アットウィキロゴ
創作小説with音ゲー  臨時まとめWiki
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

創作小説with音ゲー  臨時まとめWiki

音楽ゲームクロスワードパズル事件 -前編-

最終更新:

beatnovel

- view
管理者のみ編集可
574 :旅人:2007/11/16(金) 01:29:14 ID:CZJ0BowE0
とあるところにある、とある市があった。
この市では音楽ゲーム(俗に言う音ゲー)が盛んである。

この市では何と市が主催する音ゲー大会があったりする。
市内の三つのゲーセンで予選が、市役所で決勝が行われるのである。
そんな市だから音ゲープレイヤー人口は結構いる。
だが、人が多いということはマナーを守らない輩も多くなる、ということでもある。
しかし、この市ではそんな輩はまず存在しない。
この市の条約でクラッシャーとか連コイン厨などは厳しく罰せられるからだ。


この音楽ゲームで有名な市の郊外にある清潔感漂う住宅街に凄くぼろっちい私立探偵事務所がある。
事務所の建物に小さな看板がある。

「小暮私立探偵事務所」とその看板には書いてある。
小暮という名前の探偵がここで探偵業を営んでいるわけだが、上手くいっていないようだった。
こういう、人が多く集まる場所ならまぁ配偶者の浮気調査とか、不謹慎ではあるがご近所のスリとか殺人などの事件の解決を依頼され、
解決し、金儲けなんて楽勝楽勝と踏んでいたのだが、これは全然外れていた。

今は私立探偵事務所は廃業、代わりにご近所の子供たちの勉強を有料で見てやっている、いわば個人の塾をやっている。
ゆとり教育の影響の断片を小暮は子供たちから感じ取り、嘆くのが日課となっていた。
なんとか食っていく道を歩いている小暮は、未だ小さい頃からの夢であった、
一度掴んで手放した、探偵業への希望を完全に捨てたわけではない。
推理物の小説の読書や子供たちとのクイズ合戦に励み、推理力を(自分なりに)付けていると思っていた。
そんな日常を送っていた小暮に、探偵としての依頼が舞い込んだ。



「あなた、田中って名前の刑事さんですか。一体何用ですか?」

ある日のことだった。
小暮私立探偵事務所に来客があった。
客は警察の者で、彼が見せた警察手帳は刑事の持つ物であり、それには田中とちゃんと印字されてあった。
田中刑事が小暮に言った。

「まずは中に通してくれないか?それともここは立ちっぱなしで話を聞いてくれるのか?」

すみません、と小暮は言ってぼろい自分の事務所へ田中を案内した。
田中は事務所のぼろさ、不潔感に文句を言っているが小暮はそんなことは一切気にしなかった。
勉強を教えてやっている子供たちにそう言われることが日常茶飯事なのだから。
小暮は田中にパイプイスを渡し、座るように促した。
田中はそれに座って、同じイスに座る小暮を見てこう言う。

「あんたに依頼したいことがある。極秘調査中の事件だが、人手が足りないんだ。今朝、署にこんな物が送られた」

田中は小暮に両面印刷されたA4用紙を手渡す。表面にはこう書いてある。

「Music Simulation Game Crossword Puzzle」

その下にはこれを警察署に送ったと思われる人物からの長々としたメッセージ。
要約するとこんな感じだ。

「私が作ったこのクロスワードパズルを今日中に解け。さもないとこの市のどこかを爆破してやる」

音楽ゲームクロスワードパズル、というふざけた物はその紙の裏にあった。
縦横の鍵の文章以外はいたって普通のクロスワードパズルがそこに印刷されている。

575 :旅人:2007/11/16(金) 01:58:28 ID:CZJ0BowE0
「このミュージックシミュレーション…音楽ゲームクロスワードを僕に解けって依頼ですか?
これ、署の中でも出来るんじゃないんですか?
ネットを使えば大抵のものは調べられるでしょう?なのにどうして僕の所へ?」

「署からネットに繋げなくなった。何故かは分からない。
このパズルを考えた奴が何らかの妨害をしているという事はハッキリと言えるが。
それで、この市唯一の探偵であるあんたの…小暮私立探偵事務所に助力を願い出たってわけだ。
まぁ奴からはこのパズルの他に色々送ってきたよ。
黒いゲーム機が何台かと家庭用の音楽ゲームのソフトが何十本と、あとは専用コントローラーとか言う得体の知れない物とか、そんなもんだ」

小暮は田中の言うことを黙って聞いていた。そして質問してみる。

「今、僕に見せてくれたようなそのパズルのコピーは、署の全員が持っていますか?
それと、どういった捜査方法を取っているのか、そこのところを教えていただけませんか?」

「最初の問いだが、全員というわけではないが持っている人間は多い。
どんな捜査方法と言われると、皆でゲーセンや署で家庭用の音楽ゲームをプレーしてパズルの手がかりを探し出している。
けど、警察の人間ってのはあまり遊ぶ時間とか無いからな。
未だにひとつも 解けていないと報告があった。
このままでは本当にマズイ。だからここに依頼をしに…」

「分かりました。けど、僕も音楽ゲームをやったことが無いんですよ。どうしようかな…」

田中は小暮のこの告白で天井を仰ぎ見た。その顔には絶望の色が見える。
どうしよう、どうしようと口の中から漏れているような錯覚を覚えそうだ。
突然、小暮が田中に言う。

「思いついた!知り合いに町田って名前の人がいるんです。
彼女、音楽ゲームが大の得意とか言っていました!彼女と協力すれば
きっとパズルを解けると思いますよ!」

「しかし、これは極秘の…これをあんたに依頼することが出来たのも、何時間もかけた会議の賜物なんだぞ。
これ以上関係ない者を増やすわけにはいかないだろう…」

「大丈夫ですよ、こうすればいいんです。
まず、僕が町田さんにゲーセンで待ち合わせしようと誘うんです。
ここで断られたら終わりですが、ゲーセンと聞いたら彼女は大喜びでこっちの誘いに乗るでしょう。
そこで、僕が町田さんと一緒に音楽ゲームで遊ぶんです」

は?と言いたげな表情で田中は小暮の顔を見る。小暮が続ける。

「刑事さんには僕に離れたところから縦横の鍵の文を読み聞かせるんです。
そして、僕がその鍵を解読したら刑事さんはそれをパズル用紙に書いていけばいい。
気をつけるべきは町田さんにこのパズルのことを気取られないようにすることだけです。…どうですか?」

「…それだ、それでいこう。
もう今日が終わるまで後もう半日も無い。善は急げと言うからな。
さぁ早くその町田とか言う女に連絡を入れてクロスワードパズル解読に乗り出すぞ!小暮探偵!」


田中は先程までの暗い表情から一変、やる気に満ちた顔つきになった。
小暮は早速事務所の電話の受話器を手に取り、電話番号を打ち込んでいく。
小暮の町田と話している後ろ姿を見て、田中はこれでクロスワードパズルが解ける、と半ば確信に近い思いを抱いていた。





コメント

名前:
コメント:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー