ここまでの行程を見る限り、娘―かすがと言った―の力量は並と言った所か。
問題は如何に感情的にならず冷静でいられるかだ。若いだけに難しいが、いざとなれば当て身でもして連れ戻せば良い。
今回は戦忍の戦を見せるだけだ。
「なぁ、覚えてるか分からないけどさ」
道程の八割を来た所で、緊張をほぐすべく佐助は軽い調子でかすがに話し掛けた。
「俺、前に一度かすがと会ったよな?」
「……え?」
だがかすがは覚えていなかったようで、眉根を寄せて考え込んでしまっている。五年も経てば当然だ。
愚問だったと気付いた佐助は慌てて取り繕った。
「あの、気にしないで」
「申し訳ありません猿飛様」
真面目な返答と慣れない「猿飛様」という呼び方に背筋がむずかゆくなる。
最も自分の方が四、五歳年上だから敬称で呼ばれるのは当然だが。
「佐助でいいよ」
「はい佐助様」
(生真面目だな)
僅かな言葉の端と仕草を読みながら佐助は考える。
「頭領から聞いているだろうが、今回お前は見るだけだ。俺の後ろを離れるなよ。危なくなったらさっさと退散しろ」
「はい佐助様」
かすがの表情が些かムッとなったのを佐助は見逃さなかった。
問題は如何に感情的にならず冷静でいられるかだ。若いだけに難しいが、いざとなれば当て身でもして連れ戻せば良い。
今回は戦忍の戦を見せるだけだ。
「なぁ、覚えてるか分からないけどさ」
道程の八割を来た所で、緊張をほぐすべく佐助は軽い調子でかすがに話し掛けた。
「俺、前に一度かすがと会ったよな?」
「……え?」
だがかすがは覚えていなかったようで、眉根を寄せて考え込んでしまっている。五年も経てば当然だ。
愚問だったと気付いた佐助は慌てて取り繕った。
「あの、気にしないで」
「申し訳ありません猿飛様」
真面目な返答と慣れない「猿飛様」という呼び方に背筋がむずかゆくなる。
最も自分の方が四、五歳年上だから敬称で呼ばれるのは当然だが。
「佐助でいいよ」
「はい佐助様」
(生真面目だな)
僅かな言葉の端と仕草を読みながら佐助は考える。
「頭領から聞いているだろうが、今回お前は見るだけだ。俺の後ろを離れるなよ。危なくなったらさっさと退散しろ」
「はい佐助様」
かすがの表情が些かムッとなったのを佐助は見逃さなかった。