不幸中の幸いは続き、201号室の住人は
その時には外出中で、アパートが爆破された時
「デカイ音だねぇ」としか思わなかったらしい。
どうでもいい事だが、その住人が帰ると当人は絶叫したそうだ。
何者かの手によって、ある一軒のボロアパートが爆破、壊滅したのだ。
幸いな事に、同アパートの201号室のみが
爆破されたようで、大々的な被害は出ていない。
不幸中の幸いは続き、201号室の住人は
その時には外出中で、アパートが爆破された時
「デカイ音だねぇ」としか思わなかったらしい。
どうでもいい事だが、その住人が帰ると当人は絶叫したそうだ。
そのアパートは一見古びた建物にしか見えないが、
201号室の住人がある方面で有名な人物だったので、その建物は広く市内に知られていた。
だからこそ、その日の地方紙の一面にドーンと大々的に書かれているのだ。
201号室の住人がある方面で有名な人物だったので、その建物は広く市内に知られていた。
だからこそ、その日の地方紙の一面にドーンと大々的に書かれているのだ。
そのアパートの201号室に住む住人は、町田彩という女性だった。
音安市に住み、そして音楽ゲームと呼ばれるジャンルのゲームを愛好する人々なら
知らない者はいない、とまで断言できるほどのローカルな有名人である。
そんな彼女は、フリーターとゲームギャンブルをやって生計を立てていた。
音安市に住み、そして音楽ゲームと呼ばれるジャンルのゲームを愛好する人々なら
知らない者はいない、とまで断言できるほどのローカルな有名人である。
そんな彼女は、フリーターとゲームギャンブルをやって生計を立てていた。
ゲームギャンブル、というイベントが同市のゲームセンター「パレス」で行われる。
毎週木曜日の深夜から数時間かけてそのイベントは開催され、その認知度は高い。
音ゲーのみならず、格ゲーやら何やら対戦できるゲームを極めた人々がゲームをし、
彼らには倍率が与えられ、観客はプレイヤー達にベットし、そして一喜一憂する。
町田はプレイヤーとして参加したり、観客側としてプレイヤーの眼をもってして賭けたりしていた。
9日の早朝まで彼女はゲームに参加、ヘトヘトになりながらも家路に着くと、
既にアパートは爆破されて壊滅したのを見、一度夢だと思って頬をひっぱたいて
もう一度壊滅したアパートの姿を見て「アエエエエエエ~~!!!??」と絶叫したのだ。
毎週木曜日の深夜から数時間かけてそのイベントは開催され、その認知度は高い。
音ゲーのみならず、格ゲーやら何やら対戦できるゲームを極めた人々がゲームをし、
彼らには倍率が与えられ、観客はプレイヤー達にベットし、そして一喜一憂する。
町田はプレイヤーとして参加したり、観客側としてプレイヤーの眼をもってして賭けたりしていた。
9日の早朝まで彼女はゲームに参加、ヘトヘトになりながらも家路に着くと、
既にアパートは爆破されて壊滅したのを見、一度夢だと思って頬をひっぱたいて
もう一度壊滅したアパートの姿を見て「アエエエエエエ~~!!!??」と絶叫したのだ。
町田は警察の事情聴取を受けた。
自分に恨みを持っている人間はいるか?等の質問を受けていたが、
ロクに寝ていない町田には、それは眠りへと誘う子守唄のように聞こえていたかもしれない。
事情聴取を終えた町田は、署の玄関前に立っていた。
署に行く前に連絡を取っていた友人、小暮正俊の迎えを待っていたのだ。
町田が待ってから約五分。一台のタクシーが町田の目の前で止まった。
その後部座席には、心配そうな顔で町田を見つめる小暮が座っていた。
自分に恨みを持っている人間はいるか?等の質問を受けていたが、
ロクに寝ていない町田には、それは眠りへと誘う子守唄のように聞こえていたかもしれない。
事情聴取を終えた町田は、署の玄関前に立っていた。
署に行く前に連絡を取っていた友人、小暮正俊の迎えを待っていたのだ。
町田が待ってから約五分。一台のタクシーが町田の目の前で止まった。
その後部座席には、心配そうな顔で町田を見つめる小暮が座っていた。
| 160 :旅人:2009/01/16(金) 01:39:40 ID:58Ks8zJO0 |
タクシー車内で、小暮と運転手と話していた町田は、
小暮の探偵事務所兼私塾兼自宅の前でタクシーが止まったのに気がついた。
二人はタクシーから降り、タクシー代は小暮が払った。
それから、小暮は町田を事務所へ案内し、中は汚いと宣言してから事務所に上がらせた。
小暮の探偵事務所兼私塾兼自宅の前でタクシーが止まったのに気がついた。
二人はタクシーから降り、タクシー代は小暮が払った。
それから、小暮は町田を事務所へ案内し、中は汚いと宣言してから事務所に上がらせた。
「うっわ、汚いねー」
「そんなストレートに言われると傷つきます」
事務所の中で一番大きな部屋に二人はいた。
そこには、ホワイトボードと事務机が数個あり、
その机の上には学習用の小暮自作プリントが散らばっていた。
ブラインドを常時閉じているため、部屋の中は暗い。
部屋の隅に溜まるホコリ等とそれらの要素が相乗して、
この部屋をとても汚いと評価させる程に悪影響を及ぼしている。
「そんなストレートに言われると傷つきます」
事務所の中で一番大きな部屋に二人はいた。
そこには、ホワイトボードと事務机が数個あり、
その机の上には学習用の小暮自作プリントが散らばっていた。
ブラインドを常時閉じているため、部屋の中は暗い。
部屋の隅に溜まるホコリ等とそれらの要素が相乗して、
この部屋をとても汚いと評価させる程に悪影響を及ぼしている。
「ってかさぁ、小暮君さぁ」
汚い汚いと連呼していた町田が、不意に小暮に言った。
「何ですか?」
「何で私、ここに居るの?」
「何で私、ここに居るの?」
アハハ、そんな事ですかぁと小暮は笑った。
町田は怪訝そうな表情で小暮を見つめ、どういうつもり?と半ば脅し気味で迫った。
その気迫に押されながらも、小暮は町田の顔をしっかり見て言った。
町田は怪訝そうな表情で小暮を見つめ、どういうつもり?と半ば脅し気味で迫った。
その気迫に押されながらも、小暮は町田の顔をしっかり見て言った。
「町田さんのアパートが爆破されましたよね?」
「うん」
「町田さんは今まで、あそこに住んでいましたよね?」
「うん」
「じゃ、これからどこで生活するんですか?」
「うん」
「町田さんは今まで、あそこに住んでいましたよね?」
「うん」
「じゃ、これからどこで生活するんですか?」
あ、と町田は始めてそれに気づいたような声を上げた。
それから、先刻とは違うアプローチで小暮に迫った。
今にも消え入りそうな、しかし意志のはっきりした声で町田は言う。
それから、先刻とは違うアプローチで小暮に迫った。
今にも消え入りそうな、しかし意志のはっきりした声で町田は言う。
「これからどうしよう、ねぇ小暮君!?」
「何ですか?」
「私、住む家が無くなっちゃったよぉ!!」
「何ですか?」
「私、住む家が無くなっちゃったよぉ!!」
そう言って焦る町田を見て、小暮は「全く、この人は…」と言わんばかりのあきれた表情を見せた。
その顔を見た町田が、焦りの感情を怒りに変えて小暮にぶつけた。
その顔を見た町田が、焦りの感情を怒りに変えて小暮にぶつけた。
| 161 :旅人:2009/01/16(金) 01:42:25 ID:58Ks8zJO0 |
「何あきれたような顔をしているのよ!少しは心配してよ!」
いや、だから…と小暮は町田をなだめすかしてから言う。
「住む家が無くなっちゃっただろうから、
僕の家に泊まらせてあげようかなって。そんだけです」
僕の家に泊まらせてあげようかなって。そんだけです」
町田は一瞬、小暮が何を言ったかを理解できないようだった。
そこにもう一度、小暮が町田に繰り返して言う。
そこにもう一度、小暮が町田に繰り返して言う。
「だから、町田さんが住むところ無くなりましたよね?
