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carnival (re-construction ver) Last Phase -day break- St.7
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| 321 :carnival (re-construction ver) Last Phase -day break-:2010/04/16(金) 23:39:38 ID:czpj0K9y0 |
そう言った直後に少女は消えた。
しかし私の勘がそれを否定する。
信じがたいスピードで動き、それで姿を消したかのように見せかけ……
しかし私の勘がそれを否定する。
信じがたいスピードで動き、それで姿を消したかのように見せかけ……
「たぁーーっ!!」
後ろから殴ってくる! 分かってはいても、私にはどうする事も出来ない!
「ごふぁっ!」
私は背中を殴られた、ような気がした。
書いていても妙に思うのだが、直接殴られたというよりは
空気に殴られたような感覚だったのだ。
数歩前につんのめって、私は後ろにいるであろう少女の姿を見ようとしたが、
それは無駄である事が勘を使って分かったいた。
もう既に少女は後ろになんかいない。いるとすると……
書いていても妙に思うのだが、直接殴られたというよりは
空気に殴られたような感覚だったのだ。
数歩前につんのめって、私は後ろにいるであろう少女の姿を見ようとしたが、
それは無駄である事が勘を使って分かったいた。
もう既に少女は後ろになんかいない。いるとすると……
「前か!」
私はそう叫びながら思いっきりバックステップした。
タイミングとしてはその直後に、少女が現れ、私が元いた場所を回し蹴りしている。
タイミングとしてはその直後に、少女が現れ、私が元いた場所を回し蹴りしている。
「外した!?」
「ただの勘だ!」
「休みはないわ!」
「ただの勘だ!」
「休みはないわ!」
少女は叫びながら飛び蹴りをかましてくる。
そんな動きは、既に勘で読み切っていた。けれども当たるわけにはいかないので右に横転した。
白いコートに雪がくっつくが、元からコート自体が白いので問題はない。
一撃必殺の威力を秘めた蹴りを繰り出した少女は
着地の後にばっと振り向いて呟いた。
そんな動きは、既に勘で読み切っていた。けれども当たるわけにはいかないので右に横転した。
白いコートに雪がくっつくが、元からコート自体が白いので問題はない。
一撃必殺の威力を秘めた蹴りを繰り出した少女は
着地の後にばっと振り向いて呟いた。
「ただの勘じゃない……まぁ分かっていたけど……」
「分かっていた? それは一体どういう事だ」
「……」
「黙ってないで、何か言え。口はついてるだろ」
「分かっていた? それは一体どういう事だ」
「……」
「黙ってないで、何か言え。口はついてるだろ」
| 322 :carnival (re-construction ver) Last Phase -day break-:2010/04/16(金) 23:49:11 ID:czpj0K9y0 |
少女は一歩後ろに足を動かし、そしてゆっくり頭を下げた。
「ごめんなさい。これがあなたのラストフェーズだったんです」
「ラスト……フェーズだって?」
「ラスト……フェーズだって?」
その言葉を聞いた瞬間、記憶の中である事が一致した。
ジェームズ・クーリーも、一年前のこの日が
彼の義眼のモニタリング研究、データ収集のラストフェーズであった気がする。
これはつまるところ、確実に私も人体実験を受けていた事を意味する。
そして、私の何が影響を受けたのかも……なんとなく、しかしはっきりと気がついた。
ジェームズ・クーリーも、一年前のこの日が
彼の義眼のモニタリング研究、データ収集のラストフェーズであった気がする。
これはつまるところ、確実に私も人体実験を受けていた事を意味する。
そして、私の何が影響を受けたのかも……なんとなく、しかしはっきりと気がついた。
「はい。これであなたは、解放されます」
「やはり私は、何かの実験を受けていたのだな?」
「そうです。円環の異常を見るための、大切な実験だったと聞いています。
それより……どうしてあなたは私の攻撃をかわせたんですか?」
「それはお前達が一番知っているはずだ。
勘だよ、勘。例えて言えば、だ。音楽ゲームを何でもいいからやった事はあるな?」
「一応、全機種は……」
「オブジェが上がったり、もしくは下がって判定ラインに近づくだろ?
例えて言うなら、お前の攻撃はオブジェ。
それとラインを比べてみて、攻撃が避ける事が出来た……そんな感じだ。
説明は出来ないから、こんなふざけた事しか言えないが」
「やはり私は、何かの実験を受けていたのだな?」
「そうです。円環の異常を見るための、大切な実験だったと聞いています。
それより……どうしてあなたは私の攻撃をかわせたんですか?」
「それはお前達が一番知っているはずだ。
勘だよ、勘。例えて言えば、だ。音楽ゲームを何でもいいからやった事はあるな?」
「一応、全機種は……」
「オブジェが上がったり、もしくは下がって判定ラインに近づくだろ?
例えて言うなら、お前の攻撃はオブジェ。
それとラインを比べてみて、攻撃が避ける事が出来た……そんな感じだ。
説明は出来ないから、こんなふざけた事しか言えないが」
| 323 :carnival (re-construction ver) Last Phase -day break-:2010/04/16(金) 23:56:23 ID:czpj0K9y0 |
少女はそれを聞いて、納得したように首を縦に動かした。
私は歩いて少女に近づき、そしてひとつだけ言う。
私は歩いて少女に近づき、そしてひとつだけ言う。
「……自己紹介がまだだった。もう名前は分かっているとは思うが……
私の名前はクロイス。これは姓で、まだ名を明かすつもりはない」
「えぇっ? 良い名前だと思うんですけどね……
あ、私の名前を言うんでした。
もうあなたの察しはついているとは思われます。えーと……ユールです」
私の名前はクロイス。これは姓で、まだ名を明かすつもりはない」
「えぇっ? 良い名前だと思うんですけどね……
あ、私の名前を言うんでした。
もうあなたの察しはついているとは思われます。えーと……ユールです」
そんな気はしてはいたが、
実際にその名を口を開いて言われると、少なからずとも驚きを禁じ得ない。
実際にその名を口を開いて言われると、少なからずとも驚きを禁じ得ない。
「とりあえず、私の家に来てください。そこで話をしましょう」
「分かった。それで、ユール……お前の家はどこなんだ?」
「第一ブロックで物件が売りに出されていた事は覚えていますか?」
「あぁ、まぁ」
「そこが世に知られるカーニバル事件でなくなりました。
だから今年の復興作業で元に戻って、そして私はそこで住んでいます」
「そうか……人には見られても平気なのか?」
「多分大丈夫です。もう、見た目がだいぶ変わったので……」
「どこがだ?」
「体の大きさとかじゃなくて、ただ、髪の色が黒から白に変わっちゃって……」
「はぁ?」
「一年前の私の自慢といえば、何をやっても艶のあった黒髪なんですけど……」
「分かった。それで、ユール……お前の家はどこなんだ?」
「第一ブロックで物件が売りに出されていた事は覚えていますか?」
「あぁ、まぁ」
「そこが世に知られるカーニバル事件でなくなりました。
だから今年の復興作業で元に戻って、そして私はそこで住んでいます」
「そうか……人には見られても平気なのか?」
「多分大丈夫です。もう、見た目がだいぶ変わったので……」
「どこがだ?」
「体の大きさとかじゃなくて、ただ、髪の色が黒から白に変わっちゃって……」
「はぁ?」
「一年前の私の自慢といえば、何をやっても艶のあった黒髪なんですけど……」
まるで今の髪の色が気に入らないように、ユールはそう言った。
しかし私はこれもまた良いのではないかと思った。
あの時降っていた雪と、小さな風になびくユールの白い髪が
言いようのない雰囲気を醸し出していたのである。
何か言葉にして彼女を言い表すのなら、白い魔女、とでもいうべきなのだろうか。
しかし私はこれもまた良いのではないかと思った。
あの時降っていた雪と、小さな風になびくユールの白い髪が
言いようのない雰囲気を醸し出していたのである。
何か言葉にして彼女を言い表すのなら、白い魔女、とでもいうべきなのだろうか。
それから、私達はユールの住む家にて、
かなりの時間をかけて語り合った。
そこでは私がユールから未だ明かされない真相を聞いたり、
