旦那がそわそわと、でも嬉しげにお祝いの席を切り抜けて翌日。
始まる前は早く終わって明日になれっておもってるの見え見えで、
あっはっは幸村焦ると失敗するぞー祝い事も閨も一緒だ覚えとこうなー、と、
至極さわやかに、けどオヤジ丸出しでからかってた。………若いのに……。
旦那もそこで何と兄上が失敗されることがあると!とか返してて、冗談で切り返してるみたいだけど、
この家の人たちは本気で言ってるんだって、みんな知ってる。
そうやって目先変えられて、懐かしい人たちが沢山詰めかけてお祝い事述べて名残惜しんで、
旦那の気持ちも自然に切り替わって、ホント盛り上がって、無事に済んで良かった。有り難うございます信之様。
ほっといたら上の空で全部聞き流してたよ旦那………
真面目だから言い聞かせたら抜け出すこととかはしないし、
凄い会いたいだろうに独眼竜のとこにも行かなかった。待てしてた。
始まる前は早く終わって明日になれっておもってるの見え見えで、
あっはっは幸村焦ると失敗するぞー祝い事も閨も一緒だ覚えとこうなー、と、
至極さわやかに、けどオヤジ丸出しでからかってた。………若いのに……。
旦那もそこで何と兄上が失敗されることがあると!とか返してて、冗談で切り返してるみたいだけど、
この家の人たちは本気で言ってるんだって、みんな知ってる。
そうやって目先変えられて、懐かしい人たちが沢山詰めかけてお祝い事述べて名残惜しんで、
旦那の気持ちも自然に切り替わって、ホント盛り上がって、無事に済んで良かった。有り難うございます信之様。
ほっといたら上の空で全部聞き流してたよ旦那………
真面目だから言い聞かせたら抜け出すこととかはしないし、
凄い会いたいだろうに独眼竜のとこにも行かなかった。待てしてた。
だから今旦那はもう、有頂天だ。
独眼竜は車に乗ってる。ぴっちり窓閉じて外を眺めようとはしてなくて、
オレが真田領を見て回ったら拙い、と言ったのを守り通してる。
遠駆けと、旅路の街道を通ることは別だ、ありえねえって。
……でもそれ言い訳っぽい。だって女の子な格好してる。
旦那が見惚れたあの祝いの席の絢爛さはない。抑えた色と裾も袖も短い麻の衣、少しだけ結った髪。
質素さを感じるくらいにすっきりと、でも綺麗にしてる。
ごてごてしてんのは外歩きに向かねーだろが、うんまあそうだけどさ、男の格好のがより向きますよ。言わないけど。
ともあれ短い裾から見える足首や手首がちょっと色っぽい。
車に乗る時遠くかいま見て、旦那が大喜びしてた。見たか佐助!何とお美しいって。実は毎回言ってる気がするけど。
でも、女の子って言うのは凄いね。何かそう思ったよ。
旦那はぴったりと車の横に馬を付けて、分かり易く景色の説明をして、時たまちーさい野の花を見つけて差し入れて。
騎馬と車なんて、ホント姫君と若武者の図だなあと思うけど、まあいいんじゃないかな。
旦那も車に乗ってればいいのに、そう思うけど旦那、車とか輿とか苦手だしねえ。
独眼竜は車に乗ってる。ぴっちり窓閉じて外を眺めようとはしてなくて、
オレが真田領を見て回ったら拙い、と言ったのを守り通してる。
遠駆けと、旅路の街道を通ることは別だ、ありえねえって。
……でもそれ言い訳っぽい。だって女の子な格好してる。
旦那が見惚れたあの祝いの席の絢爛さはない。抑えた色と裾も袖も短い麻の衣、少しだけ結った髪。
質素さを感じるくらいにすっきりと、でも綺麗にしてる。
ごてごてしてんのは外歩きに向かねーだろが、うんまあそうだけどさ、男の格好のがより向きますよ。言わないけど。
ともあれ短い裾から見える足首や手首がちょっと色っぽい。