そうしたら、僕が町田さんの手助けをしない訳がないじゃないですか」
そうしたら、僕が町田さんの手助けをしない訳がないじゃないですか」
その言葉を聞いた町田は、一種の感動を覚えていた。
ありがとう、と半泣きで言う町田。すぐにその場から崩れ落ちる。
床に乱雑と散らばった資料に数滴の涙が染みていく。
事務所に、町田の嗚咽が響き渡っていく。
そんな一種のいい感じの空気を、小暮はぶち壊した。
ありがとう、と半泣きで言う町田。すぐにその場から崩れ落ちる。
床に乱雑と散らばった資料に数滴の涙が染みていく。
事務所に、町田の嗚咽が響き渡っていく。
そんな一種のいい感じの空気を、小暮はぶち壊した。
「ただし、条件があります。IIDXのDPの手ほどきというか何というか。
それを教えてくれるって言うんなら、僕の家に泊めていいですよ」
それを教えてくれるって言うんなら、僕の家に泊めていいですよ」
「え?うん、いいよ…何ともまぁ、良心的な条件ねぇ…ありがとう…」
泣きながら言ったそれが、町田の答えだった。
こうして、その日から小暮と町田はしばらくの間、小暮の自宅で共に暮らす事となった。
| 165 :旅人:2009/01/18(日) 01:21:47 ID:9/v7/heb0 |
小暮は早速、涙目になった町田を自分の部屋に案内し、教えを乞う事にしていた。
言うまでもなく、小暮の自室は汚い。
ただ、事務所よりキレイなのが救いだといえよう。
そんな汚い部屋で町田は、小暮の用意した環境にがっかりしていたようだった。
言うまでもなく、小暮の自室は汚い。
ただ、事務所よりキレイなのが救いだといえよう。
そんな汚い部屋で町田は、小暮の用意した環境にがっかりしていたようだった。
「ねぇ」
「はい」
「IIDX専コンとポプコンってどういう了見?」
「すみません、お金が無くて……」
「はい」
「IIDX専コンとポプコンってどういう了見?」
「すみません、お金が無くて……」
んじゃあ仕方がないね、と町田は言ってから、
小暮の所持しているIIDXのCS作品を物色していた。
小暮の所持しているIIDXのCS作品を物色していた。
「HS、DD、GOLD、DJT……へぇ、最新作で揃えているのね。……あれREDは?」
「まだ買ってませんよ」
「murmur twinsが収録されているよね?アレ」
「確かそうだったかと。SPAが難しいと思いませんか?」
「基本階段譜面だから、固定でどうにかごり押せばいいよ。
そうそう、あの曲に乱掛けたら私が承知しないからね」
「誰に言ってるんですか?」
「小暮君と向こうの世界の人達によ。
……乱なんてかけたら、あの曲の特徴が殺されちゃうもの。
昔一度、SPHに乱掛けて、私すっごく後悔した時があったわ」
「まだ買ってませんよ」
「murmur twinsが収録されているよね?アレ」
「確かそうだったかと。SPAが難しいと思いませんか?」
「基本階段譜面だから、固定でどうにかごり押せばいいよ。
そうそう、あの曲に乱掛けたら私が承知しないからね」
「誰に言ってるんですか?」
「小暮君と向こうの世界の人達によ。
……乱なんてかけたら、あの曲の特徴が殺されちゃうもの。
昔一度、SPHに乱掛けて、私すっごく後悔した時があったわ」
何で後悔したんですか?と小暮が町田に聞いた。
町田は、この分からず屋!それでも探偵?!と半ば怒鳴って答える。
町田は、この分からず屋!それでも探偵?!と半ば怒鳴って答える。
「譜面が面白くないのよ!曲は順次進行の旋律なのに、
叩かせる譜面は乱打って全っ然面白くなくなるのよ!!」
「まぁまぁ落ち着いて。良く分かりましたからキレないで下さい」
叩かせる譜面は乱打って全っ然面白くなくなるのよ!!」
「まぁまぁ落ち着いて。良く分かりましたからキレないで下さい」
小暮は町田をなだめすかして、○ッキー持ってきますよと言って自室を出た。
背を向け部屋を出る小暮に、町田は一つ頼みごとをした。
背を向け部屋を出る小暮に、町田は一つ頼みごとをした。
「あ、コー○があったら持ってきてー」
先程までのキレっぷりはどこへやら。いつもの天然が入った町田の声だった。
小暮は「町田さんってホント、分からない人だなぁ」と胸の内で思い、
小暮は「町田さんってホント、分からない人だなぁ」と胸の内で思い、
「○ーラは無いです。代わりといっちゃなんですが、ポ○リならあるので持ってきますね」
と返事をしてから部屋を出ていった。
| 166 :旅人:2009/01/18(日) 01:26:36 ID:9/v7/heb0 |
古びたトレーのような板の上に、小暮は飲み物やら菓子やら乗せて自室に戻っていた。
小暮が扉を開けると、町田は早速部屋にあるPS2を起動、
既にDDのディスクをセットしていたところだった。後は読み込みを待つだけだった。
不意に、一つだけいい?と町田が小暮に言った。
小暮が扉を開けると、町田は早速部屋にあるPS2を起動、
既にDDのディスクをセットしていたところだった。後は読み込みを待つだけだった。
不意に、一つだけいい?と町田が小暮に言った。
「何がですか?」
「IIDXもDDRもそうなんだけど、SPとDPは全く別のゲームになるわ。
SPなら出来るのに、出来るのにーって思っちゃ駄目よ」
「IIDXもDDRもそうなんだけど、SPとDPは全く別のゲームになるわ。
SPなら出来るのに、出来るのにーって思っちゃ駄目よ」
心得ました、と小暮が答えて町田がセットしたコントローラを見る。
1PサイドにIIDX専コン、2Pサイドにポプコンが配置されていた。
1PサイドにIIDX専コン、2Pサイドにポプコンが配置されていた。
「そうそう。これから鍵盤の言い方を教えるね。
その左の…うん1P側の1鍵が1、2鍵が2。そこまでは同じよ。
で、ポプコンの左白が8、左黄が9、左緑が10…って呼ぶね。
どうでもいいけど、これは公式サイトと同じ呼び方のはずだよ」
「オーケイです。で、一つ質問」
「どーぞ」
「2P側のスクラッチってどうやって取ればいいんですか?皿が無いじゃないですか」
その左の…うん1P側の1鍵が1、2鍵が2。そこまでは同じよ。
で、ポプコンの左白が8、左黄が9、左緑が10…って呼ぶね。
どうでもいいけど、これは公式サイトと同じ呼び方のはずだよ」
「オーケイです。で、一つ質問」
「どーぞ」
「2P側のスクラッチってどうやって取ればいいんですか?皿が無いじゃないですか」
あーそうだったそうだった、と棒読み口調で町田は言い、
それから、DPとは少し違う話をした。
それから、DPとは少し違う話をした。
「小暮君って、IIDXがポプコンでもプレー出来るって知らない?」
「えぇ!?初めて知りましたよそれ!
あ、そうじゃないとこんなセッティングはしないですよね…」
「ASつけたり…とか思ってた?
ポプコンの一番端の黄と白のボタンを押せば、スクラッチが取れるよ。
でも、一つだけ縛りをつけさせてね」
「えぇ!?初めて知りましたよそれ!
あ、そうじゃないとこんなセッティングはしないですよね…」
「ASつけたり…とか思ってた?