ユールの口からカーニバル事件を再構築する材料を聞きだしたり、
ついには彼女と親しげに話す事も出来た。次にそれをまとめたものを書いていこう。
かなりの時間をかけて語り合った。
そこでは私がユールから未だ明かされない真相を聞いたり、
ユールの口からカーニバル事件を再構築する材料を聞きだしたり、
ついには彼女と親しげに話す事も出来た。次にそれをまとめたものを書いていこう。
| 327 :carnival (re-construction ver) Last Phase -day break-:2010/04/23(金) 23:47:53 ID:3MvO4TED0 |
カーニバル第一ブロック内にあるユールの家に、
私はお邪魔させていただく事になった。
その目的は、私にとっては答え合わせ。
ユールにとっては円環の意味を教える事である。
この家は一人で住むには十分に広かった。
台所と居間と寝室、そして物置として機能する地下。
和風な造りでありながら、それとは少し様子は違っていたのである。
私はお邪魔させていただく事になった。
その目的は、私にとっては答え合わせ。
ユールにとっては円環の意味を教える事である。
この家は一人で住むには十分に広かった。
台所と居間と寝室、そして物置として機能する地下。
和風な造りでありながら、それとは少し様子は違っていたのである。
「いやぁ、汚い家ですよねぇ……
こんな所ですけど、すみませんねぇ……」
こんな所ですけど、すみませんねぇ……」
ユールは自分の住む家をそう評しながら
私を居間の座布団に座らせた。
もちろん、ユールの家は汚くはなかった。むしろ綺麗にしていると言える。
私はそんな彼女の態度を見聞きして、何か言いようのない違和感を覚えていた。
私を居間の座布団に座らせた。
もちろん、ユールの家は汚くはなかった。むしろ綺麗にしていると言える。
私はそんな彼女の態度を見聞きして、何か言いようのない違和感を覚えていた。
「ありがとう、ユール。
早速話を始めたいのだが、その前に……」
「その前に、何ですか?」
「その言葉遣いをやめよう、というより、普通に話して欲しい」
「普通って……どういう意味ですか?」
「実はな、ここに来る前にジェームズの住む家にお邪魔したんだ。
ある計画があって、そのためのインタビューをしたのだが、
その結果からしてな、お前はそんな喋り方をするような人間じゃないと思ったんだ」
「……」
「私は、いつも通りの言葉でお前と話をしたい。
こういう口調だが、これがいつも通りだ。
そして……ユール、お前のそんな言葉遣いは、正直言って似合っていないと思う」
早速話を始めたいのだが、その前に……」
「その前に、何ですか?」
「その言葉遣いをやめよう、というより、普通に話して欲しい」
「普通って……どういう意味ですか?」
「実はな、ここに来る前にジェームズの住む家にお邪魔したんだ。
ある計画があって、そのためのインタビューをしたのだが、
その結果からしてな、お前はそんな喋り方をするような人間じゃないと思ったんだ」
「……」
「私は、いつも通りの言葉でお前と話をしたい。
こういう口調だが、これがいつも通りだ。
そして……ユール、お前のそんな言葉遣いは、正直言って似合っていないと思う」
そう言ってから、私は少しだけ後悔した。
何で私はあんな事を言ってしまったのだろうか、と。
私はユールとは赤の他人なのに、そんな事を言う資格があったのだろうかと。
何で私はあんな事を言ってしまったのだろうか、と。
私はユールとは赤の他人なのに、そんな事を言う資格があったのだろうかと。
| 328 :carnival (re-construction ver) Last Phase -day break-:2010/04/23(金) 23:51:23 ID:3MvO4TED0 |
「ですよねー、あっはははっ!!」
少しだけ沈んだ思考に、直接そんなセリフが飛び込んできた。
何が「ですよねー」だよ何なんだよ、と思ったのだが、
それはユールが自分の事を言ったのだと気付いたのは次の瞬間だった。
