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慰安旅行・慶次編3

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bsr_e

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槌を持ってないいつきの足はやたらと早い。
きーんと言う声と共に姿は見えなくなった。
「ホント、皆可愛いねえ。……片想いでも側で守れてれば幸せ、なのかな。」
慶次は氏政が抱きついた時の風魔の表情が脳裏に焼き付いて離れなかった。

「じっちゃんいる?」
鬼島津の部屋をノックするが返事がない。
居ないみたいなので、慶次は置き手紙をつけて酒瓶を入り口の中に置いた。

「さてお風呂お風呂。」
鼻歌交じりに歩いていく。
問題はどちらに入るか、と言うことだ。
「露天……は混浴なんだよな。」
今回の旅行のメンバーを思い浮かべる。
「むさい……な。」
だけど、露天風呂のあの開放的な感じが好きなんだけどな。

露天風呂の脱衣所の前に立ちながら大浴場の方をちらちら見て迷っていると後ろから声をかけられた。
「慶次。」
「あっれー?秀吉も風呂?半兵衛は?」
「ああ……お前は…いや、半兵衛なら向こうの大浴場だ。」
こっちは寒いからな。と秀吉は付け加えた。
一人で来たのか?と言おうとしてやめたのだとわかる。

「そっかあんまり良くないの?」
「いや、多分自分で言うよりは元気なのだとは思うがな。お前もこっちに?」
「や、やめとくよ。後から騒がれちゃたまんないし。」
そう言って笑いかけると秀吉はどうしてだか悲しそうな顔をした。――ように見えた。

「上手くいっているのか?」
「多分。」
「……気を付けろ。」
秀吉は良く分かってる。
別れた方が良いなんてそんな事はもう言えないんだって。

「うん、あんがと。じゃ半兵衛によろしく。」
俺は秀吉に手を振ると大浴場の前まで行って頭を抱えた。
「半兵衛……いるんじゃ入れないよなあ。ひっ!!!」
と廊下をぐるりと見回してビックリした。
「忠勝……。」
廊下の突き当たりに忠勝が居た。
くまの置物かと思ったら忠勝……。
気付かない俺も俺だけど、そこに居るお前もどうなんだと思う。

「あー中に家康いんの?」
「…………!!!!」
「で、錆びるから此処でお留守番なんだ。」
「…………」
ぷしゅるーと情けない音を立てて蒸気が出る。

多分落ち込んでるんだよなーとは思う。いや、どうなんだ?
「残念だな。お前防水だったら一緒に入れたかもしんないのに。」
「…………!!!!!!!!!!!!」
ブッシューと盛大な音を立てて廊下が一瞬蒸気で埋まる。
「っびっくりしたー!」
漸くまともになった視界の先を見ると、忠勝が一人で変な音を立てていた。

「あーごめん。悪かった。うん。」
これは間違いなく照れているんだろう。からかい過ぎた。ほんと反省しました。
「あ、ほら今日俺たちさ向こうの道から来たんだけど、滝とか紅葉とかすっごい綺麗だったんだよ!」
「……!?」
「だから、明日の朝とか二人で散歩にいけば?きっと家康も喜ぶよ!」
「…………!!……!」
……ふう。表情は分らないけど落ち着いたらしい。
俺は安心して脱衣場の前に戻った。


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