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carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle- St.7
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| 311 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/11/07(土) 23:26:09 ID:tjJWq+wA0 |
烏賊は倒れた。もう二度と復活する事はあり得ない。
その二つを、ユールは何度も頭の中で繰り返して呟いた。
そして、スミに包まれたクーリーの機体を見る。
すっかり黒色は何処かへ消え、しかしそれが不自然であると気づく。
高速で飛行し、飛沫を飛ばしていたのなら納得がいくが、クーリーはあの後何も行動を起こしていなかった。
だからスミの黒色が消えるという事はあり得ない。どう考えても不自然としか言いようがなかった。
その二つを、ユールは何度も頭の中で繰り返して呟いた。
そして、スミに包まれたクーリーの機体を見る。
すっかり黒色は何処かへ消え、しかしそれが不自然であると気づく。
高速で飛行し、飛沫を飛ばしていたのなら納得がいくが、クーリーはあの後何も行動を起こしていなかった。
だからスミの黒色が消えるという事はあり得ない。どう考えても不自然としか言いようがなかった。
「クウ…大丈夫?」
ユールが無線で呼びかけても、クーリーは何の反応も示さない。
もしかすると電波妨害、ジャミングの一種のなのかもしれないと思ったが、
無線は繋がっているのは計器を見れば一目瞭然だった。
クーリーの身を心配するユールに、ログコネクションでルセからの無線連絡が入った。
もしかすると電波妨害、ジャミングの一種のなのかもしれないと思ったが、
無線は繋がっているのは計器を見れば一目瞭然だった。
クーリーの身を心配するユールに、ログコネクションでルセからの無線連絡が入った。
「こちらルセ。ノエル1、聞こえる?」
「うん」
「戦闘が終わったようね。次の奴が出てくる前に交替しましょう。
そこの無傷のビルの屋上で着陸して。無線は私の携帯式のをあげる」
「ありがとう。でも、クウが…」
「うん」
「戦闘が終わったようね。次の奴が出てくる前に交替しましょう。
そこの無傷のビルの屋上で着陸して。無線は私の携帯式のをあげる」
「ありがとう。でも、クウが…」
ユールは一部始終を語りながら指定されたビルに着陸し、機体から降りた。
彼女より先にビルの上に立って待っていたルセは、口を使ってユールと会話をした。
彼女より先にビルの上に立って待っていたルセは、口を使ってユールと会話をした。
「一応は見えていたけど、そんな事があったなんてね…」
「ダメージは負ってないみたいだけど。
でも、彼の反応が無いの。一体どうなっているの?」
「分からない。とりあえず、私からも呼び掛けてみようかな」
「ダメージは負ってないみたいだけど。
でも、彼の反応が無いの。一体どうなっているの?」
「分からない。とりあえず、私からも呼び掛けてみようかな」
ルセはそう言い、先程までユールが搭乗していた機体に乗り込む。
元は自分の専用機だからか、計器の確認や装備の確認の作業がスムーズに進んでいく。
その間、ユールはP-UFOに乗り、その乗り心地を体感していた。
以前、クーリーからの誘いで同じようなものに乗った事があるユールは
10秒も経たない内にそれを乗りこなしていた。
元は自分の専用機だからか、計器の確認や装備の確認の作業がスムーズに進んでいく。
その間、ユールはP-UFOに乗り、その乗り心地を体感していた。
以前、クーリーからの誘いで同じようなものに乗った事があるユールは
10秒も経たない内にそれを乗りこなしていた。
| 312 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/11/07(土) 23:33:16 ID:tjJWq+wA0 |
「テス…テス…あー…ルセ、聞こえる?」
ユールはルセから手渡された無線機のテストをしていた。
テストがてら、自分の武器の確認をしようとも思っている。
テストがてら、自分の武器の確認をしようとも思っている。
「感度良好。どうしたの?」
「私の武器はこれに備え付けられているPSCRに入ってるの?」
「そうよ。どれも当たれば強力な携行型の武器だから。
装弾数はどの武器も十発。PSCRの数は五つだから、計五十発」
「分かった。それより、クウはどう?」
「反応は無いわ。でも、何か呟いているのは聞こえた」
「私の武器はこれに備え付けられているPSCRに入ってるの?」
「そうよ。どれも当たれば強力な携行型の武器だから。
装弾数はどの武器も十発。PSCRの数は五つだから、計五十発」
「分かった。それより、クウはどう?」
「反応は無いわ。でも、何か呟いているのは聞こえた」
呟き…?ユールは遠くは無い記憶を探り当てて検証したが、
そんなものは聞こえていなかったと確信する。
そんなものは聞こえていなかったと確信する。
「何て言ってるの?」
「『ご………さぃ』って。これがずっとよ…何か思い当たる節は?」
「それ…『ごめんなさい』って言ってるんだと思う」
「何に対して謝ってるって言うの?」
「それは…それは、知らないよ……」
「『ご………さぃ』って。これがずっとよ…何か思い当たる節は?」
「それ…『ごめんなさい』って言ってるんだと思う」
「何に対して謝ってるって言うの?」
「それは…それは、知らないよ……」
おかしかった。明らかに何かが変だった。
一体、クーリーはこんな時に何を謝っているのだというのだろう。
あの時に彼の落ち度は全くと言っていいほどなかったはずだ。
それなのにどうして謝っているのだろうか…
ユールが考えていると、アルベルトの声が無線から響いてきた。それに耳を傾ける。
一体、クーリーはこんな時に何を謝っているのだというのだろう。
あの時に彼の落ち度は全くと言っていいほどなかったはずだ。
それなのにどうして謝っているのだろうか…
ユールが考えていると、アルベルトの声が無線から響いてきた。それに耳を傾ける。
「皆、敵のお出ましだ。こっちのレーダーに映っている。
北東3000メートル。あと、ログ、クウの様子が変だろ?」
「そうね。何か変なのよ」
「こっちではパイロットとかの戦闘人員の色々なコンディションをモニターできるんだ。
コイツは怯えている、アイツは敵をぶっ殺してやると燃えている…ってのが分かる」
「初耳だわ」
「俺もだ。そんな風にモニタリングされたなんて考えると気持ちが悪い。
で、クウが最後の一撃をくらった後から…奴のコンディションに変化が起きた」
「それは一体?」
「過去を振り返っている。で、戦闘意欲は欠片も無い」
「つまり、それは…」
北東3000メートル。あと、ログ、クウの様子が変だろ?」
「そうね。何か変なのよ」
「こっちではパイロットとかの戦闘人員の色々なコンディションをモニターできるんだ。
コイツは怯えている、アイツは敵をぶっ殺してやると燃えている…ってのが分かる」
「初耳だわ」
「俺もだ。そんな風にモニタリングされたなんて考えると気持ちが悪い。
で、クウが最後の一撃をくらった後から…奴のコンディションに変化が起きた」
「それは一体?」
「過去を振り返っている。で、戦闘意欲は欠片も無い」
「つまり、それは…」
アルベルトの声を聞かなくても、必要な所はユールも分かっていた。
分かっていたからこそ、全てをモニターできる立場にあるアルベルトの言葉を求める。
分かっていたからこそ、全てをモニターできる立場にあるアルベルトの言葉を求める。
「それは、もうアイツが戦えないって事なんだ!
