軽い脳震盪から目を覚ました時、元親はごとごとと揺られていた。
「んあ……?」
変な夢を見ていた。
雪が山ほど積もっている村に着いて、野郎どもと雪かきをして屋根の雪下ろしをして、その雪で彫像をつくって、捕った魚を凍りづけにして、時間が余ったので不気味な農民に男ってもんを教え込んでいた。
そうしていたら、真っ赤な男が現れてお館さむぁぁぁ、と叫びながら氷付けの魚を食べているのだ。
誰だお館ってぇのは。
聞いたら独眼竜とはオレのこと、伊達政宗推して参るとか、いつの間にか現れた三日月男が自己紹介してきた。
いや独眼竜じゃねっつの、オヤカタだオヤカタ。
もう何がなんだか解らない。夢というのはそう言うものだが。
「やっと起きたか。もう城についちまうぜ?」
首をかしげていると生意気な声がやや前、なぜか頭上から聞こえる。
「何ぃぃ!?俺はまだ、かまくらを堪能してねぇんだぞ!」
なぜここにいるのかを思い出す前に声が出た。
起きあがろうとして気づく。
荷物のように、そりの上に転がされて馬の背に引かれている。
揺れて落ちないようにするためか、周りは藁束。…結構暖かい。
手は後ろ手に、親指どうしを括っているらしい。
どうにも動きようのない縛り方をしてくれたモンだ。
元親に逃げる気もなく、つまり賞賛した。
「ok、作ってやるから大人しくしな。もっとも、大人しくする他ないよなあ?」
揶揄する声音に元親は眉を跳ね上げた。
「政宗。てめえ、何した?」
「応援団旗は預かった。返して欲しけりゃ大人しくしな」
男達の血と汗と魂の染みこんだ応援団旗を盾にとるとは卑怯極まりない。
元親はチ、と舌打ちした。
誰が預かっているのか、不自由ながらも何とか辺りを見回せば、赤い武将がいない。
……赤い武将?それは夢の中に出た奴じゃないか。
そう、凍った魚をがりがり囓った。もの凄い光景だ。
それは実際に見たことがある。だがアレをやったのは時折釣りに訪れる前田の裸男だ。
冬でも褌一丁、赤い服を着ていたことなんかない。
赤?
暫く考え、まあいいやどうでも、と終わらせた。
雪で遊び倒したのは、今ドナドナされていることくらい事実なのだ。
なら、赤い男もコイツの部下にいたのかもしれない。
大体、もう夢もぼやけて詳細が思い出せない。
気絶する直前のことも、今ひとつ曖昧だ。
何時の間に倒されたんだか。
「解った、代わりにうちの野郎どもには手を出すなよ?
……つーか、何で政宗がここにいるんだ?」
寒さ厳しい最北端は名だたる武将などいなかったはずだ。
政宗はやっぱりな、とけらけら笑い出す。
「アンタらしいな、四国さえ整えば戦国の情勢はどうでも良いか。
最北端は伊達領になったんだよ」
「はー、……まだ天下目指してんのかァ?」
「当たり前だ」
政宗も一度海に出てみればいい。
ちっぽけな国土にしがみついて、せせこましく戦うことがどれだけアホらしいかよく解るはずだ。
だが、しょうがない。
政宗はアホの筆頭だ。
「ボケッとすんなよ。こっちの質問は終わっちゃいないぜ。
元親、アンタどうしてここに来た?」
元親は腹筋だけで一気に起きあがった。そのままがっと振り向いて馬を駆る政宗の背中に叫ぶ。
「よく聞いてくれたっッ!いや聞け、嫌でも耳かっぽじって聞けッ!俺ぁなああああっ!
もう、四国でのんびりできねえっ!新天地を探しに来たんだぁっ」
涙の訴えを、政宗はうるせぇなあオイの一言で終わらせた。
「んあ……?」
変な夢を見ていた。
雪が山ほど積もっている村に着いて、野郎どもと雪かきをして屋根の雪下ろしをして、その雪で彫像をつくって、捕った魚を凍りづけにして、時間が余ったので不気味な農民に男ってもんを教え込んでいた。
そうしていたら、真っ赤な男が現れてお館さむぁぁぁ、と叫びながら氷付けの魚を食べているのだ。
誰だお館ってぇのは。
聞いたら独眼竜とはオレのこと、伊達政宗推して参るとか、いつの間にか現れた三日月男が自己紹介してきた。
いや独眼竜じゃねっつの、オヤカタだオヤカタ。
もう何がなんだか解らない。夢というのはそう言うものだが。
「やっと起きたか。もう城についちまうぜ?」
首をかしげていると生意気な声がやや前、なぜか頭上から聞こえる。
「何ぃぃ!?俺はまだ、かまくらを堪能してねぇんだぞ!」
なぜここにいるのかを思い出す前に声が出た。
起きあがろうとして気づく。
荷物のように、そりの上に転がされて馬の背に引かれている。
揺れて落ちないようにするためか、周りは藁束。…結構暖かい。
手は後ろ手に、親指どうしを括っているらしい。
どうにも動きようのない縛り方をしてくれたモンだ。
元親に逃げる気もなく、つまり賞賛した。
「ok、作ってやるから大人しくしな。もっとも、大人しくする他ないよなあ?」
揶揄する声音に元親は眉を跳ね上げた。
「政宗。てめえ、何した?」
「応援団旗は預かった。返して欲しけりゃ大人しくしな」
男達の血と汗と魂の染みこんだ応援団旗を盾にとるとは卑怯極まりない。
元親はチ、と舌打ちした。
誰が預かっているのか、不自由ながらも何とか辺りを見回せば、赤い武将がいない。
……赤い武将?それは夢の中に出た奴じゃないか。
そう、凍った魚をがりがり囓った。もの凄い光景だ。
それは実際に見たことがある。だがアレをやったのは時折釣りに訪れる前田の裸男だ。
冬でも褌一丁、赤い服を着ていたことなんかない。
赤?
暫く考え、まあいいやどうでも、と終わらせた。
雪で遊び倒したのは、今ドナドナされていることくらい事実なのだ。
なら、赤い男もコイツの部下にいたのかもしれない。
大体、もう夢もぼやけて詳細が思い出せない。
気絶する直前のことも、今ひとつ曖昧だ。
何時の間に倒されたんだか。
「解った、代わりにうちの野郎どもには手を出すなよ?
……つーか、何で政宗がここにいるんだ?」
寒さ厳しい最北端は名だたる武将などいなかったはずだ。
政宗はやっぱりな、とけらけら笑い出す。
「アンタらしいな、四国さえ整えば戦国の情勢はどうでも良いか。
最北端は伊達領になったんだよ」
「はー、……まだ天下目指してんのかァ?」
「当たり前だ」
政宗も一度海に出てみればいい。
ちっぽけな国土にしがみついて、せせこましく戦うことがどれだけアホらしいかよく解るはずだ。
だが、しょうがない。
政宗はアホの筆頭だ。
「ボケッとすんなよ。こっちの質問は終わっちゃいないぜ。
元親、アンタどうしてここに来た?」
元親は腹筋だけで一気に起きあがった。そのままがっと振り向いて馬を駆る政宗の背中に叫ぶ。
「よく聞いてくれたっッ!いや聞け、嫌でも耳かっぽじって聞けッ!俺ぁなああああっ!
もう、四国でのんびりできねえっ!新天地を探しに来たんだぁっ」
涙の訴えを、政宗はうるせぇなあオイの一言で終わらせた。




