戦国BASARA/エロパロ保管庫

潮の花50

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「にいさま――たすけて、にいさま…!!」

さすがに、元親もこれには進む体を止めた。亀頭は彼女の膣口には大きすぎて挿入が困難だった。
濡れた音は淫らさよりも古びた蝶番が軋む音にも聞こえ、不意に寂しい光景が浮かぶ。半分朽ちて捨て置かれた山小屋が。
昔、元親はよくそこに潜り込んで遊んでいた。誰とも話をしたくなくて、でも屋敷にいると誰かしらかまってくるのが煩わしかったから。
自分の本質は、あの頃と大人になった現在もそれほど差がないと元親は思う。
人と関わるのが嫌だった。親にも兄弟姉妹にも愛されていたし、元親自身も愛していた。けれど、それだけだった。
自分が、人の人生を大なり小なり左右するのが嫌だ。
いつの間にか生まれてきていて、それを自覚して、だけどどうしてか『何故生まれてきたのか』はどうしてもわからなかった。
わからないまま他人(――例え血を分けた肉親でも、他人は他人だ)に関与するのは不誠実のような気がした。とても、気持ちが悪い。
都合よく、明るくいたずら好きの姉が元親に女子の服を着せて遊んでいたので、彼はそれに便乗して女のふりをした。
『こうしていれば、戦になど出なくてもいいのでしょう?』
詭弁でもあるし、本心でもある。生まれてきた理由とやらが、人命を屠るだけというのはいかにも哀しいものの気がした。
何より生き死にという重大な事柄には触りたくない。気持ちが、悪い。

山小屋はいつも静かで、閑かで、居心地がよかった。
よく晴れた昼間だというのに木々は空を覆いつくし、日の光は僅かにこぼれ落ちるばかり。
ちらちらと葉に透けて揺れる光は綺麗で、届かないから、ずっと綺麗なままでいられるのだと思った。
美しいものが好きなのは天性の性分だろうが、手に入らないものには興味がない。だから、曖昧な人の心などどうでもよかった。
けれど代わりに、『人の心』が形になった物は大層好ましかった。例えば工芸品や絵画など。
それを造った人間が確かに世の中に存在していて、その人が愛し苦しんだ成果が美しいものに結実したのだと思うと胸が高鳴った。
集めたい、と思った。余さず集めて並べて眺めていたい。眺めるだけでよかった。自分自身が何か作り上げようなどとは思えなかった。
装飾品や陶磁器、絵画や時に物語は自分から生まれるべきではない。
何者かもわからないのに、残すものも、残したいものもありはしない。無機物でも、子孫ですら不快だ。
やがて背も人並以上に伸びた。家臣の口煩さをごまかすためになあなあでやった武の鍛錬でも、元親の身体はあっという間に逞しく育った。
やはりどうでもよかったが、身体が育てばその分出来る事も多くなって楽しかった。
ひとりでも楽に木に登れる。雨上がりに登った屋敷一番の高い木から――滑るから危ないと止められたが、元親にはなんでもなかった――
そこから見た虹は、綺麗だった。
遠くに海。
海に架かる巨きな虹。
輝く七彩の橋の向こうにある国は何といったか。その頃には既に温い子供だましとしか思えなかったそれらの名は、常世、ニラヤカナヤ、ちる・な・のぐ――
幼い頃、暇に飽かして読み漁った本の中の御伽噺の世界。そこに行けるのかもしれない。
いやいや、御伽噺なんぞ馬鹿馬鹿しいが、そうでなくとも『ここじゃない何処か』へは行ける。
うるさい屋敷を抜け、かび臭い山小屋を捨て、広い広い海原を越えて、きっと何処にだって行ける。もう子供ではないのだから。
潮の花51

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