元就は考える。
戦の時には湯水のように湧き出てくる知略も、まったく思いつかない。
考えすぎて、もやもやとしてもどかしい気持ちばかりが募った。
もっと側に寄りたい、と、思っている己に気付いて、元就はうつむく。
あの晩、恐ろしいことを散々された。
痛いと言っているのに聞き入れてはくれず、
翌日目を合わせた時に足が竦むほどむさぼられたというのに、
何故また側に寄りたいと思うのか元就は自らの心がわからない。
戦の時には湯水のように湧き出てくる知略も、まったく思いつかない。
考えすぎて、もやもやとしてもどかしい気持ちばかりが募った。
もっと側に寄りたい、と、思っている己に気付いて、元就はうつむく。
あの晩、恐ろしいことを散々された。
痛いと言っているのに聞き入れてはくれず、
翌日目を合わせた時に足が竦むほどむさぼられたというのに、
何故また側に寄りたいと思うのか元就は自らの心がわからない。
「行こう」
慶次は伸ばした手をひっこめ、踵を返し、歩き始める。
行ってしまう。
元就は遠慮がちに、慶次の袂を握った。
行ってしまう。
元就は遠慮がちに、慶次の袂を握った。
「………………?」
慶次は立ち止まり、驚いた様子で元就を振り向いた。
元就の足も止まる。
元就は慶次を見つめた。
己の視線が、きついものになっていくのが分かる。
分かっているのだが、どうしようもなく、止められない。
このようなことをしたい訳ではないのに。
元就の足も止まる。
元就は慶次を見つめた。
己の視線が、きついものになっていくのが分かる。
分かっているのだが、どうしようもなく、止められない。
このようなことをしたい訳ではないのに。
―――――普通の女はこのような時にどうするのだ。
自問したが、咄嗟には思い浮かばなかった。
慶次が一瞬、気まずそうに目を逸らすのが見えた。
ああ、と、元就は思う。
慶次が一瞬、気まずそうに目を逸らすのが見えた。
ああ、と、元就は思う。
―――――失敗した。
元就は俯いた。
自らの頬が火照るのが分かった。
自らの頬が火照るのが分かった。
「りんごあめ、欲しいの?」
慶次の問いかけに、顔を上げる。
二人は丁度、りんごあめを売っている香具師の前に居た。
二人は丁度、りんごあめを売っている香具師の前に居た。
「そうだ」
そういうことにすることにした。