何が「ですよねー」だよ何なんだよ、と思ったのだが、
それはユールが自分の事を言ったのだと気付いたのは次の瞬間だった。
「は?」
「そうだね。あれは私の喋り方じゃないもん。
あの喋り方は何か疲れちゃって。これから何時間か話をするのに
だるい思いをするのは嫌だなって思ってたの。
だから、ありがとう。クロイスってなんだか、クーリーみたいな人だね」
「そうだね。あれは私の喋り方じゃないもん。
あの喋り方は何か疲れちゃって。これから何時間か話をするのに
だるい思いをするのは嫌だなって思ってたの。
だから、ありがとう。クロイスってなんだか、クーリーみたいな人だね」
これだ。こんな喋り方だ。
ユールと接点のあった人物から得られた証言に基づいた推測に、かなり近い。
これでこそユールなのだ。
今までに日のあたる素晴らしい世界に連れだしてあげたいと願った、あのユールなのだ。
そして、私は何者なのかを知るための答え合わせをしてくれる人物なのだ。
ユールと接点のあった人物から得られた証言に基づいた推測に、かなり近い。
これでこそユールなのだ。
今までに日のあたる素晴らしい世界に連れだしてあげたいと願った、あのユールなのだ。
そして、私は何者なのかを知るための答え合わせをしてくれる人物なのだ。
「クーリーというと、ジェームズのことか」
「そうそう。そういえばクロイス、ちょっと聞きたい事があるんだけど」
「何だ?」
「クーリーはその名前で呼ばれて嫌な顔をしていなかった?」
「嫌な顔、か……分からないな。少なくとも、そんな気配はなかった、とは思う」
「そうなの……じゃ、許せたのかしらね」
「許す、とは?」
「クーリー、一年前のカーニバル事件が起きるひと月前くらいにお父さんに聞かされたんだって。
クーリーの眼が良いのは、実はお金欲しさに人体実験の被験者として差し出したからだって。
もちろん、クーリーはそんな話は信じなかった。でも、ルセが私に教えてくれたの。
カーニバル事件が起きた日の出撃前に、クーリーはWSFからその話が本当だと聞かされて……」
「大体は分かった。それで……」
「そうそう。そういえばクロイス、ちょっと聞きたい事があるんだけど」
「何だ?」
「クーリーはその名前で呼ばれて嫌な顔をしていなかった?」
「嫌な顔、か……分からないな。少なくとも、そんな気配はなかった、とは思う」
「そうなの……じゃ、許せたのかしらね」
「許す、とは?」
「クーリー、一年前のカーニバル事件が起きるひと月前くらいにお父さんに聞かされたんだって。
クーリーの眼が良いのは、実はお金欲しさに人体実験の被験者として差し出したからだって。
もちろん、クーリーはそんな話は信じなかった。でも、ルセが私に教えてくれたの。
カーニバル事件が起きた日の出撃前に、クーリーはWSFからその話が本当だと聞かされて……」
「大体は分かった。それで……」
その話がどうでもいい、とは思っていない。
しかし、手術がらみで一番気になっていた事があった。
しかし、手術がらみで一番気になっていた事があった。
「私は一体、何の手術を受けたんだ?」
| 329 :carnival (re-construction ver) Last Phase -day break-:2010/04/23(金) 23:55:58 ID:3MvO4TED0 |
そう、それが問題だった。
私は一体何をされたのか、それが全く分からない。
ただ、ある程度の予測はついていた。それをユールは言うかどうか……
私は一体何をされたのか、それが全く分からない。
ただ、ある程度の予測はついていた。それをユールは言うかどうか……
「それは、円環の話とリンクする所があるんだ。
だからその話をしながら、クロイスの事も話していこうと思うんだけど、いい?」
「何でもいいさ、分かるのなら」
「うん。それなら……何を話せばいいのかな……
私がカーニバル事件に関わったきっかけの一つとして、
千年ごとに訪れる世界の破滅を止めるってのがあったのね」
「知ってる」
「それで、私が戦った理由は、それを止めるための力があったというのもあるんだけど