今のコンディションでその場に居続けたら、真っ先にぶっ殺されちまう!早く撤退させるんだ!!」
今のコンディションでその場に居続けたら、真っ先にぶっ殺されちまう!早く撤退させるんだ!!」
| 313 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/11/07(土) 23:38:04 ID:tjJWq+wA0 |
その言葉を受けたユールは急いで
クーリー機の横につけ、彼の顔を見ながら無線で叫ぶ。
クーリー機の横につけ、彼の顔を見ながら無線で叫ぶ。
「ねぇ、しっかりして!聞こえる!?聞こえるでしょ!!」
「……さぃ……め…さ……」
「聞こえるんだったら返事をしてよ!!」
「ごめ………ぃ…」
「あなたに死んで欲しくないの!!今すぐそこから離脱して!!!」
「……さぃ……め…さ……」
「聞こえるんだったら返事をしてよ!!」
「ごめ………ぃ…」
「あなたに死んで欲しくないの!!今すぐそこから離脱して!!!」
ユールが泣きながらそう叫ぶと、クーリーの呟きが急に止まった。
やっと聞く耳を持ってくれたんだ。そう思ったユールは信じられない言葉を耳にする。
やっと聞く耳を持ってくれたんだ。そう思ったユールは信じられない言葉を耳にする。
「いや、僕は、死ぬべきなんだよ」
この言葉は基地にいるアルベルトとアリスの耳にも聞こえていた。
アルベルトはこの言葉を受け、ある事を思い出していた。
アルベルトはこの言葉を受け、ある事を思い出していた。
「馬鹿野郎、アイツ、まだあの事を気にしてんのかよ…」
アルベルトがポツリと呟く。その呟きをアリスは聞き逃さなかった。
「あの事って、どの事?」
「あぁ、姉貴は知らないんだったよな。
……もう10年も前の話だ。アイツがユールに特別に
優しく接するようになったのも、あの事がきっかけだったんだよ…」
「あぁ、姉貴は知らないんだったよな。
……もう10年も前の話だ。アイツがユールに特別に
優しく接するようになったのも、あの事がきっかけだったんだよ…」
| 314 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/11/07(土) 23:48:14 ID:tjJWq+wA0 |
アリスはその言葉を聞いて驚いていた。
元々、クーリーは誰にでも優しい人だ。
たとえ相手が大悪党であろうと、その姿勢を崩さないだろう。
彼の信条は「人を信じる事」と「理解する事」と、
そしてもう一つ、「人から信じられる事」ではなかったろうか。
相手を信じ、話を聞いて理解する。そうして自分は信じられていく。
クーリーはそういう人間だった。誰が見てもそうだったけど…それが、生まれ持ったものではない?
たとえ相手が大悪党であろうと、その姿勢を崩さないだろう。
彼の信条は「人を信じる事」と「理解する事」と、
そしてもう一つ、「人から信じられる事」ではなかったろうか。
相手を信じ、話を聞いて理解する。そうして自分は信じられていく。
クーリーはそういう人間だった。誰が見てもそうだったけど…それが、生まれ持ったものではない?
「教えてくれないの?」
アリスがアルベルトに言った。それはある種の願いをかけているように見える。
「教えていもいいが、多分、クーリーが自分で言ってくれる」
「どうして」
「モニターを見れば分かる。今、アイツは精神が不安定な状態にあるんだ…」
「どうして」
「モニターを見れば分かる。今、アイツは精神が不安定な状態にあるんだ…」
双子の会話は、無線を通して行われているものではない。
だから、ユールとクーリーの耳にも入らないし、他の誰に聞こえるものでもなかった。
ユールはこの時、頭の中でクーリーの言った言葉を反芻していた。
だから、ユールとクーリーの耳にも入らないし、他の誰に聞こえるものでもなかった。
ユールはこの時、頭の中でクーリーの言った言葉を反芻していた。
「いや、僕は、死ぬべきなんだよ」
何でそんな悲しい事を言うの?
クーリーが死んだら、一体どれだけの人が悲しむというの?
クーリーがいない、そんなこれからの生活なんて考えられないじゃない?
クーリーが死んだら、一体どれだけの人が悲しむというの?
クーリーがいない、そんなこれからの生活なんて考えられないじゃない?
「どうしてそんな事を言うの?」
ユールの口から自然に言葉が飛び出す。その声は何処か涙声気味だ。
クーリーはその言葉に即答した。
クーリーはその言葉に即答した。
「マキナの言っていた事は正しい」
「え?」
「え?」
クーリーはそこで一呼吸おいて口を開いた。
この口から出る言葉は、多分、ユールに衝撃を与えたに違いない。
この口から出る言葉は、多分、ユールに衝撃を与えたに違いない。
「『根っからの善人なんて何処を捜してもいない』
…これは正解だ。この概念こそが正論だ。
僕は根っからの善人ではない。君には悪いけど」
…これは正解だ。この概念こそが正論だ。
僕は根っからの善人ではない。君には悪いけど」
| 315 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/11/07(土) 23:53:50 ID:tjJWq+wA0 |
ユールは聞き返さなかった。10分程前に自分が言った事を真っ向から否定された。
自分の信じていたものを、彼女にとってそれのシンボルであったクーリーに否定されたのだ。
これでショックを受けない道理は無い。
自分の信じていたものを、彼女にとってそれのシンボルであったクーリーに否定されたのだ。
これでショックを受けない道理は無い。
「僕はね」クーリーが続ける。
「僕だって自分がいい人間であると思っていた。
信号無視もこれまで一度もしてないし、色んなマナーだって守り抜いてきた。
でも、そんな事じゃ、真に善人だなんて言えない事に気がついた」
信号無視もこれまで一度もしてないし、色んなマナーだって守り抜いてきた。
でも、そんな事じゃ、真に善人だなんて言えない事に気がついた」
そこでクーリーは言葉を切った。言葉を選んでいるのか、しばしの間が空き、続ける。
「10年くらい前の話だ。僕は本当は善人ではなかったと気づいてしまった日。
小学校の一年生の時、自分は良い子なんだという誇りがあった。
ルールやマナーはきちんと守る。誰とでも礼儀正しく接する……
…自分で言うのもなんだけど、相当模範的な子供であったと思うよ」
「何でそんな昔話をするの」
「これは懺悔か?いや、過ぎてしまった告白だろうか…
ねぇダイヤ、敵が来るまであと何秒だい?」
小学校の一年生の時、自分は良い子なんだという誇りがあった。
ルールやマナーはきちんと守る。誰とでも礼儀正しく接する……
…自分で言うのもなんだけど、相当模範的な子供であったと思うよ」
「何でそんな昔話をするの」
「これは懺悔か?いや、過ぎてしまった告白だろうか…
ねぇダイヤ、敵が来るまであと何秒だい?」
クーリーはアリスにそう問うた。
話を逸らそうという意図で無い事は、彼の声の調子を聞けば明らかである。
話を逸らそうという意図で無い事は、彼の声の調子を聞けば明らかである。
「もう来るわ」
「あぁ、君に罪を告白する事も叶わないとはね…ま、これで最後だ。しっかりやろう」
「あぁ、君に罪を告白する事も叶わないとはね…ま、これで最後だ。しっかりやろう」
| 316 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/11/07(土) 23:57:38 ID:tjJWq+wA0 |
そうクーリーが言った瞬間、彼の機体が小さな爆発を起こした。
ばこん。そうとしか書きようのないシンプルな爆発音だ。
その音は波となり、すぐ近くにいたユールに衝撃波を伴って激突する。
ばこん。そうとしか書きようのないシンプルな爆発音だ。
その音は波となり、すぐ近くにいたユールに衝撃波を伴って激突する。
「ぅわぁッ!クウ!!」
ユールはP-UFOにしがみつくようにして体勢を整え、クーリーに声をかけた。
「く…一体何処からくぐおぁっ!!」
二度目の謎の爆発。ユールはすぐにレーダーを確認する。
結局、レーダー圏内に敵がいる事も確認できなかった。
先の無線で、アルベルトが3000メートルがどうのと言っていた。
今のユールが搭乗するP-UFOの備え付けのレーダーで捉えられない距離だという事だった。
しかし、突然の事態でそんなことまで頭が回らなかったユールは
混乱に陥りそうになった。そんなユールの耳にマキナの声が響く。
結局、レーダー圏内に敵がいる事も確認できなかった。
先の無線で、アルベルトが3000メートルがどうのと言っていた。
今のユールが搭乗するP-UFOの備え付けのレーダーで捉えられない距離だという事だった。
しかし、突然の事態でそんなことまで頭が回らなかったユールは
混乱に陥りそうになった。そんなユールの耳にマキナの声が響く。
「まさか…クウ!今すぐ第二ブロックへ急げ!」
「えぇい、何だって!?」
「北東方向に敵がいる!物陰に隠れるように遮蔽物を使え!!!」
「えぇい、何だって!?」
「北東方向に敵がいる!物陰に隠れるように遮蔽物を使え!!!」
了解した旨を伝え、クーリーは直ぐに第二ブロックへ撤退した。
マキナはユールとルセにも同様のことを伝え、撤退するユールに言う。
マキナはユールとルセにも同様のことを伝え、撤退するユールに言う。
「アレは、僕が生前、最後に戦った9の攻撃に似ている」
「え?」
「『ステルス』と彼は命名していた。
真空波のような物を飛ばして何かにぶち当たったら爆発するんだ。
あれには驚かされたが、今の時代でアレを人が出来るのか…いや、9なのか?」
「ねぇ」
「どうした」
「9って人が二度目の闇に取りつかれた。だからそんな事もやってのけた?」
「まぁ、そうだね」
「あなたはどうなったの」
「目を凝らせば見えたからね。まぁ、穴冥やってた方が楽なんだけど」
「あな…?…私でも見える?」
「光に選ばれた人なら多分。そうだ、AAのアナザ―は出来る?」
「無理よあんなの。クウが簡単そうにやってたけど」
「あの譜面を見切るより難しいけど、それはスピードの面でしかない。
こっちはBPM200の5.1.1のノーマルを、ハイスピ5速で全ノーツでグレ以上を出すようなものだ」
「どう考えても無理ね」
「自分を信じなよ。あり得ないくらい早くても、
クリア自体は簡単だから。AAのアナザーなんかよりはずっとね」
「え?」
「『ステルス』と彼は命名していた。
真空波のような物を飛ばして何かにぶち当たったら爆発するんだ。
あれには驚かされたが、今の時代でアレを人が出来るのか…いや、9なのか?」
「ねぇ」
「どうした」
「9って人が二度目の闇に取りつかれた。だからそんな事もやってのけた?」
「まぁ、そうだね」
「あなたはどうなったの」
「目を凝らせば見えたからね。まぁ、穴冥やってた方が楽なんだけど」
「あな…?…私でも見える?」
「光に選ばれた人なら多分。そうだ、AAのアナザ―は出来る?」
「無理よあんなの。クウが簡単そうにやってたけど」
「あの譜面を見切るより難しいけど、それはスピードの面でしかない。
こっちはBPM200の5.1.1のノーマルを、ハイスピ5速で全ノーツでグレ以上を出すようなものだ」
「どう考えても無理ね」
「自分を信じなよ。あり得ないくらい早くても、
クリア自体は簡単だから。AAのアナザーなんかよりはずっとね」
| 317 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/11/08(日) 00:04:59 ID:tjJWq+wA0 |
