「……………ここに来たのは間違いであったな」
「おい」
「もう行く」
「おい!」
「そなたは戦があるまでここにおるように、との、
まつ殿の言いつけがあるのであろう。来るでないわ」
「おい」
「もう行く」
「おい!」
「そなたは戦があるまでここにおるように、との、
まつ殿の言いつけがあるのであろう。来るでないわ」
元就は静かに戸をくぐり、閉めた。
慶次は逡巡したあと、元就の後を追ったが、既に辺りに姿は無かった。
慶次を見とがめた足軽が声をかけてくる。
慶次は逡巡したあと、元就の後を追ったが、既に辺りに姿は無かった。
慶次を見とがめた足軽が声をかけてくる。
「駄目ですよ、外に出ちゃ。またまつ様に怒られますよ」
「今、ここから出てった奴、どこに行った?」
「ああ、毛利の大将ですか。向こうの方に。
さっきまで、殿と奥方と三人で話し込んでたみたいですけど、
慶次様のほうにも何か言づてがあったんですかい?」
「今、ここから出てった奴、どこに行った?」
「ああ、毛利の大将ですか。向こうの方に。
さっきまで、殿と奥方と三人で話し込んでたみたいですけど、
慶次様のほうにも何か言づてがあったんですかい?」
元就は、一番最初に自分の所に来た訳ではなかったらしい。
前田家における慶次と、当主の夫妻の立場を考えれば
先に二人の元へ挨拶に行くのは当然なのかもしれなかったが、それでも面白くなかった。
慶次は、元就が消えたという方向を一瞥し、鴨のように唇を突き出して、問う。
前田家における慶次と、当主の夫妻の立場を考えれば
先に二人の元へ挨拶に行くのは当然なのかもしれなかったが、それでも面白くなかった。
慶次は、元就が消えたという方向を一瞥し、鴨のように唇を突き出して、問う。
「利とまつ姉ちゃんと、何話してたってんだ」
「さあ? 戦のことじゃねえですか?」
「さあ? 戦のことじゃねえですか?」
その可能性もあるのか。
追おうとする慶次を、慌てて足軽が引き留めた。
「駄目ですって、おとなしくしてて下さいって」
「その件、まだ全部聞いてないんだ。
まつねえちゃんにはあんたが叱られといて」
「その件、まだ全部聞いてないんだ。
まつねえちゃんにはあんたが叱られといて」
返事は聞かず、慶次はその場を後にした。




