「そろそろお湯溜まったかなぁ。まつ、風呂に行こう」
力なく首を振るのを無視して、利家は動けないままの細い身体を難なく抱き上げた。
「…っや…」
「落っこちるぞ。」
「落っこちるぞ。」
ぐらりと体勢が傾ぎ、まつは反射的に首にしがみついた。
にっと笑った悪戯っぽい瞳にようやくからかわれたことを悟り、頬を染める。
これ以上は無い程顔をほころばせ腕の中の身体を抱え直した。
これ以上は無い程顔をほころばせ腕の中の身体を抱え直した。
まつの嫁入りにあたり整えた利家自慢の露天の湯殿には既に湯がほどよく溜まっていた。
軽く身体を流して湯に浸かるとふっと緊張が解ける。
軽く身体を流して湯に浸かるとふっと緊張が解ける。
向かい合わせに湯船に浸かった利家もコキ、と首の骨を鳴らしながら満足そうに息を吐く。
形良く盛り上がった二の腕の筋肉に見とれてしまったまつは、居たたまれない様子で視線を逸らした。
形良く盛り上がった二の腕の筋肉に見とれてしまったまつは、居たたまれない様子で視線を逸らした。
「それにしても痛々しいな。」
落ちた視線の先を辿って、まつは更に頬を赤らめ膝を窄めた。
「ごめん。」
思わず凝視してしまった無遠慮であった自分をごまかそうと空を仰いだ利家は、
小さく瞬いている星を見つけた。小さくて可愛くて輝いている。
まつみたいだ、と小さく呟く。
小さく瞬いている星を見つけた。小さくて可愛くて輝いている。
まつみたいだ、と小さく呟く。
「某、今でも時々信じられなくなる。」
溜め息と共に押し出される本音は、むしろ素直すぎるくらい滑らかに唇に乗る。
「何がでござりますか?」
「まつが某のものだということが。」
「え?」
「まつが某のものだということが。」
「え?」
顔をみようとはせずに湯に顎までつかりながら独り言のように囁く。
「きちんと、話そう。これから時間はたくさんあるのだから。」
ずっと視線が絡み合い、いつの間にか手を取って膝の上に乗せられた。
「ずっと一緒だ。」
同じ星を見つめながら、まつも幸せそうな息をついた。
幸福な胸の痛みをふたり味わっていた。
幸福な胸の痛みをふたり味わっていた。