マキナとの会話を終えたユールは急停止し、敵へ向かって前進を始める。
ルセが制止の呼び声をかけるが、ユールの耳には届かない。
ルセが制止の呼び声をかけるが、ユールの耳には届かない。
「AAのアナザーより簡単、AAのアナザーより簡単…」
ルセの耳にはこの呟きしか聞こえていなかっただろう。
マキナの言ったとおり、ユールの目にはわずかに認識できる程度の違和があった。
その違和を認識した途端、それはもの凄いスピードでユールの横を通る。
ギリギリの所でそれらを回避し続け、ようやくレーダー圏内に
敵の光点を映しだすほどに、ユールは敵への接近に成功していた。
その違和を認識した途端、それはもの凄いスピードでユールの横を通る。
ギリギリの所でそれらを回避し続け、ようやくレーダー圏内に
敵の光点を映しだすほどに、ユールは敵への接近に成功していた。
「カーニバルまであんなに遠い…」
「もし敵を9が操っていたら…
敵は9以上にあの技のポテンシャルを引き出せるみたいだ」
「敵って鷲のことだよね?」
「そうだけど、真っ黒らしいじゃないか。それはもはやイーグルとは言えない」
「じゃあ何?」
「決まってるじゃないか…『レイヴン』さ」
「もし敵を9が操っていたら…
敵は9以上にあの技のポテンシャルを引き出せるみたいだ」
「敵って鷲のことだよね?」
「そうだけど、真っ黒らしいじゃないか。それはもはやイーグルとは言えない」
「じゃあ何?」
「決まってるじゃないか…『レイヴン』さ」
レイヴン。その言葉を聞いた時、ユールの頭には、その言葉が指す鳥は出てこなかった。
レイヴンの黒い鳥 (作者不詳) (原文)
ある日、悪いことばかりしている烏がいました。
そんな烏を一人の勇気のある子供が追い払おうと、手にホウキを持って立ち向かいました。
けれども、その子供は烏に殺され、心臓をついばまれてしまいます。
これを知った子供の両親はとても悲しみ、怒りにふるえました。
子供の父親が手にしたのはライフルです。烏なんて一発でころせるでしょう。
父親の手によって烏は撃たれます。でも、烏はうたれてもピンピンしていました。
烏は父親を返り討ちにして、子供の母親も子供と同じようにころします。
烏は、いつしか大々的な手段でころされそうになります。
大々的というのは、スケールの大きなころしかたということです。
もちろん、兵隊さんも烏をころそうとしました。
でもやっぱり、烏はしにません。うたれても、何をされてもです。
そんな烏を一人の勇気のある子供が追い払おうと、手にホウキを持って立ち向かいました。
けれども、その子供は烏に殺され、心臓をついばまれてしまいます。
これを知った子供の両親はとても悲しみ、怒りにふるえました。
子供の父親が手にしたのはライフルです。烏なんて一発でころせるでしょう。
父親の手によって烏は撃たれます。でも、烏はうたれてもピンピンしていました。
烏は父親を返り討ちにして、子供の母親も子供と同じようにころします。
烏は、いつしか大々的な手段でころされそうになります。
大々的というのは、スケールの大きなころしかたということです。
もちろん、兵隊さんも烏をころそうとしました。
でもやっぱり、烏はしにません。うたれても、何をされてもです。
絶 対 に 烏 は し に ま せ ん 。 絶 対 に 烏 は こ ろ さ れ ま せ ん 。
そして烏は、自分をころそうとした人達みんなの心臓をついばんでころしてしまいます。
誰かが言いました。一番強い武器で烏をころしてみよう。
その誰かの言葉で、烏のいる国では最強の、一番強い武器が烏に向けてうたれました。
「かくみさいる」という大きな武器が烏に直撃して、クレーターが出来ました。
クレーターの周りに人の姿はありません。もし何かがいても、きっとしんでいるでしょう。
「かくみさいる」という大きな武器が烏に直撃して、クレーターが出来ました。
クレーターの周りに人の姿はありません。もし何かがいても、きっとしんでいるでしょう。
で も 、烏 だ け は 生 き て い た の で す 。
烏は羽ばたいてクレーターを見降ろし、どこかへ飛び去りました。おしまい。
| 318 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/11/08(日) 00:13:14 ID:OKkedlzj0 |
レイヴンという単語を聞いて、ユールの脳裏によぎったのは童話だった。
鳥でもなく、大陸でもなく。思いついたのは、全く面白くないフェアリーテイル。
それは語る。不死鳥のような超越した存在にに立ち向かうのは愚かなのだと。
鳥でもなく、大陸でもなく。思いついたのは、全く面白くないフェアリーテイル。
それは語る。不死鳥のような超越した存在にに立ち向かうのは愚かなのだと。
「そんな烏に、勝てるの?」
ユールは自問するように呟いた。その呟きにマキナが答える。
「彼らは最善を尽くした。だから勝ちだ。結果がどうであっても。
僕たちも頑張ろう、ユール。彼らは僕たちという手段をまだ使っていない」
僕たちも頑張ろう、ユール。彼らは僕たちという手段をまだ使っていない」
マキナもユールと同じく「レイヴンの黒い鳥」を思い出したのかもしれない。
ここだけ聞けば意味が分からない事を言いだした理由は、そうでないと説明がつかない。
ここだけ聞けば意味が分からない事を言いだした理由は、そうでないと説明がつかない。
「分かった。私達がいる。…私達が烏を倒す!そうでしょ!!」
「そうだ!僕たちがいるんだ!!絶対に勝てる!!烏なんか目じゃない!!!」
「そうだ!僕たちがいるんだ!!絶対に勝てる!!烏なんか目じゃない!!!」
ユールとマキナは叫び、戦闘意欲を増長させて黒い鷲への距離を詰めていく。
彼らに言わせれば、敵はいつの間にか鷲ではなく、烏へと名前が変わっていた。
彼らに言わせれば、敵はいつの間にか鷲ではなく、烏へと名前が変わっていた。
それからユールが8回目の「ステルス」を回避し終えた時のこと。
ユールは鷲、いや、確かに目にすれば烏とも呼べなくは無い黒い鳥の兵器と対峙していた。
マキナが何かに気付いたのか、突然叫び声を上げた。
ユールは鷲、いや、確かに目にすれば烏とも呼べなくは無い黒い鳥の兵器と対峙していた。
マキナが何かに気付いたのか、突然叫び声を上げた。
「お前、9なのか!?」
「そういう名前だった時もあったな」黒い鳥が機械音声ではなく、自然な声で即答した。9の肉声だろうか。
「どうしてお前がここに!?あの時、僕がお前を封じ込めたはずだ!!」
「お前、封筒の糊は薄く貼るタイプなんじゃないのか?」
「確かに出てこれないようにした!!誰に解放された!?言え!!!」
「お前、封筒の糊は薄く貼るタイプなんじゃないのか?」
「確かに出てこれないようにした!!誰に解放された!?言え!!!」
マキナが怒鳴り続ける。ユールが初めて見る、マキナの新たな一面だった。
「今回の主役、『全てを回帰へと導くもの』が俺を解放してくれた」
「闇は闇同士で争い合うはずだ、違うのか!?」
「正解だよ、正解。でもな、俺と奴の利害が一致したんだ…これからがショウタイムだ」
「闇は闇同士で争い合うはずだ、違うのか!?」
「正解だよ、正解。でもな、俺と奴の利害が一致したんだ…これからがショウタイムだ」
黒い鳥はごく自然な音で大きな鳴き声を発した。
それ以降、私がこの後を知るための資料が、底を尽きかけている。
