「政宗様ッ!!」
「うわっ」
「うわっ」
有無を言わさぬ勢いでがしりと両の肩口を掴まれ、
政宗は思わず困惑の声を上げる。
政宗は思わず困惑の声を上げる。
「怪我は有りませんか!?下郎共に無体な仕打ちを受けては居ねぇでしょうな?!」
「け、怪我はねぇし、Rapeもされてねぇ!だから落ち着け、小十郎」
「小十郎はいたって平静にござる!」
「どこがだよ!」
「け、怪我はねぇし、Rapeもされてねぇ!だから落ち着け、小十郎」
「小十郎はいたって平静にござる!」
「どこがだよ!」
どう見ても平静ではない小十郎の険しい顔に、政宗は今更ながら
「やっちまった」と内心青冷めた。小十郎は日常的に小言を言ったり叱ったりするが、
本気で怒ったり取り乱したりする事など殆どない男だ。
…戦場で、政宗が命に関わるような無茶をした時以外は。
「やっちまった」と内心青冷めた。小十郎は日常的に小言を言ったり叱ったりするが、
本気で怒ったり取り乱したりする事など殆どない男だ。
…戦場で、政宗が命に関わるような無茶をした時以外は。
「…まぁ、今回の事は責めますまい。
民を無法者から救う為になさった事なれば。」
民を無法者から救う為になさった事なれば。」
つい取り乱した自分をひそかに恥じるように
淡々とした小十郎の言葉に、政宗は問い返す。
淡々とした小十郎の言葉に、政宗は問い返す。
「…そう言えばお前、どうしてその事知ってるんだ?」
「此処に来る迄の道で出会った、政宗様の馬に乗った娘から
事の子細を聞きました故。」
「此処に来る迄の道で出会った、政宗様の馬に乗った娘から
事の子細を聞きました故。」
小十郎の応えに、政宗の表情が僅かに緊張する。
「あの娘はどうした?無事だったろうな?!」
「…ひどく泣いてはいましたが、怪我ひとつ無いようでしたし、
聞かれた事にもきちんと答えておりました。
家まで送りましたので、今頃は家族の元でしょう。」
「…そうか、そいつは良かった。」
「…ひどく泣いてはいましたが、怪我ひとつ無いようでしたし、
聞かれた事にもきちんと答えておりました。
家まで送りましたので、今頃は家族の元でしょう。」
「…そうか、そいつは良かった。」
小十郎の言葉に、政宗は心底ホッとしたように胸を撫で下ろす。
逃がしたはいいが、落馬したり他の野盗襲われたりはしていないか
ひそかに心配だったらしい。
逃がしたはいいが、落馬したり他の野盗襲われたりはしていないか
ひそかに心配だったらしい。
「それで、此処への到着が遅れました。」
「いや、Coolだぜ小十郎。…これで娘を放って俺の所に来たりしたら
許さねぇ所だった。」
「いや、Coolだぜ小十郎。…これで娘を放って俺の所に来たりしたら
許さねぇ所だった。」
政宗は、改めて周囲を見回した。地面に転がる無数の野盗共の死体は、
それでも政宗に襲い掛かって来た者の半数に過ぎない。
残り半数はあっと言う間に戦意を無くして何処かしらに逃げた。
もう、この近隣に近付こうとはしないだろう。
それでも政宗に襲い掛かって来た者の半数に過ぎない。
残り半数はあっと言う間に戦意を無くして何処かしらに逃げた。
もう、この近隣に近付こうとはしないだろう。
「ま、何にせよあの娘が無事で良かったぜ。
ならず者共の慰み物になるなんざ、あんまりに可哀相だからな。」
「…自分もそうなる所だったとは、思わないのですか。」
「Ah?」
ならず者共の慰み物になるなんざ、あんまりに可哀相だからな。」
「…自分もそうなる所だったとは、思わないのですか。」
「Ah?」
何かを押し殺すように重い小十郎の声に、しかし政宗は深刻さを欠いた様子で応える。
小十郎が心配するような事態にはどう転んでもならないと、分かっていたからだった。
小十郎が心配するような事態にはどう転んでもならないと、分かっていたからだった。