戦国BASARA/エロパロ保管庫

ハナシノブ9

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bsr_e

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近所の住民が通り掛ったので佐助が良い陽気ですね、と気さくに声を掛けた。
表向き夫婦という事になっているせいで、無邪気に子はまだかと尋ねられる
時もある。
授かりものだからとはぐらかす彼に内心かすがは鼻白む。
部屋の両端に各々の床を設えるとは冷えた夫婦もあったものだ。
最も自分がしていた仕事を考えれば当然だろう。
遠く離れた床を見る度、否応無くかつて逃げ出した場所を思い出した。
高く晴れた空の下、風は日々秋めいて来た。じき紅葉が始まるだろう。
傷を負ったのは緑が眩しい頃だった。
いつか治る、きっと良くなると思う内にこんなにも時間が経ってしまった。
白湯を一口飲んでから彼は語り始めた。
あの後追手が掛からない様にかすがは死んだ事になっていて、
自分と謙信以外真実を知らない事。
ここで暮らして居るのは千代女を始め他の忍達にも隠してある事。
かすがが戦場に戻れない事を知って謙信が涙を流し、彼女を頼むと
自分に託した事。
今朝持ち帰って来た行李には彼女の私物が入っており、
謙信が持って行くよう言った事――。
全部話し終えると昼過ぎになっていた。
かすがは淡々と庭に視線を投げたまま彼の話を聞いた。
「……話は分かった」
葡萄色の袷を持って彼女は立ち上がる。
「少し考えさせて欲しい」
「返事はいつでも良いさ。…ずっと待ってる」
佐助の最後の一言がかすがの胸に鋭く突き刺さり、逃げる様に背を向けた。


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