それ以降、私がこの後を知るための資料が、底を尽きかけている。
| 14 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/01(火) 23:13:35 ID:kEvpSScR0 |
これから先に私が書き記す文は信憑性が無くなる。
烏が「ショウタイム」と宣言したその後、無線の記録が残されていないからだ。
それでも、私は僅かな資料を元に書けるだけ書くつもりだ。
これまでに私は自分の限界を何度も見た。今度はそれを越えてやる。必ず。
烏が「ショウタイム」と宣言したその後、無線の記録が残されていないからだ。
それでも、私は僅かな資料を元に書けるだけ書くつもりだ。
これまでに私は自分の限界を何度も見た。今度はそれを越えてやる。必ず。
ターミナルタワー深部にあるWSFカーニバル基地。
遥か上空を飛ぶ空中管制機フェニックス。敵の侵攻の迎撃にあたる子供たち。
主にこの三つを結んできたものが切れた。連絡システムがダウンしたのだ。
代表的なのは、無線での連絡が不可能になった事が挙げられる。
その他、ここには書き切れないほどの細々としたトラブルが続発した。
遥か上空を飛ぶ空中管制機フェニックス。敵の侵攻の迎撃にあたる子供たち。
主にこの三つを結んできたものが切れた。連絡システムがダウンしたのだ。
代表的なのは、無線での連絡が不可能になった事が挙げられる。
その他、ここには書き切れないほどの細々としたトラブルが続発した。
バレンタイン姉弟がルセの代理を任せられ、指令室で色々な指示をしたり、
よく分からない事をスタッフに教えてもらっている時、その異変が起きた。
司令室にあるモニターが全部死に、死んだモニターが別の映像を送った。
その映像というのも、映像というには程遠い、気味の悪い黒色のノイズであった。
そのノイズが人の唇に見えたその一瞬、指令室の全てのスピーカーから声が響く。
よく分からない事をスタッフに教えてもらっている時、その異変が起きた。
司令室にあるモニターが全部死に、死んだモニターが別の映像を送った。
その映像というのも、映像というには程遠い、気味の悪い黒色のノイズであった。
そのノイズが人の唇に見えたその一瞬、指令室の全てのスピーカーから声が響く。
「おばんです」
落ち着いた、しかしどこか威厳と威圧を併せ持った声が言った。
しかしこの言葉は、今はどこにも存在しない。
近いものに「トーホク方言」というものが挙げられるが、この時代の殆どの人はその存在自体を知らない。
しかしこの言葉は、今はどこにも存在しない。
近いものに「トーホク方言」というものが挙げられるが、この時代の殆どの人はその存在自体を知らない。
「総帥だ…総帥の声だ…」
にわかにざわつき始める司令室の空気。
アルベルトが静粛を求め、次にこう言った。
アルベルトが静粛を求め、次にこう言った。
「質問だ。アンタが総帥とやらか?そしてアンタはふざけてんのか?」
「いいえ」
「そうか?……いや、皆はアンタを総帥と呼んだ。違うのか?」
「ええ。私、いいえ、私という一人称は使うべきなのだろうか…
それは分からないのですが、とりあえず自分の事を私と呼ばさせて頂きますね」
「前置きは良いからとっとと何か話せ」
「分かりました。私は自らを『全てを回帰へと導くもの』と呼んでいます」
「いいえ」
「そうか?……いや、皆はアンタを総帥と呼んだ。違うのか?」
「ええ。私、いいえ、私という一人称は使うべきなのだろうか…
それは分からないのですが、とりあえず自分の事を私と呼ばさせて頂きますね」
「前置きは良いからとっとと何か話せ」
「分かりました。私は自らを『全てを回帰へと導くもの』と呼んでいます」
前に書いたが、闇に取りつかれた人は、それの自覚を持たずに行動する。
自らの意思で行動しているように思っているのだが、実際は違うのだ。
しかし、この総帥は自らを「全てを回帰へと導くもの」と称している。自分は闇であることを認めている。
先の黒い鳥にとりつく「全てを破壊するもの」も、どこか自らを闇であることを認めている風に匂わせる。
この二つの闇は、二人の人間の全てを浸食し、殺し、彼らの全てを奪ってしまった。最悪だ。
自らの意思で行動しているように思っているのだが、実際は違うのだ。
しかし、この総帥は自らを「全てを回帰へと導くもの」と称している。自分は闇であることを認めている。
先の黒い鳥にとりつく「全てを破壊するもの」も、どこか自らを闇であることを認めている風に匂わせる。
この二つの闇は、二人の人間の全てを浸食し、殺し、彼らの全てを奪ってしまった。最悪だ。
| 15 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/01(火) 23:22:16 ID:kEvpSScR0 |
「で、アンタは何をしに来たんだ」
「あなた達の『回帰』です。この基地と小賢しい大きな蠅、
そして哀れな光の選者の……私一人で十分なのですが、保険として先輩に頼んでいますが」
「何を言ってんのかわかんねぇがこれだけは分かった。
アンタがこの異常事態を引き起こしている、そうだな?」
「人の話を最後まで聞かない割には、随分と勘がよろしいようで」
「褒めてもアンタをぶちのめす右ストレートが出るだけだぜ」
「あぁ怖い怖い。兎に角、私のひとまずの役割は終わりました。
先輩が君の仲間達を殺せば、とりあえずは私の勝ちとなるので…」
「あいつらはそう簡単にやられるほどヤワじゃねぇよ。アンタらが負ける」
「それはその時で、実力行使であなた達を回帰させます。
知っていますか?全ては何も無い状態から始まった。宇宙がそうです。
宇宙は今も広がり続けている。でも、いつかは収縮を始めるでしょう。
それが『回帰の時』なのです。しかしあなた達の歴史を見ると、虫酸が走るのですよ。
私がものにしている体の元の持ち主の心が嘆いていました。だから私が手を貸すのです」
「聞いてもいねぇのにべらべら喋りやがって。テメェの話が吐き気がするっつーの」
「あなた達の『回帰』です。この基地と小賢しい大きな蠅、
そして哀れな光の選者の……私一人で十分なのですが、保険として先輩に頼んでいますが」
「何を言ってんのかわかんねぇがこれだけは分かった。
アンタがこの異常事態を引き起こしている、そうだな?」
「人の話を最後まで聞かない割には、随分と勘がよろしいようで」
「褒めてもアンタをぶちのめす右ストレートが出るだけだぜ」
「あぁ怖い怖い。兎に角、私のひとまずの役割は終わりました。
先輩が君の仲間達を殺せば、とりあえずは私の勝ちとなるので…」
「あいつらはそう簡単にやられるほどヤワじゃねぇよ。アンタらが負ける」
「それはその時で、実力行使であなた達を回帰させます。
知っていますか?全ては何も無い状態から始まった。宇宙がそうです。
宇宙は今も広がり続けている。でも、いつかは収縮を始めるでしょう。
それが『回帰の時』なのです。しかしあなた達の歴史を見ると、虫酸が走るのですよ。
私がものにしている体の元の持ち主の心が嘆いていました。だから私が手を貸すのです」
「聞いてもいねぇのにべらべら喋りやがって。テメェの話が吐き気がするっつーの」
アルベルトがそう返すと、総帥の声を持った「全てを回帰へと導くもの」が黙り、唐突に
「黙れ愚者よ!貴様らのような無価値な者どもを全て殺してから『回帰』を実行するのだ!