ポプコンの一番端の黄と白のボタンを押せば、スクラッチが取れるよ。
でも、一つだけ縛りをつけさせてね」
縛り?と小暮はオウム返しをしながら、○カリの入ったコップを口に付けた。
町田がそれに倣って、もう一つのコップに口をつけてから話す。
町田がそれに倣って、もう一つのコップに口をつけてから話す。
「ポプコンの仕様なんだけど、連皿も一つのボタンを縦連していけば処理出来ちゃうの。
完璧に皿を回しているように、とまでは求めないけど、皿を取る時は交互にボタンを押してね」
完璧に皿を回しているように、とまでは求めないけど、皿を取る時は交互にボタンを押してね」
| 167 :旅人:2009/01/18(日) 01:32:32 ID:9/v7/heb0 |
「へぇ、縦連で連皿が処理出来るんですか…
(デジタンクとかどうなるんだ、⇒Amix(A)みたいになるんだろうか……)
分かりました。その縛り、お受け致しましょう」
何畏まっちゃってるのよもう、と町田が居心地悪そうに言い、
それからIIDX専コンのスタートボタンを押し、モード選択の画面に移行した。
残念な事に、と町田が何の前触れなく言った。
それからIIDX専コンのスタートボタンを押し、モード選択の画面に移行した。
残念な事に、と町田が何の前触れなく言った。
「ACもCSもなんだけど、DPってビギナーもチュートリアルも無いのよ」
「え、そうなんですか?」
「私は、それがDP人口が少ない理由だと思うんだけどね…
まぁ、最初は段位認定から始めちゃった方が良いわ」
「どうしてですか?まず、フリーで簡単な曲からの方が…」
「段位ゲージならある程度のミスは許されるじゃない。
最初なんて、どこにボタンがあるか分からなくて困るよ。
小暮君、SPを最初にやった時の事を思い出して。あまり上手く出来なかったよね?」
「そりゃ、誰だってそうでしょうよ」
「それと同じ。いきなり難度が低い曲をやっても、ろくにクリアーは出来ないよ。
だから、段位認定で少し感覚を掴もう?それからフリーで色々やっていこうよ。
そうそう、ACなら尚更よ。頑張れば三曲プレー出来る保証がある段位認定の方を選んだ方がいいよ」
「え、そうなんですか?」
「私は、それがDP人口が少ない理由だと思うんだけどね…
まぁ、最初は段位認定から始めちゃった方が良いわ」
「どうしてですか?まず、フリーで簡単な曲からの方が…」
「段位ゲージならある程度のミスは許されるじゃない。
最初なんて、どこにボタンがあるか分からなくて困るよ。
小暮君、SPを最初にやった時の事を思い出して。あまり上手く出来なかったよね?」
「そりゃ、誰だってそうでしょうよ」
「それと同じ。いきなり難度が低い曲をやっても、ろくにクリアーは出来ないよ。
だから、段位認定で少し感覚を掴もう?それからフリーで色々やっていこうよ。
そうそう、ACなら尚更よ。頑張れば三曲プレー出来る保証がある段位認定の方を選んだ方がいいよ」
そういやそうですね、と小暮は言い、それから段位認定を選んでDOUBLEに合わせて白鍵を押した。
少しの読み込みの時間が経って。
あれ?と小暮は間抜けな声を出した。
あれ?と小暮は間抜けな声を出した。
「いきなり五級からですか?七級は?六級は?」
「無いの。仕様だね、残念ながら」
「これ、大丈夫ですか?いきなり五級ですよ五級。無理ですよ」
「無いの。仕様だね、残念ながら」
「これ、大丈夫ですか?いきなり五級ですよ五級。無理ですよ」
そういう小暮の顔には、幾ばくか怯えの表情が見え隠れしていた。
ふと、小暮の視界の端にとある物が目に入った。
それは、何の変哲もないただの壁がけ時計だった。それは10:38を示していた。
ふと、小暮の視界の端にとある物が目に入った。
それは、何の変哲もないただの壁がけ時計だった。それは10:38を示していた。
| 168 :旅人:2009/01/18(日) 01:40:54 ID:9/v7/heb0 |
09/1/9 10:38
全ては計画通り。何の支障もきたしていない。
手始めに、この市で最強のIIDXerの女を爆殺した。順調だ。
この調子で、名高いプレイヤー達を殺していけばいい。
全ては高みへ上り詰めるために。鮭が川を上り龍になるように。
その為に、その為だけに、奴らは死ねば良いのだ。
手始めに、この市で最強のIIDXerの女を爆殺した。順調だ。
この調子で、名高いプレイヤー達を殺していけばいい。
全ては高みへ上り詰めるために。鮭が川を上り龍になるように。
その為に、その為だけに、奴らは死ねば良いのだ。
「あのねぇ、大丈夫よ。
あるはずのないB譜面が一曲目と二曲目にあるから」
「そうなんですか?っていうか曲順教えて下さいよ。町田さんなら分かるでしょ?」
「あれは確か…ミューゼ(B)とジェネラル(B)でしょ、後はアイワズ(N)だったような気がする」
あるはずのないB譜面が一曲目と二曲目にあるから」
「そうなんですか?っていうか曲順教えて下さいよ。町田さんなら分かるでしょ?」
「あれは確か…ミューゼ(B)とジェネラル(B)でしょ、後はアイワズ(N)だったような気がする」
よーしそれなら、と小暮は意気込んで、カーソルを五級に合わせて白鍵を押した。
読み込みが始まり、DPプレー画面が表示される。その時、小暮の頭に一つ疑問が浮かんだ。
読み込みが始まり、DPプレー画面が表示される。その時、小暮の頭に一つ疑問が浮かんだ。
「そういや、ハイスピってどうすれば…?」
「良く気づいたねぇ、流石は探偵といったところかな。
いつもSPでつけるハイスピ値の-1.0か-1.5位でいいよ。
サドプラをつけてなかったらの話だけどね」
「良く気づいたねぇ、流石は探偵といったところかな。
いつもSPでつけるハイスピ値の-1.0か-1.5位でいいよ。
サドプラをつけてなかったらの話だけどね」
それなら問題なし、と小暮は返してハイスピ調整をする。
そして、一曲目の「Attack the music」(B)がスタートした。
いつも小暮がプレーする時よりゆっくり落ちてくる
オブジェに小暮は戸惑いながらも、懸命に鍵盤(ボタン)を押す(叩く)。
SPでの経験が活きたのか、直ぐに両手バラバラの固定の形を取った。
流石に易しい譜面なので、ワンパターン化するのはどうしても避けられないのだが、
DP初体験の小暮にとってこれは好都合だった。脳に余裕が生まれ、そのスペースが思考を始める。
余裕が生まれた頭で別の固定パターンも構築していく。と、視覚からの情報が警報を発した。
ワンパターンで降ってきていた譜面が、別の形を取ったのだ。
曲が進行する以上、それはどうしても避けられないことであり当然の事だが、小暮は焦った。
鍵盤を押す。しかし、鍵盤と鍵盤の間に指を突く。僕の指はもう、突き指寸前だ。
そして、一曲目の「Attack the music」(B)がスタートした。
いつも小暮がプレーする時よりゆっくり落ちてくる
オブジェに小暮は戸惑いながらも、懸命に鍵盤(ボタン)を押す(叩く)。
SPでの経験が活きたのか、直ぐに両手バラバラの固定の形を取った。
流石に易しい譜面なので、ワンパターン化するのはどうしても避けられないのだが、
DP初体験の小暮にとってこれは好都合だった。脳に余裕が生まれ、そのスペースが思考を始める。
余裕が生まれた頭で別の固定パターンも構築していく。と、視覚からの情報が警報を発した。
ワンパターンで降ってきていた譜面が、別の形を取ったのだ。
曲が進行する以上、それはどうしても避けられないことであり当然の事だが、小暮は焦った。
鍵盤を押す。しかし、鍵盤と鍵盤の間に指を突く。僕の指はもう、突き指寸前だ。
| 169 :旅人:2009/01/18(日) 01:46:46 ID:9/v7/heb0 |
どうにか、小暮は一曲目をクリアーする事は出来た。
ゲージがボロボロだったので、お世辞にも良いプレーとは言えないが、仕方無い。
流れる歓声を鍵盤を押して止めた小暮は、町田に向き直って言った。