それだけじゃなかった。大切なものを守りたかったからなのね。
その思いが私の力を増幅させるらしいんだけど、それはこの話とは関係がないから省くわ。
簡単に言うと、世界は千年間を一つの単位として、スタートとゴールを繰り返しているの」
だからその話をしながら、クロイスの事も話していこうと思うんだけど、いい?」
「何でもいいさ、分かるのなら」
「うん。それなら……何を話せばいいのかな……
私がカーニバル事件に関わったきっかけの一つとして、
千年ごとに訪れる世界の破滅を止めるってのがあったのね」
「知ってる」
「それで、私が戦った理由は、それを止めるための力があったというのもあるんだけど
それだけじゃなかった。大切なものを守りたかったからなのね。
その思いが私の力を増幅させるらしいんだけど、それはこの話とは関係がないから省くわ。
簡単に言うと、世界は千年間を一つの単位として、スタートとゴールを繰り返しているの」
言っている意味が分からなかった。
ただ、その言葉から読み取れる事を口にする事しか私には出来なかった。
ただ、その言葉から読み取れる事を口にする事しか私には出来なかった。
「つまり……今から数えたら4000年には、この世界は破滅すると?」
「うん。でも、そういう事実、真理があるのに、
どうしてこの世界は存続を続けられていたと思う?」
「それはお前のような特別な存在が、世界の破滅を回避させてきたからだ」
「うん。でも、そういう事実、真理があるのに、
どうしてこの世界は存続を続けられていたと思う?」
「それはお前のような特別な存在が、世界の破滅を回避させてきたからだ」
そのはずだった。が、
「違うよ」
あっさり否定された。
| 330 :carnival (re-construction ver) Last Phase -day break-:2010/04/23(金) 23:58:40 ID:3MvO4TED0 |
「確かに私は世界の破滅を止める役割を背負ってるけど、
私だけじゃ全部食い止める事は出来ない。
そこで、もう一つの役割をもった存在が必要になるの」
「それは……何なんだ?」
「世界の千年ごとの崩壊には、世界の円環が深くかかわっている。
一つの大きな輪っかがあると想像してみて。
でもそれには一つだけ欠陥がある。その輪は繋がってないの」
「だから途切れてしまう。そのサイクルはちょうど千年、という訳か」
「そうそう。それで、その輪を繋ぐ作業は私がしたんだけど、
その作業をする前は、どこをどのように繋げたらいいのか分からなかった。
そこでクロイスが何をされたか、というのが関わってくるの」
私だけじゃ全部食い止める事は出来ない。
そこで、もう一つの役割をもった存在が必要になるの」
「それは……何なんだ?」
「世界の千年ごとの崩壊には、世界の円環が深くかかわっている。
一つの大きな輪っかがあると想像してみて。
でもそれには一つだけ欠陥がある。その輪は繋がってないの」
「だから途切れてしまう。そのサイクルはちょうど千年、という訳か」
「そうそう。それで、その輪を繋ぐ作業は私がしたんだけど、
その作業をする前は、どこをどのように繋げたらいいのか分からなかった。
そこでクロイスが何をされたか、というのが関わってくるの」
ようやく、私が一番聞きたい所が来た。
しかし予想より重大そうな感じがする。正直な感じ、聞きたくないという思いもあった。
しかし予想より重大そうな感じがする。正直な感じ、聞きたくないという思いもあった。
「……それは何なんだ」
「簡単に言うと、クロイスは頭の中を手術されたんだ。
WSFの新兵器のアイデアに、危険を予知して知らせる補助的な兵器があったの。
簡単に言うと、虫の知らせを感じ取って、それを伝える……みたいな」
「なるほど。で、私の頭に何を埋め込んだかというと……」
「もう分かっていると思うけど、クロイスの勘は、実は与えられたものなんだ」
「簡単に言うと、クロイスは頭の中を手術されたんだ。
WSFの新兵器のアイデアに、危険を予知して知らせる補助的な兵器があったの。
簡単に言うと、虫の知らせを感じ取って、それを伝える……みたいな」
