飲み終ったった缶コーヒーをローテーブルの上に置く。
あと一歩の所で終電を逃した彼女は今、橙色の部屋で床に座っていた。
金曜の夜とあってカラオケを初め始発まで時間を潰せそうなものは軒並み満員で、
不承不承近くの橙色の部屋へ初めて上がった。
決して広くないワンルームだが、白と茶を基調に纏められた室内は
落ち着いた雰囲気を漂わせている。
こざっぱり片付いていて居心地も悪くなかった。
「はい、これ着替え」
袖が迷彩柄になった長袖のTシャツと黒いスウェットの上下、
それにバスタオルが手渡された。
「シャワー使いたかったら玄関脇の所ね。トイレもそこ」
「…ああ」
ハァ、とまた溜め息が出た。早く家に帰りたい。
だが空気を読まない奴が約一名、とても嬉しそうにしていて腹が立つ。
「DVDでも観る?えーっと『死霊のはらわた』だろ、『感染』、『SAW』、
『チャイルドプレイ』に…あっ!旧版の『エクソシスト』それから…」
斜向いに座った橙色が次々にホラーのDVDを取り出し歌姫は軽く目眩がした。
ステージを熟した後の倦怠感が倍増する。
もうちょっと異性と観るのに相応しいタイトルを持って居ないのかと
心の中で突っ込んだ。
「…遠慮しとく」
「だったらさ」
舐める程耳に近付いた橙色が甘ったるい声で囁く。
「ベッド行かない?床の上でしちゃ流石に冷えるし」
歌姫が朱に染まるのを至近距離でニコニコしながら眺めた直後、
乾いた音がして頬に鮮やかな紅葉が咲いた。
慌ただしい足音がバスルームの中に入り乱暴に扉が閉まる。
勢い良くシャワーの音が聞こえて来た。
「おー痛ぇ……」
痛む頬に掌を当て橙色が呟く。
(照れちゃって可愛いね、全く)
あと一歩の所で終電を逃した彼女は今、橙色の部屋で床に座っていた。
金曜の夜とあってカラオケを初め始発まで時間を潰せそうなものは軒並み満員で、
不承不承近くの橙色の部屋へ初めて上がった。
決して広くないワンルームだが、白と茶を基調に纏められた室内は
落ち着いた雰囲気を漂わせている。
こざっぱり片付いていて居心地も悪くなかった。
「はい、これ着替え」
袖が迷彩柄になった長袖のTシャツと黒いスウェットの上下、
それにバスタオルが手渡された。
「シャワー使いたかったら玄関脇の所ね。トイレもそこ」
「…ああ」
ハァ、とまた溜め息が出た。早く家に帰りたい。
だが空気を読まない奴が約一名、とても嬉しそうにしていて腹が立つ。
「DVDでも観る?えーっと『死霊のはらわた』だろ、『感染』、『SAW』、
『チャイルドプレイ』に…あっ!旧版の『エクソシスト』それから…」
斜向いに座った橙色が次々にホラーのDVDを取り出し歌姫は軽く目眩がした。
ステージを熟した後の倦怠感が倍増する。
もうちょっと異性と観るのに相応しいタイトルを持って居ないのかと
心の中で突っ込んだ。
「…遠慮しとく」
「だったらさ」
舐める程耳に近付いた橙色が甘ったるい声で囁く。
「ベッド行かない?床の上でしちゃ流石に冷えるし」
歌姫が朱に染まるのを至近距離でニコニコしながら眺めた直後、
乾いた音がして頬に鮮やかな紅葉が咲いた。
慌ただしい足音がバスルームの中に入り乱暴に扉が閉まる。
勢い良くシャワーの音が聞こえて来た。
「おー痛ぇ……」
痛む頬に掌を当て橙色が呟く。
(照れちゃって可愛いね、全く)