ゲージがボロボロだったので、お世辞にも良いプレーとは言えないが、仕方無い。
流れる歓声を鍵盤を押して止めた小暮は、町田に向き直って言った。
「これ、難しいですよ。鍵盤の位置が全然掴めない。
鍵盤と鍵盤の間に指がぶつかるんですよ。突き指するかと思いました」
「大丈夫大丈夫。私もそうだった。だから、小暮君も出来るよ」
鍵盤と鍵盤の間に指がぶつかるんですよ。突き指するかと思いました」
「大丈夫大丈夫。私もそうだった。だから、小暮君も出来るよ」
二曲目の「General Relativity」(B)も、
小暮はゲージをどうにか保った形でクリアーしていた。
小暮はゲージをどうにか保った形でクリアーしていた。
「ヤバいヤバい、ポプコンの縛り解かないと落ちますって。次で」
「うーん、無理。頑張って。
えーと、次はアイワズ(N)だけど……さっきまでの二曲とは密度がちょっと濃いかな。
あの曲を覚えているなら話は早いけど、ピアノで階段めいた所をやらせるからね」
「うーん、無理。頑張って。
えーと、次はアイワズ(N)だけど……さっきまでの二曲とは密度がちょっと濃いかな。
あの曲を覚えているなら話は早いけど、ピアノで階段めいた所をやらせるからね」
はぁ?階段?いやいや無理無理無理……
そううろたえる小暮に「I Was The One」(N)の譜面は牙を剥いた。
そううろたえる小暮に「I Was The One」(N)の譜面は牙を剥いた。
この曲は、とてもピアノの美しい曲である。
小暮はSPならば完璧に、難易度を問わず抜けられる実力を持っている。
だが、これはDP。片手でバラバラの事をやるというのは結構難しい事なのだ。
美しいピアノは変なピアノと化し、その後のメロディーも幾分か変である。
だが、小暮はゲージが20%を切ろうが変な曲になっていようが、それを気にしてなかった。
画面の中で降り続けるオブジェ。それを見切ろうと全身の力をプレーに傾けていた。
小暮はSPならば完璧に、難易度を問わず抜けられる実力を持っている。
だが、これはDP。片手でバラバラの事をやるというのは結構難しい事なのだ。
美しいピアノは変なピアノと化し、その後のメロディーも幾分か変である。
だが、小暮はゲージが20%を切ろうが変な曲になっていようが、それを気にしてなかった。
画面の中で降り続けるオブジェ。それを見切ろうと全身の力をプレーに傾けていた。
約一分と少しに渡る小暮の戦いは終わった。
勝利の女神は小暮に微笑み、そして祝福を受けている小暮に町田は言った。
勝利の女神は小暮に微笑み、そして祝福を受けている小暮に町田は言った。
「おめでとう!初DPにしては良くやったよ、うん」
「ありがとう。そうだ、ニュース見ていいですか?」
「ありがとう。そうだ、ニュース見ていいですか?」
ま、休憩って事で。そう町田は言って飲み食いを始めた。
小暮はTVのリモコンを手にし、そしてチャンネルを変え始める。
ある局のニュース番組をTVが写したところで、小暮は縦連のような動きをしていた指を止めた。
その時、その番組で流れていたニュースは、つい先ほど届いた情報らしい。
なんと、音安市の紅葉町で火事が起きたというのだ。
中継リポーターがその家から離れた所で何かを言っていたが、
それを見た町田の叫びで何を言っているかは分からなかった。
小暮はTVのリモコンを手にし、そしてチャンネルを変え始める。
ある局のニュース番組をTVが写したところで、小暮は縦連のような動きをしていた指を止めた。
その時、その番組で流れていたニュースは、つい先ほど届いた情報らしい。
なんと、音安市の紅葉町で火事が起きたというのだ。
中継リポーターがその家から離れた所で何かを言っていたが、
それを見た町田の叫びで何を言っているかは分からなかった。
「あぁ、あの家は、あの家は……」
段々と力を失う町田の声、消え入りそうな声で、町田は何やらぶつぶつ言い始めた………
| 193 :旅人:2009/01/30(金) 01:51:11 ID:ozJbf7IZ0 |
09/1/9 10:45
音安市警察署、捜査一課の一室で
一人の男が深い悲しみの顔を浮かべていた。
自分のデスクに突っ伏し、顔を上げる事なくただ一人で泣いていた。
中井和という名前の刑事は、その日に起きたある事件を知ってから、その顔に悲しみを消す事は無かった。
音安市のツートップの音ゲーマーと言われていた
二人の人間が命を狙われ、そして一人が焼殺されたのだ。
生きている方の人間は、前に白壁占拠事件を共に協力して、
そして解決した小暮正俊という名の探偵の家で保護されていると聞いて安心はしたが、
もう一人の放火された方の人間、中林卓の名前を思い出す度にこう思うのだ。
一人の男が深い悲しみの顔を浮かべていた。
自分のデスクに突っ伏し、顔を上げる事なくただ一人で泣いていた。
中井和という名前の刑事は、その日に起きたある事件を知ってから、その顔に悲しみを消す事は無かった。
音安市のツートップの音ゲーマーと言われていた
二人の人間が命を狙われ、そして一人が焼殺されたのだ。
生きている方の人間は、前に白壁占拠事件を共に協力して、
そして解決した小暮正俊という名の探偵の家で保護されていると聞いて安心はしたが、
もう一人の放火された方の人間、中林卓の名前を思い出す度にこう思うのだ。
「なんで、どうして惜しい人間ばかりが消えていくのだろう」と。
中井と行動を共にする事が多い田中刑事は、
未だに失意のどん底につっ立っている中井刑事を見て言った。
未だに失意のどん底につっ立っている中井刑事を見て言った。
「なぁ、お前が嘆き悲しんだからって、
あの中林ってプレーヤーが蘇ったり浮かばれたりすると思ってんのかよ」
「そうは言うけどおめぇ…グスッ、あの中林が……ズズッ、
どうして放火なんてされなきゃ………」
あの中林ってプレーヤーが蘇ったり浮かばれたりすると思ってんのかよ」
「そうは言うけどおめぇ…グスッ、あの中林が……ズズッ、
どうして放火なんてされなきゃ………」
埒が明かないな、とあきれた田中は泣き顔の中井の左手を取り、
そして強引に椅子から立ちあがらせた。ナニズンダヨ、と中井が弱々しくも反抗したので、
そして強引に椅子から立ちあがらせた。ナニズンダヨ、と中井が弱々しくも反抗したので、
「お前、自分の職業分かってる?警察だよ警察。お前がその放火魔を捕まえろよ。
そうだ、これを弔い合戦だと思え。そしたらやる気は粕程でも出るだろ」
そうだ、これを弔い合戦だと思え。そしたらやる気は粕程でも出るだろ」
と田中は言い放った。一瞬だけ、中井の体が止まった。その一瞬だけ、彼の呼吸が止まった。
そして次の瞬間が訪れた時、中井は短く咆哮、そして
そして次の瞬間が訪れた時、中井は短く咆哮、そして
「絶対に、絶対に中林をぶっ殺した奴を捕まえてやる!そして殺す!!!」
中井はそう宣言するかのように叫んで捜査一課を出て行った。
田中はその背中を見送ってから携帯電話を取り出した。そして、何度かボタンを押してコールする。
田中はその背中を見送ってから携帯電話を取り出した。そして、何度かボタンを押してコールする。
「さーて、我らが救世主に連絡だ……
決して俺の頭が弱いわけじゃないんだがね。それだと刑事になれないから……お、元気だったか………」
決して俺の頭が弱いわけじゃないんだがね。それだと刑事になれないから……お、元気だったか………」
| 194 :旅人:2009/01/30(金) 01:56:12 ID:ozJbf7IZ0 |
「あ、刑事さん?おはようございます」
小暮にTVを見せて欲しいと町田が頼み込み、
彼女が泣き顔で食い入るようにモニターを見つめていた時、
小暮の携帯電話が震えた。小暮は上のように答え、そして相手の答えを待つ。
彼女が泣き顔で食い入るようにモニターを見つめていた時、
小暮の携帯電話が震えた。小暮は上のように答え、そして相手の答えを待つ。
「あぁ、ちょっとな……
私的な調査依頼の名目って事で、一つ頼みたい事があるんだが」