「なるほど。で、私の頭に何を埋め込んだかというと……」
「もう分かっていると思うけど、クロイスの勘は、実は与えられたものなんだ」
それを聞いて、やはり、という思いが私の頭を占めた。
しかしこうもあっさりと告げられるとは思わなかった。
ドラムロールなんかが鳴るくらい、間をおいてくれてもいいと思ったのだが。
自分のアイデンティティが崩壊するとは言われてはいた。
しかし、ここまでダメージが深いものだとは思っていなかった。
私の無意識が、自身の勘をアイデンティティだと、自己を証明するものだと認識していた。
それを与えられたものだと、生まれ持って備えていたものではないと言われると……
しかしこうもあっさりと告げられるとは思わなかった。
ドラムロールなんかが鳴るくらい、間をおいてくれてもいいと思ったのだが。
自分のアイデンティティが崩壊するとは言われてはいた。
しかし、ここまでダメージが深いものだとは思っていなかった。
私の無意識が、自身の勘をアイデンティティだと、自己を証明するものだと認識していた。
それを与えられたものだと、生まれ持って備えていたものではないと言われると……
「……ちっ、クソったれ……」
少しだけ涙を浮かべ、そう呟く事しか出来なかった。
| 331 :carnival (re-construction ver) Last Phase -day break-:2010/04/24(土) 00:03:19 ID:3MvO4TED0 |
私の口から暴言が出て、それからしばらく経った。
こんな空気を経験した事がないのか、
ユールは不安そうな表情を浮かべていた。
そんな彼女の口から放たれる言葉が、この場を支配していた沈黙を破る。
こんな空気を経験した事がないのか、
ユールは不安そうな表情を浮かべていた。
そんな彼女の口から放たれる言葉が、この場を支配していた沈黙を破る。
「でも……クロイスのモニタリングデータで、円環の破損個所が分かったんだ」
「私のモニタリングデータで、だと?」
「うん。例えばクロイスは……確か……
前にお友達の宝くじを買ってあげた事があったよね?」
「あぁ……狙って、三等のものの番号を書いた事はある」
「それも、音ゲーをやってるような感覚で、分かったんだよね?」
「あぁ。前に話したたとえ話が一番近いと思う」
「そんな事をクロイスは、生まれてからの二十年近くもの間ずっとやり続けていた。
だからこっちでは、クロイスが頭の中に埋め込んだ機械から得られた超感覚を
『勘』として受け取って、それをどう処理したのかというデータがたくさんあるの。
んで、それらのデータは円環のどこが壊れているかを判断するために使われたんだ」
「私のモニタリングデータで、だと?」
「うん。例えばクロイスは……確か……
前にお友達の宝くじを買ってあげた事があったよね?」
「あぁ……狙って、三等のものの番号を書いた事はある」
「それも、音ゲーをやってるような感覚で、分かったんだよね?」
「あぁ。前に話したたとえ話が一番近いと思う」
「そんな事をクロイスは、生まれてからの二十年近くもの間ずっとやり続けていた。
だからこっちでは、クロイスが頭の中に埋め込んだ機械から得られた超感覚を
『勘』として受け取って、それをどう処理したのかというデータがたくさんあるの。
んで、それらのデータは円環のどこが壊れているかを判断するために使われたんだ」
あの時の私は、自らのアイデンティティを否定された
ショックから立ち直れずにいて、ユールの話は少し流し気味に聞いていた。
しかし話の後半部分だけを聞いて、うつむいた目をユールの目に合わせる事が出来た。
ショックから立ち直れずにいて、ユールの話は少し流し気味に聞いていた。
しかし話の後半部分だけを聞いて、うつむいた目をユールの目に合わせる事が出来た。
「……大体は分かった。円環を直す役目をもっているのがお前。
円環のどこが壊れているのかを教えるのが、私……ということか」
「大体そんな感じ」
「……いや、ちょっと待て」
円環のどこが壊れているのかを教えるのが、私……ということか」
「大体そんな感じ」
「……いや、ちょっと待て」
私の頭の中に違和感が生まれた。
「それじゃおかしいぞ」
「え?」
「カーニバル事件は、ダロール・フェニル総帥が起こしたクーデターだった。
しかしそれは闇にとりつかれたダロールで、ダロール本人が意図して起こしたものではなかった。
あの事件と今回の円環とやらは……関連性がないんじゃないか?」
「え?」
「カーニバル事件は、ダロール・フェニル総帥が起こしたクーデターだった。
しかしそれは闇にとりつかれたダロールで、ダロール本人が意図して起こしたものではなかった。
あの事件と今回の円環とやらは……関連性がないんじゃないか?」
| 332 :carnival (re-construction ver) Last Phase -day break-:2010/04/24(土) 00:11:01 ID:wmb+FutL0 |
私の感じた違和感とは、まさしくそれだった。
どう考えてみても、ダロールを操った闇が起こしたクーデターと
今回明らかになった円環の話は繋がらないのだ。
どう考えてみても、ダロールを操った闇が起こしたクーデターと
今回明らかになった円環の話は繋がらないのだ。
「それがね、実は繋がるんだよね」
ユールはあっさりそう言った。
私は思わず、あ?と言ってしまった。それしか言う言葉が浮かばない。
私は思わず、あ?と言ってしまった。それしか言う言葉が浮かばない。
「繋がらないように見えて、本当は繋がるんだよ」
「なぜだ」
「闇が人にとりついて、千年の終わりに世界を破滅に導く……
このサイクルは、円環が仕組んでいた事なんだ」
「……分かりやすく言ってくれ」
「うん。言い忘れたけど、円環っていうのは、この世界や別の世界……
時間学や空間学で証明された『並行世界』を支えている存在なんだ」
「そいつは、生き物なのか?」
「いいえ、意思を持った無機物というか……
姿としては指輪みたいな形をしているけど」
「で、その円環が悪意をもって私達を殺そうとしていると?」
「違うよ! その反対で、円環は私達を生かそうとしている。
でも……三千年前から円環の世界を存続させる力が弱まっているんだ」
「それで?」
「それで……人にとりつき、世界を破滅に導く、闇の力が生まれた。
千年サイクルで円環は、自分の意思とは関係なしに
闇の力を生みだして、そして自分の意思で光を生みだしたの」
「なぜだ」
「闇が人にとりついて、千年の終わりに世界を破滅に導く……
このサイクルは、円環が仕組んでいた事なんだ」
「……分かりやすく言ってくれ」
「うん。言い忘れたけど、円環っていうのは、この世界や別の世界……
時間学や空間学で証明された『並行世界』を支えている存在なんだ」
「そいつは、生き物なのか?」
「いいえ、意思を持った無機物というか……
姿としては指輪みたいな形をしているけど」
「で、その円環が悪意をもって私達を殺そうとしていると?」
「違うよ! その反対で、円環は私達を生かそうとしている。
でも……三千年前から円環の世界を存続させる力が弱まっているんだ」
「それで?」
「それで……人にとりつき、世界を破滅に導く、闇の力が生まれた。
千年サイクルで円環は、自分の意思とは関係なしに
闇の力を生みだして、そして自分の意思で光を生みだしたの」
そういう事らしい。
千年ごとに世界を破滅に導く闇とやらは
三千年前の円環の力の減衰により生まれたのだと、ユールは言った。
そして、それに対抗すべく、円環は光の力を生みだし……
それは二千年前と千年前に闇と戦った人物に宿り、そしてそれはユールに宿っている。
千年ごとに世界を破滅に導く闇とやらは
三千年前の円環の力の減衰により生まれたのだと、ユールは言った。
そして、それに対抗すべく、円環は光の力を生みだし……
それは二千年前と千年前に闇と戦った人物に宿り、そしてそれはユールに宿っている。
| 333 :carnival (re-construction ver) Last Phase -day break-:2010/04/24(土) 00:18:21 ID:wmb+FutL0 |