私がそう言うのだ、貴様らは私の『回帰』によって救われるのだぞッ!!感謝するがいいッッ!!!」
私がそう言うのだ、貴様らは私の『回帰』によって救われるのだぞッ!!感謝するがいいッッ!!!」
そう気が狂ったかのように叫び、総帥の声は途絶えた。
一方その頃、ユールはP-UFOでアクロバティック飛行をしつつ、烏と戦っていた。
ブリーフィングで伝えられた前情報とは全く違うフォルムを持つ敵。
ユールが攻撃を紙一重で避けた瞬間、彼女の脳裏にある考えがよぎった。
ブリーフィングで伝えられた前情報とは全く違うフォルムを持つ敵。
ユールが攻撃を紙一重で避けた瞬間、彼女の脳裏にある考えがよぎった。
「闇がとりつく事によって、無機物も有機物にも何らかの変化を起こすのだろうか?」
分からなかったが、そうでなければこれは説明できない事は分かっていた。
闇の力というのは人の心に入り込んで支配するだけでなく、無機物の造形をも変容させる。
これほど恐ろしい存在は無いだろう。人の心も、無機物も変えてしまう。
何もかもを変える、という表現は当てはまらない。正しくは支配とコントロールだ。最悪だ。
光の力にも、そんな効果は無いのだろうか。変容でも何でも良い。
どんなのでもいいから何か効果がないと、まともに太刀打ち出来ない。
闇の力というのは人の心に入り込んで支配するだけでなく、無機物の造形をも変容させる。
これほど恐ろしい存在は無いだろう。人の心も、無機物も変えてしまう。
何もかもを変える、という表現は当てはまらない。正しくは支配とコントロールだ。最悪だ。
光の力にも、そんな効果は無いのだろうか。変容でも何でも良い。
どんなのでもいいから何か効果がないと、まともに太刀打ち出来ない。
この一瞬の脳内超高速旅行で、明らかにユールは焦っていた。
| 16 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/01(火) 23:25:26 ID:kEvpSScR0 |
ユールと烏の戦いは圧倒的にユールが不利だった。
ルセと交換し、彼女を乗せた支援機は、
ユールが搭乗しているP-UFOと比較にならない運動性能を有している。
これまでまともに烏の攻撃を受けなかった事自体が奇跡といえよう。
もしかすると、もう私は死ぬのではないだろうか…ユールはそう思い始めていた。
ルセと交換し、彼女を乗せた支援機は、
ユールが搭乗しているP-UFOと比較にならない運動性能を有している。
これまでまともに烏の攻撃を受けなかった事自体が奇跡といえよう。
もしかすると、もう私は死ぬのではないだろうか…ユールはそう思い始めていた。
「闇の力は強大だ。あらゆる存在に浸食し、殺し、そして乗っ取る。
でも、光の力だって捨てたもんじゃない。
現に君の体は大きく変化している。人間レベルの身体能力を大きく超えた。
それに無自覚だとしたら、君はもう最高水準の光の力を持っているって事だ」
でも、光の力だって捨てたもんじゃない。
現に君の体は大きく変化している。人間レベルの身体能力を大きく超えた。
それに無自覚だとしたら、君はもう最高水準の光の力を持っているって事だ」
そんなユールの心を見通し、勇気づけるかのように、マキナが大きな声でユールに力強く言った。
「だから、今まで相手の攻撃を受けなかった。そうじゃないか?」
「…かもしれないね!うわっ、ヤバッ!!」
「そうそう、その調子。それに、もう一つだけ教える事がある」
「それは!?…うわあぁぉぉおおっ!!!」
「…かもしれないね!うわっ、ヤバッ!!」
「そうそう、その調子。それに、もう一つだけ教える事がある」
「それは!?…うわあぁぉぉおおっ!!!」
相手の攻撃を避けつつ、自分の攻撃を当てていく。
そんな戦闘行為に極度の興奮を見出したのか、ユールは滅多に上げない声を上げていた。
そんな声に何の反応を示す事はせずに、マキナはユールに向かって言った。
そんな戦闘行為に極度の興奮を見出したのか、ユールは滅多に上げない声を上げていた。
そんな声に何の反応を示す事はせずに、マキナはユールに向かって言った。
「それは光の力を引き出す方法。とても簡単だ。
『人を信じ、理解し、そして人から信じられる』だけ。ただそれだけなんだよ」
『人を信じ、理解し、そして人から信じられる』だけ。ただそれだけなんだよ」
そんなマキナが言った短い言葉が、ユールをもう一度脳内超高速旅行へと引きずり込む。
随分と前の事だった。まだ私が幼かった頃。小学二年生だった。
たしか、クーリーと一緒に下校していた時だ。
トワイライトという言葉が当てはまる時刻と、それと同期する風景だったのを記憶している。
二人並んで歩いている時、クーリーが唐突に言いだした。
たしか、クーリーと一緒に下校していた時だ。
トワイライトという言葉が当てはまる時刻と、それと同期する風景だったのを記憶している。
二人並んで歩いている時、クーリーが唐突に言いだした。
「僕は人を信じる人になる。人を理解できる人になる。人から信じられる人になる」
私はそれを聞いて、一体それは何なんだと笑った。
しかし、クーリーの目は本気であった。
長い間彼とは行動を共にしたが、これまでにそんな目を見た事は滅多に無かった。
しかし、クーリーの目は本気であった。
長い間彼とは行動を共にしたが、これまでにそんな目を見た事は滅多に無かった。
「僕は、ちょっと前に酷い事をしたんだ」
「え~?クーリーがそんな事するって、どんな事をするの?」
「ある人の希望を砕き、また別のある人の『イフ』を無かった事にした」
「え~?クーリーがそんな事するって、どんな事をするの?」
「ある人の希望を砕き、また別のある人の『イフ』を無かった事にした」
| 17 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/01(火) 23:30:31 ID:kEvpSScR0 |
「イフ?あぁ、ifっていう『もしも』って意味の言葉のこと?」
「またアクセントを間違えたかな。でも、それが問題じゃない。
そんな罪を犯して、それから僕は僕に約束したんだ」
「さっき言った三つの言葉のこと?