私的な調査依頼の名目って事で、一つ頼みたい事があるんだが」
あぁ、と小暮は思った。多分、田中刑事は自分にこんな依頼を頼む気なのだ。
「今、ニュースで流れているんですけど…
『独身男性の家で火事、中林卓さん焼死』ってやつですか?」
「あぁ。中井の野郎、あれを殺しだっていってきかねぇ。
全くうるさいったらありゃしねぇんだが、俺もこの火事は誰かがやったものだと思う」
「どうしてですか?」
「聞いたら笑うかも知れねぇが………笑うなよ?」
『独身男性の家で火事、中林卓さん焼死』ってやつですか?」
「あぁ。中井の野郎、あれを殺しだっていってきかねぇ。
全くうるさいったらありゃしねぇんだが、俺もこの火事は誰かがやったものだと思う」
「どうしてですか?」
「聞いたら笑うかも知れねぇが………笑うなよ?」
何を笑うっていうんですか、言って下さいよ。
そう言って、小暮は服のポケットからボールペンとメモ帳を取り出した。
そして、どんなことでも書けるようにした状態で小暮は言う。
そう言って、小暮は服のポケットからボールペンとメモ帳を取り出した。
そして、どんなことでも書けるようにした状態で小暮は言う。
「で、何ですか?刑事さんの気になる事って?」
「まず最初に。家を爆破されたのは…町田彩…つったか?」
「えぇ」
「聞かなくても分かるが、彼女は何が得意だった?」
「音ゲーですよ。どの機種も得意とします」
「そうだったな。じゃ、焼け死んだ中林は?」
「彼は…IIDX専門の音ゲーマーです。
前に彼のプレーを見た事があるのですが、町田さんと同レベル位だったかな……
そうそう、町田さんから紹介されたんですよ。
とっても感じのいい人でした。恨みを持たれるようには見えないんですが……」
「まず最初に。家を爆破されたのは…町田彩…つったか?」
「えぇ」
「聞かなくても分かるが、彼女は何が得意だった?」
「音ゲーですよ。どの機種も得意とします」
「そうだったな。じゃ、焼け死んだ中林は?」
「彼は…IIDX専門の音ゲーマーです。
前に彼のプレーを見た事があるのですが、町田さんと同レベル位だったかな……
そうそう、町田さんから紹介されたんですよ。
とっても感じのいい人でした。恨みを持たれるようには見えないんですが……」
| 195 :旅人:2009/01/30(金) 02:01:20 ID:ozJbf7IZ0 |
そういう人間がだなぁ…と田中は呟くように言った。
それを聞き取れなかった小暮が「何て言いました?」と返すが、それを無視して田中は言う。
それを聞き取れなかった小暮が「何て言いました?」と返すが、それを無視して田中は言う。
「大抵、人は何かを得意とする。
それを突き詰めていくと、その分野のピラミッドの頂点に立つ」
「まぁ…言いたい事は分かりますけど。もう少し分かりやすく言いましょうよ」
「そうだな、いや、アンタなら分かりやすいと思ったんだが…
兎に角、俺が言いたい事ってのは、羨望を集める存在は同時に
妬みを抱かれる存在だってことさ。人間って奴の心理上、それは避けられない」
「でしょうね。で、それがこれとどう関係すると思っているんですか?」
「町田のアパートを爆破したのも、中林の家に放火したのも同じ奴じゃないか思うんだよ。
そう、犯人は音ゲープレーヤー、恐らくはIIDXerが疑わしい。
それも、かなり上手いプレーヤー。しかし、町田や中林のレベルには達する事の出来ない奴が容疑者だ」
それを突き詰めていくと、その分野のピラミッドの頂点に立つ」
「まぁ…言いたい事は分かりますけど。もう少し分かりやすく言いましょうよ」
「そうだな、いや、アンタなら分かりやすいと思ったんだが…
兎に角、俺が言いたい事ってのは、羨望を集める存在は同時に
妬みを抱かれる存在だってことさ。人間って奴の心理上、それは避けられない」
「でしょうね。で、それがこれとどう関係すると思っているんですか?」
「町田のアパートを爆破したのも、中林の家に放火したのも同じ奴じゃないか思うんだよ。
そう、犯人は音ゲープレーヤー、恐らくはIIDXerが疑わしい。
それも、かなり上手いプレーヤー。しかし、町田や中林のレベルには達する事の出来ない奴が容疑者だ」
自分の思った通りだ。そう小暮は思った。
何となく、仮説の一つとして「音ゲーマー説」を、
小暮は先のニュースを見た時から作り上げていたのだ。
他にも「無差別殺人説」や「(音ゲーマー以外の)怨恨による殺人説」
を考えていたが、それよりは「音ゲーマー説」が一番しっくりくる、と小暮は思った。
だが、ここで小暮が「いやぁ自分も同じ事を考えていたんですよね」何て言おうものなら
田中に嫌われるのではないか。そう思って小暮は「流石は田中刑事!」と答えた。
何となく、仮説の一つとして「音ゲーマー説」を、
小暮は先のニュースを見た時から作り上げていたのだ。
他にも「無差別殺人説」や「(音ゲーマー以外の)怨恨による殺人説」
を考えていたが、それよりは「音ゲーマー説」が一番しっくりくる、と小暮は思った。
だが、ここで小暮が「いやぁ自分も同じ事を考えていたんですよね」何て言おうものなら
田中に嫌われるのではないか。そう思って小暮は「流石は田中刑事!」と答えた。
「流石って程のもんじゃないさ。
それに、これは仮説の一つでしかない。
ただ、この仮説が一番しっくりくるってだけだな、うん」
「それじゃ、この事件の捜査はどうするんですか?」
「そうだな…中林って奴がどんな奴だったかを調べる必要がある」
「タクシーで町田さんを送りましょうか?」
「その必要はない。その気になったら俺がそっちに出向く」
それに、これは仮説の一つでしかない。
ただ、この仮説が一番しっくりくるってだけだな、うん」
「それじゃ、この事件の捜査はどうするんですか?」
「そうだな…中林って奴がどんな奴だったかを調べる必要がある」
「タクシーで町田さんを送りましょうか?」
「その必要はない。その気になったら俺がそっちに出向く」
「分かりました」と小暮が答えると、田中は「じゃ、また連絡する」と残して電話を切った。
| 200 :旅人:2009/02/06(金) 00:47:03 ID:Y2SNETyZ0 |
田中刑事との通話を終えた小暮は
まだTVの前で泣き続けている町田のそばに寄って言った。
まだTVの前で泣き続けている町田のそばに寄って言った。
「町田さん」
「何…?ごめん、今は一人にさせて。
後で小暮君の部屋に行ってDPは教えるから」
「それはありがたいですけど、
僕の言いたい事は全く違います」
「何…?ごめん、今は一人にさせて。
後で小暮君の部屋に行ってDPは教えるから」
「それはありがたいですけど、
僕の言いたい事は全く違います」
小暮は強く、右手を胸に当てて言った。
彼がきちんとしたスーツを着ていたなら、それはまるで英国紳士のように見えただろう。
そんな事を無視しながら泣いている、そんな町田を見ながら小暮は続ける。
彼がきちんとしたスーツを着ていたなら、それはまるで英国紳士のように見えただろう。
そんな事を無視しながら泣いている、そんな町田を見ながら小暮は続ける。
「僕が放火魔を捕まえます。だから、泣かないでください」
「グスッ、卓さんはちょっと抜けている所があるの。
多分火の消し忘れとかだったんだわ。グスッ、そうに決まってる」
「どうしてそう言い切れるんです」
「だって、小暮君だって分かっているでしょう!?
卓さんは悪者じゃなかった!誰からも好かれるいい人だったのよ!」
「グスッ、卓さんはちょっと抜けている所があるの。
多分火の消し忘れとかだったんだわ。グスッ、そうに決まってる」
「どうしてそう言い切れるんです」
「だって、小暮君だって分かっているでしょう!?
卓さんは悪者じゃなかった!誰からも好かれるいい人だったのよ!」
それはそうですが、と小暮は半歩下がりながら言った。
町田の剣幕に圧されたのだ、と彼は思いながら町田の言葉を待つ。
町田の剣幕に圧されたのだ、と彼は思いながら町田の言葉を待つ。
「どうしてそんな人を殺す必要があるっていうの!?
