戦国BASARA/エロパロ保管庫

影身に添う・壱6

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momo

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今日は夜の見回り番の日だった。
小十郎を殺すと決めても、伊達との契約については、けじめをつけねばと風魔は真面目に働いた。
最近は、めっきり伊達の城に忍びこむ忍も減ってしまった。
先の戦で、伊達に風魔小太郎ありと知れ渡ったせいだろう。
久しぶりに見つけた命知らずの首を、風魔は闇にまぎれて一瞬で狩った。
屋根の上に崩れ落ちる忍を冷めた目で見つめながら、ここからでは小十郎の執務部屋が遠いことに気がつく。
もう少し遊ばせてから殺るのだったと後悔しながら、風魔は死体を仰向けに転がして両脇を持ちあげると、うんしょと力を込めて屋根の上を引きずった。
「ぷっ」
不意に、笑いを噴き出す声が、向かいの棟の軒下からした。
顔を動かさずに視線だけ向ければ、屋敷にいるはずの小十郎だ。
――不覚。
まったく気配に気がつかなかった。
「おめえ、人が持ってこなくていいって言ってんだから、そんなに苦労してまで運ぶなよ」
普段は人を寄せつけない雰囲気を放つ整った顔が、柔和な笑みを浮かべている。

「殺気立って出て行ったから、心配して来てみりゃあ、何やってんだお前は」
「……………」
気安い笑顔で、『心配』などととち狂った言葉を吐く男を見下ろして、風魔は頭がくらくらした。
小十郎の手には野菜の入った竹かごがあったので、本当は政宗に差し入れに来たのだろう。
そう判断して頭を冷やすと、風魔はおもむろに死体を屋根の下へと転がした。
「おい! てめえ、やめろ!!」
小十郎が焦って声をあげるのと同時に、ばりばりと枝の折れる音を立てながら、死体が庭へと落ちていく。
「ああ、政宗様のお気に入りの梅が! こら、風魔! 待ちやがれ!!」
小十郎の怒鳴り声を背に、風魔は月に向かって跳躍した。

翌々日。
雀に群がられる風魔の姿が、城壁の上にあった。
奥州の雀は人を怖がらないらしい。
一度気まぐれに粟を与えたところ懐かれて、たまにこうして餌をやるようになった。
「風魔!」
城のどこかで自分を呼ぶ声がする。
政宗だ。
小十郎が風魔の気配を察して小さく呼びかけるのに対し、政宗はどこにいようと呼べば必ず来るものと思っている節があった。
むろん、それに応えるのが影の役目だ。
風魔は一気に城内を駆け、縁側に佇む政宗の前に跪いた。
「来たか!」
腕を組んだ政宗が、現れた風魔を満足そうに見下ろす。
「契約のことだがな。今月で終わりだっただろう?」
「……………」
梅の木の件で怒られるものと覚悟していたが、そうではなかったらしい。
「次はLong term、長期でどうだ?」
「……………」
風魔は微動だにしなかったが、政宗に気に入られたことは単純に嬉しかった。
当主としての政宗は、豪快でいて細かいことにも気が回り、誰にでも公正で寛大だった。
家臣にも民にも好かれていて、そんな政宗が治める奥州の居心地の良さは、風魔も認めざるを得なかった。
しかし、風魔の頭の中には契約更新の選択肢はもうなかった。
「なあ、風魔。小十郎とお前との間に何があったのか、俺は知らないが、アイツはお前のことを買ってる。
 信じてやってくれねえか」
「……………」
梅の木の件から派生した話だろうか。
どうして政宗にこんな風に言われるのか、このときの風魔には正確には分からなかった。
ただ、いくら政宗の頼みでも、こればかりは譲れない。
「ま、よく考えてくれ」
即答を求められなかったので、風魔はぺこりとお辞儀をし、瞬時にその場を辞した。



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