見上げた空は恐ろしいほどに美しく透明だった。
佐助が呼んだ霧はもう散ってしまい、佐助が操る鳥は羽根を散らせてどこかに流れていってしまった。
ひゅうひゅうと耳障りな呼吸の音に顔をしかめる。
まるで身体中の血すべてが流れてしまったかのように身体は軽く、そして重い。
少し離れた場所に自分の左腕が手裏剣を握ったまま落ちているのが見えた。
「…ぁ…だん…な…」
幸村は、どうしたのだろうか。
大きな叫びが少し前に聞こえてきたが、それがどちらの意味かは既にわからなかった。
「…だん、な…ゆき…らさ……おれ、の、なま…は…」
佐助が呼んだ霧はもう散ってしまい、佐助が操る鳥は羽根を散らせてどこかに流れていってしまった。
ひゅうひゅうと耳障りな呼吸の音に顔をしかめる。
まるで身体中の血すべてが流れてしまったかのように身体は軽く、そして重い。
少し離れた場所に自分の左腕が手裏剣を握ったまま落ちているのが見えた。
「…ぁ…だん…な…」
幸村は、どうしたのだろうか。
大きな叫びが少し前に聞こえてきたが、それがどちらの意味かは既にわからなかった。
「…だん、な…ゆき…らさ……おれ、の、なま…は…」
ごぶり、血が溢れた。
霞む視界に、小さな花が見えた。
血に塗れ、花びらを踏みにじられた、あの花の名は。
霞む視界に、小さな花が見えた。
血に塗れ、花びらを踏みにじられた、あの花の名は。
幸村は、そっと足下に咲く小さな花を摘んだ。
「真田殿の解語の花はどうしておられるのでしょうな」
「さて…」
からかいを含んだ、だが暖かい言葉に幸村は愛しくて仕方がないといった風に口許を綻ばせた。
幸村は、花の名をまだ知らない。
「真田殿の解語の花はどうしておられるのでしょうな」
「さて…」
からかいを含んだ、だが暖かい言葉に幸村は愛しくて仕方がないといった風に口許を綻ばせた。
幸村は、花の名をまだ知らない。
終わり