――そんな時間か。
政宗と違い、幸村は大抵定刻に起きる。
雨だろうが晴れだろうが構っちゃいない。外部の刺激は関係ない。
だから、政宗は起きる寸前の幸村に口づけることが好きだ。
解っているようないないような、ぼんやりした眼差しをごく近くで受け止める。
「……おはようございまする……」
果たして寝ぼけた様子で、幸村は譫言のように呟いた。
「Good morning」
単語を教え込むように言うと、眉根が一度寄った。
「ぐもー」
違いすぎる。
「起きな、幸村」
あやふやに頷いて幸村が頭をもたげる。ようやく目に宿る光が増す。
政宗の腕に、どっと血が通う。
痺れた腕を無意識に押さえ身を起こすと、察したのか幸村が撫でた。
ぞくりと背筋が震える。
いやいや朝だ朝朝。
無駄に元気な思考を逸らすと、幸村も起きあがった。
どこか調子のでないような顔つきで、そして気恥ずかしそうに。
初日……一昨日にに比べれば大した進歩だった。
幸村は視線を外すのは自分らしくないと思っているのか、強ばった顔で無理矢理に普通を装って政宗を見ていた。
堪えきれずに方を揺らすように笑い、幸村の顔がとうとう真っ赤になる。
体を丸めて笑うと、その背を一つ叩かれた。
「Ha――、悪ぃ……ん?」
政宗と違い、幸村は大抵定刻に起きる。
雨だろうが晴れだろうが構っちゃいない。外部の刺激は関係ない。
だから、政宗は起きる寸前の幸村に口づけることが好きだ。
解っているようないないような、ぼんやりした眼差しをごく近くで受け止める。
「……おはようございまする……」
果たして寝ぼけた様子で、幸村は譫言のように呟いた。
「Good morning」
単語を教え込むように言うと、眉根が一度寄った。
「ぐもー」
違いすぎる。
「起きな、幸村」
あやふやに頷いて幸村が頭をもたげる。ようやく目に宿る光が増す。
政宗の腕に、どっと血が通う。
痺れた腕を無意識に押さえ身を起こすと、察したのか幸村が撫でた。
ぞくりと背筋が震える。
いやいや朝だ朝朝。
無駄に元気な思考を逸らすと、幸村も起きあがった。
どこか調子のでないような顔つきで、そして気恥ずかしそうに。
初日……一昨日にに比べれば大した進歩だった。
幸村は視線を外すのは自分らしくないと思っているのか、強ばった顔で無理矢理に普通を装って政宗を見ていた。
堪えきれずに方を揺らすように笑い、幸村の顔がとうとう真っ赤になる。
体を丸めて笑うと、その背を一つ叩かれた。
「Ha――、悪ぃ……ん?」
指先の上を、何かが。
ちらりと目をやると、蟻がいた。
ちらりと目をやると、蟻がいた。
「アリ……だぁ?」
こんな城の上の方まで、アリが上ってくるものだろうか。
幸村がなにやら目を見張る。心当たりのある様子で。
「……幸村ぁ?」
幸村はうっ、と喉奥で呻いた。左手の握り拳の形が何かおかしい。
何かを隠し持っている。
「そ、某の体についてきてしまったようにござ、」
「風呂に入ってまでついてくる執念深いアリがいるかっ」
しかし、痺れきった腕では幸村の腕力に敵わなかった。
「たまには!いるのでござろうっ」
力ずくでも押し隠す態度が、また子供だというのだ。
「あーあそうだな、いるかもしれねえなあ?」
政宗は口の端をゆがめた。
威嚇する獣のように肩を怒らせたまま、幸村がこちらを窺う。
驚いたように、油断ならないように。
政宗はそのまま、無造作に痺れきった腕を伸ばした。
「見せな」
にこりと笑う。幸村のように、なつっこく。
幸村がなにやら目を見張る。心当たりのある様子で。
「……幸村ぁ?」
幸村はうっ、と喉奥で呻いた。左手の握り拳の形が何かおかしい。
何かを隠し持っている。
「そ、某の体についてきてしまったようにござ、」
「風呂に入ってまでついてくる執念深いアリがいるかっ」
しかし、痺れきった腕では幸村の腕力に敵わなかった。
「たまには!いるのでござろうっ」
力ずくでも押し隠す態度が、また子供だというのだ。
「あーあそうだな、いるかもしれねえなあ?」
政宗は口の端をゆがめた。
威嚇する獣のように肩を怒らせたまま、幸村がこちらを窺う。
驚いたように、油断ならないように。
政宗はそのまま、無造作に痺れきった腕を伸ばした。
「見せな」
にこりと笑う。幸村のように、なつっこく。