『人を信じる人になる、人を理解できる人になる。人から信じられる人になる』ってやつ?」
「うん。そんな人間になるしか、二人に謝る方法は無いから」
「またアクセントを間違えたかな。でも、それが問題じゃない。
そんな罪を犯して、それから僕は僕に約束したんだ」
「さっき言った三つの言葉のこと?
『人を信じる人になる、人を理解できる人になる。人から信じられる人になる』ってやつ?」
「うん。そんな人間になるしか、二人に謝る方法は無いから」
クーリーはそう言ってから、いつもの彼に戻った。
私はは「変なクーリーだったなぁ」という印象しか抱かなかった。
私はは「変なクーリーだったなぁ」という印象しか抱かなかった。
そんな記憶がユールの頭で再生され、そして気づいた。
クーリーはあんな幼い頃から、マキナの言う光の力の引き出し方を知っていたのだ。
マキナの言ったように、聞くだけなら簡単な事ではあるが、よく考えれば幼子であっても
それを達成する事がいかに難しいか分かるだろう。
それでも、クーリーはその三つの方法を実践していた。
罪を犯し、損害を与えた二人に対する謝罪か贖罪のつもりであっただけかもしれない。
そうであったとしても。ユールはクーリーのこれまでの生き方を認めたかった。。
クーリーが何をしたのかは知らないが、それが彼をここまで高める事が出来たなら。
それは彼を肯定しなければならないということにつながる。ユールはそう考えた。
クーリーはあんな幼い頃から、マキナの言う光の力の引き出し方を知っていたのだ。
マキナの言ったように、聞くだけなら簡単な事ではあるが、よく考えれば幼子であっても
それを達成する事がいかに難しいか分かるだろう。
それでも、クーリーはその三つの方法を実践していた。
罪を犯し、損害を与えた二人に対する謝罪か贖罪のつもりであっただけかもしれない。
そうであったとしても。ユールはクーリーのこれまでの生き方を認めたかった。。
クーリーが何をしたのかは知らないが、それが彼をここまで高める事が出来たなら。
それは彼を肯定しなければならないということにつながる。ユールはそう考えた。
そう考えて、そして思い出していく。
両親の死があって、幼い頃からクーリーとその両親の下で育った。
クーリーの両親からは、まるで二人の実の娘のような扱いを受けた。
クーリーとは、唯一無二の親友であった。
そんな環境に幼い頃から身を置いていた私は、いつしかそれを当然だと思っていた。
やがてそれに恥じ、反発するようにして考えを練った。
それが、高校へ進学すると同時にクーリーの家を離れて一人暮らしをするという計画だった。
この計画は頓挫する事なく成功、晴れて自分は愚かな自分から解放されたのだと思い、次に考えた。
クーリーの両親からは、まるで二人の実の娘のような扱いを受けた。
クーリーとは、唯一無二の親友であった。
そんな環境に幼い頃から身を置いていた私は、いつしかそれを当然だと思っていた。
やがてそれに恥じ、反発するようにして考えを練った。
それが、高校へ進学すると同時にクーリーの家を離れて一人暮らしをするという計画だった。
この計画は頓挫する事なく成功、晴れて自分は愚かな自分から解放されたのだと思い、次に考えた。
クーリーの両親は何故、私に優しくしてくれたのだろう。
クーリーは何故、私と仲良くしてくれたのだろう。…何か裏があるのではないか。
私は一時期、何も信用できなくなった。私の思考のベクトルが狂ってしまったのだ。
そうなってしまった私は、それより昔や今のように明るく振る舞う事が出来なくなった。
被害妄想。パラノイア・スパイラル。強烈な自己嫌悪。私は気が狂いそうになっていた。
クーリーは何故、私と仲良くしてくれたのだろう。…何か裏があるのではないか。
私は一時期、何も信用できなくなった。私の思考のベクトルが狂ってしまったのだ。
そうなってしまった私は、それより昔や今のように明るく振る舞う事が出来なくなった。
被害妄想。パラノイア・スパイラル。強烈な自己嫌悪。私は気が狂いそうになっていた。
それを救ったのがクーリーだった。
「何か悩みでもあるんじゃないかい?」
そんな軽い調子で放たれた彼の言葉が、私を苦しみから救い出した。
泣きじゃくって、彼の胸に顔をうずめて。そして私は新しいクーリーという人物に出会えたような気がした。
新しいのだけれど、それは今までの、いつも通りのクーリーの姿だった。
心の底から私のことを心配してくれる。心の底から私を理解してくれる。
だから、私もクーリーを心の底から信じていこうと思ったんだ。
泣きじゃくって、彼の胸に顔をうずめて。そして私は新しいクーリーという人物に出会えたような気がした。
新しいのだけれど、それは今までの、いつも通りのクーリーの姿だった。
心の底から私のことを心配してくれる。心の底から私を理解してくれる。
だから、私もクーリーを心の底から信じていこうと思ったんだ。
| 18 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/01(火) 23:39:34 ID:kEvpSScR0 |
そうだ、私もマキナの言う光の力の引き出し方を知っていたんだ。
それを意識するかしないか、忘れていたかどうかの違いだけだったんだ。
あまりに抽象的な方法だけど、実際にはそういうものなのだろうと思う。
それを意識するかしないか、忘れていたかどうかの違いだけだったんだ。
あまりに抽象的な方法だけど、実際にはそういうものなのだろうと思う。
もし、それらが間違っていようとも、私はクーリーが正しかったと信じる。
勝手にパラノイア・スパイラルに取り込まれて、自己嫌悪の塊と化した私に手を伸ばしたから。
彼にとって死の罰を受けるべき罪を犯して、彼とマキナの言う三つの方法を見つけられたから。
だから、クーリーは、正しいんだ。
だから、私は彼を、信じるんだ。理解するんだ。そして、彼に信じられるようになるんだ。
勝手にパラノイア・スパイラルに取り込まれて、自己嫌悪の塊と化した私に手を伸ばしたから。
彼にとって死の罰を受けるべき罪を犯して、彼とマキナの言う三つの方法を見つけられたから。
だから、クーリーは、正しいんだ。
だから、私は彼を、信じるんだ。理解するんだ。そして、彼に信じられるようになるんだ。
