切妻造りでこけら葺き、四つ脚の門。小さい真田に似合わない、立派で祖先への敬愛が漂う寺。
「……俺を誘ってくれたではないか」
びっくりして旦那が独眼竜の手首を掴んだ。
「だからそれはだな……yes誘った、聞きたいことがあった」
「何だろう」
旦那の、上機嫌な、散歩の前のワンコじみた笑顔。
「幸村サマ、おまえ」
調子狂った独眼竜。うん、俺は全部解ってた。解ってたから連れ出させた。
「うむ」
調子狂ったって、なあなあで済ませるはずも誤魔化されるはずもない独眼竜を解って、
でも話し合ったらいいと思ったよ。ねえ。もっとずっと、うちの旦那のこと知ってよ。
「……今更だがな。幸村、お前オレの事が信じられねえか」
「否!そんなわけが無かろう、俺の妻だ!」
いやまだだよ旦那。早く結婚してよ。
「ならなぜあの場でオレを疑った?オレを問いつめた?オレは、……
そこの忍びと話していて解った。オレは疑われることに慣れているが、同時に慣れてもいねえ。
お前がオレを疑うなら、オレはその疑いを晴らすまでお前と夜を過ごせねーんだよ」
旦那は何度も目をしばたいた。
不思議で仕方なさそうに。
「遠駆けに行きたい、言ったのは政宗だろう?」
まあ発案俺様ですが。
「答えろ。──お前が信じられねえなら、オレもオレの思いを疑わずにはいられねえんだ、
どれだけ覚悟があろうが、偽物作り物、不足したものかと疑わずにはいられねえ!答えろ幸村!」
それ、旦那に通じにくいよ独眼竜……
旦那は不審そうに首をかしげた。ワンコみたいな角度で。
「どうやって作ったり偽にするのだ?」
独眼竜は、ただ眉をひそめた。
「俺は、政宗がお館様の指示に従ったと言うから」
ふにゃっと笑って旦那は独眼竜を抱き上げた。
「びっくりしたぞ!あまり驚かせてくれるな!」
「お、どろくようなことか!あの場なら当たり前だろ、敵将に惚れて添ったとお館様立ててそのお言葉に従ったと、
どっちがてめーにいいと思ってやがる!惚れて添う武将なんざいねえよ。
だがお館様のお言葉なら、お声掛かりなら有り難えだろ?しかも裏に何かある、そう勘ぐってもらえ……」
旦那はやっぱり不審そうだった。抱きあげた独眼竜が少しもがいている。
対して変わらない身長でも、捕まえられて持ち上げられたらね。足なんてつかないし。
「兄上にその様な心配は無用!そもそも先にそう言ってくれれば俺も政宗を問いつめぬぞ!」
先にって無理じゃん旦那。
独眼竜は抱き寄せられて唇押しつけられるの避けて、でも避けきれなくて首ついばまれてた。
余計色っぽい場所にしないで下さい旦那、ここ菩提寺の門前だよ。
「政宗も!疑ったならそう言えばいい、俺も言う!そのたび俺は政宗にいくらでも思いを語るぞ。
政宗もそのたび俺に違う、そう言えばいいだろう。……そもそも政宗は一度も俺にす、
……だと言ってくれたこと、が……」
こらあああ!そこでヘタレますか旦那ぁぁぁ!
寂しそうにしない!ワンコ目で見ない!
「言ってる。お前が解らないだけだ、Darling?」
「解らないような言葉で、」
ふて腐れて言いかけた言葉を遮る言葉、でも顔が俯いてる。
「言葉なんざ信じるな、オレぁ嘘を付く、いくらでも誰でも言葉で操れるなら欺く。信じたり求めたりすんじゃねえよ」
独眼竜が低く強く、まだ俯いたまんまで言う。
「夫婦間に隠し事も嘘も無用!突撃あるのみ!」
いやだけど突撃はないと思うよ。どこに突撃する気だよ。
独眼竜は眉間にしわを寄せ、首を振った。頑固だね、知ってたけど。
「言えばいい、ね。そいつぁCoolだが、オレにゃ無理さ。──オレを疑うな、お前は決して疑うな」
それって、疑われたら痛いから?あの時そんなに痛かった?
