政宗の脳裏に、亡き父の面影がよぎった。
病で容貌の崩れた自分を変わらずに愛し、励まし守ってくれた優しい父だった。
生き馬の目を抜くようなこの乱れた時代に将として生きるには、
あまりにも心が暖かすぎる父だった。
病で容貌の崩れた自分を変わらずに愛し、励まし守ってくれた優しい父だった。
生き馬の目を抜くようなこの乱れた時代に将として生きるには、
あまりにも心が暖かすぎる父だった。
「…政宗様。あなたが女子としての幸せを見つけ、
それに生きられる事は輝宗様の…
そしてこの小十郎を含む伊達家臣一同の願いでも有るのです。」
「………」
「いつか訪れるその時まで、
この小十郎があなたを命に替えてもお守りしましょう。
ですから、無駄な事などと悲しい事を仰られないで下され。」
それに生きられる事は輝宗様の…
そしてこの小十郎を含む伊達家臣一同の願いでも有るのです。」
「………」
「いつか訪れるその時まで、
この小十郎があなたを命に替えてもお守りしましょう。
ですから、無駄な事などと悲しい事を仰られないで下され。」
小十郎の真摯な言葉に、政宗は何と言ったらよいのか分からず、困り果てた。
亡き父や小十郎、それに周囲の者達がそんな思いで居たなど、考えた事も無かった。
今まではただひたすら、「女だから」と甘く見られまいと、
戦を繰り返し領土を広げる事のみに力を尽くして来たというのに。
そして周囲もそれを望んでいるのだとばかり思っていたのに。
亡き父や小十郎、それに周囲の者達がそんな思いで居たなど、考えた事も無かった。
今まではただひたすら、「女だから」と甘く見られまいと、
戦を繰り返し領土を広げる事のみに力を尽くして来たというのに。
そして周囲もそれを望んでいるのだとばかり思っていたのに。
「…今更だぜ。
俺はただ守られるだけのお姫様になんかなりたくねぇ。
俺の望みは独眼竜として天下を奪う事。それだけだ。」
「無論、天下も取りましょうぞ。
さすれば縁談など今以上に選り取りみどりでしょうからな。」
「あのなぁ…」
俺はただ守られるだけのお姫様になんかなりたくねぇ。
俺の望みは独眼竜として天下を奪う事。それだけだ。」
「無論、天下も取りましょうぞ。
さすれば縁談など今以上に選り取りみどりでしょうからな。」
「あのなぁ…」
何か言い表せない疲れを感じて、政宗はがっくりとうなだれる。
小十郎はそんな政宗の様子に苦笑する。
小十郎はそんな政宗の様子に苦笑する。
「…それに周囲の思惑は別として、
政宗様自身が認めるような男が現れた時、
嗜みがまるで身についていないが為に相手に振られるなど、
有ってはならない事はございませぬか。」
政宗様自身が認めるような男が現れた時、
嗜みがまるで身についていないが為に相手に振られるなど、
有ってはならない事はございませぬか。」
言外に滲み出る「だから稽古をさぼるな」という気迫に根負けして、
政宗は仕方なく腹を決めた。
政宗は仕方なく腹を決めた。
「…OK、分かったよ。
流石にそんな屈辱は味わいたくねぇからな…もう稽古はさぼらねぇ。
だがな小十郎。」
「はい」
「もしそれで俺を嫁にしたいなんて奇特な男がOld Missになっても現れなかった場合、
お前責任取れるんだろうな?」
「無論の事。」
流石にそんな屈辱は味わいたくねぇからな…もう稽古はさぼらねぇ。
だがな小十郎。」
「はい」
「もしそれで俺を嫁にしたいなんて奇特な男がOld Missになっても現れなかった場合、
お前責任取れるんだろうな?」
「無論の事。」
言われっ放しでは癪だと放った政宗の言葉に、
小十郎は何を今更、と言った風情で答える。
小十郎は何を今更、と言った風情で答える。
「いつも申し上げておりましょう。
その時はこの小十郎が貰って差し上げます。ご心配召されるな。」
その時はこの小十郎が貰って差し上げます。ご心配召されるな。」
あまりに当然のように発せられた言葉に、政宗はしばらくポカンと口を開いた。
「なっ!…お、お前、あれマジで言ってたのか?」
「小十郎はいつだってマジにございますが。」
「小十郎はいつだってマジにございますが。」