いいえ、絶対にないわ、ないったらない!!!」
いいえ、絶対にないわ、ないったらない!!!」
町田はそう叫ぶと、両手で拳を作って床に叩きつけた。
拳が床に叩きつけられた直後、「ドン」としょぼいキック音が部屋に響く。
一瞬怯んだ小暮は、すっかり興奮しきっている町田をなだめるようにして言う。
拳が床に叩きつけられた直後、「ドン」としょぼいキック音が部屋に響く。
一瞬怯んだ小暮は、すっかり興奮しきっている町田をなだめるようにして言う。
「町田さん、僕はあなたのアパートを爆破した奴と中林さんの家を燃やしたと
仮定する人物を同一のものとして見ています。何故だか分かりますか?」
「何よ。知らないわよ。大体、殺されるってのがおかしいのy…」
「十中八九、これは殺しです。町田さん、あなたも殺されかけたんですよ。
少しはそう、自覚、自覚して下さいよ。命を狙われたのは中林さんだけじゃないんだ。
そしてあなただけでもない。これからも、殺しは続きます」
仮定する人物を同一のものとして見ています。何故だか分かりますか?」
「何よ。知らないわよ。大体、殺されるってのがおかしいのy…」
「十中八九、これは殺しです。町田さん、あなたも殺されかけたんですよ。
少しはそう、自覚、自覚して下さいよ。命を狙われたのは中林さんだけじゃないんだ。
そしてあなただけでもない。これからも、殺しは続きます」
小暮はそう断言するかのように言って、町田を黙らせた。
ホントに?と町田が目で小暮に問いかけた。小暮はそれを無言の首肯で返し、逆に聞いた。
ホントに?と町田が目で小暮に問いかけた。小暮はそれを無言の首肯で返し、逆に聞いた。
「……町田さんと中林さんの共通点は何でしょうか?」
| 201 :旅人:2009/02/06(金) 00:54:53 ID:Y2SNETyZ0 |
「………音ゲーが上手いって事かな」
その通り。そう小暮は言いながら授業用のホワイトボードの前に立った。
黒いペンを持ってそのキャップを外し、いいですかと前置きしてから言った。
黒いペンを持ってそのキャップを外し、いいですかと前置きしてから言った。
「6:00、町田さんは自分の家が爆破されました。
そして10:38に中林さんの家が燃やされました。
中林さんの職業って、確か画家だったような気がするんですよ」
「うん、そうだけど……それで?」
「町田さん、いつも何時くらいに起きていますか?」
「大体朝の七時かな。それから、いつも行ってる仕事場とかに行くよ」
そして10:38に中林さんの家が燃やされました。
中林さんの職業って、確か画家だったような気がするんですよ」
「うん、そうだけど……それで?」
「町田さん、いつも何時くらいに起きていますか?」
「大体朝の七時かな。それから、いつも行ってる仕事場とかに行くよ」
「はいはいはい」とか「ふんふんふん」とか言いながら、
小暮は町田から得た情報をホワイトボードに書きなぐっていく。
書きなぐられた情報でホワイトボード一面が黒くなると、
小暮はそれを回転、裏面を使って今度は縦線を引き、
下に矢印となるように線の終端に三角形をとりつけた。
そして「6:00 町田さんのアパート爆破」などとこの事件について書き込み、
そして時間も書きいれていく。小暮は、この事件の流れを一度図にして表そうとしたのだ。
小暮は町田から得た情報をホワイトボードに書きなぐっていく。
書きなぐられた情報でホワイトボード一面が黒くなると、
小暮はそれを回転、裏面を使って今度は縦線を引き、
下に矢印となるように線の終端に三角形をとりつけた。
そして「6:00 町田さんのアパート爆破」などとこの事件について書き込み、
そして時間も書きいれていく。小暮は、この事件の流れを一度図にして表そうとしたのだ。
「何それ?」
「つまり、犯人は町田さんや中林さんの事をよく知っていた人物です。
町田さんを殺すためには、朝の七時までに事を起こせばよいですよね?」
「え?うん、まぁそうだろうと思うけど、それを私に答えさせる?」
「つまり、犯人は町田さんや中林さんの事をよく知っていた人物です。
町田さんを殺すためには、朝の七時までに事を起こせばよいですよね?」
「え?うん、まぁそうだろうと思うけど、それを私に答えさせる?」
町田は非難するかのように小暮に言った。
「すみません」と小暮は返してから「どうしても」と前置きして続ける。
「すみません」と小暮は返してから「どうしても」と前置きして続ける。
「どうしても、犯行のタイムリミットを考えたかったんです。
そういえば、中林さんは毎日ゲーセンに通うような人じゃなかったですよね?」
「卓さんは……そうね、確証は取れないけど、週に一度くらいしか行かないって。
卓さんが自分でそう言っていたわ。今となってはホントかどうかも分からないけど」
そういえば、中林さんは毎日ゲーセンに通うような人じゃなかったですよね?」
「卓さんは……そうね、確証は取れないけど、週に一度くらいしか行かないって。
卓さんが自分でそう言っていたわ。今となってはホントかどうかも分からないけど」
それで十分です、と小暮は返しながら「10:38 中林さん焼殺」と書いた置いた所に「←確定」
と書き足し、それから町田に言った。
と書き足し、それから町田に言った。
「じゃあ僕、DPやってますね」
「は?」
「こういうのは、遊びながら考えた方が推理が進むんです。
もっとも、僕だけなんでしょうけどね。こういうのって……」
「は?」
「こういうのは、遊びながら考えた方が推理が進むんです。
もっとも、僕だけなんでしょうけどね。こういうのって……」
| 202 :旅人:2009/02/06(金) 01:11:09 ID:Y2SNETyZ0 |
それから、小暮は一人自室に戻って遊んでいた。
起動しっぱなしのCSDDのデモを切り、そしてフリーモードを選択、
プレースタイルをDPのものにして選曲画面に移行した。
起動しっぱなしのCSDDのデモを切り、そしてフリーモードを選択、
プレースタイルをDPのものにして選曲画面に移行した。
「さて、lv1の曲からやっつけるか……」
そう呟きながら、小暮はIP側のIIDX専コンのターンテーブルを回しながら
各lvフォルダまでカーソルを移動し、そして衝撃を受けた。
各lvフォルダまでカーソルを移動し、そして衝撃を受けた。
「一曲しかない……だと………?」
そう、CSDDにはDPNのlv1の曲は一曲しかない。そう、たったの一曲。
そして、白鍵を押してフォルダを開いた小暮に深い絶望が襲いかかった。
そして、白鍵を押してフォルダを開いた小暮に深い絶望が襲いかかった。
「アイワズ(N)……だと………?
