裾をはためかせる手を止めることなく、声のするほうを見上げれば。
そこには、先日奥州を出たという文を送ってよこした年下の男が立っていた。
「…暑いんだよ」
誘ってねぇぞ。と、元親は政宗に向ってにべもなく答えるが、逆に『どこがだよ』と言葉が返ってくる。
「誘ってんだろ。俺が送ったone piece着て、その白い腿が見えるくらい捲ってたら、そう思うだろ」
「てめぇの脳味噌くらいだ、そんな沸いたこと考えるのは」
元親の隣にどかりと腰を下ろし、きっちりと合わせていた襟元を寛げた政宗は、にじり寄りながら久方ぶりの自分の情人の姿を上から下までじっと見た。
「すげぇkissしてぇ」
それでもって、そう呟くが、彼の年上の恋人は残念ながらつれなく『嫌だ』と答える。
「why?」
「暑いから」
南蛮語はよく解らないが、とりあえず元親は自分の今の心境を答えておいた。
彼女がどれほどまでにその気持ちでいるのかといえば、触れようとして伸ばされた政宗の手の甲を、左手で持った扇子で叩く始末だ。
からり…と、彼女の右手に置かれていた氷の入ったグラスが解け、涼しげな音を立てる。
水滴の付いたそれを持ち上げ、中に入っていた緑色の液体を喉の奥へと流し込む。
その一連の動作から、目が離せない。
政宗の頭の中はいかにして、元親のその日に焼けていない白い喉に食らいついてやろうかと算段しているからだ。
「なに?飲みてぇのか?」
彼の視線に気づき、元親は少し量の減ったグラスを政宗に差し出す。
別にそれが欲しいわけじゃねぇ…と言いながらも、とりあえずその涼しげなグラスを受け取る。
受け取ればそれは思った通りに冷たくて、からり…と氷の解ける音も心地がいい。
「つか、暑いって言いながらなんで長袖着てんだよ」
氷の音を楽しむようにグラスを回しながら、元親の羽織るワンピースと同じ白の薄手の上着の袖を引っ張れば『日焼け止めだよ』と、笑みとともに教えられた。
「ah―…アンタ、すぐ赤くなるからな」
その笑みに見惚れながら元親の肌事情を思い出し、徹底して日除けのされているこの庭を眺める。
一度日に焼ければ、触らせてももらえない。
それを考えれば上着を羽織るのは当然だろうし、自分のためにと思えば、嬉しさも隠せない。
そこには、先日奥州を出たという文を送ってよこした年下の男が立っていた。
「…暑いんだよ」
誘ってねぇぞ。と、元親は政宗に向ってにべもなく答えるが、逆に『どこがだよ』と言葉が返ってくる。
「誘ってんだろ。俺が送ったone piece着て、その白い腿が見えるくらい捲ってたら、そう思うだろ」
「てめぇの脳味噌くらいだ、そんな沸いたこと考えるのは」
元親の隣にどかりと腰を下ろし、きっちりと合わせていた襟元を寛げた政宗は、にじり寄りながら久方ぶりの自分の情人の姿を上から下までじっと見た。
「すげぇkissしてぇ」
それでもって、そう呟くが、彼の年上の恋人は残念ながらつれなく『嫌だ』と答える。
「why?」
「暑いから」
南蛮語はよく解らないが、とりあえず元親は自分の今の心境を答えておいた。
彼女がどれほどまでにその気持ちでいるのかといえば、触れようとして伸ばされた政宗の手の甲を、左手で持った扇子で叩く始末だ。
からり…と、彼女の右手に置かれていた氷の入ったグラスが解け、涼しげな音を立てる。
水滴の付いたそれを持ち上げ、中に入っていた緑色の液体を喉の奥へと流し込む。
その一連の動作から、目が離せない。
政宗の頭の中はいかにして、元親のその日に焼けていない白い喉に食らいついてやろうかと算段しているからだ。
「なに?飲みてぇのか?」
彼の視線に気づき、元親は少し量の減ったグラスを政宗に差し出す。
別にそれが欲しいわけじゃねぇ…と言いながらも、とりあえずその涼しげなグラスを受け取る。
受け取ればそれは思った通りに冷たくて、からり…と氷の解ける音も心地がいい。
「つか、暑いって言いながらなんで長袖着てんだよ」
氷の音を楽しむようにグラスを回しながら、元親の羽織るワンピースと同じ白の薄手の上着の袖を引っ張れば『日焼け止めだよ』と、笑みとともに教えられた。
「ah―…アンタ、すぐ赤くなるからな」
その笑みに見惚れながら元親の肌事情を思い出し、徹底して日除けのされているこの庭を眺める。
一度日に焼ければ、触らせてももらえない。
それを考えれば上着を羽織るのは当然だろうし、自分のためにと思えば、嬉しさも隠せない。