戦国BASARA/エロパロ保管庫

迷宮情死3

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「伊達政宗。武田に下れ。そなたの血と伊達の名、絶やすのは惜しい」
HA、と政宗は笑った。家臣たちが無礼な、とざわめく。
政宗は髪をかき上げ、傍らに控える幸村を一度見た。わずかに甘く潤むが、すぐに信玄に目を向ける。
ほんの、一瞬。政宗がただ幸村を見ただけで、信玄は悟った。
――恋仲か。
「知行を与えるゆえ、奥州を治めよ。奥州の民は、甲斐になかなか従わんのだ」
「HA、甘いこった」
「政宗殿!」
幸村が鋭い声を飛ばす。しかし政宗は、信玄から視線を外さない。
冷たさはない。これ以上ないほど熱い視線だ。
「確かに、伊達の家臣は、あんたに従うことはないだろ。俺がそう仕込んだからな。
……だが、俺の血を引く武田の子がいたら、武田にも従うだろう」
「……そなた」
「俺が遺言を残せば、全員武田に従うぜ? 俺の言うことは絶対だからな」
政宗は笑う。
この若い娘を、生かしたいと思う。
政の手腕も、武将としての強さも、政宗の器の大きさも、気に入っている。
何より、この娘を殺せば幸村が嘆き悲しむ。
「……伊達よ。儂はの、もう年じゃ」
「甲斐の虎が、何弱気な事を言ってやがる」
「そなたは若い。武田の血を引く子が欲しいのなら、例えば――幸村はいかがじゃ。
武田家中の中でも、忠義にあつく武勇誉れ高いぞ」
「おおおおお館様!?」
「幸村に奥州を治めさせよう。そなたは、幸村の妻となり、幸村の子を産め。その子に伊達を名乗らせればよい」
「幸村は、正室がいないだろ。正室は武田から貰った方がいい」
「いや、正室であるほうがよかろう。家臣の側室など、奥州は認めまいて」
幸村の絶叫を無視して、二人は会話を勧めた。
幸村は耳まで真っ赤にして口をぱくぱくさせているが、二人はまったく気にしない。
「男を二人産めってか?」
「左様。儂はもう年じゃ。若い者同士の方が、子もできよう」
政宗は緩く首を振った。
「あんた、分かってるんだろ? 真田じゃ、奥州は納得しない」
信玄は低く唸った。
幸村は武勇誉れ高い武将だが、所詮は武田の家臣である。伊達とは家の格が違う。
「だがの」
「武田信玄と、伊達政宗の子。これ以上、納得できるものなんかねぇぜ?」
政宗は薄く笑って肩を竦めた。
側室に入れる気がないのなら、殺せ。暗にそう語る。
信玄はため息をついた。首を振り、政宗を見る。
「……そちの処遇は、後ほど決める」
「今、返事しろよ。俺はあんたの決定に従う」
「ならん」
「You coward(臆病者)」
吐き捨てるような南蛮の言葉の意味が分かる者は、武田家中にはいない。
だが、幸村はそれが罵りの言葉であることに気づいた。
「政宗殿」
名を呼ぶ。政宗は一度幸村を見た。
左だけの、黒い目。一瞬翳りを帯びるが、すぐに強い光を宿す。
手を伸ばそうとするが、家中の視線を感じて膝の上で拳を握った。
気づかれては、いけない。
「幸村。……楽しかったぜ」
肩を竦め、唇を持ち上げて笑う政宗を、幸村は呆然と見つめた。
戦場で目が離せなくなった。打ち合うたびに魂が震えた。これ以上ない程惹かれた。
「……下がれ」
信玄の声に、我に返る。信玄は立ち上がって評定の場を去る。
幸村は弾かれたように立ち上がり、信玄を追った。


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