「…小十郎」
政宗の声に、黒い闇に覆われていた思考が正常に戻る。
暖かな指先が、左頬の傷痕に触れるのを感じた。
暖かな指先が、左頬の傷痕に触れるのを感じた。
「そんな、怖い顔すんな」
「…政宗様」
「人質のみんなは無事だったろ?
お前をおびき寄せる餌を、あっさり殺すはずがねぇ。」
お前をおびき寄せる餌を、あっさり殺すはずがねぇ。」
「…はい。皆元気なものでした。」
「そして松永の野郎はお前が倒した。
俺も生きてる。めでたしめでたしじゃねえか。」
俺も生きてる。めでたしめでたしじゃねえか。」
「……」
「帰ろうぜ。…奥州に。」
「…はい。」
小十郎は政宗を横抱きに抱くと、立ち上がった。
政宗は文句を言うでもなく、小十郎の腕の中で大人しくしている。
おそらく立って歩けない程、疲弊し切っているのだろう。
鎧兜に守られていない身体は頼りなげに軽く、それがやるせなかった。
政宗は文句を言うでもなく、小十郎の腕の中で大人しくしている。
おそらく立って歩けない程、疲弊し切っているのだろう。
鎧兜に守られていない身体は頼りなげに軽く、それがやるせなかった。
「…前髪…」
「?」
「お前、前髪バサバサだな…珍しい。」
「?」
「お前、前髪バサバサだな…珍しい。」
政宗に言われるまで気にも留めて居なかったが、
そう言えば前髪と言わず、自分の今の姿は酷い有様なのだろうと
小十郎はぼんやり思った。
そう言えば前髪と言わず、自分の今の姿は酷い有様なのだろうと
小十郎はぼんやり思った。
「これは…お見苦しい姿をお見せしました。」
「いや、悪くねぇ。髪の乱れたお前って、なかなかSEXYだぜ?」
「何を申されますか。
…ではこれからは普段から髪を下ろしましょうか。」
…ではこれからは普段から髪を下ろしましょうか。」
「調子に乗んじゃねーよ。」
「申し訳ござらぬ。」
楽しげに笑う政宗に、小十郎も少し笑った。
やがて、政宗の瞼が重たげに上下するのが目に入る。
やがて、政宗の瞼が重たげに上下するのが目に入る。
「政宗様。お疲れでございましょう…どうぞお休みください。」
「…でも」
「この小十郎、一時も政宗様の側を離れませぬ。ご安心召されよ。」
「…そうか…」
それならいい。と小さく呟くと、政宗は幼い子供のように
すとんと眠りに落ちた。
張り詰めていた緊張の糸が切れたようだった。
そのあどけない寝顔を見詰めながら、
小十郎はつい先程までの事を思い返していた。
すとんと眠りに落ちた。
張り詰めていた緊張の糸が切れたようだった。
そのあどけない寝顔を見詰めながら、
小十郎はつい先程までの事を思い返していた。