ユールの脳内旅行はここで終点を迎える。
敵を前にして集中を途切れさせるのは、愚の骨頂であるかもしれない。
しかし、これはユールにとって必要な隙であった。この隙が、彼女をもっと強くする。
この隙に考え、自分なりに結論が下された信条が、それらが、彼女をもっと強くする。
敵を前にして集中を途切れさせるのは、愚の骨頂であるかもしれない。
しかし、これはユールにとって必要な隙であった。この隙が、彼女をもっと強くする。
この隙に考え、自分なりに結論が下された信条が、それらが、彼女をもっと強くする。
ユールは一度カーニバル側へ反転、烏を誘導する作戦に出る。
あまりにも強大な敵である烏をカーニバルへと接近させるのは、あまり良い行動とは言えない。
ユールはそれを承知で、自分の仲間達を信じる事に決めた。
単なる無責任と呼ばれるかもしれない。でも、ユールは仲間達を信じた。
後ろからの攻撃を捌いていく中、カーニバルへと進むユールは自らを鼓舞するように言った。
あまりにも強大な敵である烏をカーニバルへと接近させるのは、あまり良い行動とは言えない。
ユールはそれを承知で、自分の仲間達を信じる事に決めた。
単なる無責任と呼ばれるかもしれない。でも、ユールは仲間達を信じた。
後ろからの攻撃を捌いていく中、カーニバルへと進むユールは自らを鼓舞するように言った。
「私は信じる、私は理解する、そして…皆に信じてもらう!!」
この時、カーニバルでは総帥にとりついた「全てを回帰へと導くもの」が
ユール達の連絡手段を無効にし、それぞれを孤立させたという事は書いた。
「全てを回帰へと導くもの」がコンピューターウィルスのような働きをして
WSFカーニバル基地へダメージを与え、そういう風にさせたのだ。
だから「資料」が無い。これまで私が「資料」と呼んできたのは
主に無線の記録である(他にも主たる資料はあるのだが、代表的なのはそれだ)。
他にも色々な取材の結果を総合し、それらを照らし合わせて信憑性と整合性を高めていた。
しかし、前述のようにメインの資料である無線の記録がこの辺りから全く無い。
そして参考になる資料は僅かしかない。だから、もう、あまり長くは書けない。
これが私の限界らしいが、まだだ。まだまだ書いてみせる。
私は私を信じる。三つの方法の内の一つが、私の限界を超える唯一の鍵を担っている。
ユール達の連絡手段を無効にし、それぞれを孤立させたという事は書いた。
「全てを回帰へと導くもの」がコンピューターウィルスのような働きをして
WSFカーニバル基地へダメージを与え、そういう風にさせたのだ。
だから「資料」が無い。これまで私が「資料」と呼んできたのは
主に無線の記録である(他にも主たる資料はあるのだが、代表的なのはそれだ)。
他にも色々な取材の結果を総合し、それらを照らし合わせて信憑性と整合性を高めていた。
しかし、前述のようにメインの資料である無線の記録がこの辺りから全く無い。
そして参考になる資料は僅かしかない。だから、もう、あまり長くは書けない。
これが私の限界らしいが、まだだ。まだまだ書いてみせる。
私は私を信じる。三つの方法の内の一つが、私の限界を超える唯一の鍵を担っている。
これは、私の最後の抵抗だ。
| 19 :carnival (re-construction ver) Phase 3 -decisive battle-:2009/12/01(火) 23:48:01 ID:kEvpSScR0 |
人には努力しても超えられない壁というのがある。
それは私にとっての文才かもしれない。それは彼らにとっての連絡手段の回復かもしれない。
だから、それが何なのかは定義できないが、努力する人は必ず、その限界という壁を見る。
闇はその限界を超える。そして光も。
二つの力は相反しているようで似ているのだ。
個人のネガティヴな感情につけいって力を発揮する闇。
全体のポジティヴな感情を力に変えて力を発揮する光。
どちらの力も人の心に依存する。しかし、アドバンテージを握るのは闇だ。
個人だけで力を振るえる。それがどれほど使い勝手が良いか分かるだろう。
それは私にとっての文才かもしれない。それは彼らにとっての連絡手段の回復かもしれない。
だから、それが何なのかは定義できないが、努力する人は必ず、その限界という壁を見る。
闇はその限界を超える。そして光も。
二つの力は相反しているようで似ているのだ。
個人のネガティヴな感情につけいって力を発揮する闇。
全体のポジティヴな感情を力に変えて力を発揮する光。
どちらの力も人の心に依存する。しかし、アドバンテージを握るのは闇だ。
個人だけで力を振るえる。それがどれほど使い勝手が良いか分かるだろう。
それでも一つだけ言える事がある。どんな時でも「奇跡」を起こすのは光の力だ。
ユールがカーニバルへ烏を誘い込んでいる頃、
クーリーは自らの過去を思い出していた。
脳内で断片的に回想される映像を振り返り、クーリーはあの時に自分の言った事を思い出した。
クーリーは自らの過去を思い出していた。
脳内で断片的に回想される映像を振り返り、クーリーはあの時に自分の言った事を思い出した。
「信じる、理解する、そして信じられる……僕が言ったんじゃないか」
そしてクーリーは、いつの間にか涙の溜まっていた目元を拭い、そして呟く。
「ユール、僕を信じていて。僕も信じて、君の事を理解する……」
そう呟いて口を閉じ、クーリーは自機の状態を確認する。
「相当酷いなぁ。自己修復装置が働かない、ダメージ率も相当高い。
まるで猫に追い詰められた鼠みたいじゃないか……
あと数発、奴の攻撃をもらったら終わり。んっと、脱出装置はオールグリーン。異常なし。……ん?」
まるで猫に追い詰められた鼠みたいじゃないか……
あと数発、奴の攻撃をもらったら終わり。んっと、脱出装置はオールグリーン。異常なし。……ん?」
クーリーの視界に収まる画面に、新しい切り札が使える表示が出ていた。
「音声認証コード『Last Stand』…自機が窮地に陥った時に使える強力無比な攻撃だって?
ラストスタンド……『最後の抵抗』ってとこか。窮鼠猫を噛む…使ってみるか」
ラストスタンド……『最後の抵抗』ってとこか。窮鼠猫を噛む…使ってみるか」