「それは、そのつまり政宗、いや政宗殿は某を」
独眼竜の顔が高くもたげられ、抱えられたままに旦那を見下ろす。不遜な眼差しで。
「尋ねるな確かめるな、ただ信じろ。そうすりゃお前にオレの全てをやる、男の幸せってのを幸村サマに見せてやるさ」
上田城の虜95/今日のワンコ20
「……俺を誘ってくれたではないか」
びっくりして旦那が独眼竜の手首を掴んだ。
「だからそれはだな……yes誘った、聞きたいことがあった」
「何だろう」
旦那の、上機嫌な、散歩の前のワンコじみた笑顔。
「幸村サマ、おまえ」
調子狂った独眼竜。うん、俺は全部解ってた。解ってたから連れ出させた。
「うむ」
調子狂ったって、なあなあで済ませるはずも誤魔化されるはずもない独眼竜を解って、
でも話し合ったらいいと思ったよ。ねえ。もっとずっと、うちの旦那のこと知ってよ。
「……今更だがな。幸村、お前オレの事が信じられねえか」
「否!そんなわけが無かろう、俺の妻だ!」
いやまだだよ旦那。早く結婚してよ。
「ならなぜあの場でオレを疑った?オレを問いつめた?オレは、……
そこの忍びと話していて解った。オレは疑われることに慣れているが、同時に慣れてもいねえ。
お前がオレを疑うなら、オレはその疑いを晴らすまでお前と夜を過ごせねーんだよ」
旦那は何度も目をしばたいた。
不思議で仕方なさそうに。
「遠駆けに行きたい、言ったのは政宗だろう?」
まあ発案俺様ですが。
「答えろ。──お前が信じられねえなら、オレもオレの思いを疑わずにはいられねえんだ、
どれだけ覚悟があろうが、偽物作り物、不足したものかと疑わずにはいられねえ!答えろ幸村!」
それ、旦那に通じにくいよ独眼竜……
旦那は不審そうに首をかしげた。ワンコみたいな角度で。
「どうやって作ったり偽にするのだ?」
独眼竜は、ただ眉をひそめた。
「俺は、政宗がお館様の指示に従ったと言うから」
ふにゃっと笑って旦那は独眼竜を抱き上げた。
「びっくりしたぞ!あまり驚かせてくれるな!」
「お、どろくようなことか!あの場なら当たり前だろ、敵将に惚れて添ったとお館様立ててそのお言葉に従ったと、
どっちがてめーにいいと思ってやがる!惚れて添う武将なんざいねえよ。
だがお館様のお言葉なら、お声掛かりなら有り難えだろ?しかも裏に何かある、そう勘ぐってもらえ……」
旦那はやっぱり不審そうだった。抱きあげた独眼竜が少しもがいている。
対して変わらない身長でも、捕まえられて持ち上げられたらね。足なんてつかないし。
「兄上にその様な心配は無用!そもそも先にそう言ってくれれば俺も政宗を問いつめぬぞ!」
先にって無理じゃん旦那。
独眼竜は抱き寄せられて唇押しつけられるの避けて、でも避けきれなくて首ついばまれてた。
余計色っぽい場所にしないで下さい旦那、ここ菩提寺の門前だよ。
「政宗も!疑ったならそう言えばいい、俺も言う!そのたび俺は政宗にいくらでも思いを語るぞ。
政宗もそのたび俺に違う、そう言えばいいだろう。……そもそも政宗は一度も俺にす、
……だと言ってくれたこと、が……」
こらあああ!そこでヘタレますか旦那ぁぁぁ!
寂しそうにしない!ワンコ目で見ない!
「言ってる。お前が解らないだけだ、Darling?」
「解らないような言葉で、」
ふて腐れて言いかけた言葉を遮る言葉、でも顔が俯いてる。
「言葉なんざ信じるな、オレぁ嘘を付く、いくらでも誰でも言葉で操れるなら欺く。信じたり求めたりすんじゃねえよ」
独眼竜が低く強く、まだ俯いたまんまで言う。
「夫婦間に隠し事も嘘も無用!突撃あるのみ!」
いやだけど突撃はないと思うよ。どこに突撃する気だよ。
独眼竜は眉間にしわを寄せ、首を振った。頑固だね、知ってたけど。
「言えばいい、ね。そいつぁCoolだが、オレにゃ無理さ。──オレを疑うな、お前は決して疑うな」
それって、疑われたら痛いから?あの時そんなに痛かった?
「それは、そのつまり政宗、いや政宗殿は某を」
独眼竜の顔が高くもたげられ、抱えられたままに旦那を見下ろす。不遜な眼差しで。
「尋ねるな確かめるな、ただ信じろ。そうすりゃお前にオレの全てをやる、男の幸せってのを幸村サマに見せてやるさ」
上田城の虜95/今日のワンコ20




