やがて毬つきは蹴毬に代わり、子ども達は歓声を上げながら走り回った。
特にやる事も無い佐助は、離れた場所から壁にもたれてその光景をぼんやり眺めていた。
突然佐助の足元に毬が転がって来た。拾おうと屈むと、細い足が目の前にあった。
佐助は無言で毬を拾うとズイとぶっきらぼうに娘に差し出した。十代半ばの思春期で、異性と話すのが妙に照れ臭い時期だった。
「かたじけのうございます」
毬を受け取った娘はにっこり微笑んだ。十を少し越えたくらいか、その花の様な屈託の無い笑みに佐助はドキっとした。
「あ、あぁ…」
ドギマギしながら佐助は娘から目を逸す。丁度その時、佐助は師に呼ばれた。
助かったとばかり逃げる様にそそくさとその場を立ち去ったのだ。
(――あの時の娘か)
良く勤めるように、と言うと千代女は二人を下がらせた。
特にやる事も無い佐助は、離れた場所から壁にもたれてその光景をぼんやり眺めていた。
突然佐助の足元に毬が転がって来た。拾おうと屈むと、細い足が目の前にあった。
佐助は無言で毬を拾うとズイとぶっきらぼうに娘に差し出した。十代半ばの思春期で、異性と話すのが妙に照れ臭い時期だった。
「かたじけのうございます」
毬を受け取った娘はにっこり微笑んだ。十を少し越えたくらいか、その花の様な屈託の無い笑みに佐助はドキっとした。
「あ、あぁ…」
ドギマギしながら佐助は娘から目を逸す。丁度その時、佐助は師に呼ばれた。
助かったとばかり逃げる様にそそくさとその場を立ち去ったのだ。
(――あの時の娘か)
良く勤めるように、と言うと千代女は二人を下がらせた。
既に千代女の屋敷を辞して一日。佐助はいつもより若干速度を落として娘と走っていた。
佐助はこの娘をどう扱ったものか正直はかりかねていた。
歩き巫女は戦闘になった場合逃走するのが常だ。刀を交えて斬り結びはしない。
おまけに千代女から直接承った手前、怪我でもされたらと思う。
佐助はこの娘をどう扱ったものか正直はかりかねていた。
歩き巫女は戦闘になった場合逃走するのが常だ。刀を交えて斬り結びはしない。
おまけに千代女から直接承った手前、怪我でもされたらと思う。