元親は息をつくと、部屋から出て行こうとした。
慶次の脇をすりぬけざまに振り返り、部屋の奥に向かって慶次を突き飛ばす。
慶次の脇をすりぬけざまに振り返り、部屋の奥に向かって慶次を突き飛ばす。
「慰めてやれよ、馬鹿」
突き飛ばされた慶次が振り返るのと、板戸が閉まるのはほぼ同時だった。
荒い足音が遠ざかっていく。
慶次は元就を見た。
明かりも消えた暗がりの中で小さな固まりが震えている。
元就は慶次を見ることが出来なかった。
二人とも無言だった。
重苦しい沈黙の中、二人ともが、相手の様子を窺っている。
二人は同時に口を開いた。
荒い足音が遠ざかっていく。
慶次は元就を見た。
明かりも消えた暗がりの中で小さな固まりが震えている。
元就は慶次を見ることが出来なかった。
二人とも無言だった。
重苦しい沈黙の中、二人ともが、相手の様子を窺っている。
二人は同時に口を開いた。
「なあ、側に、」
「何故」
「何故」
二人は何かを言いかけたまま、再び沈黙が訪れた。
「…………何?」
慶次が問う。
「そなたの、方こそ」
元就が問い返した。
「…………側に、居てもいいかい」
元就は、頷くことも首を横に振ることも出来なかった。
自分でも驚くくらい、冷たい声が出る。
自分でも驚くくらい、冷たい声が出る。
「する、のか」
「出来るわけ、ないだろ」
「何故」
「あんたが嫌がることなんて、したくないんだ」
「何故、我が嫌がると」
「この間、怖がらせたろ、俺」
「出来るわけ、ないだろ」
「何故」
「あんたが嫌がることなんて、したくないんだ」
「何故、我が嫌がると」
「この間、怖がらせたろ、俺」
慶次がかがむ気配がした。
「ふん、我を愚弄するか」
「そんなんじゃ…」
「我が」
「……なあ」
「我が、恐ろしいのは」
「元就」
「そんなんじゃ…」
「我が」
「……なあ」
「我が、恐ろしいのは」
「元就」
元就は力無く首を横に振った。
慶次の夜着の裾を握りしめる。
幾度目かの沈黙が訪れた。
元就は慶次にもたれかかった。
体が熱い。
酔った時の症状に似ていると元就は思った。
口は酒臭くなどないというのに、腹が熱くてたまらない。
下からでも、酔うのか、と、ふわふわしてきた頭で考えた。
元就は慶次の首筋に頭を埋めた。
慶次の夜着の裾を握りしめる。
幾度目かの沈黙が訪れた。
元就は慶次にもたれかかった。
体が熱い。
酔った時の症状に似ていると元就は思った。
口は酒臭くなどないというのに、腹が熱くてたまらない。
下からでも、酔うのか、と、ふわふわしてきた頭で考えた。
元就は慶次の首筋に頭を埋めた。
「元就?」
「何故、ここに来た?」
「………あんたがどうして俺の所に来たのか、聞きに」
「それを知ってどうする」
「…………」
「夜這いぞ」
「何故、ここに来た?」
「………あんたがどうして俺の所に来たのか、聞きに」
「それを知ってどうする」
「…………」
「夜這いぞ」
額を、慶次の肩口にすりつける。
「我はそなたに夜這いをした」