ボロボロにやられた、あのアイワズ(N)だと…………?」
ボロボロにやられた、あのアイワズ(N)だと…………?」
畜生、と小暮は心の中で悪態をついた。
「新規のDPプレイヤーが増えないんですって。どう思う?」
いつの日だったか、町田が小暮にそう意見を求めてきたことを思い出した。
あの時は曖昧な答えしか出せなかったが、今なら明確な答えを返す事が出来るだろう。
小暮はすぅっ、と一度深く息を吸って、心の中で盛大に叫んだ。
あの時は曖昧な答えしか出せなかったが、今なら明確な答えを返す事が出来るだろう。
小暮はすぅっ、と一度深く息を吸って、心の中で盛大に叫んだ。
「滅茶苦茶敷居が高いじゃねーか!!!これなら新規DPerが増えなくて当然だろーが畜生!!!!!」
| 203 :旅人:2009/02/06(金) 01:15:15 ID:Y2SNETyZ0 |
だが、小暮はそこでへこたれるような人間ではなかった。
ある程度不可能な事はあるかもしれないが、この程度なら不可能と呼べる程度ではないのだ。
その程度のものなら、努力と経験を積んでいけば誰もが必ず突破できるものなのだ、そうに決まっている……
小暮はそう考え、そしてフリーモードを終了し、もう一度段位認定を選んでDP五級を受ける事にした……
ある程度不可能な事はあるかもしれないが、この程度なら不可能と呼べる程度ではないのだ。
その程度のものなら、努力と経験を積んでいけば誰もが必ず突破できるものなのだ、そうに決まっている……
小暮はそう考え、そしてフリーモードを終了し、もう一度段位認定を選んでDP五級を受ける事にした……
田中は一人でパレス店内にいた。
このゲームセンターの常連は、皆がそろってこの店の事を「白壁」と呼んでいる。
だが、田中はこの店の事を「白壁」と呼ぶことに抵抗があった。
何か理由があって、という訳ではないのだが、とにかく、そういう事なのだ。
田中は今日に起きた二つの事件を担当する事になったのだが、
相棒の中井がいない事に妙な違和感を覚えていた。
中井なりに事件を調べようとしているのだろう、と田中は考え、
白壁に足を運べば中井に会えるだろうという期待を少しだけ抱いて入店したのだが、
どこにも中井らしき人物を見つける事が出来なかった。
仕方なく、田中は本来の目的である聞き込みを初めていった。
手当たり次第に中林の事を尋ねていくが、返ってくる返答は妙なものばかりだった。
このゲームセンターの常連は、皆がそろってこの店の事を「白壁」と呼んでいる。
だが、田中はこの店の事を「白壁」と呼ぶことに抵抗があった。
何か理由があって、という訳ではないのだが、とにかく、そういう事なのだ。
田中は今日に起きた二つの事件を担当する事になったのだが、
相棒の中井がいない事に妙な違和感を覚えていた。
中井なりに事件を調べようとしているのだろう、と田中は考え、
白壁に足を運べば中井に会えるだろうという期待を少しだけ抱いて入店したのだが、
どこにも中井らしき人物を見つける事が出来なかった。
仕方なく、田中は本来の目的である聞き込みを初めていった。
手当たり次第に中林の事を尋ねていくが、返ってくる返答は妙なものばかりだった。
「中林?誰のことっすか?」
「DJ MACHI並みにIIDXが上手い男?知らないです、ハイ」
「というか、それほどの実力者なら『白壁』の常連で
知らないって奴はいないですよ。でも、そんな奴は知りません」
「DJ MACHI並みにIIDXが上手い男?知らないです、ハイ」
「というか、それほどの実力者なら『白壁』の常連で
知らないって奴はいないですよ。でも、そんな奴は知りません」
皆が皆、中林の事を「知らない」と言うのだ。変だ。そう田中は素直に感じた。
そこで田中は、静かな外に戻って小暮に電話をかけた。
何度目かのコールで小暮の応答の声が返ってくる。
田中はすぐに町田に代わるように言い、少ししてから応対する人間の声が女の物になった。
そこで田中は、静かな外に戻って小暮に電話をかけた。
何度目かのコールで小暮の応答の声が返ってくる。
田中はすぐに町田に代わるように言い、少ししてから応対する人間の声が女の物になった。
「あの…どなたですか?」
「田中です。町田彩さんですね?…俺の事を覚えていますか?」
「田中です。町田彩さんですね?…俺の事を覚えていますか?」
田中にしては珍しい口調だ、と小暮は漏れる彼の声を聞いて思った。
しばらく間が空き、田中の耳に「あっ!」と何かに気づくような声が聞こえた。
それから、その女の声が田中に言った。
しばらく間が空き、田中の耳に「あっ!」と何かに気づくような声が聞こえた。
それから、その女の声が田中に言った。
| 204 :旅人:2009/02/06(金) 01:21:32 ID:Y2SNETyZ0 |
「田中刑事さんだ~。どうしたんですか?」
「死んだ中林卓の事で聞きたいのですが」
「死んだ中林卓の事で聞きたいのですが」
まさに単刀直入。田中は先程ようやく落ち着きを見せた
町田の心を無視するかのようにそれだけを訊ねた。
次に、少しばかり震えが入った町田の声が田中の耳に入る。
町田の心を無視するかのようにそれだけを訊ねた。
次に、少しばかり震えが入った町田の声が田中の耳に入る。
「……なんですか?」
「彼のDJ NAMEを知っていますか?」
「そんな事ですか、えっと…『NAKTAK』です。
それが卓さんのDJ NAMEでした……」
「そうですか、ご協力ありがとうございます。
もしかしたら、またお電話させて頂くかもしれません。
その時はまた、ご協力をお願いします」
「彼のDJ NAMEを知っていますか?」
「そんな事ですか、えっと…『NAKTAK』です。
それが卓さんのDJ NAMEでした……」
「そうですか、ご協力ありがとうございます。
もしかしたら、またお電話させて頂くかもしれません。
その時はまた、ご協力をお願いします」
そう言って田中が通話を切ろうとした時、町田が何かを言っているのに彼は気がついた。
「絶対、卓さんを殺した奴を捕まえてください。
私、どうしてもそいつにビンタた食らわせてやらないと気が済まないんです」
「……犯人は絶対に捕まえます。約束します……では」
私、どうしてもそいつにビンタた食らわせてやらないと気が済まないんです」
「……犯人は絶対に捕まえます。約束します……では」
田中はまた白壁店内に戻っていた。
何故、先程の聞きこみは無駄に終わってしまったのか。
答えは簡単だ。「白壁」内では本名を言っても通じないのが殆どなのだろうからだ。
憶測の域を出ないが、これ位しか可能性が無いのだ。田中はこれに賭けるしかなかった。
何故、先程の聞きこみは無駄に終わってしまったのか。
答えは簡単だ。「白壁」内では本名を言っても通じないのが殆どなのだろうからだ。
憶測の域を出ないが、これ位しか可能性が無いのだ。田中はこれに賭けるしかなかった。
「すみません、もう一度お聞きしたいのですが」
「刑事さん?言いましたよね?中林卓なんて奴は知らないって」
「その名前では知らないだけなんじゃないんですか?」
「は?どういう意味ですか、それ」
「そのまんまの意味だよ。知ってんだろ?『NAKTAK』って奴。どうだ?」
「『NAKTAK』……誰ですか、それ」
「刑事さん?言いましたよね?中林卓なんて奴は知らないって」
「その名前では知らないだけなんじゃないんですか?」
「は?どういう意味ですか、それ」
「そのまんまの意味だよ。知ってんだろ?『NAKTAK』って奴。どうだ?」
「『NAKTAK』……誰ですか、それ」
田中は自分の耳を疑った。今、この聞き込み対象は何を言った?
