戦国BASARA/エロパロ保管庫

影身に添う・壱4

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momo

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 ◇

次の日、小十郎の仲介で、風魔は伊達政宗に目通りした。
政宗は一つしかない目で、射るように風魔を見据えた。
日差しの角度のせいか、一瞬だけ瞳が青く底光りする。
「Ok. よろしく頼むぜ」
しばらく風魔を見つめた後、政宗はあっさりと契約を承認した。
裏に何かあることには気付いた風だった。
しかし、小十郎に対する信頼が勝ったのだろう。
風魔も、契約したからには、その内容をまっとうするつもりだった。

そして、風魔の奥州での傭兵生活が始まった。
契約期間は、新規の契約のため、まずは三月。
暗殺は伊達の流儀に反するということで、仕事内容はもっぱら城の警邏、ときどき諜報活動といったところ。
契約主は当主の政宗だったが、実際の指示は小十郎から出された。
既存の忍との連携も小十郎が間に入る。
名の知れた伝説の忍『風魔小太郎』が味方についたとあって、その単独行動に異を唱える者はなかった。

小十郎の暗殺に忍びこんだときからそうだったが、忍にとって伊達の居城への侵入は難しいものではない。
政宗や小十郎、その他数名の武将は気配に敏感なため、暗殺となると色々と障害があったが、情報収集は容易い。
実際、風魔が小十郎の身辺を探っていたときにも、他国の忍を幾人も目撃した。
そのときは黙殺していたが、今は立場が違う。
風魔は、各地から集まった様々な組織の忍を手当たり次第に手にかけて、その亡骸を小十郎の執務部屋の前庭に積み上げた。
初めこそ、死体からその忍の所属を探り出そうとしていた小十郎だったが、身元の判明する忍などいるはずもなく、終いにはその量の多さに辟易するはめになった。
「おい、こら、風魔! てめえ猫じゃねえんだから、いちいち持ってくるんじゃねえよ!」
「……………」
「聞いてんのか!? こらっ!!」
死体が庭にどさりと落ちる音に反応し、部屋から顔を出した小十郎にそう怒鳴られても、風魔は素早く屋根を駆け抜けて、まったく聞く耳を持たなかった。

もちろん、小十郎自らが提案した彼自身の見張りも、風魔は欠かさず行っていた。
小十郎の性格からして、人の秘密を誰かにバラすことはないだろう。
それでも実行に移したのは、二度も敗れ、女というだけで命を救われた、忍として大変情けなく、残酷な仕打ちに対する嫌がらせだった。
仕事の合間、風魔はつかず離れずで小十郎を監視した。
基本、風魔は一切の気配を殺している。
影となり、闇に溶け、それは仲間の忍にさえ気取られないほどだ。
しかし、小十郎だけには、日に二、三度、あえて存在を示すかのように微かな気配を滲ませて近づいた。
それは、私はここにいて見張っているぞ、という無言の圧力だった。
執務部屋、稽古場、片倉邸、畑、視察……どこへ行っても風魔は小十郎を追いまわした。
用事や仕事があるときには、小十郎もすぐに風魔に指示できるので、それほど邪険に扱われることもなかったが、さすがに花街までついていったときにはキレられた。
天井裏でわざとコトっと音をたてると、小十郎は酒を数杯呷っただけで遊郭を後にし、帰る道すがら後をつける風魔に「いい加減にしろっ!」と怒鳴った。
最中の男ほど無防備なものはないのにと、風魔は残念に思って肩をすくめる。
小十郎を倒すという目的を、風魔は完全に諦めたわけではなかったのだ。

そんな風だったから、小十郎はいつもピリピリとした空気をまとうようになっていった。
気を抜くと、前髪が一筋額に垂れてくる。
「お前、なんか最近やつれてないか? 四六時中、気張ってるみたいだし」
「そんなことは、ございませんよ」
政宗に指摘され、無理をして平静を保つ小十郎を見て、風魔はほんの少し溜飲を下げるのだった。


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