「私は…苦しみ、もがき、足掻いて、生を渇望しそして!…絶望して死んでいく者を切り刻むのが好きなんですよ」
「愚劣…!ならばどうすれば我を殺すのだ?!」
「そう!その顔です!屈辱に歪む貴方の顔は…とても美しい…!どうやら貴方は、生への醜いまでの渇望はないようだ…」
「愚劣…!ならばどうすれば我を殺すのだ?!」
「そう!その顔です!屈辱に歪む貴方の顔は…とても美しい…!どうやら貴方は、生への醜いまでの渇望はないようだ…」
氷の面を、作らなければ。
あの面は…自分を守ってくれる。あの面があれば、自分は傷つかずにいられる。
そして誰も受け入れず、自分のままでいられる。
あの面は…自分を守ってくれる。あの面があれば、自分は傷つかずにいられる。
そして誰も受け入れず、自分のままでいられる。
「ならばそう…その美しい顔を、もっと屈辱に歪めてください!」
ゆらりと現れたのは、まだ血を拭っていない光秀の鎌。
ぽたりぽたりと落ちる血液は、誰の血だろう?と元就は漠然を思った。
別にいい。どうせ殺されるこの命。あの鎌で少しずつ体を切り刻まれても怖くなどない。
氷の面を作らなければ。
ぽたりぽたりと落ちる血液は、誰の血だろう?と元就は漠然を思った。
別にいい。どうせ殺されるこの命。あの鎌で少しずつ体を切り刻まれても怖くなどない。
氷の面を作らなければ。
「…あなたを生かすことで、私は満たされる」
微かな明かりに照らされた鎌の刃が光った瞬間、光秀は素早い動作で鎌を一閃した。
だがその鎌が斬ったのは元就ではなく…その体を唯一守る服。
前に鎌による裂け目が出来たその服を、光秀はためらいなくはだけさせて元就にささやいた。
その笑顔が、酷く憎い。憎くて憎くて、たまらない。
だがその鎌が斬ったのは元就ではなく…その体を唯一守る服。
前に鎌による裂け目が出来たその服を、光秀はためらいなくはだけさせて元就にささやいた。
その笑顔が、酷く憎い。憎くて憎くて、たまらない。
「最初に言っておきます…あなたを殺しはしない…ただ女性の持つ本能的な危機感は抱いてくださいね?」
「…なん、だと…!!」
「貴方の端整な顔を屈辱に歪ませる最善の方法…ふふ、わかっているでしょう?今貴方を包んでいるその感情が…危機感です」
「…なん、だと…!!」
「貴方の端整な顔を屈辱に歪ませる最善の方法…ふふ、わかっているでしょう?今貴方を包んでいるその感情が…危機感です」
薄暗い光に照らされた光秀の瞳が光ったとき。
毛利元就は、生まれて初めて『危機感』という感情を抱いた。
これから起こる状況が嫌でもわかる。だが必死にそれを拒絶している自分がいた。
毛利元就は、生まれて初めて『危機感』という感情を抱いた。
これから起こる状況が嫌でもわかる。だが必死にそれを拒絶している自分がいた。
氷の面を、つくらなければ。
あれは自分を…守ってくれる。
あれは自分を…守ってくれる。