「何て言いました?」
「誰ですか?って聞いているんですが、マジで誰ですか?」
「誰ですか?って聞いているんですが、マジで誰ですか?」
その言葉を聞いた瞬間、田中の全身の力が一瞬、
ほんの一瞬だけ抜けていったのは、田中しか分からなかった…………
ほんの一瞬だけ抜けていったのは、田中しか分からなかった…………
| 212 :旅人:2009/02/11(水) 00:16:07 ID:Ie6QYJw10 |
田中刑事が捜査に行き詰ってショックを受けていた頃、
小暮は二度目のCSDD段位認定DP五級をクリアーしていた。
まだ指がどのように動けばこのボタンを押せる(叩ける)と完全に
理解したわけではないが、何となくの感覚を掴んでいる、と小暮は確信していた。
小暮はもう一度段位認定DP五級を選択し、その感覚を確固たるものにしようと考えた。
そうすればある程度の実力が一気に付くだろうと、小暮は何となく感づいていたのだった。
小暮は二度目のCSDD段位認定DP五級をクリアーしていた。
まだ指がどのように動けばこのボタンを押せる(叩ける)と完全に
理解したわけではないが、何となくの感覚を掴んでいる、と小暮は確信していた。
小暮はもう一度段位認定DP五級を選択し、その感覚を確固たるものにしようと考えた。
そうすればある程度の実力が一気に付くだろうと、小暮は何となく感づいていたのだった。
小暮はプレーをしている途中、二つの事件について自分なりの推理を働かせていた。
何故、町田と中林が狙われなければならなくなったのか。
それは本当に音ゲーが上手いからという単純な動機なのだろうか。
ただただ狂気にまかせ、行き当たりばったりに犯罪を起こしているのか。
小暮は分からない、と素直に受け入れた。
無理に考えるより、しばらく時間を置いてそれから長考すれば良い。
AA(SPH)をノマゲクリアした時だって、一旦時間を置いてから…では無かっただろうか。
何故、町田と中林が狙われなければならなくなったのか。
それは本当に音ゲーが上手いからという単純な動機なのだろうか。
ただただ狂気にまかせ、行き当たりばったりに犯罪を起こしているのか。
小暮は分からない、と素直に受け入れた。
無理に考えるより、しばらく時間を置いてそれから長考すれば良い。
AA(SPH)をノマゲクリアした時だって、一旦時間を置いてから…では無かっただろうか。
兎に角、今はアイワズ(DPN)を、段位ゲージがほぼフルに近い状態でクリアーする事が小暮の目標だった。
三度目のDP五級。もう小暮の指はDPをするのに十分慣れ切っていた。
だから、その目標は簡単に達成できたし、達成率も急激に上がったのだった。
よし、と小暮が小さく呟くと同時に彼の耳に別の人の声が聞こえた。
三度目のDP五級。もう小暮の指はDPをするのに十分慣れ切っていた。
だから、その目標は簡単に達成できたし、達成率も急激に上がったのだった。
よし、と小暮が小さく呟くと同時に彼の耳に別の人の声が聞こえた。
「小暮君おめでと~。五級で指を慣らしていたの?」
町田の声だった。彼女の眼には、自分が持っていた目的など簡単に映るらしい。
小暮は怖い怖い、と思いながらゆっくり振り返り、口を開いた。
小暮は怖い怖い、と思いながらゆっくり振り返り、口を開いた。
「はい、でもこれで、アイワズ(DPN)はノマゲでもクリアできるんじゃないかと」
「そだねー。じゃ、四級や三級やってみて。
今の小暮君なら、経過を問わなければクリアー出来るはずだよ」
「そだねー。じゃ、四級や三級やってみて。
今の小暮君なら、経過を問わなければクリアー出来るはずだよ」
町田はそう言うと、小暮の右斜め後ろに座った。
オーケイです、と小暮は答え、そして段位認定DP四級をプレーした……
オーケイです、と小暮は答え、そして段位認定DP四級をプレーした……
| 213 :旅人:2009/02/11(水) 00:35:45 ID:Ie6QYJw10 |
十分後。小暮の事務所には、すでにDPlv3の曲を
フリーモードで選曲している事務所の主の姿があった。
DP四級をプレーした小暮は、五級とほぼ変わらない達成率を叩き出し、
町田から「フリー行ってみよー!」の指示を受けて、今に至っていた。
lv3フォルダにノマゲランプを灯らせた小暮は、次にlv4フォルダの征服に乗り出した。
だが、これから彼を襲う悲劇が幕を上げる事となる―――
フリーモードで選曲している事務所の主の姿があった。
DP四級をプレーした小暮は、五級とほぼ変わらない達成率を叩き出し、
町田から「フリー行ってみよー!」の指示を受けて、今に至っていた。
lv3フォルダにノマゲランプを灯らせた小暮は、次にlv4フォルダの征服に乗り出した。
だが、これから彼を襲う悲劇が幕を上げる事となる―――
lv4の曲も数曲クリアー出来てきた小暮には
すっかり調子に乗っていた節があった。もう怖いものなし。
lv4曲も、ちょっと手ごたえがあるというだけで、結構簡単にクリアー出来てしまう。
選曲画面で小暮がカーソルを移動、それを合わせた曲名を見た町田は
一瞬にして表情を変えた。その曲はやっちゃいけない、と町田は思い、そして口を開いた。
すっかり調子に乗っていた節があった。もう怖いものなし。
lv4曲も、ちょっと手ごたえがあるというだけで、結構簡単にクリアー出来てしまう。
選曲画面で小暮がカーソルを移動、それを合わせた曲名を見た町田は
一瞬にして表情を変えた。その曲はやっちゃいけない、と町田は思い、そして口を開いた。
「ダメ、その曲はダメ。絶対にクリアー出来ないよ、それは」
「え?いやいや、大丈夫大丈夫。こんなの楽勝にクリア出来ますよ!」
「え?いやいや、大丈夫大丈夫。こんなの楽勝にクリア出来ますよ!」
小暮、白鍵を押す。キュイイイィィィンン、タアアァンン…
曲決定時の効果音が流れるとともに、その曲名が表示される。
曲決定時の効果音が流れるとともに、その曲名が表示される。
「quell -the seventh slave-」
| 214 :旅人:2009/02/11(水) 00:43:20 ID:Ie6QYJw10 |
町田は思っている。その曲はCSDDの中のDPでのlv4曲の中でも最難ではないかと。
小暮は思っている。その曲はどうせ大した事のないlv4曲なのだろうと。
小暮は思っている。その曲はどうせ大した事のないlv4曲なのだろうと。
「quell -the seventh slave-」(以下、クエル)の譜面は
どう見てもlv4曲のそれではないと町田は思っていた。
最初はまだいい。叩くノーツが少ないのだから。
だが「ダダダダダダダダダダダダダダダーン」という
ムービーが赤基調のパート(町田はよしくんパートと呼ぶ)
に入る前のドラムのような音が、その間隔を狭めていきつつ
クレッシェンドしていくその場面まで曲が進んでいくと、
SPN,Hでは何と言う事のない譜面が高速で流れていたが、DPでは話が違う。
町田はその最初の難関を見切る事が出来るが、
いきなり物量攻めしてきたその譜面に対し、小暮はどうする事も出来なかった。
一気にゲージが2%まで減らされる。小暮が今まで浮かべていた笑みなど、とうに吹き飛んでいた。
どう見てもlv4曲のそれではないと町田は思っていた。
最初はまだいい。叩くノーツが少ないのだから。
だが「ダダダダダダダダダダダダダダダーン」という
ムービーが赤基調のパート(町田はよしくんパートと呼ぶ)
に入る前のドラムのような音が、その間隔を狭めていきつつ
クレッシェンドしていくその場面まで曲が進んでいくと、
SPN,Hでは何と言う事のない譜面が高速で流れていたが、DPでは話が違う。
町田はその最初の難関を見切る事が出来るが、
いきなり物量攻めしてきたその譜面に対し、小暮はどうする事も出来なかった。
一気にゲージが2%まで減らされる。小暮が今まで浮かべていた笑みなど、とうに吹き飛んでいた。
よしくんパートの譜面もlv4か?と町田は疑問に思う。
そう、クエル(DPN)で回復が出来る場所は
一番最初かムービーが青基調になり、強烈な光が溢れ出すパート(町田はタカパートと呼ぶ)
の最初くらいしかないのだ。よしくんパートとラストパートが全く見切れないのでは、
もし見切れていても押す技術が無いのであれば、クエル(DPN)をクリアーする事は不可能なのだ。
そう、クエル(DPN)で回復が出来る場所は
一番最初かムービーが青基調になり、強烈な光が溢れ出すパート(町田はタカパートと呼ぶ)
の最初くらいしかないのだ。よしくんパートとラストパートが全く見切れないのでは、
もし見切れていても押す技術が無いのであれば、クエル(DPN)をクリアーする事は不可能なのだ。
二分後、ブーイングをしているTVの前に、落ち込んでいる小暮が座っていた。
両手を床につき、先程までの調子の良さは何処かへ消えてしまっていた。
そうしてすっかりしょぼくれている小暮に町田が言った。
両手を床につき、先程までの調子の良さは何処かへ消えてしまっていた。
そうしてすっかりしょぼくれている小暮に町田が言った。
「小暮君……あれは詐欺曲だよ。大丈夫、AA(DPN)位のムズさだから」
「そうは言っても…なんでスタッフはこれをlv4にしたんだろう……」
「そうは言っても…なんでスタッフはこれをlv4にしたんだろう……」
全くだ、と町田は思った。
もう少し考えて難易度表記をしっかりとやって欲しいなぁ。
もうちょっとプレイヤー達の声を聞けば、詐欺逆詐欺も無くなると思うんだけど……
後はホラ、チュートリアルやビギナーモードもDPに対応出来たら
敷居はグッと低くなるし、どうなんだろうか?皆はそう思わないかな?どうなんだろうね。
もう少し考えて難易度表記をしっかりとやって欲しいなぁ。
もうちょっとプレイヤー達の声を聞けば、詐欺逆詐欺も無くなると思うんだけど……
後はホラ、チュートリアルやビギナーモードもDPに対応出来たら
敷居はグッと低くなるし、どうなんだろうか?皆はそう思わないかな?どうなんだろうね。