車に乗る時遠くかいま見て、旦那が大喜びしてた。見たか佐助!何とお美しいって。実は毎回言ってる気がするけど。
でも、女の子って言うのは凄いね。何かそう思ったよ。
旦那はぴったりと車の横に馬を付けて、分かり易く景色の説明をして、時たまちーさい野の花を見つけて差し入れて。
騎馬と車なんて、ホント姫君と若武者の図だなあと思うけど、まあいいんじゃないかな。
旦那も車に乗ってればいいのに、そう思うけど旦那、車とか輿とか苦手だしねえ。
「着いたぞ政宗。長々と大変だったろう」
そーだねえ。もうすぐ昼だ。
旦那は独眼竜じゃないけど、今この時が永遠に続けばいーなー、とか思ってるの丸わかりで、
早朝から延々ぽくぽくぽくぽく馬歩かせてたのは嬉しいことだったろうけど。
「いや、オレはどうと言うこともない。幸村サマこそ、車の足に合わせさせて済まないな」
独眼竜は当たり障りなく答える。多分人目があるから。
旦那は遠駆けの話が出たとたんに泣きべその理由忘れてるけど、今もただ、嬉しくて仕方ないだけだけど、
独眼竜は絶対忘れてない。
「何のこれしき!俺はいつも駆けているわけではないぞ!」
何言ってるの旦那。
「そうかい、そりゃあ意外だ」
何つーこと言うの独眼竜。
「さあ、政宗。これから先は下りなくてはならない。歩けぬようならそ、その、か、かかか抱え……」
残念そこまでの姫装束じゃない。
「お前の手を煩わせはしねぇよ、……寺?」
機敏な身ごなしで独眼竜が車から降りる。旦那の手が行き場をなくす。いいじゃん腰にでも手を回しちゃえば。
言ったらはれんちとか言って拳が来るから言わないけど。
「うむ!うちの菩提寺だ!兄上には報告を済ませたが、父上祖父君にはまだだろう。俺が政宗を得たと伝えなくてはな!」
秘密でござる、と旦那がにこにこしてた行き先。
ちょっと前まで城内にあったけど、きちんと禅師招いて、出来たてほやほやのお寺になった。
「wait……Please wait……お前、俺のことが信じられないんじゃなかったのか」
独眼竜は額抑えて呟いた。
上田城の虜94/今日のワンコ19
そーだねえ。もうすぐ昼だ。
旦那は独眼竜じゃないけど、今この時が永遠に続けばいーなー、とか思ってるの丸わかりで、
早朝から延々ぽくぽくぽくぽく馬歩かせてたのは嬉しいことだったろうけど。
「いや、オレはどうと言うこともない。幸村サマこそ、車の足に合わせさせて済まないな」
独眼竜は当たり障りなく答える。多分人目があるから。
旦那は遠駆けの話が出たとたんに泣きべその理由忘れてるけど、今もただ、嬉しくて仕方ないだけだけど、
独眼竜は絶対忘れてない。
「何のこれしき!俺はいつも駆けているわけではないぞ!」
何言ってるの旦那。
「そうかい、そりゃあ意外だ」
何つーこと言うの独眼竜。
「さあ、政宗。これから先は下りなくてはならない。歩けぬようならそ、その、か、かかか抱え……」
残念そこまでの姫装束じゃない。
「お前の手を煩わせはしねぇよ、……寺?」
機敏な身ごなしで独眼竜が車から降りる。旦那の手が行き場をなくす。いいじゃん腰にでも手を回しちゃえば。
言ったらはれんちとか言って拳が来るから言わないけど。
「うむ!うちの菩提寺だ!兄上には報告を済ませたが、父上祖父君にはまだだろう。俺が政宗を得たと伝えなくてはな!」
秘密でござる、と旦那がにこにこしてた行き先。
ちょっと前まで城内にあったけど、きちんと禅師招いて、出来たてほやほやのお寺になった。
「wait……Please wait……お前、俺のことが信じられないんじゃなかったのか」
独眼竜は額抑えて呟いた。
上田城の虜94/今日のワンコ19