「……大体の話は分かった。だが、まだ分からない事が一つだけある」
「なに?」
「お前が円環を修復して、世界は大丈夫だという事は分かった。
だがな、その円環の損傷個所を調べるのに、どうして私の勘が……
お前達に与えられた勘から伝えられたデータが、なぜ必要だったんだ?」
「なに?」
「お前が円環を修復して、世界は大丈夫だという事は分かった。
だがな、その円環の損傷個所を調べるのに、どうして私の勘が……
お前達に与えられた勘から伝えられたデータが、なぜ必要だったんだ?」
恐らくこれが、最後に残された謎だ。
これまでの活動の中で、多くの真実を暴き、知る事が出来た。
しかしこれらは、あまりにも現実離れしている話である。
これを現実といってよいのかは分からない。ただ、これが真実だという事は出来る。
これまでの活動の中で、多くの真実を暴き、知る事が出来た。
しかしこれらは、あまりにも現実離れしている話である。
これを現実といってよいのかは分からない。ただ、これが真実だという事は出来る。
私の勘は、与えられたアイデンティティは
この世界の存続のために使われたらしい。
偽物であったとしても、それでも私は喜ばずにはいられなかった。
だが、知らなければならないだろう。
私の勘から読み取った研究データが、どんな理由があって使われたのかは……
この世界の存続のために使われたらしい。
偽物であったとしても、それでも私は喜ばずにはいられなかった。
だが、知らなければならないだろう。
私の勘から読み取った研究データが、どんな理由があって使われたのかは……
「それは、人間の頭じゃ絶対に分からなかったから」
「何だって?」
「円環の損傷個所は、人間が考えても分からなかった。
コンピュータが生まれた理由って知ってる?」
「うろ覚えだがな。最初は人間の計算を楽にするため……
後にはある兵器の破壊力を演算したり、敵軍の暗号を解読するため……
最終的には、人が安全かつ楽に生活するため……まてよ、まさか……」
「察しがついたと思うけど、クロイスの勘のデータが必要だった理由は
円環が発信している情報を読み取るためだったの。
それを受け取る事が出来るのは私だけなんだけど、さっぱり意味が分からなくて」
「そこで、勘とはこういうデータで成り立っているという実験成果が必要だった。
そのために私は勘を与えられ、お前達に勘とはどういうものかを教えていた……」
「うん。クロイスの勘をコンピュータで再現して、
そのコンピュータを使って、私は円環の情報を読み取った。
それで、どこが壊れているかを知ったから、光の力で修復できたの」
「何だって?」
「円環の損傷個所は、人間が考えても分からなかった。
コンピュータが生まれた理由って知ってる?」
「うろ覚えだがな。最初は人間の計算を楽にするため……
後にはある兵器の破壊力を演算したり、敵軍の暗号を解読するため……
最終的には、人が安全かつ楽に生活するため……まてよ、まさか……」
「察しがついたと思うけど、クロイスの勘のデータが必要だった理由は
円環が発信している情報を読み取るためだったの。
それを受け取る事が出来るのは私だけなんだけど、さっぱり意味が分からなくて」
「そこで、勘とはこういうデータで成り立っているという実験成果が必要だった。
そのために私は勘を与えられ、お前達に勘とはどういうものかを教えていた……」
「うん。クロイスの勘をコンピュータで再現して、
そのコンピュータを使って、私は円環の情報を読み取った。
それで、どこが壊れているかを知ったから、光の力で修復できたの」
これが最後に残された謎の答えだった。
これを聞いた私と、これを読んだあなたは、大体の真相を知る事が出来たと思う。
しかし……まだまだ残されている小さな謎はある。
それを明かして、そしてこの物語にオチをつけ、幕引きをしようと思う。
これを聞いた私と、これを読んだあなたは、大体の真相を知る事が出来たと思う。
しかし……まだまだ残されている小さな謎はある。
それを明かして、そしてこの物語にオチをつけ、幕引きをしようと思う。